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(1) 2日目以降は、「区分J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 手術と同一日に行った持続的胸腔ドレナージ又は持続的腹腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

(3) 胸腔内出血排除術(非開胸的)は、持続的胸腔ドレナージに準じて算定する。

J020 胃持続ドレナージ

2日目以降は、「区分J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

J021 持続的腹腔ドレナージ

2日目以降は、「区分J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

J022 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸

(1) 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸又は摘便を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数により算定する。

(2) 腰椎麻酔下で行った直腸内の異物除去については、高位浣腸、高圧浣腸、洗腸に準じて算定する。

J024 酸素吸入

(1) 間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法又は気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同一日に行った酸素吸入又は酸素テントの費用は、それぞれの所定点数に含まれており、別に算定できない。

(2) 酸素吸入のほか酸素又は窒素を使用した診療に係る酸素又は窒素の購入価格は、「酸素及び窒素の購入価格」(平成2年3月厚生省告示第41号)の定めるところによる。

(3) 酸素の購入価格は、液化酸素、ボンベ等の酸素の形態にかかわらず次の算式により、保険医療機関ごとに算出するものとし、4月1日から3月31日までの1年間の診療については、この酸素の購入価格によって請求するものとする。

酸素の購入価格(単価 円)=酸素の購入単価(単位 銭)×(当該患者に使用した酸素の容積(単位 リットル)×補正率)

酸素の購入単価(単位 銭)=(当該年度の前年の1月から12月までの間に当該保険医療機関が購入した酸素の対価/当該購入した酸素の容積(単位リットル。35℃1気圧で換算))

なお、酸素の購入時期と請求時期との関係を以下に明示する。

●の診療に係る請求

(③、④及び⑤の購入実績により算出した酸素の購入単価による。)

▲の診療に係る請求

①及び②の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

(4) (3)の算式の場合において、「当該患者に使用した酸素の容積」とは、患者に使用する際の状態の温度及び気圧において測定された酸素の容積をいうものであり、一定の温度又は気圧に換算する必要はない。

また、補正率1.3は、購入時と使用時の気体の状態の違いに由来する容積差等を勘案の上設定したものである。

(5) 新規に保険医療機関の指定を受けた場合等であって、当該診療に係る年度の前年の1月から12月までの1年間において酸素の購入実績がない場合にあっては、次に定めるところによって酸素の購入単価を算出するものとする。

ア 当該診療月前に酸素を購入した月がある場合にあっては、そのうち直近の1月間に購入した酸素(保険医療機関の指定を受けた日前に購入したものを含む。)の対価を当該購入した酸素の摂氏35度、1気圧における容積(単位 リットル)で除して得た額の1銭未満の端数を四捨五入した額を酸素の購入単価とする。

●の診療に係る請求

(③及び④(これらがない場合には①及び②)の購入実績により算出した酸素の購入単価による。)

▲の診療に係る請求

⑤の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

イ 当該診療月前に酸素を購入した月がない場合にあっては、当該診療を行った日前に購入した酸素(保険医療機関の指定を受けた日前に購入したものを含む。)の対価を当該購入した酸素の摂氏35度、1気圧における容積(単位 リットル)で除して得た額の1銭未満の端数を四捨五入した額を酸素の購入単価とする。

●の診療に係る請求

(①及び②の購入実績により算出した酸素の購入単価による。)

▲の診療に係る請求

アによって、①、②及び③の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

(6) (3)並びに(5)のア及びイの関係は、平成6年7月に保険医療機関の指定を受けた医療機関を例にとると、同年7月10日に初めて購入した酸素を使用して7月20日に診療を行った場合の請求は(5)のイにより同月10日の購入実績により算出した酸素の購入単価により、同年8月15日に診療を行った場合の請求は(5)のアにより同年7月中の購入実績により算出した酸素の購入単価により、平成7年2月中の診療に係る請求は同じく(5)のアにより同年1月中の購入実績(同月及び平成6年12月に購入実績がない場合は同年11月の購入実績とする。)により算出した酸素の購入により、平成7年4月1日以降の診療に係る請求は(3)により平成6年7月10日から同年12月31日までの購入実績により算出した酸素の購入単価による。

