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○厚生年金基金における事業運営基準の取扱いについて

(昭和四十二年三月二十八日)

(年企発第二〇号)

(都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企画課長通知)

厚生年金基金における事業の運営については、昭和四十一年十一月三十日年発第五四九号をもって当省年金局長から各都道府県知事あて通知されたところであるが、これが、取扱いの細部については、原則として別添「厚生年金基金事務取扱い準則(案)」によることとしたので貴管下各厚生年金基金の指導にあたっては、遺漏のないよう取り扱われたい。

なお、各基金の実態に応じて帳票等の取扱いにあたっては、創意工夫によって事務処理の合理化、簡素化を図ることは差し支えないものである。

別添

厚生年金基金事務取扱い準則

第一 組織等に関する事項

基金は、政府の管掌する厚生年金保険事業の一部を代行する公法人であることにかんがみ、事務組織等についても十分整備し、業務の効率的執行が行えるよう事務処理体制の確立を図る必要があること。

一 代議員の定数

設立事業所数、加入員数及びこれらの分布状況等を勘案して配置する必要があること。

二 代議員会

(1) 二以上の事業主が共同して設立している基金における事業主が選定する代議員(以下「選定代議員」という。)の選定は、各事業主の意思が反映されるような方法で行う必要があるので、原則として、全部の設立事業主が共同してこれを行うこと。したがって、あらかじめ選定方法等のルールを確定しておくことが望ましいこと。

(2) 代議員会は、毎事業年度の予算及び決算の審議を行うこととなるので少なくとも、年二回はこれを開催する必要があること。

(3) 代議員会の代理出席は、原則として、次の場合にのみ認めるものとし、同一人が代理できる数はなるべく最小限に止めるものとすること。なお、代理出席する場合は、必ず当該代理人から代理権を証する書面を代議員会に提出させる必要があること。

ア 疾病

イ 負傷

ウ 分娩

エ 天災地変

オ 交通途絶

カ 忌弔

キ その他真にやむを得ない理由により出席することができない場合

(4) 会議に付すべき事項は、あらかじめ招集状に通知した事項に限るものであること。ただし、その後に発生した急施を要する事項については、この限りでないこと。

(5) 代議員会への代理出席は、招集状に記載した事項についてのみ認められるものであること。

(6) 代議員会の招集は、急施を要する場合を除き、招集すべき日の五日前に到達するよう郵便事情等を考慮してなるべく早めに招集状を送付するほか、基金の事務所の掲示板にこれらの事項を掲示して行う必要があること。これに加え、利便性の観点から、可能な範囲で、基金の管理するホームページに掲載して行うことを推奨する。

なお、必要に応じて公告の写しを各事業主に送付すること。

(7) 代議員会の会議については、次の事項を記載した会議録を作成しておかなければならないこと。

ア 開会の日時及び場所

イ 代議員の定数

ウ 出席した互選代議員の氏名及び選定代議員の氏名並びに代理出席を委任した代議員の氏名及び委任を受けた代議員の氏名

エ 議事の経過の要領

オ 議決した事項及び賛否の数

(8) 代議員が代議員会に出席したため、賃金カットされた場合及び出席旅費については、基金においてこれを補償又は支弁する必要があること。なお、この場合には、必要な規程をあらかじめ設けておくこと。

三 理事

(1) 理事の選挙の手続については、規程をもって定めておく必要があること。

(2) 理事は、会議により業務を執行することを原則とするものであること。この場合において、傷病等のため会議に出席できない理事は、あらかじめ通知を受けた会議事項について書面により理事会の議事に加わることができるものであること。

(3) 理事会において決定すべき事項は、おおむね次のとおりであること。

ア 代議員会の招集及び代議員会に提出する議案

イ 常務理事及び運用執行理事の選任及び解任の同意

ウ 事業運営の具体的方針

エ 年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金(以下「年金給付等積立金」という。)の管理及び運用に関する基本方針

オ 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第六十三号。以下「平成二十五年改正法」という。)附則第五条第一項第一号の規定によりなおその効力を有するものとされた第一条の規定による改正前の厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号。以下「改正前厚年法」という。)第百十八条第二項の規定による理事長の専決処分(ただし、理事会の開催が困難な場合であって、法律改正等による一律の変更、加入員及び受給権者の権利義務に関わらない事項については、事後報告でよいものとすること。)

カ その他業務執行に関する事項で、理事会において必要と認めた事項

(4) 理事会における会議の状況及び決定事項については、代議員会の会議録に準じて、記録保管しておくこと。

(5) 理事会出席のための旅費等については、あらかじめ規程をもって定めておくこと。

(6) 理事長は、基金の業務について、理事会において決定する事項以外の事項について決定を行うものであること。

(7) 理事長の行う業務の一部を常務理事に委任することができること。この場合において、委任できる業務の範囲は、おおむね次のとおりとすること。

ア 加入員の資格の取得及び喪失に関する届書の処理に関する事項

イ 標準給与の決定に関する事項

ウ 年金たる給付及び一時金たる給付の裁定に関する事項

エ 掛金の調査決定、納入の告知及び収納に関する事項

オ 定例的な事項等軽易な内容に係る契約に関する事項

カ その他アからオに準ずる事項

(8) 理事長は、前記(7)によりその職務の一部を常務理事に委任する場合は、あらかじめ理事会の同意を得た上、文書をもってこれを行うこと。なお、解任の場合もこれと同様であること。

(9) 運用執行理事の職務の範囲は、おおむね次のとおりとすること。

ア 受託機関の選定に関する事項

イ 基本方針に関する事項

ウ 運用指針に関する事項

エ 受託機関との契約書、協定書等に関する事項

オ 資産の運用状況に関する事項

カ 監事及び行政庁による監査に関する事項

キ 理事会及び代議員会に対する運用状況及び決算に関する事項

四 職員の事務分掌等

(1) 職員の任免は、理事長がこれを行うこと。

(2) 職員は、事務長及びその他の職員の単位に、その分掌する事務を明確に区分すること。

(3) 会計事務については、複数人の役職員で分掌又は別人が確認するよう事務を定め、相互牽制を図ること。また、特定の役職員に会計事務を長期間専任させないよう分掌の変更に努めること。

