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(7) 老人薬剤情報提供料は、処方に係るすべての薬剤についての情報を提供した場合に算定するものであること。

第2部 在宅医療(医科診療報酬点数表関係)

<通則>

在宅医療の費用は、第1節在宅患者診療・指導料、第2節在宅療養指導管理料、第3節薬剤料及び第4節特定保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数により算定する。

第1節 在宅患者診療・指導料

1 保険医療機関は、C000往診料、C001在宅患者訪問診療料、C005在宅患者訪問看護・指導料、C006在宅訪問リハビリテーション指導管理料、C008在宅患者訪問薬剤管理指導料、C009在宅患者訪問栄養食事指導料又はI012精神科訪問看護・指導料(以下「訪問診療料等」という。)のうち、いずれか1つを算定した日においては、他のものを算定できない。

ただし、在宅患者訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

2 一の保険医療機関が訪問診療料等のいずれか1つを算定した日については、当該保険医療機関と特別の関係にある他の保険医療機関は訪問診療料等を算定できない。

ただし、在宅患者訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

3 保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーションが、当該保険医療機関の医師から訪問看護指示書の交付を受けた患者について、訪問看護療養費を算定した日においては、当該保険医療機関は訪問診療料等を算定できない。

ただし、当該訪問看護を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

C000 往診料

(1) 往診料は、患家の求めに応じて患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであり、定期的ないし計画的に患家に赴いて診療を行った場合には算定できない。

(2) 緊急往診加算は、保険医療機関において、標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事している時に、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて往診を行った場合に算定する。

(3) 「注1」に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、保険医療機関において専ら診療に従事している時間であって、おおむね午前8時から午後1時までの間とする。

(4) 「注1」の加算の対象となる緊急な場合とは、患者又は現にその看護に当たっている者からの訴えにより、速やかに往診しなければならないと判断した場合をいい、具体的には、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合をいう。

(5) 「注1」における所定点数とは、往診料に「注2」及び「注4」における加算点数を合算した点数をいう。

(6) 夜間(深夜の時間帯を除く。)とは概ね午後6時から翌日の午前6時まで、又は午後7時から翌日の午前7時までのように、12時間を標準として各都道府県において統一的取扱いをすることとし、深夜の取扱いについては、午後10時から午前6時までとする。

(7) 「注2」における診療時間とは、実際に診療に当たっている時間をいう。交通機関の都合その他診療の必要以外の事由によって患家に滞在又は宿泊した場合においては、その患家滞在の時間については、診療時間に算入しない。

(8) 同一の患家で2人以上の患者を診療した場合は、2人目以降の患者については往診料又は在宅患者訪問診療料を算定せず、初診料又は再診料若しくは外来診療料及び特掲診療料を算定する。この場合において、2人目以降のそれぞれの患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、往診料の「注2」の加算又は在宅患者訪問診療料の「注3」の加算の点数を算定する。

(9) 往診又は訪問診療を行った後に、患者又はその家族等が単に薬剤を取りに医療機関に来た場合は、再診料又は外来診療料は算定できない。

(10) 「注3」に規定する加算は、患者が居宅で死亡した場合であって、死亡日に往診を行い、死亡診断を行った場合に算定する。

(11) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える往診については、当該保険医療機関からの往診を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであって、この場合の往診料の算定については、16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注1」、「注2」、「注3」により算定する。この絶対的に必要であるという根拠がなく、特に患家の希望により16キロメートルを超える往診をした場合の往診料は保険診療としては算定が認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、当該保険医療機関を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に患家が所在する場合をいう。

(12) (11)にかかわらず、往診距離が片道16キロメートルを超えて又は海路によりアの適用地域に往診した場合であって、イの各号の一に該当する特殊の事情があったときの往診料は、ウの算定方法によって算定する。

ア 適用地域

次の各号の一に該当する地域であって、イに掲げる特殊の事情のいずれかが一般的に存するものについて、地方社会保険事務局長が厚生労働大臣の承認を得て指定した地域とする。

なお、指定地域が指定要件を欠くに至ったときは、当局に内議のうえ、すみやかに地域の指定を取り消すものとする。

i 医療機関のない島の地域又は通例路程の大部分を海路による以外に往診することが困難な事情にある地域であって医療機関のないもの。(以下「1号地域」という。地域の単位は、原則として、島、部落又は小字とする。)

ii 1号地域以外の地域であって、最寄りの医療機関からの往診距離が片道16キロメートルを超えるもの。(以下「2号地域」という。地域の単位は、原則として、部落又は小字とする。)

イ 特殊の事情

i 定期に航行する船舶がないか、又は定期に航行する船舶があっても航行回数がきわめて少ないか、若しくは航行に長時間を要すること。

ii 海上の状態や気象条件がきわめて悪いため、又は航路に暗礁が散在するため、若しくは流氷等のため航行に危険が伴うこと。

iii 冬期積雪の期間通常の車両の運行が不能のため往診に相当長時間を要する事情にあること、又は道路事情がきわめて悪く、相当の路程を徒歩によらなければならないため、往診に相当長時間を要する事情にあること。

ウ 算定方法

往診料の項に定める算定方法に準じて算定した点数(650点に「注1」、「注2」又は「注3」による点数を加算した点数)に、次の点数(1号地域については次のiの(ア)及び(イ)により算出した点数、2号地域については、次のiiにより算出した点数)を加算する。

i 1号地域に対する往診の場合

(ア) 波浪時(波浪注意報の出ていたとき又は波浪により通常の航海時間のおおむね1.5倍以上を要したときとする。)であった海路につき海路距離が片道1キロメートル又はその端数を増すごとに所定点数に「注2」に規定する点数の100分の150を加算した点数。(往復の場合は100分の200、片道の場合は100分の100とする。)

(イ) 適用地域における往診に必要とした滞在時間(島に上陸したときから離島するまでの時間)については30分又はその端数を増すごとに100点を加算する方法で算出した点数の100分の200に相当する点数。

ii 2号地域に対する往診の場合

往診のため保険医が当該保険医療機関を出発してから帰院するまでの往診時間について、30分又はその端数を増すごとに100点を加算する方法で算出した点数の100分の300に相当する点数。

(13) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートル以上の地域に居住する保険医に対して主治医が往診による対診を求めることができるのは、患家付近に他の保険医がいない、いても専門外である、旅行中で不在である等やむを得ない絶対的理由のある場合に限られるものである。

(14) 「注5」に規定する交通費は実費とする。

(15) 交通費には自家用車による費用を含む。

(16) 自転車、スクーター等の費用は往診料に含まれているので前項は適用されず、したがって「注5」に規定する患家の負担となる交通費には該当しない。

(17) 往診を求められて患家へ赴いたが、既に他医に受診していたため、診察を行わないで帰った場合の往診料は、療養の給付の対象としない扱いとする。したがって患者負担とする。

(18) 特定の被保険者の求めに応ずるのではなく、保険診療を行う目的をもって定期又は不定期に事業所へ赴き、被保険者(患者)を診療する場合は、往診料として取り扱うことは認められない。

(19) 数事業所の衛生管理医をしている保険医が、衛生管理医として毎日又は定期的に事業所に赴いた(巡回)際、当該事業所において常態として診療を行う場合は、(18)と同様である。

(20) 同一保険医が2カ所の保険医療機関を開設している場合の往診料は、往診の依頼を受けた医療機関を起点とするのではなく、当該保険医が患家に赴くために出発した保険医療機関から患家までの距離により算定する。

C001 在宅患者訪問診療料

(1) 在宅患者訪問診療料の算定の対象となる患者は、居宅で療養を行っており、疾病、傷病のために通院による療養が困難なものとする。ただし、医師又は看護師等が配置されている施設に入所している患者については算定の対象としない。

(2) 在宅患者訪問診療料は、1人の患者に対して1保険医療機関の指導管理の下に継続的に行われる訪問診療について、1日につき1回に限り算定するが、初診料を算定した初診の日には算定できない。

(3) 在宅患者訪問診療料の算定は週3回を限度とするが、次に掲げる患者についてはこの限りでない。

【厚生労働大臣が定める患者等】

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類のステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を装着している患者

(4) 診療に基づき患者の病状の急性増悪、終末期等により一時的に週4回以上の頻回な訪問診療の必要を認め、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定め、当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し、診療を行った場合には、

ア 当該訪問診療が必要な旨

イ 当該訪問診療の必要を認めた日

ウ 当該訪問診療を行った日

を診療報酬明細書に付記することにより、1月に1回に限り、当該診療を行った日から14日以内について14日を限度として算定することができる。

(5) 定期的・計画的な訪問診療を行っている期間における緊急の場合の往診の費用の算定については、在宅患者訪問診療料は算定せず、往診料及び再診料又は外来診療料を算定する。ただし、当該緊急往診を必要とした症状が治まったことを主治医が判断した以降の定期的訪問診療については、在宅患者訪問診療料の算定対象とする。

(6) 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(7) 在宅ターミナルケア加算は、在宅患者訪問診療料を1か月以上算定する患者が、在宅で死亡した場合に算定する。

