添付一覧
K762 腎固定術
遊走腎兼移動性盲腸に対して、必要があって腸固定術、腎固定術を行った際に一皮切から行い得た場合は、同一手術野の手術として「通則11」により腎固定術のみにより算定する。
K764 経皮的尿路結石除去術
経皮的尿路結石除去術は、腎尿管結石症に対して経皮的に腎瘻を造設して、腎瘻より腎盂鏡を挿入し、電気水圧衝撃波、弾性衝撃波又は超音波等により結石を摘出する場合に算定する。
K768 体外衝撃波腎・尿管結合破砕術
(1) 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術は、厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関に限って算定できるものであり、他の保険医療機関において当該療法を行った場合には、当該療法を含む一連の診療行為についてはすべて算定できない。
(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波腎・尿管結石破砕を行う場合は、1回のみ所定点数を算定する。なお、その他数回の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(3) 体外衝撃波腎・尿管結石破砕によっては所期の目的が達成できず、他の手術手技を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(4) 消耗性電極とは、1回又は2回以上の使用により消耗し、交換が必要となる電極をいう。なお、この加算は一連の手術について1回のみ算定できる。
K769 腎部分切除術
残腎結核で腎空洞切開術・腎瘻術・腎盂尿管移行部形成術の三者を併施した場合は、区分「K789」尿管腸膀胱吻合術に準じて算定する。
K772―2 腹腔鏡下腎摘出術
腹腔鏡下腎摘出術の適応は、良性腎疾患とする。
K774 腎(腎盂)瘻造設術、K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術
腎(腎盂)瘻造設術及び経皮的腎(腎盂)瘻造設術については、同時に行う超音波検査及び画像診断を併せて算定できない。
K780 同種腎移植術
(1) 同種腎移植術の所定点数には、潅流の費用が含まれる。
(2) 自家腎移植のために対側の腎摘出を行った場合には、移植用腎採取術を別に算定できる。
(3) 生体腎を移植する場合においては腎提供者から移植腎を摘出することに係るすべての療養上の費用を所定点数により算出し、同種腎移植術の所定点数に加算する。なお、腎提供者の生体腎を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準」(平成6年8月厚生省告示第237号)によって算定した費用額を10円で除して得た数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、腎提供者から食事にかかる標準負担額を求めることはできない。
(4) 死体腎には、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)に規定する脳死体の腎を含む。
(5) 請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。
(6) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。
(7) 「注2」の規定に基づく加算は、死体(脳死体を含む。)から移植のための腎摘出を行う際の摘出前の摘出対象腎の潅流、腎摘出、摘出腎の潅流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用がすべて含まれる。ただし、腎摘出を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び摘出腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法に準じて算定する。
K781 経尿道的尿路結石除去術
経尿道的尿路結石除去術は、腎結石症、腎盂結石症又は尿管結石症に対して経尿道的に内視鏡を腎、腎盂又は尿管内に挿入し、電気水圧衝撃波、弾性衝撃波又は超音波等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテルを用いて摘出する場合に算定する。ただし、透視下にバスケットワイヤーカテーテルのみで結石を摘出する場合は、区分「K798」膀胱結石、異物摘出術の「1」に準じて算定する。
K783 経尿道的尿管狭窄拡張術
経尿道的尿管狭窄拡張術等の経尿道的手術には、ファイバースコープ等内視鏡検査の費用を含むものであり、別に算定できない。
K784 残存尿管摘出術
尿管剥離術は、残存尿管摘出術により算定する。
K798 膀胱結石、異物摘出術
血友病で腎出血により尿管に凝血が詰まり、詰まった凝血をバスケットワイヤーカテーテルを使用し、経尿道的に除去した場合は、膀胱結石、異物摘出術の「1」に準じて算定する。
K800 膀胱憩室切除術
経尿道的電気凝固術は、膀胱憩室切除術に準じて算定する。
K801 膀胱単純摘除術
(1) 膀胱壁切除術と尿管膀胱移植術の併施は、膀胱単純摘除術の「1」に準じて算定する。
(2) 尿管腫瘍の場合において、腎尿管摘除術と膀胱壁切除を併施した場合は、膀胱単純摘除術に準じて算定する。
K803 膀胱悪性腫瘍手術
尿路変更を伴う膀胱悪性腫瘍手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、「5」の「(注)」の加算点数に6個を限度として使用個数を乗じて得た点数を加算する。
K811 腸管利用膀胱拡大術
(1) キャップパッチ膀胱整形術は、腸管利用膀胱拡大術に準じて算定する。
(2) 人工膀胱造設術は、腸管利用膀胱拡大術に準じて算定する。
K817 尿道悪性腫瘍摘出術
尿路変更を伴う尿道悪性腫瘍摘出術に当たって自動縫合器を使用した場合は、「3」の「(注)」の加算点数に6個を限度として使用個数を乗じて得た点数を加算する。
K819 尿道下裂形成手術
陰茎形成手術は、尿道下裂形成手術に準じて算定する。
K821 尿道狭窄内視鏡手術
(1) 尿道バルーンカテーテルを用いて、尿道狭窄拡張法を行った場合、区分「K818」尿道形成手術の「1」に準じて算定する。
(2) 全身状態が不良で、前立腺被膜下摘出術又は経尿道的前立腺手術が実施できない患者に対し、後部尿道ステント又は長期留置型尿道ステントを用いて、前立腺部の尿道拡張を行った場合は、尿道狭窄内視鏡手術として算定する。ただし、手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。
K823 尿失禁手術
恥骨固定式膀胱頚部吊上術を行うものについては、恥骨固定式膀胱頚部吊上キットを用いて尿失禁手術を行った場合に算定する。手術に必要な保険医療材料の費用は所定点数に含まれる。
K823―2 尿失禁コラーゲン注入手術
(1) 注入に用いるコラーゲン、皮内反応用のコラーゲン、注入針等の費用、膀胱鏡の費用等は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(2) 本手術の適応は、1年以上改善の見られない腹圧性尿失禁とする。
(3) 所期の目的を達するために複数回実施しても、一連として算定する。
第11款 男子性器
K826 陰茎切断術
陰茎様陰核形成手術は、陰茎切断術に準じて算定する。
K828―2 陰茎持続勃起症手術
陰茎背静脈、尿道海綿体、大伏在静脈又は体外静脈系と陰茎海綿体のシャントを行った場合には、「2」により算定する。
K831 停留精巣(睾丸)摘出術
腹腔内精巣(睾丸)摘除及び潜伏精巣(睾丸)摘出術は、停留精巣(睾丸)摘出術に準じて算定する。
K832 精巣上体(副睾丸)摘出術
精管の結核病巣切除及び精管腫瘍手術は、精巣上体(副睾丸)摘出術に準じて算定する。
K833 精巣(睾丸)悪性腫瘍手術
腫瘍を単に摘出しただけのものは「1」で算定し、腫瘍摘出にリンパ節郭清を併せて行ったものは「2」で算定する。
K834 精索静脈瘤手術
精索静脈瘤について静脈瘤切除及び細小静脈吻合が施行された場合は、精索静脈瘤手術に準じて算定する。
K841―2 経尿道的レーザー前立腺切除術
(1) 本手術は、膀胱・尿道鏡下に行われた場合に算定し、超音波ガイド下に行われたものは算定しない。
