添付一覧
○厚生年金保険の年金給付裁定事務の集中処理について
(昭和四二年四月二八日)
(庁保険発第五号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて社会保険庁年金保険部厚生年金保険・業務課長連名通知)
標記については、昭和四二年四月二六日付庁保発第六号をもつて社会保険庁年金保険部長から都道府県知事あて通知されたところであるが、その細部は次のとおりであるので、遺憾のないよう取り計らわれたい。
1 集中処理方式の概要
(1) 厚生年金保険法の規定による年金たる保険給付(障害手当金を含む。以下「年金給付」という。)の受給権の裁定は、昭和四三年一月一日から、社会保険庁(年金保険部業務課、以下同じ。)において行なう。
(2) 年金給付の額の改定、支給停止及びその解除、失権、受給権者の氏名、住所の変更及び支払機関の変更並びに年金証書の再交付等(以下「諸変更」という。)の処理は、昭和四二年七月一日から、社会保険庁において行なう。
(3) 年金給付の裁定の請求は、被保険者又は被保険者であつた者を最後に管轄していた社会保険事務所を経由して行なう。
諸変更の届出等は、受給権者の住所地を管轄する社会保険事務所を経由して行なう。
(4) 年金給付の裁定の結果は、請求書に直接通知するほか、裁定請求書を経由した社会保険事務所に通知する。
年金給付の額の改定、支給停止及びその解除並びに失権の処理の結果は、受給権者又は届出者に直接通知する。
(5) 年金給付の支払方式は、現行のとおりとする。
(6) 年金受給権者現況届は、年金給付の種別ごとに提出期限を定め、受給権者から直接社会保険庁に提出させる。
2 社会保険庁において行なう事務
(1) 年金給付の裁定請求書及び諸変更の届書等の受付及び審査を行なう。
(2) 廃疾の程度の認定を行なう。
(3) 電子計算組織により年金給付の受給要件の審査及び額の計算を行ない、裁定通知書、年金証書、厚生年金保険年金裁定原簿及び磁気テープによる年金受給権者原簿を作成する。また、諸変更の処理を行ない、必要な通知書及び年金証書を作成する。
(4) 年金給付を行なうにつき、必要な調査及び検診を行なう。
なお、必要があるときは、その一部を社会保険事務所に依頼する。
(5) 年金給付の支払及び年金給付にかかる債権(現年度分)の管理を行なう。
(6) 年金受給権者現況届の用紙の交付並びに受付及び審査を行なう。
3 社会保険事務所において行なう事務
(1) 脱退手当金の裁定及び支払を行なう。
(2) 年金給付の裁定請求書及び諸変更の届書等の受付、点検、補正及び社会保険庁への進達を行なう。その際、裁定請求書又は被保険者である老齢年金、通算老齢年金若しくは特例老齢年金の受給権者が被保険者の資格を喪失した場合における当該年金給付の額の改定事由該当の届書の所定欄に、被保険者又は被保険者であつた者が最後に使用されていた事業所における被保険者の記録事項(最後の被保険者の種別が第四種被保険者であるときは、当該第四種被保険者の記録事項)を記入する。
(3) 社会保険庁の依頼にもとづき、年金給付を行なうにつき必要な調査(年金受給権者現況届の未提出者にかかる調査を含む。)及び検診の事務を行なう。
(4) 社会保険庁から引継ぎをうけた年金給付にかかる債権(過年度分)の管理を行なう。
(5) 受給権者その他に対して相談及び指導を行なう。
4 切替事務の取り扱い
(1) 社会保険事務所は、昭和四二年六月三〇日以前に年金給付の受給権が裁定された者のうち、同日において現に当該受給権を有するものにかかる厚生年金保険年金裁定原簿(以下「年金裁定原簿」という。)を、「厚生年金保険年金裁定原簿移管要領」(別添1)により、同年七月一〇日までに、社会保険庁に移管する。
