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○漁船及び機帆船に乗り組む船員保険被保険者の標準報酬の適正化について
(昭和三〇年六月二八日)
(保険発第一四六号)
(各都道府県民生部(局)長あて厚生省保険局船員保険課長通知)
標記の件については、六月一〇日保発第三五号をもつて厚生省保険局長から各都道府県知事あてに通知されたところであるが、その実施については、左記事項を留意のうえ万全を期せられたい。
なお、本件については、かねてから船舶所有者関係団体の協力を依頼しているが、他に当該団体との間において標準報酬の額を具体的にどうするか等の話合は一切行つていないから念のため申し添える。
記
第一 漁船に乗り組む被保険者の標準報酬の決定又は改定
1 漁船に乗り組む被保険者で歩合による報酬を受けるものの報酬月額の算定は、前年同漁期において実際に受けた報酬額を基礎とし、これに水揚高、魚価その他報酬額に変動を及ぼすべき要素を加味して行うことの方針は堅持すること。
2 個々の船舶所有者について、その所属する被保険者の実質報酬額を適宜な方法(例えば、実質報酬額が直接得られない場合は、水揚高及び魚価又は水揚金並びに歩合金配分規則によつて算出する等)によつて適確に把握すること。
従来、漁船に乗り組む被保険者の報酬月額は、その者の実質報酬額と必ずしも一致せず、船舶所有者との話合等によつて一律に一定額の届出が行われ、ために実質報酬額と標準報酬との間において著しい懸隔のある事例も多数見受けられる実情であつたので、少くとも課税給与所得額に相当する額までは標準報酬の引上を行うよう指示したのであるが、最近においては、実質報酬額の適確な把握が行われるに伴い、報酬月額の届出も標準報酬本来の原則に則して行われる趨勢にあるので、実質報酬の把握については、従来の努力をなお一層推進すること。
3 前項の調査が終了した船舶所有者について、その所属する被保険者の実質報酬額(実質報酬額が前年におけるものである場合は、その額に、水揚高、魚価その他報酬額に変動を及ぼすべき要素を加味した額)が従前の報酬月額に基いて決定された標準報酬に該当しない場合は、その実質報酬額を基礎として報酬額変更届を提出させて標準報酬の改定を行うこと。
この場合において、同一船舶又は同地方において同様の業態に属し、かつ、同程度の業績をあげている同規模の船舶において同様の労務に従事する被保険者について、当該被保険者間における実質報酬額の若干の差違を調整して得た標準報酬額をもつて報酬月額とみなすことは、必ずしも否定するものではないが、その方法はあくまでも報酬月額を算定する場合における手続上の調整にとどまるべきであり、またその方法を実施するに当つては、同一船舶又は同一条件のもとにある最少限度の範囲における船舶に極力とどめるべきであつて、個々の被保険者の実質報酬額と標準報酬額との間に著しい懸隔を生ぜしめるものであつてはならないこと。
4 前記「2」及び「3」による実質報酬額の把握ないしは報酬月額の算定については、その算出根拠を明確にしておくこと。歩合による報酬を受ける被保険者の報酬額は、水揚高、魚価その他報酬額に変動を及ぼすべき要素によつて左右されるので、これらの要素は適確に調査し、実質報酬額の把握ないしは報酬月額の算定に疑念を生ぜしめることのないよう留意すること。この場合において必要とするならば、船員保険法第九条ノ二による措置を講ずることも考慮すること。
5 前記「3」による標準報酬の改定は、前記「2」による調査が終了した船舶所有者毎に逐次行うこととするが、その改定の日は同種業態に属する船舶所有者間において著しい懸隔を生ぜしめないよう留意すること。この場合において必要とするならば前記「2」による調査以前の被保険者期間にそ及して改定を行うことは差し支えないこと。
6 被保険者資格を新たに取得した場合における標準報酬は、同一船舶又は同様の業態に属する同規模の船舶において同様の労務に従事する被保険者の実質報酬額を基礎として前記「3」に準じて、その決定を行うこと。
7 以上の措置を講ずるに当つては、事前に地方所在の海運局、船舶所有者団体、被保険者団体等関係者と連絡し、その円滑な実施に努めること。
8 以上の措置を講じ、なおその協力を得られない船舶所有者について状況に応じやむを得ないと認められるときは、船員保険法第四条ノ二第二項による算定を考慮すること。
第二 機帆船に乗り組む被保険者の標準報酬の決定又は改定
機帆船に乗り組む被保険者標準報酬の決定又は改定については第一に掲げる事項に準じて行うこと。
第三 その他
1 航海日当又はこれに準ずる手当は、標準報酬の基礎となる報酬月額に含めるものであること。
2 九月一日に行われる被保険者証及び被扶養者証の更新は、標準報酬の改定を必要とする船舶所有者については、その改定を終了した後逐次行うこと。
3 六月一〇日保発第三五号通ちよう及び本通ちようについてとつた措置を七月三一日までに報告するとともに、その後における実施状況を隔月毎に報告すること。