(4) 毎事業年度定時又は随時に、職員に対して必要な研修を実施すること。

(5) 職員の就業規則、給与及び旅費等に関する規定をあらかじめ定めておくこと。

五 基金の事務所

(1) 基金の事務所には、その名称を表示した標札を掲げておく必要があること。

(2) 従たる事務所を設置している基金にあっては、必ずその事務所を担当する常務理事を配置する必要があること。

(3) 従たる事務所は、少なくとも月一回は主たる事務所に対し、その業務の執行状況について報告すること。

(4) 基金の事務所には、公告及び公示を行うため、掲示板を設置する必要があること。

六 文書の整理

(1) 文書の受理及び発送は、一定の帳簿を設け、これにより整理すること。

(2) 基金から厚生労働大臣又は地方厚生局長若しくは地方厚生支局長(以下「地方厚生局長等」という。)へ提出する書類には、必ず基金番号を付記すること。

(3) 公告及び公示を要する文書については、年月日及び件名等を記載した帳簿を備えて、その状況を整理しておくこと。

(4) 基金の文書については、次の基準により保存年限を定めた文書の保存に関する規定を設け、これにより確実に管理しておく必要があること。

なお、保存に当たっては、電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に係る記録媒体をいう。以下同じ。)、マイクロフィルム等による方法でも差しつかえないものであること。

区分

保存年限

文書の種類

第一種

永年

一 基金の設立に関する次の書類

基金設立認可申請書(企業年金基金(確定給付企業年金法(平成十三年法律第五〇号)第二条第四項に規定する企業年金基金をいう。以下同じ。)が厚生年金基金になることについての認可申請書を含む。)・認可書、基金原簿、規約原簿、設立事業所名簿、公示・公告簿、公印台帳簿

二 基金の合併及び分割に関する書類

三 他の基金との間の権利義務の移転承継並びに確定給付企業年金及び適格退職年金からの権利義務の承継に関する書類

四 規約の変更に関する次の書類

規約変更認可申請書・認可通知書

五 資産運用の認定に関する次の書類

認定申請書、認定通知書

六 諸規程

七 財政再計算報告書

八 加入員及び受給権者の記録に関する次の書類

加入員台帳、平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号の規定によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百四十四条の三に規定する権利義務の移転に関する書類、加入員番号払出簿、受給権者台帳、年金証書記号番号払出簿

九 代議員会及び理事会の会議録

十 基金の職員の任免に関する書類

十一 代行保険料率算定届出書

第二種

一〇年

一 基金の設立に関する書類(第一種該当の書類を除く。)

二 毎事業年度の決算に関する書類

三 会計に関する次の書類

総勘定元帳、会計伝票、支払証拠書

四 代議員会及び理事会に関する書類(第一種該当の書類を除く。)

五 加入員及び受給権者の記録に関する書類(第一種該当の書類を除く。)

六 信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会、金融機関若しくは金融商品取引業者(第一種金融商品取引業、投資助言・代理業又は投資運用業を行う者に限る。)、企業年金連合会(以下「連合会」という。)又は厚生労働大臣が指定した法人との契約に関する書類

七 争訟に関する書類

八 監査に関する書類

第三種

五年

一 毎事業年度の予算に関する書類

二 政府負担金及び国庫負担金に関する書類

三 会計に関する書類(第二種該当の書類を除く。)

四 滞納処分に関する書類

五 掛金の決定及び告知に関する書類

六 給付の裁定に関する次の書類

年金給付裁定請求書、一時金給付裁定請求書、未支給保険給付支給請求書、不支給決定決議書、給付関係諸届

七 変更計算報告書

八 職員の服務に関する書類

第四種

二年

一 第一種から第三種に該当しない書類(第五種該当の書類を除く。)

第五種

一年

一 第四種に属する書類のうち、理事会において軽易なものと認めたもの

七 諸規程の整備

(1) 基金は、次に掲げる規程を設けなければならないこと。なお、加入員又は受給権者の権利義務に関する規程を制定したとき及びこれを改廃したときは、遅滞なくこれを地方厚生局長等に届け出る必要があること。

ア 互選代議員の選挙の執行に関する規程

イ 代議員会の運営に関する規程

ウ 基金の財務及び会計に関する規程

エ 給付の請求手続き等に関する規程

オ 文書の取扱い及び保存に関する規程

カ 代議員の報酬補償及び旅費に関する規程

キ 理事の報酬補償及び旅費に関する規程

ク 基金の職員の給与及び旅費等に関する規程

ケ その他

八 認可申請及び報告

(1) 基金が厚生労働大臣又は地方厚生局長等に対し、申請、報告又は届け出るべき文書の主なものは、次のとおりであること。

区分

事項

宛先

認可申請

規約変更(公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成二十六年政令第七十四号。以下「経過措置政令」という。)第三条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされた公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成二十六年政令第七十三号。)第一条の規定による廃止前の厚生年金基金令(昭和四十一年政令第三百二十四号。以下「廃止前基金令」という。)第二条に掲げる事項を除く。)

厚生労働大臣(公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等及び経過措置に関する省令(平成二十六年厚生労働省令第二十号。以下「整備省令」という)第十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた第一条の規定による廃止前の厚生年金基金規則(昭和四十一年厚生省令第三十四号。以下「廃止前基金規則」という。)第七十八条の規定により地方厚生局長等へ権限を委任した事項以外の事項)

地方厚生局長等(整備省令第十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた廃止前基金規則第七十八条の規定により権限が委任された事項)

 

掛金及び徴収金の滞納処分

地方厚生局長等

 

合併

厚生労働大臣

 

分割

厚生労働大臣

 

解散

厚生労働大臣

 

分割により設立された基金の権利義務承継の権限

厚生労働大臣

 

権利義務の移転承継

厚生労働大臣

 

将来に向けた代行給付の停止

厚生労働大臣

承認届出

基金解散に伴う財産目録等

厚生労働大臣

清算結了に伴う決算報告書

厚生労働大臣

 

長期借入金

厚生労働大臣

 

規約変更(経過措置政令第三条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされた廃止前基金令第二条に掲げる事項)

地方厚生局長等

 

予算(基金設立、合併及び分割に係るものを除く。)

厚生労働大臣

 

業務委託

地方厚生局長等

 

信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会、金融機関若しくは金融商品取引業者(第一種金融商品取引業、投資助言・代理業又は投資運用業を行う者に限る。)、連合会又は厚生労働大臣が指定した法人との契約の謄本

地方厚生局長等

 

理事長、理事長の職務を代行する者として指定された理事又は清算人の就任、退任及び死亡

地方厚生局長等

 

加入員又は受給権者の権利義務に関する規程の制定及び改廃

地方厚生局長等

 

業務に関する報告書

厚生労働大臣

 

毎事業年度の決算に係る貸借対照表、損益計算書及び業務報告書

厚生労働大臣

 

財政再計算報告書

厚生労働大臣

 

変更計算報告書

厚生労働大臣

 

