添付一覧
○国民年金法等の一部を改正する法律等による改正後の国民年金法等の施行について(抄)
(平成元年一二月二二日)
(庁保発第二三号)
(各都道府県知事あて社会保険庁運営部長通知)
国民年金法等の一部を改正する法律は、平成元年一二月二二日法律第八六号(以下「平成元年改正法」という。)として公布され、これに伴い、国民年金法施行令の一部を改正する等の政令(平成元年政令第三三六号。以下「平成元年改正政令」という。)、国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成元年政令第三三七号。以下「平成元年経過措置政令」という。)、国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成元年厚生省令第四九号。以下「改正省令」という。)及び平成元年における老齢福祉年金の額の改定に伴う老齢福祉年金の支給に関する特例を定める省令(平成元年厚生省令第五○号。以下「特例省令」という。)が平成元年一二月二二日をもつてそれぞれ公布され、併せて国民年金の保険料を前納する場合の期間及び納付すべき額を定める件(平成元年社会保険庁告示第一○号。以下「前納告示第一○号」という。)及び厚生年金保険の第四種被保険者の保険料を前納する場合の期間及び納付すべき額を定める等の件(平成元年社会保険庁告示第一一号。以下「前納告示第一一号」という。)が同日をもつて公布された。
この実施にあたつては、厚生事務次官通知(平成元年一二月二二日厚生省発年第六九号)によるほか、次の事項に留意し遺憾のないよう取り扱われたい。
なお、今回の改正の内容について正しい理解が得られるよう、被保険者及び年金受給権者等に対して広報・相談業務をさらに積極的に推進されたい。
おつて、この通達においては、平成元年改正法による改正後の国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)を「国年法」と、厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号)を「厚年法」と、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六○年法律第三四号。以下「法律第三四号」という。)による改正前の国民年金法を「旧国年法」と、厚生年金保険法を「旧厚年法」と、船員保険法(昭和一四年法律第七三号)を「旧船保法」と、船員保険法の一部を改正する法律(昭和三七年法律第五八号)を「昭和三七年船保改正法」と、平成元年改正政令及び平成元年経過措置政令による改正後の国民年金法施行令(昭和三四年政令第一八四号)を「国年施行令」と、厚生年金保険法施行令(昭和二九年政令第一一○号)を「厚年施行令」と、国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(昭和六一年政令第五四号)を「政令第五四号」と、改正省令による改正後の国民年金法施行規則(昭和三五年厚生省令第一二号)を「国年規則」と、厚生年金保険法施行規則(昭和二九年厚生省令第三七号)を「厚年規則」と、それぞれ略称する。
なお、改正法の実施に伴う事務処理の細目については、別途通知する予定である。
第一 共通事項
一 年金額の完全自動物価スライド制の導入
国民年金及び厚生年金保険の年金の額の改定に当たつては、総務庁が作成する全国消費者物価指数が前年の物価指数を超え、又は下るに至つたときは、その上昇し、又は低下した比率を基準として、政令により、その翌年の四月以降の年金の額(国民年金については、付加年金部分を除く。)を改定する完全自動物価スライド制が導入されることとされたこと(国年法第一六条の二、厚年法第三四条、法律第三四号第三二条第三項、第七八条第三項及び第八七条第四項)。
二 年金の支払回数の改善
老齢基礎年金等の支払期月を毎年二月、四月、六月、八月、一○月及び一二月の年六回支払とすることとされたこと。
なお、平成二年四月は支払期月が年六回支払に改正される初めての支払期月であるので、受給者等に年六回支払を周知されたい(国年法第一八条第三項、厚年法第三六条第三項、法律第三四号第三二条第四項、第七八条第四項及び第八七条第五項)。
三 障害基礎年金等の額の改定
(一) 国民年金
障害基礎年金又は旧国年法による障害年金の受給権者にさらに障害等級に該当しない程度の障害(以下「その他障害」という。)が発生し、その他障害を併合した障害の程度が従前の障害の程度よりも増進したときは、当該受給権者の請求により、併合後の障害の状態の程度が上位の障害等級に該当する場合にあっては、障害基礎年金又は障害年金の額の改定を行うこととされたこと(国年法第三四条第四項、第三六条第二項、国年規則第三三条の二、第三五条の二)。
(二) 厚生年金保険
