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○厚生年金基金の加入員である被保険者の資格の得喪等に関する取扱いについて
(昭和四一年一二月五日)
(年企発第四二号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企画・社会保険庁年金保険部厚生年金保険課長連名通知)
標記については、すでに厚生事務次官、厚生省年金局長及び社会保険庁年金保険部長から通達のあったところであるが、その事務手続については、次の事項を御了知のうえ、遺憾のないよう取り扱われたい。
第一 厚生年金基金の加入員の資格の得喪について事業主等が基金に対して行なう手続は、おおむね厚生年金保険の被保険者についての手続の例に準じ行なわれるものであるが、加入員が二以上の基金の設立事業所又は設立事業所と設立事業所以外の適用事業所に使用されている場合には、いずれの基金を保険者として選択すべきか、又は基金の加入員となるかどうかの選択問題を生じ、その手続が複雑となるので、特に次の諸点に留意して指導されたいこと。
1 手続の基本的しくみについて
(1) 被保険者が同時に設立事業所を含む二以上の適用事業所に使用される場合には、被保険者は、任意に選択する一の基金の加入員となり、又は加入員とならないことができるものであること。
なお、基金の加入員とならない場合には、基金に対してその旨の申出を行なうものであり、一の基金を選択しようとする場合には、その加入しようとする基金に対し、当該基金を選択する旨の届出を行なうものであること。
(2) 当該被保険者の保険者となった基金は、以後、その者を使用する当該基金の設立事業所の事業主からは掛金を、その他の適用事業所の事業主からは掛金に代るべき徴収金を徴収することとなるものであること。なお、徴収金を負担することとなる事業主は、当該加入員について徴収金に関係する諸手続のみを行ない、当該加入員の資格の得喪、氏名変更等に関する諸手続はすべて設立事業所の事業主がこれを行なうものであること。
基金の加入員をならない旨の申出を行なった被保険者についての取扱いは、設立事業所を含まない二以上の適用事業所に使用される被保険者の取扱いと同一であること。
(3) 加入している基金の設立事業所に使用されなくなつたことにより当該基金との保険関係が終了した場合には、被保険者は、他の一の基金の加入員となるか、又は基金の加入員とならないこととなるが、被保険者はその旨が明らかにされる届書を関係基金あて提出するものであること。
2 個別的取扱いについて
(1) 加入員が二以上の設立事業所に使用されている場合であつて、その設立事業所の属する基金が異なる場合
ア 加入員は、厚生年金基金規則(昭和四一年九月二七日厚生省令第三四号)(以下「基金規則」という。)第七条の規定により、それぞれの基金に二以上の適用事業所に使用されている旨を届け出るものであるが、これにあわせ選択しようとする基金に対しては、厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号)(以下「法」という。)第一六二条第二項に基づき、保険者として選択する旨を届け出るものであること。
イ アの届け出により、加入員から保険者として選択を受けた基金は、当該加入員を使用する、当該基金の設立事業所以外の適用事業所の事業主に対し、すみやかに、当該加入員が当該基金を選択した旨を基金規則第五七条の規定に基づき通知するものであること。
ウ イの通知を受けた事業主は、以後、当該加入員に係る徴収金の負担及び納入を行なうこととなるので、基金規則第一四条の規定に基づき、当該通知に係る加入員の標準給与の基礎となる給与の月額を当該基金に届け出るものであること。
なお、当該事業主は、以後当該加入員に関し、基金規則第一五条、第一六条、第一七条、第一八条及び第一九条の届出を当該加入員に係る基金に提出するものであること。
(2) 加入員が使用されている二以上の事業所がすべて同一基金の設立事業所である場合
基金は、基金規則第七条の規定により加入員から二以上の設立事業所に使用されている旨の届け出があつたときは、基金規則第一二条の規定により当該二以上の設立事業所の事業主から提出されている当該加入員に係る資格取得届を整理し、当該加入員が二以上の基金の加入員として取り扱われることのないよう留意されたいこと。
