添付一覧
2枚の胸部エックス線間接撮影を行った場合
[診断料] 85点×0.5+85点×0.5×0.5=63.75点→(四捨五入)→64点
[撮影料] 65点×0.5+65点×0.5×0.5=48.75点→(四捨五入)→49点
2 デジタル映像化処理加算
(1) デジタル映像化処理とは、デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィー法、コンピューテッド・ラジオグラフィー法又はデジタル透視撮影法をいい、2以上を実施した場合にあっては、主たる処理をもって算定する。
なお、デジタル透視撮影法とは、超細密イメージング・インテンシファイアー及び超細密ビデオカメラを用いてデジタル映像化処理を行うものをいう。
(2) フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合であっても、デジタル映像化処理として本加算を算定できる。
(3) デジタル映像化処理は、同一の部位につき、同時に2種類以上の撮影方法を使用した場合は一連の撮影とみなし、主たる撮影の点数のみ算定する。
(4) デジタル映像化処理加算は、撮影に当たってデジタル映像化処理を行った場合に算定し、他の医療機関で撮影したフィルムについて診断のみ行った場合には算定しない。
E000 透視診断
(1) 本項の透視診断とは、透視による疾病、病巣の診断を評価するものであり、特に別途疑義解釈通知等により取扱いを示した場合を除き、消化管の造影剤使用撮影に際し腸管の所要の位置に造影剤が到達しているか否かを透視により検査する場合等、撮影の時期決定や準備手段又は他の検査、処置及び手術の補助手段として行う透視については算定できない。
(2) 造影剤を使用する透視診断は一連の診断目的のために行うものについては、時間を隔てて行う場合であっても1回として算定する。ただし、腸管の透視を時間を隔てて数回行いその時間が数時間にわたる場合には、2回以上として算定できる。その基準は概ね2時間に1回とする。
E001 写真診断
(1) 他の医療機関で撮影したフィルムについての診断料は撮影部位及び撮影方法(単純撮影、特殊撮影又は造影剤使用撮影)別に1回の算定とする。例えば、胸部単純写真と断層像についてであれば2回として算定できる。
ただし、1つの撮影方法については撮影回数、写真枚数にかかわらず1回として算定する。
(2) 写真診断においては、耳、副鼻腔は頭部として、骨盤、腎、尿管、膀胱は腹部として、それぞれ「1」の「イ」により算定する。また、頸部、乳房、腋窩、股関節部、肩関節部、肩胛骨又は鎖骨にあっても、「1」の「イ」により算定する。
(3) 写真診断に掲げる所定点数は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。
(4) イメージ・インテンシファイアー間接撮影装置によるエックス線撮影については、診断料及び撮影料は間接撮影の場合の所定点数に準じて算定できる。また、同一部位に対し直接撮影を併せて行った場合は、イメージ・インテンシファイアー間接撮影装置による一連の撮影として間接撮影の場合の所定点数のみを算定する。
E002 撮影
(1) 高圧撮影、拡大撮影及び軟部組織撮影は、「1」の単純撮影に準じて算定する。ただし、マンモグラフィー用フィルムの撮影対象部位は、乳房のみとする。
(2) エックス線フィルムサブトラクションについては、反転フィルムの作成の費用として、一連につき、「1」及び区分「E400」フィルムによって算定し、診断料は別に算定できない。なお、診療継続中の患者であって診療上の必要性を認め以前撮影した脳血管造影フィルムを用いてサブトラクションを実施した場合であっても、反転フィルムの作成の費用及びフィルム料は算定できるが、診断料は別に算定できない。
(3) 特殊撮影とは、動態撮影、重複撮影、立体撮影、パントモグラフィー、断層撮影(同時多層撮影、回転横断撮影を含む。)及びスポット撮影(胃、胆嚢及び腸)をいう。なお、胃のスポット撮影、胆嚢スポット撮影及び腸スポット撮影については、消化管撮影の一連の診断行為の1つとみなされる場合であっても、第1節エックス線診断料の「2」の適用の対象とする。
(4) 側頭骨、上顎骨及び副鼻腔曲面断層撮影は、「2」の特殊撮影に準じて算定する。
(5) 撮影に掲げる所定点数は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。
(6) 造影剤使用撮影時の算定方法
ア 造影剤使用撮影とは、血管造影、瘻孔造影及び気造影等の造影剤を使用して行った撮影をいう。
イ 二重造影は、消化管診断に含まれ、別に算定できないが、その際に使用される発泡錠は薬剤料として別に算定できる。
ウ 椎間板の変性を見るため、エックス線透視下に造影剤を使用し、椎間板を求めて1~3か所注入し、四ツ切フィルム2枚のエックス線写真診断を行った場合は、「3」により算定する。
エ 高速心大血管連続撮影装置による撮影は、「3」により算定する。なお、フィルム代は使用したフィルムの材料価格を10円で除して得た点数とする。
(7) 「注2」により新生児加算又は乳幼児加算を行う場合の所定点数とは、「1」、「2」又は「3」(「注3」による加算を含む。)の点数(間接撮影の場合は100分の50に相当する点数)をいう。
なお、新生児加算又は乳幼児加算を行う場合に端数が生じる場合の端数処理は、当該撮影の最後に行うものとする。
例 単純撮影における新生児加算又は乳幼児加算を行う場合の端数処理の例
1枚撮影の場合
[新生児加算] 65点×1.3=84.5点→(四捨五入)→85点
[乳幼児加算] 65点×1.15=74.75点→(四捨五入)→75点
3枚撮影の場合
[新生児加算] 65点×1.3+65点×1.3×0.5×2=169点
[乳幼児加算] 65点×1.15+65点×1.15×0.5×2=149.5点→(四捨五入)→150点
(8) 脳室撮影は、「注3」の脳脊髄腔造影剤使用撮影に準じて算定する。
(9) 児頭骨盤不均衡特殊撮影(側面撮影及び骨盤入口撮影後、側面、骨盤入口撮影のフィルムに対し、特殊ルーラー(計測板)の重複撮影を行う方法をいう。)は、区分「E001」写真診断の「2」+区分「E002」撮影の「2」+区分「E400」フィルムにより算定する。
(10) ギネコグラフィー検査は次により算定する。
ア 気腹骨盤内造影法による検査
区分「E001」写真診断の「3」+区分「E002」撮影の「3」+区分「E400」フィルム
イ 子宮卵管造影法による検査
区分「E001」写真診断の「3」+区分「E002」撮影の「3」+区分「E003」造影剤注入手技の「6」の「ロ」+区分「E400」フィルム+区分「E300」薬剤
ウ 気腹骨盤内造影法と子宮卵管造影法の併用による検査
区分「E001」写真診断の「3」+区分「E002」撮影の「3」+区分「E003」造影剤注入手技の「6」の「ロ」+区分「E400」フィルム+区分「E300」薬剤+区分「J010」腹腔穿刺
E003 造影剤注入手技
(1) 造影剤注入手技料は、造影剤使用撮影を行うに当たって造影剤を注入した場合に算定する。ただし、同一日に点滴注射を算定した場合は造影剤注入手技による所定点数は重複して算定できない。
(2) 「3」の動脈造影カテーテル法及び「4」の静脈造影カテーテル法とは、血管造影用カテーテルを用いて行った造影剤注入手技をいう。
(3) 選択的血管造影加算
ア 「3」の「注」に掲げる選択的血管造影加算は、主要血管である総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈、腎動脈、腹部動脈(腹腔動脈、上及び下腸間膜動脈をも含む。)、骨盤動脈又は各四肢の動脈の分枝血管を選択的造影撮影した場合、分枝血管の数にかかわらず1回に限り算定できる。
イ 総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈及び腎動脈の左右両側をあわせて造影した場合であっても一連の主要血管として所定点数は1回に限り算定する。
(4) 静脈造影カテーテル法は、副腎静脈、奇静脈又は脊椎静脈に対して実施した場合に算定できる。
(5) メトラのゾンデによる気管支カテーテル法を行った場合は、「5」の「イ」により算定する。
(6) 「6」の「イ」注腸を実施する際の前処置として行った高位浣腸の処置料は所定点数に含まれ、別途算定できない。
(7) 「6」の「ロ」腔内注入及び穿刺注入の「その他のもの」とは、腰椎穿刺注入、胸椎穿刺注入、頸椎穿刺注入、関節腔内注入、上顎洞穿刺注入、気管内注入(内視鏡下の造影剤注入によらないもの)、子宮卵管内注入、胃・十二指腸ゾンデ挿入による注入、膀胱内注入、腎盂内注入及び唾液腺注入をいう。
(8) 経皮経肝胆管造影における造影剤注入手技は区分「D314」に準じて算定し、胆管に留置したドレーンチューブ等からの造影剤注入手技は区分「E003」の「6」の「ロ」に準じて算定する。
(9) 腎腫瘍診断における酸素注入手技料(直腸壁の周囲の仙骨側へ針を挿入し食塩水5mL程度注入して正しい位置に針先のあることを確かめて酸素の注入管とつなぎかえ酸素約1リットルを入れ、約2時間後にエックス線撮影して腎腫瘍を診断する。)は、区分「J010」に準じて算定し、酸素代については別に加算できない。
(10) 精嚢撮影を行うための精管切開は、区分「K829」に準じて算定する。
(11) 造影剤を注入するために観血手術を行った場合は、当該観血手術の所定点数を加算する。
(12) リンパ管造影を行うときの造影剤注入のための観血手術及び注入の手技料は、あわせて、区分「K626」リンパ節摘出術の「1」により算定する。
E004 基本的エックス線診断料
(1) 基本的エックス線診断料は、特定機能病院の入院医療において通常行われる基本的な画像診断について、その適正化及び請求事務の簡素化の観点から包括化して入院日数に応じた算定を行うものであり、基本的検体検査実施料及び基本的検体検査判断料の算定と異なり、特定機能病院でない特定承認保険医療機関においては、算定できない。
(2) 1月を通じて、基本的エックス線診断料に包括されている画像診断項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本診断料は算定できない。
(3) 写真診断及び撮影を行い、これに伴って使用されるフィルムは、別に算定できる。
(4) 基本的エックス線診断料を算定している患者に対して、デジタル映像化処理を行った場合は、一連の撮影ごとに第1節のエックス線診断料の「4」に規定するデジタル映像化処理加算を別に算定できる。
(5) 基本的エックス線診断料を算定している患者に対して、エックス線フィルムサブトラクションを行った場合は、基本的エックス線診断料の他、手技料として区分「E002」の「1」の点数を準用して算定できる。
(6) 基本的エックス線診断料に含まれない画像診断を行った場合は、別途当該画像診断に係る所定点数を算定できる。
(7) 単純撮影を2枚以上撮影した場合又は間接撮影を行った場合にあっても、手技料は基本的エックス線診断料に含まれ、別に算定できない。
(8) 入院日数については、入院基本料とは異なり、入院の都度当該入院の初日から数え、また、退院日も算定対象となる。なお、外泊期間中は、入院日数に含まれない。
(9) 療養病棟、結核病棟若しくは精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算又は同部第3節に規定する特定入院料を算定している患者については、基本的エックス線診断料は別に算定しないが、入院日数は入院初日から数える。
第2節 核医学診断料
1 核医学診断に係る一般的事項
「1」に規定する核医学診断の所定点数とは、区分「E100」から区分「E101―2」に掲げる所定点数及び区分「E102」に掲げる所定点数を合算した点数をいう。
2 ラジオアイソトープの費用
ラジオアイソトープの費用を算定する場合は、「使用薬剤の薬価(薬価基準)」の定めるところによる。
E100 シンチグラム(画像を伴うもの)
「注3」の加算における所定点数には「注2」による加算は含まれない。
E101 シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影
(1) シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影は、同一のラジオアイソトープを使用した一連の検査につき、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾病の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。