(2) 使用されるレーザープローブの費用等レーザー照射に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
K841―3 経尿道的前立腺高温度治療
(1) 本療法は、前立腺肥大組織を45℃以上で加熱するものである。
(2) 本手術の所定点数には、使用される用具等の費用が含まれる。
(3) 所期の目的を達するために複数回実施しても、一連として算定する。
第12款 女子性器
K845 処女膜切開術
(1) 膣の膜様狭窄に対し膜様切開を行ったときは、処女膜切開術に準じて算定する。
(2) 膣狭窄症に対して輪状切除縫合を行ったときは、区分「K855」膣中隔切除術の「2」に準じて算定する。
(3) 高度の膣狭窄で膣壁切開及び皮膚又は卵膜片移植を併施したときは、区分「K859」造膣術に準じて算定する。
K848 バルトリン腺曩胞摘出術・造袋術
バルトリン腺腫瘍摘除術は、バルトリン腺曩胞摘出術・造袋術に準じて算定する。
K851 会陰形成手術
癒合陰唇形成手術は、会陰形成手術に準じて算定する。
K852 膣壁裂創縫合術(分娩時を除く。)
子宮全脱の場合のノイゲバウエル中央膣閉鎖術は、膣壁裂創縫合術(分娩時を除く。)の「3」に準じて算定する。
K854 膣式旁結合織膿瘍切開術
(1) 子宮旁結合織炎(膿瘍)切開排膿は、初回は膣式旁結合織膿瘍切開術に準じて算定する。第2回以後の洗浄は区分「J066」尿道拡張法に準じて算定する。
(2) 子宮外妊娠の疑いのある場合の後膣円蓋切開は、膣式旁結合織膿瘍切開術に準じて算定する。
K856 膣壁腫瘍摘出術
膣壁曩腫切除術は、膣壁腫瘍摘出術に準じて算定する。
K858 膣腸瘻閉鎖術
膣壁裂創で直腸裂傷を伴うものは、膣腸瘻閉鎖術に準じて算定する。
K859 造膣術
(1) 膣閉鎖症手術は、造膣術により算定する。
(2) マックインド法による人工造膣術は、造膣術に準じて算定する。
K865 子宮脱手術
(1) 膣壁縫合術の費用は子宮脱手術の所定点数は含まれ、別に算定できない。
(2) 子宮脱手術に際して膣壁裂創縫合術と腹式子宮全摘術を併施した場合は、区分「K852」膣壁裂創縫合術(分娩時を除く。)の所定点数と区分「K877」子宮全摘術の所定点数とを合算した点数により算定する。
ただし、子宮脱手術に際して区分「K852」膣壁裂創縫合術(分娩時を除く。)と区分「K872」子宮筋腫核出術の「2」膣式を併施した場合は、区分「K872」子宮筋腫核出術の所定点数のみにより算定する。
K866 子宮頚管ポリープ切除術
子宮膣部冷凍凝固術は、子宮頚管ポリープ切除術に準じて算定する。
K867 子宮頚部摘出術
(1) 子宮膣部円錐切除術、子宮膣部切除術(スツルムドルフ手術を含む。)、子宮膣部切断術及び子宮頚部摘出術(膣部切断術を含む。)は、子宮頚部切除術により算定する。
(2) 子宮頚部の異形成上皮又は上皮内癌に対してレーザー照射療法のみを行った場合は子宮頚部切除術に準じて算定する。
K872 子宮筋腫核出術
(1) 腹式粘膜下筋腫摘出術、子宮頚部筋腫摘出術及び膣式子宮筋腫摘出術は、子宮筋腫核出術により算定する。
(2) 痕跡副角子宮手術は、子宮筋腫核出術に準じて算定する。
(3) 子宮頚部初期癌又は異形成に対する光線力学療法は、区分「K872」子宮筋腫核出術の「2」に準じて算定する。当該光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合に限り算定できる。
K877―2 腹腔鏡下膣式子宮全摘術
腹腔鏡下膣式子宮全摘術の適応は、良性子宮疾患とする。
K879 子宮悪性腫瘍手術
(1) 子宮広汎全摘除術は子宮悪性腫瘍手術により算定する。
(2) 子宮膣上部切断術、コット手術、クレニッヒ手術及び尿管腸管移植術を併施した場合は、子宮悪性腫瘍手術に準じて算定する。
K882 重複子宮、双角子宮手術
(1) 重複子宮における一側子宮摘除形成の場合は、重複子宮、双角子宮手術に準じて算定する。
(2) 分離重複子宮における一側子宮摘除形成の場合は、重複子宮、双角子宮手術に準じて算定する。
K883 子宮頚管形成手術
子宮頚管閉鎖症を鈍的に拡張した場合は、区分「J080」子宮頚管拡張及び分娩誘発法の「3」に準じて算定する。また、観血的に行った場合は、子宮頚管形成手術に準じて算定する。
K884 奇形子宮形成手術(ストラスマン手術)
特に開腹によらなければならない場合であって膀胱剥離の後、ラッシュ氏手術を施行した場合は奇形子宮形成手術(ストラスマン手術)に準じて算定する。
K887 卵巣部分切除術(膣式を含む。)
(1) 卵管結紮術(膣式を含む。)(両側)及び卵管口切開術は、卵巣部分切除術(膣式を含む。)に準じて算定する。
(2) 腹腔鏡下多嚢胞性卵巣焼灼術は卵巣部分切除術の「2」に準じて算定する。
K888 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)
卵巣腫瘍摘出術(両側)、卵管全摘除術(両側)、卵管腫瘤全摘除術(両側)及び子宮卵管留血腫手術は、子宮附属器腫瘍摘出術(両側)により算定する。
K890―2 卵管鏡下卵管形成手術
手術に伴う腹腔鏡検査等の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
K892 骨盤位娩出術
産科娩出術において双子の場合は、帝王切開術を除き1児ごとに所定点数を算定する。
K900 臍帯還納術
脱垂肢整復術は、臍帯還納術に準じて算定する。
K905 子宮内反症整復手術(膣式、腹式)
子宮内反症の非観血的整復術は区分「J080」子宮頚管拡張及び分娩誘発法の「4」に準じて算定する。
K906 子宮頚管縫縮術
(1) 子宮頚管縫縮術のうち、シロッカー法は、筋膜採取を含めて所定点数による。
(2) シロッカー法の場合のプラスチックチューブの抜去術は、子宮頚管縫縮術の「3」に準じて算定する。
K907 胎児外回転術
胎児外回転術の算定は分娩時のみに限るものではないが、その効果が十分期待しうる時期に実施された場合に限り算定する。
K909 流産手術
(1) 流産手術は原則として、術式を問わず、また、あらかじめ頚管拡張を行った場合であってもそれを別に算定することなく、本区分の所定点数のみで算定する。
(2) 人工妊娠中絶のために必要があって、区分「K898」帝王切開術、区分「K877」子宮全摘術又は区分「K876」子宮膣上部切断術を実施した場合は、流産手術の所定点数によらずそれぞれの所定点数により算定する。
(3) 妊娠満22週以上のものの中絶は、流産手術として算定せず、実際に行った分娩誘導又は産科手術の術式の所定点数によって算定する。
(4) 不全流産の場合の子宮内容除去術は、流産手術の「1」に準じて算定する。
K912 子宮外妊娠手術
外妊破裂を起こさなかった場合でも算定できる。
K913 新生児仮死蘇生術
新生児仮死蘇生術は、「通則4」の新生児加算を算定できる。
第2節 輸血料
K920 輸血
(1) 自家採血輸血、保存血液輸血及び自己血輸血の算定に当たっては、200mlを単位とし、200ml又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。ただし、6歳未満の患者に対して自己血輸血を行った場合は、体重1kgにつき4mlを単位とし、当該単位又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。
(2) 自家採血輸血及び保存血液輸血における1回目とは、一連の輸血における最初の200mlの輸血をいい、2回目とはそれ以外の輸血をいう。
(3) 輸血と補液を同時に行った場合は、輸血の量と、補液の量は別々のものとして算定する。
(4) 自家採血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、実際に輸血を行った1日当たりの量である。
(5) 自家製造した血液成分製剤を用いた注射の手技料は、原材料として用いた血液の量に従い、「1」により算定する。ただし、この場合の血液の量は3,000mlを限度とすること。この場合、患者に用いるリンゲル液、糖液等については、区分「G100」薬剤により算定するが、自家製造に要する費用及び製造の過程で用いる薬剤については算定できない。
(6) 同種骨髄移植後の慢性骨髄性白血病の再発、骨髄異形成症候群の再発及びEBウィルス感染によるB細胞性リンパ球増殖性疾患に対し、骨髄提供者のリンパ球を採取・輸注した場合は、「1」に準じて算定する。