(8) 「注5」に規定する加算は、患者が居宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。

(9) 患家における診療時間が1時間を超える場合の加算の算定方法、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合又は海路による訪問診療を行った場合であって特殊な事情があった場合の在宅患者訪問診療料の算定方法及び訪問診療に要した交通費の取扱いは、往診料の例による。

(10) 「注8」に規定する交通費は実費とする。

C002 在宅時医学管理料

(1) 在宅時医学管理料は、厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た診療所又は許可病床数が200床未満の病院において、毎週1回以上又は月に4回以上継続して訪問診療を行った場合に、月1回に限り算定する。

ただし、月に4回以上行う場合にあっては、訪問診療と訪問診療との間隔はいずれも10日以内であることが必要である。

(2) 当該保険医療機関において主として当該患者の診療に当たる医師(以下本項において「主治医」という。)は、次に掲げる緊急時の連絡・対応体制の確保等を行うとともに、毎週1回程度以上訪問診療を行わなければならない。

ア 患者又はその看護に当たる家族等(以下本項において「患者等」という。)から常時連絡できる体制を確保すること。

イ 患者等からの連絡に対して適切な指示又は往診が常時できる体制を確保すること。

ウ 緊急時の連絡方法(医師の氏名、緊急時の連絡先の電話番号等)、緊急時の入院体制を予め患者等に文書で説明すること。

(3) 当該患者に対する緊急時の連絡・対応体制については、当該保険医療機関と連携を有する保険医療機関(以下本項において「連携保険医療機関」という。)との共同により確保する場合でも算定の対象となる。

ただし、この場合にあっては、緊急時には連携保険医療機関の医師が連絡・対応に当たることが有り得る旨を患者等に説明するとともに、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関に文書(ファクシミリを含む。)により適宜提供し、当該提供した診療情報を主治医は当該患者の診療録に添付する。

なお、この連携に係る診療情報提供に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 複数の保険医療機関の連携によって緊急時の連絡・対応体制をとっている場合、在宅時医学管理料は、主治医が属する保険医療機関において算定する。

(5) 当該患者の病状急変時等に、連携保険医療機関の医師が緊急に電話対応又は往診等を行った場合には、初診料、再診料、往診料等は、電話対応又は往診等を行った医師の属する保険医療機関が算定する。

この際、当該患者の病状急変等に対応して電話対応又は往診等を行ったこと及びその際の診療内容等を、在宅時医学管理料を算定する保険医療機関の主治医に速やかに報告し、当該主治医は治療の要点を当該患者の診療録に記載することが必要である。ただし、これに係る診療情報提供の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 算定の対象となる患者について、総合的な在宅医療計画を策定し、これに基づき当該在宅患者に対して、訪問診療等を積極的に行うとともに、他の保健、福祉サービスとの連携に努めること。なお、在宅時医学管理は、同一の患者に対して継続的に行うことが望ましい。

(7) 在宅医療計画の要点を当該患者の診療録に記載すること。また、在宅時医学管理料の算定対象患者のうち、被保険者証の傷病名欄への所定事項の記載が可能なものについては、「在医管」と記載することとする。

当該保険医療機関以外の保険医療機関が、当該患者に対して「注2」に規定する別に厚生労働大臣が定める診療を行おうとする場合で、被保険者証で確認できない場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅時医学管理料の算定の有無を確認すること。

(8) 区分「B000」特定疾患療養指導料、区分「B001」の「5」小児科療養指導料、同区分の「7」難病外来指導管理料、同区分の「8」皮膚科特定疾患指導管理料、同区分の「18」小児悪性腫瘍患者指導管理料、区分「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(9) 在宅時医学管理料の算定対象患者が診療科の異なる他の保険医療機関を受診する場合には、主治医は診療の状況を示す文書を当該保険医療機関に交付する等、十分な連携を図るよう努めること。

C003 在宅末期医療総合診療料

(1) 在宅末期医療総合診療料は、厚生労働大臣の定める施設基準に適合するものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関が、居宅において療養を行っている通院が困難な末期の悪性腫瘍患者に対して、計画的な医学管理の下に、次に掲げる基準のいずれにも該当する総合的な医療を提供した場合に、1週間(日曜日から土曜日の暦週をいう。本項において同じ。)を単位として当該基準を全て満たした日に算定する。ただし、1週間のうちに全ての要件を満たさなかった場合、1週間のうちに在宅医療と入院医療が混在した場合、医師又は看護師等が配置されている施設に入所している患者等の場合には算定できない。

ア 当該患者に対し、訪問診療又は訪問看護を行う日が週4日以上であること。

イ 訪問診療の回数が週1回以上であること。

ウ 訪問診療及び訪問看護の回数(訪問診療を行った日又は往診料を算定した日に行った訪問看護の回数を含む。)があわせて週4回以上であること。

(2) 当該保険医療機関において主として当該患者の診療に当たる医師(以下本項において「主治医」という。)は、次に掲げる緊急時の連絡・対応体制の確保等を行わなければならない。

ア 患者又はその看護に当たる家族等(以下本項において「患者等」という。)が主治医又は主として当該患者の訪問看護を担当する看護師等(以下本項において「担当看護師等」という。)に常時連絡できる体制を確保すること。

イ 患者等からの緊急の連絡に対し、適切な指示、往診又は訪問看護が常時できる体制を確保すること。

ウ 緊急時の連絡方法(主治医、担当看護師等の氏名、緊急時の連絡先の電話番号等)、緊急時の入院体制、訪問診療及び訪問看護計画を予め患者等に文書で説明すること。

(3) 当該患者に対する緊急時の連絡・対応体制及び訪問看護の実施については、当該保険医療機関と連携を有する保険医療機関又は訪問看護ステーション(以下本項において「連携保険医療機関等」という。)との共同により確保する場合でも算定の対象となる。

ただし、この場合にあっては、緊急時の連絡・対応又は訪問看護を連携保険医療機関等の医師又は看護師等が行うことが有り得ることを予め患者等に説明するとともに、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関等に文書(ファクシミリを含む。)により随時提供し、当該提供した診療情報を主治医は当該患者の診療録に添付する。なお、この連携に係る診療情報提供に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 連携保険医療機関等と共同で訪問看護を行い、又は緊急時の連絡・対応体制をとっている場合は、当該患者の訪問看護、緊急時等の電話対応及び往診に係る費用は主治医の属する保険医療機関において一括して算定する。

(5) 連携保険医療機関等が当該患者に訪問看護を行った場合又は当該患者の病状急変時等に連携保険医療機関等の医師が電話対応若しくは往診を行った場合は、当該連携保険医療機関等は、診療内容等を在宅末期医療総合診療料を算定する保険医療機関の主治医に速やかに報告し、当該主治医は診療内容等の要点を当該患者診療録に記載する必要がある。ただし、これに係る診療情報提供の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 算定の対象となる患者について、総合的な在宅医療計画を策定し、これに基づいて訪問診療及び訪問看護を積極的に行うとともに、他の保健、福祉サービスとの連携に努めること。

なお、在宅末期医療総合診療は、同一の患者に対して継続的に行うことが望ましい。

(7) 在宅医療計画の要点を当該患者の診療録に記載すること。また、在宅末期医療総合診療料の算定対象患者のうち、被保険者証の傷病名欄への所定事項の記載が可能なものについては、「在医総」と記載することとする。

当該保険医療機関以外の保険医療機関が、当該患者に対して診療を行おうとする場合で、被保険者証で確認できない場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅末期医療総合診療料の算定の有無を確認すること。

(8) 1週間のうち院外処方せんを交付した日がある場合は、当該1週間分を「1」で算定し、それ以外の場合は「2」で算定する。

なお、当該診療を開始又は終了(死亡による場合を含む。)した週にあって、当該1週間のうちに(1)に掲げる基準を満たした場合には、当該診療の対象となった日数分について算定する。

(9) 当該患者の診療に係る費用は、(10)の往診に係る費用及び「注2」の加算を除き、すべて所定点数に含まれる。ただし、同一月において在宅末期医療総合診療料が算定された日の前日までに算定された検体検査判断料等については、別に算定できる。

(10) 週3回以上の訪問診療を行った場合であって、訪問診療を行わない日に患家の求めに応じて緊急に往診を行った場合には、在宅末期医療総合診療料とは別に週2回を限度として往診料(加算を含む。)を算定できる。

(11) 「注2」に規定する加算は、患者が居宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。

(12) 「注4」に規定する交通費は実費とする。

C004 救急搬送診療料

(1) 救急用の自動車とは、消防法(昭和23年法律第186号)及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車、並びに道路交通法(昭和35年法律第105号)及び道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)に規定する緊急自動車であって当該保険医療機関に属するものをいう。

(2) 「救急医療対策事業実施要綱」(昭和52年7月6日医発第629号)第11に規定するドクターヘリ導入促進事業に係るドクターヘリにより搬送される患者に対して、ドクターヘリ内において診療を行った場合についても救急搬送診療料を算定することができる。

(3) 診療を継続して提供した場合、初診料、再診料又は外来診療料は、救急搬送の同一日に1回に限り算定する。

(4) 搬送先の保険医療機関の保険医に立会診療を求められた場合は、初診料、再診料又は外来診療料は1回に限り算定し、往診料は併せて算定できない。ただし、患者の発生した現場に赴き、診療を行った後、救急用の自動車等に同乗して診療を行った場合は、往診料を併せて算定できる。

