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○一部負担金の徴収猶予及び減免並びに保険医療機関等の一部負担金の取扱について

(昭和三四年三月三〇日)

(保発第二一号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

国民健康保険法(以下「法」という。)第四四条第一項及び第三項の規定による一部負担金の徴収猶予及び減免並びに法第四二条第二項の規定による一部負担金の取扱いに関しては、左記によることとしたから保険者において被保険者に対する周知徹底をはかるとともに、保険医療機関等との連絡を保ち、その適正な実施を期すよう特段の配慮をわずらわしたい。

なお、この取扱いは、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二四五条の四第一項に基づく技術的助言である。

第一 一部負担金の徴収猶予及び減免

一 一部負担金の徴収猶予

保険者は、一部負担金の支払又は納付の義務を負う世帯主又は組合員(以下「世帯主又は組合員」という。)が次の各号のいずれかに該当したことによりその生活が困難となつた場合において必要と認めるときは、その者に対し、その申請により、六箇月以内の期間を限つて、一部負担金の徴収を猶予するものとすること。この場合において当該世帯主又は組合員が保険医療機関等に対して当該一部負担金を支払うべきものであるときは、当該保険医療機関等に対する支払に代えて当該一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予することができること。

1 震災、風水害、火災、その他これらに類する災害により死亡し、障害者となり、又は資産に重大な損害を受けたとき。

2 干ばつ、冷害、凍霜害等による農作物の不作、不漁、その他これらに類する理由により収入が減少したとき。

3 事業又は業務の休廃止、失業等により収入が著しく減少したとき。

4 前各号に掲げる事由に類する事由があつたとき。

二 一部負担金の減免

(一) 保険者は、世帯主又は組合員が一の各号のいずれかに該当したことによりその生活が著しく困難となつた場合において必要があると認めるときは、その申請によりその者に対し、一部負担金を減額し、又はその支払若しくは納付を免除することができること。なお、収入の減少の認定に当たっては、次の各号のいずれにも該当する世帯を対象に含むものとすること。

① 入院療養を受ける被保険者の属する世帯

② 世帯主及び当該世帯に属する被保険者又は組合員及び当該組合員の世帯に属する被保険者(以下「世帯主等」という。)の収入の額の合計額が生活保護法(昭和二五年法律第一四四号)の規定の適用があるものとして同法第一一条第一項第一号から第三号までに掲げる扶助について同法第八条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の例により測定した当該世帯主等の需要の額の合計額に十分の十一を乗じて得た額(以下「基準額」という。)以下であり、かつ、当該世帯主等の預貯金の額の合計額が基準額の三箇月分に相当する額以下である世帯

(二) 一部負担金の減免の期間は、療養に要する期間を考慮し、一箇月単位の更新制で三箇月までを標準とすること。ただし、三箇月までに期間を制限するものではない。なお、療養に要する期間が長期に及ぶ場合については、被保険者の生活実態に留意しつつ、必要に応じ、生活保護の相談等適切な福祉施策の利用が可能となるよう、生活保護担当など福祉部局との連携を図ること。

三 前記一及び二の場合における生活困難の認定は、地域の特殊事情、被保険者の生活実態等に即して適正に実施するよう配慮すること。

四 申請

一部負担金の徴収猶予又は減免の措置を受けようとする者は、あらかじめ保険者に対し、様式第一による申請書を提出しなければならないこと。ただし、徴収猶予については、急患、その他緊急やむを得ない特別の理由がある者は、当該申請書を提出することができるに至つた後、ただちにこれを提出しなければならないこと。

五 証明書の交付又は通知

(一) 保険者は、法第四四条第一項の規定により、一部負担金の徴収猶予又は減免の決定をした場合は、すみやかに、様式第二による証明書を申請者に交付し、法第四四条第三項の規定により一部負担金の徴収猶予又は減免の決定をした場合は、その旨申請者に通知するものとすること。

(二) 一部負担金の徴収猶予又は減免の措置を受けた者が保険医療機関等について療養の給付を受けようとするときは、(一)の証明書を被保険者証にそえて当該保険医療機関等に提出しなければならないこと。

六 徴収猶予及び減免の取消

(一) 保険者は、一部負担金の徴収猶予の措置を受けた者が次の各号の一に該当する場合においては、その徴収猶予をした一部負担金の全部又は一部についてその徴収猶予を取り消し、これを一時に徴収することができること。

