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○船員法第一条第一項の船舶に含まれる総トン数三〇トン未満の漁船の範囲を定める政令の一部改正について
(昭和四五年一二月二五日)
(庁保発第二二号)
(各都道府県知事あて社会保険庁医療保険部長通知)
標記の改正政令(以下「改正政令」という。)は、昭和四五年一二月二五日政令第三四六号をもつて、別添〔略〕のとおり公布された。
船員法の適用対象となる漁船の範囲については、先の船員法の一部改正で、最終的には総トン数五トン以上のものまで拡大することとするが、これらの漁船は比較的に小規模、多数かつ多様であり、これらを一挙に適用することには事務処理体制等からみて困難であることから、その円滑な実施を期するために、政令により、段階的に適用していくこととされた。
今回の改正政令は、船員法の一部改正により改められた船員法第一条第二項第三号に基づくものであり、第一段階としての適用拡大の範囲を明らかにするとともに、これに伴う経過措置を定めたものである。その範囲を定めるにあたつては、経営規模、操業実態、事務処理体制等が考慮され、当面、船員法の適用が妥当なものについてその拡大を図ることとされたものである。
なお、その取扱いにあたつては、別添「船員法第一条第一項の船舶に含まれる総トン数三〇トン未満の漁船の範囲を定める政令の一部を改正する政令の制定に際しての覚書」(以下「覚書」という。)及び次の事項に留意するとともに、水産主管部局との緊密な協調のもとに貴管内の海運局及び労働基準局との連絡に留意して、円滑な実施に特段の配意をお願いする。
おつて、この通知においては、改正政令による改正後の「船員法第一条第二項第三号の漁船の範囲を定める政令」を「政令」と略称する。
第一 題名に関する事項
船員法第一条第二項第三号の規定は、従前は総トン数三〇トン未満漁船のうち、同法の適用のあるものを政令で定めることとされていたが、昭和四五年法律第五八号「船員法の一部を改正する法律」により、総トン数三〇トン未満漁船のうち船員法の適用のないものを政令で定めることと改められたこと。これに伴い、政令の題名が「船員法第一条第二項第三号の漁船の範囲を定める政令」と改められたこと。
第二 本則に関する事項
1 政令第一号及び第三号に掲げる漁船にあつては、従前においても船員法の適用除外とされていたものであるが、同令第二号に掲げる次の漁船が既適用漁船に加えて新たに船員法の適用対象となるものであること。したがつて、これらの漁船に乗り組み又は乗り組むべき船員は船員法第一条に規定する船員とされ、その者が船舶所有者に使用されるときは船員保険法第一七条に規定する被保険者となるものであること。
(1) 総トン数一〇トン以上二〇トン未満の推進機関を備える次の漁船
イ 漁業法第五二条第一項の指定漁業(いわゆる法定大臣許可漁業)
ロ 漁業法第六六条第二項(いわゆる法定知事許可漁業)の小型さけ・ます流し網漁業
ハ 漁業法第六六条第二項の中型まき網漁業又は小型機船底びき網漁業。ただし、もつぱら標記政令別表で定める特定湾内で操業するものは除く。
(2) 総トン数一〇トン未満であつて、次に掲げるまき網船の附属漁船。なお、この附属漁船には推進機関を備えないものも含まれるものであること。
イ 前記(1)のイの法定大臣許可漁業のうち大中型まき網に従事する漁船
ロ 前記(1)のハに掲げるいわゆる法定知事許可の中型まき網漁業に従事する漁船
2 政令第一号及び第二号中の「もつぱら次に掲げる漁業に従事するもの」等の「もつぱら」及び同令第二号の「船員法適用まき網漁船の附属漁船」の解釈及び取扱いについては、別添覚書及び昭和三八年三月二五日付社会保険庁長官、水産庁長官、運輸省船員局長及び労働省基準局長との間において協定された「船員法第一条第一項の船舶に含まれる総トン数三〇トン未満の漁船の範囲を定める政令の施行についての覚書」によられたいこと。
第三 経過措置に関する事項
1 新船員(改正政令の施行の際に、現に、新しく船員法の適用対象となる前記第二の1に掲げる漁船に乗り組む船員及び予備船員)の改正政令の施行日前に生じた業務上の事由による疾病、負傷等に係る災害補償に関する経過措置及び新船員であつて、改正政令の施行日の前日において失業保険、健康保険、厚生年金保険若しくは国民年金の被保険者であつた者又は農林漁業団体職員共済組合の組合員であつた者に係る保険給付に関する経過措置については、昭和三八年の船員法の適用範囲の拡大に際してとられた措置と同様の措置がとられ、これらの者の受給権の保護に万全が期されたこと。