(2) 検査に当たって、画像及び情報をコンピューターにより解析処理を行った場合にあっても所定点数のみにより算定する。
(3) 「注2」及び「注3」の加算における所定点数とは、加算を含まない点数である。
E101―2 ポジトロン断層撮影
(1) ポジトロン断層撮影は、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。
(2) 18FDGを用いたポジトロン断層撮影については、てんかん、虚血性心疾患、悪性腫瘍(脳腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵癌、転移性肝癌、大腸癌、悪性リンパ腫、悪性黒色腫及び原発不明癌に限る。)の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。
1 てんかん |
難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。 |
2 虚血性心疾患 |
虚血性心疾患による心不全患者で、心筋組織のバイアビリティ診断が必要とされる患者に使用する。ただし、通常の心筋血流シンチグラフイで判定困難な場合に限るものとする。 |
3 肺癌 |
以下のいずれかに該当する患者に使用する。 ・ 他の検査、画像診断により肺癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者 ・ 他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者 |
4 乳癌 |
以下のいずれかに該当する患者に使用する。 ・ 他の検査、画像診断により乳癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者 ・ 他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者 |
5 大腸癌 |
以下のいずれかに該当する患者に使用する。 ・ 他の検査、画像診断により大腸癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者 ・ 他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者 |
6 頭頸部癌 |
以下のいずれかに該当する患者に使用する。 ・ 他の検査、画像診断により頭頸部癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者 ・ 他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者 |
7 脳腫瘍 |
他の検査、画像診断により転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。 |
8 膵癌 |
他の検査、画像診断により膵癌の存在を疑うが、腫瘤形成性膵炎と鑑別が困難な患者に使用する。 |
9 悪性リンパ腫 |
他の検査、画像診断により病期診断・転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。 |
10 転移性肝癌 |
以下のいずれかに該当する患者に使用する。 ・ 他の検査、画像診断により転移性肝癌を疑うが、病理診断により確定診断の得られない患者 ・ 原発巣の不明な患者 |
11 原発不明癌 |
リンパ節生検、CT等で転移巣が疑われ、かつ、腫瘍マーカーが高値を示す等、悪性腫瘍の存在を疑うが、原発巣の不明な患者に使用する。 |
12 悪性黒色腫 |
他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。 |
(3) 18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。
(4) 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的でシンチグラム(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)を実施した場合には、主たるもののみを算定する。
(5) 当該画像診断に当たって、画像及び情報をコンピューターにより解析処理を行った場合であっても所定点数のみにより算定する。また、15O標識ガス剤を用いた場合に当該画像診断に伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(6) ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成に係る費用及び15O標識ガス剤の吸入に係る費用並びに18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
E102 核医学診断
(1) 核医学診断料は、実施したE100からE101―2に掲げる各区分の種類又は回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回のシンチグラム(画像を伴うもの)、シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影又はポジトロン断層撮影を実施する日に算定する。
(2) 同一月内において入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科においてシンチグラム(画像を伴うもの)、シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影又はポジトロン断層撮影を実施した場合においては、入院若しくは外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限り算定する。
第3節 コンピューター断層撮影診断料
1 コンピューター断層撮影と磁気共鳴コンピューター断層撮影を行う際の取扱い
(1) 「2」の「同一の部位」とは、頭部(頸部を含む。)、躯幹及び四肢のそれぞれをいう。
(2) 「2」の「同一月」とは、第1の撮影が行われた日が属する月をいう。
(3) 算定の例(回数は同一月同一部位での通算撮影回数)
ア 頭部単純CT(1回目)→頭部単純MRI(2回目)の場合
620点+600点=1,220点
イ 頭部単純CT(1回目)→頭部単純MRI(2回目)→頭部特殊CT(3回目)の場合
620点+600点+600点=1,820点
ウ 頭部単純CT(1回目)→頭部特殊CT(2回目)→頭部特殊MRI(3回目)の場合
620点+600点+600点=1,820点
エ 頭部単純CT(1回目)→頭部単純MRI(2回目)→頭部特殊CT(3回目)→躯幹単純MRI(1回目)の場合
620点+600点+600点+1,220点=3,040点
(4) 開設者が同一である複数の保険医療機関又は検査施設提供の契約を結んだ複数の医療機関において、同一の患者の同一の部位につき、コンピューター断層撮影及び磁気共鳴コンピューター断層撮影を同一月に2回以上行った場合は、当該月の2回目以降の断層撮影について、「2」に準じて算定する。
2 本節に掲げる各項目は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。
E200 コンピューター断層撮影
(1) コンピューター断層撮影は、スライスの数、疾患の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。
(2) 「1」から「3」までに掲げる撮影のうち2以上のものを同時に行った場合は主たる撮影の所定点数のみにより算定する。また、四肢のコンピューター断層撮影を同時に四肢以上に対して行った場合も一連のものとして所定点数のみを算定する。
(3) 頸部に単純CT撮影を行った場合は、「1」の「イ」により算定する。
(4) 特殊CT撮影は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、ヘリカルCT又はマルチスライスCTを使用して血管腔を描出した場合に限り算定する。
(5) 「注2」に規定する「場合」とは、四肢の悪性腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、多発性筋炎、骨の壊死性病変若しくは関節周囲の骨折に対する撮影又は造影剤使用撮影を行った場合をいう。
(6) 「注4」の単純CT撮影及び特殊CT撮影における「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射、点滴注射、腔内注入及び穿刺注入等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。ただし、経口造影剤を使用した場合を除く。
(7) 造影剤を使用しない単純CT撮影又は特殊CT撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。
(8) 造影剤を使用してコンピューター断層撮影を行った場合、閉鎖循環式全身麻酔に限り麻酔手技料を別に算定できる。
(9) 「注6」の加算における所定点数には、「注4」による加算が含まれる。
E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影
(1) 磁気共鳴コンピューター断層撮影は、画像のとり方、画像処理法の種類、スライスの数、撮影の部位数、疾病の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。
(2) 「1」及び「2」に掲げる撮影のうち2以上のものを同時に行った場合は、主たる撮影の所定点数のみにより算定する。また、四肢の磁気共鳴コンピューター断層撮影を同時に四肢以上に対して行った場合も一連のものとして所定点数のみを算定する。
(3) 特殊MRI撮影は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、1.0テスラ以上のMRIを使用して血管腔又は膵胆管及び胆嚢を描出した場合に限り算定する。ただし、脳血管を除く血管腔の描出に関しては造影剤を使用し、撮影対象部位の動脈及び静脈を分離して描出した場合に限り算定できる。
(4) 「注3」の「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。ただし、経口造影剤を使用した場合は除く。
(5) 造影剤を使用しない磁気共鳴コンピューター断層撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。
(6) 造影剤を使用して磁気共鳴コンピューター断層撮影を行った場合、閉鎖循環式全身麻酔に限り麻酔手技料を別に算定できる。
(7) 「注4」の加算における所定点数には、「注3」による加算が含まれる。
E203 コンピューター断層診断
(1) コンピューター断層診断は、実施したコンピューター断層撮影(磁気共鳴コンピューター断層撮影及び非放射性キセノン脳血流動態検査を含む。以下同じ。)の種類又は回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回のコンピューター断層撮影を実施する日に算定する。
(2) 同一月内において、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において、コンピューター断層撮影を実施した場合は、入院若しくは外来又は診療科の別にかかわらず、月1回の算定とする。
(3) 当該医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、初診料を算定した日に限り、コンピューター断層診断料を算定できる。
第4部の2 画像診断(老人医科診療報酬点数表関係)
<第4部の注に係る留意事項>
(1) 単純CT撮影、特殊CT撮影、脳槽CT造影又は非放射性キセノン脳血流動態検査は、急性憎悪等特に必要があると認められる場合を除き、入院期間が1年を超える老人病棟等入院患者に対して行った場合は、1月に1回に限り算定するものであること。
(2) (1)にかかわらず、同一の部位につき行った単純CT撮影、特殊CT撮影、脳槽CT造影又は非放射性キセノン脳血流動態検査は、急性憎悪等特に必要があると認められる場合を除き、入院期間が1年を超える老人病棟等入院患者に対して行った場合は、3月に1回に限り算定するものであること。
