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○地方団体の徴収金の端数計算等について

(昭和三八年九月一九日)

(自治丙府発第四九号)

(東京都総務主税局長・各道府県総務部長あて自治省税務局長通知)

従来地方団体の徴収金については、「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」により端数計算が行なわれていたほか、地方税法においても各種目ごとに端数計算に関する規定が設けられていたが、今回の地方税法の一部改正において、これらの規定を地方税法第二〇条の四の二に整理統合するとともに所要の合理化が行なわれたので、これが取扱いについて、次のとおり通達するから遺憾のないよう措置されたい。なお、昭和三四年一月一四日付自丙府発第二号自治庁税務局長通達「地方団体の徴収金等の端数計算について」は、廃止する。おつて、管下市町村に対しても、この旨示達の上これが運用について充分御指導願いたい。

目次

1 課税標準額等の端数計算

2 税額の端数計算

3 付帯債権額の端数計算

4 過誤納金、還付金又は還付加算金の端数計算

5 確定金額の意義

6 事業税又は法人の住民税の確定金額を算出する過程におけるその算出額の端数計算 略

7 分割して履行すべき金額の端数計算

8 個人の道府県民税と市町村民税のごとくあわせて徴収する地方税の端数計算 略

9 特別徴収にかかる地方税の端数計算 略

10 個人の道府県民税の払込金の端数計算 略

11 条例で指定する地方税の端数計算

12 経過措置

1 課税標準額等の端数計算

(1) 地方税((2)に掲げるものを除く。)の課税標準額に一〇〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、また、課税標準額の金額が一〇〇円未満であるときは、その全額を切り捨てる(一項本文)。

(2) 地方税法施行令(以下「令」という。)第六条の一七第一項に規定されている道府県たばこ消費税、娯楽施設利用税、料理飲食等消費税、市町村たばこ消費税、電気ガス税、木材引取税又は道府県(市町村)法定外普通税で条例で指定するものの課税標準額については、地方税法(以下「法」という。)第二〇条の四の二第一項本文(一〇〇円未満切捨て方式)の規定は適用されない。したがつてその課税標準額については端数計算は行なわないものであり、たとえば娯楽施設利用税にあつては利用料金の額が、電気ガス税にあつては料金の額がそのまま課税標準額となる(一項ただし書)。

(3) 法第二〇条の四の二第一項本文の「課税標準額」とは、税額算出のために税率を乗ずべき額をいう。たとえば、住民税においては、課税総所得金額、課税山林所得金額、課税退職所得金額(それぞれ基礎控除、扶養控除等の所得控除額を控除した額で課税山林所得にあつてはいわゆる五分する前の額)、個人の事業税においては事業主控除額を控除した所得金額、不動産取得税においては住宅にかかる控除額等を控除した額をいい、したがつて、端数処理はこれらの額について行なう。

(4) 更正又は賦課決定によつて不足税額を追徴する場合(修正申告により税額が増額する場合を含む。)における課税標準額については、当該追徴にかかる課税標準額を含めた総体の課税標準額について端数処理を行なう。

(5) 略

(6) 延滞金、過少申告加算金、不申告加算金又は重加算金の額を計算する場合においては、その計算の基礎となる税額に一〇〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、また、計算の基礎となる税額の全額が一〇〇円未満であるときは、その全額を切り捨てる(二項)。

(7) 略

2 税額の端数計算

(1) 地方税((2)に掲げるものを除く。)の税額の確定金額に一〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、また、税額の確定金額の全額が一〇〇円未満であるときは、その全額を切り捨てる(三項本文)。

(注) 住民税は、均等割額、所得割額又は法人税額の合算によつて、その税額が計算されるので、個人の住民税又は法人の住民税としての、その合算額について、一〇〇円未満の全額切捨ての規定が適用されることに留意する。

(2) 娯楽施設利用税、料理飲食等消費税、電気ガス税、木材引取税、軽油引取税、入湯税、道府県(市町村)法定外普通税で条例で指定するものについては、その確定金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、また、その全額が一円未満であるときは、その全額を切り捨てる(三項ただし書。)