(5) 入院患者を他の保険医療機関に搬送した場合、入院基本料を算定した日には救急搬送診療料は算定できない。

(6) 「注2」の加算は、6歳未満の乳幼児に対して救急搬送診療料を算定する場合に加算する。

C005 在宅患者訪問看護・指導料

(1) 在宅患者訪問看護・指導料は、居宅において療養を行っている通院困難な患者の病状に基づいて訪問看護・指導計画を作成し、かつ、当該計画に基づき実際に患家を定期的に訪問し、看護及び指導を行った場合に、1日に1回を限度として算定する。ただし、医師又は看護師が配置されている施設に入所している患者については、算定の対象としない。

(2) 在宅患者訪問看護・指導料は、在宅患者訪問看護・指導を実施する保険医療機関において医師による診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。

ただし、当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、在宅患者訪問診療料を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して在宅患者訪問看護・指導料を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(区分「B010」診療情報提供料(B)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する。

(3) 在宅患者訪問看護・指導料の算定は週3日を限度とするが、厚生労働大臣が定める疾病等の患者については週4日以上算定できる。

【厚生労働大臣が定める疾病等の患者】

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類のステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を装着している患者

(4) 診療に基づき、患者の病状の急性増悪、終末期等により一時的に週4日以上の頻回の訪問看護が必要であると認められた患者(厚生労働大臣が定める疾病等の患者を除く。)については、月1回に限り、当該診療を行った日から14日以内の期間において、14日を限度として算定できる。

当該患者が介護保険法(平成9年法律第123号)第62条に規定する要介護被保険者等である場合には、診療録に頻回の訪問看護が必要であると認めた理由及び頻回の訪問看護が必要な期間(ただし14日間以内に限る。)を記載すること。

(5) (3)又は(4)により、週4回以上在宅患者訪問看護・指導料を算定する場合は、在宅患者訪問看護・指導料の「1」の「ロ」又は「2」の「ロ」により算定する。

(6) 「1」の助産師による在宅患者訪問看護・指導料の算定の対象となる患者は、居宅において療養を行っている通院困難な妊産婦及び乳幼児であって、疾病等に係る療養上の指導等が必要な患者であり、療養上必要と認められない一般的保健指導を専ら行う場合は算定しない。

(7) 訪問看護計画は、医師又は保健師、助産師若しくは看護師が患家を訪問し、患者の家庭における療養状況を踏まえて作成し、当該計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、患者の病状に変化があった場合には適宜見直す。

訪問看護計画には、看護及び指導の目標、実施すべき看護及び指導の内容並びに訪問頻度等を記載すること。

(8) 医師は、保健師、助産師、看護師又は准看護師に対して行った指示内容の要点を診療録に記載すること。また、保健師、助産師又は看護師が准看護師に対して指示を行ったときは、その内容の要点を記録にとどめておくこと。

(9) 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、患者の体温、血圧等基本的な病態を含む患者の状態並びに行った指導及び看護の内容の要点を記録にとどめておくこと。

(10) 他の保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料を算定している患者については、在宅患者訪問看護・指導料を算定できない。ただし、保険医療機関を退院後1月以内の患者に対して当該保険医療機関が行った在宅患者訪問看護・指導については、この限りではない。

(11) 保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーション又は当該保険医療機関の医師が訪問看護指示書を交付した訪問看護ステーションにおいて、訪問看護療養費又は老人訪問看護療養費を算定した月については、在宅患者訪問看護・指導料を算定できない。ただし、(3)の厚生労働大臣の定める疾病等の患者については、この限りでない。

(12) 「注2」に規定する加算(難病等複数回訪問加算)は、(3)の厚生労働大臣の定める疾病等の患者又は月に14日を限度として算定する患者に対して、1日に2回又は3回以上訪問看護・指導を実施した場合に算定する。

(13) 「注3」のターミナルケア加算は、在宅患者訪問看護・指導料を1か月以上算定し、かつ、その死亡前24時間以内にターミナルケアを行った場合に算定する。

(14) 「注4」の在宅移行管理加算は、当該保険医療機関を退院した次のいずれかに該当する患者又はその家族からの相談等に対して、24時間対応できる体制が整備されている保険医療機関において、当該対象患者の退院後1月以内に訪問看護・指導料を4回以上算定した場合に、患者1人につき1回限り算定する。

ア 在宅自己腹膜灌流指導管理料、在宅血液透析指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、在宅自己導尿指導管理料、在宅人工呼吸指導管理料、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料、在宅悪性腫瘍患者指導管理料、在宅自己疼痛管理指導管理料、在宅肺高血圧症患者指導管理料又は在宅気管切開患者指導管理料のうちいずれかを算定している患者

イ 気管カニューレ、ドレーンチューブ又は留置カテーテルを使用している患者

ウ 人工肛門又は人工膀胱を設置している患者であってその管理に配慮を必要とする患者

エ 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している患者

(15) 在宅患者訪問看護・指導の実施に当たっては、保険医療機関における看護業務に支障を来すことのないよう留意するとともに、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分留意する。

(16) 「注5」に規定する交通費は実費とする。

C005―2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料

(1) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、居宅において療養を行っている通院困難な患者であって、当該患者の主治医の診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、当該保険医療機関の看護師等に対して指示を行い、その内容を診療録に記載した場合又は指定訪問看護事業者に別紙様式12又は別紙様式14を参考に作成した在宅患者訪問点滴注射指示書に指示内容を記載して指示を行った場合において、併せて使用する薬剤、回路等、必要十分な保険医療材料、衛生材料を供与し、1週間のうち3日以上点滴注射を実施した場合に3日目に算定する。

(2) 点滴注射指示に当たっては、その必要性、注意点等を点滴注射を実施する看護師等に十分な説明を行うこと。

(3) 点滴注射を実施する看護師等は、患者の病状の把握に努めるとともに、当該指示による点滴注射の終了日及び必要を認めた場合には主治医への連絡を速やかに行うこと。

(4) 主治医は、患者、患者の家族又は看護師等から容態の変化等についての連絡を受けた場合は、速やかに対応すること。

(5) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定する場合には、必要な回路等の費用については所定点数に含まれており、別に算定できない。

(6) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料に係る薬剤料は別に算定できる。

(7) 週3日以上実施できなかった場合においても、使用した分の薬剤料は算定できる。

C006 在宅訪問リハビリテーション指導管理料

(1) 在宅訪問リハビリテーション指導管理料は、居宅で療養を行っており、疾病、傷病のために通院してリハビリテーションを受けることが困難な患者又はその家族等患者の看護に当たる者に対して、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、医師の診療に基づき、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させてリハビリテーションの観点から療養上必要な指導を20分以上行った場合に算定する。

(2) 在宅訪問リハビリテーション指導管理料の算定は週3回を限度(末期の悪性腫瘍の患者の場合を除く。)とし、1日につき1回に限る。

(3) 在宅訪問リハビリテーション指導管理料は、在宅患者訪問診療を実施する保険医療機関において医師の診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。

ただし、当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、在宅患者訪問診療料を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して在宅患者リハビリテーション指導管理を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(区分「B010」診療情報提供料(B)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する。

(4) 指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、言語機能又は聴覚機能等に関する指導とする。

(5) 医師は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。

(6) 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点及び指導に要した時間を記録にとどめておく。

(7) 他の保険医療機関において在宅訪問リハビリテーション指導管理料を算定している患者については、在宅訪問リハビリテーション指導管理料を算定できない。

(8) 介護老人保健施設において、通所リハビリテーションを受けている月については、在宅訪問リハビリテーション指導管理料を算定できない。

(9) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

C007 訪問看護指示料

(1) 訪問看護指示料は、居宅で療養を行っており、疾病、負傷のために通院による療養が困難な患者に対する適切な在宅医療を確保するため、指定訪問看護に関する指示を行うことを評価するものであり、患者の主治医(患者が選定する保険医療機関の保険医に限る。)が、診療に基づき指定訪問看護の必要性を認め、当該患者の同意を得て、別紙様式12及び13を参考に作成した訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に算定する。なお、1か月の指示を行う場合には、訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない。

(2) 指定訪問看護の指示は、当該患者に対して主として診療を行う保険医療機関が行うことを原則とし、訪問看護指示料は、退院時に1回算定できるほか、在宅で療養を行っている者について1月に1回を限度として算定できる。

ただし、A保険医療機関と特別の関係にあるB保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料を算定している月においては、A保険医療機関は当該患者について訪問看護指示料は算定できない。

(3) 特別訪問看護指示加算は、患者の主治医が、診療に基づき、急性増悪、終末期等の事由により、週4回以上の頻回の指定訪問看護を一時的に当該患者に対して行う必要性を認めた場合であって、当該患者の同意を得て、別紙様式14を参考に作成した特別訪問看護指示書を、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に、1月に1回を限度として算定する。

なお、当該頻回の指定訪問看護は、当該特別の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施するものであること。

(4) 患者の主治医は、指定訪問看護の必要性を認めた場合には、診療に基づき速やかに訪問看護指示書及び特別訪問看護指示書(以下この項において「訪問看護指示書等」という。)を作成すること。当該訪問看護指示書等には、緊急時の連絡先として、診療を行った保険医療機関の電話番号等を必ず記載した上で、訪問看護ステーションに交付すること。

