添付一覧
○厚生年金保険法の一部を改正する法律の施行について
(昭和四〇年六月五日)
(庁発第七号)
(各都道府県知事あて社会保険庁長官通知)
厚生年金保険法の一部を改正する法律は、昭和四〇年六月一日法律第一〇四号として公布された。
この改正は、人口老齢化の傾向が明確化し、年金受給者も増加して厚生年金保険制度が成熟期を迎えようとする時期に際し、労働者の老後の生活保障等のため年金額の増額等を実現したことにおいて重要な意義をもつものである。
貴職におかれては、広く改正趣旨の普及徹底を図るとともに、この法律の実施にあたつては特に次の事項に留意されたい。
1 基本年金額
基本年金額のうち、定額部分については、その月額を五〇〇〇円に引き上げるとともに被保険者期間二〇年以上三〇年未満までは一月につき二五〇円を加算するこことし、さらに、報酬比例部分については、平均標準報酬月額に被保険者期間一月当たりに乗する率を一〇〇〇分の一〇に引き上げたこと。
2 在職者に対する老齢年金の支給
改正前の厚生年金保険法においては、老齢年金は被保険者資格の喪失を条件としていたが、高齢労働者の生活の安定を図るために老齢年金の受給資格期間を満たしている者が六五歳に達したときは、被保険者の資格を喪失していなくても老齢年金(八割相当額)を支給することとしたこと。
3 障害年金及び障害手当金
障害給付を充実強化するため、障害年金一級の額を基本年金額の一〇〇分の一二五相当額に、障害年金三級の額を基本年金額の一〇〇分の七五相当額に、それぞれ引き上げたほか、さらに月額五〇〇〇円の最低保障を設けたこと。
また、障害手当金の額を基本年金額の一〇〇分の一五〇相当額に引き上げたこと。
4 遺族年金
遺族の生活保障の実をあげるため、遺族年金の額について月額五〇〇〇円の最低保障を設けたほか、妻については、年齢制限及び若年停止を撤廃したこと。
5 第四種被保険者に対する保険給付
第四種被保険者についても他の被保険者と同様、障害年金、障害手当金、遺族年金及び脱退手当金を支給することとしたこと。
6 標準報酬
標準報酬を第一級七〇〇〇円から第二三級六万円までの二三等級に改めたこと。
7 保険料
保険料率を次のように改めたこと。
第一種被保険者 一〇〇〇分の五五
第二種被保険者 一〇〇〇分の三九
第三種被保険者 一〇〇〇分の六七
第四種被保険者 一〇〇〇分の五五
8 第四種被保険者の保険料の前納
第四種被保険者の利便を図るため、保険料を割り引いて前納する途を開いたこと。
9 国庫負担
保険給付に要する費用についての国庫負担割合を第三種被保険者以外の被保険者に係る分については二〇%、第三種被保険者に係る分については二五%に、それぞれ引き上げたこと。
10 特例老齢年金の支給
旧陸軍共済組合その他政令で定める共済組合の組合員期間のある被保険者の要望に応えて、これらの組合員期間をその者の被保険者期間に算入し、通算老齢年金に準じた特例老齢年金を支給する途を開いたこと。
11 女子に対する脱退手当金の支給
昭和三六年一一月一日から昭和四六年五月三一日までの間に被保険者の資格を喪失した女子に対しては、昭和三六年一一月一日改正前の規定による脱退手当金を支給できることとしたこと。
12 施行期日
この法律は、昭和四〇年六月一日から施行されること。ただし、前記の1、3及び4の前段、5、6、7並びに9は、昭和四〇年五月一日から適用されること。