3 付帯債権額の端数計算

(1) 延滞金又は滞納処分費の確定金額に一〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、また、その確定金額の全額が一〇円未満であるときは、その全額を切り捨てる(四項)。

(2) 過少申告加算金、不申告加算金又は重加算金の確定金額に一〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、また、その確定金額の全額が一〇〇円未満であるときは、その全額を切り捨てる(五項)。

4 過誤納金、還付金又は還付加算金の端数計算

(1) 過誤納にかかる地方団体の微収金又は地方税法の規定による還付金(中間納付額にかかる還付金等をいう。)を還付し、又は未納の税額等に充当する場合の当該還付し、又は充当する金額の端数計算については、その確定金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り上げることとし、また、その全額が一円未満であるときは、その全額を一円として取り扱う。

(注) 1 前記により端数処理を行なうものとしては、不動産取得税、料理飲食等消費税、軽油引取税にかかる還付金(納付された全額を還付する場合を除く。)、中間納付額又は清算中の予納額にかかる還付金のうち延滞金にかかるものがある。

2 過誤納金の額は、過納にかかるものにあつては減額された額(すでに確定している税額と本来納付すべき税額との差額)、誤納にかかるものにあつては納付額に基づいて計算され、一円未満の端数金額を生ずることがないので、前記の取扱いは事実上適用されない。中間納付額又は清算中の予納額にかかる還付金のうち本税額にかかるもの、仮徴収の固定資産税及び都市計画税、国民健康保険税にかかる還付金についても同様である。

(2) (1)の還付金を還付し、又は充当する場合において加算する還付加算金(法第一七条の四の規定に基づくもののほか、令第九条の五(令第四八条の一二において準用)、令第二八条(令第三〇条第二項において準用)の規定に基づくものを含む。)については、その計算の基礎となる過誤納金又は地方税法の規定による還付金の額に一〇〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てて計算し、また、それらの額の全額が一〇〇円未満であるときは、その全額を切り捨てて計算するものである(七項)。

(3) (2)の還付加算金の確定金額に一〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとし、またその確定金額の全額が一〇円未満であるときは、その全額を切り捨てる(七項)。

(注) 道府県民税、市町村民税、固定資産税及び都市計画税の納期前納付にかかる報奨金の端数計算については、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律第二条の規定の適用があることに留意する。

5 確定金額の意義

法第二〇条の四の二第三項から第六項まで(第七項において第四項を準用する場合を含む。)にいう「確定金額」とは、地方団体の債権又は債務の金額が具体的に確定した場合における当該確定した金額をいい、調査決定(調定)又は支出決定の際に判定するものとするが、なおこれが取扱いについては、次のことに留意する。

(1) 税額の確定金額

法第二〇条の四の二第三項にいう地方税の確定金額とは、次のアからウまでの地方税の区分ごとに、それぞれに掲げる税額のいずれをもいうものである。

ア 法人の住民税及び法人の事業税 略

イ 地方税(法人の住民税及び法人の事業税を除く。)のうち申告納付又は申告納入の方法により徴収するもの 略

ウ 賦課決定により税額を確定する地方税(普通徴収の方法により徴収する地方税及び特別徴収にかかる個人の住民税)

a 当初の賦課決定により確定する税額

b 追徴にかかる賦課決定により確定する税額(すでに徴収すべきことが確定している額を含んだ額とする。)

c bの場合において、当該追徴にかかる賦課決定により徴収すべき税額が増加することとなるときは、bの税額(端数計算をした額とする。)から当該追徴前にすでに徴収すべきことが確定している税額を控除した増差税額

エ 証紙徴収の方法により徴収する地方税についても前記ウに準じて取り扱う。

(2) 地方税の税額の確定金額の端数計算について、法第二〇条の四の二第三項本文の場合(一〇円未満の端数切捨て、一〇〇円未満の全額切捨て)を示すと次のとおりである。