(3) 老人病棟等入院患者に対して、コンピューター断層撮影を行った場合のコンピューター断層診断料は、その種類又は回数にかかわらず、1月に1回に限り算定するものであること。
なお、入院期間が1年を超える期間においては、同一の部位につき行ったコンピューター断層撮影(磁気共鳴コンピューター断層撮影を除く。)の種類又は回数にかかわらず、急性憎悪等特に必要があると認められる場合を除き、3月に1回に限り算定するものであること。
(4) (2)又は(3)の画像診断を算定した場合は、当該画像診断前における直近の同一種類の画像診断を行った年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(5) 急性憎悪等特に必要があると認められる場合において、入院期間が1年を超える期間において、3月に1回を超えて同一の部位につき画像診断に掲げる項目を算定した場合にあっては、診療報酬明細書に患者の症状等を詳細に記載すること。
(6) (1)から(5)以外のコンピューター断層撮影診断料の算定方法については、健康保険のコンピューター断層撮影診断料の算定方法の例によるものとすること。
(7) 点滴注射により造影剤注入を行った場合の手技料は、入院中の患者以外の患者について、1日分の注射量が500mL以上の場合には、医科点数表第2章第6部第1節に掲げる点滴注射の2を算定し、1日分の注射量が500mL未満の場合には、医科点数表第2章第6部第1節に掲げる点滴注射の3を算定するものであること。また、入院中の患者については、第6部の注イ、ロ又は老人精神病棟等点滴注射料により算定するものであること。
第5部 投薬(医科診療報酬点数表関係)
<通則>
1 投薬の費用は、第1節調剤料、第2節処方料、第3節薬剤料、第4節特定保険医療材料料及び第6節調剤技術基本料に掲げる所定点数を合算した点数で算定する。ただし、処方せんを交付した場合は第5節処方せん料に掲げる所定点数のみを算定する。
なお、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている臨床試用医薬品を使用した場合は、薬剤料は算定せず、調剤料、処方料、特定保険医療材料料、調剤技術基本料のみを算定する。
2 別に規定する場合を除き、入院実日数を超えて投薬を算定することができる。退院時の投薬については、服用の日の如何にかかわらず入院患者に対する投薬として扱う。
3 投薬時における薬剤の容器は、原則として保険医療機関から患者へ貸与するものとする。なお、患者が希望する場合には、患者にその実費負担を求めて容器を交付できるが、患者が当該容器を返還した場合には、当該容器本体部分が再使用できるものについて当該実費を返還しなければならない。
4 患者に直接投薬する目的で製品化されている薬剤入りチューブ及び薬剤入り使い捨て容器のように再使用できない薬剤の容器については、患者に容器代金を負担させることは認められない。
5 保険医療機関が患者に喘息治療剤の施用のため小型吸入器及び鼻腔・口腔内治療剤の施用のため噴霧・吸入用器具(散粉器)を交付した場合は、患者にその実費負担を求めることができるが、患者が当該吸入器を返還した場合には当該実費を返還しなければならない。
6 入院中の患者に月をまたがって投与した薬剤は、投薬の日の属する月により区分する。
7 外来において数日分投与しその薬剤を入院後も服用する場合、この入院後服用の分の請求区分は服用の日の如何にかかわらず、外来投与として扱う。
8 被保険者が保険医より薬品の授与を受け、持ち帰りの途中又は自宅において薬品を紛失したために(天災地変の他やむを得ない場合を除く。)保険医が再交付した場合は、その薬剤の費用は、被保険者の負担とする。
第1節 調剤料
F000 調剤料
(1) 入院中の患者以外の患者に係る調剤料の所定単位については、1回の処方に係る調剤料として、その剤数・日数又は調剤した量にかかわらず「1」の所定点数を処方料算定時にまとめて算定する。ただし、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき、調剤料を算定できる。
(2) トローチ剤又は亜硝酸アミル等の嗅薬、噴霧吸入剤については外用薬として、投薬に係る費用を算定する。例えば、トローチ剤の1日量6錠3日分は、18錠分を1調剤の薬剤料として算定する。
(3) 外泊期間中及び入院実日数を超えた部分について、調剤料は算定できない。
(4) 「注」の加算については、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、入院中の患者以外の患者に対して投薬を行う場合は1処方につき1点を、また、入院中の患者に対して投薬を行う場合は1日につき1点を所定点数に加算する。なお、リン酸コデイン散1%のように、当該薬剤の基剤が麻薬等に属しても、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないものを調剤又は処方した場合には対象とならない。
(5) 「注」にいう麻薬、向精神薬、覚せい剤原料及び毒薬は次の通りである。
ア 毒薬とは薬事法第44条第1項の規定(同施行規則第52条、別表第3)による毒薬をいう。
イ 向精神薬とは、麻薬及び向精神薬取締法第2条第6号の規定(同法、別表第3)による向精神薬をいう。
第2節 処方料
F100 処方料
(1) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方料を算定する。
(2) 処方料における内服薬の種類については、区分「F200」薬剤の「注2」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「2」で算定する。
(3) 臨時的に内服薬の追加投与等を行った場合の取扱いについては、F200薬剤の(4)に準じるものとする。
(4) 「注2」の加算は、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、1処方につき1点を所定点数に加算する。
(5) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が3歳未満の乳幼児に対して処方を行った場合は、それぞれの処方について「注4」による乳幼児加算を算定することができる。
(6) 特定疾患処方管理加算
ア 特定疾患処方管理加算は、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリ機能を担う地域のかかりつけ医師が総合的に病態分析を行い、それに基づく処方管理を行うことを評価したものであり、診療所又は許可病床数が200床未満の病院においてのみ算定する。
イ 処方期間が28日以上の場合は、月1回に限り1処方につき45点を算定する。
ウ 処方期間が28日以上の場合の加算は、長期投薬の際の病態分析及び処方管理の評価の充実を図るものであり、特定疾患に対する薬剤の投与日数が28日以上の場合に算定する。ただし、当該患者に処方された薬剤の投与日数がすべて28日以上である必要はない。
エ イに該当する場合以外の場合には、月2回に限り1処方につき15点を算定する。なお、同一暦月に処方料と処方せん料を算定する場合であっても、処方せん料の当該加算と合わせて2回を限度とする。
オ 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。
カ 特定疾患処方管理加算は初診料を算定した初診の日においても算定できる。
キ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護等に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても算定できる。
第3節 薬剤料
F200 薬剤
(1) 1回の処方において、2種類以上の内服薬を調剤する場合には、それぞれの薬剤を個別の薬包等に調剤しても、服用時点及び服用回数が同じであるものについては、次の場合を除き1剤として算定する。
ア 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
イ 固型剤と内用液剤の場合
ウ 内服錠とチュアブル錠等のように服用方法が異なる場合
(2) 「注1」における「その他の特定の疾患」とは、「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患をいう。
(3) 特別入院基本料2を算定する病棟を有する病院の長期入院患者に係る入院期間の算定は、当該特別入院基本料2を算定する病棟を有する病院となる以前からの入院期間を通算する。
また、入院期間の算定は第1章第2部入院料等の通則の例に準じる。
(4) 多剤投与の場合の算定
ア 「注2」の算定は、外来の場合に限り、1処方のうち、内服薬についてのみ対象とする。この場合の「種類」については、次のように計算する。なお、1処方とは処方料の算定単位となる処方をいう。
(イ) 錠剤、カプセル剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。
(ロ) 散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。
(ハ) (ロ)の薬剤を混合して服薬できるよう調剤を行ったものについては、1種類とする。
(ニ) 薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が205円以下の場合には、1種類とする。
イ 「注2」の「所定点数」とは、1処方のうちのすべての内服薬の薬剤料をいう。
ウ 「注2」の算定は、常態として投与する内服薬が7種類以上の場合に行い、臨時に投与する薬剤については対象としない。
エ ウの臨時に投与する薬剤とは連続する投与期間が2週間以内のものをいい、2週間を超える投与期間の薬剤にあっては常態として投与する薬剤として扱う。なお、投与中止期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして投与期間を計算する。
オ 臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合において、傷病名欄からその必要性が明らかでない場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその必要性を記載する。
(5) ビタミン剤
ア 「注3」に規定するビタミン剤(ビタミンB群製剤及びビタミンC製剤に限る。)とは、内服薬及び注射薬をいうものであり、また、ビタミンB群又はビタミンCを含有する配合剤を含むものである。
イ ビタミン剤に係る薬剤料が算定できるのは、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断し、適正に投与された場合に限られるものであり、具体的には、次のような場合をいう。ただし、薬事法上の承認内容に従って投与された場合に限る。
(イ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合(例えば、悪性貧血のビタミンB12の欠乏等、診察及び検査の結果から当該疾患又は症状が明らかな場合)
(ロ) 患者が妊産婦、乳幼児等(手術後の患者及び高カロリー輸液療法実施中の患者を含む。)であり、診察及び検査の結果から食事からのビタミンの摂取が不十分であると診断された場合
(ハ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であると推定され、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合
(ニ) 重湯等の流動食及び軟食のうち、一分がゆ、三分がゆ又は五分がゆを食している場合
・ 無菌食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食又はガラクトース血症食を食している場合
ウ ビタミン剤に係る薬剤料を算定する場合には、当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載しなければならない。ただし、病名によりビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断できる場合は趣旨を診療報酬明細書に記載することは要しない。
第5節
F400 処方せん料