(7) 保険医療機関は、毎年7月1日現在の診療に係る費用の請求に当たって用いる酸素の購入単価並びにその算出の基礎となった前年の1月から12月までの間に当該保険医療機関が購入した酸素の対価及び当該購入した酸素の容積を都道府県知事の定めるところにより届け出るものとする。ただし、(5)のア又はイの方法によって酸素の購入単価を算出している場合にあっては、この限りでない。

(8) 窒素の購入価格は、液化窒素、ボンベ等の窒素の形態にかかわらず、窒素の購入単価に当該患者に使用した窒素の容積を乗じた値とする。なお、窒素の購入単価は1リットル当たり0.12円である。

(9) 酸素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置、高気圧酸素治療装置等を利用して、人工呼吸、酸素吸入、高気圧酸素治療等を行った場合、動力源として消費される酸素の費用は算定できない。また、動力源として消費される窒素の費用も算定できない。

(10) 区分「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る器具加算のみを算定している者を含む。)に対して、区分「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて行った酸素吸入、酸素テント又は間歇的陽圧吸入法の費用は算定できない。

(11) 突発性難聴に対する酸素療法は、酸素吸入により算定する。

(12) 酸素と窒素を用いて空気と類似した組成の気体を作成し酸素吸入等に用いた場合、酸素及び窒素の費用は算定できない。

J025 酸素テント

使用したソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれる。

J026 間歇的陽圧吸入法

(1) 体外式陰圧人工呼吸器治療は、間歇的陽圧吸入法に準じて算定する。

(2) 区分「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る器具加算のみを算定している者を含む。)に対して、区分「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて行った体外式陰圧人工呼吸器治療の費用は算定できない。

J027 高気圧酸素治療

(1) 「1」は次の疾患に対して、発症後1週間以内に行う場合に、1日につき所定点数を算定する。

ア 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)

イ ガス壊疽

ウ 空気塞栓又は減圧症

エ 急性末梢血管障害

a 重症の熱傷又は凍傷

b 広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害

オ ショック

カ 急性心筋梗塞その他の急性冠不全

キ 脳塞栓、重症頭部外傷若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫

ク 重症の低酸素性脳機能障害

ケ 腸閉塞

コ 網膜動脈閉塞症

サ 突発性難聴

シ 重症の急性脊髄傷害

(2) 「2」は次の疾患又は「1」の適応疾患であって発症後の期間が1週間を超えたものに行う場合に、1日につき所定点数を算定する。

ア 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍

イ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害

ウ 皮膚移植

エ スモン

オ 脳血管障害、重症頭部外傷又は開頭術後の運動麻痺

カ 一酸化炭素中毒後遺症

キ 脊髄神経疾患

ク 骨髄炎又は放射線壊死

(3) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものについては、1日につき区分「J024」酸素吸入により算定する。

(4) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの事項を十分参考とすべきものである。

J028 インキュベーター

(1) インキュベーターを行うに当たって使用した滅菌精製水の費用は、所定点数に含まれる。

(2) 1日につき所定点数により算定する。

J029 鉄の肺

1日につき所定点数により算定する。

J034 ミラー・アボット管(イレウス管)挿入法

2日目以降は、ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

J038 人工腎臓

(1) 人工腎臓には、血液透析のほか血液濾過、血液透析濾過が含まれる。

(2) 入院中の患者に人工腎臓を行った場合又は特掲診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第68号)の第11に規定する場合(入院中の患者以外の患者に血液濾過を行った場合又はその他厚生大臣が特に認める場合)に該当する場合においては、「2」により算定する。なお、「その他厚生大臣が特に認める場合」とは、入院中の患者以外の患者であって下記の場合である。

ア 血液透析濾過を行った場合

イ 生命に危険を及ぼす程度の重篤な出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血)を有する患者に対して血液透析を行った場合

ウ 重大な視力障害に至る可能性が著しく高い、進行性眼底出血を有する患者に血液透析を行った場合

(3) (2)の場合(入院中の患者の場合を除く。)に該当し、「2」により算定する場合にあっては、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 人工腎臓の時間は、シャントから動脈血を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れるときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとする。したがって、人工腎臓実施前後の準備、整理等に要する時間は除かれる。