申告額  修正申告額 増減差税額 更正(再更正)増差税額

(賦 課)  (更正後)        (後の税額)円

(決定額)円 (の 額)円     円

A  3,850     4,855

          ↓

(4,850) ―→ 1,000

B  3,850     3,935

          ↓

(3,930) ―→  80

          ↓

3,850 ←― (0)

C   49      125

↓      ↓

(0)    (120) ―→  120

D   170      90

           ↓

           (0)―→ △170

E  3,850     3,765

          ↓

(3,760) ―→ △90

F  3,850     3,935         3,985

          ↓           ↓

(3,930) ―→  80   (3,980) ―→ 130

        ↓

3,850 ←―  (0)

(注) 1 Aの場合は、4,855円を4,850円(10円未満切捨て)とし、増差税額は1,000円(4,850円-3,850円)とする。

2 Bの場合は、増差税額が80円(3,930円-3,850円)となるが、この額は100円未満であるから、増加する確定金額(納付税額)は零となる。したがつて修正申告書が提出されてもその納税者の納付すべき税額は3,930円とはならず、当初の3,850円となり、増差税額につき納付があつた場合は過納金として還付することとなる。

3 Cの場合は、当初申告(賦課決定)では税額の確定金額が100円未満のため全額が切り捨てられていたものであり、この場合において修正申告書の提出又は更正により確定する税額が100円以上となるときは、当該増加する額自体が100円未満(例の場合は76円)であつても、当初の切捨額を含めて120円(120円-0=120円)を徴収することとなる。

4 Dの場合は、減額の更正後の税額(確定税額)が100円未満となるので、当初の税額である170円を還付することとなる。中間(予定)申告があり、確定申告額が100円未満の場合も同様に、その中間(予定)申告にかかる税額を還付する。

5 Eの場合は、減差額の90円については、端数計算を行なわない。この減差額は、地方税の確定金額ではないからである。なお、Eの設例は、減額する更正又は賦課決定を行なつた場合の減額相当額の計算方法を示したものである。すなわち減額相当額は、すでに確定している税額(端数処理後)から減額後の本来あるべき税額(端数処理後)を差し引くことにより計算される。

6 Fの場合は、修正申告においてはBの場合と同様に増加する確定金額は零であるが、更正による増差税額は、130円(3,980円-3,850円)となる。更正による確定金額は修正申告による確定金額に対しては50円の増加であるにもかかわらず、130円を納付することとなるのは、修正申告においては、納付する増差税額がなかつたので、その後更正があつた場合に「更正前にすでに納付すべきことが確定している税額」は、この事例の場合は当初の申告税額となるためである。

(3) 延滞金の確定金額

延滞金は、本税額の全部又は一部の納付又は納入により具体的に確定するものであるので、当該確定するたびごとの算出額が法第二〇条の四の二第四項にいう延滞金の確定金額となる。

(4) 過少申告加算金等の確定金額

法第二〇条の四の二第五項にいう過少申告加算金、不申告加算金又は重加算金の確定金額についても、(1)ウに準じて取り扱う。なお不申告加算金について一〇〇分の五の軽減の規定が適用されるときは、当該軽減額を控除した残額が、不申告加算金の確定金額となる。

(5) 還付加算金の確定金額

本税額が分割納付された場合において過誤納金(還付金を含む。)が生じたため還付(充当)するときは、還付加算金の計算期間が異なることとなるが、この場合においては、異なる計算期間に対応する算出額がそれぞれ還付加算金の確定金額となる。

(6) その他留意すべき事項

ア 調査決定又は支出決定が行なわれた後に、充当処分をした場合において、充当後の残存額については法第二〇条の四の二の規定による端数処理を行わない。

イ 一〇円未満の端数金額を切り捨てた税額、延滞金等について、一部履行がされたため一〇円未満の端数が生ずるにいたつた場合においては、当該残存額について再び端数処理は行なわない。

