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○国民健康保険法附則第一二項に基づく市町村一般会計からの繰入れ額の算定に係る基準について

(平成五年四月一日)

(保険発第三三号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)

国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)附則第一二項の規定に基づいて市町村が行う一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れの額の算定について、別紙のとおり基準を定めたので通知する。

貴職におかれては、本基準の趣旨をよく御理解の上、貴管下市町村に対する指導方配慮されたい。

別紙

国民健康保険法附則第一二項に基づく市町村一般会計からの繰入れ額の算定に係る基準

第一 趣旨

1 国民健康保険法(以下「法」という。)附則第一二項に基づき市町村が行う一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れは、国民健康保険財政の安定化及び保険料(税)負担の平準化等に資することを目的とするものであること。

2 前記の繰入れは、保険者たる市町村の責めに帰することができない特別の事情により国民健康保険の財政が受ける影響を勘案して算定した額を繰り入れるものであり、繰入れ額の算定に当たって勘案する「保険者たる市町村の責めに帰することができない特別の事情」とは、以下のとおりであること。

(1) 被保険者の応能割保険料(税)の負担能力が特に不足していること

(2) 病院の病床数が特に多いこと

(3) 被保険者の年齢構成が高齢者に偏していること

第二 繰入れ額の算定基準

法附則第一二項に基づき市町村が行う一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れの額(以下「繰入れ額」という。)は、各市町村ごとに、前記第一2(1)から(3)までのそれぞれの事由について以下に掲げる算式に基づいて算定した額を合算した額を基準とすること。

1 被保険者の応能割保険料(税)の負担能力が特に不足していること

算式:〔保険料(税)負担能力補填基礎額*×保険料(税)軽減世帯割合による補正係数**〕

(注)

* 保険料(税)負担能力補填基礎額=当該市町村における前々年度の決算に基づく保険基盤安定繰入金(法第七二条の二第一項の規定による繰入金。以下同じ。)の額に三分の二を乗じて得た額

** 保険料(税)軽減世帯割合による補正係数=次に掲げる保険料(税)軽減世帯割合の区分に応じ、それぞれ次の算式により算定した数値

※保険料(税)軽減世帯割合

補正係数

25%以上

保険料(税)軽減世帯割合/0.25

20%以上25%未満

(保険料(税)軽減世帯割合-0.2)/0.05

20%未満

0

※ 保険料(税)軽減世帯割合は、〔軽減対象世帯数÷総世帯数〕により算定した率。

総世帯数は、前々年度の決算に基づく、当該市町村における法第四二条第一項第一号に規定する被保険者(以下「一般被保険者」という。)の属する世帯の数。

軽減対象世帯数は、前々年度の決算に基づく、一般被保険者の属する世帯のうち保険基盤安定繰入金の額の算定の基礎となる保険料(税)の減額の適用を受けた世帯の数。

2 病院の病床数が特に多いこと

算式:{一床当たり基準単価*×((病床数**-1.2×全国平均病床数***)×当該団体の人口****)/10万)}×0.25

(注)

* 一床当たり基準単価=一一九万一〇〇〇円

** 病床数=前々年の一〇月一日における、国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令第二条の二第三項第五号の規定による人口一〇万人当たり病院病床数

*** 全国平均病床数=一〇一六・二床

**** 当該団体の人口=前々年の九月三〇日現在の住民基本台帳による値

ただし、前記算式中の{ }内の数値は、(1) 実績給付費と、(2) 基準給付費又は(3) 全国平均給付費のいずれか大きい額との差を限度とする。したがって、実績給付費が基準給付費又は全国平均給付費のいずれか大きい額を下回る団体にあっては、この数値は0となる。

なお、

(1) 実績給付費とは、前々年度の、法第七〇条第三項第一号イ及び同号ロの額の合算額で特別の事情により多額となった部分の額として算定した額を控除する前の額である。

(2) 基準給付費とは、前々年度の、同項第二号の合算額である。

(3) 全国平均給付費とは、〔140,000円×前々年度末の一般被保険者数〕により算定した額である。

3 被保険者の年齢構成が高齢者に偏していること

算式:〔一人当たり医療費差額*×当該被保険者数**×当該被保険者数の割合による補正係数***〕×0.2

(注)

* 一人当たり医療費差額=三万五〇〇〇円(平成四年度における六〇歳以上七〇歳未満の者の平均医療費と五〇歳以上七〇歳未満の者の平均医療費との差額の全国平均の数値)

** 当該被保険者数=平成五年八月二〇日保発第六六号「平成五年度国民健康保険実態調査の実施について」により厚生大臣に報告した平成五年九月三〇日現在の当該団体の一般被保険者(老人保健法の規定による医療を受けることができる者を除く。以下「若人一般被保険者」という。)のうち六〇歳以上七〇歳未満の者の数

*** 当該被保険者数の割合による補正係数=当該被保険者数を若人一般被保険者の数で除して得た数値(以下「高齢被保険者割合」という。)の区分に応じ、それぞれ次の算式により算定した数値

高齢被保険者割合

補正係数

17%以上

高齢被保険者割合/0.17

13%以上17%未満

(高齢被保険者割合-0.13)/0.04

13%未満

0

第三 留意事項

1 法附則第一二項の規定は、市町村の実情に応じた円滑かつ適正な繰入れを行う趣旨のものであるが、市町村に対して本基準に基づき算定された額について必ず一般会計繰入れを行わなければならない旨の義務付けを行う趣旨のものではないこと。

なお、繰入金は、累積赤字の解消、基金の積立、保健施設事業の充実など中長期的な国民健康保険財政の安定化と保険料(税)の平準化等に資するための措置に充てるべきであって、保険料(税)の安易な引下げに充てるべきではないこと。

2 繰入れ額のうち、第二1の算式に基づいて算定された額に相当する額(以下「応能割保険料負担能力不足額」という。)については、被保険者の応能割保険料(税)の負担能力が特に不足していることに着目して繰り入れられるものであることにかんがみ、当該繰入れ額は、保険料(税)賦課総額中の応能割保険料の軽減に充てるべきであって、応益割保険料額の軽減に充てるべきではないこと。

具体的な取扱いとしては、応能割保険料負担能力不足額を繰り入れるに当たっては、実際に賦課される応益割保険料の額が、応能割保険料負担能力不足額を繰り入れなかったと仮定した場合に算定される応益割保険料額よりも小さくなることがないように、保険料(税)の応能・応益割合の適切な見直しを行うこととすること。

3 既に財政援助的な繰入れを行っている市町村にあっては、法附則第一二項に基づく繰入金の額をそのまま従来の繰入金の額に上乗せするような運用は厳に慎むべきであり、今回の制度改正の趣旨を十分踏まえて繰入れの在り方を是正すること。