(2) 社会保険事務所は、昭和四二年七月一日以後に年金受付の受給権が裁定された者にかかる年金裁定原簿を、別途管理換する年金裁定原簿(別紙様式第1号)を使用して、「厚生年金保険年金裁定原簿移管要領」により作成し、そのつど社会保険庁に移管する。
(3) (1)に掲げる者のうち、障害年金の受給権者にあつては裁定原議(裁定請求書及びその添付書類並びに年金額計算書をいう。以下同じ。)を、その他の年金給付の受給権者にあつては裁定原議のうち年金額計算書のみを、(2)に掲げる者のうち障害年金の受給権者にあつては裁定原議を、「厚生年金保険の年金給付の裁定原議移管要領」(別添2)により、社会保険庁に移管する。
社会保険庁に移管する裁定原議以外の裁定原議は、社会保険事務所において保管することとするが、当該年金給付の受給権が裁定された日の翌日から起算して、五年を経過したものについては、廃棄して差し支えない。ただし、昭和四二年六月三〇日以前に失権している者にかかる裁定原議については、当該失権の日の翌日から起算して、五年を経過するまで保管する。
(4) 社会保険事務所は、昭和四二年七月一日から昭和四二年一二月三一日までの間に、諸変更の届書等を受け付けたときは、次の処理を行ない、そのつど社会保険庁に進達する。
ア 当該届書等の記入事項及び添付書類の点検及び補正並びに年金証書の記号番号の確認を行なう。
イ 廃止
ウ 「厚生年金保険年金変更届進達票」(別紙様式第2号)を作成して添付する。
5 関係政省令の改正
(1) 厚生年金保険法施行令について、年金給付の裁定等に関する社会保険庁長官の権限の都道府県知事への委任規定の廃止及び諸変更の届出にかかる管轄都道府県知事の変更等所要の改正を行なう。
(2) 厚生年金保険法施行規則について、裁定請求書の提出先の変更、一八歳に達したことによる失権及び加給年金額対象者の不該当の届出の廃止並びに様式の変更等所要の改正を行なう。
6 その他
(1) 昭和四三年一月一日以後における社会保険事務所において行なう年金給付の裁定請求書及び諸変更の届書等の進達事務並びに年金受給権者現況届の取り扱いの細部については、別に通知する予定である。
(2) 昭和四〇年九月九日庁業発第五五七号通知の別添「厚生年金保険の保険給付に関する報告書の進達手続」のうち、年金給付に関する部分は昭和四二年七月一日から、障害手当金に関する部分(歳入納付に関する部分を除く。)は昭和四三年一月一日から廃止する。
(別紙様式第1号)
(別紙様式第2号)
(別添1)
厚生年金保険年金裁定原簿移管要領
厚生年金保険年金裁定原簿(以下「年金裁定原簿」という。)の移管は、この要領により行なうものとする。
第一 昭和四二年六月三〇日以前に裁定された受給権者にかかる年金裁定原簿
1 昭和四二年六月三〇日以前に年金たる保険給付(以下「年金給付」という。)の受給権が裁定された者のうち、同日において現に当該受給権を有するものにかかる年金裁定原簿は、昭和四二年七月一〇日までに社会保険庁(年金保険部業務課、以下同じ。)に移管する。
同日以前にすでに失権している者にかかる年金裁定原簿は、当該失権の日の翌日から起算して五年を経過しているものについては、廃業して差し支えない。
2 移管する年金裁定原簿について、次に掲げる事項の補正を行なう。
(1) 障害年金の受給権者について、廃疾の原因となつた傷病名が記入されていないものがあるときは、所定の欄に記入する。
所定の欄がないときは、表面の下部余白に適宜記入する。
(2) 被保険者台帳の記号番号が記入されていないものがあるときは、所定の欄に当該被保険者台帳の記号番号を記入する。
所定の欄がないときは、表面の下部余白に当該被保険者台
台帳記番 |
2110 |
074524 |
と記入する。
