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5 「通則4」における時間外加算等の取り扱いは初診料における場合と同様である。

6 麻酔の休日加算、時間外加算及び深夜加算は、これらの加算が算定できる緊急手術に伴い行われた麻酔についてのみ算定できる。

7 その他の麻酔法の選択について、従前から具体的な規定のないものについても、保険診療の原則に従い必要に応じ妥当適切な方法を選ぶべきものである。

8 第10部に規定する麻酔料以外の麻酔料の算定は医科点数表の例により算定する。

第1節 麻酔料

K001 浸潤麻酔、圧迫麻酔

(1) 手術、120点以上の処置、特に規定する処置、歯冠形成の所定点数には、浸潤麻酔の費用が含まれ、別に算定できない。

(2) 齲蝕症又は象牙質知覚過敏症等の歯に対する所定点数が120点未満の処置のために浸潤麻酔を行った場合の費用は、1歯を単位として所定点数により算定する。

K002 吸入鎮静法

(1) 吸入鎮静法は、笑気等を用いてゲーデル(Guedel)の分類の麻酔深度の第1期において歯科手術等を行う場合に算定する。

(2) 吸入鎮静法において使用した麻酔薬剤(亜酸化窒素等)に係る費用の算定については別に定める「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)に基づき算定する。

(3) 酸素又は窒素の価格は、医科点数表「J024」及び「L008」の(7)のアの例により算定する。

第2節 薬剤料

K100 薬剤

1回の麻酔に麻酔薬剤を2種以上使用した場合であっても使用麻酔薬剤の合計薬価から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて麻酔薬剤料を算定する。

第11部 放射線治療

医科点数表(「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療、「M001―3」直線加速器による定位放射線治療、「M002」全身照射及び「M005」血液照射を除く。)の例により算定する。

第12部 歯冠修復及び欠損補綴

[通則]

1 歯冠修復及び欠損補綴の費用は、第1節中の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されているものを除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の保険医療材料料を合算して算定する。

2 歯冠修復及び欠損補綴を行った場合の費用の算定は、一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数を併せて算定できる。

3 印象採得、咬合採得、仮床試適及び装着については、それぞれの診療行為を行った際に算定する。

4 歯冠修復の当日に行う普通処置の費用については、歯冠修復の所定点数に含まれ別に算定できない。

5 歯冠継続歯、有床義歯、ブリッジ等において人工歯を使用した場合の当該人工歯の費用は人工歯を必要とする部位が両側にわたる場合は1組として、片側の場合は1/2組として、それぞれ人工歯材料料として算定する。

6 「通則4」による乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50を加算する。

7 著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行なうことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定する。

8 5歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合(100分の50加算)は、乳幼児加算のみを算定する。

9 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における暫間被覆冠、歯肉圧排、歯肉整形、歯肉息肉除去、特定薬剤等の費用は、それぞれの所定点数に含まれる。

10 臼歯の「単純なもの」に該当する窩洞形成及び齲蝕歯即時充填形成に際し、ラバーダム防湿法を行った場合は、ラバーの費用として、1顎単位に10点を加算する。

11 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等である療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った抜髄、感染根管処置、抜歯(乳歯、前歯及び臼歯に限る。)、口腔内消炎手術(歯肉膿瘍等に限る。)、有床義歯修理及び有床義歯調整・指導料について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。

12 「通則8」に規定する加算は、「C000」歯科訪問診療料を算定した患者、又は著しく歯科診療が困難な障害者に対して訪問診療を行った場合において、切削を伴う処置、手術、歯冠修復又は欠損補綴が必要な場合であって、切削器具及びその周辺装置を訪問先に携行して必要な処置を行った場合に、処置等の主たるものの所定点数に加算する。なお、同時にエアタービン及び歯科用電気エンジンを使用した場合は、いずれかの加算を算定する。

13 「通則9」でいう検査とは、「D004」平行測定から「D008」パントグラフ描記法に掲げる補綴関連検査のことをいう。

14 「M000―2」補綴物維持管理料に係る地方社会保険事務局長への届出を行っていない保険医療機関において、歯冠補綴物やブリッジを製作し装着した場合については、当該歯冠補綴物等に係る補綴関連検査、歯冠修復及び欠損補綴に係る一連の費用を所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。また、当該歯冠補綴物等の製作に際し「I008」根管充填を行った場合は、同注1の加圧根管充填に係る費用は算定しない。

15 保険給付外診療で製作された歯冠修復物及び欠損補綴物であっても、後日破損した場合の修理(保険給付の修理と同一の場合)あるいは、脱落した際の再装着は、保険給付として差し支えない。

第1節 歯冠修復及び欠損補綴診療料

M000 補綴時診断料

(1) 補綴時診断料は、患者の当該初診における受診期間を通じ、新たな欠損補綴及び有床義歯の床裏装等を行う場合に、装置ごとに着手した日において算定する。

(2) 新たに生じた欠損部の補綴に際し、既成の有床義歯に追加する場合は、有床義歯の場合と同様に補綴時診断料を算定する。

(3) 製作を予定する部位、欠損補綴物の名称及び設計の主要事項を診療録に記載する。

(4) 補綴時診断料を算定した場合には、補綴物の診断設計に基づき、患者に装着する予定の補綴物について、義歯、ブリッジ等の概要図、写真等を用いて患者に効果的に情報提供を行うこと。

M000―2 補綴物維持管理料

(1) 補綴物維持管理を実施する保険医療機関は、補綴物維持管理を開始する前月までに地方社会保険事務局長に届け出るものとする。なお、様式等については別途通知する。

(2) 「注1」の「歯冠補綴物」とは、インレーを除く鋳造歯冠修復、前装鋳造冠、帯環金属冠、歯冠継続歯、ジャケット冠、硬質レジンジャケット冠をいう。なお、乳歯に対する歯冠修復及び欠損補綴は、補綴物維持管理の対象としない。

(3) 「注2」の「補綴関連検査」とは、「D004」平行測定から「D008」パントグラフ描記法までに定める各種検査をいう。

(4) 補綴物維持管理料は、当該補綴物維持管理の対象となる補綴物ごとに、医療機関名、開設者名、装着日、補綴部位等を明記した補綴物維持管理に係る案内書等を交付し患者に対する情報提供を行った場合に限り算定できる。

(5) 補綴物維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジを装着した歯について、充填を行った場合の一連の費用は当該補綴物維持管理料に含まれ別に算定できない。

(6) 補綴物維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジが離脱した場合の再装着に係る費用は別に算定できないが、再度の装着に使用した装着材料料については算定して差し支えない。

(7) 「注1」の「歯冠補綴物又はブリッジ」を保険医療機関において装着した日から起算して1年を経過した日以降2年を経過した日までの間に、止むを得ず隣在歯を抜歯し、ブリッジを装着する場合には、その理由書及び模型を地方社会保険事務局長に提出し、その判断を求めるものとする。

M001 歯冠形成

(1) 歯冠形成は、同一歯牙について、1回に限り歯冠形成が完了した日において算定する。なお、簡単な支台築造の費用、歯冠形成に付随して行われる麻酔等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 歯冠形成完了後、完了した日とは別の日に当該歯牙に行われる麻酔の費用は別に算定できる。

(3) 「1」の所定点数には歯冠形成に付随して行われる処置等の一連の費用は含まれるが、歯冠修復物の除去を行った場合の除去料は別に算定できる。

(4) 「1のイ」及び「2のイ」の鋳造冠とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠及び臼歯の5分の4冠をいう。

(5) 「鋳造冠」とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠等、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。