障害厚生年金又は旧厚年法若しくは旧船保法による障害年金の受給権者(障害基礎年金又はこれに相当する障害年金に限る。)にさらに障害等級が一級又は二級に該当しない程度の障害(以下「その他障害」という。)が発生し、その他障害を併合した障害の程度が従前の障害の程度よりも増進したときは、当該受給権者の請求により、併合後の障害の状態の程度が上位の障害等級に該当する場合にあつては、障害厚生年金又は障害年金の額の改定を行うこととされたこと(厚年法第五○条の二第四項、第五四条第二項、厚年規則第四七条の二、第五○条の二)。
第二 国民年金関係
一 学生に係る国民年金の適用
日本国内に住所を有する二○歳以上六○歳未満の者であって大学、専修学校の学生等である者については、国民年金の第一号被保険者として、任意加入から強制加入に改められ、平成三年四月一日から施行されることとされたこと(国年法第七条第一項、第八条、第九条、国年法附則第五条第一項及び第六項)。
なお、学生の適用等に係る諸届出に関する施行規則等については、おって施行される予定である。
二 給付に関する事項
(一) 年金額の引上げ
(1) 老齢基礎年金等の額について
平成元年四月に遡及して、老齢基礎年金、障害等級が二級の障害基礎年金及び遺族基礎年金の額を六二七、二○○円から六六六、○○○円に引き上げることとされたこと(国年法第二七条、第三三条第一項及び第三八条)。
(2) 加算額について
平成元年四月に遡及して、障害基礎年金及び遺族基礎年金の子に係る加算額を、第一子・第二子は一八八、一○○円から一九二、○○○円に、第三子以降は六二、七○○円から六四、○○○円に引き上げることとされたこと(国年法第三三条の二第一項、第三九条第一項及び第三九条の二第一項)。
(二) 公的年金との併給限度額について
国年法第三○条の四、法律第三四号附則第二三条第二項並びに同法附則第二五条第一項及び第二項の規定による障害基礎年金、法律第三四号附則第二八条第一項の規定による遺族基礎年金並びに老齢福祉年金に係る公的年金との併給限度額を五七六、○○○円から五八七、○○○円に引き上げることとされたこと(国年施行令第五条の二、政令第五四号第五二条の二)。
(三) 特別一時金について
障害年金等の受給者であって、その受給権を有した後、昭和六一年三月三一日までに保険料納付済期間を有する場合に支給される特別一時金の額について、保険料納付済期間に応じ二四、○○○円から六○○、○○○円を二四、三○○円から六○七、五○○円に各々引き上げることとされたこと(国年施行令第一三六条第一項)。
三 保険料の額の改定に関する事項
(一) 保険料の額の引上げ
保険料の額が平成二年四月分から八、四○○円に引き上げられ、さらに平成三年四月以降においても毎年度四○○円ずつ引き上げられることとされたこと(国年法第八七条第四項)。
なお、国年法第一六条の二の規定により年金たる給付の額の改定の措置が講ぜられたときは、その率に比例して、保険料の額の改定が行われることされたこと(平成元年改正法附則第五条)。
(二) 保険料の前納
平成二年度の保険料の額が確定したことに伴い、保険料を前納することができる期間を平成三年三月までとし、当該期間における前納すべき額が定められたこと(前納告示第一○号)。
なお、前納告示により保険料を前納した者が、当該前納期間中に被保険者でなくなった場合における還付額の決定に当たっては、別紙「還付表」を参考とすること。
四 旧国民年金法による年金に関する事項
(一) 老齢年金等の額の引上げ
平成元年四月に遡及して、老齢年金、通算老齢年金及び寡婦年金の額の算出に係る基礎単価が二、一三三円に引き上げられたこと。
また、老齢年金の最高限度額を六二七、二○○円から六六六、○○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号第三二条第二項)。
(二) 障害年金等の額の引上げ
平成元年四月に遡及して、障害の等級が二級の障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金の額を六二七、二○○円から六六六、○○○円に、また、五年年金の額を三三一、八○○円から三四四、四○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号第三二条第二項)。
(三) 加算額の引上げ
平成元年四月に遡及して、障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金の加算額を、第一子・第二子は一八八、一○○円から一九二、○○○円に、第三子は六二、七○○円から六四、○○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号第三二条第二項)。
(四) 老齢年金の額の特例について
平成元年四月に遡及して、旧国年法第七七条又は第七八条の規定により、同法別表に定める程度の障害の状態にある六五歳以上七○歳未満の者に支給される老齢年金又は七○歳以上の者に支給される老齢年金の最低保証額を、老齢福祉年金の額の引き上げに準じて、三四○、八○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号第三二条第二項)。
