添付一覧
○厚生年金保険法及び厚生年金基金令の一部改正に伴う厚生年金基金規約変更の取扱等について
(昭和四六年八月一四日)
(年企発第七二号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企画課長通知)
厚生年金保険法等の一部を改正する法律(昭和四六年五月二七日法律第七二号)の施行については、昭和四六年六月五日年発第一、六九三号をもつて厚生省年金局長及び保険局長から貴都道府県知事あて通知されたところであるが、この改正に伴い、別添〔略〕のとおり厚生年金基金令の一部を改正する政令(昭和四六年政令第二六二号)及び厚生年金基金規則の一部を改正する省令(昭和四六年厚生省令第三〇号)が昭和四六年八月二日公布された。
今回の改正事項のうち、厚生年金基金に関する事項及び改正に伴う規約変更の手続等は次のとおりであるので、これが事務処理について遺憾のないよう貴管下の厚生年金基金を指導されたい。
第一 厚生年金基金に関連する改正事項
1 標準給与の基準の改正
厚生年金保険法(以下「法」という。)第二〇条に規定する標準報酬月額が昭和四六年一一月から一万円から一三万八〇〇〇円までの三三等級に改められることになつたことに伴い標準給与の基準が改められ、月額が一三万円未満の給与については改正後の法第二〇条の表のとおりとし、月額一三万円以上の給与については給与の月額が八〇〇〇円又はその端数を増すごとに標準給与の等級が一等級ずつ累進し、各等級の標準給与の月額はそれぞれ当該等級に属する給与の月額の最低額に四〇〇〇円を加えた額とすることとされたいこと(厚生年金基金令第一七条)。
2 脱退手当金の特例措置の延長
厚生年金基金(以下「基金」という。)の特別脱退一時金の支給要件となつている厚生年金保険法の一部を改正する法律(昭和四〇年法律第一〇四号)附則第一七条第一項に規定する脱退手当金の支給に関する特例措置の期限が昭和四六年五月末日とされていたのが、さらに五年間延長されたこと。
3 通算老齢年金の支給要件の緩和
明治四四年四月一日以前に生れた高齢者については、昭和三六年四月一日以後の通算対象時期が一〇年以上あることにより通算老齢年金を支給することとされていたが、同日前の通算対象期間と同日以後の通算対象期間とを合算して一〇年以上あれば通算老齢年金を支給することに改められたことに伴い、基金にあつては、加入員又は加入員であつた者が当該通算老齢年金の受給権を取得した場合に年金給付を支給する必要があること。
4 その他
法第三七条の改正に伴い、厚生年金基金規則の法の引用条文の整理が行なわれたこと(厚生年金基金規則第二三条)。
第二 規約変更等の取扱い
1 規約変更を行なうべき事項
(1) 標準給与の基準
標準給与の基準が改められたことに伴い、次に掲げる基準を除き、標準給与に関する規約の規定を改める必要があること。
ア 標準給与を法第二〇条の規定の例によるものと定めている基金
イ 令第一七条第三項の規定により厚生大臣の承認を受けて標準給与を定めている基金
(2) 特別脱退一時金
脱退手当金の特例支給の期限が延長されたことに伴い、この脱退手当金の支給が行なわれる者について特別脱退一時金を支給する旨を規定している基金にあつては昭和四六年六月一日以降の五年間の範囲において加入員期間の月数別の支給率表を改める必要があること。
2 規約変更手続
変更規約案については、代議員会の議決を経て遅くとも一〇月一五日までに都道府県民生部(局)保険課(部)を経由して当局に変更認可の申請を行なうこと。
なお、1の(2)の規約変更を行なう基金にあつては、前記にかかわらず、すみやかに規約変更の認可申請を行なうこと。
おつて、代議員会の議決を経ることができない特段の事情があるときは、この規約変更が法改正及び令改正による必然の変更であることにかんがみ、臨時急施を要するものとして理事長専決をもつて処分することもやむを得ないこと。
3 標準給与の改正事務の取扱い
1の(1)による規約変更を行なう基金(1の(1)のアに該当する基金を含む。)の昭和四六年一〇月における標準給与の月額が一〇万円以上である加入員については、同年一一月における標準給与の月額を変更後の規約に規定する標準給与の月額の表により又は改正後の法第二〇条に規定する標準報酬月額の表に見合つて改定する必要があるが、この改定事務の取扱いについては、次によるものとすること。