(6) 「1のロ」のジャケット冠とは、レジンジャケット冠及び硬質レジンジャケット冠をいう。

(7) メタルコアで支台築造を行った前装鋳造冠、全部鋳造冠及びジャケット冠に係る失活歯歯冠形成に限り所定点数「2のイの注2」又は「2のロの注」を加算する。

(8) 「4」の窩洞形成は1歯単位に算定する。したがって、同一歯牙に2窩洞以上の形成を行った場合も、窩洞数にかかわらず所定点数1回のみ算定する。

(9) 「4のイ」の「単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞をいう。

(10) 「4のロ」の「複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞をいう。

(11) 「乳歯金属冠」は既製の金属冠をいう。

(12) 燐酸セメント又はカルボキシレートセメントにより充填を行うための窩洞形成は「4のイ」により算定する。

(13) 可動性固定架工義歯(半固定性架工義歯)の可動性連結装置については「4のロ」により算定する。

(14) 歯冠修復物の脱落時において、軟化象牙質を除去して再形成を行った場合は、「I000」普通処置により算定する。

M001―2 齲蝕歯即時充填形成

(1) 齲蝕歯即時充填形成は、齲歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し充填を行った場合に限り算定し、次回来院の際、充填を行う場合は該当しない。

(2) C1″、C2″、C3″において充填物を除去し、即時充填のための窩洞形成を行った場合は、齲蝕歯即時充填形成により算定する。この場合は、除去料の費用は算定できない。

(3) 当該歯牙の歯冠修復物の除去を伴う場合の費用は算定できない。

(4) 「注1」の加算は齲蝕治療に対するかかりつけ歯科医機能を評価したものであり、「A001」かかりつけ歯科医初診料を算定した患者に対し、継続的な歯科医学的管理を行っている場合に算定する。

M001―3 齲蝕歯インレー修復形成

(1) 齲蝕歯インレー修復形成は齲歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し、印象採得及び咬合採得までを行った場合に算定する。

(2) C1″、C2″、C3″において充填物を除去し、インレー修復のための窩洞形成を行った場合は、齲蝕歯インレー修復形成により算定する。この場合、除去料の費用は算定できない。

(3) 当該歯牙の歯冠修復物の除去を伴う場合の費用は算定できない。

M002 支台築造

(1) 「支台築造」とは、実質欠損の大きい失活歯に対して根管等により築造物を維持し、填塞又は被覆して支台歯形態に修復することをいう。

(2) 「メタルコア」とは、鋳造物により築造するものをいう。

(3) 「その他」とは、スクリューポスト(支台築造用)及び複合レジン(築造用)等により築造するものをいい、セメント等による簡単な支台築造は含まれない。

(4) 乳歯については、全部鋳造冠の歯冠形成、帯環金属冠又は乳歯金属冠の歯冠形成、窩洞形成及び根面形成における支台築造の費用は算定できない。

(5) メタルコアによる支台築造物を再装着した場合は、装着料として「M005」装着の「1のロ」と装着に係る保険医療材料料とを算定する。

(6) 歯冠修復を行うにあたり、メタルコアと全部鋳造冠等を同一模型上で作製し、1日で患者に装着することは、歯科医学的に適切であると認められる場合に限られ、常態として行うことは認められない。

M003 印象採得

(1) 印象採得料は、有床義歯、ブリッジ及び義歯修理に当たってそれぞれの製作物ごとに算定する。

(2) ブリッジの印象採得料の算定の時期は、間接法の場合は最初の印象採得の日とし、直接法の場合は支台装置を試適して印象採得を行った日とする。

(3) 印象採得の費用は原則として歯冠修復及び欠損補綴に当たって印象採得又は蝋型採得を行った際に、製作物単位に算定する。ただし、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジにあっては、支台装置ごとに「1のイ」を、または、1装置ごとに「2のイの(1)」を算定する。

(4) その他の印象採得は、次により算定する。

ア 「1のロ」に該当するものは、鋳造歯冠修復、前装鋳造冠、歯冠継続歯、硬質レジンジャケット冠において連合印象又は各個トレーを用いて行ったものである。

イ 「その他のブリッジ」の印象採得について、一部の支台装置が鋳造歯冠修復、前装鋳造冠又は歯冠継続歯である場合にその支台歯につき連合印象を行った場合は「1のロ」の所定点数を算定する。

ウ 「2のイの(1)」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴(ワンピースキャストブリッジを除く。)及び有床義歯修理等である。

エ 9歯以上の欠損補綴及びケロイドにより口唇狭小で印象採得が困難な場合、又は分割印象等を行わなければ所期の目的を達し得ない場合は「2のイの(2)」により算定する。

オ 欠損補綴で連合印象又は各個トレーを用いて行った場合、又は有床義歯床裏装の印象採得料は「2のロ」により算定する。

カ 「2のハ」は、欠損補綴でレジン系印象材又はラバー系印象材等を用いてろう義歯により咬合圧印象を行った場合をいう。また、フレンジテクニック又はマイオモニターによる印象も本区分で算定する。

キ ケロイドにより口唇狭小の際に、連合印象又は特殊印象を行った場合は、「2のロ」又は「2のハ」によりそれぞれの所定点数を算定する。

(5) ワンピースキャストブリッジの印象採得料は、1装置における支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計により算定する。

(6) ブリッジの製作に当たり、ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、止むを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、患者に装着した場合の印象採得は、「2のニ」により算定する。

(7) 欠損補綴に係る連合印象及び特殊印象については、顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。

M004 リテイナー

(1) リテイナー(Retainer)とは、ブリッジの製作過程において、支台歯の保護、支台歯及び隣在歯及び対合歯の移動防止並びに歯周組織の保護等のために歯冠形成完了後にブリッジ装着までの間暫間的に装着されるものをいう。

(2) リテイナーの費用は分割して製作してもブリッジ1装置につき所定点数1回の算定とする。

また、ブリッジ装着までの修理等の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) リテイナーの製作に当たり使用される保険医療材料料(人工歯を使用した場合の人工歯料を含む。)は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) リテイナーの装着に用いた仮着セメント料については、印象採得後リテイナー装着に係る算定と同時点のものに限り算定が認められる。また、必要があってブリッジの試適を行った場合のリテイナーの再装着についても同様とする。

M005 装着

(1) 装着は次により算定する。

ア 「2のロの(1)」及び「2のハの(1)」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴をいう。

イ 「2のロの(2)」及び「2のハの(2)」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴をいう。

ウ 「2のロの(3)」及び「2のハの(3)」に該当するものは、総義歯をいう。

(2) 有床義歯修理を行った場合の装着の費用は、「2のハ」の各区分により算定する。

(3) 装着の費用は原則として歯冠修復物又は欠損補綴物を装着した際に製作物ごとに算定する。ただし、ブリッジにあっては保険医療材料料についてのみ支台装置ごとに算定ができる。

(4) 歯間離開度検査、装着後の歯冠修復の調整等の費用は、装着の所定点数に含まれる。

(5) 前装鋳造冠の装着を行った場合の費用は、「1のイ」により算定する。

(6) 「2のイの(1)の(一)又は(二)の注」による加算は、ワンピースキャストブリッジの製作に当たって生体との調和性をみるために装着日以前に仮着を行った場合に算定する。なお、仮着物の除去の費用は、算定できない。

(7) ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、止むを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、装着した場合の装着料は、「2のイの(1)の(一)又は(二)」により算定する。

(8) 欠損補綴の装着には咬合音検査の費用は含まれ、別に算定できない。

M006 咬合採得

(1) 歯冠修復及び欠損補綴における咬合採得については、製作物ごとに算定する。

ア 「1」に該当するものは、ブリッジの支台装置を除く歯冠修復。

イ 「2のイの(2)」に該当するものは、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジ。

ウ 「2のロの(1)」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴。

エ 「2のロの(2)」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴。

オ 「2のロの(3)」に該当するものは、総義歯。

(2) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における咬合採得については、「M025」口蓋補綴、顎補綴の「1」を算定する場合は「2のロの(1)」の所定点数を、同区分の「2」を算定する場合は「2のロの(2)」の所定点数を、同区分の「3」を算定する場合は「2のロの(3)」の所定点数をそれぞれ咬合採得として算定する。また、副子における咬合採得については、当該副子の範囲に相当する歯数により、「2のロ」により算定する。