(7) 保存血液輸血の注入量は、1日における保存血及び血液成分製剤(自家製造したものを除く。)の実際に注入した総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200mlの血液から製造された30mlの血液成分製剤については30mlとして算定し、200mlの血液から製造された230mlの保存血及び血液成分製剤は、200mlとして算定する。
(8) 濃縮血小板血漿の注入は、「2」により算定する。なお、血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結人血漿等)は注射の部において取り扱われる。
(9) 自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を予定している患者から採血を行い、当該血液を保存し、当該保険医療機関において手術を行う際に当該血液を輸血した場合において、手術に伴い輸血を行ったときに算定できる。ただし、輸血を行わなかった場合には算定できない。
(10) 自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった保存血については、算定できない。
(11) 患者への説明
ア 「注1」に規定する説明とは、別紙様式8を参考として、文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、輸血を行う際に患者本人に対して行うことを原則とするが、医師の説明に対して理解ができないと認められる患者(例えば小児、意識障害者等)については、その家族等に対して説明を行うことが必要である。
イ アの説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。
ウ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に貼付することとする。
エ 緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。
(12) 輸血に当たっては、「血液製剤の使用指針」(平成11年6月10日医薬発第715号)、「輸血療法の実施に関する指針」(平成11年6月10日医薬発第715号)及び「血小板製剤の使用基準」(平成6年7月11日薬発第638号)を遵守するよう努めるものとする。
(13) 「注3」の加算は、第1節に掲げる手術と同日に骨髄内輸血又は血管露出術が行われた場合には、算定できない。
(14) 加算を算定できるHLA型適合血小板輸血は、白血病又は再生不良性貧血の場合であって、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ、強い出血傾向を呈しているものに限る。なお、この場合において、対象となる白血病及び再生不良性貧血の患者の血小板数は概ね、それぞれ2万/mm3以下及び1万/mm3以下を標準とする。
(15) 「注7」の血液交叉試験又は間接クームス検査の加算は、生血を使用する場合にあっては、供血者ごとに、保存血を使用する場合にあっては、血液瓶1瓶ごとにそれぞれ算定する。
(16) 「注9」に規定する「輸血に伴って行った供血者の諸検査」には、HCA抗体価精密測定検査、HIV―1抗体価測定検査、HIV―1、2抗体価測定検査、HTLV―I抗体価測定検査及び不規則抗体検査等が含まれ、これらの検査に係る費用は別に算定できない。
(17) 自己血を採血する際の採血バッグ並びに輸血する際の輸血用回路及び輸血用針の費用並びに自己血の保存に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(18) 赤血球と血漿タンパクの両成分の輸血を必要とする病態の場合は、全血を輸血すべきであって、赤血球濃厚液と新鮮凍結血漿とを併用し、全血の代用として輸血した場合には算定できない。ただし、真にやむを得ない事情がある場合に限り、赤血球濃厚液と新鮮凍結血漿とを併用して輸血したときは算定できる。この場合、当該事情を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
K921 移植骨髄穿刺
移植骨髄穿刺は、骨髄移植においてK922の(2)に規定する同種移植を行い、区分「K922」の骨髄移植が算定できる場合に限り、骨髄提供者に対して行った骨髄穿刺の回数にかかわらず、骨髄移植の所定点数とは別に、算定する。なお、この場合において、骨髄提供者の骨髄の採取に係る当該骨髄穿刺を検査又は処置の部の骨髄穿刺の所定点数により算定することはできない。
K922 骨髄移植
(1) 骨髄移植の所定点数には、骨髄移植者に係る骨髄採取、組織適合性試験及び骨髄造血幹細胞測定の費用がすべて含まれる。
(2) 同種移植とは、ヒト組織適合性抗原が一致する提供者の骨髄を移植する場合をいうものであり、同種移植を行う場合においては、骨髄提供者から骨髄を採取することに係るすべての費用を各所定点数により算定し、骨髄移植の所定点数に加算する。
(3) 同種移植の対象疾患は、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等であり、また、自家末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植の対象疾患は、化学療法や放射線療法に感受性のある白血病等の悪性腫瘍である。
(4) 請求に当たっては、骨髄移植者の診療報酬明細書の摘要欄に骨髄提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、骨髄提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。
(5) 骨髄採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取した骨髄を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法に準じて算定する。
(6) 骨髄採取を行った医療機関と骨髄移植を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、骨髄移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。
K922―2 臍帯血移植
移植に使用した臍帯血の保存施設から移植実施保険医療機関までの搬送に要した費用については療養費として支給し、その額は移送費の算定方法に準じて算定する。
K923 術中術後自己血回収術
(1) 開心術及び大血管手術で出血量が600ml以上の場合並びにその他無菌的手術で出血量が600ml以上の場合(外傷及び悪性腫瘍の手術を除く。)に、術中術後自己血回収術を算定する。
(2) 術中術後自己血回収セットとは、術野から血液を回収して、濃縮及び洗浄を行い、又は濾過を行い、当該手術の際に患者の体内に戻す一連の器具をいう。
第3節 ギプス料
1 一般的事項
(1) ギプス包帯の切割料は、ギプス包帯を作成した保険医療機関も算定できる。
(2) 既装着のギプスを他の保険医療機関で除去したときは、ギプス除去料としてギプス包帯を切割使用した場合の2分の1に相当する点数により算定する。
(3) ギプスベッド又はギプス包帯の修理を行ったときは、修理料として所定点数の100分の10に相当する点数を算定することができる。
(4) プラスチックギプスを用いてギプスを行った場合にはシーネとして用いた場合が含まれる。
(5) ギプスシーネはギプス包帯の点数に準じて算定する。
(6) 四肢ギプス包帯の所定点数にはプラスチックギプスに係る費用が含まれ、別に算定できない。
2 治療装具の採型ギプス
(1) 採型部位を問わず、所定点数を算定する。
(2) 練習用仮義足の処方、採型、装着、調整等については、仮義足を支給する1回に限り、治療装具の採型ギプスにより算定する。
第11部 麻酔
<通則>
1 血圧降下等当然予測される副作用等を防止するための注射、麻酔の前処置として行われる麻薬、鎮静剤等の注射及び投薬に要する費用については、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。
2 麻酔の術中に起こる偶発事故に対する処置(酸素吸入、人工呼吸)及び注射(強心剤等)等の費用は、別に算定することができる。ただし、区分「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の場合は、区分「J024」酸素吸入、区分「J045」人工呼吸は算定できない。