(1) 処方せん料の「1」及び「2」の算定において後発医薬品を1剤以上含む処方を行った場合には「イ 後発医薬品を含む場合」として算定する。
(2) 保険薬局で保険調剤を受けさせるために、患者に保険医療機関及び保険医療養担当規則に定められている様式の完備した処方せん(院外処方せん)を交付した場合に限り算定し、その処方せんに処方した剤数、投与量(日分数)等の如何にかかわらず、1回として算定する。
(3) 同一の保険医療機関が一連の診療に基づいて、同時に、同一の患者に2枚以上の処方せんを交付した場合は、1回として算定する。
(4) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方せん料を算定することができる。
(5) 処方せん料における内服薬の種類については、区分「F200」薬剤の「注2」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「2」で算定する。
(6) 臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合には、処方せんの備考欄にその必要性を記載する。
その他、臨時的に内服薬の追加投与を行った場合の取扱いについてはF200薬剤の(4)に準じるものとする。
(7) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方せんにより投薬することは、原則として認められない。
また、注射器、注射針又はその両者のみを処方せんにより投与することは認められない。
(8) 乳幼児加算又は特定疾患処方管理加算はF100処方料の(5)又は、(6)に準ずるものとする。
(9) 訪問薬剤管理指導との関係
保険薬局に訪問薬剤管理指導を依頼している場合は、当該保険医療機関は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できない。保険薬局から情報提供があった場合は、当該保険医療機関は文書を診療録に貼付する。なお、地方社会保険事務局長に届出を行った保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できるのは月に4回に限られる。
第6節 調剤技術基本料
F500 調剤技術基本料
(1) 調剤技術基本料は、重複投薬の防止等保険医療機関内における調剤の管理の充実を図るとともに投薬の適正を確保することを目的としており、薬剤師が常態として勤務する保険医療機関において、薬剤師の管理のもとに調剤が行われた場合に、患者1人につき、月1回に限り算定する。
(2) 同一医療機関において同一月内に処方せんの交付がある場合は、調剤技術基本料は算定できない。
(3) 同一月に区分B008に掲げる薬剤管理指導料又は区分C008に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合には、調剤技術基本料は算定しない。
(4) 院内製剤加算
ア 「注3」の院内製剤加算は、薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品とは異なる剤形の医薬品を院内製剤の上調剤した場合に、次の場合を除き算定できる。
(イ) 調剤した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合
(ロ) 散剤を調剤した場合
(ハ) 液剤を調剤する場合であって、薬事法上の承認内容が用時溶解して使用することとなっている医薬品を交付時に溶解した場合
(ニ) 1種類のみの医薬品を水に溶解して液剤とする場合(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等製剤技術上必要と認められる添加剤を使用した場合及び調剤技術上、ろ過、加温、滅菌行為をなす必要があって、これらの行為を行った場合を除く。)
イ 上記アにかかわらず、剤形が変わらない場合であっても、次に該当する場合には、院内製剤加算が算定できる。ただし、調剤した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合を除く。
(イ) 同一剤形の2種類以上の既製剤(賦形剤、矯味矯臭剤等を除く。)を混合した場合(散剤及び顆粒剤を除く。)
(ロ) 安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等製剤技術上必要と認められる添加剤を加えて調剤した場合
(ハ) 調剤技術上、ろ過、加温、滅菌行為をなす必要があって、これらの行為を行った場合
ウ ア、イにかかわらず調剤した医薬品を、原料とした医薬品の承認内容と異なる用法・用量あるいは効能・効果で用いる場合は院内製剤加算は算定できない。
第5部の2 投薬(老人医科診療報酬点数表関係)
投薬料の算定は、医科点数表の例によること。
第6部 注射(医科診療報酬点数表関係)
<通則>
1 注射に係る費用は、第1節注射料、第2節薬剤料及び第3節特定保険医療材料料(別に厚生労働大臣が定める保険医療材料のうち注射に当たり使用したものの費用に限る。)に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。
2 生物学的製剤注射加算
(1) 「通則3」の生物学的製剤注射加算を算定できる注射薬は、トキソイド、ワクチン及び抗毒素であり、注射の方法にかかわらず、次に掲げる薬剤を注射した場合に算定できる。
ア (局)乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン
イ 組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)
ウ 組換え沈降B型肝炎ワクチン(チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞由来)
エ 肺炎球菌ワクチン
オ 沈降破傷風トキソイド
カ (局)ガスえそウマ抗毒素
キ 乾燥ガスえそウマ抗毒素
ク (局)乾燥ジフテリアウマ抗毒素
ケ (局)乾燥破傷風ウマ抗毒素
コ (局)乾燥はぶウマ抗毒素
サ (局)乾燥ボツリヌスウマ抗毒素
シ (局)乾燥まむしウマ抗毒素
(2) 区分G005に掲げる中心静脈注射の回路より生物学的製剤を注入した場合は、「通則3」の加算を算定できる。
3 精密持続点滴注射加算
(1) 「通則4」の精密持続点滴注射は、自動輸液ポンプを用いて1時間に30mL以下の速度で体内(皮下を含む。)又は注射回路に薬剤を注入することをいう。
(2) 1歳未満の乳児に対して精密持続点滴注射を行う場合は、注入する薬剤の種類にかかわらず算定できるが、それ以外の者に対して行う場合は、緩徐に注入する必要のあるカテコールアミン、βブロッカー等の薬剤を医学的必要性があって注入した場合に限り算定する。
(3) 区分G005に掲げる中心静脈注射の回路より精密持続点滴注射を行った場合は、「通則4」の加算を算定できる。
(4) 区分G003に掲げる抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入の実施時に精密持続点滴を行った場合は、「通則4」の加算を算定できる。
4 特定入院料等注射の手技料を含む点数を算定した場合は、「通則3」、「通則4」及び「通則5」の加算は算定できない。なお、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている臨床試用医薬品を使用した場合は、第2節薬剤料は算定せず、第1節注射料及び第3節特定保険医療材料料のみ算定する。
5 心臓内注射及び痔核注射等の第1節に掲げられていない注射のうち簡単なものに係る費用については、第2節薬剤料に掲げる所定点数のみ算定する。ただし、胸腔内注入、前房内注射、硝子体内注射、副鼻腔注入及び気管支内薬液注入については、第2章第9部処置又は第10部手術に掲げる所定点数をそれぞれ算定し、これらに係る薬剤料の算定に関しては第2章第5部投薬のF200薬剤の(2)、(3)及び(5)の例による。
6 区分G001に掲げる静脈内注射、区分G004に掲げる点滴注射又は区分G005に掲げる中心静脈注射のうち2以上を同一日に併せて行った場合は、主たるものの所定点数のみ算定する。
7 点滴注射及び中心静脈注射の回路にかかる費用については、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。
8 人工腎臓の回路より注射を行った場合は、当該注射に係る費用は別に算定できない。
第1節 注射料
G000 皮下、筋肉内注射
(1) 入院中の患者以外の患者に対して行った場合にのみ算定し、入院中の患者に行った場合は、1日の薬剤料を合算し、第2節薬剤料のみ算定できる。
(2) 涙のう内薬液注入、鼓室内薬液注入、軟口蓋注射、口蓋ヒヤリー氏点の注射、局所・病巣内薬剤注射、病巣内薬剤注入、皮内注射、子宮腔部注射、耳茸内注射、咽頭注射、腱鞘周囲注射及び血液注射については、皮下・筋肉内注射に準じて算定する。ただし、涙のう内薬液注入については、両眼にそれぞれ異なる薬剤を使用した場合は、片眼ごとに所定点数を算定する。
(3) 複数回の注射を同時に行うこととされるもの(A型ボツリヌス毒素等)については、これらを一連のものとして所定点数を1回のみ算定する。
(4) 区分C101在宅自己注射指導管理料又は区分C108在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分C001に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて皮下、筋肉内注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。
G001 静脈内注射
(1) 入院中の患者以外の患者に対して行った場合にのみ算定し、入院中の患者に行った場合は、1日の薬剤料を合算し、第2節薬剤料のみ算定する。
(2) 区分C101在宅自己注射指導管理料、区分C104在宅中心静脈栄養法指導管理料又は区分C108在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分C001に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて静脈内注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。
G002 動脈注射
「内臓の場合」とは、肺動脈起始部、大動脈弓及び腹部大動脈等深部動脈に対して行う場合であり、「その他の場合」とは、頸動脈、鎖骨下動脈、股動脈、上腕動脈等に対して行う場合をいう。
G003 抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入
(1) ポンプを利用して注入する場合におけるポンプの費用及び当該注入に必要なカテーテル等の材料の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(2) 皮下埋込型カテーテルアクセスを設置して抗悪性腫瘍剤を静脈内又は腹腔内に局所持続注入を行った場合は、抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入に準じて算定する。
G003―3 肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入
(1) 抗悪性腫瘍剤注入用肝動脈塞栓材と抗悪性腫瘍剤を混和して肝動脈内に注入する場合に算定できる。なお、当該注入に必要なカテーテル等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(2) 抗悪性腫瘍剤注入用肝動脈塞栓材の使用量を決定する目的で注入する場合は、その必要性が高い場合に限り、月1回に限り算定できる。
G004 点滴注射
(1) 6歳未満の乳幼児に対する1日分の注射量が100mL未満の場合及び6歳以上の者に対する1日分の注射量が500mL未満の場合は、入院中の患者以外の患者に限り、3に掲げる所定点数で算定する。
(2) 「注射量」は、次のように計算する。
ア 点滴回路より薬物を注入するいわゆる「管注」を行った場合には、「管注」に用いた薬剤及び補液に用いた薬剤の総量。
イ 同一の者に対して、点滴注射を1日に2回以上行った場合には、それぞれの注射に用いた薬剤の総量。