(3) 欠損補綴に係る咬合採得については、2回以上行っても顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。

M007 仮床試適

(1) 仮床試適の費用は、仮床試適を行った際に製作物ごとに算定する。

(2) 仮床試適は次により算定する。

ア 「1」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴。

イ 「2」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴。

ウ 「3」に該当するものは、総義歯。

(3) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における仮床試適については、「M025」口蓋補綴、顎補綴の「1」を算定する場合は「2」の所定点数を、同区分の「2」又は「3」を算定する場合は「3」の所定点数を算定する。

M008 ワンピースキャストブリッジの試適

(1) 前歯部に係るワンピースキャストブリッジの製作に当たり、鋳造物の適否等を診断するために試適を行った場合に算定する。

(2) その他のブリッジにおいては、前歯部に係る当該ブリッジの製作に当たり鋳造物等の適否等を診断するために、試適を行った場合は、「1」に準じて算定する。

<歯冠修復>

M009 充填

(1) 「単純なもの」とは隣接面を含まない窩洞に行う充填をいう。

(2) 「複雑なもの」とは隣接面を含む窩洞に行う充填をいう。

(3) 充填の費用は窩洞数にかかわらず1歯単位で算定する。従って、「単純なもの」を同一歯の複数窩洞に行った場合であっても「単純なもの」の所定点数により算定する。

(4) 充填の費用は窩洞形態に応じ算定するものであるが、同一歯に「単純なもの」及び「複雑なもの」の窩洞が混在する場合は、「複雑なもの」の所定点数により算定する。

(5) 前歯部切端又は切端隅角のみのものは、「単純なもの」として算定する。

(6) 3面以上にわたる窩洞に硅酸セメント、硅燐酸セメント及び歯科充填用即時硬化レジンを行った場合は、「単純なもの」として算定する。

(7) 前歯部5級窩洞又は臼歯部楔状欠損に対する充填は、いずれも「1」により算定する。

(8) 充填を行うに当たり窩洞形成を行った場合は、「M001―2」齲蝕歯即時充填形成の場合を除き、1歯につき「M001」歯冠形成の「4のイ」又は「4のロ」の所定点数を算定する。

(9) 充填に使用した保険医療材料料は窩洞を単位として算定するが、同一歯面に複数の窩洞が存在する場合については1窩洞として取り扱う。

(10) 歯科充填用材料Ⅰの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。

ア 単純なもの

「1」に掲げる所定点数及び「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「ロ 複雑なもの」に係る点数を算定する。

イ 複雑なもの

「2」に掲げる所定点数及び「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「イ 単純なもの」に係る点数及び「ロ 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。なお、印象採得を行った場合は1個につき「M003」印象採得の「1」を、装着した場合は1個につき「M005」装着の「1のロ」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。

(11) 歯科充填用材料Ⅱの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。

ア 単純なもの

「1」に掲げる所定点数及び「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「ロ 複雑なもの」に係る点数を算定する。

イ 複雑なもの

「2」に掲げる所定点数及び同区分の「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「イ 単純なもの」に係る点数及び「ロ 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。なお、印象採得を行った場合は1個につき「M003」印象採得の「1」を、装着した場合は1個につき「M005」装着の「1のロ」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。

(12) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合にアマルガム等で封鎖した場合は、「M009」充填の「1」と保険医療材料料により算定する。なお、形成を行った場合は「M001」歯冠形成の「4のイ」の所定点数により算定する。

また、歯肉を剥離して行った場合は「J006」歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。

(13) 光重合型充填用レジン強化グラスアイオノマーにより充填を行うに当たり、歯質と充填材料との接着のための専用のコンディショナーを用いた場合には、「注」の加算点数を算定する。

ただし、加算点数には保険医療材料料が含まれ、別に算定できない。

M010 鋳造歯冠修復

(1) 「単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に行うインレーをいう。

(2) 「複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に行うインレーをいう。

(3) 全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠とは、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。

(4) 5分の4冠としての鋳造歯冠修復は小臼歯への適用を原則とするが、ブリッジの製作に当たり、必要があって生活歯である大臼歯を支台として使用する場合についてはこの限りでない。

(5) 乳歯の歯冠修復は銀合金により行う。また、乳歯に対する鋳造歯冠修復については、交換期を考慮して鋳造歯冠修復を行うことは認められるが、乳歯の解剖学的特殊性を考慮して窩洞形成を行うこと。

(6) 可動性固定架工義歯(半固定性架工義歯)の可動性連結装置については、1装置につき「1のロ」に準じて算定する。

(7) 鋳造歯冠修復の欠損部を鋳造歯冠修復によって修復することは、全部鋳造冠の場合を除き、認められない。

(8) 智歯に対し必要がある場合には、鋳造歯冠修復を行って差し支えない。

(9) 歯槽中隔部に骨吸収及び肉芽を形成している下顎大臼歯を保存可能と診断した場合において、当該歯牙を近遠心根の中隔部において分離切断し、中隔部を掻爬するとともに、各根管に対し歯内療法を行った上で、近心根、遠心根にそれぞれ鋳造冠を製作し連結して装着する場合には、歯内療法については当該歯牙を単位として算定し、歯冠修復については製作物ごとに算定する。

なお、歯冠修復における保険医療材料料については、それぞれ小臼歯の材料料として算定する。

(10) コンビネーション・インレーを製作した場合はそれぞれの所定点数により算定する。

(11) 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根を保存する場合であって、根の削除のみを行う場合は、「I000」普通処置により算定する。

ただし、歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置の上、鋳造歯冠修復で根面を被覆した場合には、歯冠形成については「M001」歯冠形成の「4のイ」、鋳造歯冠修復については「1のイ」と保険医療材料料とを算定する。

(12) 抜歯禁忌症以外であっても、必要があって、根管処置及び根面被覆処置が完了した残根上に、義歯の装着を行うことは認められる。

M011 前装鋳造冠

(1) 前装鋳造冠とは、全部鋳造冠方式で製作された歯冠修復物の唇面を硬質レジンで前装したものをいい、前歯に限り認められる。

(2) 前装鋳造冠及び前装鋳造ポンティック(ダミー)の前装部分の破損部分に対して、口腔内にて充填により補修を行った場合は、形成は「M001」歯冠形成の「4のイ」、充填は「M009」充填の「1」及び保険医療材料料並びに研磨は「M028」充填物の研磨により算定する。

(3) 前装鋳造冠を装着するに当たり、

ア 歯冠形成を行った場合は、1歯につき生活歯は「M001」歯冠形成の「1のイ」及び同区分「1のイの注」の加算点数を、失活歯は同区分の「2のイ」、「2のイ」の「注1」及び「注2」の加算点数を算定する。なお、支台築造を行った場合は「M002」支台築造の「1」又は「2」及び保険医療材料料を算定する。

イ 印象採得を行った場合は、1歯につき「M003」印象採得の「1のロ」を算定する。

ウ 装着した場合は、1個につき「M005」装着の「1のイ」を算定する。

M012 帯環金属冠

(1) 帯環金属冠等を咬合の適否を見るため固定装着せず、翌日にセメント装着する予定の場合、その間に患者の不注意等により紛失し再製したときは、患者の不注意によるときは患者負担とし、歯科医師の不注意による場合は歯科医師の負担とし、その他の場合は保険給付とする。

