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○社会福祉施設入所者に対する住所地主義の特例の創設について
(平成七年三月九日)
(保険発第三七号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)
健康保険法等の一部を改正する法律(平成六年法律第五六号)が公布され、国民健康保険の社会福祉施設入所者に対する住所地主義の特例が創設されることとなり、また、本日、国民健康保険法施行規則の一部を改正する省令(平成七年厚生省令第八号)が別紙のとおり公布されたところであるが、その内容及び留意事項については次のとおりであるので、貴管下保険者等関係各方面への周知徹底、指導に遺憾のないよう配慮されたい。
なお、この通知においては、改正後の国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)を「法」と、改正後の国民健康保険法施行規則(昭和三三年厚生省令第五三号)を「施行規則」と、それぞれ略称する。
記
Ⅰ 趣旨及び内容
社会福祉施設の所在する市町村の国民健康保険の負担が重くなるという医療費負担の不公平を解消するため、社会福祉施設の入所者であって措置により他の市町村から転入してきたものについては、当該他の市町村が行う国民健康保険の被保険者とするものであること。
なお、措置により他の市町村から転入してきた者が、組合が行う国民健康保険の被保険者であった場合には、当該被保険者が組合員の資格を喪失しない場合を除き、原則として、当該他の市町村の国民健康保険に加入することとなること。
Ⅱ 留意事項
第一 法第一一六条の二の適用を受けるに至った場合等の届出等
1 被保険者が法第一一六条の二の規定の適用を受けるに至ったときは、当該適用を受けた際現に当該被保険者が属していた世帯の世帯主及び当該被保険者が属することとなった世帯の世帯主は、それぞれ、一四日以内に、法第一一六条の二の適用を受けるに至った年月日、被保険者の氏名及び住所、入所施設の名称並びに被保険者証の記号番号を記載した届書を当該適用を受けた際現に当該被保険者が住所を有していた市町村(以下「従前住所地の市町村)という。)に提出しなければならないとしたこと。(施行規則第五条の二第一項関係)
2 被保険者が法第一一六条の二の規定の適用を受けなくなったときは、当該被保険者の属する世帯の世帯主は、一四日以内に、その年月日、被保険者の氏名及び住所並びに被保険者証の記号番号を記載した届書を従前住所地の市町村に提出しなければならないとしたこと。ただし、当該世帯に属するすべての被保険者がその資格を喪失したため、施行規則第一一条に規定する届書を提出した場合には、この限りでないこと。(施行規則第五条の二第二項関係)
3 その他、届書の記載事項等について施行規則上の所要の規定の整理を行ったこと。(施行規則第五条の六第四項、第一五条第一項、第二〇条、第二六条の三第八項、第二七条の一四第一〇項及び第二八条第一一項関係)
第二 住所地主義の特例が適用される際の事務手続
1 従前住所地の市町村においては、施行規則第五条の二第一項による届出又は福祉担当部局から措置を行った旨の連絡があった場合、当該措置に係る被保険者が入所した社会福祉施設の所在する市町村(以下「施設所在地の市町村」という。)に以下の事項を連絡すること。
なお、都道府県又は市町村の福祉担当部局が措置を行った場合には、当該措置を行った部局は、従前住所地の国民健康保険担当課に連絡するよう厚生省の各福祉担当部局を通じて依頼済みであることを申し添える。
また、措置を行った都道府県の国民健康保険担当課は、当該都道府県が措置を行った場合の従前住所地の国民健康保険担当課への連絡に当たっては、当該連絡の経由機関となり得ることに注意すること。
① 法第一一六条の二の規定の適用を受けるに至った年月日
② 被保険者の氏名及び住所
③ 当該措置が採られた際現に被保険者が有していた住所
④ 入所中の施設の名称
2 施設所在地の市町村は、法第一一六条の二の規定の適用を受ける被保険者を確認した場合には、従前住所地の市町村に1の①、②及び④のうち確認することができた事項を連絡すること。