なお、訪問看護指示書等は、特に患者の求めに応じて、患者又はその家族等を介して訪問看護ステーションに交付できるものであること。

(5) 主治医は交付した訪問看護指示書等の写しを診療録に添付すること。

(6) 患者の主治医は、当該訪問看護指示書交付後であっても、患者の病状等に応じてその期間を変更することができるものであること。なお、指定訪問看護の指示を行った保険医療機関は、訪問看護ステーションからの対象患者について相談等があった場合には、懇切丁寧に対応すること。

(7) 区分番号C005の(3)に掲げる疾病等の患者について、2つの訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付する場合には、それぞれの訪問看護指示書に、他の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付している旨及び当該他の訪問看護ステーションの名称を記載すること。

C008 在宅患者訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、居宅で療養を行っており、疾病、負傷のために通院による療養が困難な患者について、保険医療機関の薬剤師が当該保険医療機関の医師及び当該患者の同意を得て、患家を訪問して薬剤管理指導記録に基づいて直接患者又はその家族等に服薬指導を行った場合に算定する。

ただし、指導の対象となる患者が他の保険医療機関に入院している場合、医師若しくは薬剤師の配置されている施設等に入所している場合又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(2) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、1月に2回を限度として算定できる。ただし、月2回算定する場合にあっては、本指導料を算定する日の間隔は6日以上とする。なお、この場合には診療報酬明細書の摘要欄に当該算定日を記載すること。

(3) 当該保険医療機関の薬剤師は、指導に当たって、過去の投薬及び副作用発現状況等の基礎的事項を把握するとともに、指導の対象となる患者ごとに薬剤管理指導記録を作成すること。なお、当該薬剤管理指導記録には、次の事項を記載し、最後の記入の日から最低3年間保存すること。

ア 患者の氏名、生年月日、性別、住所、診療録の番号

イ 患者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴

ウ 薬学的管理の内容(医薬品の保管状況、服薬状況、重複投薬、配合禁忌等を含む。)

エ 患者への指導及び患者からの相談の要点

オ 訪問指導等の実施日、訪問指導を行った薬剤師の氏名

カ その他の事項

(4) 「注2」の麻薬管理指導加算は、本指導料を算定している患者のうち、麻薬が投与されている患者に対して、投与される麻薬の服用及び保管取扱上の注意事項等に関し、必要な指導を行った場合に算定する。

(5) 麻薬管理指導加算の算定に当たっては、(3)の薬剤管理指導記録に、少なくとも次の事項について記載しなければならないこと。

ア 麻薬に係る薬学的管理の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、疼痛緩和の状況等)

イ 麻薬に係る患者・家族への指導・相談事項(麻薬に係る服薬指導、保管管理の指導等)

ウ 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項

エ その他麻薬に係る事項

(6) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

(7) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者に投薬された医薬品について、当該保険医療機関の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに当該患者の主治医に対し、当該情報を文書により提供するものとする。

ア 医薬品緊急安全性情報

イ 医薬品等安全性情報

C009 在宅患者訪問栄養食事指導料

(1) 在宅患者訪問栄養食事指導料は、居宅で療養を行っており、疾病、負傷のために通院による療養が困難な患者について、医師が当該患者に「特掲診療料の施設基準等」に規定する特別食を提供する必要性を認めた場合であって、当該医師の食事せんに基づき、管理栄養士が患家を訪問し、患者の生活条件、し好等を勘案した食品構成に基づく食事計画案又は具体的な献立を示した栄養食事指導せんを患者又はその家族等に対して交付するとともに、当該指導せんに従った調理を介して実技を伴う指導を30分以上行った場合に算定する。

(2) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

(3) 上記以外の点に関しては、外来栄養食事指導料における留意事項の例による。

第2節 在宅療養指導管理料

1 在宅療養指導管理料は、当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者について、患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に算定する。

ただし、当該保険医療機関に来院した患者の看護者に対してのみ当該指導を行った場合には算定できない。

2 在宅療養指導管理料は1月1回を限度として算定し、特に規定する場合を除き、同一の患者に対して同一月に指導管理を2回以上行った場合は、第1回の指導管理を行ったときに算定する。また、特に規定する場合を除き、在宅療養指導管理料の「注」にある各種加算は、当該在宅療養指導管理料とあわせて算定し、それぞれ1月に1回を限度とする。

3 2以上の保険医療機関が同一の患者について同一の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行っている場合には、主たる指導管理を行っている保険医療機関において当該在宅療養指導管理料を算定する。

4 同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。この場合にあって、在宅療養指導管理料の各区分の「注」に規定する加算及び当該2以上の指導管理に使用した薬剤、特定保険医療材料の費用は、それぞれ算定できる。

5 入院中の患者に対して、退院時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、退院の日1回に限り、在宅療養指導管理料の所定点数を算定できる。この場合においては、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療にて行った指導管理の費用は算定できない。また、死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所へ入院するため転院した場合には算定できない。

6 退院した患者に対して、当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、当該患者について当該保険医療機関において退院日に在宅療養指導管理料を算定していない場合に限り、在宅療養指導管理料を算定することができる。ただし、退院日に在宅療養指導管理料を算定した保険医療機関以外の保険医療機関において在宅療養指導管理料を算定する場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該算定理由を記載すること。このため、在宅療養指導管理料を算定する場合は、患者に対し当該月の入院の有無を確認すること。

7 在宅療養を実施する保険医療機関においては、緊急事態に対処できるよう施設の体制、患者の選定等に十分留意すること。特に、入院施設を有しない診療所が在宅療養指導管理料を算定するに当たっては、緊急時に必要かつ密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において、緊急入院ができる病床が常に確保されていることが必要であること。

8 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置を含む。)、指導内容の要点を診療録に記載すること。

9 各注の加算要件等は、例えば「酸素ボンベを使用した場合」とは当該保険医療機関の酸素ボンベを在宅で使用させた場合をいう等、保険医療機関が提供すること及び在宅における状態であることを前提に規定しているものであること。

なお、保険医療機関が所有する装置(酸素濃縮装置等)を患者に貸与する場合、保険医療機関は、当該装置の保守・管理を十分に行うこと。また、これらの装置の保守・管理を販売業者に委託する場合には、保険医療機関は、当該販売業者との間で、これらの装置の保守・管理に関する契約を締結し、保守・管理の内容を患者に説明すること。

10 保険医療機関が在宅療養指導管理料(加算を含む。)を算定する場合には、当該指導管理に要するアルコール等の消毒薬、衛生材料(脱脂綿、ガーゼ、絆創膏等)、酸素、注射器、注射針、翼状針、カテーテル、膀胱洗浄用注射器、クレンメ等は、当該保険医療機関が提供すること。なお、当該医療材料の費用は、特に規定する場合を除き所定点数に含まれ、別に算定できない。

11 「4」の保険医療材料の使用を要件とする加算とは、区分「C104」に掲げる在宅中心静脈栄養法指導管理料における輸液セット加算等をいう。

12 関連学会より留意事項が示されている在宅療養については、指示、管理に当たってはこれらの事項を十分参考とするものとする。(例:がん末期医療に関するケアのマニュアル(厚生省・日本医師会編))

C100 退院前在宅療養指導管理料

(1) 入院中の患者に対して外泊時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、外泊の初日1回に限り退院前在宅療養指導管理料を算定する。

(2) 退院前在宅療養指導管理料を算定した同一月に他の在宅療養指導管理料を算定することができるが、退院前在宅療養指導管理料を算定した日には他の在宅療養指導管理料(加算を含む。)は算定できない。

(3) 入院料の取扱い上は外泊とならない1泊2日の場合であっても、退院前在宅療養指導管理料の算定要件を満たせば当該指導管理料を算定することができる。

(4) 退院前在宅療養指導管理料を算定できるのは、あくまでも退院した場合であり、病状の悪化等により退院できなかった場合には算定できない。また、外泊後、帰院することなく転院した場合には算定できない。

C101 在宅自己注射指導管理料

(1) 在宅における排卵誘発を目的とする性腺刺激ホルモン製剤を用いた治療については、在宅自己注射指導管理料は算定できない。

(2) インターフェロンベータ製剤については、多発性硬化症に対して用いた場合に限り算定する。

(3) 「注2」又は「注3」に規定する加算は、インスリン製剤又はヒトソマトメジンC製剤の在宅自己注射を毎日行っている患者のうち血糖値の変動が大きい者に対して、医師が、血糖のコントロールを目的として当該患者に血糖試験紙(テスト・テープ)又は固定化酵素電極(バイオセンサー)を給付し、在宅で血糖の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に、在宅自己注射指導管理料に加算するものである。

なお、血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針及び測定機器を患者に給付又は貸与した場合における費用その他血糖自己測定に係るすべての費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 血糖自己測定の回数のうち、「1日に1回」、「1日に2回」、「1日に3回(以上)」及び「1日に4回以上」とは、それぞれ1か月に概ね20回以上、40回以上、60回以上及び80回以上を目安とする。