(五) 老齢福祉年金に関する事項
(1) 平成元年四月に遡及して、老齢福祉年金の額を三三○、○○○円から三四○、八○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号第三二条第二項)。
別紙
(2) 平成元年四月に遡及して、老齢福祉年金の受給権者の扶養義務者の所得により、老齢福祉年金の一部を停止する場合の額が、四○、二○○円から四七、四○○円に引き上げることとされたこと(政令第五四号第五二条の二)。
(3) 平成元年四月以降にかかる改定後の老齢福祉年金の支払については、国民年金特別証書により支払うこととされたこと(特例省令)。
(六) その他
付加年金の額については、従来通りの額とされたこと。
大正一五年四月二日から昭和二年四月一日までの間に生まれた者 |
一・八七五 |
昭和二年四月二日から昭和三年四月一日までの間に生まれた者 |
一・八一七 |
昭和三年四月二日から昭和四年四月一日までの間に生まれた者 |
一・七六一 |
昭和四年四月二日から昭和五年四月一日までの間に生まれた者 |
一・七〇七 |
昭和五年四月二日から昭和六年四月一日までの間に生まれた者 |
一・六五四 |
昭和六年四月二日から昭和七年四月一日までの間に生まれた者 |
一・六〇三 |
昭和七年四月二日から昭和八年四月一日までの間に生まれた者 |
一・五五三 |
昭和八年四月二日から昭和九年四月一日までの間に生まれた者 |
一・五〇五 |
昭和九年四月二日から昭和十年四月一日までの間に生まれた者 |
一・四五八 |
昭和十年四月二日から昭和十一年四月一日までの間に生まれた者 |
一・四一三 |
昭和十一年四月二日から昭和十二年四月一日までの間に生まれた者 |
一・三六九 |
昭和十二年四月二日から昭和十三年四月一日までの間に生まれた者 |
一・三二七 |
昭和十三年四月二日から昭和十四年四月一日までの間に生まれた者 |
一・二八六 |
昭和十四年四月二日から昭和十五年四月一日までの間に生まれた者 |
一・二四六 |
昭和十五年四月二日から昭和十六年四月一日までの間に生まれた者 |
一・二〇八 |
昭和十六年四月二日から昭和十七年四月一日までの間に生まれた者 |
一・一七〇 |
昭和十七年四月二日から昭和十八年四月一日までの間に生まれた者 |
一・一三四 |
昭和十八年四月二日から昭和十九年四月一日までの間に生まれた者 |
一・〇九九 |
昭和十九年四月二日から昭和二十年四月一日までの間に生まれた者 |
一・〇六五 |
昭和二十年四月二日から昭和二十一年四月一日までの間に生まれた者 |
一・〇三二 |
第三 厚生年金保険関係
一 標準報酬等級の上下限の改定に関する事項
(一) 標準報酬等級の上下限が引き上げられたことに伴い、平成元年一二月一日前に厚生年金保険の被保険者(船員であるものも含む。)の資格を取得して、同日までに引き続き被保険者である者のうち、同年同月の標準報酬月額が七六、○○○円以下であるもの又は四七○、○○○円であるもの(その基礎となつた報酬月額が四八五、○○○円未満の者を除く。)の標準報酬は、その標準報酬月額の基礎となつた報酬月額を厚年法第二○条の規定による標準報酬の基礎となる報酬月額とみなして、都道府県知事が改定すること。高齢任意加入被保険者については同様とするが、第四種被保険者及び船員任意継続被保険者については、この限りでないこと(平成元年改正法附則第九条第一項)。
(二) 前記(一)により改定された標準報酬月額は、平成元年一二月から平成二年九月までの各月の標準報酬月額とすること(平成元年改正法附則第九条第二項)。
(三) 標準報酬月額が七六、○○○円以下である第四種被保険者及び船員任意継続被保険者の平成二年一月以後の標準報酬月額は、法律第三四号附則第五○条第一項により、なおその効力を有するものとされた旧厚年法第二六条において、最後の標準報酬月額によることとされている規定にかかわらず八○、○○○円とするものであること(平成元年改正法附則第九条第三項)。
(四) 前記(一)により標準報酬月額の改定を行つたときは、その旨を事業主(船舶所有者)に通知すること。また、被保険者に対しては、事業主(船舶所有者)から改定の通知を行うよう指導すること。
二 保険料率の改正に関する事項
(一) 第一種被保険者の保険料率は、平成二年一月から一○○○分の一四三に改められたこと(平成元年改正法附則第一○条第一項)。
(二) 第二種被保険者の保険料率は、平成二年一月から一○○○分の一三八に改められたこと(平成元年改正法附則第一○条第二項)。
(三) 第三種被保険者の保険料率は、平成二年一月から一○○○分の一六一に改められたこと(平成元年改正法附則第一○条第三項)。
(四) 第四種被保険者の保険料率は、平成二年二月から一○○○分の一四三に改められたこと(平成元年改正法附則第一○条第一項及び第四項)。