3 1又は2により、法第一一六条の二の規定の適用を確認した従前住所地の市町村及び施設所在地の市町村は、それぞれ、互いに連絡を密にしつつ、法第一一六条の二の規定の適用に係る被保険者台帳を作成すること。
4 法第一一六条の二の規定の適用を確認した従前住所地の市町村が、被保険者の属する世帯の世帯主に対して被保険者証を送付する場合には、確実な方法によりこれを行うよう努めること。
5 従前住所地の市町村は、法第一一六条の二の規定の適用に際して、国民健康保険税を採用している場合には同市町村の税務担当課への連絡、当該被保険者が老人保健法の医療を受けることができる者である場合には同市町村の老人保健担当課への連絡を速やかに行うなど、関係各部局との連絡調整につき遺憾なきを期し、円滑な事務の執行に努められたいこと。
第三 保険料の徴収手続
1 従前住所地の市町村は、保険料賦課のため、法第一一六条の二の規定の適用を受ける被保険者の属する世帯の世帯主に保険料に関する申告書を送付し、提出を依頼すること。
2 従前住所地の市町村は、保険料徴収の便宜を図るため、例えば、法第一一六条の二の規定の適用を受けるに至った際に、被保険者の属する世帯の世帯主に対して口座振替の利用を勧奨するなどの措置に努められたいこと。
第四 療養費等の支給申請時の手続
療養費等の支給申請書を受理した従前住所地の市町村は、支給額の決定後、確実な方法により療養費等を支給すること。
第五 資格喪失時の手続
従前住所地の市町村又は施設所在地の市町村は、法第一一六条の二の適用を受けていた被保険者の資格の喪失を確認した場合には、それぞれ、互いに連絡を密にしつつ、法第一一六条の二の規定の適用に係る被保険者台帳から当該被保険者を消除すること。
なお、当該被保険者が措置後医療機関に入院した場合であっても、当該措置の解除は通常生じないが、入院期間が三か月以上となる場合には、措置が解除される場合があり、したがって、国民健康保険の適用市町村に変更を来す場合があることに注意すること。
第六 被保険者証の更新等
従前住所地の市町村は、被保険者証の検認又は更新をするときは、法第一一六条の二の規定の適用を受ける被保険者の属する世帯の世帯主に、当該検認又は更新をするため被保険者証の提出を求めることを通知し、被保険者証を確実な方法により提出するよう求めること。
第七 保健事業
従前住所地の市町村は、法第一一六条の二の規定の適用を受ける被保険者が可能な範囲で保健事業を利用することができるよう努めること。
第八 被保険者等に対する周知徹底
市町村の国民健康保険担当課等は、社会福祉施設入所者に対する住所地主義の特例に関し、次の事項につき、被保険者等及び社会福祉施設に対しその周知徹底を図り、その協力が得られるよう努めるとともに、社会福祉施設に、3に係る必要書類を備え置くよう努めること。
1 法第一一六条の二の規定の適用を受ける被保険者は、施設所在地の市町村ではなく、従前住所地の市町村の国民健康保険の適用を受けること。
2 被保険者が法第一一六条の二の規定の適用を受けるに至ったときは、当該適用を受けた際現に当該被保険者が属していた世帯の世帯主及び当該被保険者が属することとなった世帯の世帯主は、それぞれ、所要の届書を従前住所地の市町村に提出しなければならないこと。
3 被保険者の属する世帯の世帯主の行う保険料に関する申告、療養費等の支給申請及び各種届出の相手先は、施設所在地の市町村ではなく、従前住所地の市町村であること。
第九 その他
1 被保険者が法第一一六条の二の規定の適用を受けるに至った後更に他の市町村に所在する社会福祉施設に措置された場合には、当該被保険者は当該措置が行われた際現に住所を有した市町村の国民健康保険、すなわち二回目の措置の前に入所していた社会福祉施設の所在する市町村の国民健康保険の適用を受けることとなること。
また、被保険者が更に同じ市町村の区域内に所在する他の社会福祉施設に措置された場合には、当該被保険者は従前住所地の市町村の国民健康保険の適用を引き続き受けることとなること。
2 被保険者が法第一一六条の二の規定の適用を受けるに至った後、当該適用を受けた際現に当該被保険者が属していた世帯に属するすべての被保険者がその資格を喪失した場合であっても、当該適用には変更を来さないものであること。
別添 略