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○国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(抄)

(昭和五九年一二月二五日)

(庁保発第三五号)

(各都道府県知事あて社会保険庁医療保険年金保険部長連名通知)

国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律は、昭和五九年一二月二五日法律第八四号をもつて公布され、これに伴い厚生年金保険法、船員保険法及び国民年金法による年金の額の改定に関する政令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第三五二号)、船員保険法施行令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第三五三号)、国民年金法施行令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第三五四号)及び福祉年金の支給に関する特例を定める省令(昭和五九年厚生省令第五九号)が昭和五九年一二月二五日をもつてそれぞれ別添のとおり公布され、併せて、国民年金の保険料を前納する場合の期間及び納付すべき額を定める件の一部を改正する告示(昭和五九年社会保険庁告示第一七号)が同日をもつて別添のとおり告示されたので通知する。

今回の改正は、最近における社会経済情勢にかんがみ、厚生年金保険、船員保険及び拠出制国民年金の年金額について、昭和五九年度におけるスライドの特例的な措置として二・○%の引上げを行うこと、福祉年金の額の引上げを行うこと等により老人等の福祉の向上を図ることを目的としたものであり、その要旨は次のとおりであるので、これが実施に当たつては、改正内容の周知徹底を図り遺憾のないよう取り扱われたい。

なお、この通知においては、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律(昭和五九年法律第八四号)を「改正法」と、厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号)を「厚生法」と、船員保険法(昭和一四年法律第七三号)を「船保法」と、船員保険法の一部を改正する法律(昭和三七年法律第五八号)を「昭三七船保改正法」と、国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)を「国年法」と、厚生年金保険法、船員保険法及び国民年金法による年金の額の改定に関する政令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第三五二号)を「スライド改正令」と、船員保険法施行令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第三五三号)を「船保改正令」と、国民年金法施行令の一部を改正する政令(昭和五九年政令第三五四号)を「国年改正令」と、厚生年金保険法、船員保険法及び国民年金法による年金の額の改定に関する政令(昭和五六年政令第一九一号)を「スライド令」と、福祉年金の支給に関する特例を定める省令(昭和五九年厚生省令第五九号)「特例省令」と、国民年金の保険料を前納する場合の期間及び納付すべき額を定める件の一部を改正する告示(昭和五九年社会保険庁告示第一七号)を「改正告示」とそれぞれ略称する。

第一 年金額のスライドの特例的実施に関する事項

昭和五九年度における厚生年金保険、船員保険及び国民年金の年金の額のスライドを昭和五七年度・昭和五八年度における累積消費者物価上昇率が五%を超えない場合であつても特例的に実施することとし、その場合のスライド率を二・○%とするとともに、その実施時期については厚生年金保険及び船員保険については四月から、国民年金については五月からそれぞれ実施することとされたこと(改正法附則第一条及び附則第四条)。

なお、厚生年金保険、船員保険及び国民年金(国民年金については老齢年金及び通算老齢年金)の年金額のスライドの特例的実施に係る事務処理の細目については、別途通知するものであること。

第二 国民年金に関する事項 略

第三 厚生年金保険に関する事項

1 基本年金額について

年金たる保険給付の基本年金額の改定率を一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと。

ただし、基本年金額の計算の基礎となつた被保険者期間の全部が昭和五五年四月以降の期間であるとき(被保険者期間の全部が昭和五六年四月以降の期間であるときを除く。)は報酬比例部分の額の改定率を六・一%と、当該期間の全部が昭和五六年四月以降の期間であるとき(当該期間の全部が昭和五七年四月以降の期間であるときを除く。)は報酬比例部分の額の改定率を二・〇%とすることとし、また、当該期間の全部が昭和五七年四月以降であるときは報酬比例部分の額の改定を行わないこととされたこと(スライド改正令本則前段)。

2 障害年金等の最低保障額について

障害年金及び遺族年金の額の最低保障額を、五六万二八〇〇円から五七万三八〇〇円に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

3 従前の例による年金たる保険給付の額について

厚年法附則第一六条第一項の規定により支給する従前の遺族年金、寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付を選択した者に係る他の年金給付の併給限度額を、一一万四〇〇円から一一万二六〇〇円に引き上げることとされたこと。

また、同項の規定により支給する従前の遺族年金、寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付の額(従前の加給金又は増額金に相当する給付の額を除く。)を、五六万二八〇〇円から五七万三八〇〇円に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

4 通算老齢年金の額の特例について

沖縄の厚生年金保険法による被保険者であつた者に支給される通算老齢年金の額については、特例措置として年齢に応じ年金額の加算が行われる場合があるが、この加算される額の改定率を一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