なお、「注1」の夜間人工腎臓加算の開始時間の取扱いも同様である。

(5) 1月に15回以上人工腎臓を実施した場合は、15回目以降の人工腎臓は算定できない。ただし、薬剤料(透析液、血液凝固阻止剤及び生理食塩水を含む。)又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

(6) 区分「C102」に掲げる在宅自己腹膜潅流指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、人工腎臓又は腹膜潅流は別に算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

(7) 人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症若しくは透析困難症の患者又は緑内障、心包炎若しくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は、「2」により算定する。

(8) 人工腎臓における血液透析濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症又は透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は「2」により算定する。

(9) 「注1」の加算については、人工腎臓を緊急のため午後5時以降に開始したため又は緊急のため休日に行ったため、「通則5」による時間外加算又は休日加算が算定できる場合にあっては、併せて算定できない。

(10) 休日加算の対象となる休日とは、初診料における休日加算の対象となる休日と同じ取扱いである。ただし、日曜日である休日(日曜日である12月29日から1月3日までの日を除く。)は、休日加算の対象としない。

(11) 休日の午後5時以降に開始した場合又は午後9時以降に終了した場合にあっては、「注1」の加算を1回のみ算定できる。

(12) 「注2」の加算については、人工腎臓実施中における食事の提供は治療の一環として行われるものであり、この趣旨から「入院時食事療養の基準等」(平成6年8月厚生省告示第238号)の第3号に示された腎臓食が提供される必要がある。

なお、食事の提供に当たっては、概ね入院時食事療養(Ⅰ)の基準に準じるものとし、関係帳簿を整備する。

(13) 「注3」の加算については、「人工腎臓における導入期」とは継続して血液透析を実施する必要があると判断された場合の血液透析の開始日より1月間をいい、これに該当する場合、1回につき300点を1月間に限り算定する。

(14) 「注4」の加算については、「著しく人工腎臓が困難な障害者等」とは下記に掲げる者をいう。

ア 障害者基本法にいう障害者(腎不全以外には身体障害者手帳を交付される程度の障害を有さない者であって、腎不全により身体障害者手帳を交付されているものを除く。)

イ 精神保健福祉法の規定によって医療を受ける者

ウ 「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患している者として都道府県知事から医療受給者証の発行を受けている患者であって介護を要するもの

エ インスリン注射を行っている糖尿病の患者

オ 運動麻痺を伴う脳血管疾患患者

カ 痴呆患者

キ 常時低血圧症(収縮期血圧が90mmHg以下)の者

ク 透析アミロイド症で手根管症候群や運動機能障害を呈する者

ケ 出血性消化器病変を有する者

コ 骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症の患者

サ 重症感染症に合併しているために入院中の患者

シ 末期癌に合併しているために入院中の患者

ス 入院中の患者であって腹水・胸水が貯留しているもの

(15) 区分「C102」在宅自己腹膜潅流指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて行った人工腎臓、腹膜潅流の費用は算定できない。

(16) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。

ア 「1」の場合には、透析液(潅流液)、血液凝固阻止剤及び生理食塩水の費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるものが含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。

イ 「1」により算定する場合においても、透析液(潅流液)、血液凝固阻止剤及び生理食塩水の使用について適切に行うこと。

ウ 人工腎臓潅流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。また、必要があって脱イオン(純水製造装置による)を行わなければ使用できない場合であっても同様である。

エ 人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素及びエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルター及び軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

オ 人工血管内の血栓の除去の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

カ 緊急時ブラッドアクセス留置用カテーテルを設置するための手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。なお、本カテーテルは1週間に1本を限度とする。

キ 人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(17) 持続緩徐式血液濾過術は区分「J038」人工腎臓の「2」の「イ」並びに「注」の「1」、「2」及び「4」に準じて算定できる。この場合において使用した特定保険医療材料については、持続緩徐式血液濾過器として算定する。

(18) 持続緩徐式血液濾過術は、腎不全のほか、重症急性膵炎、劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む。)の患者に対しても算定できる。ただし、重症急性膵炎の患者に対しては一連につきおおむね8回を限度とし、劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む)の患者に対しては一連につき月10回を限度として3月間に限って算定する。