(2) 有髄歯である不正咬合歯に対して、抜髄の上歯冠修復を行い、咬合、咬交の機能回復を図った場合は所定点数を算定する。

(3) 適当な鉤歯がなく歯冠形態又は植立状態が不良で鉤歯として不適な歯牙に歯冠修復を行うことにより鉤歯として目的が達せられる場合には、歯冠修復の所定点数を算定できる。

(4) 嚼面充実冠とはピーソークラウンのことをいう。

(5) 帯環金属冠を装着するに当たっては、次のとおり算定する。

ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯に行う場合は「M001」歯冠形成の「1のハ」を、失活歯に行った場合は同区分の「2のハ」を算定する。

イ 印象採得を行った場合は1歯につき、「M003」印象採得の「1のイ」を算定する。

ウ 装着した場合は、1歯につき「M005」装着の「1のロ」と保険医療材料料とを算定する。

M013 歯冠継続歯

(1) 適応症であれば、歯科医学上必要性が認められる場合に限り小臼歯に対して歯冠継続歯を行った場合に所定点数を算定する。

(2) 歯冠継続歯を装着するに当たっては、次のとおり算定する。

ア 歯冠形成(根面形成)を行った場合は1歯につき、「M001」歯冠形成の「3」を算定する。

イ 印象採得を行った場合は1歯につき、「M003」印象採得の「1のイ」又は「1のロ」を算定する。

ウ 装着した場合は、1歯につき「M005」装着の「1のイ」と保険医療材料料とを算定する。

M014 ジャケット冠

(1) ジャケット冠はレジンジャケット冠のことをいう。

(2) 乳歯に対するジャケット冠についても所定点数を算定する。

(3) ジャケット冠を装着するに当たり、

ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯に行う場合は「M001」歯冠形成の「1のロ」を、失活歯に行った場合は同区分の「2のロ」及び「2のロ」の「注」の加算を算定する。

イ 印象採得を行った場合は1歯につき、「M003」印象採得の「1のイ」を算定する。

ウ 装着した場合は、1歯につき「M005」の「1のロ」と保険医療材料料とを算定する。

(4) 歯科射出成形樹脂(歯冠用)を用いて、単層成形を行った場合は、ジャケット冠により算定する。

(5) 乳歯又は永久歯の前歯の歯冠部全体のエナメル質の一層を削除し、エナメルエッチング法を実施した後、クラウンフォームのビニールキャップに複合レジンを填入し、支台歯に圧接を行い、硬化後キャップを除去した上で、調整して歯冠修復を完成した場合は、歯冠形成については「M001」歯冠形成の「1のロ」により、また、歯冠修復についてはジャケット冠の所定点数により算定する。

なお、この場合、使用した保険医療材料料は、歯科充填用材料Ⅰ又はⅡの「1 単純なもの」と「2 複雑なもの」を合算して算定する。

(6) 複合レジン冠を失活歯に行った場合は所定点数を算定する。なお、歯冠形成は「M001」歯冠形成の「2のロ」により算定する。

M015 硬質レジンジャケット冠

(1) 硬質レジンジャケット冠を装着する場合は、次の通り算定する。

ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は「M001」歯冠形成の「1のロ」を、失活歯の場合は同区分の「2のロ」及び「2のロ」の「注」の加算を算定する。

イ 印象採得を行った場合は、1歯につき「M003」印象採得の「1のイ」又は「1のロ」を算定する。

ウ 装着した場合は、1歯につき「M005」装着の「1のイ」と保険医療材料料とを算定する。

(2) 応分の咬合圧に耐えうる場合等に限り、小臼歯に対して硬質レジンジャケット冠により歯冠修復を行った場合には所定点数により算定する。

(3) 歯冠用強化ポリサルホン樹脂を用いて、歯科射出成形樹脂(歯冠用)とともに二層成形を行った場合は、硬質レジンジャケット冠により算定する。

M016 乳歯金属冠

(1) 乳歯金属冠は既製の金属冠をいう。

(2) 乳歯金属冠を装着するに当たっては、次のとおり算定する。

ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は「M001」歯冠形成の「1のニ」を、失活歯の場合は同区分の「2のニ」を算定する。

イ 印象採得を行った場合は1歯につき、「M003」印象採得の「1のイ」を算定する。

ウ 装着した場合は、1歯につき「M005」装着の「1のロ」と保険医療材料料とを算定する。

<欠損補綴>

M017 ポンティック(ダミー)

(1) 臼歯部におけるポンティック(ダミー)にレジン歯を使用することは認められないが、咬合面を金属で製作し、他の部分に合成樹脂装を施した場合に所定点数を算定する。

(2) 延長ブリッジの場合の7番ポンティック(ダミー)の保険医療材料料は小臼歯(鋳造ポンティック(ダミー)の保険医療材料料の小臼歯)に該当する保険医療材料料を算定する。

(3) 前装鋳造ポンティック(ダミー)とは、鋳造方式により製作されたポンティック(ダミー)の唇面を硬質レジンにより前装したものをいう。

(4) 前装鋳造ポンティック(ダミー)は、前歯の支台歯を前装鋳造冠又は4分の3冠により製作されたブリッジの前歯のものに限り認められる。ただし、3番、4番の2歯欠損については、小臼歯の前装鋳造ポンティック(ダミー)は算定できる。

(5) 可動性固定架工義歯(半固定性架工義歯)の可動性連結装置を使用した場合は、区分「M010」鋳造歯冠修復の「1のロ」及び「M001」歯冠形成の「4のロ」を算定する。

(6) ブリッジの製作に当たり支台歯の植立方向によりポンティック(ダミー)を分割して製作することは、認められない。

(7) ブリッジについては、以下の適用によるものとする。

ア ブリッジの給付について

(イ) ブリッジは歯の欠損状況から「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)に示す方法で支台歯数等を定め製作する。

(ロ) 連続欠損の場合は、2歯までとする。ただし、中側切歯については連続4歯欠損まで認められる。

(ハ) 延長ブリッジは原則として認められない。ただし、第二大臼歯欠損の場合に、咬合状態及び支台歯の骨植状態を考慮し、半歯程度のポンティック(ダミー)を行う場合に限り認められる。

(ニ) 隣接歯の処置状況等からやむをえず延長ブリッジを行う場合にあっては、側切歯及び小臼歯1歯のみ認められる。

(ホ) 第三大臼歯は歯軸に傾きがなく歯周組織が健全で骨植堅固な場合に限り支台歯として認められる。

イ ブリッジ設計の考え方

ブリッジの設計については、「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)によること。

(8) 分割抜歯後のブリッジの製作

ア 第1、第2大臼歯を分割抜歯してブリッジの支台歯とすることは、「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)の「咬合力の負担からみたブリッジの適応症と設計、5その他(歯根を分割抜去した大臼歯に対するブリッジ)」の項を参照し、残った歯冠、歯根の状態が歯科医学的に適切な場合に限り認められる。

なお、上顎第2大臼歯の遠心頬側根抜歯、下顎第2大臼歯の遠心根抜歯の場合の延長ポンティック(ダミー)は認められない。

イ 分割抜歯を行った場合の指数は、

a 下顎の場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティック(ダミー)とした時はF=4とする。

b 上顎の場合、残った歯根は1根につきRを1とするが、1根のみの支台歯は歯科医学的に適切と考えられないので認められない。ブリッジの支台歯となるのは、口蓋根と頬側の1根が残った場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティック(ダミー)とした時はF=4とする。また、頬側の2根のみが残った場合は口蓋根部のポンティック(ダミー)は必要とされないことから残った歯根はR=2のみとする。

例①(第1大臼歯の遠心根を抜歯した場合)

指数

2

4

6

 

歯種

6

6

7

r=8-4=4

 