(5) 「注4」に規定する「注入器」とは、自己注射適応患者(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く。)に対するディスポーザブル注射器(注射針一体型に限る。)、自動注入ポンプ、携帯用注入器又は針無圧力注射器のことをいい、加算の算定はこれらを処方した月に限って可能であり、単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない。また、「間歇注入シリンジポンプ」とは、インスリン又は性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を間歇的かつ自動的に注入するシリンジポンプをいう。

(6) 「注4」に規定する加算は、針付一体型の製剤を処方した場合には算定できない。

(7) 「注4」に規定する「注入器」を処方せず、注射針一体型でないディスポーザブル注射器を処方した場合は、「注5」に規定する加算のみ算定する。

(8) 「注5」に規定する加算は、注入器用注射針を処方した場合に算定できる。この場合において、イの加算は、以下の場合に算定できるものであり、算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に算定理由を記載すること。

ア 糖尿病等で1日概ね4回以上自己注射が必要な場合

イ 血友病で自己注射が必要な場合

(9) 「注5」に規定する加算は、針付一体型の製剤又は針無圧力注射器を処方した場合には算定できない。

(10) 入院中の患者に対して、退院時に在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日1回に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び注2から注5までの加算点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び注2から注5の加算は算定できない。

(11) 在宅自己注射指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関における外来受診の際の皮下、筋肉内注射(当該指導管理料に係る薬剤に限る。)の費用は算定できない。

(12) 在宅自己注射指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料を算定する日に行った皮下、筋肉内注射、静脈内注射及び点滴注射の費用は算定できない。

C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料

(1) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。

ア 在宅自己連続携行式腹膜灌流の導入期にあるもの

イ 糖尿病で血糖コントロールが困難であるもの

ウ 腹膜炎の疑い、トンネル感染及び出口感染のあるもの

エ 腹膜の透析効率及び除水効率が著しく低下しているもの

オ その他医師が特に必要と認めるもの

(2) 1か月に2回以上在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に必要と認めた理由を明記する。

(3) 在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、人工腎臓又は腹膜灌流(連続携行式腹膜灌流に限る。)の費用は算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

(4) 在宅自己連続携行式腹膜灌流液交換用熱殺菌器を使用した場合には、「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の「注2」の紫外線殺菌器を使用した場合に準じて算定する。

C102―2 在宅血液透析指導管理料

(1) 在宅血液透析とは、維持血液透析を必要とし、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する血液透析療法をいう。

(2) 導入時に頻回の指導を行う必要がある場合とは、当該患者が初めて在宅血液透析を行う場合であり、保険医療機関の変更によるものは含まれない。

(3) 透析液供給装置は患者1人に対して1台を貸与し、透析液供給装置加算には、逆浸透を用いた水処理装置・前処理のためのフィルターの費用を含む。

(4) 在宅血液透析指導管理を実施する保険医療機関は次の設備又は器具を備えなければならない。

ア 病床

イ 専用透析室及び人工腎臓装置

(5) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。

ア 在宅血液透析の導入期にあるもの

イ 合併症の管理が必要なもの

ウ その他医師が特に必要と認めるもの

(6) 在宅血液透析指導管理料を算定している患者が、当該施設に赴いて人工腎臓を実施した場合には、人工腎臓は別に算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

C103 在宅酸素療法指導管理料

(1) チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者のうち、発作的に低酸素又は無酸素状態になる患者について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいう。

この場合において使用される酸素は、小型酸素ボンベ(500リットル以下)又はクロレート・キャンドル型酸素発生器によって供給されるものとする。

(2) 保険医療機関が、チアノーゼ型先天性心疾患の患者について在宅酸素療法指導管理料を算定する場合には、これに使用する小型酸素ボンベ又はクロレート・キャンドル型酸素発生器は当該保険医療機関が患者に提供すること。なお、これに要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、「注2」から「注5」に掲げる、酸素ボンベ、酸素濃縮装置、携帯用酸素ボンベ、設置型液化酸素装置及び携帯型液化酸素装置に係る加算は別に算定できない。

(4) その他の場合に該当する在宅酸素療法とは、諸種の原因による高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症の患者又は慢性心不全の患者のうち、安定した病態にある退院患者及び手術待機の患者について、在宅で患者自らが酸素吸入を実施するものをいう。

(5) その他の場合の対象となる患者は、高度慢性呼吸不全例のうち、在宅酸素療法導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下の者及び動脈血酸素分圧60mmHg以下で睡眠時又は運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めたもの及び慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう)が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されている症例とする。この場合、適応患者の判定に経皮的動脈血酸素飽和度測定器による酸素飽和度を用いることができる。

ただし、経皮的動脈血酸素飽和度測定器及び経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれており別に算定できない。

(6) 在宅酸素療法の算定にあたっては、動脈血酸素分圧の測定を月1回程度実施し、その結果について診療報酬明細書に記載すること。この場合、適応患者の判定に経皮的動脈血酸素飽和度測定器による酸素飽和度を用いることができる。ただし、経皮的動脈血酸素飽和度測定器及び経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれており別に算定できない。

(7) 在宅酸素療法を指示した医師は、在宅酸素療法のための酸素投与方法(使用機器、ガス流量、吸入時間等)、緊急時連絡方法等を装置に掲示すると同時に、夜間も含めた緊急時の対処法について、患者に説明を行うこと。

(8) 在宅酸素療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態であるもの)

キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(9) 「注4」の加算は、医療機関への通院等に実際に携帯用小型ボンベを使用した場合に、月1回に限り算定できる。なお、用いられるボンベのうち概ね1,500リットル以下の詰め替え可能なものについて算定の対象とし、使い捨てのものについては算定の対象としない。

(10) 「注5」の加算を算定する場合、設置型液化酸素装置から携帯型液化酸素装置へ液化酸素の移充填を行う場合の方法、注意点、緊急時の措置等に関する患者への指導が必要である。この場合、「設置型液化酸素装置又は携帯型液化酸素装置」とは、20~50リットルの内容積の設置型液化酸素装置又は1リットル前後の内容積の携帯型液化酸素装置のことをいう。

なお、使用した酸素の費用及び流量計、加湿器、チューブ等の費用は加算点数に含まれ、別に算定できない。

(11) 設置型液化酸素装置に係る加算と携帯型液化酸素装置に係る加算とは併せて算定できるが、それぞれ月1回に限り算定する。

(12) 同一月内に同一患者に対して酸素ボンベ、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合又は携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、それぞれ主たる装置の所定点数のみを加算できる。

(13) 在宅酸素療法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、酸素吸入、酸素テント、間歇的陽圧吸入法、喀痰吸引及び鼻マスク式補助換気法(これらに係る酸素代も含む。)の費用は算定できない。

C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料

(1) 在宅中心静脈栄養法とは、諸種の原因による腸管大量切除例又は腸管機能不全例等のうち、安定した病態にある患者について、在宅において患者自らが実施する栄養法をいう。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、中心静脈栄養以外に栄養維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 「注2」中の「輸液セット」とは、在宅で中心静脈栄養法を行うに当たって用いる輸液用器具(輸液バッグ)、注射器及び採血用輸血用器具(輸液ライン)をいう。また、「注入ポンプ」とは、在宅で中心静脈栄養法を行うに当たって用いる注入ポンプをいう。

(4) 在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、中心静脈注射の費用は算定できない。

(5) 在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料を算定する日に行った静脈内注射及び点滴注射の費用は算定できない。

C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料

(1) 在宅成分栄養経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取ができない患者又は経口摂取が著しく困難な患者について、在宅において患者自らが実施する栄養法をいう。このうち在宅成分栄養経管栄養法指導管理料算定の対象となるのは、栄養素の成分の明らかなもの(アミノ酸、ジペプチド又はトリペプチドを主なタンパク源とし、未消化態タンパクを含まないもの。)を用いた場合のみであり、単なる流動食について鼻腔栄養を行ったもの等は該当しない。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、在宅成分栄養経管栄養法以外に栄養の維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 栄養管セットに係る加算と注入ポンプに係る加算とは、併せて算定することができるが、それぞれ月1回に限り算定する。

(4) 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、鼻腔栄養の費用は算定できない。

C106 在宅自己導尿指導管理料

(1) 在宅自己導尿とは、諸種の原因により自然排尿が困難な患者について、在宅において患者自らが実施する排尿法をいう。

(2) 対象となる患者は、下記の患者のうち、残尿を伴う排尿困難を有する者であって在宅自己導尿を行うことが必要と医師が認めた者とする。

ア 諸種の原因による神経因性膀胱

イ 下部尿路通過障害(前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱頸部硬化症、尿道狭窄等)

ウ 腸管を利用した尿リザーバー造設術の術後

(3) 在宅自己導尿指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、導尿、膀胱洗浄及び留置カテーテル設置の費用は算定できない。

(4) 間歇導尿用ディスポーザブルカテーテルを用いて指導管理を行った場合には、「注3」の所定点数を加算する。

C107 在宅人工呼吸指導管理料

(1) 在宅人工呼吸とは、長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する人工呼吸療法をいう。

(2) 対象となる患者は、病状が安定し、在宅での人工呼吸療法を行うことが適当と医師が認めた者とする。なお、睡眠時無呼吸症候群の患者は対象とならない。

(3) 在宅人工呼吸療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

カ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(4) 人工呼吸装置は患者に貸与し、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、酸素吸入、酸素テント、間歇的陽圧吸入法、喀痰吸引、鼻マスク式補助換気法及び人工呼吸の費用(これらに係る酸素代を除く。)は算定できない。