(19) 人工腎臓、腹膜潅流又は持続緩徐式血液濾過術を同一日に実施した場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(20) 「2」の場合であって、人工腎臓を夜間に開始し、午前0時以降に終了した場合においても、「1」に準じて1日として算定する。

J039 血漿交換療法

(1) 血漿交換療法は、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、劇症肝炎、薬物中毒、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血栓性血小板減少性紫斑病、重度血液型不適合妊娠、術後肝不全、急性肝不全、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、ギラン・バレー症候群、天疱瘡、類天疱瘡、巣状糸球体硬化症、溶血性尿毒症症候群、家族性高コレステロール血症若しくは閉塞性動脈硬化症の患者又はABO血液型不適合間若しくは坑リンパ球抗体陽性の同種腎移植の患者に対して、遠心分離法等により血漿と血漿以外とを分離し、二重濾過法、血漿吸着法等により有害物質等を除去する療法(血漿浄化法)を行った場合に算定できるものであり、必ずしも血漿補充を要しない。

(2) 当該療法の対象となる多発性骨髄腫、マクログロブリン血症の実施回数は、一連につき週1回を限度として3月間に限って算定する。

(3) 当該療法の対象となる劇症肝炎については、ビリルビン及び胆汁酸の除去を目的に行われる場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき概ね10回を限度として算定する。

(4) 当該療法の対象となる薬物中毒の実施回数は、一連につき概ね8回を限度として算定する。

(5) 当該療法の対象となる重症筋無力症については、発病後5年以内で重篤な症状悪化傾向のある場合、又は胸腺摘出術や副腎皮質ホルモン剤に対して十分奏効しない場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。

(6) 当該療法の対象となる悪性関節リウマチについては、都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者であって、血管炎により高度の関節外症状(難治性下腿潰瘍、多発性神経炎及び腸間膜動脈血栓症による下血等)を呈し、従来の治療法では効果の得られない者に限り、当該療法の実施回数は、週1回を限度として算定する。

(7) 当該療法の対象となる全身性エリテマトーデスについては、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、月4回を限度として算定する。なお、測定した血清補体価、補体蛋白の値又は坑DNA抗体の値を診療録に記載する。

ア 都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者

イ 血清補体価(CH50)の値が20単位以下、補体蛋白(C3)の値が40mg/dl以下及び坑DNA抗体の値が著しく高く、ステロイド療法が無効又は臨床的に不適当な者

ウ 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)又は中枢神経性ループス(CNSループス)と診断された者

(8) 当該療法の対象となる血栓性血小板減少性紫斑病の実施回数は、一連につき週3回を限度として、3月間に限って算定する。

(9) 当該療法の対象となる重度血液型不適合妊娠とは、Rh式血液型不適合妊娠による胎内胎児仮死又は新生児黄疸の既往があり、かつ、間接クームス試験が妊娠20週未満にあっては64倍以上、妊娠20週以上にあっては128倍以上であるものをいう。

(10) 当該療法の対象となる術後肝不全については、手術後に発症した肝障害(外科的閉塞性機序によるものを除く)のうち次のいずれにも該当する場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。

ア 総ビリルビン値が5mg/dl以上で、かつ、持続的に上昇を認める場合

イ ヘパプラスチンテスト(HPT)40%以下又はComa GradeⅡ以上の条件のうち2項目以上を有する場合

(11) 当該療法の対象となる急性肝不全については、プロトロンビン時間、昏睡の程度、総ビリルビン及びヘパプラスチンテスト等の所見から劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈するものと判断できる場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。

(12) 当該療法の対象となる多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。

(13) 当該療法の対象となるギラン・バレー症候群については、Hughesの重症度分類で4度以上の場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として、3月間に限って算定する。

(14) 当該療法の対象となる天疱瘡、類天疱瘡については、診察及び検査の結果、診断の確定したもののうち他の治療法で難治性のもの又は合併症や副作用でステロイドの大量投与ができないものに限り、当該療法の実施回数は、一連につき週2回を限度として、3月間に限って算定する。ただし、3月間治療を行った後であっても重症度が中等度以上(厚生省特定疾患調査研究班の天疱瘡スコア)の天疱瘡の患者については、さらに3月間に限って算定する。

(15) 当該療法の対象となる巣状糸球体硬化症は、従来の薬物療法では効果が得られず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が250mg/dl以下に下がらない場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って12回を限度として算定する。