F=4

4/3=1.3…

6の残した根も7のRもFの1/3を超えるので、この場合条件を満たしている。

R

2

 

6

F

 

4

 

例②(第1大臼歯の遠心根と第2大臼歯を抜歯した場合)

指数

2

4

6

4

 

指数

4

2

4

6

4

歯種

6

6

7

8

歯種

5

6

6

7

8

 

 

 

R

2

 

 

4

 

R

4

2

 

 

4

F

 

4

6

 

 

F

 

 

4

6

 

r=6-10<0で不可、5番も支台歯とする必要がある。

 

5番を支台歯として追加することで、r=10-10=0で可、5と6の残した根の和も8のRもFの1/3を超えるのでこの場合条件を満たしている。

ウ 上顎の第1又は第2大臼歯を3根のうち2根残して分割抜歯してブリッジの支台歯とする場合は、頬側2根を残した場合は大臼歯として、又頬側いずれか1根と口蓋根を残した場合は、支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯のポンティック(ダミー)として算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、大臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

エ 下顎の第1又は第2大臼歯を近遠心2根のうち1根を残して分割抜歯してブリッジの支台とする場合は、1根を支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯ポンティック(ダミー)として算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、小臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

(9) ブリッジを装着するに当たり、ワンピースキャスト法により印象採得を行った場合は、1装置につき「M003」印象採得の「2のニの(1)」又は「2のニの(2)」を、それ以外の方法で製作する場合は支台装置の印象採得を行った場合は1歯につき同区分「1のイ」又は「1のロ」を、ポンティック(ダミー)の印象採得を行った場合は1装置につき同区分「2のイの(1)」を、咬合採得を行った場合は1装置につき「M006」咬合採得の「2のイの(1)の(一)」又は「2のイの(1)の(二)」を、装着した場合は支台装置の装着については1歯につき「M005」装着の「1のイ」又は「1のロ」と保険医療材料料を、ブリッジの装着については1装置につき同区分「2のイ」を算定する。

(10) 必要があって根を分離切断した下顎大臼歯を支台歯として使う場合の指数は「6」として大臼歯1歯の取扱いとする。ただし、分離切断したのであるから、実態に合わせて指数を減ずることを考慮すべきである。

(11) 「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)の判定条件におけるブリッジの1側の支台歯のRの総計が、隣接するダミーのF及びF・Sの総計の1/3以上であるという判定条件bは延長ブリッジについては適用しない旨のただし書きは、延長したポンティック(ダミー)については片側に支台歯が存在しないのでそのポンティック(ダミー)のバランスは考慮しないとの意である。したがって、画像43 (5KB)別ウィンドウが開きます

部は判定条件bにかかわっていないので、基本となるブリッジ画像44 (3KB)別ウィンドウが開きます

において条件bを判定することになる。この場合は判定条件bを満たしていないので、画像45 (3KB)別ウィンドウが開きます
もブリッジの設計としては不適である。

(12) 「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)によると延長ブリッジの支台歯は2歯以上となっているが、これは回転力を軽減させるためであるから、支台歯が2歯以上であって条件が整っていれば、必ずしも支台歯は連続している必要はない。

(13) 可動性ブリッジ又はインレーを支台とするブリッジの指数は、「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)に示した当該支台歯の歯種による指数を用いる。

(14) 欠損ではなく、1歯相当分の間隙のある場合のブリッジの設計において、ポンティック(ダミー)は両隣接支台歯の何れかの形態を模して決定するが、その指数については実態に応じ近似の歯種の指数とする。

なお、半歯程度の間隙の場合は隙とする。

(15) 咬合緊密のため有床義歯が装着不可能な症例におけるブリッジの製作の必要性は、医学的判断に待つべきものであるが、診療報酬請求の段階において個々の症例について客観的に妥当なものであるかどうかの判断が困難であるので、これが運用の円滑を期するため、(16)によりこの医学的判断についてあらかじめ指導行政庁等の専門的意見によって調整を加えるものであり、保険者が承認を与えるものではない。

(16) 有床義歯では目的が達せられないか或いは嚥下吸引等の事故を起こす恐れが極めて大である場合であってブリッジを行う以外に方法がない時は、理由書及び模型を都道府県知事に提出し、当該ブリッジの適否を決する。

(17) (16)の場合において添付模型の製作料は、「D003」スタディモデルの「1」に準じて算定する。

(18) 低位唇側転位の犬歯の抜歯後に生じた欠損部の間隙が側切歯、あるいはそれ以下しかない場合であっても、「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)にあるポンティック(ダミー)の抵抗値(F値)を減じることは適切でない。

欠損部の間隙が側切歯半歯以下の極めて小さい場合については、側切歯又は第一小臼歯、あるいは双方の歯冠幅を僅かずつ拡大して歯冠修復を行い、場合によっては補綴隙等を行うことにより対応する。

犬歯のポンティック(ダミー)が必要な場合で、中切歯が既にブリッジの支台として使用されている等の理由で新たに支台として使用できない場合に限って、ブリッジの設計を「②3④⑤」に変更することは差し支えない。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に中切歯の状況等を記載すること。

(19) 側切歯及び犬歯、あるいは犬歯及び第一小臼歯の2歯欠損であって、犬歯が低位唇側転位していたため間隙が1歯分しかない場合に限ってポンティック(ダミー)1歯のブリッジとして差し支えない。

ただし、製作するブリッジのポンティック(ダミー)の形を側切歯とするか犬歯とするかはそれぞれの症例によって異なるものと思われるが、形の如何によらずポンティック(ダミー)の抵抗値(F値)は犬歯の「5」として設計する。

この場合、診療報酬明細書の摘要欄に低位唇側転位の犬歯を含む欠損歯数と補綴歯数の不一致の旨記載すること。

(20) 矯正・先天性欠如等により、第一小臼歯が既に欠損している患者の第二小臼歯を抜歯した場合あるいは第二小臼歯が舌側に転位しているとき、第一小臼歯及び第二小臼歯を抜歯した場合で、間隙は1歯分しかないような小臼歯2歯の欠損であって間隙が狭い場合のブリッジについても「ブリッジの適応症と設計」(1992年版)に従って歯式どおり対応する。

また、同様の理由で第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯欠損のブリッジにおいて、欠損歯数は3歯であるが、間隙のほうが1歯分程度小さく2歯分となる場合については、保険適用の有無を判定することになるので、理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を都道府県知事に提出してその適否を決するものとする。また、添付模型の製作料は、「D003」スタディモデルの「1」に準ずるが、添付フィルム又はその複製については「E100」歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び「E300」フィルムに準じて算定して差し支えない。

(21) 6⑥⑦及び⑤⑥6のような分割延長ブリッジは原則として認められないが、前者については隣接する第二小臼歯が前方ブリッジの支台歯となっているか又は同歯にメタルボンド冠が装着されている症例、後者については隣接する第二大臼歯に金合金又は白金加金の全部鋳造冠が装着されている症例であって、補綴物を除去し、当該歯をブリッジの支台歯として使用することが困難であるため、当該歯の補綴物にレストを設定することによりブリッジの維持を求める構造となる場合はこの限りではない。

ただし、レストの設定に係る費用は算定しない。

M018 有床義歯

(1) 有床義歯については、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

(2) 欠損補綴に当たっての歯数の数え方については、欠損歯数によるものではなく、人工歯の数による。欠損歯が4歯であっても、人工歯の配列上5歯となる場合には、その歯数は5歯とする。

(3) 局部義歯のうち12歯より14歯については、あくまで残存歯があり、局部義歯として補綴を行った場合に限り算定する。なお、1床14歯の局部義歯の場合もあり得る。