代行保険料率算定届出書

厚生労働大臣

その他

年金給付に係る政府負担金及び国庫負担金の交付申請、変更申請及び事業実績報告

厚生労働大臣

(2) 業務委託の届出は、規約変更の届出と同時に行うこと。この場合において、添付書類は重複して添付する必要はないものであること。

九 その他

(1) 基金には、その構成範囲及び役員の現況等について記載した基金原簿(別紙様式第1号)を作成し、備え付けておかなければならないこと。

(2) 規約については、その現況及び変遷を常に明確にしておかなければならないこと。

(3) 基金には、基金及び理事長に係る公印を設けるとともに、公印の管理責任者を定めること。また、その使用に当たっては、責任者自らが押印すること。

(4) 基金の預貯金口座のキャッシュカードを保有している基金は、キャッシュカードの管理責任者を定めること。その使用に当たっては、責任者又は責任者の委任を受けた者とすること。

第二 財務及び会計に関する事項

一 資産の管理

基金の資産の管理は、資産の性質に応じ適切な方法により行い、常に良好な状態にしておかなければならないこと。

(1) 基金の資産の管理の方法は、次によること。

ア 現金、預貯金の通帳又は預り証及びこれに準ずる証書は、厳重な鍵のかかる容器に保管しなければならないこと。

イ 有価証券は、銀行等に保護預けをしなければならないこと。

ウ 不動産は、登記をし、土地については、常時その境界を明らかにしておかなければならないこと。また、土地以外の不動産については、損害保険に付しておかなければならないこと。

エ その他の資産については、常に良好な状態で管理しなければならないこと。

二 契約

(1) 一般競争契約及び指名競争契約は入札の方法をもって行い、入札者に対しては、その者の提出した入札書の引換え、変更又は取消しをしてはならないこと。また、随意契約は、原則として、二人以上の者から見積書を徴さなければならないこと。

三 出納

(1) 基金の理事長は、職員のうちから出納員を任命し、取引の遂行、資産の保管及び帳簿その他の証票書類の保存に関する事務を行わせなければならないこと。

(2) 基金は、現金、有価証券及び物品の出納及び保管を厳正、確実に行い、現金については、現金出納帳に日々の出納を記録して常に現金残高を明確にし、物品については、常に良好な状態で使用することができるように管理しなければならないこと。

(3) 基金は、現金及び有価証券の収納をしたときは、領収証書を交付し、支払をしたときは、領収証書を徴さなければならないこと。

(4) 基金の支払の方法は、原則として、次によるものであること。

ア 隔地払は、銀行送金によって行うこと。

イ 概算払及び前金払は、理事長が認める場合に限ること。

四 経理

基金は、年金制度の性質上長期にわたる収支のバランスを把握することが必要であり、そのためには経理単位ごとに収支の全貌を一貫した記録によってみることが必要であること。

(1) 勘定科目の設定

基金の勘定科目は「厚生年金基金の財政運営について(平成八年六月二十七日年発第三三二一号)」により通知された厚生年金基金財政運営基準(以下「財政運営基準」という。)及び「厚生年金基金における決算事務の取扱いについて(平成八年六月二十七日年発第三三二三号)」により通知された厚生年金基金決算事務取扱基準(以下「決算事務取扱基準」という。)によること。

なお、小分類の勘定科目は、「財政運営基準及び決算事務取扱基準」によるほか、当該基金の実情に応じて必要と認められる科目を追加設定しても差し支えないこと。

(2) 会計伝票及びその記入方法

ア 基金の取引は、次に掲げる会計伝票により処理すること。

(ア) 入金伝票

(イ) 出金伝票

(ウ) 振替伝票

イ 会計伝票の起票は、取引が発生した日又はその事実を知った日に行うこととし、入金伝票及び出金伝票は、現金の収支に係る取引について起票し、振替伝票には、現金の収支を伴わない取引について起票するものであること。

ウ 会計伝票には起票年月日、勘定科目、取引の金額及び取引発生事由を記載し、事業年度ごとに経理単位別に一連の伝票番号を付するものであること。

エ 会計伝票の勘定科目には、中分類の勘定科目を記入し、摘要欄には取引発生事由とともに、当該小分類の勘定科目及びそのそれぞれの取引金額を付記すること。

オ 会計伝票の起票者と現金の出納担当者は、原則として別人とすること。

カ 会計伝票には、入出金又は振替に係る金額を確認できる書類を添付し、所定の決裁を受けること。その際、所定の最終決裁権者の決裁前に別人の決裁を経ること。

(3) 会計帳簿及びその記入方法

ア 総勘定元帳(別紙様式第6号)

(ア) 総勘定元帳には、中分類の勘定科目をもって口座を設定すること。

(イ) 総勘定元帳の記帳は、原則として毎日会計伝票によって行うこととし、摘要欄には取引事由を記載すること。

ただし、会計伝票によって日計表(別紙様式第16号)を作成する場合においては、日計表又は一月以内の一定期間ごとに集計した日計表による記帳をもって代えることができること。

イ 総勘定元帳補助簿

基金は、次に掲げる総勘定元帳補助簿を備え、毎日会計伝票によって記帳すること。

(ア) 現金出納帳(別紙様式第7号)

この帳簿には入金伝票及び出金伝票により、通貨、他人振出小切手及び郵便為替証書等通常の商業取引上金銭と同様に通用する現金の取引について記帳すること。

(イ) 預貯金出納帳(別紙様式第8号)

この帳簿には、会計伝票により、当該基金の預貯金について、その種類別、金融機関別に口座を設けて記帳すること。

(ウ) 有価証券台帳(別紙様式第11号)

この帳簿には、当該基金が保有する有価証券について、その種類ごとに口座を設けて記帳すること。

(エ) 固定資産台帳(別紙様式第12号)

この帳簿には、当該基金が所有する耐用年数一年以上かつ取得価額一〇万円以上の固定資産(器具及び備品を含む。)について、その種類ごとに口座を設けて記帳すること。

(オ) 借入金台帳(別紙様式第13号)

この帳簿には、長期借入金及び短期借入金について、その権利、借入別、借入先別に口座を設けて記帳すること。

(カ) 債権管理簿(別紙様式第14号)

この帳簿は、「総括表」及び「設立事業所別債権管理票」に区分し、「総括表」及び「総括」には、掛金等の債権の管理に関する総括事項について記帳し、「設立事業所別債権管理票」には、掛金等の債権について、その種類別、設立事業所別に口座を設けて記帳すること。

(キ) 支出実績簿(別紙様式第15号)

この帳簿には、業務経理について、小分類の勘定科目ごとに口座を設けて、会計伝票により支出の実績額を記帳するとともに、支出の実績額が認可された予算の事務費の限度額の範囲内にあることを常時把握できるように記載すること。