(3) 注2に規定する加算の対象となる「悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するもの」とは、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法(昭和54年法律第55号)第2条第2項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(昭和54年厚生省告示第168号)のうち、悪性腫瘍に対して用いる注射剤をいう。
(4) 注2に規定する加算の対象となる「厚生労働大臣が定める入院患者」とは、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者及び後天性免疫不全症候群の病原体に感染し抗体の陽性反応がある患者であって、無菌治療室管理加算及びHIV感染者療養環境特別加算を算定する患者と同等の状態にある患者をいう。
(5) 注3に掲げる外来化学療法加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、外来化学療法に係る専用室において、悪性腫瘍の治療を目的として抗腫瘍用薬等が投与された場合に算定する。
(6) 血漿成分製剤加算
ア 注5に規定する「文書による説明」とは、1回目の輸注を行う際(当該患者に対して複数回の輸注を行う場合は概ね1週間毎)に、別紙様式15又はこれに準ずる様式により、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)に対して、輸注の必要性、副作用、輸注方法及びその他の留意点等について説明することをいう。
イ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に貼付することとする。
ウ 緊急その他やむを得ない場合は、輸注後に説明を行った場合も算定できるが、この場合輸注後速やかに行うこととする。
エ 注5に規定する血漿成分製剤とは、新鮮液状血漿及び新鮮凍結人血漿等をいい、血漿分画製剤(アルブミン製剤、グロブリン製剤等)は含まれないが、血漿成分製剤に準じ、患者に対して輸注の必要性等の説明を行うよう努めること。なお、血漿成分製剤及び血漿分画製剤の輸注に当たっては、「血液製剤の使用指針」及び「輸血療法の実施に関する指針」(平成11年6月10日医薬発第715号)を遵守するよう努めるものとする。
(7) 区分C101、区分C104又は区分C108に掲げる在宅自己注射指導管理料、在宅中心静脈栄養法指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分C001に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて点滴注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。
G005 中心静脈注射
(1) 中心静脈注射により高カロリー輸液を行っている場合であっても、必要に応じ食事療養を行った場合は、入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時食事療養(Ⅱ)を別に算定できる。
(2) 無菌製剤処理加算
ア 無菌製剤処理とは、無菌室・クリーンベンチ等の無菌環境において、無菌化した器具を用いて、製剤処理を行うことをいう。
イ 無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が行うとともに、その都度、当該処理に関する記録を整備し、保管しておくこと。
(3) 注2に掲げられる血漿成分製剤加算については、G004点滴注射の(5)に規定する血漿成分製剤加算の例による。
(4) 区分C104に掲げる在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(これに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、中心静脈注射の費用は算定できない。
(5) 区分C108に掲げる在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)について、区分C001に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて中心静脈注射を行った場合は当該注射の費用は算定しない。
G005―2 中心静脈注射用カテーテル挿入
(1) 中心静脈圧測定の目的でカテーテルを挿入した場合は、中心静脈注射用カテーテル挿入に準じて算定する。中心静脈注射及び中心静脈圧測定を同一の回路より同時に行った場合は、どちらか一方のみを算定する。
ただし、中心静脈注射及び中心静脈圧測定を別の回路から別のカテーテルを用いて同時に行った場合は、それぞれ材料料及び手技料を算定できる。
(2) カテーテルの詰まり等によりカテーテルを交換する場合は、カテーテルの材料料及び手技料はその都度算定できる。
(3) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。
(4) 区分C104又は区分C108に掲げる在宅中心静脈栄養法指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(これらに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)について、区分C001に掲げる在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて中心静脈注射用カテーテル挿入を行った場合は、カテーテルの材料料及び手技料は別に算定できる。
G006 埋込型カテーテルによる中心静脈栄養
注に規定する無菌製剤処理加算は、G005中心静脈注射の(2)無菌製剤処理加算に規定する事項を満たした場合に算定できる。
G009 脳脊髄腔注射
検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は脳脊髄腔注射のいずれかの所定点数を算定する。
G010 関節腔内注射
(1) 検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は関節腔内注射のいずれかの所定点数を算定する。
(2) 滑液嚢穿刺後の注入については関節腔内注射に準じて算定する。
G012 結膜下注射
(1) 両眼に行った場合は、それぞれに片眼ごとの所定点数を算定する。
(2) 結膜下注射又は眼球注射の実施時に使用された麻薬については、「通則5」の加算は算定できない。
G014 球後注射
テノン氏嚢内注射については、球後注射に準じて算定する。
第2節 薬剤料
G100 薬剤
アレルゲン治療エキス及びアレルゲンハウスダストエキス等によるアレルギー疾患減感作療法において使用した薬剤料については、使用量(やむを得ず廃棄した場合の薬液量を含む。)に応じて薬価により算定する。
第6部の2 注射(老人医科診療報酬点数表関係)
1 老人精神病棟等点滴注射料
(1) 老人精神病棟等入院患者に対して点滴注射を行った場合に、その回数にかかわらず、1日につき29点を算定するものであること。
(2) 原疾患の急性増悪、合併症等により生命に危険が及んでいた場合には、診療報酬明細書に症状等を記載の上、第6部の注のイに掲げる所定点数を算定すること。
(3) その他の取扱い(無菌製剤処理加算及び血漿成分製剤加算の算定方法を含む。)は、健康保険の点滴注射の例によること。
(4) 地方社会保険事務局長に健康保険の無菌製剤処理の届出をし、受理された保険医療機関については、無菌製剤処理の届出があったものとみなして差し支えないこと。
<第6部の注に係る留意事項>
(1) 老人精神病棟等入院患者以外の入院中の患者に対し点滴注射を行った場合は、その回数にかかわらず、入院期間が1年以内の期間にあっては1日につき40点を、入院期間が1年を超える期間にあっては1日につき29点を算定するものであること。
(2) 点滴に係る管理に要する費用は老人入院基本料に含まれるものであること。
(3) その他の取扱い(無菌製剤処理加算及び血漿成分製剤加算の算定方法を含む。)は、健康保険の点滴注射の例によること。
第7部 リハビリテーション(医科診療報酬点数表関係)
<通則>
1 リハビリテーション医療は、基本的動作能力の回復等を目的とする理学療法や、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の回復等を目的とした言語聴覚療法等の治療法より構成され、いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるものである。
2 第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なリハビリテーションのリハビリテーション料は、算定できないものであるが、特殊なリハビリテーションのリハビリテーション料は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテーションとして準用が通知された算定方法により算定する。
3 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。
第1節 リハビリテーション料
H000 心疾患リハビリテーション料
(1) 心疾患リハビリテーション料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った病院である保険医療機関に限って算定できる。
(2) 算定の対象となる患者は、急性心筋梗塞、狭心症又は開心術後の患者であって医師が個別に心疾患リハビリテーションが必要であると認められる者である。
(3) 当該療法を実施するに当たっては、専任の医師は定期的な心機能チェックの下に実施計画を作成し、診療録に記載すること。
(4) 入院中の患者以外の患者に対する当該療法は、1日当たり1時間以上、1週3回を標準とする。
(5) 届出施設である保険医療機関内において治療、訓練の専門施設外で訓練を実施した場合においても、所定点数により算定できる。
H001 理学療法
(1) 理学療法(Ⅰ)、(Ⅱ)及び(Ⅲ)は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、理学療法(Ⅳ)はそれ以外の保険医療機関において算定するものであり、それぞれ基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法・実用歩行訓練・日常生活活動訓練・物理療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。なお、物理療法のみを行った場合には処置料の項により算定する。
(2) 理学療法は、医師の指導監督のもとで行われるものであり、医師又は理学療法士の監視下で行われたものについて算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士が実施した場合と同様に算定できる。
(3) 届出施設である保険医療機関において、治療、訓練の専用施設外で訓練を実施した場合においても、算定できる。
(4) 理学療法の各区分における「個別療法」及び「集団療法」は患者に対して20分以上訓練を行った場合にのみ算定するものであり、訓練時間が20分に満たない場合は、基本診療料に含まれる。
(5) 理学療法の所定点数には、徒手筋力検査及びその他の理学療法に付随する諸検査が含まれる。
(6) 肺機能訓練については、理学療法の所定点数により算定する。この場合、肺機能訓練と同時に行った酸素吸入の費用は、理学療法の所定点数に含まれる。
(7) 「急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者」とは、脳血管疾患、脊髄損傷等の脳・脊髄(中枢神経)外傷、大腿骨頸部骨折、下肢・骨盤等の骨折、上肢骨折又は開腹術・開胸術後の患者、脳腫瘍などの開頭術後、急性発症した脳炎・ギランバレーなどの神経筋疾患、高次脳機能障害、脳性麻痺、四肢(手部・足部を含む。)の骨折・切断・離断・腱損傷、脊椎・肩甲骨・関節の手術後、四肢の熱傷(Ⅱ度の熱傷では体表面積15%以上、Ⅲ度の熱傷では10%以上)、気道熱傷を伴う熱傷、多発外傷、植皮術後及び15歳未満の先天性股関節脱臼症の手術後であり、理学療法が必要と認められる患者をいう。この場合、脳血管疾患とは、急激な意識障害発作を伴った脳内出血、脳塞栓、脳血栓、くも膜下出血、脳動脈瘤破裂等をいい、症状の発現の緩徐な慢性脳循環不全症等はこれに該当しない。