(4) 欠損部の後方に天然歯のない場合に製作した義歯を遊離端義歯といい、また、遊離端義歯と中間義歯(欠損部の前後又は左右に天然歯のある場合に製作した義歯をいう。)とが混合している義歯を複合義歯という。

(5) 上顎左側第二大臼歯から上顎右側第二大臼歯が欠損している(欠損歯数14歯)症例において、歯冠の一部が露出した状態の埋伏智歯が残存している場合又は当然抜歯すべき症例のうち何らかの理由で抜歯不可能な場合は、智歯と無関係に総義歯同様の義歯を製作したときは、総義歯として算定する。

(6) 抜歯後1か月を経過していなくても歯科医学的にみて適当であると認められる場合に限り、義歯の製作の費用は所定点数により算定する。

(7) 抜歯禁忌症以外の場合で、残根歯に対して歯内療法及び根面被覆処置が完了したものについて、必要があって義歯を製作した場合には、その費用は算定できる。

(8) 残根上の義歯をやむを得ず製作するに際し、残根歯の歯内療法後に行う根面被覆処置として、複合レジンを使用することは差し支えない。この場合、歯冠形成については「M001」歯冠形成の「4のイ」、充填については「M009」充填の「1」及び保険医療材料料を算定する。

(9) 骨植堅固で保存可能な残根歯を利用したアタッチメントを使用した総義歯については算定できない。

(10) 前歯部の間隙のみがある場合、これを有床義歯の隙により補綴することは歯科医学的に適切でない。

(11) 小児義歯は原則として認められないが、後継永久歯が無く著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症児に対する小児義歯に限り、有床義歯に準じて算定する。

(12) 模型上で抜歯後を推定して製作する即時義歯は認められる。ただし、即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できない。

なお、歯肉の退縮等により比較的早期に床裏装を行った場合は、「M029」有床義歯修理により算定する。

(13) 有床義歯を1日で製作し装着することは、特殊な症例で歯科医学的に適切な場合に限り、その費用は算定できる。ただし、常態として1~2日で製作し装着を行うものの、装着後の調整指導を実施しない保険医療機関においては認められない。

M019 スルフォン樹脂有床義歯

(1) 義歯床用スルフォン樹脂とは、義歯床用ポリエーテルサルホン樹脂、義歯床用ポリサルホン樹脂及び義歯床用強化ポリカーボネート樹脂をいう。

(2) スルフォン樹脂有床義歯については、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

M020 鋳造鉤

(1) 14カラット金合金による鉤は2歯欠損までの有床義歯の場合に限り算定できる。

(2) 保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料により算定する。

(3) ローチのバークラスプ及び鋳造によるバックアクション鉤は両翼鉤として算定し、2歯以上にわたるバークラスプは、双歯鉤として算定する。

なお、保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料の双歯鉤の大・小臼歯により算定する。

M021 線鉤

バックアクション鉤等に要する費用は、「1」により算定する。

M023 バー

(1) 保持装置とは、孤立した中間欠損部分を補綴するため、局部義歯の鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子をいう。

(2) 鋳造バー、屈曲バーに保持装置を装着した場合は、その使用個数に応じて算定する。

(3) 緩圧式バーは「1」又は「2」により算定し、ケネディバーは「1」により算定する。

(4) バー義歯が破損し、バーの取替えが必要な症例に限り新たなバーに要する費用は算定できる。

また、有床義歯修理の際に、新たにバーを付与した場合も歯科医学上適切な場合に限り算定できる。

(5) 有床義歯及びスルフォン樹脂有床義歯の製作や床修理に際し、補強線を使用した場合の当該補強線に係る費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

なお、補強線は、歯牙欠損部、残存歯牙の植立状態、対咬関係、顎堤の形態及び粘膜の性状等を勘案し、義歯の破損防止のために使用するものをいう。

M024 臼歯金属歯

局部義歯又は総義歯において臼歯金属歯を使用した場合には、「M018」有床義歯の所定点数と臼歯金属歯の所定点数とを合算して算定する。

M025 口蓋補綴、顎補綴

(1) 義歯を装着した口蓋補綴又は顎補綴を行った場合の費用は、義歯の費用と口蓋補綴又は顎補綴の費用をそれぞれ算定する。

(2) 口蓋裂に起因する鼻咽腔閉鎖機能不全による言語療法のため鼻咽腔閉鎖機能改善の必要があり、いわゆるスピーチエイド等の発音補整装置を装着した場合は本区分により算定する。

なお、当該装置の調整に要する費用は「M029」有床義歯修理により算定する。

(3) 濾胞性歯嚢胞の摘出の際、あらかじめ術前に製作しておいた口蓋板の装着は、「1」により算定する。

(4) 舌の切除等の外科的療法を行った後の発音障害に対して、必要があって有床義歯に発音補助装置を付加して製作し装着した場合、当該発音補助装置については「2」により算定する。

ただし、印象採得の費用は算定できない。

<その他の技術>

(ろう着)

歯冠修復物及び欠損補綴物をろう着した場合の費用は、当該歯冠修復物及び欠損補綴物の製作等に係る所定点数に含まれ別に算定できない。

M026 補綴隙

補綴隙は、必要と認められる場合に限り前歯部にはレジン隙を、臼歯部には金属隙の使用が認められるが、その費用は、いずれも補綴隙の所定点数により算定する。なお、総義歯については認められない。

(2) 間隙が広く補綴物を必要とする場合は金属冠に使用しても差し支えない。

M028 充填物の研磨

(1) 充填を行った場合の研磨に要する費用は、1歯につき1回に限り算定できる。

<修理>

M029 有床義歯修理

(1) 有床義歯の修理の費用は、人工歯数に関係なく所定点数により算定する。この場合、修理に伴って鉤を新たに製作したときは、その鉤の費用については、鉤の所定点数により算定する。

(2) 有床義歯修理の場合において、例えば陶歯の破折脱落のため陶歯を新たに使用した場合、又は1歯を抜歯し、旧義歯床を延長して新たに1歯分の補綴をした場合の費用は、有床義歯修理と人工歯料の所定点数を合算して算定する。

(3) 破損した有床義歯を修理した後、新たに有床義歯を製作した場合の費用はそれぞれ所定点数により算定する。

(4) 鉤歯の抜歯又は鉤の破損等のため不適合となった鉤を、連結部から切断した場合は、修理又は床裏装を前提に切断した場合に限り、除去料を算定する。

M030 有床義歯床裏装

(1) 有床義歯床裏装は、アクリリック樹脂又はスルフォン樹脂で製作された義歯床の粘膜面を一層削除し、新たに義歯床の床裏装を行った場合に当該義歯の人工歯数に応じ所定点数を算定する。

(2) 義歯が不適合で有床義歯を新たに製作することを前提に行った床裏装は、有床義歯修理の所定点数により算定する。

(3) 義歯破損に際し義歯修理のみにより当初の目的を達せられない場合、歯科医学的判断により、床裏装を行ったときは、修理及び有床義歯床裏装の点数をそれぞれ算定する。ただし、同一日に直接法により床裏装を行った場合の修理の費用は、有床義歯床裏装の所定点数に含まれる。

(4) 床裏装に際しての印象採得料は「M003」印象採得の「2のロ」により算定する。

(5) 口蓋補綴を行い、有床義歯装着後、当該義歯不適合のため床裏装を行った場合は、「2」により算定する。

(6) 有床義歯の換床を行った場合は、本区分により算定する。

(7) 現在使用中の総義歯又は多数歯欠損の局部義歯において必要があって人工歯を置換した場合若しくは咬合高径等を調整する目的で、人工歯の咬合面にレジンを添加し再形成を行った場合は、有床義歯床裏装により算定する。