(五) 船員任意継続被保険者の保険料率は、平成二年二月から一○○○分の一六一に改められたこと(平成元年改正法附則第一○条第三項及び第五項)。
(六) 今回の保険料率は、平成二年一二月まで適用され、平成三年一月一日に再度保険料率が引き上げられること(平成元年改正法附則第一○条第一項、第二項及び第三項)。
なお、第二種被保険者に係る保険料率は、平成四年以降も第一種被保険者の保険料率と等しくなるまで毎年引き上げられることとされたこと(平成元年改正法附則第一○条第二項)。
三 保険給付に関する事項
(一) 年金額の引上げ
(1) 標準報酬の再評価率及び平均標準報酬月額の最低保障額が次のように定められたこと。
ア 平成元年三月以前の厚生年金保険の被保険者期間又は昭和六一年三月以前の旧船員保険の被保険者期間に係る平均標準報酬月額を計算する場合の再評価率が定められたこと(平成元年経過措置政令第五条、第六条、第七条)。
イ 平成元年四月一日前に厚生年金保険の被保険者(船員保険の被保険者を含む。)であつた者の、改正後の再評価率を乗じて計算した後の平均標準報酬月額が五七、四○九円に満たないときは、五七、四○九円とすることとされたこと(平成元年経過措置政令第八条)。
(2) 厚生年金保険法による年金たる保険給付(旧厚生年金法及び旧船員保険法による年金たる給付を含む。)について、平成元年四月一日前における加給金等を除いた額が、同日以後の加給金等を除いた額より高い場合には、従前の額とすること(平成元年経過措置政令第四条、第一二条、第一六条)。
(3) 加給年金の額の引上げについて
平成元年四月に遡及して、特別支給の老齢厚生年金の配偶者及び子に係る加給年金の額並びに障害厚生年金の配偶者に係る加給年金の額を、配偶者及び第一子・第二子は一八八、一○○円から一九二、○○○円に、第三子以降は六二、七○○円から六四、○○○円に引き上げることとされたこと(厚年法第四四条第二項、第五○条の二第二項)。
(4) 加給年金額の特別加算について
平成元年四月に遡及して、特別支給の老齢厚生年金に係る加給年金額の特別加算額を二五、一○○円から二八、二○○円に、五○、一○○円から五六、四○○円に、七五、二○○円から八四、六○○円に、一○○、三○○円から一一二、八○○円に、一二五、五○○円から一四一、○○○円にそれぞれ引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第六○条第二項)。
(5) 障害厚生年金等の最低保障額について
平成元年四月に遡及して、障害等級が三級の障害厚生年金の最低保障額を四七○、四○○円から四九九、五○○円に、平成元年改正法施行の日より障害手当金の最低保障額を九三四、二○○円から九九九、○○○円にそれぞれ引き上げることとされたこと(厚年法第五○条第三項、第五七条)。
(6) 中高齢寡婦加算額について
平成元年四月に遡及して、中高齢寡婦加算額を四七○、四○○円から四九九、五○○円に引き上げることとされたこと(厚年法第六二条第一項)。
(7) 特別支給の老齢厚生年金の年金額等について
平成元年四月に遡及して、特別支給の老齢厚生年金の年金額及び経過的加算額の計算に用いる定額単価が一、三八八円とされ、定額単価に対する生年月日別の乗率が別紙のとおり変更されたこと(厚年法附則第九条第一項、法律第三四号附則第五九条)。
(二) 在職中の特別支給の老齢厚生年金の改善について
(1) 特別支給の在職老齢厚生年金の支給を受けることができる者の標準報酬月額の限度額が二○○、○○○円(第一九級)から二二○、○○○円(第一七級)とされたこと(厚年施行令第七条)。
(2) 特別支給の在職老齢厚生年金の標準報酬等級区分が二○○、○○○円(第一九級)を限度額とする三段階から二二○、○○○円(第一七級)を限度額とする七段階に変更され、当該区分による支給停止割合(二割、三割、四割、五割、六割、七割及び八割)が定められたこと(厚年施行令第八条)。
なお、平成二年四月一日から、支給を受けることができる者の標準報酬月額の限度額を二二○、○○○円から二四○、○○○円に引き上げることとされたこと(平成元年改正政令附則第二条、第三条)。
四 旧厚生年金保険法による年金給付に関する事項
前記第三の三に関する事項に準じて年金たる給付額の引上げ等が行われているところであるが、なお、次の点に留意されたい。
(一) 老齢年金等の定額部分について
平成元年四月に遡及して、老齢年金等の基本年金額のうち、定額部分を計算する定額単価が二、六○三円とされたこと(法律第三四号附則第七八条第二項)。
(二) 従前の例による年金たる保険給付の額について
(1) 平成元年四月に遡及して、旧厚年法附則第一六条第一項の規定によつて支給される従前の遺族年金、寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付を選択した者に係る他の年金給付の併給限度額を一○七、○○○円から一○七、八○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第七八条第二項)。