C107―2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

(1) 在宅持続陽圧呼吸療法とは、睡眠時無呼吸症候群である患者について、在宅において実施する呼吸療法をいう。

(2) 対象となる患者は、以下のすべての基準に該当する患者とする。ただし、無呼吸低呼吸指数が40以上である患者については、イの要件を満たせば対象患者となる。

ア 無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう)が20以上

イ 日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障を来している症例

ウ 睡眠ポリグラフィー上、頻回の睡眠時無呼吸が原因で、睡眠の分断化、深睡眠が著しく減少又は欠如し、持続陽圧呼吸療法により睡眠ポリグラフィー上、睡眠の分断が消失、深睡眠が出現し、睡眠段階が正常化する症例

(3) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料については、当該治療の開始後1、2か月間の治療状況を評価し、当該療法の継続が可能であると認められる症例についてのみ、引き続き算定の対象とする。

(4) 保険医療機関が在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定する場合には、持続陽圧呼吸療法装置は当該保険医療機関が患者に貸与する。なお、当該装置に係る費用(装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用を含む。)については所定点数に含まれ、別に算定できない。

C108 在宅悪性腫瘍患者指導管理料

(1) 「在宅における悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法」とは、末期の悪性腫瘍の患者であって、持続性の疼痛があり鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの又は注射による抗悪性腫瘍剤の注入が必要なものが、在宅において自ら実施する鎮痛療法又は化学療法をいう。

(2) (1)の鎮痛療法とは、ブプレノルフィン製剤、ブトルファノール製剤若しくは塩酸モルヒネ製剤を注射又は携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて注入する療法をいう。なお、塩酸モルヒネ製剤を使用できるのは、以下の条件を満たすバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器等に必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。

ア 薬液が取り出せない構造であること

イ 患者等が注入速度を変えることができないものであること

また、(1)の化学療法とは、携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて中心静脈注射若しくは埋込型カテーテルアクセスにより抗悪性腫瘍剤を注入する療法又はインターフェロンアルファ製剤を多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病又は腎癌の患者に注射する療法をいう。

(3) 「注2」の加算は、いずれの注入ポンプ又は輸液ポンプを併せて用いた場合であっても、月1回に限り算定できる。

(4) 対象となる悪性腫瘍の患者が末期であるかどうかは主治医の判断によるものとする。なお、化学療法の適応については、末期でない悪性腫瘍の患者も末期の悪性腫瘍の患者に準じて取り扱う。

(5) 在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、皮下、筋肉内注射、静脈内注射、点滴注射及び中心静脈注射(当該指導管理料に係る薬剤に限る。)の費用は算定できない。

(6) 在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料を算定する日に行った皮下、筋肉内注射、静脈内注射、点滴注射及び中心静脈注射の費用は算定できない。

C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料

(1) 在宅における創傷処置等の処置とは、家庭において療養を行っている患者であって、現に寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが、在宅において自ら又はその家族等患者の看護に当たる者が実施する創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含み、熱傷に対する処置を除く。)、皮膚科軟膏処置、留置カテーテル設置、膀胱洗浄、導尿、鼻腔栄養、ストーマ処置、喀痰吸引又は消炎鎮痛等処置をいう。

(2) これに準ずる者とは、「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患しているものとして、都道府県知事から医療受給者証の発行を受けている者であって、常時介護を要する状態にあるものを含むものである。

(3) 在宅寝たきり患者処置指導管理料は、原則として、当該医師が患家に訪問して指導管理を行った場合に算定する。ただし、寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが、家族等に付き添われて来院した場合については、例外的に算定することができる。

(4) 在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含み、熱傷に対する処置を除く。)、皮膚科軟膏処置、留置カテーテル設置、膀胱洗浄、導尿、鼻腔栄養、ストーマ処置、喀痰吸引及び消炎鎮痛等処置の費用は算定できない。

C110 在宅自己疼痛管理指導管理料

(1) 在宅自己疼痛管理指導管理料は、疼痛除去のために植込型脳・脊髄刺激装置を埋め込んだ後に、在宅において、患者自らが送信器を用いて疼痛管理を実施する場合に算定する。

(2) 対象となる患者は難治性慢性疼痛を有するもののうち、植込型脳・脊髄刺激装置を埋め込み、疼痛管理を行っている患者のうち、在宅自己疼痛管理を行うことが必要と医師が認めたものである。

C111 在宅肺高血圧症患者指導管理料

(1) 「プロスタグランジンⅠ2製剤の投与等に関する指導管理等」とは、在宅において、原発性肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプを用いてプロスタグランジンⅠ2製剤を投与する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等に関する指導を行い、当該患者の医学管理を行うことをいう。

(2) 「注2」に規定する加算には、カセット、延長チューブその他携帯型精密輸液ポンプに必要なすべての機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

C112 在宅気管切開患者指導管理料

(1) 「在宅における気管切開に関する指導管理」とは、諸種の原因により気管切開を行った患者のうち、安定した病態にある退院患者について、在宅において実施する気管切開に関する医学管理のことをいう。

(2) 在宅気管切開患者指導管理を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ レスピレーター

ウ 気道内分泌物吸引装置

エ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

オ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(3) 在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含み、熱傷に対する処置を除く。)及び喀痰吸引の費用は算定できない。

(4) 人工鼻を用いて指導管理を行った場合には、「注2」の所定点数を加算する。

第3節 薬剤料

C200 薬剤

(1) 次の厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができる。

【厚生労働大臣の定める注射薬】

インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤(活性化プロトロンビン複合体及び乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体を含む。)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、自己連続携行式腹膜灌流用灌流液、在宅中心静脈栄養法用輸液、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブトルファノール製剤、ブプレノルフィン製剤、塩酸モルヒネ製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、ヒトソマトメジンC製剤、人工腎臓用透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩液及びプロスタグランジンⅠ2製剤

(2) 上記の注射薬の投与日数は、以下のとおりである。

ア 投与日数に制限のないもの

イに該当しない注射薬

イ 30日分を限度に投与することができるもの

ブプレノルフィン製剤、塩酸モルヒネ製剤

(3) 厚生労働大臣の定める注射薬のうち、「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは、高カロリー輸液をいう。なお、高カロリー輸液を投与する場合には、これ以外にビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

第2部の2 在宅医療(老人医科診療報酬点数表関係)

<通則>

1 保険医療機関が、医科点数表第2章第2部在宅医療の区分C000往診料、C001在宅患者訪問診療料、C005在宅患者訪問看護・指導料、C006在宅訪問リハビリテーション指導管理料、C008在宅患者訪問薬剤管理指導料、C009在宅患者訪問栄養食事指導料及び医科点数表第2章第8部精神科専門療法の区分Ⅰ012精神科訪問看護・指導料(以下「老人訪問診療料等」という。)のいずれか1つを算定した日については、他のものを算定できないこと。

また、特別の関係にある保険医療機関において一の保険医療機関が老人訪問診療料等のいずれかを算定した日については、他の保険医療機関は老人訪問診療料等を算定できないこと。

ただし、訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではないこと。

2 保険医療機関と特別の関係又は併設の関係にある介護老人保健施設において行われる通所リハビリテーション(介護保険法第7条第12項に規定する通所リハビリテーション)に係る通所リハビリテーション費(介護保険法第41条第4項に規定する通所リハビリテーション費)を算定した日については、当該保険医療機関は老人訪問診療料等を算定できないこと。

ただし、当該通所リハビリテーションを行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではないこと。

3 保険医療機関と特別の関係にあり、かつ、当該保険医療機関の医師が訪問看護指示書を交付した訪問看護ステーションにおいて、訪問看護療養費を算定した日については、当該保険医療機関は老人訪問診療料等を算定できないこと。

ただし、当該訪問看護を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではないこと。

4 特別の関係にある保険医療機関等の取扱いは、健康保険の入院基本料の例によるものとすること。

5 有料老人ホームに入所している在宅寝たきり老人等に対して老人訪問診療料等を算定した場合は、当該患者が入所している有料老人ホームの名称、訪問診療を実施した日時を診療報酬明細書に付記すること。

1 寝たきり老人在宅総合診療料

(1) 寝たきり老人在宅総合診療料は、今後急増すると予想される寝たきり老人等に対し、地域医師会等との連携の下に、適切な在宅医療を提供する観点から設定されたものであり、これにより在宅の寝たきり老人等に対する診療所のかかりつけ医師としての機能の確立を図るものであること。

(2) 寝たきり老人在宅総合診療料の算定は、原則として寝たきり老人在宅総合診療料届出保険医療機関のすべての在宅寝たきり老人等(月2回以上訪問診療を必要とする患者に限る。以下同じ。)を対象とする。したがって、当該保険医療機関は、個々の在宅寝たきり老人等について、寝たきり老人在宅総合診療料を算定するか否かを選択することはできないこと。