(8) 急性発症した脳血管疾患等の患者について、新たな疾患の発生により、新たに「急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者」に該当することとなった場合は、当該疾患の発症日(開腹術・開胸術後、脳腫瘍など開頭術後、脊椎・肩甲骨・関節の手術後、植皮術後及び15歳未満の先天性股関節脱臼症の手術後の患者については、当該手術の日、高次脳機能障害の患者については「高次脳機能障害診断基準」に基づいた診断がなされた日)をもって新たな発症日とすることができる。なお、脳血管疾患の患者に係る「新たな脳血管疾患が発症した場合」とは、臨床上急激に発症し、画像診断等において新たな発症が確認され、かつ当該疾患への急性期治療がなされた場合を指すものであり、出血性脳梗塞、脳血管攣縮等脳卒中急性期に出現する一連の病態によって生じた症状増悪などはこれに該当しない。
(9) 急性発症した脳血管疾患等の患者に該当する場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に対象となる疾患名及び発症日(又は新たな発症日)につき明記すること。
(10) 従前先天性股関節脱臼後療法として算定されていた治療及び変形徒手矯正術として算定されていた治療のうち、理学療法の算定要件を満たすものについては、理学療法の所定点数により算定する。ただし、基準適合施設以外の保険医療機関においては、理学療法(Ⅳ)の所定点数により算定する。
(11) 理学療法(Ⅰ)及び(Ⅱ)
ア 理学療法(Ⅰ)は、別に厚生労働大臣が定める総合的なリハビリテーションの施設基準(「総合リハビリテーション施設」)に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、総合的に個々の症例に応じて理学療法を行った場合に算定する。
イ 理学療法(Ⅱ)は、別に厚生労働大臣が定める理学療法(Ⅱ)の施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、個々の症例に応じて理学療法を行った場合に算定する。
ウ 理学療法(Ⅰ)及び(Ⅱ)における「個別療法」は、(4)の要件のほか、1人の理学療法士が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士と患者が1対1で行った場合に算定し、実施単位数は理学療法士1人につき1日18単位を限度とする。
また、「集団療法」は、(4)の要件のほか、1人の理学療法士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について、理学療法士の直接的監視のもとに複数の患者に対し行った場合に算定し、実施単位数は理学療法士1人当たり1日のべ54単位を限度とする。
エ 注5に掲げる加算は、当該施設における脳血管疾患等に対する早期の理学療法の効果について評価したものであり、発症後90日を超える場合にあっては算定できない。
オ 注5に掲げる加算を算定するに当たっては、理学療法開始時及び開始後は1月に1回以上、医師、理学療法士等が共同してリハビリテーション実施計画書(別紙様式16―1、別紙様式16―2又はこれらに準ずるもの)を作成し、患者又は家族に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付すること。なお、リハビリテーション総合計画評価料算定患者及び回復期リハビリテーション病棟入院料算定患者については、リハビリテーション総合実施計画書の作成により、リハビリテーション実施計画書の作成に代えることができる。
カ 注5に掲げる加算について、患者が入院している場合には、当該保険医療機関以外の保険医療機関で当該療法が行われたときには算定できない。
キ 注5に掲げる病棟等における早期歩行・ADL等の自立等を目的とした理学療法に係る加算は、訓練室以外の病棟等(屋外を含む。)において、早期歩行自立及び実用的な日常生活における諸活動の自立を目的として、実用歩行訓練・日常生活活動訓練が行われた場合に限り算定できるものであり、訓練により向上させた能力については常に看護師等により日常生活活動に生かされるよう働きかけが行われることが必要である。なお、病棟訓練室及び廊下等で行った平行棒内歩行、基本的動作訓練としての歩行訓練、座位保持訓練等は当該加算の対象としない。
ク 理学療法の実施に当たっては、医師は定期的な運動機能検査をもとに、理学療法の効果判定を行い、理学療法実施計画を作成する必要がある。なお、理学療法を実施する場合は、開始時及びその後3か月に1回以上患者に対して当該理学療法実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
(12) 理学療法(Ⅲ)
ア 理学療法(Ⅲ)は、別に厚生労働大臣が定める理学療法(Ⅲ)の施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、個々の症例に応じて理学療法を行った場合に算定する。
イ 理学療法(Ⅲ)における「個別療法」は、(4)の要件のほか、個別的訓練を行う必要のある患者に行う場合であって、従事者と患者が1対1で行った場合に算定し、実施単位数は従事者1人につき1日18単位を限度とする。
また、「集団療法」は、(4)の要件のほか、1人の従事者が複数の患者に訓練を行うことができる程度の症状の患者に対し同時に複数の患者に対し訓練を行った場合に算定し、実施単位数は従事者1人につき1日のべ54単位を限度とする。
ウ 理学療法士は、医師の指導監督のもとに看護師、あん摩マッサージ指圧師等理学療法士以外の従事者とともに、訓練を受ける全ての患者の運動機能訓練の内容等を的確に把握すること。
エ 理学療法(Ⅱ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が2名以上勤務しているものに限る。)において、運動療法機能訓練技能講習会を受講したあん摩マッサージ指圧師等理学療法士以外の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合に限りア~ウに準じて、理学療法(Ⅲ)の届出を行うことなく理学療法(Ⅲ)を算定できる。なお、この場合に監視に当たる理学療法士が理学療法を行った場合は理学療法(Ⅱ)を算定することができる。
オ 理学療法の実施に当たっては、医師は定期的な運動機能検査をもとに、理学療法の効果判定を行い、理学療法実施計画を作成する必要がある。なお、理学療法を実施する場合は、開始時及びその後3か月に1回以上患者に対して当該理学療法実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
(13) 理学療法(Ⅳ)について
ア 理学療法(Ⅳ)における「個別療法」は、(4)の要件のほか、機械・器具を用いた機能訓練、水中機能訓練、温熱療法、マッサージ等を組み合わせ個々の症例に応じて、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、従事者と患者が1対1で行った場合に算定し、実施単位数は従事者1人につき1日18単位を限度とする。
イ また、「集団療法」は、(4)の要件のほか、1人の従事者が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について行った場合に算定し、実施単位数は従事者1人につき1日のべ54単位を限度とする。
ウ 理学療法の実施に当たっては、医師は定期的な運動機能検査をもとに、理学療法の効果判定を行い、理学療法実施計画を作成する必要がある。なお、6か月を超えて理学療法を実施する場合は、患者に対して当該理学療法実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
H002 作業療法
(1) 作業療法(Ⅰ)は、別に厚生労働大臣が定める総合的なリハビリテーションの施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、総合的に個々の症例に応じて作業療法を行った場合に算定する。
(2) 作業療法(Ⅱ)は、別に厚生労働大臣が定める作業療法(Ⅱ)の施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、個々の症例に応じて作業療法を行った場合に算定する。
(3) 作業療法は、医師の指導監督のもとで行われるものであり、医師又は作業療法士の監視下で行われたものについて算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、作業療法士が実施した場合と同様に算定できる。
(4) 届出施設である保険医療機関において、治療、訓練の専用施設外で訓練を実施した場合においても、算定できる。
(5) 作業療法(Ⅰ)及び(Ⅱ)における「個別療法」は、1人の作業療法士が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、作業療法士と患者が1対1で20分以上訓練を行った場合にのみ算定し、実施単位数は、作業療法士1人につき1日18単位を限度とする。
また、「集団療法」は、1人の作業療法士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について、作業療法士の直接的監視のもとに複数の患者に対し、20分以上訓練を行った場合にのみ算定し、実施単位数は作業療法士1人当たり1日のべ54単位を限度とする。なお、「個別療法」及び「集団療法」いずれについても訓練時間が20分に満たない場合は、基本診療料に含まれる。
(6) 作業療法の所定点数には、日常生活動作検査及びその他の作業療法に付随する諸検査が含まれる。
(7) 作業療法の実施に当たっては、医師は定期的な作業能力検査をもとに作業療法の効果判定を行い、作業療法実施計画を作成する必要がある。なお、作業療法を実施する場合は、開始時及びその後3か月に1回以上患者に対して当該作業療法実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
(8) 注2、注3及び注5における「急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者」の取扱いは、理学療法の例による。
(9) 注5に規定する加算の取扱いは、理学療法の例による。
H002―2 リハビリテーション総合計画評価料
(1) リハビリテーション総合計画評価料は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査等の結果に基づき医師、看護師、理学療法士、作業療法士等が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し、これに基づいて行った理学療法又は作業療法等の効果、実施方法等について共同して評価を行った場合に算定する。
(2) リハビリテーション総合計画評価料の最初の算定が入院中に行われた患者が退院した場合については引き続き入院中の患者であるものとみなして、また、最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合については引き続き入院中以外の患者であるものとみなして算定する。
ただし、当該リハビリテーション総合計画評価料の最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合であって、再度患者の病態等の変化を考慮の上、医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査等をもとに(1)に掲げる要件を満たすリハビリテーション総合実施計画の作成及び評価を行った場合は入院中の患者であるものとして算定する。
(3) 医師等の従事者は、共同してリハビリテーション総合実施計画書(別紙様式17―1又は17―2)を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付する。
H003 言語聴覚療法
(1) 言語聴覚療法は、失語症、構音障害、言語発達障害、難聴に伴う聴覚・言語機能の障害又は人工内耳埋込術後等の言語聴覚機能に障害を持つ患者に対して言語機能又は聴覚機能に係る訓練を行った場合に算定できるものである。
(2) 言語聴覚療法は、医師の指導監督のもとで行われるものであり、医師又は言語聴覚士により実施された場合に算定する。