(2) 平成元年四月に遡及して、旧厚年法附則第一六条第一項の規定によつて支給される従前の遺族年金、寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付の額(従前の加給金又は増額金に相当する給付の額を除く。)を六二七、二○○円から六六六、○○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第七八条第二項)。
(三) 遺族年金の寡婦加算について
平成元年四月に遡及して、寡婦加算の額を一二五、五○○円から一二八、○○○円に、二一九、五○○円から二二四、○○○円にそれぞれ引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第七八条第二項)。
5 旧船員保険法による年金給付に関する事項
前記第三の三に関する事項に準じて年金たる給付の額の引上げ等が、行われているところであるが、なお、次の点に留意されたい。
(一) 老齢年金の定額部分について
平成元年四月に遡及して、老齢年金の定額部分相当額は、六二四、七二○円とされ、一五年を超える被保険者期間の一月につき加算される単価額は四一、六四八円とされたこと。また、加算する額の限度額は四六八、五四○円とされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
(二) 通算老齢年金の定額部分について
平成元年四月に遡及して、通算老齢年金の定額部分相当額は六二四、七二○円とされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
(三) 職務上の事由による障害年金又は遺族年金ついて
平成元年四月に遡及して、職務上の事由による障害年金又は遺族年金における、いわゆる災害補償に相当する部分以外の部分の額を算出するときに使用する額を三○一、○一二円から三一二、三六○円に、一五○、五○六円から一五六、一八○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
(四) 職務上の障害年金の受給者に係る職務外の死亡による遺族年金について
平成元年四月に遡及して、職務上の事由による障害年金の受給者が職務外の事由により死亡したことにより支給される遺族年金の基本年金相当部分の額を算出するときの定額を七五、二五三円から七八、○九○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
(五) 旧陸軍共済組合等の組合員期間を有する者の年金額について
平成元年四月に遡及して、旧陸軍共済組合等の組合員であつた期間を船員保険の被保険者であつた期間とみなして支給される通算老齢年金及び遺族年金の定額部分の単価が二、六○三円とされ、定額部分に相当する額の限度額が一、○九三、二六○円とされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
(六) 従前の例による年金たる保険給付の額について
平成元年四月に遡及して、昭和三七年船保改正法附則第三項の規定により支給される従前の寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付を選択した者に係る他の年金たる保険給付の併給限度額を一○七、○○○円から一○七、八○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
また、同項の規定により支給される従前の寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付の額(加給金及び増額金を除く。)を六二七、二○○円から六六六、○○○円に引き上げることとされたこと(法律第三四号附則第八七条第三項)。
六 その他の事項
(一) 障害厚生年金の併給の調整の緩和について
障害厚生年金の併給の調整を行う場合において、併合の対象となる、既に受給権が発生している障害厚生年金に係る障害は、障害等級が一級又は二級に該当する障害の状態のみとしていたところであるが、一級又は二級の障害の状態に該当していた者が途中で障害の状態が軽減したことにより、障害等級が二級に定める障害の程度に該当しなくなつた場合でも併合して認定する対象とすることとされたこと(厚年法第四八条)。
(二) 第四種被保険者及び船員任意継続被保険者について
第四種被保険者及び船員任意継続被保険者に係る保険料の前納できる額が告示されたこと。特に、既に平成二年一月以降分について前納している者については、保険料の充当処理が必要となることから、その処理については、別途、通知することとしている。なお、当該処理にあたつては、将来の年金権に密接に関連する事項であることから十分に留意されたい(前納告示第一一号)。