5 その他

昭和五九年三月以前の月分の年金たる保険給付の額については、従前の例によることとされたこと(スライド改正令附則第二項)。

なお、加給年金額及び寡婦加算については従前どおりとし、スライド政令の適用がないものであること。

第四 船員保険に関する事項

1 基本年金額について

(1) 年金たる保険給付(障害年金及び遺族年金については、職務外の事由によるものに限る。)の基本年金額相当部分の額の改定率を、一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと。

ただし、基本年金額相当部分の計算の基礎となつた被保険者期間の全部が昭和五五年四月以降の期間であるとき(被保険者期間の全部が昭和五六年四月以降の期間であるときを除く。)は報酬比例部分の額の改定率を六・一%と、当該被保険者期間の全部が昭和五六年四月以降の期間であるとき(当該期間の全部が昭和五七年四月以降の期間であるときを除く。)は報酬比例部分の額の改定率を二・○%とすることとし、また、当該期間の全部が昭和五七年四月以降であるときは報酬比例部分の額の改定を行わないこととされたこと(スライド改正令本則前段)。

(2) 職務上の事由による障害年金の受給権者が職務外の事由により死亡した場合に支給される遺族年金の基本年金額相当部分の額について、(1)に準じて引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

(3) 職務上の事由による障害年金及び遺族年金の額のうち、いわゆる災害補償に相当する部分以外の部分の額について、(1)に準じて引き上げることとされたこと(船保改正令本則)。

2 障害年金等の最低保障額について

障害年金及び遺族年金の最低保障額を、五六万二八○○円から五七万三八○○円に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段、船保改正令本則)。

3 加給金及び寡婦加算について

(1) 職務上の事由による障害年金の受給権者が職務外の事由により死亡した場合に支給される遺族年金の額に加算される船保法別表三ノ二下欄に掲げる額及び船保法第五○条ノ三ノ三に規定する額(以下「加給金等」という。)の改定率を、一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと。

ただし、最終標準報酬月額が昭和五五年四月以降の期間に係るものであるとき(最終標準報酬月額が昭和五六年四月以降の期間に係るものであるときを除く。)は加給金等の改定率を六・一%と、最終標準報酬月額が昭和五六年四月以降の期間に係るものであるとき(最終標準報酬月額が昭和五七年四月以降の期間に係るものであるときを除く。)は、加給金等の改定率を二・○%とすることとし、また、最終標準報酬月額が昭和五七年四月以降の期間に係るものであるときは加給金等の改定を行わないこととされたこと(スライド改正令本則前段)。

(2) (1)に掲げる以外の加給金及び寡婦加算については、従前どおりスライド令の適用がないものであること。

4 遺族一時金の額について

被保険者期間が一五年以上である場合に加算される額の改定率を、一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと(船保改正令本則)。

5 遺族前払一時金の額について

被保険者期間が一五年以上である場合に加算される額の改定率を、一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと(船保改正令本則)。

6 旧陸軍共済組合等の組合員であつた期間を有する者の年金額について

旧陸軍共済組合等の組合員であつた期間を船員保険の被保険者であつた期間とみなして支給される通算老齢年金及び遺族年金の年金額のうち、当該期間に係る部分の額の改定率を、一二・二%から一四・四%に引き上げることとされ、遺族年金の基本年金額相当部分の額のうち定額部分の上限となる額を、九六万六○四二円から九八万四九八四円に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

7 従前の例による年金たる保険給付の額について

昭三七船保改正法附則第三項の規定により支給する従前の寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付を選択した者に係る他の年金たる保険給付の併給限度額を、一一万四○○円から一一万二六○○円に引き上げることとされたこと。

また、同項の規定により支給する従前の寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例による保険給付の額(加給金又は増額金の額を除く。)を、五六万二八○○円から五七万三八○○円に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

8 通算老齢年金の額の特例について

沖縄の厚生年金保険法による被保険者であつた者の当該期間が船保法による被保険者期間とみなされる者に支給される通算老齢年金の額については、特例措置として年齢に応じ年金額の加算が行われる場合があるが、この加算される額の改定率を、一二・二%から一四・四%に引き上げることとされたこと(スライド改正令本則前段)。

9 その他

昭和五九年三月以前の月分の年金たる保険給付の額並びに昭和五九年三月三一日以前に支給すべき事由の生じた遺族一時金及び遺族前払一時金の額については、従前の例によることとされたこと(スライド改正令附則第二項、船保改正令附則第一項及び附則第二項)。

別添 略