(ク) (ア)から(キ)までの総勘定元帳補助簿において小分類の勘定科目ごとの取引高が把握できない給付費その他の科目については、適宜補助簿を設け小分類の勘定科目ごとの取引高を記帳すること。

この場合においては、総勘定元帳の末尾に補助記入欄を設けて記帳することをもって代えることができること。

(4) 会計帳簿の残高の突合確認等

ア 会計伝票によって総勘定元帳に記帳する場合にあっては、毎日の会計伝票をとりまとめて毎月末現在において集計し、月計表(別紙様式第16号)を作成すること。

この場合においては、毎月末の月計表の残高と総勘定元帳及び総勘定元帳補助簿の残高と突合し、その正否を確認すること。

イ 日計表によって総勘定元帳に記帳する場合にあっては、毎月末の日計表(月計表)の残高と毎月末現在における総勘定元帳補助簿の残高と突合し、その正否を確認すること。

ウ 当該基金の出納員は、毎日現金出納帳の収支残高と入金伝票及び出金伝票並びに現金有高を突合確認すること。

エ 経理事務の責任者は、受託金融機関等の発行した書類(預金通帳、残高証明、取引明細等)と総勘定元帳の残高を突合確認すること。

オ 基金は、処理が完結した会計伝票、日計表、月計表及びその他の証票書類を分類し、整然と整理し又は保管すること。

五 決算

基金の決算事務は「財政運営基準及び決算事務取扱基準」に基づいて行うこと。

第三 適用に関する事項

基金の加入員の資格取得、資格喪失及び標準給与等については、年金たる給付及び一時金たる給付の額の計算の基礎として用いられることにかんがみ、その業務の執行に当たっては、確実かつ迅速に行う必要があること。

特に、加入員に関する記録の作成及び管理に関しては、その正確性と安全性について留意すること。

一 帳票

(1) 加入員の資格取得、資格喪失及び標準給与等の届出に当たっては、おおむね次に掲げる届書が必要であること。

ア 加入員資格取得届

イ 加入員資格喪失届

ウ 加入員報酬標準給与月額算定基礎届

エ 加入員報酬標準給与月額変更届

オ 加入員賞与標準給与支払届

カ 加入員氏名変更届

キ 老齢年金給付の額の算定方法を経過措置政令第三条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされた廃止前基金令第二十三条第三号の規定により定めている基金にあっては、その老齢年金給付の額の計算の基礎となる給与(以下「加算給与」という。)の届出については、前記(1)ア、イ、ウ、エの様式に準じて行うこと。

(2) 加入員の資格取得、資格喪失及び標準給与等の届出と同時に、当該基金の設立事業所を管轄する社会保険事務所へ被保険者の資格取得等の届出を行うことにかんがみ、事務の簡素化を勘案して全ての届書は、同時複写により作成して差し支えないこと。

なお、前記(1)のアからオまでに掲げる届出については、届書に記載すべき事項を記録した電磁的記録媒体を提出する方法、又はこれらの事項を電子情報処理組織(送信者の使用に係る電子計算機と、受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用する方法のうち以下のどちらかに該当するものにより提供する方法(以下「電子情報処理組織を使用する方法」という。)であっても差し支えないものであること。また、事業主の押印については、署名(自筆)の場合は要しないものであること。

ア 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法

イ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された書面により通知すべき事項を電気通信回線を通じて受信者の閲覧に供し、当該受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項を記録する方法

(3) 基金は、次に掲げる帳票を備えなければならないこと。

ア 加入員台帳(別紙様式第35号及び別紙様式第35号付表)

イ 加入員番号払出簿(別紙様式第36号)

ウ 設立事業所名簿(別紙様式第37号)

二 加入員の資格取得の取扱い

(1) 設立事業所の事業主から加入員資格取得届の提出があったときは、基金は、加入員番号払出簿により加入員番号を払い出し、加入員証(別紙様式第38号)を作成の上交付すること。

(2) 前記(1)の加入員証には、加入員番号、加入員の氏名、性別、生年月日、基金の名称及び連絡先、脱退後に必要な届出事項(住所変更及び氏名変更等)を記載するほか、原則として設立事業所単位の異動記録、中途脱退、年金たる給付及び一時金たる給付に関する事項を記載すること。

(3) 基金は、加入員資格取得届に記載された事項を確認の上、加入員台帳に当該事項を記載して作成すること。

(4) 前記(3)により作成した加入員台帳は、設立事業所ごとに区分し、加入員番号順に配列すること。

(5) 二以上の基金の設立事業所に使用される加入員が、いずれか一方の基金を選択したとき、その選択を受けた基金にあっては、当該加入員が選択しなかった基金の名称及び所在地を加入員台帳の備考欄に記載すること。

(6) 新たに基金の設立事業所となった適用事業所があるときは、当該事業所の被保険者は、同時に加入員の資格を取得することとなるので、前記(1)~(5)に準じてその処理を行うこと。

なお、この場合設立事業所名簿を作成すること。

(7) 基金が設立されたとき及び設立事業所が増加したときは、基金は当該設立事業所に使用される被保険者に係る基礎年金番号、資格取得年月日、標準報酬月額及び標準賞与額等について、当該設立事業所を管轄する社会保険事務所が備えている厚生年金保険被保険者原票と突合し、確認すること。

三 加入員の資格喪失の取扱い

(1) 設立事業所の事業主から加入員資格喪失届の提出があったときは、基金は加入員証に資格喪失年月日等を記入し、事業主を経由して当該加入員であった者に返付すること。

(2) 基金は、加入員資格喪失届に記載された事項を確認の上、加入員台帳に資格喪失年月日を記載し、当該加入員台帳の各欄に記載もれがないか等を点検の上、設立事業所ごとに区分し加入員番号順に配列して保管すること。この場合、現に加入員である者に係る加入員台帳と明確に区別する必要があること。

(3) 当該基金の規約の定めるところにより、規約で定める中途脱退者としての加入員期間を有する者であっても出向等により連合会に老齢年金給付の支給に関する義務の移転を行わない場合には、その旨資格喪失届に記載すること。

(4) 加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者については、その資格を取得した日に遡って加入員でなかったものとみなされるが、この場合資格取得の際作成した加入員台帳に資格喪失年月日を記載し、現に加入員である者に係る加入員台帳及び加入員であった者に係る加入員台帳と明確に区分し、設立事業所ごとに加入員番号順に配列して保管すること。

(5) 設立事業所が、基金の設立事業所でなくなったときは、当該設立事業所に係る加入員台帳に資格喪失年月日を記載し、前記(1)及び(2)に準じてその処理を行うこと。この場合、設立事業所名簿にもその旨を記載すること。