(3) 昭和四二年六月三〇日において、年金受給権者現況届等が未提出のために年金の支払が差し止められている受給権者のうち、昭和三七年度分以後次の区分による支払期月分までの差止額があるものについては、その額を年度ごとに区分して、表面の下部余白に記入する。
なお、この差止額がある受給権者にかかる昭和四二年七月一日以後における差止額の支払、その他の事務は、社会保険庁において行なうこととする。
ア 埼玉県、千葉県及び神奈川県にあつては、昭和三九年八月期分(通算老齢年金については、昭和三〇年六月期分)まで
イ 大阪府及び兵庫県にあつては、昭和三九年一一月期分(通算老齢年金については、昭和三九年六月期分)まで
ウ 東京都にあつては、昭和四〇年八月期分(通算老齢年金については、昭和四〇年六月期分まで)
エ ア、イ及びウ以外の道府県にあつては、昭和四〇年一一月期分(通算老齢年金については、昭和四〇年六月期分)まで
(記載例)
37年度 |
52,812円 |
38年度 |
52,812円 |
39年度 |
26,406円 |
(4) 障害年金又は遺族年金の受給権者が、同一の事由により、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律又は労働基準法により障害補償又は遺族補償の支給を受けることができるため、当該年金の支給が停止されているときは、表面の下部余白に、「公立学校との調整」又は「基準法との調整」と記入する。
3 昭和四二年六月三〇日以前に受けた付けた諸変更の届書等については、所要の処理を行なつたうえで、年金裁定原簿を移管する。
遺族年金の受給権者である子若しくは孫又は年金給付の加給年金額対象者である子のうち、昭和四二年六月三〇日以前に一八歳に達している者(法別表の第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にあるものを除く。)については、受給権者から失権の届出又は加給年金額対象者の不該当の届出がない場合であつても、失権又は年金給付の額の改定の処理を行なうものであること。
これらの諸変更の処理を行なつたときは、昭和四〇年九月九日庁業発第五五七号通知の別添「厚生年金保険の保険給付に関する報告書の進達手続」(以下「進達手続」という。)にもとづいて、厚生年金保険年金変更報告書又は氏名、住所、支払機関変更報告書等を作成し、社会保険庁に進達する。
4 年金裁定原簿を移管するときは、年金証書の記号番号の順序に配列して包装する。
包装するときは、輸送中に外装が破損しないように注意する。
5 社会保険庁からあらかじめ送付する「厚生年金保険年金裁定原簿移管調書「(様式第1号)(以下「移管調書」という。)のうち、移管調書 正の各欄は、「厚生年金保険年金裁定原簿移管調書の記入上の注意」にしたがつて年金裁定原簿から転記し、年金裁定原簿に記載さていない項目は、裁定原議(裁定請求書及びその添付書類並びに年金額計算書をいう。以下同じ。)から転記する。
移管調書(副)は、年金裁定原簿の移管記録として、社会保険事務書において保管する。
なお、移管調書(副)の各欄は、記入する必要がない。
6 移管調書に、すでに失権している者が印書されているときは、移管調書((正)及び(副))のその者の欄を横二線で抹梢する。
昭和四二年六月三〇日以前に年金給付の受給権が裁定された者のうち、同日において現に受給権を有しているものが移管調書に印書されていないときは、移管調書((正)及び(副))のその者と同じ年金給付の種別の頁の余白に追加記入する。余白がないときは、予備の移管調書の用紙に記入する。
7 移管調書(正)の各欄の記入が終つたときは、年金裁定原簿又は裁定原簿との読み合わせを行なう。読み合わせの結果、移管調書に印書されている「年金証書記号番号」、「生年月日」又は「氏名」を訂正したときは、進達手続の10にもとづいて訂正報告書を作成し、社会保険庁に進達する。
