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○法人税法、地方税法等の一部改正に伴う国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会が行う収益事業に対する課税措置について

(昭和五六年八月二一日)

(保険発第六三号)

(各都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)

法人税法及び同法施行令並びに地方税法及び同法施行令(以下「税法等」という。)の一部が別紙のとおり改正され、昭和五六年四月一日から施行されたが、国民健康保険関係の改正の要点は記1のとおりである。

このことに伴い、収益事業を営む国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会(以下「国民健康保険組合等」という。)に係る税法等の規定に基づく所要の手続については、国税庁と協議の結果、記2のとおりとすることとしたので貴管下国民健康保険組合等の指導に特段の配意をお願いする。

1 税法等の改正内容について

(1) 法人税法関係(法人税法別表第一及び別表第二並びに同法施行令第五条)

国民健康保険組合等が法人税法別表第一「公共法人の表」から削除され、同法別表第二「公益法人等の表」に加えられたことにより、国民健康保険組合等が収益事業を営む場合は当該事業について法人税が課されることとなつたこと。

ただし、医療保健業については、従来どおり非課税とされることとなつたこと。

(2) 地方税関係(地方税法第二五条第一項第二号、第七二条の五第一項第四号及び第二九六条第一項第二号並びに同法施行令第五六条の四一)

法人税と同様に、地方税についても国民健康保険組合等が収益事業を営む場合は、当該事業について都道府県民税、事業税及び市町村民税並びに指定都市等にあつては事業所税が課されることとなつたこと。

ただし、福利厚生施設に係る事業所税については、従来どおり非課税とされることになつたこと。

2 税法等の改正に伴う国民健康保険組合等の経理事務について

(1) 収益事業の範囲等

① 収益事業の範囲は、法人税法施行令第五条に定められているが、例えば次に示す国民健康保険組合等が行つている保健施設事業等のうち、施設の利用料を徴収し国民健康保健組合等の歳入としているものが収益事業に該当するものであること。

ア 旅館業

(直営保養所、借上保養所、契約保養所、海の家、山の家、会館等の宿泊施設等)

イ 不動産貸付業

(会館等の一部分を貸付けている場合等)

ウ 席貸業

(会館の会議室等利用料)

(不特定又は多数の者の娯楽、遊興又は慰安の用に供するための席貸しをするものに限る。)

エ 料理店業その他の飲食店業

(会館等内のレストラン、喫茶等(直営の場合))

オ 遊技所業

(体育館、グランド、テニスコート、プール、アスレティック等)

カ 技芸教授業

(洋裁、和裁、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、園芸、舞踊、音楽、着付け教室等)

キ 出版業

(特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うもの及び学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報をもつぱら、その会員に配布するために行うものを除く。)

ク 駐車場業

ケ 写真業

② 収益事業の範囲に該当しないもの

ア 国民健康保険組合等が行う医療保健業

イ 看護婦養成学校

ウ 会館等の会議室を次のような目的で利用する場合の利用料

(ア) 事務的な会議

(イ) 講習会((1)の①のウ又はカに該当しないもの)

(ウ) 後援会(        〃        )

エ 国民健康保険団体連合会が行う次の事業。なお、当該事業の運営については、本日付、小職及び国民健康保険指導管理官通知「国民健康保険団体連合会における経理事務について」によるものとすること。

(ア) 国民健康保険法第四五条第五項の規定に基づき、国民健康保険の保険者等から委託を受けて行う診療報酬の審査及び支払の事業

(イ) 国民健康保険の保険者(一部事務組合を含む。)に対して行う国民健康保険事業運営資金の転貸事業

(ウ) 保険者事務共同電算処理事業

(エ) 第三者行為損害倍償求償関連事業

(オ) 保健婦等学資貸付事業

(2) 収益事業を営む国民健康保険組合等の事務手続等

ア 収益事業開始の届出(法人税法第一五〇条関係)

国民健康保険組合等が新たに収益事業を開始した場合は、その開始した日以降二か月以内に所轄税務署庁に収益事業開始届を提出することとされている。また、国民健康保険組合等が改正後の法人税法施行日(昭和五六年四月一日)前から収益事業を営んでいる場合には、この収益事業は同日において新たに開始したものとしてみなされ、その開始した日以後二か月以内に収益事業開始届を提出することとされている(この届には、収益事業を開始した日における収益事業に係る(ア)貸借対照表(イ)事業場の名称、所在地(ウ)収益事業の概要を添付することとされている)が、その期限までに提出できない場合においても、できる限り速やかに提出するよう努めること。

イ 区分経理(法人税法施行令第六条関係)

経理は、収益事業と収益事業以外の事業とに区分し、取引の状況を記帳し処理することが必要とされているが、現在各国民健康保険組合等で備えている歳入簿、歳出簿、現金出納簿等により、収支の科目が区分(収入科目には保養所利用料、体育館利用料、保健会館利用料等、支出科目には直営保養所費、契約保養所費、保健会館費等)されており、またその他補助簿及び前渡金精算書等により、収益事業と収益事業以外の事業とに区分した科目別金額の把握ができる場合にあつては、経理方法を変更する必要がないこと。

ただし、収益事業にかかる貸借対照表、損益計算書が作成できない場合は適宜補助簿を設けること。

ウ 青色申告の申請等(法人税法第一二二条、第一二六条、同法規則第五三条、第五四条関係)

確定申告を青色の申告書により行う場合は、収益事業を開始した日から三か月以内(以後、各事業年度に係るものについては、当該事業年度開始の日の前日まで)に青色申告承認申請書を所轄税務署長に提出し、承認を受けることが必要とされていること。

承認を受ける場合は、仕訳帳、総勘定元帳等の帳簿を備え、複式簿記の原則に従つて取引に関する事項を経理することとされているが、イの方法により貸借対照表等の作成ができれば、その経理は複式簿記の原則に従つたものに該当するものになること。

エ たな卸資産の評価方法の届出(法人税法施行令第二八条関係)

国民健康保険組合等が各事業年度終了の時のおいて有する主要原材料、補助原材料等について、法人税法施行令第二八条第一項に規定する評価の方法のうち、そのよるべき方法を確定申告書の提出期限までに所轄税務署長に届け出ることとされていること。

なお、評価の方法を届け出なかつた場合は最終仕入原価法が適用されることになること。

オ 減価償却資産の償却の方法の届出(法人税法施行令第四八条関係)

国民健康保険組合等が有する減価償却資産につき法人税法施行令第四八条に規定する償却の方法のうち、そのよるべき方法を確定申告書の提出期限までに所轄税務署長に届け出ることとされていること。

なお、減価償却の方法を届け出なかつた場合は、定率法が適用されることになること。

カ 確定申告(法人税法第七四条、同法施行規則第三五条関係)

事業年度が終了したときは、終了の日の翌日から二か月以内に全収益事業の収支を合算して決算をし、これに基づいて所轄税務署長に次の書類を添えて確定申告書を提出することとされていること。

(ア) 貸借対照表

(イ) 損益計算書

(ウ) 剰余金(損失金)処理計算書

(エ) (ア)及び(イ)の勘定科目内訳説明書

(オ) 事業概況説明書、その他所轄税務署長から提出を求められた書類

また、都道府県民税、事業税は都道府県知事に、市町村民税は市町村長に、事業所税は指定都市等の長に事業年度終了の日の翌日から二か月以内に確定申告書を提出することとされていること。

(3) その他

国民健康保険組合等で申告等に関し、必要がある場合は所轄国税局又は税務署に照会しその指示を受けること。

なお、このことについては国税庁から各国税局に指示されることとされていること。

別紙 略