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○国民健康保険における高額医療費に係る資金の貸付事業の実施について

(昭和六〇年一月二三日)

(保険発第六号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)


標記については、昭和五九年九月二八日保険発第七二号本職通知「国民健康保険における高額療養費支給事務の取扱い等について」においてその基本的な考え方を示したところであり、既に相当数の市町村等においては独自に同様の事業を実施しているところである。

しかしながら、現時点において未実施の市町村等も存するため、その事業の実施に際しての参考に資すべく「国民健康保険高額医療費資金貸付条例参考例」を別紙の通り作成したので、左記の事項に留意し、貴管下保険者に対する周知方よろしく御配意願いたい。

一 別紙参考例は、国民健康保険における保健施設事業の一環として新たに高額医療費資金貸付事業(以下「貸付事業」という。)を行う場合の参考例を示したものであり、既に市町村等における国民健康保険事業の一環として又は地方公共団体独自の事業として、同様の事業が実施されている場合には、それらを優先的に実施して差し支えないこと。

二 別紙参考例は、市町村における貸付事業の実施を念頭に置いたものであるが、国民健康保険組合についても、これを参考としつつ、必要に応じ貸付事業の実施を図られたいこと。

三 保険者の共同事業として、国民健康保険団体連合会が実施主体となつて貸付事業を行うことも考えられること。

四 基金(別紙参考例第二条)の財源を国民健康保険特別会計から支出する場合には、保健施設費として計上すること。

基金の金額は、高額療養費支給額の実績を勘案して定め、貸付金の貸付けから償還までの期間を三か月程度と考えれば基金の金額は年間貸付金額の四分の一程度となるが、貸付金額の月毎の変動を考慮すれば、やや多めの金額を計上することが適当であること。

また、基金の運営については、細目を別途定め、帳簿を備えて的確に経理すること。

五 資金の貸付限度額は、高額療養費の支給見込額の八割を基準とすることが適当であること。

(別紙)

国民健康保険高額医療費資金貸付条例参考例

(目的)

第一条 この条例は、国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)第五七条の二の規定による高額療養費(以下「高額療養費」という。)の支給を受けることが見込まれる者の属する世帯の世帯主に対し、高額療養費の支給を受けるまでの間、当該高額療養費の支給に係る療養に要する費用を支払うための資金(以下「資金」という。)を貸付けることにより、被保険者の福祉の向上に寄与することを目的とする。

(基金の設置)

第二条 資金の貸付けに関する事務を円滑に実施するため、〇〇市(区、町、村)国民健康保険高額医療費資金貸付基金(以下「基金」という。)を設置する。

(基金の額)

第三条 基金の額は、〇円とする。

(貸付対象)

第四条 資金の貸付けは、以下の各号の要件のすべてを満たす被保険者の属する世帯の世帯主に対して行う。ただし、他の法令により、当該療養について負担が行われる場合を除く。

一 当該被保険者が受けた療養について、その世帯主が高額療養費の支給を受ける見込みがあること

二 当該療養に要する費用について当該被保険者が医療機関等から請求を受け、又は、その費用を支払つたこと

(貸付額)

第五条 資金の貸付額は、高額療養費支給見込額の〇分の〇とする。ただし、算出した額に千円未満の端数があるときは、その端数は貸付けない。

(貸付利息)

第六条 貸付金には、利息を付さない。

(貸付申込)

第七条 資金の貸付けを受けようとする世帯主(以下「申込者」という。)は、高額医療費資金貸付申込書(以下「申込書」という。)に医療機関等からの療養に要する費用の内訳が記載された請求書又は領収書を添付し、市(区、町、村)長に提出しなければならない。

2 申込者の属する世帯が国民健康保険法施行令第二九条の二第七項に該当する場合には、申込者は申込書の提出の際にその旨を申し出るものとする。

(高額療養費の支給申請)

第八条 前条の規定により貸付けの申込みを行おうとする場合には、申込者は、貸付けの申込みと同時に、高額療養費の支給申請をしなければならない。

(貸付けの決定)

第九条 市(区、町、村)長は、申込書を受理したときは、すみやかに審査し、貸付けの可否及び貸付額を決定しなければならない。

2 市(区、町、村)長は、貸付けの可否及び貸付額を決定したときは、高額医療費資金貸付の可否を決定した旨の通知書により、申込者に通知するものとする。

3 申込者は、高額医療費資金貸付決定通知書(以下「決定通知書」という。)を受理したときは、当該貸付けに係る借用証を市(区、町、村)長に対し提出するものとする。

(貸付けの方法)

第十条 貸付金の貸付方法は、市(区、町、村)窓口での現金払い又は金融機関(銀行又は郵便局)への振込みとする。

(貸付期間等)

第十一条 資金の貸付期間は、当該貸付金に係る高額療養費が支給される日までの間とする。

2 前項の規定にかかわらず、高額療養費の額が貸付金の額に満たないときは、その差額分については、市(区、町、村)長の指定する日までとする。

(償還方法等)

第十二条 申込者は、第七条の規定による申込みと同時に、市(区、町、村)長に対し、高額療養費支給時に高額療養費と貸付金債権を対等額において相殺する旨の停止条件付相殺契約(以下「相殺契約」という。)の申込みを行う。

2 当該相殺契約の申込みに対する市(区、町、村)長の応諾は、決定通知書の交付により行われたものとみなす。

3 市(区、町、村)長は、当該相殺契約に基き、高額療養費の支給時に高額療養費と貸付金債権を対等額において相殺し、その差額を資金の貸付けを受けた者(以下「借受人」という。)に対し支給するものとする。

4 高額療養費の額が貸付金の額に満たないときは、支給すべき高額療養費の額の限度においてこれを貸付金債券と相殺し、貸付金の残額については、前条第二項の規定に従い償還させるものとする。

(即時償還)

第十三条 市(区、町、村)長は、次の各号の一に該当すると認めたときは、前条の規定にかかわらず、借受人に対し直ちに貸付金の全額を償還させるものとする。

一 借受人が偽りの申込みその他不正の手段により貸付けを受けたとき

二 当該貸付けに係る被保険者が第四条各号に掲げる要件を備えていないことが明らかになつたとき

(延滞金)

第十四条 市(区、町、村)長は、借受人が償還すべき期日までに償還すべき金額を支払わないときは、当該期日の翌日から支払の日までの日数に応じ、当該金額に年〇パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する延滞金を徴収する。

(領収証の交付等)

第十五条 市(区、町、村)長は、貸付金の全額が償還されたときは、借受人に対し、当該貸付金に係る領収証を交付するとともに、借用証を返還するものとする。

(運用益金の処理)

第十六条 基金の運用から生ずる収益は、国民健康保険特別会計事業勘定歳入歳出予算に計上して、基金に編入するものとする。

(委任)

第十七条 貸付事業の実施、基金の管理及び運営に関し必要な事項は、市(区、町、村)長が別に定める。

附 則

この条例は、昭和〇年〇月〇日から施行する。