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○年金たる保険給付を受ける権利の時効消滅の防止について

(昭和四二年四月五日)

(庁文発第三、六六五号)

(各都道府県知事あて社会保険庁医療・年金保険部長連名通知)

厚生年金保険、船員保険および国民年金の年金たる保険給付を受ける権利(基本権)は、受給権者の請求に基づいて社会保険庁長官又は都道府県知事が裁定することになつているが、この裁定請求を五年間行なわないままにしておくと基本権が時効によつて消滅することになつている。

しかしながら、裁定は、現実に年金の支払を受けるための手続上の要請として行なわれるものであり、その本質はすでに発生している基本権の確認処分と解されている。

したがつて、裁定請求の処理にあたつては、次の事項に御留意のうえ、現行法令の許容する限度において、できるかぎり弾力的な運用を図るとともに、受給権者に対する早期裁定請求の指導の徹底を期し、もつて時効による受給権の消滅の防止を期するよう特段の御配意を煩わしたい。

1 裁定請求は、所定の様式による書面により行なうこととされているが、請求の意思が明確に表示されている限り、所定の様式に合致しないものであつても裁定請求書として受け付け、受付簿に受付けの旨等を明記するとともに、所定の請求手続をとるよう請求者に連絡するなどの措置を講ぜられたいこと。

2 裁定請求書が管轄外の都道府県、社会保険事務所(国民年金にあつては、市町村を含む。)などに提出された場合にも、請求があつたものとして取り扱われたいこと。したがつて、管轄外の都道府県、社会保険事務所などに裁定請求書の提出があつた場合には、当該裁定請求書を管轄の都道府県、社会保険事務所に移送するよう措置されたいこと。

3 被保険者が高齢により退職したとき、六五歳に達したとき、死亡したときなどには早期に年金裁定請求を行なうよう関係者を指導されたいこと。

4 業務上の事由による障害又は死亡の場合には、労働者災害補償保険法による障害補償給付又は遺族補償給付の請求に先立つて厚生年金保険又は国民年金の年金たる障害給付又は遺族給付の裁定請求を行なうよう事業主等関係者を指導されたいこと。

5 現に療養中の者であつても、初診日から三年を経過した日の翌日から障害年金の基本権の消滅時効が進行する旨を関係者に周知徹底されたいこと。とくに、健康保険の傷病手当金の支給の打切りが行なわれる場合などには、この旨が徹底されるよう配意されたいこと。