(8) 旧義歯が不適合で床裏装や再製が必要とされる場合に、粘膜異常に対してそれを調整するために、旧義歯を調整しながら、ティッシュコンディショナーを用いティッシュコンディショニングを行った場合は、当該義歯の調整を含めて、1回につき「J006」歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。なお、当該点数を算定した場合は、「M036」有床義歯調整・指導料の算定は認められない。

M032 帯環金属冠修理

(1) 修理に際して同時に普通処置、抜髄又は根管充填等の処置を行った場合は、それらの処置の費用はそれぞれの所定点数により算定する。

(2) 歯科医学的に適切なブリッジの修理については、当該ブリッジが別に定める材料価格基準に収載されている代用合金材料で製作されている場合は、「2」の所定点数に当該ブリッジのポンティック(ダミー)と支台歯の数の合計数を乗じて得た点数により算定する。

(3) ブリッジの修理に際し印象採得を行った場合は、1装置につき「M003」印象採得の「2のイの(1)」により算定する。

(4) ブリッジの修理に際し装着を行った場合は、支台装置1歯につき「M005」装着の「1のイ」又は「1のロ」により、ブリッジ1装置につき同区分の「2のイ」のそれぞれの所定点数により算定する。ただし、口腔内においてポンティック(ダミー)部分を修理した場合の装着料の算定は認められない。

(5) 平成4年3月までに保険給付をされていたブリッジで同月までに装着されたものが、破損した場合の修理(保険給付の修理と同一の場合)あるいは脱落した際の再装着の費用は所定点数により算定する。

M033 金合金鉤修理

金合金鉤修理の所定点数は、14カラット金合金鋳造鉤以外の金合金鉤(従来の金鉤)について修理を行った場合に算定し、14カラット金合金鋳造鉤の修理は算定できない。

M034 歯冠継続歯修理

(1) 前歯部のポンティック(ダミー)の修理は、本区分により算定する。

(2) 咬合面が金属であるレジン裏装を行った臼歯部架工義歯のポンティック(ダミー)においてレジン裏装が脱落し、これを即時重合レジンで修理した場合は本区分により算定する。

(3) レジンジャケット冠の一部破損に対して、口腔内において即時硬化レジンで修理した場合は、本区分により算定する。

M035 新製義歯調整指導料

(1) 有床義歯の新製を前提に旧義歯の修理を行う場合は、旧義歯修理の際は、有床義歯調整・指導料を算定し、有床義歯の新製後に新製義歯調整指導料を算定する。

(2) 有床義歯の新製を行った月と同一月に、当該有床義歯とは別の欠損部位の有床義歯の修理又は床裏装を行った場合、修理又は有床義歯床裏装の費用の算定は認められる。なお、調整指導に係る費用は1口腔単位として算定するものであることから、同日に新製義歯及び床裏装又は床修理を行った義歯について調整指導を行った場合は、新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料のいずれかで算定する。

(3) ティッシュコンディショニングを行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、新製義歯調整指導料、有床義歯調整・指導料、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)又は有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)はいずれも算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料を算定する。

(4) 有床義歯の検査及び調整指導を行った場合は、要点を診療録に記載する。なお、有床義歯の検査及び調整指導については、日本歯科補綴学会の「有床義歯の調整・指導についてのガイドライン」を参考とすること。

M036 有床義歯調整・指導料

(1) 有床義歯調整・指導料の「注1」に規定する有床義歯装着とは新製義歯の装着をいう。

(2) 別の保険医療機関で製作した有床義歯の調整及び指導については、装着後1月以内であっても有床義歯調整・指導料により算定する。

(3) 有床義歯の新製を前提に旧義歯の修理を行う場合は、旧義歯修理の際は、有床義歯調整・指導料を算定し、有床義歯の新製後に新製義歯調整指導料を算定する。

(4) 有床義歯の新製を行った月と同一月に、当該有床義歯とは別の欠損部位の有床義歯の修理又は床裏装を行った場合、修理又は有床義歯床裏装の費用の算定は認められる。なお、調整指導に係る費用は1口腔単位として算定するものであることから、同日に新製義歯及び床裏装又は床修理を行った義歯について調整指導を行った場合は、新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料のいずれかで算定する。

(5) ティッシュコンディショニングを行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、新製義歯調整指導料、有床義歯調整・指導料、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)又は有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)はいずれも算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料を算定する。

(6) 有床義歯の検査及び調整指導を行った場合は、要点を診療録に記載する。なお、有床義歯の検査及び調整指導については、日本歯科補綴学会の「有床義歯の調整・指導についてのガイドライン」を参考とすること。

(7) 有床義歯を新製し、新製義歯調整指導料を算定し、継続して診療を行っている患者に対し、時期を異にして有床義歯の新製を行った場合にあっては、義歯の調整指導に係る費用は、有床義歯調整・指導料を算定する。

M038 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)

(1) 有床義歯を新たに製作し、装着した患者について、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)の算定要件に該当する期間以前の時点において、当該有床義歯の装着部位とは異なる部位について別に有床義歯の新製又は有床義歯床裏装を行った場合は、当初の義歯の装着からの期間により有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定できる期間を計算する。

(2) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した月の翌月以降であって、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)の算定要件に該当する期間以前の時点において、1装置以上の有床義歯の新製又は床裏装を行った場合は、当該新製又は床裏装に係る有床義歯の装着からの期間により再び有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定できる期間を計算する。

(3) ティッシュコンディショニングを行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、新製義歯調整指導料、有床義歯調整・指導料、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)又は有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)はいずれも算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料を算定する。

(4) 有床義歯の検査及び調整指導を行った場合は、要点を診療録に記載する。なお、有床義歯の検査及び調整指導については、日本歯科補綴学会の「有床義歯の調整・指導についてのガイドライン」を参考とすること。

(5) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は、診療報酬明細書に新製義歯の装着を行った年月を記入し、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)を算定する場合は、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した年月を記入すること。なお、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定後に床裏装を行い、再度有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は当該床裏装を行った年月を記入すること。

(6) 「注4」に掲げる加算は、有床義歯の長期適正使用を推進するため、特に咬合の回復が困難な患者に対する長期調整指導を評価したものである。なお、咬合の回復が困難な患者とは、次のいずれかの要件を満たす患者をいう。

ア 総義歯を装着した患者

イ 9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外には対合歯間の接触関係を有しない患者

M039 有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)

(1) ティッシュコンディショニングを行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、新製義歯調整指導料、有床義歯調整・指導料、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)又は有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)はいずれも算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料を算定する。

(2) 有床義歯の検査及び調整指導を行った場合は、要点を診療録に記載する。なお、有床義歯の検査及び調整指導については、日本歯科補綴学会の「有床義歯の調整・指導についてのガイドライン」を参考とすること。

(3) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した月の翌月以降であって、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)の算定要件に該当する期間以前の時点において、1装置以上の有床義歯の新製又は床裏装を行った場合は、当該新製又は床裏装に係る有床義歯の装着からの期間により再び有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定できる期間を計算する。

(4) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は、診療報酬明細書に新製義歯の装着を行った年月を記入し、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)を算定する場合は、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した年月を記入すること。なお、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定後に床裏装を行い、再度有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は当該床裏装を行った年月を記入すること。

(5) 「注4」に掲げる加算は、有床義歯の長期適正使用を推進するため、特に咬合の回復が困難な患者に対する長期調整指導を評価したものである。なお、咬合の回復が困難な患者とは、次のいずれかの要件を満たす患者をいう。

ア 総義歯を装着した患者

イ 9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外には対合歯間の接触関係を有しない患者

M040 有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)

(1) ティッシュコンディショニングを行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、新製義歯調整指導料、有床義歯調整・指導料、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)又は有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)はいずれも算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料を算定する。