3 麻酔が前処置と局所麻酔のみによって行われる場合には、麻酔の手技料は手術料に含まれ、算定できない。ただし、薬剤を使用した場合は、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。
4 麻酔法の選択については、保険診療の原則に従い、経済面にも考慮を払いつつ、必要に応じ妥当適切な方法を選択することが必要である。なお、特に規定するものについては、当該規定に従い適切に行うこと。
5 第1節及び第2節に掲げる麻酔法(1つに限る。)を別の麻酔の補助麻酔、強化麻酔又は前処置として行った場合の麻酔料は、主たる麻酔法の所定点数のみを算定する。この場合、当該一連の麻酔に使用されたすべての薬剤については薬剤料として算定できる。
なお、手術中において他の麻酔法を追加併用した場合も同様に算定する。
6 「通則」の麻酔料又は神経ブロック料の所定点数とは、麻酔料又は神経ブロック料の節に掲げられた点数及び各注に規定する加算(酸素又は窒素を使用した場合の加算並びに経皮的動脈血酸素飽和度監視、終末呼気炭酸ガス濃度監視又は呼気麻酔ガス濃度監視を行った場合の加算を除く。)の合計をいい、「通則」の加算点数は含まない。
7 「通則2」の加算及び「通則3」の加算は、第1節麻酔料(麻酔管理料は除く。)又は第2節神経ブロック料について適用され、第3節薬剤料については適用されない。この場合、麻酔に要する費用は、麻酔料及び神経ブロック料の所定点数に各通則の加算を加えた点数並びに薬剤料の合計点数により算定する。
8 「通則2」の未熟児に対する加算は、出生時体重が2,500グラム未満の新生児に対し、出生後90日以内に麻酔が行われた場合に限り算定できる。
9 「通則3」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(本項において「時間外加算等」という。)の取扱いは、次に掲げるものの他、初診料の時間外加算等と同様である。
ア 麻酔料
時間外加算等が算定できる緊急手術に伴う麻酔に限り算定できる。
イ 神経ブロック料
緊急やむを得ない理由により時間外加算等が算定できる時間に行われた場合に算定できる。
10 麻酔料に掲げられていない麻酔であって特殊な麻酔の麻酔料は、その都度当局に内議し、最も近似する麻酔として準用が通知された算定方法により算出する。
第1節 麻酔料
L000 迷もう麻酔
(1) 迷もう麻酔とは、吸入麻酔であって、その実施時間が数分程度のものをいう。
(2) ガス麻酔器を使用する数分間の麻酔は、本区分により算定する。
L002 硬膜外麻酔
(1) 実施時間は、硬膜外腔に当該麻酔を施行するために局所麻酔薬を注入した時点を開始時間とし、当該手術の終了した時点を終了時間として計算する。
(2) 第12胸椎と第1腰椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「1」で算定する。また、第5腰椎と第1仙椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「2」で算定する。
(3) 区分「L008」閉鎖循環式全身麻酔の「注4」の硬膜外麻酔加算を算定した場合には、硬膜外麻酔の時間加算は算定できない。
L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入
精密持続注入とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10ml以下の速度で局所麻酔剤を注入するものをいう。
L004 脊椎麻酔
実施時間は、くも膜下腔に局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該手術の終了した時点を終了時間として計算する。
L005 上・下肢伝達麻酔
(1) 上肢伝達麻酔は、手術のために腕神経叢の麻酔を行った場合に算定する。
(2) 下肢伝達麻酔は、手術のために少なくとも坐骨神経及び大腿神経の麻酔を行った場合に算定する。
L006 球後麻酔及び顔面・頭頚部の伝達麻酔
球後麻酔と顔面伝達麻酔を同時に行った場合は、主たるもののみで算定し、重複して算定できない。
L007 開放点滴式全身麻酔
吸入麻酔を10分以上連続して実施した場合は、本区分により算定する。
L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔
(1) ガス麻酔器を使用する閉鎖式・半閉鎖式等の全身麻酔を相当長時間実施した場合は、本区分により算定し、数分間の使用にとどまる場合は、区分「L000」迷もう麻酔により算定する。
(2) 流量計を装置した酸素ボンベ及びエーテル蒸発装置を使用し、気管内チューブ挿入吹送法又はノンレブリージングバルブを使用して麻酔を維持した場合は本区分に準じて算定できる。
(3) プロポフォールを用いて相当長時間にわたる全身麻酔の維持を行う場合であって、マスク又は気管内挿管による酸素吸入又は酸素・亜酸化窒素混合ガス吸入と併用する場合は、本区分及び各注に準じて算定できる。
(4) 本区分について「通則3」の加算を算定する場合の所定点数は、「注1」、「注2」及び「注4」による加算を含むものとする。
(5) 時間加算(注1)
ア 実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間として計算する。なお、これ以外の手術室の中で行われる処置、観察等の時間は実施時間に算入しない。
イ 当該麻酔の開始時間及び終了時間を麻酔記録に記載すること。
(6) 心臓手術等加算(注2)
ア 100分の10、100分の50、100分の100又は100分の200の2つ以上に該当する場合は主たる加算のみ算定し、重複して算定できない。
イ 当該加算の対象となる「心臓手術」とは、開胸式心大血管手術をいう。
ウ 100分の100の加算対象となる「低血圧麻酔」とは、手術操作を安全にし、出血量を減少させる目的で、脳動脈瘤手術や出血しやすい手術の際に、低血圧の状態を維持する麻酔をいう。なお、この場合の「低血圧」とは概ね、患者の通常収縮期血圧の60%又は平均動脈圧で60~70mmHgを標準とする。
エ 100分の100の加算対象となる「高頻度換気法」とは、特殊な換気装置を使用し、一回換気量を少なくし、換気回数を著しく増加させた換気法をいう。なお、この場合の「換気回数」は概ね1分間に60回以上である。
オ 脳温を32~34℃に維持する重度脳障害患者への治療的低体温は、「注2」の100分の200の加算の対象とはならない。
(7) 酸素・窒素(注3)
ア 酸素又は窒素の購入価格は、「酸素及び窒素の購入価格」(平成2年3月厚生省告示第41号)の定めるところによる。
イ 酸素及び窒素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置を使用して全身麻酔を施行した場合、動力源として消費される酸素及び窒素の費用は、「注3」の加算として算定できない。
(8) 硬膜外麻酔加算(注4)
硬膜外麻酔加算を算定した場合は、硬膜外麻酔の時間加算は算定できない。
(9) 経皮的動脈血酸素飽和度監視加算(注5)
経皮的動脈血酸素飽和度監視加算は、麻酔の実施時間中継続して、パルスオキシメーター等を用いて経皮的に動脈血酸素飽和度の監視を行った場合に算定できる。ただし、当該麻酔の実施時間中に監視を行っていない時間があるときは算定できない。
(10) 終末呼気炭酸ガス濃度監視加算等(注6)
ア 終末呼気炭酸ガス濃度監視加算は、閉鎖循環式全身麻酔を気管内挿管(ラリンゲルマスクを含む。)により行った場合であって、麻酔の実施中継続して、カプノメーター等を用いて患者の終末呼気炭酸ガス濃度(ETCO2)を測定することにより間接的に動脈血中の二酸化炭素の濃度の監視を行った場合に算定できる。ただし、当該麻酔の実施中に監視を行っていない時間があるときは算定できない。
イ 呼気麻酔ガス濃度監視加算は、閉鎖循環式全身麻酔を気管内挿管(ラリンゲルマスクを含む。)により行った場合であって、少なくとも笑気以外の吸入麻酔薬の濃度が2種類以上測定できる機器で、麻酔の実施中継続して、当該麻酔に投与している笑気以外の吸入麻酔ガス濃度を患者の呼気より連続監視を行った場合に算定できる。ただし、当該麻酔の実施中に監視を行っていない時間があるときは算定できない。
(11) 所定点数に含まれる費用
ア 本区分の麻酔法の際に使用するソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
