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○健康保険組合における診療報酬の審査及び支払に関する事務の取扱いについて
(平成14年12月25日)
(保発第1225001号)
(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局長通知)
健康保険組合における診療報酬の審査及び支払に関する事務については、「健康保険組合における診療報酬の支払に関する件」(昭和23年8月21日保発第42号各都道府県民生部保険課長宛厚生省保険局長通知)により、社会保険診療報酬支払基金に委託するよう指導してきたところであるが、今般、同通知を廃止するとともに、「別添1」のとおり取り扱うこととしたので、ご了知願いたい。
(別添1)
健康保険組合における診療報酬の審査及び支払に関する事務の取扱い要領
1 健康保険組合等による審査及び支払
(1) 健康保険組合は、特定の保険医療機関(以下「対象医療機関」という。)と合意(この合意の解除に関する事項を含む。)した場合には、自ら審査及び支払に関する事務を行えること。また、この場合、健康保険組合は、当該事務を社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)以外の事業者(以下「事業者」という。)に委託することも可能であること。なお、その再委託は行わないこと。
(2) 健康保険組合は、対象医療機関の名称等をホームページに公表するとともに、その旨を規約に明記すること。
ただし、健康保険組合がホームページを開設していない場合は、代替的な手段として、現行の規約で定める公示(掲示版への掲示・組合報への掲載等)を行うことも差し支えないこと。((別添2)の健康保険組合規約例の改正を参照のこと。)
2 対象となる診療報酬請求書
(1) 健康保険組合が自ら審査及び支払に関する事務を行う場合(1の(1)により事業者に委託する場合を含む。)には、下記(2)に掲げるものを除き、対象医療機関で受診した当該健康保険組合の被保険者及び被扶養者(以下「被保険者等」という。)に係るすべての診療報酬請求書を対象とすること。
(2) 公費負担医療(社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)第15条第2項又は第3項に規定する事務に係るものをいう。)に係る診療報酬請求書の審査及び支払に関する事務については、従来どおり、基金が取り扱うこと。
3 公正な審査体制
(1) 健康保険組合は、健康保険法(大正11年法律第70号)第76条第4項(同法第110条第7項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)及び診療報酬の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第59号)の規定に照らして適正な審査を行うことが必要である。このため、審査対象となる各診療科について十分な知識と能力を有する医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)等に審査を担当させるなど適正な審査を行える体制を確保すること。
(2) 対象医療機関の医師等が審査を行ってはならないこと。
(3) 健康保険組合が審査及び支払に関する事務を事業者に委託する場合には、当該事業者は本要領によって健康保険組合に求められる適正な審査体制を確保するとともに、健康保険組合は必要な指導監督を行うこと。
(4) 健康保険組合は、対象医療機関から診療報酬請求書の作成を委託されている者に、審査及び支払に関する事務を委託してはならないこと。
なお、対象医療機関から診療報酬請求書の作成を委託されている者と実質的に同一又は子会社等とみなされる場合も同様であること。
(5) 地方厚生(支)局は、健康保険組合又は事業者の審査の適正を確保するため、審査の基本方針や審査状況(査定率、査定理由など)について、健康保険組合に対し、必要な報告を求めるなどの指導監督を行うものであること。
4 個人情報の保護
(1) 健康保険組合においては、被保険者等の個人情報が漏えいしないよう、万全を期すること。このため、服務規程等において職員の守秘義務を明記するとともに、個人情報に関する取扱責任者を定め、個人情報の取扱いに関し、漏えい、滅失又はき損(以下「漏えい等」という。)の防止その他個人情報の保護のために必要かつ適切な措置を講ずること。
(2) 健康保険組合が診療報酬請求書の審査及び支払に関する事務を事業者に委託する場合においては、当該事業者は、本要領により健康保険組合に求める個人情報の保護に関する措置をとることが必要であること。健康保険組合は、当該事業者にこれらの措置を適切に行わせる責任を有するものであり、当該事業者に対し、必要な指導監督を行うこと。
なお、委託契約上に、事業者が個人情報の漏えい等をした場合の損害賠償や契約解除に関する規定を明記すること。
(3) 以上を含め、個人情報の保護については、「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインについて」(平成16年12月27日保発第1227001号当職通知)に従い、その徹底を図ること。また、これに反した場合には、健康保険組合に対し必要な行政処分を行うとともに、違反した健康保険組合又は事業者の公表を行うものであること。
5 紛争処理ルールの明確化
審査内容に関する見解の相違や支払の遅延など審査及び支払に関する紛争の発生に備え、支払期日を明確にするとともに、紛争が生じた場合の処理ルールについて、健康保険組合と対象医療機関の間で、あらかじめ具体的な取決め(例えば、審査結果について当事者間で合意が得られない場合には審査に携わる医師以外の中立的な医師による調整に従うこと、事業者の支払が遅延した場合には健康保険組合が支払うこと等)を文書により取り交わすこと。
なお、健康保険組合が診療報酬の審査及び支払に関する事務を行うことに伴い、対象医療機関との間に紛争が生じた場合において、健康保険組合が、基金との間でその対象医療機関の不服を踏まえた適正な審査に関する意見を受ける別途の契約を締結したときは、紛争が生じた場合の処理ルールについて健康保険組合と対象医療機関との間で具体的な取決めがなされたものとすること。この場合において、その対象医療機関から健康保険組合に申し立てられる不服の申立て手続等については、基金において通常行われている再審査の例によることとすること。
6 その他
(1) 地方厚生(支)局においては、健康保険法第29条の規定等に基づき、健康保険組合に対し、必要な審査体制、個人情報の保護、その他の状況につき適宜報告を求め、必要な指導監督を行うものであること。
(2) 対象医療機関は、保険医療機関である以上、すべての被保険者を平等に取り扱うべきであり、また、健康保険組合は、患者のフリーアクセスを阻害することがあってはならないこと。
(別添2)