(6) 加入員の資格を喪失した者に係る加入員台帳のうち、当該加入員であった者が連合会に老齢年金給付の支給に関する義務を移転する者であるときは、「第六 連合会への権利義務の移転等に関する事項」に基づき、当該加入員であった者に係る加入員台帳は連合会に移換するものであること。

四 報酬標準給与及び加算給与

(1) 報酬標準給与の定時決定に当たって厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号。以下「法」という。)第二十四条第一項の規定の例により、基金が算定を行う場合は、法第二十一条第一項の規定の例により算定することが困難である場合を除き、次に掲げる場合とすること。

ア 四、五、六月の三ヵ月間において、四月分以前の給料の遅配分を受け、又は、遡った昇給によって数月分の差額を一括して受ける等通常受けるべき報酬(法第三条第一項第三号ただし書の規定の例に該当するもの以外の報酬をいう。)以外の報酬を当該期間において受けた場合

イ 四、五、六月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合

ウ 四、五、六月のいずれかの月においてストライキ等による賃金カットがあった場合

エ 当年の四、五、六月の三ヶ月間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬標準給与と、前年の七月から当年の六月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬標準給与の間に二等級以上の差を生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合

(2) 報酬標準給与の随時改定は、法第二十三条第一項の規定の例により算定した額による等級と現在の等級とを比べて二等級以上の差を生ずる場合において行うこと。この場合、二等級以上の差が昇給又は降給(固定的賃金の上昇又は下降をいい、ベースアップ又はダウンによる場合、賃金体系の変更による場合及びこれらのさかのぼり適用による差額支給を受ける場合を含み休職による休職給を受ける場合を除く。)により生じた場合において行うこと。

(3) 基金は、標準給与の決定又は改定を行ったときは、届書の余白にその旨を記載することによって、設立事業所の事業主に対する確認通知書に代えても差し支えないこと。

(4) 前記(3)による確認通知を設立事業所の事業主が受けたときは、当該加入員に対して標準給与の決定又は改定があったことを通知した旨を明らかにした文書を作成して保管するよう、基金は、設立事業所の事業主を指導すること。

(5) 基金は、掛金及び老齢年金給付の額の算定の基礎として用いられる標準給与の適正を期するため、必要に応じて、設立事業所が備えている給与台帳等により調査確認を行うこと。

(6) 加算給与についても標準給与と同様に、少なくとも毎年一回定時に決定を行うこと。

なお、定時決定を行う月以外に加算給与の基礎となる給与に大巾なベースアップ又はダウンがあった場合には、基金は、随時改定を行っても差し支えないこと。

(7) 基金は、標準給与の決定又は改定を行ったときは、確認通知書に次のア及びイを付記しなければならないこと。

ア この決定又は改定に不服がある者は、当該決定又は改定のあったことを知った日から六十日以内に社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる旨

イ この決定又は改定の取消の訴え(取消訴訟)は、アの再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後に、その裁決の送達を受けた日の翌日から六か月以内に、基金を被告として提起しなければならない旨。ただし、次の①から③までのいずれかに該当するときは、その裁決を経ないで提起することができる旨

① 再審査請求をした日から三か月を経過しても裁決がないとき。

② 決定又は改定、その執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。

③ その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

(8) 給与の全部又は一部が通貨以外のもの、すなわち住宅の供与、衣服の貸与、食事の支給及び定期券の支給等現物により支払われる設立事業所を有する基金にあっては、その現物給与の価額は、その地方の時価によって社会保険庁長官が定めた基準に準じて、算定すること。

五 事業主及び加入員に係る変更に関する取扱い

(1) 基金は、設立事業所に係る名称、所在地、事業主及び事業主代理人等について変更があったときは、変更及び変更後の事項を記載した届書により当該変更事項を届出させること。

(2) 基金は、前記(1)による届出があったときは、当該設立事業所に係る設立事業所名簿及び債権管理簿の当該記載事項について補正を行うこと。

(3) 加入員の氏名、性別、種別、生年月日、標準給与、加算給与、資格取得年月日、資格喪失年月日及び基礎年金番号等について変更又は訂正があったときは、基金は、氏名変更届により、その他の変更又は訂正にあっては政府管掌の厚生年金保険の例に準じて取り扱うものであること。

なお、加入員証の記載事項を変更又は訂正する必要がある場合は、必ず当該届書に加入員証を添付させること。

(4) 前記(3)による届出があったときは、基金は当該加入員に係る加入員証、加入員番号払出簿及び加入員台帳の補正を行うこと。

なお、補正した加入員証は、事業主を経由して当該加入員に返付すること。

六 記録

(1) 基金は、設立事業所の事業主に対する加入員の申出等に基づき、加入員の住所記録を管理・保管することとする。なお、設立事業所の事業主に住所記録を管理・保管させることとしても差し支えないが、この場合には、基金は、設立事業所の事業主の住所記録の管理・保管状況を定期的に確認すること。

(2) 加入員の資格に係る記録は、設立事業所間の異動、標準給与、種別の変更等について、その変遷を記録すること。

(3) 加入員の資格に係る記録は、記録の長期的安全性及び正確性を期するために、必ず副本を作成して保管すること。

(4) 加入員の資格に係る記録及び当該記録の保管の適正を期するために、加入員の規模が相当多数に上る基金にあっては、加入員の氏名、生年月日、加入員番号及び資格取得年月日等を記載した索引票を作成し、氏名又は生年月日順に配列保管して、加入員台帳等の整備に資すること。

(5) 加入員の育児休業による免除に係る記録は、加入員から育児休業による掛金免除の申出があった場合に、当該加入員に係る加入員台帳に、次の記載を行うこと。

ア 「年月日」欄に育児休業掛金免除開始、育児休業掛金免除満了又は育児休業掛金免除終了の年月日をそれぞれ記入すること。

イ 「異動原因」欄にそれぞれ事由ごとに「掛金免除開始」、「掛金免除満了」又は「掛金免除終了」と記入すること。

(6) 法第二十六条第一項の申出を行った加入者(以下、「育児配慮措置該当者」という。)については、当該加入員に係る加入員台帳に報酬標準給与及び加算給与の他同項に規定する従前標準報酬月額を記載すること。

(7) 離婚分割対象者(第一号改定者又は特定被保険者)は、分割改定前の対象期間の標準報酬月額及び標準賞与額を記載すること。また、標準報酬額分割改定明細(別紙様式第35号付表)についても記載すること。

(8) 加入員に関する届等を機械処理によって作成する設立事業所にあっては、事務に支障のない限り当該届等に記載する氏名はカナ文字によっても差し支えないこと。

(9) 加入員の資格に係る記録は、安全性及び正確性を期するとともに、その長期にわたって使用すること等を考慮し、必ず耐火スチールキャビネット等の容器内に保管すること。