(3) 被保険者が使用されている二以上の事業所の一が設立事業所以外の事業所である場合であつて、その者が法第一二七条第一項に規定する基金の加入員とならない旨の申出を行なわない場合
基金は、基金規則第五八条の規定に基づき、当該加入員を使用する設立事業所以外の適用事業所の事業主に、すみやかに、当該使用されている者が基金の加入員となつた旨を通知するものであり、この通知を受けた事業主は、以後当該加入員に係る徴収金の負担及び納入を行なうこととなるので、(1)ウと同様の手続を行なうものであること。
(4) 被保険者が使用されている二以上の事業所の一が設立事業所以外の事業所である場合であつて、当該被保険者が法第一二七条第一項に規定する基金の加入員とならない旨の申出を行なう場合
申出を受けた基金は、基金規則第五八条の規定により、当該被保険者を使用する当該基金の設立事業所の事業主に対し、すみやかに、当該被保険者が申出を行なつた旨を通知するものであり、通知を受けた事業主は、以後当該被保険者に関しては、厚生年金保険法施行規則(昭和二九年厚生省令第三七号。以下「規則」という。)の定めるところにより政府管掌の諸手続を行なうことをもつて足りること。
(5) 同時に二以上の基金の設立事業所に使用されていた加入員が、選択した基金の設立事業所に使用されなくなつた場合
加入員は、基金規則第九条の規定に基づき、選択していなかつた基金に対し、従前の基金の加入員の資格を喪失した旨の届出を行なうものであり、この届出を受けた基金は、基金規則第六〇条の規定に基づき、当該届出を行なつた者を使用する設立事業所の事業主に対し、その旨を通知するものであること。
(6) 同時に二以上の適用事業所に使用されていた基金の加入員が当該基金の設立事業所以外の事業所に使用されなくなつた場合
加入員は、基金規則第八条の規定に基づき、当該加入員に係る基金に対し、使用されなくなつた旨の届出を行なうものであり、以後当該基金と当該被保険者が使用されなくなつた事業所との負担金の徴収及び納付の関係が消滅するものであること。
3 二以上の事業所に使用される加入員である被保険者の資格得喪に関する政府管掌厚生年金保険事務の処理について
昭和四一年一〇月二四日付け庁保険発第一五号社会保険庁年金保険部長通知のとおり、設立事業所を含む二以上の事業所に使用されている者は、 (1) 都道府県知事の選択の届出の際における勤務事業所に係る基金の名称の届出又は (2) 法第一二六条に基づく選択を行ない、若しくは法第一二七条に基づく基金の加入員とならない旨の申出を行なわなかつた場合における基金の名称の届出又は基金の加入員とならない旨の申出を行なつた場合におけるその旨の届出を行なうものであること。
したがつて、2により行なわれる手続と3により行なわれる手続とにそごを来たさないよう指導されたいこと。
第二 加入員である被保険者の資格得喪等に関する諸手続は第一、二及び三にもみられるように政府管掌側及び基金側の手続が併行して行なわれるものであるので、特に次の取扱いによることとして被保険者の権利の保護及び事業主の事務の便宜に資することとしたこと。
1 加入員資格取得届提出の際の内容確認
基金設立当初において設立事業所の事業主が一括して提出する基金規則第一二条の加入員資格取得届については、その記載内容が社会保険事務所に備えつけてある被保険者原票(被保険者名簿)とそごを生じないようにするためあらかじめ照合する等によつて確認するよう特に指導されたいこと。
2 都道府県知事に提出する届書の様式と基金に提出する届書の相互利用
設立事業所の事業主が規則第一五条の規定に基づき都道府県知事に提出する被保険者資格取得届と基金規則第一二条の規定に基づき基金に提出する加入員資格取得届とは、記載事項に共通の事項が多いため、そのそごを防止するとともに事業主の業務負担の軽減を図る見地から、共通の記載事項については、適宜複写によつて記載することとして差し支えないこと。
また、被保険者資格喪失届、報酬月額算定基礎届及び報酬月額変更届等についても、同様の取扱いをされたいこと。
3 加入員が同一基金内の設立事業所を移動する場合の資格の得喪の手続については、政府管掌のそれと一致するものであるので、両者の手続をあわせ、事務手続が正確に行なわれるよう留意されたいこと。