ただし、当該患者の病状が急性増悪等の状態にある場合においては、その旨を診療報酬明細書に付記することにより、その間における月にあってはこの限りでないこと。なお、この場合24時間連携体制加算及び在宅老人ターミナルケア加算の算定は行わないものであること。

(3) 寝たきり老人在宅総合診療料届出保険医療機関が、家庭において療養している寝たきり老人等に対して、在宅療養計画に基づき月2回以上訪問診療を行った場合に算定すること。

なお、算定要件である月2回以上の訪問診療には、患者又はその家族等からの求めによる往診(老人初診料を算定する日の往診を除く。)が行われた場合を含むこととし、当該往診にかかる費用は、往診及び再診の費用で算定するものであること。

(4) 作成する在宅療養計画を診療録に記載すること。特に、他の保健、医療又は福祉サービスとの連携の要点を記載すること。

(5) 当該点数の算定対象患者が診療科の異なる他の保険医療機関を受診する場合には、診療の状況を示す文書を当該保険医療機関に交付する等十分な連携を図るよう努めること。

(6) 当該患者の健康手帳の医療の記録に係るページの「その他必要事項」欄に「在宅総合」と記載すること。

(7) 当該点数算定月に外来受診した場合においても、老人慢性疾患生活指導料、寝たきり老人訪問指導管理料、検査料、投薬料については算定できないこと。

(8) 寝たきり老人在宅総合診療料を算定している患者に対して、医科点数表第2章第2部第2節の各区分に掲げる在宅療養指導管理を行った場合、在宅療養指導管理の費用は別に算定できない。

この場合にあっては、在宅療養指導管理料の各区分の「注」に規定する加算はそれぞれ算定できる。

(9) 1つの患家に寝たきり老人在宅総合診療料の対象となる患者が2人以上いる場合の寝たきり老人在宅総合診療料は、それぞれの患者について算定すること。

(10) 同一月内において院外処方せんを交付した訪問診療と院外処方せんを交付しない訪問診療とが行われた場合は、当該月の算定は寝たきり老人在宅総合診療料のイで算定するものであること。

(11) 寝たきり老人在宅総合診療料のイを算定する保険医療機関において投与期間が30日を超える薬剤を含む院外処方せんを交付した場合は、その投与期間にかかる寝たきり老人在宅総合診療料の算定に当たっては、寝たきり老人在宅総合診療料のイで算定するものであること。

(12) 寝たきり老人在宅総合診療料は、当該患者に対して主として診療を行っている1人のかかりつけ医師が算定するものであること。

(13) 在宅末期医療総合診療料を算定した日の属する月にあっては、寝たきり老人在宅総合診療料は算定できないものであること。

(14) 24時間連携体制加算の取扱い

ア 24時間連携体制加算は、在宅寝たきり老人等が安心して在宅療養ができるよう、複数の保険医若しくは保険医療機関により24時間診療ができる連携体制が整備されていること又は診療を自ら行わない時間帯において、寝たきり老人在宅総合診療料を算定する患者の同意を得て当該患者の療養に必要な情報を他の保険医療機関の保険医に提供すること等により他の保険医療機関の保険医が緊急連絡等に対して常時診療することができる連携体制が整備されていることを評価するものである。

イ 24時間連携体制加算(Ⅰ)は、同一保険医療機関の複数の保険医による連携体制又はこれに準ずる体制(特別な関係にある保険医療機関同士の連携体制を除く。)がとられている場合に、24時間連携体制加算(Ⅱ)は、緊急時に当該患者が入院できる病床を保有する保険医療機関との連携体制がとられている場合に、24時間連携体制加算(Ⅲ)は、当該保険医療機関の属する地域の医師会その他これに準ずるものを基盤とした連携体制がとられている場合に算定するものであること。

ウ 24時間連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等に、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成16年保医発第号)に示された様式又はこれに準じた様式の文書が必ず交付されていること。

エ 24時間連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等の同意を得て、寝たきり老人在宅総合診療料の算定対象となる在宅寝たきり老人等の療養に必要な情報を連携医師、連携保険医療機関、連携地域医師会等に対して予め文書(「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成16年保医発第号)に示した様式又はこれに準じた様式の文書に限る。)をもって提供し、その写しを診療録に添付しておくこと。

また、その後必要に応じて在宅寝たきり老人等の療養に必要な情報は、当該連携医師等に対し随時(容態の変化等があった場合には速やかに)、同様の様式の文書をもって提供し、その写しを診療録に添付しておくこと。

オ 24時間連携体制加算(Ⅰ)を算定する場合は、連携医師が自己の診療所の医師である場合を除き、緊急時に対応し得るよう、できる限り患家に近隣の保険医をもって連携医師とすること。

カ 連携医師、連携保険医療機関にあっては、主治医から提供された在宅寝たきり老人等の療養に必要な情報が記載された文書を緊急時に十分に活用できる状態で保管し、自ら当該患者を診療し診療録を作成した場合には、当該文書を診療録に添付しておくこと。

ただし、24時間連携体制加算(Ⅲ)の連携体制であって、当該情報が地域医師会等において管理されている場合は、この限りではないこと。

キ 連携医師が24時間連携体制の趣旨に基づき行う往診は、寝たきり老人在宅総合診療料を算定する主治医が行う訪問診療とはみなさないこと。

ク 24時間連携体制加算は、1人の患者につき月1回に限り算定できるものであり、連携医師の数に応じて算定できるものではないこと。

(15) 緊急時入院体制加算

ア 緊急時入院体制加算は、緊急時入院体制が整備されているとして、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した診療所に限って算定するものであること。

イ 緊急時入院体制加算を算定する有床診療所が自己の空床を使用せずに他の保険医療機関に寝たきり老人在宅総合診療料を算定する患者を入院させた場合は、その入院中の期間にあっては当該加算は算定しない。

(16) 在宅老人ターミナルケア加算

在宅老人ターミナルケア加算の算定に当たっては、在宅で死亡した患者について、死亡月の前月に寝たきり老人在宅総合診療料を算定している場合に算定する。この場合において、医科点数表第2章第2部第1節に掲げる在宅患者訪問診療料の死亡診断加算は併せて算定できるが、在宅ターミナルケア加算は併せて算定できない。

2 寝たきり老人訪問指導管理料

(1) 寝たきり老人訪問指導管理料は、在宅の寝たきり患者を対象として在宅患者訪問診療料を算定すべき訪問診療を行い、かつ、当該訪問診療に際して療養上必要な指導管理を行った場合に算定するものであること。

(2) 1回目の寝たきり老人訪問指導管理料は、老人初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1月を経過した日以降の日に算定するものであること。

(3) 寝たきり老人訪問指導管理料は、同一暦月につき1回に限り算定するものであること。

(4) 寝たきり老人訪問指導管理料は、患者の病状に基づいた訪問診療の計画が立てられており、かつ、実際にこの訪問診療の計画に基づいて療養上必要な指導が行われた場合に算定するものであること。

(5) 訪問診療の計画及び指導内容の要点を診療録に記載すること。

(6) 1月を経過した日が休日又は翌々月の1日となる場合における1回目の寝たきり老人訪問指導管理料の取扱いについては、健康保険の特定疾患療養指導料の算定方法の例によるものとすること。

(7) 寝たきり老人訪問指導管理料を算定した患者の同一患家において、当該患者以外の2人目以降の患者が寝たきりの状態又はこれに準ずる状態にある場合であって、その者に対する診療が診療計画に基づく定期的な診療の一環であり、その訪問診療の計画及び診療内容の要点が診療録に記載されている場合にあっては、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載した上、寝たきり老人訪問指導管理料を算定できるものであること。

(8) 寝たきり老人訪問指導管理料を算定している患者については、健康保険のウイルス疾患指導料及び心臓ペースメーカー指導管理料を算定できないものであること。また、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)を算定すべき指導管理を行った場合においては、寝たきり老人訪問指導管理の費用は、当該点数に含まれ、別に算定できないものであること。

3 退院患者継続訪問指導料

(1) 退院患者継続訪問指導料は、退院して家庭に復帰した患者が算定の対象となるものであること。

(2) 退院患者継続訪問指導料は、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所している患者については、算定の対象としないものであること。

(3) 退院患者継続訪問指導料は、算定の基礎となる退院につき、指導を行った者又は患者若しくはその家族等の如何を問わず2回を限度として算定するものであること。

(4) 退院患者継続訪問指導料は、在宅患者訪問診療又は往診を行った日については、算定できないものであること。

(5) 医師は、保健師、看護師等に対して行った指示内容の要点を診療録に記載すること。

(6) 保健師、看護師等は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点を記録にとどめておくこと。

(7) 退院患者継続訪問指導の実施に当たっては、保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意すること。

(8) 保険医療機関は、退院患者継続訪問指導の実施に当たっては、市町村等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配意すること。

(9) 入院期間は、暦月で計算するものとすること。

第3部 検査(医科診療報酬点数表関係)

<通則>

1 検査の費用には、検査を行う医師、看護師及び技術者等の人件費、試薬、デッキグラス、試験管等の材料費、器械の減価償却費、管理費及び患者の衣類等の費用は含まれる。なお、患者に施用する薬剤及び特定保険医療材料の費用は検査料とは別に算定する。