七 その他

平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号の規定によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百二十八条の規定による加入員に関する被保険者の資格取得の確認又は標準報酬月額及び標準賞与額の決定及び改定時の通知が設立事業所の事業主からあったときは、基金は、当該加入員に係る加入員台帳に記載された事項と通知された事項を突合確認し、不突合のあった場合は、設立事業所を通じて調査し、補正すること。

第四 加入員であった者に関する事項

加入員であった者(連合会に年金給付の支給義務を移転した中途脱退者及び受給権者を除く。以下同じ。)にあっては、氏名及び住所の管理を確実に行うこと。

一 加入員であった者の管理

基金は、加入員であった者の氏名、性別、生年月日及び住所等を記載した帳簿を設け記録を管理・保管すること。

二 加入員であった者に係る変更に関する取扱い

(1) 基金は、加入員であった者に係る氏名又は住所について変更があったときは、変更前及び変更後の事項を記載した届書により当該変更事項を届出させること。

(2) 基金は、前記(1)による届出があったときは、前記一の帳簿について補正を行うこと。

三 資格喪失する者への説明

基金は直接又は事業主を通じ、資格喪失後も氏名及び住所の変更に関する届出が必要であることを説明すること。

第五 年金たる給付及び一時金たる給付に関する事項

年金たる給付及び一時金たる給付に係る業務の執行に当たっては、特に迅速かつ正確な処理に留意し、受給権者のサービスに配慮すること。

一 帳票

(1) 受給権者が基金に請求又は届け出るべき書類の種類は、おおむね次のとおりであること。

なお、年金給付支給停止事由消滅届は、基金で確認できる場合は届出を必要としないこと(ただし、本人申出による年金給付支給停止事由消滅届は除く。)。

ア 年金給付裁定請求書

イ 一時金給付裁定請求書

ウ 老齢厚生年金繰下げ届(整備省令第十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた廃止前基金規則第三十条の二に規定する届書)

エ (繰下げ・本人申出)支給停止申出書

オ (繰下げ)支給停止申出取消届

カ (本人申出)支給停止撤回申出書

キ 未支給保険給付支給請求書

ク 年金給付支給停止事由消滅届

ケ 年金給付受給権者死亡届

コ 払渡希望金融機関指定(変更)届

サ 氏名変更届

シ 住所変更届

(2) 基金には次に掲げる帳票を備えておかなければならないこと。

ア 受給権者台帳(別紙様式第39号)

イ 年金証書記号番号払出簿(別紙様式第40号)

ウ 老齢年金給付額算定計算書(別紙様式第41号)

二 裁定

(1) 老齢厚生年金又は国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三四号。以下「昭和六十年改正法」という。)による改正前の厚生年金保険法による老齢年金若しくは通算老齢年金(以下「老齢厚生年金等」という。)の受給権を取得したことにより基金の老齢年金給付を行う場合は、必ず年金給付裁定請求書に当該老齢厚生年金等の年金証書を添付させ、これにより確認すること。

(2) 裁定を行ったときは、重複支給の防止等のため、当該加入員に係る加入員台帳及び加入員証にその旨を表示しておくこと。

(3) 裁定又は支給年金額の変更を行ったときは、受給権者に対し、当該裁定の内容又は変更の内容を文書(年金給付、支給年金額変更(年金証書に年金額を記載している場合にあって、年金額が変更になった都度、年金証書を交付する場合は不要)、一時金給付及び未支給給付決定通知書(別紙様式第42号))で通知するとともに、年金たる給付に係る裁定については、年金証書(別紙様式第43号)を交付しなければならないこと。なお、この通知書には、次のア及びイを付記しておくこと。

ア この裁定又は変更に不服がある者は、当該裁定又は変更のあったことを知った日から六十日以内に社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる旨

イ この裁定又は変更の取消の訴え(取消訴訟)は、アの再審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後に、その裁決の送達を受けた日の翌日から六か月以内に、基金を被告として提起しなければならない旨。ただし、次の①から③までのいずれかに該当するときは、その裁決を経ないで提起することができる旨

① 再審査請求をした日から三か月を経過しても裁決がないとき。

② 裁定又は変更、その執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。

③ その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

(4) 昭和六十年改正法附則第八十四条第二項から第四項の規定による政府負担金の交付対象者の確認は、次によること。

ア 昭和六十年改正法附則第八十四条第三項の規定によって政府負担金の額を算定する基金にあっては、受給権者から老齢厚生年金等の年金証書を提出させ、これにより確認すること。なお、この場合、受給権者から毎年度一回は老齢厚生年金等の年金証書を提出させ、その現況を常に把握しておくこと。

イ 昭和六十年改正法附則第八十四条第四項の規定によって政府負担金の額を算定する基金にあっては、受給権者が老齢厚生年金等の受給資格要件たる期間を満たしているかどうかについて、社会保険庁等関係各保険者に被保険者期間等の照会を行い、この回答によって確認すること。なお、社会保険庁に対する照会は、次によること。

(ア) 照会のための様式等については、別途通知するものであること。

(イ) 照会は、連合会を通じて社会保険業務センターあて行うこと。

(ウ) 照会は、月一回にとりまとめて行うこと。

三 受給権者の管理

(1) 受給権者台帳及び諸異動の取扱いは、次によること。

ア 年金たる給付を裁定した場合は、必ず、当該受給権者に係る受給権者台帳を作成すること。

イ 受給権者台帳に記載すべき事項は、おおむね次のとおりであること。

(ア) 受給権者の氏名

(イ) 受給権者の生年月日

(ウ) 年金証書の番号

(エ) 年金額及びその計算基礎(標準給与の基礎となる給与の範囲が標準報酬の基礎となる給与の範囲と異なっている基金にあっては、平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号の規定によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百三十二条第二項に掲げる方法により算定された額を併記すること。)

(オ) 各支払期における支払額

(カ) 失権、支給停止事由消滅の状況

(キ) 一時金たる給付の支給の状況

(ク) 受給権者の生存に関する届書の提出の有無

(ケ) 老齢厚生年金等の受給権者であることの有無

(コ) 年金たる給付の支払金融機関

ウ 受給権者台帳は、年金証書の番号順に配列保管しておくこと。ただし、年金たる給付の種類が二以上の場合は、給付種別ごとに区分して保管することも差し支えないこと。

エ 年金証書番号は、裁定年月日順に一連番号により決定すること。

(2) 年金たる給付の受給権者の生存に関する届出は、次によること。

ア 整備省令第十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた廃止前基金規則第二十四条に規定する年金たる給付の受給権者の生存に関する書面(以下「現況届」という。)の提出は、規約において、提出すべき書面、提出の期限等を適宜に定めて行うものであること。

