添付一覧
○船内診療所に関する船員保険法第二八条第三項第二号の規定による指定について
(昭和三二年七月二二日)
(保発第六六号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)
船員保険法第二八条第三項第二号の規定に基き、船舶内にある診療所を指定するにあたつては、左記事項に留意のうえ遺憾のないよう実施されたい。
記
一 指定を受けようとする船舶所有者があるときは、指定申請書に、診療所開設許可書の写、勤務医師の履歴書並びに船内診療所の施設及び設備の概要、当該船舶の種類、名称、総トン数、航行区域、定員その他参考となる事項を記載した書類を添えて提出させること。ただし、改正前の船員保険法第二八条ノ二の規定により指定を受けているものについては、添附書類の提出は必要ないこと。
二 指定を行うにあたつての基準については、別添一「船内診療所を船員保険法第二八条第三項第二号の規定に基いて指定する基準」を参照すること。
三 指定をしたときは、その旨及び指定の年月日、船舶所有者の氏名又は名称、診療所の名称並びに船舶名をすみやかに告示するとともに、その告示事項及び勤務する医師の数、診療開始年月日その他参考となる事項を当局に報告すること。
四 都道府県知事の船内診療所の開設者との間における契約は、別添二の契約例により締結すること。
五 診療報酬は、健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(昭和三三年六月厚生省告示第一七七号)別表第一診療報酬点数表(甲)により算定した額の九割に相当する額とすること。
六 契約例第五条第一号に関しては、船員保険法第二八条ノ七の規定により被保険者又は被保険者であつた者が一部負担金の支払を要しない場合であつても、同法第二八条ノ三に規定する一部負担金に相当する額を控除した額と解すべきであること。
七 昭和二九年七月三日保発第五五号都道府県知事あて厚生省保険局長通知「船員保険における行政庁の指定する者としての船内診療所の指定について」は廃止すること。
別添一
船内診療所を船員保険法第二八条第三項第二号の規定に基いて指定する基準
船員保険法第二八条第三項第二号の規定により船内診療所を指定する場合においては、船内診療所は、船内にあるという制約はあるが、医療法、薬事法、麻薬取締法及び船員法等関係法規の適用を受けるものであり、これらの法規の定めるところに準拠していなければならないが、更に適正な医療が行われるために左記の要件を満たしていることが望ましい。しかしながら、左記要件の一部を満たしていない場合でも、適正な医療が行われるものと認められる場合には、指定することを妨げない。
記
一 医療組織
医師 船内診療所を管理するものとして適当な医師であること。
二 構造設備
1 位置 診療に支障がない程度の静粛でかつ振動が少く、採光になるべく可良な場所であること。
2 構造
a 防火を考慮してあること。
b 内壁全部が不浸透性材料で築造され、じんあいが入らないような措置が十分なされているものであること。
3 設備
a 一室で、診療室、処置室、手術室、同準備室、臨床検査室、患者待合室及び調剤所等を併用しているものであつても、通常の診療に必要な広さと設備を有していること。
b 医師の個室は、診療所以外の場所であること。
c 診療の用に供する電気、熱又は放射線の設備について、危害防止上適当な方法が講じられていること。
d 火気を使用する場所には、適当な防火設備が講じられていること。
e 熱使用機械器具については、過熱しないように石綿等が適当に用いられていること。
f 適当な暖房設備を備えていること。
g 給水設備を十分に備えていること。
h はえの入らないように十分な設備を備えていること。
i 換気、採光のため適当な考慮が払われており、特に診断治療に要する外光又はそれに代る照明の設備がなされていること。
j 手術用器具その他の消毒滅菌手洗等の適当な設備を有していること。
k かく痰、血液、によう、ふん便その他について通常行われる臨床検査に必要な設備を有していること。
l 設備は、船の動揺に対し、破損しないことを主眼として製作されていること。
m 冷暗所が診療所内にない場合は、常時容易に利用可能であつて、保管に適当な措置を講じた場所があること。
三 業務
a 担当医は、学会、地方会、抄読会、集団会等に参加していること。
b 医薬品、用具の保管取扱については、とくに次の点に考慮が払われていること。
(1) 毒薬、劇薬又は麻薬が他のものと区別して貯蔵陳列されていること並びに毒薬及び麻薬を貯蔵し又は陳列する場合に鍵を施していること。
(2) 引火薬品の適正な保管を行つていること。
c 医薬品、用具は常に使用することができるように措置されていること。
四 管理
a 汚物処理については、十分な措置がなされていること。
b 排水について適当な措置がなされていること。
c 給水設備は、十分な水量を確保し、水質に絶えず考慮が払われていること。
d 船内診療所の管理運営については、関係者において連絡を密にして遺漏のないようにすること。
e 患者の被服、寝具その他の洗濯を行うため、適当な措置がとられていること。