(16) 当該療法の対象となる家族性高コレステロール血症については、次の何れかに該当する者のうち、黄色腫を伴い、負荷心電図及び血管撮影により冠状動脈硬化が明らかな場合であり、維持療法としての当該療法の実施回数は週1回を限度として算定する。

ア 空腹時定常状態の血清総コレステロール値が500mg/dlを超えるホモ接合体の者

イ 血清コレステロール値が食事療法下の定常状態(体重や血漿アルブミンを維持できる状態)において400mg/dlを超えるヘテロ接合体で薬物療法を行っても血清コレステロール値が250mg/dl以下に下がらない者

(17) 当該療法の対象となる閉塞性動脈硬化症については、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って10回を限度として算定する。

ア フォンテイン分類Ⅱ度以上の症状を呈する者

イ 薬物療法で血中総コレステロール値220mg/dl又は、LDLコレステロール値140mg/dl以下に下がらない高コレステロール血症の者

ウ 膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者

(18) 当該療法の対象となる同種腎移植は二重濾過法により、ABO血液型不適合間の同種腎移植を実施する場合又はリンパ球抗体陽性の同種腎移植を実施する場合に限り、当該療法の実施回数は一連につき術前は4回を限度とし、術後は2回を限度として算定する。

(19) 血漿交換療法を行う回数は、個々の症例に応じて臨床症状の改善状況、諸検査の結果の評価等を勘案した妥当適切な範囲であること。

(20) なお、本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。

J040 局所潅流

開始日の翌日以降に行ったものについては、区分「J001」術後創傷処置に準じて算定する。

J041 吸着式血液浄化法

(1) 吸着式血液浄化法は、肝性昏睡又は薬物中毒の患者に限り算定できる。

(2) エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法は、次のアからウのいずれにも該当する患者に対して行った場合に、「J041」吸着式浄化法に準じて算定する。

ア エンドトキシン血症であるもの又はグラム陰性菌感染症が疑われるもの

イ 次の(ア)~(エ)のうち2項目以上を同時に満たすもの

(ア) 体温が38度以上又は36度未満

(イ) 心拍数が90回/分以上

(ウ) 呼吸数が20回/分以上又はPaCo2が32mmHg未満

(エ) 白血球数が12,000/mm3以上若しくは4,000/mm3未満又は桿状核好中球が10%以上

ウ 昇圧剤を必要とする敗血症性ショックであるもの(肝障害が重症化したもの(総ビリルビン10mg/dl以上かつヘパプラスチンテスト40%以下であるもの)を除く。)

J041-2 血球成分除去療法

(1) 血球成分除去療法は、潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対して、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り、1患者につき2クールを限度として算定できる。

(2) 当該療法の実施回数は、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定する。ただし、劇症患者については、第1週目に限り週2回を限度として算定できる。

(3) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。

J042 腹膜潅流

(1) 「注1」による加算は、連続携行式腹膜潅流開始に伴う当初の当該カテーテル装着に対して算定できる。また、当該療法開始後一定期間を経て、カテーテル閉塞等の理由により再度装着した場合においても算定できる。

(2) 腹膜潅流における導入期とは、継続して連続携行式腹膜潅流を実施する必要があると判断され、当該処置の開始日より14日間をいうものであり、再開の場合には算定できない。

(3) 在宅自己腹膜潅流指導管理料を算定する患者(入院中の患者を除く。)については、腹膜潅流又は人工腎臓は別に算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

J043 新生児高ビリルビン血症に対する光線療法

疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。

J043-2 瀉血療法

瀉血療法は、真性多血症又は続発性多血症に対して行った場合に算定する。

J043-3 ストーマ処置

(1) ストーマ処置は、消化器ストーマ又は尿路ストーマに対して行った場合に算定する。

(2) ストーマ処置には、装具の交換の費用は含まれるが、装具の費用は含まない。

(救急処置)

J044 救命のための気管内挿管

(1) 救命のための気管内挿管は、救命救急処置として特に設けられたものであり、検査若しくは麻酔のため挿管する場合又は既に挿管している気管内チューブを交換する場合は算定できない。