1 徴収猶予を受けた者の資力その他の事情が変化したため、徴収猶予をすることが不適当であると認められるとき。

2 一部負担金の納入を免かれようとする行為があつたと認められるとき。

(二) 保険者は、偽りの申請その他不正の行為により一部負担金の減免を受けた者がある場合においてこれを発見したときは、ただちに当該一部負担金の減免を取り消すものとすること。この場合において被保険者が保険医療機関等について療養の給付を受けたものであるときは、保険者は、ただちに、減免を取り消した旨及び取消の年月日を当該保険医療機関等に通知するとともに、当該被保険者がその取消の日の前日までの間に減免によりその支払を免かれた額を当該保険者に返還させるものとすること。

第二 保険医療機関等の一部負担金の取扱

一 徴収猶予証明書の事後提出の場合

保険医療機関等が、緊急やむを得ない場合で、第一診療日に徴収猶予証明書を提出できない被保険者の療養を取り扱うときは、その者が事後に徴収猶予証明書を提出することを署名確認せしめた上一部負担金を支払わせないものとし、被保険者が徴収猶予証明書を、第二診療日までに提出しないときは、保険医療機関等から保険者に連絡し、その者に対して徴収猶予の申請がなされ、かつ、証明書を発行されるかどうかを確め、徴収猶予の該当者でない場合は、一部負担金を支払わせるものとすること。

二 善良な管理者と同一の注意

保険医療機関等が法第四二条第二項の規定による保険者の処分を請求しようとするときは、当該保険医療機関等の開設者は、善良な管理者と同一の注意をもつて被保険者から一部負担金の支払を受けることにつとめたことを証明しなければならないこと。この場合における善良な管理者と同一の注意とは、保険医療機関等の開設者という地位にある者に対し一般的に要求される相当程度の注意義務をいうものであり、当該義務がつくされたかどうかの認定は、義務者の主観的、個人的事由を考慮して行われるものではなく、客観的事情に基づき、具体的ケースに即して行われるものであるが、次の各号に掲げるような場合は、当該注意義務をつくしたものとは認められないものであること。

1 療養の給付が行われた際に一部負担金を支払うべきことを告げるのみであること。

2 各月分の診療報酬の請求前に単に口頭で催促すること。

3 再診の場合に、催促しないこと。

なお、被保険者が入院療養を受けている場合にあっては、保険医療機関等において、少なくとも、次の各号に掲げる対応が行われていることが必要と考えられる。

1 被保険者又は被保険者以外の少なくとも一名(家族、身元保証人、代理人等。以下「家族等」という。)に対し、一連の療養が終了し、一部負担金の支払を求めたとき(以下「療養終了後」という。)から、少なくとも一箇月に一回、電話等で支払を催促し、その記録を残していること。

2 療養終了後から三箇月以内及び六箇月経過後に、内容証明の取扱いをする郵便物による督促状を送付し、その記録を残していること。

3 療養終了後から六箇月経過後に、少なくとも一回は支払の催促のため被保険者の自宅を訪問し、その記録を残していること。(保険医療機関等の所在地から被保険者の自宅まで通常の移動手段でおおむね三〇分以上かかる場合には、近隣の家族等を訪問するか、被保険者又は家族等と直接面会し、支払の催促を行い、その記録を残していること。)

三 保険者の処分

(一) 法第四二条第二項の規定による処分の請求は、保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもつて一部負担金の支払を求めたにもかかわらず、被保険者がその支払をしない当該一部負担金の全部又は一部につき、その一部負担金の支払義務が発生した日から起算しておおむね三箇月を経過後、保険者に対し、電話又は文書による催促の協力を要請した上で、おおむね六箇月を経過した後、行うものとすること。

(二) 保険者は、保険医療機関等から(一)により処分の請求を受けたときは、保険医療機関等の請求を審査し、保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもつて被保険者から一部負担金の支払を受けることに努めていること及び当該被保険者について次の各号のいずれかに該当することを確認した場合に、処分を行うものとすること。

1 処分の対象となる一部負担金の額が六〇万円を超えるもの。

2 被保険者の属する世帯が保険料(税)の滞納処分を実施する状態にあるもの。

(三) 処分の実施に当たっては、地方自治法第二三一条の三第一項又は法第七九条第一項に基づく督促を実施し、法第七九条の二及び地方自治法第二三一条の三第三項又は法第八〇条第一項の規定に基づき当該請求に係る処分を行つたうえ、保険医療機関等に対して当該処分に係る徴収金のうちから当該請求に係る一部負担金に相当する額を交付するものとする。

(四) なお、一部負担金の支払は、法第四二条第一項の規定に基づく保険医療機関等と被保険者との間の債権債務関係であり、同条第二項の規定により保険者が処分を行う場合であっても、当該一部負担金が保険医療機関等の債権であることには変わりないものであること。

様式第一

様式第二