イ 呼吸心拍監視の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、呼吸心拍監視料は別に算定できない。
ウ 体温(深部体温を含む。)測定の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。
エ 経皮的動脈血酸素飽和度測定又は終末呼気炭酸ガス濃度測定に要する費用は、それぞれ本区分の「注5」又は「注6」に掲げる加算の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終末呼気炭酸ガス濃度測定は別に算定できない。
L009 麻酔管理料
(1) 麻酔管理料は麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が術前術後の診察を行い、かつ手術中に専ら当該麻酔科標榜医が区分「L002」硬膜外麻酔、区分「L004」脊椎麻酔又は区分「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、術前術後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。
(2) 麻酔管理料を算定しようとする保険医療機関の開設者は、当該保険医療機関の所在地の地方社会保険事務局長に届け出なければならない。なお、届出の様式等については、別途通知する。
(3) 麻酔管理料を算定する場合には、術前術後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、術前術後診察について記載された麻酔記録又は手術中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。
(4) 麻酔管理料について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。
第2節 神経ブロック料
L100 神経ブロック(局所麻酔剤使用)、L101 神経ブロック(神経破壊剤使用)
(1) 神経ブロックとは、疼痛管理に専門的知識を持った医師が行うべき手技であり、疾病の治療又は診断を目的とし、主として末梢の脳脊髄神経節、脳脊髄神経、交感神経節等に局所麻酔剤又はエチルアルコール(50%以上)及びフェノール(2%以上)等の神経破壊剤を注入して、神経内の刺激伝達を遮断することをいう。
(2) 神経ブロックは、疼痛管理を専門としている医師又はその経験のある医師が、原則として局所麻酔剤又は神経破壊剤を使用した場合に算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、局所麻酔剤又は神経破壊剤とそれ以外の薬剤を混合注射した場合においても神経ブロックとして算定できる。なお、この場合において、医学的必要性について診療報酬明細書に記載する。
(3) 同一神経のブロックにおいて、神経破壊剤使用によるものは、癌性疼痛を除き、月1回に限り算定する。また、同一神経のブロックにおいて、局所麻酔剤により神経ブロックの有効性が確認された後に、神経破壊剤を用いる場合に限り、局所麻酔剤によるものと神経破壊剤によるものを同一月に算定できる。
(4) 同一名称の神経ブロックを複数か所に行った場合は、主たるもののみ算定する。また、2種類以上の神経ブロックを行った場合においても、主たるもののみ算定する。
(5) 肩甲背神経ブロックを行った場合は、肩甲上神経ブロックに準じて算定する。
(6) 尺骨神経ブロック、橈骨神経ブロック、筋皮神経ブロック又は腋窩神経ブロックを行った場合は、正中神経ブロックに準じて算定する。
(7) 椎間孔を通って脊柱管の外に出た脊髄神経根をブロックする「1」の神経根ブロックに先立って行われる選択的神経根造影等に要する費用は、「1」の神経根ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。
(8) 神経ブロックに先立って行われるエックス線透視や造影等に要する費用は、神経ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。
(9) 神経ブロックと同時に行われたトリガーポイント注射や神経幹内注射については、別に算定できない。
L103 カテラン硬膜外注射
刺入する部位にかかわらず、所定点数を算定する。
L104 トリガーポイント注射
(1) トリガーポイント注射は、圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を注射する手技であり、施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる。
(2) トリガーポイント注射と神経幹内注射は同時に算定できない。
L105 硬膜外ブロックにおける麻酔剤の持続的注入
(1) 「注1」の加算は、悪性腫瘍の患者の疼痛の制御を目的として、体内に皮下埋込型カテーテルアクセスを設置した場合に算定できる。皮下埋込型カテーテルアクセスの設置当日においては、当該加算のみ算定できる。
(2) (1)について、カテーテル、カテーテルアクセス等の材料の費用及び硬膜外ブロックの手技料は当該加算点数に含まれ、別に算定できない。
(3) 「注2」の「精密持続注入」とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10ml以下の速度で麻酔剤を注入するものをいう。
第12部 放射線治療
<通則>
放射線治療料の項に掲げられていない放射線治療のうち、簡単な放射線治療の放射線治療料は算定できないものであるが、特殊な放射線治療の放射線治療料は、その都度当局に内議し、最も近似する放射線治療として準用が通知された算定方法により算定する。
<放射線治療料>
M000 放射線治療管理料
(1) 放射線治療管理料は、体外照射又は密封小線源治療に掲げる外部照射、腔内照射若しくは組織内照射による治療を行うに際して、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画により放射線照射を行った場合に、所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程において、各区分の照射法につき1回に限り算定する。
(2) 線量分布図を作成し、区分「M004」に掲げる密封小線源治療を行った場合には、外部照射、腔内照射又は組織内照射につき、次に掲げる場合に準じて放射線治療管理料を算定する。
外部照射 :1門照射又は対向2門照射を行った場合
腔内照射 :非対向2門照射又は3門照射を行った場合
組織内照射:4門以上の照射、運動照射若しくは原体照射を行った場合
(3) 注2に掲げる放射線治療専任加算は、区分「M001」体外照射の3に掲げる高エネルギー放射線治療の際に、放射線治療を専ら担当する医師により、照射計画の作成、照射中の患者の管理及び照射後の副作用管理を含めた放射線科的管理が行われた場合に限り算定する。
M001 体外照射
(1) 体外照射の具体的な定義は次のとおりである。
ア エックス線表在治療とは、管電圧10万ボルト未満による照射療法をいう。
イ コバルト60遠隔大量照射とは、大量のコバルト60線源のガンマ線を使用した固定コバルト装置以外のコバルト装置による遠隔照射療法をいう。
ウ 高エネルギー放射線治療とは、100万電子ボルト以上のエックス線又は電子線の応用で、ベータートロン、直線加速装置又はマイクロトロン治療装置使用による照射療法をいう。
(2) 体外照射の治療料は、疾病の種類、部位の違い、部位数、十字火照射・切線照射・回転照射・集光照射・振子照射等同一患部に対する照射方法にかかわらず、1回につき所定点数を算定する。また、2方向以上の照射であっても当該所定点数のみにより算定する。
(3) 1日に複数回の照射を行う場合においては、2回目の照射に限り、ロの所定点数を算定する。ただし、1回目の照射と2回目の照射の間隔が2時間を超える場合に限り、イの所定点数を1日に2回分算定できる。
(4) 「注3」の体外照射用固定器具加算は、頭蓋内腫瘍を除く頭蓋部腫瘍に対して体外照射を行う際に頭頚部を精密に固定する器具を使用した場合に限り、患者1人につき1回に限り算定できる。
M001―2 ガンマナイフによる定位放射線治療
(1) ガンマナイフによる定位放射線治療とは、半球状に配置された多数のコバルト60の微小線源から出るガンマ線を集束させ、病巣部を照射する治療法をいう。
(2) 数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。