(3) 「個別療法」は、患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、専用の言語療法室等において言語聴覚士と患者が1対1で20分以上訓練を行った場合に算定し、実施単位数は言語聴覚士1人につき1日18単位を限度とする。
また、「集団療法」は、1人の言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について、専用の言語療法室等において言語聴覚士と患者が1対複数で20分以上訓練を行った場合に算定し、実施単位数は言語聴覚士1人当たり1日のべ54単位を限度とする。なお、「個別療法」及び「集団療法」いずれについても訓練時間が20分に満たない場合は、基本診療料に含まれる。
(4) 言語聴覚療法の実施に当たっては、医師は定期的な言語聴覚機能能力に係る検査をもとに、言語聴覚療法の効果判定を行い、言語聴覚療法実施計画を作成する必要がある。なお、言語聴覚療法を実施する場合は、開始時及びその後3か月に1回以上患者に対して当該言語聴覚療法実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
(5) 注2、注3及び注5における「急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者」の取扱いは、理学療法の例による。
(6) 注5に規定する加算の取扱いは、理学療法の例による。
H004 摂食機能療法
(1) 摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、1回につき30分以上訓練指導を行った場合に限り算定する。なお、摂食機能障害者とは、発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害がある者のことをいう。
(2) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士又は看護師等が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定できる。
H005 視能訓練
(1) 視能訓練は、両眼視機能に障害のある患者に対して、その両眼視機能回復のため矯正訓練(斜視視能訓練、弱視視能訓練)を行った場合に算定できるものであり、1日につき1回のみ算定する。
(2) 斜視視能訓練と弱視視能訓練を同時に施行した場合は、主たるもののみで算定する。
(3) 実施に当たって、医師は個々の患者の症状に対応した診療計画を作成し診療録に記載する。
H006 難病患者リハビリテーション料
(1) 難病患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関において、難病患者の社会生活機能の回復を目的として難病患者リハビリテーションを行った場合に、実施される内容の種類にかかわらず1日につき1回のみ算定する。
(2) 難病患者リハビリテーション料の算定対象は、入院中の患者以外の難病患者であって、要介護者(食事又はトイレに介助が必要な者)及び準要介護者(移動又は入浴に介助が必要な者)であり、医師がリハビリテーションの必要性を認めたものである。
(3) 難病患者リハビリテーションは、個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであるが、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。なお、実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。
(4) 難病患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、同一日に行う他のリハビリテーションは所定点数に含まれるものとする。
(5) 加算の対象となる食事の提供は、あくまで医療上の目的を達成するための手段であり、治療の一環として行われるものに限られる。なお、食事の提供の実施に当たっては、当該保険医療機関内で調理した食事を提供するとともに、関係帳簿を整備する。
第7部の2 リハビリテーション(老人医科診療報酬点数表関係)
1 老人理学療法
(1) 外来移行加算は、当該保険医療機関又は他の保険医療機関において注5に掲げる早期リハビリテーション加算を算定した患者であって、入院中の患者以外の患者に対し、診療に基づきリハビリテーション計画を策定し、当該計画に基づき、老人理学療法(Ⅰ)又は(Ⅱ)の「(1)」を算定した場合に、退院後2月に限り所定点数を算定するものであること。
(2) 外来移行加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に退院日及び注5に掲げる加算が算定された旨を記載することとする。
(3) (1)及び(2)以外の老人理学療法の算定方法については、健康保険の理学療法の算定方法の例によるものとすること。
2 老人作業療法
(1) 外来移行加算は、当該保険医療機関又は他の保険医療機関において注5に掲げる早期リハビリテーション加算を算定した患者であって、入院中の患者以外の患者に対し、診療に基づきリハビリテーション計画を策定し、当該計画に基づき、老人作業療法(Ⅰ)又は(Ⅱ)の「(1)」を算定した場合に、退院後2月に限り所定点数を算定するものであること。
(2) 外来移行加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に退院日及び注5に掲げる加算が算定された旨を記載することとする。
(3) (1)及び(2)以外の老人作業療法の算定方法については、健康保険の作業療法の算定方法の例によるものとすること。
3 老人リハビリテーション総合計画評価料
(1) 老人リハビリテーション総合計画評価料は、老人理学療法(Ⅰ)又は老人作業療法(Ⅰ)に規定する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した保険医療機関において、注に掲げる月に限り1月につき1回のみ算定するものであること。
(2) 老人リハビリテーション総合計画評価料は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査等の結果に基づき医師、看護師、理学療法士、作業療法士等が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し、これに基づいて行った理学療法又は作業療法等の効果、実施方法等について共同して評価を行った場合に算定するものであること。
(3) 老人リハビリテーション総合計画評価料の最初の算定が入院中に行われた患者が退院した場合については引き続き入院中の患者であるものとみなして、また、最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合については引き続き入院中以外の患者であるものとみなして算定するものであること。
ただし、当該老人リハビリテーション総合計画評価料の最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合であって、再度患者の病態等の変化を考慮の上、医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査等をもとに(2)に掲げる要件を満たすリハビリテーション総合実施計画の作成及び評価を行った場合は入院中の患者であるものとして算定するものであること。
(4) 医師等の従事者は、共同してリハビリテーション総合実施計画書(別紙様式17―1又は17―2)を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。
4 入院生活リハビリテーション管理指導料
(1) 入院生活リハビリテーション管理指導料は、療養病棟(本表第1章第2部第1節に規定する老人療養病棟入院基本料の算定に係る老人特別入院基本料を算定すべき基準に適合するものとして届出を行った病棟は除く。)又は、老人有床診療所療養病床入院基本料を算定する診療所において、理学療法士又は作業療法士等が入院中の患者に対して、当該患者の看護若しくは介護を行う者と共同して、日常生活の自立に必要な起居、食事、整容、移動等の日常動作の訓練及び指導を行った場合に患者の入院の日から6月に限り、1週に1回に限り月4回を限度として算定するものであること。
なお、入院の日とは、当該入院生活リハビリテーション管理指導料の対象となる疾病についての入院の日をいうものであり、その取扱い並びに期間計算の方法は、老人入院基本料及び老人初診料の例によるものとすること。
(2) 入院生活リハビリテーション管理指導料は、医師若しくは医師の指示に基づき理学療法士又は作業療法士等が、入院中の患者の病棟において、入院生活リハビリテーション管理指導を週1回以上行った場合に算定するものであること。
(3) 入院生活リハビリテーション管理指導料を算定すべき入院生活リハビリテーション管理指導を行った日においては、老人理学療法及び老人作業療法は算定できないものであること。
(4) 入院生活リハビリテーション管理指導料を算定する場合にあっては、入院生活リハビリテーション管理指導を行った日時、実施者名及びその内容を診療録に記載するものであること。
第8部 精神科専門療法(医科診療報酬点数表関係)
<通則>
精神科専門療法においては、薬剤を使用した場合は、第1節の精神科専門療法料と第2節の薬剤料を合算した点数により、薬剤を使用しない場合は、第1節の精神科専門療法料に掲げる所定点数のみによって算定する。
第1節 精神科専門療法料
I000 精神科電気痙攣療法
(1) 精神科電気痙攣療法とは、100ボルト前後の電流を頭部に短時間通電することを反復し、各種の精神症状の改善を図る療法をいい、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が行った場合に限り、1日1回を限度として算定する。
(2) 精神科電気痙攣療法は、当該療法について十分な知識を有する医師が実施すべきものであり、当該医師以外の介助者の立ち合いの下に、何らかの副作用が生じた際に適切な処置が取り得る準備の下に行われなければならない。
(3) マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴った精神科電気痙攣療法を実施する場合は、当該麻酔に要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、当該麻酔に伴う薬剤料及び特定保険医療材料料は別途算定できる。
I001 入院精神療法
(1) 入院精神療法(簡便型精神分析療法を含む。以下この項において同じ。)とは、入院中の統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下本項において「対象精神疾患」という。)の患者に対して、一定の治療計画に基づいて精神面から効果のある心理的影響を与えることにより、対象精神疾患に起因する不安や葛藤を除去し、情緒の改善を図り洞察へと導く治療方法をいう。
(2) 入院精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神保健指定医その他の精神科を担当する医師が、当該保険医療機関内の精神療法を行うにふさわしい場所において、対象精神疾患の患者に対して必要な時間行った場合に限り算定する。また、対象精神疾患の合併症等である知的障害、痴呆、心身症及びてんかんに対して入院精神療法が行われた場合にも算定できる。
(3) 入院精神療法として算定できる回数は、医学的に妥当と認められる回数を限度とする。なお、入院精神療法は、集団的に行われた場合には、算定できない。
(4) 入院精神療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。入院精神療法(Ⅰ)にあっては、更に当該療法に要した時間及びその要点を診療録に記載する。
(5) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(6) 重度の精神障害者とは、措置入院患者、医療保護入院患者及び任意入院であるが何らかの行動制限を受けている患者等をいう。
(7) 入院精神療法(Ⅰ)を行った週と同一週に行われた入院精神療法(Ⅱ)は別に算定できない。
(8) 入院中の対象精神疾患の患者に対して、心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を併せて行った場合であっても、入院精神療法のみにより算定する。