2 改正政令の施行日の前日に労働者災害補償保険法の特別加入制度に加入している中小規模事業主又は一人親方及びそれらの者の家族従業者については、改正政令施行日以後においても引き続き同法の特別加入者として取り扱うこととされ、それらの者の災害保護について万全が期されたこと。
第四 施行期日
改正政令は、昭和四六年一月一日から施行されること。
別添
船員法第一条第一項の船舶に含まれる総トン数三〇トン未満の漁船の範囲を定める政令の一部を改正する政令の制定に際しての覚書
(昭和四五年一二月二二日 庁文発第三、〇一七号・四五水漁第九、五三〇号・員基第四八二号・基発第九一二号)
(社会保険庁長官・水産庁長官・運輸省船員局長・労働省労働基準局長連名覚書)
標記政令の施行に伴い、今後の適用拡大の進め方並びに船員法、船員保険法、労働者基準法及び労働災害補償保険法の適用の取扱いについて、次のとおり協定する。
1 「地先漁業に準ずる産業」については、実態を十分考慮の上、適正な範囲を早急に明確にし、次の適用拡大計画及び事務処理体制の整備計画をすみやかに樹立すること。
第一号及び第二号中の「もつぱら……漁業に従事する漁船等」の取扱いについて
(1) 第一号及び第二号中の「もつぱら」の解釈については、昭和三八年三月の四省庁覚書と同様の解釈とし、予期できない理由により、臨時に短期間、第一号及び第二号に掲げる漁船に該当しなくなる場合を除き、漁業権漁業等船員法の適用除外となる当該漁業に従事することを目的とし、かつ、その実態において、当該漁業以外の漁業又は他の業務に従事していないものとする。
(2) この政令の施行により新たに船員法の適用を受ける漁船(新適用船)の認定について
(イ) 海運局等は、都道府県労働基準局長及び都道府県の船員保険事務主管部局の長と協議して、この政令の施行後一か月以内に新適用船を調査し、直ちにこれを認定の上、船舶所有者に通知するものとする。
(ロ) 海運局長は、政令施行後において異動が生じたと認められるときは、(イ)に準じて取扱うこととする。
(ハ) 保険給付にあたり漁船の操業の実態等が変化し、前記(イ)及び(ロ)による認定の取扱いによることが著しく不適当であると認められる場合等法規の適用について問題が生じた場合においては、海運局、都道府県労働基準局及び都道府県の船員保険事務主管部局との間において協議し、意見の調整を図り、いずれの法規を適用するかを決定するものとする。
(ニ) (イ)及び(ロ)による認定及びその取消し並びに(ハ)による協議にあたつては、あらかじめ都道府県の水産主管部局と十分連絡の上、法の適用の適正化及び実態の把握に遺憾のないように努めるものとする。
3 政令第二号及び第三号の「附属漁船」について
(1)(イ) 附属漁船とは、灯船、探索船、運搬船等通常単独には漁務に従事しない漁船をいうが、一ケ統に属する漁船のうち総トン数一〇トン以上のものが一隻以上ある場合には、当該漁船(二隻以上ある場合には総トン数の大きいもの)以外の漁船を附属漁船として取扱う。
(ロ) 一ケ統に属する漁船のすべてが毎年常態として二か月以上の期間まき網漁業に従事せず他の漁業に従事するときは、その期間は附属漁船として取扱わない。
(2) (1)の(イ)の附属漁船か否かについては、(イ)により都道府県の水産主管部局が作成した附属漁船台帳への記載の有無によつて判定するものとする。
(3) 一括公認を受けている漁船に乗り組むため雇用されている船員その他船員法等の適用を受ける漁船に乗り組むため雇用されている船員については、総トン数五トン未満の附属漁船に乗り組んでいる場合及び臨時に用船された附属漁船に乗り組んでいる場合においても、船員法等を適用するものとする。
(4) 水産庁は、都道府県の水産主管部局がこの政令の施行後一か月以内に総トン数一〇トン以上のまき網漁業許可船及びその附属漁船について台帳を作成して海運局、都道府県労働基準局及び都道府県の船員保険事務主管部局に送付し、また、爾後異動のあつた都度許可を受けた漁業者から報告を徴収して、これを関係部局に連絡するよう必要な措置をとるものとする。
(5) 保険給付にあたり、台帳に記載された船舶が常態としてまき網漁業に従事しておらず、あるいは、台帳に記載されていない船舶が常態としてまき網漁業に従事していると認められる等のため、法規の適用について問題が生じた場合においては、前記2(2)(ハ)に準じて決定するものとする。
4 今後、政令別表の水面の改正を検討する場合には、船員法等適用漁船から労働基準法等適用漁船となるような事態が生じないように配慮するものとする。
5 前記2及び3に定める事項の実施に関し、「船員保険法と労働者災害補償保険法の適用に関する調整についての覚書(昭和三四年一二月二一日厚生省保険局長、水産庁長官、運輸省船員局長、労働省労働基準局長)」に定める事項と抵触する場合は、本覚書に定めるところにより実施するものとする。