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○厚生年金保険の検診事務等の取扱いについて

(昭和四四年八月二七日)

(庁業発第二〇二号)

(各都道府県民生主管部(局)保険課(部)・社会保険事務所長あて社会保険庁年金保険部業務課長通知)

厚生年金保険法(以下「法」という。)の規定による年金たる保険給付の受給権者(以下「年金受給権者」という。)及び加給年金額の計算の基礎となつている者(以下「加給年金額対象者」という。)の検診に関する事務及び日常生活状況に関する調査については、今後、次により取り扱うこととしたから、これが円滑な実施に遺憾のないよう配意されたい。

1 検診等に関する事務の依頼

年金受給権者又は加給年金額対象者の障害の程度を認定する場合において、検診及び日常生活状況調査の必要があると認めるときは、検診を受けるべき年金受給権者及び加給年金額対象者(以下「要検診者」という。)の住所地を管轄する社会保険事務所及び当該社会保険事務所を直轄する都道府県保険課(部)(以下単に「保険課」という。)に対して、検診に関する事務及び日常生活状況に関する調査を依頼する。

2 検診等の内容

検診等の内容は、要検診者ごとに社会保険庁年金保険部業務課(以下「業務課」という。)から指示するが、概ね次の各号に掲げるとおりである。

(1) 一般状態及び理学的所見から推して、診断書に記載された肺活量の値が適正でないと認められるもの(肺活量測定)

(2) 呼吸器系結核であつて、肺活量が予測値に対して五九%以下のもの及びじん肺症のもの(心肺機能検査成績表(別紙様式第1号)作成)

(3) 提出されたレントゲンフィルムが著しく不良のため、障害の程度の認定が困難なもの(レントゲン撮影)

(4) 診断書又はレントゲンフィルム等により、空洞の存在が疑われ、障害の程度の認定上、レントゲン断層撮影を必要とするもの(レントゲン断層撮影)

(5) 赤沈値が促進しており、恒常的なものか否か確認する必要があるもの(赤沈検査)

(6) レントゲンフィルムによる所見と診断書に記載されている現症の計測値等とが著しく相違し、照会した結果においてもなお解明しないものその他とくに診断を必要とするもの(要検診者診断書(別紙様式第2号)作成)

(7) 聴力障害の程度が明確でないもの(オーディオメーターによる聴力検査)

(8) その他障害の程度の認定上、病勢の程度、機能の障害の程度等をさらに詳細に調査する必要があるもの(必要とする事項の検査)

(9) 障害の程度の認定上参考とするため、就労状況、療養状況、身体状況等を知る必要があるもの(日常生活状況調査書(別紙様式第3号)作成)

3 保険課の行なう事務

(1) 検診医療機関(検診を委嘱する医療機関をいう。以下同じ。)は、都道府県保険課(部)長(以下単に「保険課長」という。)が指定することとし、別紙の契約書例により、保険課長が、当該医療機関の管理者と検診に関する契約を締結する。

なお、この場合、次の点に留意すること。

ア 検診医療機関の指定は、官公立病院(療養所)又はこれに準ずる医療機関であつて、検診に必要な諸施設が完備されているものについて行なうこととし、要検診者の受診を容易ならしめるよう十分考慮のうえ、社会保険事務所の管轄区域ごとに最低一か所以上の検診医療機関が置かれるよう措置すること。この場合、従来都道府県知事が指定していた検診医療機関については、優先的に契約を締結すること。

イ 検診医療機関を指定し、又はその指定を取消したときは、検診医療機関調書(別紙様式第4号)を作成し、業務課及び検診医療機関の所在地を管轄する社会保険事務所へ送付すること。

(2) 検診を実施した月の翌月一五日までに、検診医療機関から「厚生年金保険検診料請求書」(別紙様式第5号)及び「厚生年金保険検診料請求明細書」(昭和三三年厚生省令第三一号様式第二(1)に準ずる。)を提出させ、社会保険事務所から提出される「厚生年金保険検診実施状況書」(別紙様式第6号)と対査し、費用の算定について審査のうえ、各検診医療機関に検診に要した費用を支払う。

なお、検診費用の算定は、次によるものとする。

ア 検診に要した費用の額は、昭和三三年厚生省告示第一七七号「健康保険法の規定による療養に要する費用の算定方法」の別表第一診療報酬点数表(甲)により算定すること。

イ 初診時基本診療料は、要検診者診断書を作成した場合のみ前号により算定することとし、単に検査又はレントゲン撮影のみを行なう場合(要検診者診断書の作成を要しない場合)においては、これにかえて検査委託料として、前記点数表の再診時基本診療料相当点数とすること。