(9) 当該患者に対して、同じ日に入院精神療法と標準型精神分析療法を行った場合は標準型精神分析療法により算定する。
I002 通院精神療法
(1) 通院精神療法(簡便型精神分析療法を含む。以下この項において同じ。)とは、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下本項において「対象精神疾患」という。)のため社会生活を営むことが著しく困難な通院患者(通院患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該通院患者の家族)に対して、医師が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。
(2) 通院精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。また、対象精神疾患の合併症である知的障害、痴呆、心身症及びてんかんに対して通院精神療法が行われた場合にも算定できる。
(3) 通院精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。
(4) 通院精神療法は、初診時には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該通院精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に通院精神療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。
(5) 当該患者の家族に対する通院精神療法は、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り算定する。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。家族に対して通院精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像2 (2KB)
と記載する。
(6) 通院精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。
(7) 患者に対して通院精神療法を行った日と同一の日に家族に対して通院精神療法を行った場合における費用は、患者に対する通院精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。
(8) 入院中の患者以外の対象精神疾患を有する患者に対して、通院精神療法に併せて心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を併せて行った場合であっても、通院精神療法のみにより算定する。
(9) 当該患者に対する通院精神療法を算定した場合は、同じ日に標準型精神分析療法は算定できない。
(10) 「1」は精神保健指定医又はこれに準ずる者(精神保健指定医であった医師及び旧精神衛生法に規定する精神衛生鑑定医であった医師をいう。)により初診時に通院精神療法が行われた場合に限り初診時にのみ算定できる。なお、この場合においても他の初診時と同様に診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。
I003 標準型精神分析療法
(1) 標準型精神分析療法とは、口述による自由連想法を用いて、抵抗、転移、幼児体験等の分析を行い解釈を与えることによって洞察へと導く治療法をいい、当該療法に習熟した医師により行われた場合に、概ね月6回を標準として算定する。また、精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関において、標準型精神分析療法に習熟した心身医学を専門とする医師が当該療法を行った場合においても算定できる。
(2) 口述でなく筆記による自由連想法的手法で行う精神分析療法は、1時間以上にわたるような場合であっても、入院中の患者にあっては区分「I001」入院精神療法により、入院中の患者以外の患者にあっては区分「I002」通院精神療法により算定する。
(3) 標準型精神分析療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。
I004 心身医学療法
(1) 心身医学療法とは、心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法をいう。この心身医学療法には、自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれる。
(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する。
(3) 心身医学療法は、初診時には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。
(4) 心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の傷病名欄において、心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載する。
例 「胃潰瘍(心身症)」
(5) 心身医学療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。
(6) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(7) 入院精神療法、通院精神療法又は標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない。
I005 入院集団精神療法
(1) 入院集団精神療法とは、入院中の統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害及び精神症状を伴う脳器質性障害等の患者に対して、一定の治療計画に基づき、言葉によるやりとり、劇の形態を用いた自己表現等の手法により、集団内の対人関係の相互作用を用いて、対人場面での不安や葛藤の除去、患者自身の精神症状・問題行動に関する自己洞察の深化、対人関係技術の習得等をもたらすことにより、病状の改善を図る治療法をいう。
(2) 入院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。
(3) 1回に15人を限度とし、1日につき1時間以上実施した場合に、入院の日から起算して6月に限り週2回を限度として算定する。この場合、個々の患者について、精神科医師による治療計画が作成されていることが必要である。なお、入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。
(4) 入院集団精神療法に使用する十分な広さを有する当該医療機関内の一定の場所及びその場所を使用する時間帯を予め定めておくこと。
(5) 入院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(6) 入院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
I006 通院集団精神療法
(1) 通院集団精神療法とは、入院中の患者以外の統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、人格障害及び精神症状を伴う脳器質性障害等の患者に対して、一定の治療計画に基づき、集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法をいう。
(2) 通院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は臨床心理技術者等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。
(3) 1回に10人を限度とし、1日につき1時間以上実施した場合に、開始日から6月に限り週2回を限度として算定する。
(4) 通院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(5) 通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
I007 精神科作業療法
(1) 精神科作業療法は、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日につき2時間を標準とする。
(2) 1人の作業療法士が、1人以上の助手とともに当該療法を実施した場合に算定する。この場合の1日当たりの取扱い患者数は、概ね25人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日3単位75人以内を標準とする。
(3) 精神科作業療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該保険医療機関の負担とする。
I008 入院生活技能訓練療法
(1) 入院生活技能訓練療法とは、入院中の精神疾患を有する患者に対して、行動療法の理論に裏付けられた一定の治療計画に基づき、観察学習、ロールプレイ等の手法により、服薬習慣、再発徴候への対処技能、着衣や金銭管理等の基本生活技能、対人関係保持能力及び作業能力等の獲得をもたらすことにより、病状の改善と社会生活機能の回復を図る治療法をいう。
(2) 精神科を標榜している保険医療機関において、経験のある2人以上の従事者が行った場合に限り算定できる。この場合、少なくとも1人は、看護師、准看護師又は作業療法士のいずれかとし、他の1人は精神保健福祉士、臨床心理技術者又は看護補助者のいずれかとすることが必要である。なお、看護補助者は専門機関等による生活技能訓練、生活療法又は作業療法に関する研修を終了したものでなければならない。
(3) 対象人数及び実施される訓練内容の種類にかかわらず、患者1人当たり1日につき1時間以上実施した場合に限り、週1回を限度として算定できる。
(4) 1人又は複数の患者を対象として行った場合に算定できるが、複数の患者を対象とする場合は、1回に15人を限度とする。ただし、精神症状の安定しない急性期の精神疾患患者は、対象としない。
(5) 当該療法に従事する作業療法士は、精神科作業療法の施設基準において、精神科作業療法に専従する作業療法士の数には算入できない。また、当該療法に従事する看護師、准看護師及び看護補助者が従事する時間については、入院基本料の施設基準における看護職員の数に算入できない。
(6) 入院生活技能訓練療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録に記載する。
(7) 入院生活技能訓練療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
(8) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。
I009 精神科デイ・ケア
(1) 精神科デイ・ケアは精神障害者の社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。なお、この実施に当たっては、患者の症状等に応じ応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。
(2) 精神科デイ・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、精神科デイ・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。
(3) 同一の保険医療機関で精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア及び精神科デイ・ナイト・ケアを開始した日から起算して3年を超える場合には、精神科デイ・ケア等の実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。
(4) 加算の対象となる食事の提供は、あくまでも医療上の目的を達成するための手段であり、治療の一環として行われた場合に算定する。
(5) 食事の提供の実施に当たっては、概ね入院時食事療養(Ⅰ)の基準に準じるものとし、関係帳簿を整備する。