8 2の(3)により、年金裁定原簿に差止額を記入した者については、移管調書の氏名の上部に(止)と朱書する。
9 移管調書を進達するときは、年金給付の種別ごとに区分し、区分した移管調書は五〇枚(五〇枚に満たないときは、その端数)ごとに一束として移管調書の左上部をたすきがけにとじる。
10 移管調書を進達するときは、「厚生年金保険年金裁定原簿移管数」(様式第2号)(以下「年金裁定原簿移管数」という。)を作成し、移管調書に添付する。
11 移管調書及び年金裁定原簿移管数は、移管する年金裁定原簿とは別にして書留郵便により進達する。
第二 昭和四二年七月一日以後に、社会保険事務所において裁定した受給権者にかかる年金裁定原簿
1 昭和四二年七月一日以後に、社会保険事務所において年金給付の受給権が裁定された者にかかる年金裁定原簿は、別途管理換するものを使用して作成し、そのつど社会保険庁に移管する。
2 年金裁定原簿の各欄は、「厚生年金保険年金裁定原簿の記入上の注意」にしたがつて記入する。
3 年金裁定原簿を移管するときは、「厚生年金保険年金裁定原簿移管調書(昭和四二年七月一日以後裁定分)」(様式第3号)を作成して添付する。
(様式第1号)
(様式第2号)
(様式第3号)
(別添2)
厚生年金保険の年金給付の裁定原議移管要領
厚生年金保険の年金給付の裁定原議(裁定請求書及びその添付書類並びに年金額計算書をいう。以下同じ。)の移管は、この要領により行なうものとする。
第一 昭和四二年六月三〇日以前に裁定された受給権者にかかる裁定原議
1 厚生年金保険年金裁定原簿移管調書(以下「移管調書」という。)に記載された障害年金の受給権者にかかる裁定原議は、昭和四二年八月三一日までに社会保険庁(年金保険部業務課、以下同じ。)に移管する。
2 移管調書に記載された障害年金以外の年金給付の受給権者については、当該受給権者にかかる裁定原議のうち年金額計算書のみを、昭和四二年八月三一日までに社会保険庁に移管する。
年金額計算書に、年金証書の記号番号が記入されていないものがあるときは、当該年金額計算書の上部欄外の余白に、移管調書に印書されている年金証書の記号番号を、例えば、│年金証書記番│210101│0002160│と記入する。
また、年金額計算書に、被保険者台帳の記号番号が記入されていないときは、当該年金額計算書の上部欄外の余白に、被保険者台帳の記号番号を、例えば、│台帳記番│2101│097632│と記入する。
3 被保険者である老齢年金、通算老齢年金又は特例老齢年金の受給権者が、被保険者の資格を喪失したことにより、年金給付の額の改定を行なつたものについては、年金額計算書に、当該改定にかかる年金額計算書を添付する。
4 年金額計算書(年金給付の額の改定にかかる年金額計算書を含む。)が破損又は汚損等によつて記載事項の判読が困難なものについては現に使用している年金額計算書の用紙を用いて書き替える。
第二 昭和四二年七月一日以後に、社会保険事務所において裁定した受給権者にかかる裁定原議
昭和四二年七月一日以後に、社会保険事務所において年金給付の受給権が裁定された者については、当該年金給付の額の計算の基礎となつた被保険者記録を厚生年金保険年金裁定原簿(以下「年金裁定原簿」という。)に記入するので、年金額計算書は移管する必要はない。
なお、年金額計算書には、年金裁定原簿に記入した被保険者記録事項を記入しないで、当該年金給付の額の計算を行なうことは差し支えない。
障害年金の受給権者については、当該年金裁定原簿を、裁定のつど移管するほか、裁定原議を昭和四三年三月一日から同月三一日までの間に社会保険庁に移管する。
第三 裁定原議又は年金額計算書を移管するときは、移管調書と突合し、それぞれを年金証書の記号番号の順序に配列して包装する。
包装するときは、輸送中に外装が破損しないように注意する。