(3) 定位型手術枠(フレーム)を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
M001―3 直線加速器による定位放射線治療
(1) 直線加速器による定位放射線治療とは、直線加速器(マイクロトロンを含む。)により極小照射野で線量を集中的に照射する治療法であり、照射中心の固定精度が2mm以内であるものをいう。
(2) 頭頚部腫瘍に対して行った場合にのみ算定し、数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。
(3) 定位型手術枠又はこれと同等の固定精度を持つ固定装置を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
M002 全身照射
全身照射は、1回の骨髄移植について、一連として1回に限り算定できる。
M003 電磁波温熱療法
(1) 「1」の深在性悪性腫瘍に対するものは、頭蓋内又は体腔内に存在する腫瘍であって、腫瘍の大半がおおむね皮下6センチメートル以上の深部に所在するものに対して、高出力の機器(100メガヘルツ以下の低周波数のもの)を用いて電磁波温熱療法を行う場合に算定できる。
(2) 四肢若しくは頚部の悪性腫瘍に対して行う場合又はアプリケータを用いて腔内加温を行う場合は、腫瘍の存在する部位及び使用する機器の如何を問わず、浅在性悪性腫瘍に対する電磁波温熱療法により算定する。
(3) 電磁波温熱療法は、放射線治療と併用しない場合(化学療法と併用する場合又は単独で行う場合)においても算定できる。
(4) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数か月間の一連の治療過程に複数回の電磁波温熱療法を行う場合は、1回のみ所定点数を算定し、その他数回の療法の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(5) 電磁波温熱療法の実施に当たっては、治療部分の温度を測定し、十分な加温を確認する等の必要な措置を講ずる。
(6) 電磁波温熱療法を行うに当たって使用するセンサー等の消耗品の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
M004 密封小線源治療
(1) 密封小線源治療の治療料は疾病の種類、部位の違い、部位数の多寡にかかわらず、一連として所定点数を算定する。
(2) 外部照射
外部照射とは、ラジウム226、コバルト60、セシウム137等のガンマ線又はストロンチウム90等のベーター線による4cm以下の近距離又は直接貼布する療法をいう。
(3) 腔内照射
ア 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、子宮腔、膣腔、口腔、直腸等の腔内にイリジウム192管を挿入し照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。
イ その他の場合とは、子宮腔、膣腔、口腔、直腸等の腔内にラジウム226管、コバルト60管、セシウム137管等を挿入して照射する場合や眼窩内等にストロンチウム容器を挿入して照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。
(4) 組織内照射
ア 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、イリジウム192針を刺入する場合であり、刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、当該所定点数には刺入及び抜去に係る手技料は含まれ、別に算定できない。
イ その他の場合とは、舌その他の口腔癌、皮膚癌、乳癌等の癌組織内にラジウム針、コバルト針、セシウム針等を刺入する場合であり、刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。
(5) 放射性粒子照射
放射性粒子照射とは、組織内に放射性金粒子等の放射性粒子を刺入するものであって、その使用本数等に関係なく一連につき所定点数を算定する。また、この場合「注」により放射性粒子の費用は別に算定できる。なお、刺入に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。
(6) 同一の高線量率イリジウムを使用し、1人又は複数の患者に対して1回又は複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した高線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。
(7) 同一の低線量率イリジウムを使用し、1人の患者に対して複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した低線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。
M005 血液照射
(1) 血液照射は、輸血後移植片対宿主病予防のために輸血用血液に対して放射線照射を行った場合に算定する。
(2) 血液照射料は、血液照射を行った血液量が400ml以下の場合には110点、これ以降400ml又はその端数を増すごとに110点を加えて計算する。なお、血液照射を行った血液のうち、実際に輸血を行った1日当たりの血液量についてのみ算定する。
(3) 放射線を照射した血液製剤を使用した場合は、当該血液照射は別に算定できない。
(4) 血液照射に当たっては、「輸血療法の実施に関する指針」(平成11年6月10日医薬発第715号)その他の関係通知及び関係学会から示されている血液照射についてのガイドラインを遵守するよう努めるものとする。
別添2
歯科診療報酬点数表に関する事項
1 1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。
2 基本診療料には、簡単な診療行為が包括されており、消炎、鎮痛を目的とする理学療法、口腔軟組織の処置、単純な外科後処置、口角びらんの処置は、再診料(かかりつけ歯科再診料を含む。)にも包括されている。
3 特掲診療料には、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。
4 基本診療料に係る施設基準、届出等の取り扱いについては、「基本診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第67号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。
5 特掲診療料に係る施設基準、届出等の取り扱いについては、「特掲診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第68号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。
第1章 基本診療料
第1部 初・再診料
[通則]
1 医科点数表の次に掲げる処置は、歯科診療報酬点数表においては基本診療料に含まれる。
ア 鼻処置
イ 口腔咽頭処置
ウ 喉頭処置
エ ネブライザー
オ 創傷処置
カ 熱傷処置
キ 皮膚科軟膏処置
ク 消炎鎮痛処置
2 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)又は再診料(かかりつけ歯科医再診料を含む。)は1回に限り算定するものであること。
同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様であること。
従って、歯科診療においては、1口腔1初診として取り扱うものとする。
3 歯科診療における診療科は、歯科、小児歯科、矯正歯科及び歯科口腔外科を同一とみなす。
4 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療に属する診療科に係る傷病につき入院中の患者が歯牙口腔の疾患のために歯科において初診若しくは再診を受けた場合、又は歯科診療に係る傷病につき入院中の患者が他の傷病により医科診療に属する診療科において初診若しくは再診を受けた場合等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)又は再診料(かかりつけ歯科医再診料を含む。)を算定することができる。
ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合には、主たる診療科においてのみ初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)又は再診料(かかりつけ歯科医再診料を含む。)を算定する。
5 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、再診料(かかりつけ歯科再診料を含む。)は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合においても、再診料(かかりつけ歯科再診料を含む。)は算定できない。なお、この場合において、再診料以外の検査、治療等の費用の請求については、診療報酬明細書は入院用を用いること。
ただし、歯科疾患以外の疾病で他科に入院中の患者が歯科に外来としてきている場合は再診料(かかりつけ歯科再診料を含む。)を算定できる。
第1節
A000 初診料
(1) 特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について歯科医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った医療機関において初診料を算定する。
(2) 患者が異和を訴え診療を求めた場合において、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合にあっても初診料を算定できる。
(3) 学校検診等、自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始した場合には、初診料は算定できない。ただし、当該治療(初診を除く。)については、医療保険給付対象として診療報酬を算定できること。
(4) (3)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医において治療を開始した場合には、初診料を算定できる。ただし、当該治療が健康診断の結果に基づくものであることが明らかである場合は、この限りでない。
(5) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により傷病の治療を入院外で受けている期間中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、当該保険医療機関において医療保険給付対象となる診療を受けた場合においても、初診料は算定できない。
(6) 現に傷病について診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。
(7) 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は、初診として取り扱う。なお、この場合において、1月の期間の計算は、暦月によるものであり、例えば、2月10日~3月9日、9月15日~10月14日等と計算する。
(8) (7)にかかわらず、欠損補綴を前提とした抜歯で抜歯後印象採得まで1か月以上経過した場合等明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療、又はかかりつけ歯科医初診料を算定した場合等治療計画に基づき継続的に診療を行っている場合の診療は、初診として取り扱わない。
(9) 病院である保険医療機関において歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する診療科の初診患者のうち、別の保険医療機関等(特別な関係を除く。)からの文書による紹介により当該診療科に来院した患者及び救急用の自動車によって搬入された患者(以下、「紹介等患者数」という。)の数等に関する施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出たものについては、初診料としてそれぞれ病院歯科初診料1又は病院歯科初診料2を算定する。
(10) 病院歯科初診料1を算定するのは、紹介等患者数が外来患者の3割以上であるもの又は2割以上であるもののうち、厚生大臣が別に定める手術の件数が年間30件を超えるものとする。
なお、厚生大臣が別に定める手術とは、「基本診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第67号)」の別表第一に掲げる手術である。
(11) 乳幼児加算及び障害者加算
初診料を算定しない場合には、初診時における乳幼児加算又は障害者加算は算定できない。
(12) 障害者加算
「注6」の「著しく歯科診療が困難な障害者」とは、脳性麻痺等で身体の不随運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態、知的発達障害により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態、重症の喘息患者で頻繁に治療の中断が必要な状態又はこれらに準ずる状態にある者をいう。なお、障害者加算を算定した場合には患者の状態を診療録に記載し、専門的技法を用いた場合は、その名称を併せて診療録に記載する。
(13) 初診時歯科診療導入加算
「歯科治療環境に円滑に適応できるような技法」とは、歯科診療の開始にあたり、患者が歯科治療の環境に円滑に適応できるための方法として、Tell―Show―Do法などの系統的脱感作法並びにそれに準拠した方法、オペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等の患者の行動を調整する専門的技法をいう。
(14) 障害者加算を算定した者が、6歳未満の乳幼児である場合は、乳幼児加算も併せて算定する。
(15) 「注7」から「注9」の医科と共通の項目については、別添1医科診療報酬点数表の第1章第1部初・再診料「A000」初診料と同様の取扱いであること。
A001 かかりつけ歯科医初診料
(1) かかりつけ歯科医初診料は、地域の歯科医療担当者として、歯科治療の開始に当たり、患者への治療計画等の情報提供を踏まえた継続的な歯科医学的管理を行うかかりつけ歯科医を評価するものであり、算定に当たっては、患者又はその家族等(以下、患者とする。)に対して当該初診料の趣旨を十分説明し、その同意を得るものとする。
(2) かかりつけ歯科医初診料を算定する場合は、治療開始にあたり、患者の同意を得た上で、治療計画の立案に際し必要に応じ検査、画像診断を実施し、治療計画等を患者へ効果的に説明するとともに、必要に応じて保健福祉サービスに関する情報を患者に積極的に提供する。
(3) かかりつけ歯科医初診料を算定した初診日に急性炎症等でスタディモデル又は口腔内写真検査等、治療計画の立案に必要な検査が行えない場合にあっては、初回又は2回目の再診日までに必要な検査を行い、治療計画を立て、患者に対して文書を提供した上で説明を行ったときに限り算定する。
(4) かかりつけ歯科医初診料を算定できる保険医療機関は、区分「M000―2」に掲げる補綴物維持管理料の「注1」に規定する届出を行った保険医療機関であること等「基本診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第67号)」の第三の五に定める基準を満たしているものであること。
(5) かかりつけ歯科医初診料は、同一の期間中においては患者1人に対して2以上の保険医療機関は算定できない。なお、保険医療機関は、かかりつけ歯科医初診料を算定した場合は、被保険者証の療養給付欄にその旨の記載を行うものとする。
(6) かかりつけ歯科医初診料を算定している患者が、別の保険医療機関において休日等に救急的に治療を受けた場合には、当該保険医療機関はかかりつけ歯科医初診料ではなく、歯科初診料を算定する。
(7) 「注1」の「文書」とは、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(平成12年3月17日保険発第29号)」の別紙様式1又はこれに準ずる様式に、病名、病状、治療内容、概ねの治療回数又は期間、保険医療機関名、担当保険医氏名、保険給付外の有無等の内容を記載したものをいう。
(8) 「注1」の説明に用いた「スタディモデル」については、区分「D003」スタディモデルに準じて、検査結果を診療録に記載する。なお、当該「スタディモデル」の保存期間は、「注2」に規定する期間((10)参照)を経過する日までとする。
