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○船員保険法の一部を改正する法律の施行について

(昭和四〇年六月一六日)

(庁発第八号)

(各都道府県知事あて社会保険庁長官通知)

船員保険法の一部を改正する法律は、昭和四〇年六月一日法律第一〇五号をもつて公布、即日施行され、一部を除いて本年五月一日にさかのぼつて適用された。また、船員保険法施行規則の一部を改正する省令は同年六月五日厚生省令第三一号をもつて公布され、即日施行された。

今回の改正は、職務外年金の給付水準を生活水準の向上に即したものとするとともに、人口の老齢化のすう勢が顕著となつてきた今日において陸上労働者との均衡をも勘案しつつ船員の老後の生活を保障すべき年金制度の確立を図ることを目的としたものであつて、海上労働者及びその家族の生活の安定とその福祉の向上に寄与すること大なるものがあると思料される。

貴職におかれては、次の事項に留意のうえ、この目的達成のため遺憾のないよう配意願いたい。

1 老齢給付に関する事項

(1) 年金額の算定方式のうち、定額部分については従来の二万四、〇〇〇円が六万円に引き上げられるとともに年数加算の制度が設けられ、報酬比例部分については、従来の被保険者期間一年について平均標準報酬月額の一、〇〇〇分の八が七五分の一に引き上げられたこと。

(2) 受給資格期間を満たしている六五歳以上の者に対しては、被保険者資格を喪失しなくとも、年金額の八割相当額を支給することとされたこと。

(3) 老齢年金及び通算老齢年金の受給権がない者に関しては、旧陸軍共済組合その他の旧共済組合の組合員期間を受給資格期間に通算して特例老齢年金を支給する方途が講ぜられたこと。

2 障害給付に関する事項

(1) 職務外の障害年金について、障害の程度により三等級に区分し、障害の程度の変動に応ずる年金額の改正を行なうこととされたこと。

(2) 職務外の障害年金及び障害手当金の額の算定方法が老齢年金の算定方式に準じて合理化されるとともに障害年金については、六万円の最低保障が設けられたこと。

(3) 職務上の障害年金の受給者の障害の程度が障害手当金相当の程度になつたときは、障害差額一時金を支給することとされたこと。

3 遺族年金に関する事項

(1) 遺族年金を受けることができる妻についての年齢制度及び若年支給停止が廃止されたこと。

(2) 職務外の遺族年金について六万円の最低保障が設けられたこと。

4 既決定年金に関する事項

(1) 老齢年金、養老年金、通算老齢年金及び職務外の遺族年金については、その額を改正後の規定により計算した額に引き上げることとされたこと。

(2) 職務外の障害年金の額が七万六八〇〇円に満たないときは、七万六八〇〇円とすることとされたこと。

(3) 寡婦年金、かん夫年金及び遺児年金の額が六万円に満たないときは、六万円とすることとされたこと。

5 その他の事項

(1) 任意継続被保険者について、被保険者期間中の事故に基づく障害給付及び遺族給付が行なわれることとされたこと。

(2) 療養の給付(入院及び看護を除く。)について、船舶内での給付制限が廃止されたこと。ただし、移送については、船員法の送還義務と調整する。

(3) 女子の脱退手当金の支給に関して、特例が設けられたこと。

(4) 標準報酬について、七、〇〇〇円から五万二、〇〇〇円までの二一等級を九、〇〇〇円から七万六、〇〇〇円の二五等級までに改められたこと。

(5) 職務外の年金の給付に要する費用に係る国庫負担率が五分の一から四分の一に引き上げられたこと。

(6) 職務外の年金部門に係る保険料率が当分の間一、〇〇〇分の六七(現行一、〇〇〇分の四二)に引き上げられ、さらに保険財政の均衡するまで段階的に引き上げられることとされたこと。