イ 厚生年金の支給開始前又は厚生年金が全額支給停止となっており基金からの老齢年金給付のみの者については、現況届を提出させることが望ましいものであること。

(3) 現況届の提出があったときは、受給権者台帳にその旨を表示しておくこと。また、未提出者については、速やかに提出促進及び必要に応じて調査を行うこと。

(4) 老齢年金給付の受給権者が法第四十四条の三第一項の規定による申出をした年月日については、老齢厚生年金繰下げ届に当該国民年金・厚生年金保険裁定通知書・支給額変更通知書を添付させ、これにより確認すること。

四 支払

(1) 基金が、自ら支払を行う場合においては、次によること。

ア 支払に使用する預金口座は、当座預金とし、他の目的に使用しないこと。

イ 支払の方法は次によること。

(ア) 支払は、原則として、受給権者の指定した預貯金口座への振込みにより行うこと。

(イ) 老齢厚生年金等の受給権者である受給権者については、当該老齢厚生年金等の支払金融機関と同一の金融機関において支払を行うことが望ましいので、当該受給権者の指導に留意すること。

ウ 支払の状況については、次により整理しておくこと。

(ア) 支払のつど、年金たる給付及び一時金たる給付別に、受給者ごとの支払額、支払金融機関、所得税額及び住所等を記載した一覧表を作成すること。

(イ) 事業年度終了後速やかに、当該事業年度中に支払った年金たる給付及び一時金たる給付について、受給者ごとに、各支払期において支払った金額、支払金融機関、所得税額、政府負担金の対象となった金額(代行相当額)、政府負担金の額、支払年月日等を記載した一覧表を作成すること。

(2) 業務委託に関する契約を締結している信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会又は厚生労働大臣が指定した法人に委託して支払を行う場合においては、次によること。

ア 支払業務を委託した信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会又は厚生労働大臣が指定した法人に対する支払の指図は、次によること。

(ア) 裁定をした場合は、月一回程度その内容をとりまとめて送付することにより行うこと。

(イ) 失権、支給停止及び支給停止事由消滅等の処分をしたときは、前記(ア)と同様に取り扱うこと。

イ 支払の方法については、前記(1)のイに準ずること。

ウ 支払の状況については、支払業務を委託した信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会又は厚生労働大臣が指定した法人から、次により報告を求めておくこと。

(ア) 支払のつど、年金たる給付及び一時金たる給付別に、受給者ごとの支払額、支払金融機関、所得税額等を記載した一覧表又は個表による報告

(イ) 事業年度終了後速やかに、当該事業年度中に支払った年金たる給付について、受給者ごとに、各支払期において支払った金額、所得税額、支払年月等を記載した一覧表による報告

(3) 老齢年金給付については雑所得として、脱退を事由とする一時金については退職所得として、それぞれ所得税が課せられるものであるので、基金は、当該所得の支払者としての事務があること。

(4) 年金たる給付の全額若しくは一部が支給停止されている者及び現況届が未提出のため支払が一時差止めになっている者については、常にその状況を把握し、照会等に対応できるようにしておくこと。

五 記録

(1) 年金たる給付及び一時金たる給付に関する記録は、受給権者台帳に記載して行うこと。

なお、年金たる給付及び一時金たる給付に関する記録は、必ず副本を作成し、保管する必要があること。

第六 掛金に関する事項

一 帳票

(1) 基金の掛金及び徴収金たる債権(以下「掛金等債権」という。)に関する帳票の記載等は、掛金等債権の発生その他帳票の目的に従い、遅滞なく正確かつ適正に行うものであること。

(2) 掛金等債権に関する帳票は、常にその状況を把握できるように処理しておくこと。

(3) 掛金等債権に関する帳票で保存を要するものにあっては、それぞれの保存年限に従い適切に保存整理すること。

(4) 掛金等債権に関する帳票は、次に掲げるものによること。

ア 掛金等債権に関する補助簿(以下「債権管理簿」という。)(別紙様式第14号)

イ 報酬標準給与月額別加入員数及び掛金等増減計算書(別紙様式第44号)

ウ 納入告知書(別紙様式第45号)

エ 株式受領書(別紙様式第45の2号)

オ 督促状(別紙様式第46号)

(5) 前記(4)に掲げる帳票のほか、掛金等債権の管理に当たっては、おおむね次に掲げる帳票を必要とするものであること。

ア 掛金等債権調査確認並びに調査決定決議書

イ 掛金等債権消滅決定決議書

ウ 掛金等債権滞納処分依頼書

二 調査決定

(1) 各月に発する掛金等債権は、当該月末現在における加入員の現況に基づいて、遅くとも翌月十五日までに調査し、確認すること。

(2) 毎年九月一日現在における加入員を基準として、基準掛金等債権を把握し、各月中における加入員の資格の取得及び喪失によって当該月分につき掛金等債権の増減計算を行うこと。

なお、加算給与の算定に用いられる加算給与の適用を報酬標準給与と異なる取扱いとする場合にあっては、当該異なる月の初日現在における加入員を基準として前段と同様の処理を行うこと。

(3) 掛金等債権は、次に掲げる事項について調査確認及び調査決定を行うこと。

ア 債権者の住所及び氏名

イ 債権金額

ウ 履行期限

エ 発生の原因

オ 発生年度

カ 債権の種類

キ 延滞金に関する事項

ク 納付場所

ケ 勘定科目

(4) 調査確認及び調査決定の手続は「掛金等債権調査確認及び調査決定決議書」によること。

(5) 掛金等債権額は、前記(4)による手続を経て債権管理簿に記載すること。

(6) 掛金等債権の調査確認及び調査決定を定期に行う場合のほか、設立事業所の増加等によって随時に掛金等債権の調査確認及び調査決定を行うものであること。

(7) 調査確認及び調査決定を行った債権であって設立事業所の離脱、消滅等により、当該債権額を取り消す必要がある場合にあっては、その全部又は一部の取消を適正に行うものであること。

(8) 納入告知書を発付した後において、告知した債権額について更正する必要が生じた場合には、その処理は適正に行うこと。

三 納入の告知

(1) 前記二により調査確認及び調査決定を行った掛金等債権の履行の請求は、納入告知書をもって行うこと。

(2) 納入告知は、債務者ごとに行うこと。ただし、債務者が同一人であって、かつ、二以上の設立事業所の事業主である場合には、当該設立事業所単位の債権額を記載した内訳書を添付した一枚の納入告知書をもって行うことができること。