(9) かかりつけ歯科医初診料を算定した場合にあっては、治療計画の内容等を記載した文書の写しを診療録に添付する。
(10) かかりつけ歯科医初診料を算定した場合にあっては、治療計画期間及び治療計画に基づく一連の治療が終了した日を含む月の翌月から起算して2か月以内は再診として取扱い、初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)を算定せず、かかりつけ歯科医再診料を算定する。
(11) かかりつけ歯科医初診料を算定した患者であって、治療計画に基づく一連の治療が終了した日を含む月の翌月から起算して2か月を超えた場合に、当該患者に再度のかかりつけ歯科医初診料を算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄に当該患者の前回治療終了年月を記載する。
(12) その他初診料と共通の項目については、区分「A000」初診料と同様であること。
A002 再診料
(1) 再診料は、再診の都度(同一日において2以上の再診があってもその都度)算定できる。
ただし、2以上の傷病について同時に再診を行った場合の再診料は、当該一日につき1回に限り算定する。
(2) A傷病について診療継続中の患者が、B傷病に罹り、B傷病について初診があった場合、当該初診については、初診料は算定できないが、再診料を算定できる。
(3) 歯冠修復物又は欠損補綴において一連の行為のために同一日に2以上の再診を行った場合は再診料(かかりつけ歯科再診料も含む。)は1回の算定である。
(4) 電話等による再診
ア 当該保険医療機関で初診を受けた患者について、第2診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話、テレビ画像等による場合を含む。ただし、ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)に、治療上の意見を求められた場合に、必要な指示をしたときには、再診料を算定できる。
イ 患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、乳幼児加算又は障害者加算は算定できる。
ウ 時間外加算を算定すべき時間、休日又は深夜に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定する。
(5) その他初診料と共通の項目については、区分「A000」初診料と同様であり、医科と共通の項目については、別添1医科診療報酬点数表第1章第1部初・再診料の区分「A001」再診料と同様の取扱いであること。
A003 かかりつけ歯科医再診料
(1) かかりつけ歯科医再診料は、かかりつけ歯科医初診料を算定した患者について、当該患者の治療計画に基づく期間中及び当該治療計画に記載された一連の治療が終了した日を含む月の翌月から起算して2か月の間に限り算定する。
(2) 患者の治療計画期間中において、急性症状又はその他の事由によって止むを得ず治療計画を変更する場合にあっては、患者に説明の上、新たな治療計画の内容について文書を提供するとともに、その旨を診療録に記載し、患者に提供した治療計画書の写しを診療録に添付する。なお、この場合の治療計画書は区分「A001」かかりつけ歯科医初診料の「注1」の文書と同様とする。
(3) 治療計画を治療期間中に止むをえず変更した場合において、治療計画の見直し及び当該患者に説明を行う費用はかかりつけ歯科医再診料に含まれ、別に算定できない。
(4) その他初診料と共通の項目については、区分「A000」初診料と同様であり、医科と共通の項目については、別添1医科診療報酬点数表第1章第1部初・再診料の「A001」再診料と同様の取扱いであること。また、歯科の再診料と共通の項目については、区分「A002」再診料と同様の取扱いであること。
第2部 入院料等
第1節 入院基本料
医科と共通の項目(結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料及び障害者施設等入院基本料は除く。)について、別添1医科診療報酬点数表第1章第2部第1節「入院基本料」の取扱いと同様であること。
第2節 入院基本料加算
医科と共通の項目(在宅患者応急入院診療加算、新生児介補加算・乳幼児介補加算のうち新生児介補加算、難病等特別入院診療加算、特殊疾患入院施設管理加算、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算、重症皮膚潰瘍管理加算、精神科措置入院診療加算、精神科応急入院施設管理加算、精神科隔離室管理加算、精神病棟入院時医学管理加算を除く。)について、別添1医科診療報酬点数表第1章第2部第2節「入院基本料加算」の取扱いと同様であること。
ただし、入院時医学管理加算については、次の取扱いとする。
ア 歯科医業についての診療科名のみを標榜する病院にあっては、許可病床数が100床未満であることから、常勤の歯科医師の員数が9以上であること。
イ 医科歯科併設の病院にあって医科について算定できる場合にあっては、歯科疾患について入院する患者についても同様とする。
第3節 特定入院料
(1) 特定集中治療室管理料
別添1医科診療報酬点数表第1章第2部第3節特定入院料の「A301」特定集中治療室管理料と同様の取扱いであること。
第4節 短期滞在手術基本料
A400 短期滞在手術基本料
(1) 短期滞在手術基本料は、短期滞在手術に係る区分「J055」顎下腺摘出術及び区分「J056」顎下腺腫瘍摘出術を実施した場合に限り算定できる。
(2) 短期滞在手術基本料は、短期滞在手術(日帰り手術及び1泊2日入院による手術)を行うための環境及び当該手術を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断、麻酔管理を包括的に評価したものであり、次に定める要件を満たしている場合に限り算定できる。
ア 手術室を使用していること。
イ 術前に十分な説明を行った上で、患者の同意を得ること。
ウ 退院翌日に患者の状態を確認する等、十分なフォローアップを行うこと。
エ 退院後概ね3日間、患者が1時間以内で当該医療機関に来院可能な距離にいること。
(3) 短期滞在手術を行うことを目的として本基本料に包括されている検査及び当該検査項目等に係る判断料並びに画像診断項目を実施した場合の費用は本基本料に含まれ、別に算定できない。
ただし、当該手術の実施とは別の目的で当該検査又は画像診断項目を実施した場合にはこの限りでない。この場合において、その旨を診療報酬明細書の摘要に記載すること。
(4) 短期滞在手術基本料を算定している月においては、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料又は免疫学的検査判断料は算定できない。
(5) 短期滞在手術基本料を算定した同一月に心電図検査を算定した場合には、算定の期日にかかわらず、所定点数の100分の90の点数で算定する。
(6) 短期滞在手術基本料を算定する際使用したフィルムの費用は、区分番号「E400」に掲げるフィルムの所定点数により算定する。
(7) 同一の部位につき短期滞在手術基本料に含まれる写真診断及び撮影と同時に2枚以上のフィルムを使用して同一の方法により撮影を行った場合における第2枚目から第5枚目までの写真診断及び撮影の費用は、それぞれの所定点数の100分の50に相当する点数で別に算定できるものとする。なお、第6枚目以後の写真診断及び撮影の費用については算定できない。
(8) 短期滞在手術基本料1の届出を行った保険医療機関が、短期滞在手術基本料の対象となる手術を行った場合であって入院基本料を算定する場合には、短期滞在手術基本料を算定しない詳細な理由を診療報酬明細書に記載すること。
第2章 特掲診療料
第1部 指導管理等
B000 歯科口腔衛生指導料
(1) 16歳未満で歯周疾患に罹患している患者又はその家族に対して、療養上必要な指導を行った場合には、歯周疾患指導管理料を算定せず、歯科口腔衛生指導料を算定する。
(2) 歯科口腔衛生指導料は、1口腔につき月1回に限り算定できる。
(3) 指導内容の要点を診療録に記載する。
(4) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科口腔衛生指導料は算定できない。
B000―2 継続的歯科口腔衛生指導料
(1) 齲蝕多発傾向者とは、継続的な指導管理が必要な者であって、齲蝕多発傾向者の判定基準の左欄の年齢に応じて右欄の歯冠修復終了歯を有するものをいう。
(齲蝕多発傾向者の判定基準)