ウ 要検診者診断書料は、二〇〇円とすること。

(3) 検診に要する費用については、別途庁費を交付するものであること。

4 社会保険事務所の行なう事務

(1) 検診は、原則として、要検診者をその住所地の最寄りの検診医療機関に出頭させて行なうものとし、社会保険事務所は、業務課からの依頼に基づき、次の事務を行なう。

ア 検診医療機関と打合せのうえ、検診予定日時を定め、要検診者に対し検診を受けるべき旨の通知書(別紙様式第7号)を送付すること。

イ 検診医療機関に対し委嘱書(別紙様式第8号)を送付することによつて、そのつど検診を委嘱すること。

ウ 要検診者が指定の日時に出頭できない場合は、受診可能日を回報させ、これに基づいて検診日時を変更したうえ、あらためて要検診者及び検診医療機関に前記の通知書又は委嘱書を送付すること。ただし、要検診者が重症のため安静を必要とされ、指定の日時に出頭できないときは、主治医の診断書を提出させ、これを添えて業務課に協議すること。

エ 検診を実施したときは、そのつど、検診医療機関から検診の結果により作成した書類等を提出させ、これを検診結果報告書(別紙様式第9号)に添えて、業務課へ送付すること。

オ 検診を実施した月の翌月一五日までに「厚生年金保険検診実施状況書」を作成し、保険課へ提出すること。

(2) 日常生活状況調査の依頼をうけたときは、年金受給権者の就労状況、療養状況などについて多角的に調査し、調査終了後は、すみやかに、日常生活状況調査書を検診結果報告書に添えて業務課へ送付すること。

なお、日常生活状況調査書は、呼吸器系結核を前提にした項目を列記してあるので、その他の傷病のものについては、その傷病が労働に及ぼす影響などを考慮して調査するよう注意すること。

おつて、日常生活状況調査に要する費用は、職員旅費をもつて支弁するものであること。

別紙

契約書(例)

厚生年金保険の年金受給権者等の障害状態を検診するため、○○県○○部保険課長○○○○を甲とし、○○病院(診療所又は療養所等)の管理者○○○○を乙とし、次のとおり、契約を締結する。

第一条 この契約の定めるところにより、乙の管理する○○病院(診療所又は療養所等)を厚生年金保険検診医療機関とし、乙は、社会保険事務所長の指定する厚生年金保険の年金受給権者等(以下「要検診者」という。)の検診を引き受けるものとする。

第二条 乙は、その管理する○○病院(診療所又は療養所等)で診療に従事している医師又は歯科医師に要検診者の検診を行なわせるものとする。

第三条 乙は、要検診者の検診に要した一切の費用を甲に請求するものとし、要検診者から検診に要した費用の全部又は一部を徴収することはできないものとする。

第四条 この契約に基づいて行なつた検診について、乙が甲に請求すべき費用の額は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(昭和三三年厚生省告示第一七七号)」の別表第一診療報酬点数表(甲)により算定するものとする。

2 要検診者診断書を作成した場合の診断書料は、二〇〇円とする。

3 検診の内容が単なる検査又はレントゲン撮影のみであつて、要検診者診断書の作成の依頼がない場合においては、第一項の規定にかかわらず、所定の初診時基本診療料は算定できないものとし、別に検査委託料として再診時基本診療料を算定するものとする。

第五条 乙は、検診に用した費用を請求しようとするときは、甲の定める厚生年金保険検診料請求書に、「保険医療機関及び保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関する省令(昭和三三年厚生省令第三一号)」の様式第二(1)に準ずる厚生年金保険検診料請求明細書を添えて、甲に提出するものとする。

2 前項の厚生年金保険検診料請求書は、毎月分について、翌月の一五日までに甲に提出するものとする。

3 乙から検診に要した費用の請求があつたときは、甲は、その内容を審査のうえ、すみやかに乙に対して支払うものとする。

第六条 乙は、この契約に基づいて行なつた検診に関する書類を、その完結の日から五年間保存するものとする。

第七条 この契約の有効期間は、昭和  年  月  日から昭和  年  月  日までとする。

2 この契約の有効期間満了の一か月前までに、契約当事者のいずれからも何等の意志表示をしないときは、満期の翌日において、別紙様式第1号向う一年間順次契約の更新をしたものとみなす。

前記契約の締結を証するため、本契約書二通を作成し、両者記名押印のうえ各自その一通を保有するものとする。

昭和  年  月  日

甲 (住所)

○○(都道府)県○○(局)部保険(部)課長○○○○ (印)

乙 (住所)

○○病院(診療所又は療養所等)管理者○○○○ (印)

別紙様式第1号

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別紙様式第2号

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別紙様式第3号

別紙様式第4号

別紙様式第5号

別紙様式第6号

別紙様式第7号

別紙様式第8号

別紙様式第9号