(3) 納入告知書は、遅くとも当該月の二十日までに発付すること。

(4) 納入告知書を発付した後において、債務者が当該納入告知書を紛失したことにより再交付の請求があったときは、当該債権についての調査確認並びに調査決定決議書に基づき確認の上、納付書を作成し交付すること。

なお、この場合において、納付書の発行状況を明確にしておくこと。

(5) 掛金等債権の履行期限は、当該債権の発生の月の翌月の末日とすること。

なお、当日が日曜日又は休祭日であるときは、その翌日とすること。

(6) 掛金等債権の履行期限前であっても、債務者が平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号の規定によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百四十一条において準用する法第八十五条に該当するときは、当該期限前であっても、これを徴収することができること。

(7) 前記(6)により、繰り上げ徴収を行うときは、履行期限を繰り上げる旨及びその理由を明らかにした納付書を作成し、債務者に交付すること。

(8) 納付場所は、当該基金の取引について契約を締結している銀行等によることができること。

四 督促

(1) 掛金等債権の全部又は一部について履行期限を経過しても、なお履行されていない場合には、督促期限を定めて督促を行うこと。

(2) 督促は、掛金等債権の履行期限を十日経過した時点を基準として行うこと。

なお、督促状に記載する指定履行期限は、原則として督促状を発付する日から起算して十日以上を経過した日とすること。

(3) 基金は、督促を行ったときは、その旨を明らかにした書類を作成し、債権管理簿に督促を行った旨の記載をすること。

五 延滞金の調査決定及び納入の告知

(1) 基金は、前記四による督促を行い、掛金等債権が督促状に指定した履行期限を経過した後、履行された場合においては、当該債権についての二の(3)の例により延滞金の調査確認及び調査決定を行うこと。ただし、督促状に記載された指定履行期限までに当該債権が履行された場合にあっては、延滞金を徴収しないものであること。

(2) 延滞金の調査決定は、掛金等債権額百円につき年一四・六%(納期限の翌日から三月を経過するまでの期間については、年七・三%。ただし、各年の特例基準割合(各年の前年の十一月三十日を経過する時における日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第十五条第一項第一号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年四%の割合を加算した割合をいう。以下同じ。)が年七・三%に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合(当該特例基準割合に〇・一%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。))の割合で、履行期限の翌日から、当該債権完納又は財産差押の日の前日までの日数をその計算の基礎とするものであること。

(3) 掛金等債権額の一部が履行された場合にあっては、その履行された日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる掛金等債権額は、当該履行された掛金等債権額を控除した金額をもって計算すること。

(4) 延滞金の計算に当たっては、掛金等債権額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てるものであること。また、延滞金の金額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てるものであること。

(5) 前記(1)から(4)により、延滞金の調査確認及び調査決定を行ったときは、債権者に対し当該延滞金に係る納入告知書を発付すること。

(6) 基金は、債務者に対し納入の告知をしたときは、当該債権の調査確認及び調査決定に基づき、債権管理簿に当該債権額等を明確に記載すること。なお、その他の取扱いについては、掛金等債権に準じて行うものであること。

六 滞納処分

(1) 平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百四十一条第三項の規定により滞納処分をしようとするときは、掛金等債権に係る滞納処分認可申請書を、当該基金を管轄している地方厚生局長等に提出し、その認可を受けた後これを行うことができること。なお、認可申請書には、平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百四十一条第三項に該当することを証するに足る書面を添付すること。

(2) 滞納処分依頼又は滞納処分を行うときは、その処理の経過を明らかにした帳票を備えなければならないこと。

(3) 前各号のほか、滞納処分に関しての取扱いは、政府管掌の例に準じて行うこと。

七 不納欠損

(1) 前記六によって滞納処分を執行しても、弁済するための金銭、財産等が全くなく財産差押えもできない状態にあるものと認められる場合には、二年間の消滅期間の時効を待って、不納欠損を行うことができること。

(2) 不納欠損を行おうとする基金にあっては、当該債務者の弁済能力、財産の所有状況等を詳細に調査し、滞納処分票にその経過を記載して所定の決裁を受け、常に当該債務者の状況を把握しておくこと。

(3) 不納欠損の手続は、時効完成により消滅することとなる債権金額、当該債権の発生年月、当該債務者の住所氏名又は名称、当該債権の発生から消滅に至るまでの処分の経過等を記載した書類を作成し、証拠書(滞納処分票、調査書等)を添付して、所定の決裁を受けることにより行うこと。

(4) 不納欠損処分は、総合設立等の多数の企業が共同して設立している基金において、企業倒産等があった場合に生じる事務取扱いとする。

八 上場株式による掛金の徴収

(1) 規約の措置

基金の掛金のうち、特別掛金及び特例掛金の全部又は一部を金銭に代えて株式によりその徴収を行おうとする基金は、当該基金の規約に「平成二十五年改正法附則第五条第一項第一号によりなおその効力を有するものとされた改正前厚年法第百三十九条第四項の規定により、特別掛金及び特例掛金として、金銭に代えて上場株式により徴収することができる。」旨の規定を設けること。

(2) 規約変更の認可申請

特別掛金及び特例掛金として、株式による徴収を行おうとする基金は、規約変更の認可申請書に、株式による掛金の納付に係る個別銘柄、数量等に関する設立事業所が策定した全体計画(以下「全体計画」という。)についての内容が記載されている書類を別紙様式第45の2号を参考に作成して添付し、原則変更日の一月前までに地方厚生局長等に提出すること。

(3) 実施月における事務処理

① 株式による納付の申出

基金は、全体計画に基づき、設立事業所から実施月における株式の銘柄、株式数について申請を受け、

ア 全体計画に沿ったものであるか

イ 基金の資産総額に対する割合(五%)及び発行済み株式総数に対する割合(五%)を超えていないか

ウ 株式の価額の合計額が納入告知額を超えていないか

を確認するとともに、当該内容について速やかに受託機関へ連絡すること。

なお、申請内容が全体計画と大幅な変更が生じている場合は、改めて理事会の同意を必要とすること。

② 受渡日(徴収日)及び価額評価日

基金は、株式による納付がされるごとに、設立事業所及び受託機関と協議の上、株式の受渡日を決定するとともに、株式に係る価額評価をする日について事務処理を勘案した上で、当該受渡日の前二日間のうちいずれかの日を定めること。

また、複数の株式が納付される場合、受渡日及び価額評価日については、個別株式ごとに定めるのではなく、全株式において同一日とすること。

③ 徴収日前日又は前前日の事務処理

基金は、株式の価額評価について定めた日の終値により当該株式に係る価額評価を行い、全体の評価額について設立事業所及び受託機関へ速やかに連絡すること。

④ 徴収日当日の事務処理