f 非常災害等を想定して適当な計画がなされていること。
別添二
契約例
船員保険法(昭和一四年法律第七三号)第二八条第三項第二号(同法第三一条ノ二第七項において準用する場合を含む。)の規定に基き、船員保険の被保険者及び被保険者であつた者並びにこれらの者の被扶養者に対する療養の給付及び療養につき、○○都道府県知事(以下「甲」という。)と○○船内診療所の開設者である何某(以下「乙」という。)との間に次のとおり契約を締結する。
第一条 乙は、船員保険法及びこの契約の定めるところによつて、船員保険の被保険者(被保険者であつた者を含む。以下同じ。)及びその被扶養者の疾病又は負傷について療養の給付及び療養を行うものとする。
第二条 乙が行う療養の給付及び被扶養者の療養(以下単に「療養の給付」という。)の範囲は、次のとおりとする。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
第三条 乙は、その開設する○○船内診療所に勤務する医師に被保険者又は被扶養者の診療を行わせるものとする。
第四条 乙が行う療養の給付及び診療に関して、保険医療機関及び保険医療養坦当規則(昭和三二年厚生省令第一五号。以下「担当規則」という。)第一章及び第二章の規定を適用するについては、次の表の第一欄に掲げる担当規則の規定中の字句で、同表の第二欄に掲げるものは、同表の第三欄に掲げる字句とそれぞれ読み替えるものとする。
第一欄 |
第二欄 |
第三欄 |
第二条 |
健康保険 |
船員保険 |
第三条 |
被保険者証(健康保険継続療養証明書を含む。) |
被保険者証(被扶養者証を含む。) |
第四条 |
健康保険法(大正一一年法律第七〇号。以下「法」という。)第四九条、第五六条又は第五九条ノ三の規定により埋葬料、埋葬費又は家族埋葬料 |
船員保険法(昭和一四年法律第七三号)第五〇条ノ七又は第五〇条ノ八の規定により葬祭料又は家族葬祭料 |
第五条 |
法第四三条ノ八 |
法第二八条ノ六第二項 |
法第五九条ノ二 |
法第三一条ノ二 |
|
第一〇条 |
管轄都道府県知事又は当該健康保険組合 |
管轄都道府県知事 |
第五条 この契約に基いて○○船内診療所が行つた療養の給付に関して、乙が甲に請求することができる費用の額は、次により算定した額とする。
一 被保険者に関する給付については、健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(昭和三三年六月厚生省告示第一七七号)別表第一診療報酬点数表甲(第一章のうち初診時基本診療料の注五及び再診時基本診療料の注五並びに第二章第八部の通則五を除く。)により、一点の単価を一○円として算定した額(以下「療養に要する費用の額」という。)の一○○分の九○に相当する額から、船員保険法第二八条ノ三に規定する一部負担金に相当する額を控除すること。
二 被扶養者に関する療養については、療養に要する費用の額の一○○分の九○に相当する額の一○○分の五○に相当する額とすること。
三 前二号により算定した場合において、乙が甲に請求することができる費用の額の毎月分に一円未満の端数があるときは、その端数金額は切り捨てて計算すること。
第六条 乙は、前条によつて算定した療養の給付に関する費用を請求しようとするときは、保険医療機関及び保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関する省令(昭和三二年厚生省令第一四号)に定める様式第一号による診療報酬請求書に様式第二号による診療報酬請求明細書(用紙の上端を青色で着色すること。)を添附して、これを○○都道府県の社会保険診療報酬支払基金事務所(以下「基金」という。)を経由して、甲に提出するものとする。
2 前項の診療報酬請求書は、各月分について翌月一○日までに基金に送付するものとする。
3 ○○船内診療所が開設されている船舶が航行中等の事由により前項の期日までに診療報酬請求書を送付することができない場合は、あらかじめ基金に送付期限を申し出て、送付をおくらせることができる。ただし、前項の期日から起算して六箇月を越えることはできない。
4 前各項により、乙から療養の給付に関する費用の請求があつたときは、甲は、担当規則及び健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法並びにこの契約の条項に照らして基金に審査をさせ、すみやかに乙に対して支払うものとする。
第七条 この契約の条項に規定のない事項については、必要の都度、甲乙協議のうえ定めるものとする。
第八条 この契約の有効期間は、昭和 年 月 日から昭和 年 月 日までとする。
第九条 この契約の有効期間満了前一箇月までに甲乙いずれか一方から契約の改訂等についてなんらの意思表示をしないときは、有効期間満了の日の翌日において向う一年間契約の更新をしたものとみなす。その後の満期のときにおいても同様とする。
この契約の確実を証明するため、本書二通を作成し、契約当事者双方が記名押印のうえ、各一通を所持する。
昭和 年 月 日
○○都道府県知事 何 某 (印)
(○○船内診療所開設者何某(印)