(2) 有床義歯の検査及び調整指導を行った場合は、要点を診療録に記載する。なお、有床義歯の検査及び調整指導については、日本歯科補綴学会の「有床義歯の調整・指導についてのガイドライン」を参考とすること。

(3) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は、診療報酬明細書に新製義歯の装着を行った年月を記入し、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)を算定する場合は、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した年月を、有床義歯長期調整指導料(Ⅲ)を算定する場合は、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)を算定した年月を記入すること。なお、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定後に床裏装を行い、再度有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は当該床裏装を行った年月を記入すること。

(4) 「注4」に掲げる加算は、有床義歯の長期適正使用を推進するため、特に咬合の回復が困難な患者に対する長期調整指導を評価したものである。なお、咬合の回復が困難な患者とは、次のいずれかの要件を満たす患者をいう。

ア 総義歯を装着した患者

イ 9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外には対合歯間の接触関係を有しない患者

第13部 歯科矯正

[通則]

1 歯科矯正は、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常若しくは別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養又は特定承認保険医療機関において行う「保険医療機関及び保険医療養担当規則第5条の2の第2項」に規定する厚生労働大臣の承認を受けた療養に限り保険診療として対象とする。

2 歯科矯正の費用は、第1節の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されている場合を除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の保険医療材料料を合算して算定する。

3 印象採得、咬合採得及び装着については、それぞれの診療行為を行った日に算定する。

4 歯科矯正料の項に掲げられていない歯科矯正のうち、特殊な歯科矯正の歯科矯正料は、その都度当局に内議し、最も近似する歯科矯正として準用が通知された算定方法により算定する。

5 歯科矯正においては、患者が任意に診療を中止し、一月を経過した後、再び同一症状又は同一病名で当該保険医療機関に受診した場合は、初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)は算定できない。

6 別に厚生労働大臣が定める疾患とは、唇顎口蓋裂、第一・第二鰓弓症候群、鎖骨頭蓋異骨症、Crouzon症候群、Treacher-Collins症候群、Pierre Robin症候群、Down症候群、Russell-Silver症候群、Turner症候群、Beckwith-Wiedemann症候群、尖頭合指症をいうものである。

7 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対する歯科矯正の療養は、当該疾患に係る育成医療及び更生医療を担当する医療機関からの情報提供に基づき連携して行われるものである。

第1節 歯科矯正料

N000 歯科矯正診断料

(1) 歯科矯正診断料は、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析し、これらの分析結果と過去に行った治療内容の評価と併せて可及的に長期的な予測を行い、治療計画書を作成し、患者に内容を説明のうえ当該治療計画の内容を文書により提供した場合に算定する。

(2) 「注1」に規定する治療計画書には、次に掲げる内容を含むものとする。

ア 全身性疾患の診断名、症状及び所見

イ 口腔領域の症状・所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態等)及び歯牙年齢等

ウ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

(3) 歯科矯正診断料を算定した後、「注2」に掲げる歯科矯正診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びにセファログラム及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、歯科矯正診断料は、算定できない。

(4) 作成した治療計画書又はその写しを診療録に添付すること。

(5) 歯科矯正診断料の算定に係る歯列矯正は、歯科矯正に関する医療を担当する歯科医師及び別に厚生労働大臣が定める疾患に関する育成医療及び更生医療を担当する医師等との十分な連携を図り行われるべきものである。

N001 顎口腔機能診断料

(1) 顎口腔機能診断料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合していると地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関に限り算定する。

(2) 顎口腔機能診断料は、顎離断等の手術を必要とする患者(顎変形症若しくは別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常の患者に限る。)の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析し、これらの分析結果、顎口腔機能の分析結果及び既に行った治療内容の評価を併せて可及的に長期的な予測を行い、治療計画書を作成し、患者に内容を説明のうえ当該治療計画の内容を文書により提供した場合に算定する。

(3) 顎口腔機能分析には、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査及び予測模型等による評価を併せて行う。

(4) 「注1」に規定する治療計画書には、次に掲げる内容を含むものとする。

ア 全身性疾患の診断名、症状及び所見

イ 口腔領域の症状・所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等)及び歯牙年齢等

ウ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

(5) 顎口腔機能診断料を算定した後、「注2」に掲げる顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びにセファログラム及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、顎口腔機能診断料は算定できない。

(6) 顎口腔機能診断料の算定に係る歯科矯正及び顎離断等の手術は、歯科矯正に関する医療を担当する歯科医師及び口腔に関する医療を担当する歯科医師又は医師の十分な連携の下に行われるべきものであり、これら一連の治療に関する記録は、当該医療を担当するそれぞれの歯科医師又は医師において保管する。

(7) 作成した治療計画書又はその写しを診療録に添付すること。

N002 歯科矯正管理料

(1) 「注1」に規定する「計画的な歯科矯正管理」とは、歯と顎の変化及び移動の把握並びにそれに基づく治療計画の点検及び修正をいう。

また、「経過模型による歯の移動等の管理」とは、経過模型を製作し、過去に製作した経過模型と対比し、歯の移動等を把握することをいう。

(2) 「N000」歯科矯正診断料の「注1」に規定する治療計画書が作成されていない場合及び当該保険医療機関において歯科矯正の動的治療が行われていない場合には、歯科矯正管理料は算定できない。

(3) 療養上必要な指導とは、「N000」歯科矯正診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づいた矯正装置の取扱い、口腔内衛生、栄養、日常生活その他療養上必要な指導をいう。

なお、療養上必要な指導を行った場合には、患者の症状の経過に応じて、既に行われた指導等の評価及びそれに基づいて行った指導の内容の要点を診療録に記載する。

(4) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科矯正管理料は算定できない。

(5) 歯科矯正管理を行った場合に使用した経過模型、口腔内写真、顔面写真等の費用は、歯科矯正管理料に含まれる。

(6) 保定における保定装置の調整の費用は、歯科矯正管理料に含まれる。

N003 歯科矯正セファログラム

(1) 歯科矯正セファログラムとは、焦点と被写体の中心及びフィルム面が常に一定の距離を保持し、かつ、エックス線の主線が両耳桿の延長線に対して、0度、90度又は45度に保てる規格の機器を用いて撮影したものをいう。

なお、常に一定の距離とは、個々の患者につき、焦点と被写体の中心及びフィルム面の距離が経年的に一定であることをいう。

(2) 一連とは、側貌、前後像、斜位像等の撮影を全て含むものである。

(3) 歯科矯正セファログラムに用いたフィルム及びデジタル映像化処理に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N004 模型調製

(1) 平行模型は、咬合平面が水平になるよう製作したときに、顎態模型は、眼耳平面を基準として顎顔面頭蓋との関係を明らかにした模型を製作したときに算定する。

(2) プラスターベースは、平行模型及び顎態模型を一定の規格に維持した状態で長期にわたって保管する必要があるために用いる。

(3) 平行模型は、歯科矯正を開始したとき、動的処置を開始したとき、マルチブラケット法を開始したとき、顎離断等の手術を終了したとき及び保定を開始したとき、各々につき一回に限り算定する。

(4) 予測模型は、歯及び顎の移動後の咬合状態の予測を模型上にあらわしたものである。

(5) 予測模型は、歯科矯正の治療においてダイナミックポジショナー及びスプリングリテーナーを製作した場合には各々につき一回算定する。なお、歯科矯正を開始したとき又は動的処置を開始したときは、いずれかについて1回に限り算定するものとし、顎離断等の手術を開始したときも1回に限り算定する。

N005 動的処置

(1) 動的処置とは、「N000」歯科矯正診断料の「注1」に規定する治療計画書及び「N008」装着「1の注2」に規定する力系に関するチャートに基づき、矯正装置に用いた主線、弾線、スクリュー等の調整並びに床の削除及び添加により、歯及び顎の移動・拡大等を計画的に行うものとする。