ウ 法第七二条の六二、第三二三条、第一五条の九第二項、第七二条の四四第四項、第三二一条の一二第三項等の規定に基づいて地方税及びこれにかかる地方団体の徴収金について減免する場合における法第二〇条の四の二第三項から第五項までの規定の適用については、減免相当額を控除した残存額が、地方団体の徴収金の確定金額となる。

6 事業税又は法人の住民税の確定金額を算出する過程におけるその算出額の端数計算 略

7 分割して履行すべき金額の端数計算

(1) 二以上の納期限を定め、一定の金額に分割して地方税を納付(納入)すべきこととされている場合には、その納期限ごとの分割金額に一〇〇円未満の端数があるとき又は分割金額の全額が一〇〇円未満であるときは、その端数金額又はその全額は、すべて最初の納期限の分割金額に合算する(六項)。

(2) 法第二〇条の四の二第六項にいう「地方税の確定金額を、二以上の納期限を定め、一定の金額に分割して納付し、又は納入することにされている場合」とは、たとえば個人の事業税、固定資産税等のように納期を二期以上に分つて各納期ごとに均等の額を徴収することとなる場合が該当するものであり、微収猶予により分割徴収する場合は、これに該当しないものである。なお、このような場合には、あらかじめ一〇〇円未満の金額が生じないように分割額を定めるものとし、また、法第一五条の三の規定により、住民税の法人税割額又は法人の事業税額の徴収猶予をする場合における当該猶予額についても同様に取り扱う。

(3) 略

(4) 納期を分けて徴収することとされている地方税について、追徴又は賦課洩れにかかる賦課決定があつたときは、当該賦課決定により確定する税額を原則として当該賦課決定後に到来する納期について(1)に準じて分割し、各納期ごとの納付額を定める。また減額する賦課決定があつたときは、当該減額相当額を当該賦課決定後に到来する納期について、(1)に準じて分割し、当該分割した額をそれぞれ各納期ごとの税額から控除して、各納期ごとの納付額を定める。この場合において、減額相当額を当該賦課決定後に到来する納期の税額から控除できなかつたときは、当該賦課決定の直前の納期から順次さかのぼつて減額する。

(5) 各納期ごとの分割金額の計算例を示すと次のとおりである。

ア 年税額2,350円を4期に分けて納付する場合各納期ごとの納付税額

年税額  1期分  2期分  3期分  4期分

2,350円   850円   500円   500円   500円

この場合において、1期の納期限後に350円の税額を増(減)する賦課決定があつたときは、各納期ごとの納付税額は次のとおりとなる。

増(減)後の年税額 1期分 2期分  3期分  4期分

増の場合2,700円 850円 650(150)円 600(100)円 600(100)円

減の場合2,000 850 350(△150) 400(△100) 400(△100)

イ 年税額が6,530円としたときの特別徴収の方法によつて徴収する住民税の各月ごとの納付税額 略

8 個人の道府県民税と市町村民税のごとくあわせて徴収する地方税の端数計算 略

9 特別徴収にかかる地方税の端数計算 略

10 個人の道府県民税の払込金の端数計算 略

11 条例で指定する地方税の端数計算

令第六条の一七の規定により道府県法定外普通税又は市町村法定外普通税のうち条例で指定する地方税については、その課税標準額について端数処理を行なわず、また、その税額の確定金額に一円未満の端数があるとき又はその全額が一円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てることとなるが、その指定にあたつては他の法定税目との間に均衡を失わないように留意する。

12 経過措置

この通達は、昭和三八年一〇月一日以後に確定する地方税、過少申告加算金、不申告加算金若しくは重加算金、同日以後に徴収する延滞金若しくは滞納処分費又は同日以後に還付のため支出を決定し、若しくは充当をする過誤納金その他の地方団体の徴収金に関する還付金にかかる還付加算金の端数計算について適用する。ただし、昭和三九年三月三一日までに確定する地方税については、その確定金額の全額が一〇〇円未満の場合にその全額を切り捨てる部分は「一〇〇円」とあるのを「一〇円」と読みかえて適用する(附則七)。