2 検査に当たって施用した薬剤の費用は別に算定できるが、第2章第5部投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方せん料及び調剤技術基本料並びに同第6部注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。なお、検査に当たって施用される薬剤(検査用試薬を含む。)は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する。

3 撮影した画像を電子媒体に保存した場合、保存に要した電子媒体の費用は検査にかかる所定点数に含まれる。

4 第1節、第2節及び第3節に掲げられていない検査で簡単な検査は、基本診療料に含まれるので、別に算定することはできない。なお、基本診療料に含まれる検査の主なものは、次のとおりである。

(1) 血圧測定

(2) 視野眼底検査のうち簡単なもの

(3) 眼科検査のうち斜照法、徹照法、細隙燈検査(ルーペ式)、器械を使用しない眼圧測定検査

(4) 区分「D244」自覚的聴力検査の「3」の簡易聴力検査に該当しない簡単な聴力検査

(5) 精液pH測定

(6) デビス癌反応検査

(7) 鼓膜運動検査

(8) イクテロメーター黄疸反応検査

(9) 簡易循環機能検査

ア スラッジテスト

イ 指尖部皮膚毛細血管像検査

ウ 皮膚粘膜撮影検査

エ 寒冷血圧検査

オ ビッケンバッハ起立試験

カ ヒスタミンテスト

キ レジチンテスト

ク 末梢の静脈圧測定

ケ ビュルゲル病及び脱疽等の場合における電気的皮膚温度測定

a 単純な場合

b 負荷を行った場合

コ ギボン―ランディステスト

サ 基礎代謝率簡易測定法

注 簡易循環機能検査とは、生体に対して物理的又は化学的負荷をかけ、血圧、脈拍等の理学所見の観察を行うことにより循環機能を検査することを目的とする検査であり、負荷の種類としては起立、寒冷、運動及び薬物等がある。

(10) 自律神経機能検査

(11) アルコール中毒に対する飲酒試験における症状監視

(12) 皮膚のインピーダンス検査(皮電図記録作成)

(13) 6誘導未満の心電図検査

(14) 尿中ブロムワレリル尿素検出検査

(15) 尿脚気反応(沢田氏反応)

(16) シュミット氏昇汞試験

(17) 糞便のストール氏虫卵数計算法

(18) 髄膜透過性検査

(19) 横田氏反応

(20) ユーグロブリン全プラスミン測定法(ユーグロブリン分屑SK活性化プラスミン値測定)

(21) 緒方法等の補体結合反応による梅毒脂質抗原使用検査

(22) 卵白アルブミン感作血球凝集反応検査

(23) ラクトアルブミン感作血球凝集反応検査

(24) Miller Kurzrok検査

(25) Schick反応

(26) Dick反応

(27) Frei反応

(28) 光田反応

(29) 松原反応

(30) 伊藤反応

(31) トキソプラズマ症、ジストマ症及び猩紅熱の皮内テスト

(32) 膨疹吸収時間測定

(33) ジアゾ反応

(34) インジカン

(35) 血液比重測定

(36) 末梢血液像及び骨髄像における特殊染色のBRACHET試験

(37) 赤血球抵抗試験のリビエール法

5 第1節から第3節までに掲げる検査料の項に掲げられていない検査のうち簡単な検査の検査料は算定できないが、特殊な検査については、その都度当局に内議し、最も近似する検査として通知されたものの算定方法及び注(特に定めるものを除く。)を準用して、準用された検体検査に係る判断料と併せて算定する。

6 点数表において2つの項目を「及び」で結んで規定している検査については、特に定めるものを除き、当該両項目の検査を併せて行った場合にのみ算定する。

7 検査に当たって、麻酔を行った場合は、第2章第11部麻酔に規定する所定点数を別に算定する。

8 同一検体について、定性検査と定量検査とを併せて行った場合、一般検査と精密検査とを併せて行った場合又はスクリーニング検査とその他の検査とを一連として行った場合は、それぞれ主たる検査の所定点数のみ算定する。ただし、併せて行う検査の区分が異なる場合は、それぞれについて算定する。

9 「分画」と記されている検査について、同一検体の各分画に対して定量検査を行った場合は、所定点数を1回のみ算定する。

10 定性又は定量の明示がない検査については、定量検査を行った場合にのみ当該検査の所定点数を算定する。

11 測定方法又は検査方法が明示されていない検査については、測定又は検査の方法の如何にかかわらず、その検査料の項に掲げる所定点数を算定する。

12 同時又は一連として行った2以上の検査の結果から計算して求めた内容が、検査料に掲げられた項目に該当する場合であっても、当該内容についての点数は算定できない。

13 2回目以降について所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている場合において「所定点数」とは、当該項目に掲げられている点数及び当該注に掲げられている加算点数を合算した点数である。

14 同一項目について検査方法を変えて測定した場合には、測定回数にかかわらず、主たる測定方法の所定点数のみを算定する。

15 算定回数が複数月に1回のみとされている検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に前回の実施日(初回の場合は初回である旨)を記載する。

16 第3部検査の部において用いられる検査法の略号については下記のとおりである。

PHA:Passive hemagglutination 受身赤血球凝集反応

RPHA:Reversed passive hemagglutination 逆受身赤血球凝集反応

LA:Latex agglutination ラテックス凝集法

(LPIA:Latex photometric immuno assay)

PCIA:Particle counting immuno assay 微粒子計数免疫凝集測定法

PAMIA:Particle mediated immuno assay 粒度分布解析ラテックス免疫測定法

IAHA:Immuno adherence hemagglutination 免疫粘着赤血球凝集反応

RIA:Radio immuno assay 放射性免疫測定法

RIST:Radio immuno sorbent test

RAST:Radio allergo sorbent test

RA:Radioassay ラジオアッセイ

RRA:Radioreceptorassay ラジオレセプターアッセイ

CPBA:Competitive protein binding analysis 競合性蛋白結合分析法

EIA:Enzyme immuno assay 酸素免疫測定法

(ELISA:Enzyme linked immuno sorbent assay)

FA:Fluorescent antibody method 蛍光抗体法

FPA:Fluorescence polarization assay 蛍光偏光測定法

FPIA:Fluorescence polarization immuno assay 蛍光偏光免疫測定法

TR―FIA:Time resolved fluoro immuno assay 時間分解蛍光免疫測定法

IRMA:Immuno radiometric assay 免疫放射定量法

SRID:Single radial immuno diffusion method 一元放射状免疫拡散法

ES:Electrosyneresis method 向流電気泳動法

TIA:Turbidimetric immuno assay 免疫比濁法

HPLC:High performance liquid chromatography 高性能液体クロマトグラフィー

GLC:Gas-liquid chromatography 気液クロマトグラフィー

GC:Gas chromatography ガスクロマトグラフィー

CLIA:Chemiluminescent immuno assay 化学発光免疫測定法

ECLIA:Electrochemiluminescence immuno assay 電気化学発光免疫測定法

SIA:Split immuno assay

PCR:Polymerase chain reaction

EV―FIA:Evanescent wave fluoro immuno assay エバネセント波蛍光免疫測定法

FIA:Fluoro immuno assay 蛍光免疫測定法

IFA:Indirect fluorescent antibody method 間接蛍光抗体法

LBA:Liquid-phase binding assay

FISH:Fluorescence in situ Hybridization

LAMP:Loop-Mediated Isothermal Amplification

注 LA(測定機器を用いるもの)とは、抗原抗体反応によりラテックス粒子が形成する凝集塊を光学的な分析機器を用いて定量的に測定する方法をいう。

17 精密検査とは、測定対象物を高感度又は高精度に測定する方法をいい、このうち区分「D001」から区分「D015」に掲げる項目(準用する項目を含む。)については、別に通知で定めるものを除き、以下の測定方法によるものをいう。

(1) EIA(ELISA、CLIA、ECLIA、ルミノールを用いた化学発光EIA法、レクチン酸素免疫測定法を含む。簡易法は含まない。)

(2) RIA(IRMA、RRA、RA、CPBAを含む。)

(3) FA(FIA、TR―FIA、IFAを含む。)

(4) FPIA(EV―FIA、FPAを含む。)

(5) PCIA(LA(測定機器を用いるもの)、PAMIA、ラテックス凝集比濁法、LPIAを含む。)

(6) TIA

(7) 比色法

(8) ネフェロメトリー法

(9) ウエスタンブロット法、イムノブロット(SIA)法

(10) 比濁時間分析法

(11) LBA

(12) 免疫阻害法

(13) GLC、GC、HPLC

(14) 発色合成基質法

(15) ディスク電気泳動法

(16) 免疫クロマト法

第1節 検体検査料

第1款 検体検査実施料

時間外緊急院内検査加算

(1) 時間外緊急院内検査加算については、保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、医師が緊急に検体検査の必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関の従事者が当該保険医療機関に具備されている検査機器を用いて当該検体検査を実施した場合に限り算定できる。

なお、当該加算の算定に当たっては、当該加算の対象たる検査の開始時間をもって算定する。

(2) 同一患者に対して、同一日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の検体検査を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)も、1日につき1回のみ算定する。

(3) 現に入院中の患者については算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、検体検査の結果、入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合は、この限りではない。