(1) 標準給与の改定
ア 算定基礎届による処理
本年の定時決定において決定される同年一〇月の標準給与の月額が一〇万円以上である加入員については、当該標準給与の月額の決定の基礎となつた厚生年金基金規則(昭和四一年厚生省令第三四号。以下「規則」という。)第一五条の規定に基づき届出られた届書(いわゆる「算定基礎届」をいう。)による給与の月額(法第二四条第一項の規定を準用することにより基金が算定したものについてはその額。以下イ、ウにおいて同じ。)を基礎として、標準給与の月額を改定すること。
イ 資格取得届による処理
本年七月一日から一〇月三一日までの間に加入員の資格を取得した者であつて、決定された標準給与の月額が一〇万円以上である加入員については、規則第一二条の規定に基づき届出られた届書(いわゆる「資格取得届」をいう。)による給与の月額を基礎として、標準給与の月額を改定すること。
ウ 月額変更届による処理
本年八月から一〇月までのいずれかの月から標準給与の月額が改定される加入員であつて、改定された標準給与の月額が一〇万円以上である加入員については、規約第一六条の規定に基づき届出られた届書(いわゆる「月額変更届」をいう。)による給与の月額を基礎として、標準給与の月額を改定すること。
(2) 原簿等への記載
(1)により標準給与の月額を改定したときは、加入員台帳の一〇月((1)のイにあつては資格取得時、(1)のウにあつては月額変更の改定時とする。)の標準給与の月額等を記載した欄の次の欄に、一一月の標準給与の月額等を記入すること。
なお、前記の記入を行なつた後において、本年一一月までに標準給与の改定があつたとき又は法第一二八条の規定に基づく届出により標準給与の月額について変更があつたときは、すでに記入した一一月の標準給与の月額等を抹消し、その次の欄に当該改定又は変更後の標準給与の月額等を記入すること。
また、本年一一月までに加入員の資格を喪失したときは、すでに記入した一一月の標準給与の月額等を抹消すること。
(3) 事業主に対する通知
(1)による標準給与の改定通知は、(1)の標準給与の決定通知書の備考欄に本年一一月からの標準給与の月額を記載することによつて行なうものとすること。
なお、この処理についてあらかじめ事業主に周知するように努めること。
4 特別脱退一時金の請求事務に関する取扱いについて
1の(2)による規約変更を行なう基金の加入員であつて、本年六月一日以降に加入員の資格を喪失したものに係る特別脱退一時金の請求事務の取扱いについては、当該一時金の請求期限経過後に規約変更が行なわれた場合は、請求期限内に請求できなかつたことにつきやむを得ない事情にあつたものと解して取り扱つて差しつかえないこと。
なお、規約変更の手続きについては、これとは別に極力促進するものであること。
5 年金数理計算の処理について
今回の法改正により標準報酬月額の上限額の引上げが行なわれたが、これに伴い基金の年金数理計算の基礎に用いられる給与指数については、次によるものとすること。
(1) 昭和四六年三月三一日を基準日として財政再計算を実施する基金にあつては、財政再計算を改正後の標準報酬に見合つた給与指数により行なうこと。
なお、この場合、統計表については改正前の標準報酬に見合うものを用いることもやむを得ないものであること。
(2) (1)以外の基金にあつては、昭和四六年度の決算を改正後の標準報酬に見合つた給与指数により行なうこと。
(3) 今後基金を設立しようとするときの給与指数については、あらかじめ改正後の標準報酬に見合つたものを用いるものとすること。
6 その他
今回の法改正においては、第一に掲げた事項のほか、遺族年金の受給権者である妻の死亡に伴う未支給の給付を請求できる遺族の範囲の拡大、失踪宣言によつて死亡とみなされた者に対する遺族年金の支給要件の緩和などの改正が行なわれているが、いずれも基金において直接規約の変更を示すべき事項ではなく、また、一般的にはその必要性も少ないものと思われるが死亡を支給事由とする一時金給付を行なう規定を有する基金にあつては、この改正の趣旨に照らし規約変更を行なうことも考えられるので、その必要が生じた場合は個別に規約変更の手続を行なうこと。