(2) 救命のための気管内挿管に併せて、人工呼吸を行った場合は、区分「J045」人工呼吸の所定点数を合わせて算定できる。

(3) 救急処置として体表面ペーシング法又は食道ペーシング法を行った場合は、救命のための気管内挿管に準じて算定する。算定は1日に1回を限度とする。

J045 人工呼吸

(1) 人工呼吸と酸素吸入を併せて行った場合に使用した酸素及び窒素の費用については、区分「J024」に掲げる酸素吸入の「注3」により算定した点数を加算する。

(2) 胸部手術後肺水腫を併発し、応急処置として閉鎖循環式麻酔器による無水アルコールの吸入療法を行った場合は、人工呼吸の所定点数により算定し、これに要した無水アルコールの費用については区分「J200」薬剤により算定する。

(3) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸及びマイクロアダプター(人工蘇生器)を使用して、酸素吸入を施行した場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。また、ガス中毒患者に対して、閉鎖循環式麻酔器を使用し、気管内挿管下に酸素吸入を行った場合も同様とする。なお、この場合、酸素吸入の費用は人工呼吸の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 気管内挿管下に閉鎖循環式麻酔器による酸素加圧により、肺切除術後の膨張不全に対して肺膨張を図った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。

(5) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸を手術直後に引き続いて行う場合には、区分「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の所定点数に含まれ、別に算定できない。また、半閉鎖式循環麻酔器による人工呼吸についても、閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸と同様の取扱いとする。

(6) 肺気腫に対するレスピラトール(ホセイニン)使用は、人工呼吸に準じて算定する。

(7) 新生児の呼吸障害に対する補助呼吸装置による持続陽圧呼吸法(CPAP)及び間歇的強制呼吸法(IMV)を行った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。

(8) 鼻マスク式人工呼吸器を用いた場合は、PaO2/FIO2が300mmHg以下又はPaCO2が45mmHg以上の急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定する。

J047 カウンターショック

(1) カウンターショックに伴う皮膚の創傷に対する処置に要する費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 心臓手術に伴うカウンターショックは、それぞれの心臓手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) カウンターショックと開胸的心マッサージを併せて行った場合は、カウンターショックの所定点数と区分「K551」開胸心臓マッサージの所定点数をそれぞれ算定する。

J050 気管内洗浄

(1) 気管から区域細気管支にわたる範囲で異物又は分泌物による閉塞(吐物の逆流、誤嚥、気管支喘息重積状態又は無気肺)のために急性呼吸不全をおこした患者に対し、気管内挿管下(気管切開下を含む。)に洗浄した場合に1日につき所定点数を算定する。

(2) 新たに気管内挿管を行った場合には、区分「J044」救命のための気管内挿管の所定点数を合わせて算定できる。

(3) 気管支ファイバースコピーを使用した場合は、区分「D302」気管支ファイバースコピーの所定点数のみを算定する。

J052-2 熱傷温浴療法

(1) 熱傷温浴療法は、体表面積の30%以上の広範囲熱傷に対する全身温浴として、受傷後60日以内に行われたものについて算定する。

(2) 受傷日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(皮膚科処置)

J054 皮膚科光線療法

(1) 赤外線療法は、ソラックス灯等の赤外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(2) 紫外線療法は、フィンゼン灯、クロマイエル水銀石英灯等の紫外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(3) 赤外線又は紫外線療法(長波紫外線療法及び中波紫外線療法を除く。)は、5分以上行った場合に算定する。

(4) 長波紫外線又は中波紫外線療法は、長波紫外線(概ね315~400ナノメートル)又は中波紫外線(概ね290~315ナノメートル)を選択的に出力できる機器によって長波紫外線又は中波紫外線療法を行った場合に算定できるものであり、いわゆる人工太陽等の長波紫外線及び中波紫外線を非選択的に照射する機器によって光線療法を行った場合は、赤外線又は紫外線療法の所定点数によって算定する。

(5) 長波紫外線又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹又は尋常的白斑に対して行った場合に限って算定する。

(6) 赤外線療法、紫外線療法、長波紫外線療法又は中波紫外線療法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。また、同じものを同一日に複数回行った場合でも、1日につき所定点数のみにより算定する。

(7) 皮膚科光線療法は、同一日において消炎鎮痛処置とは併せて算定できない。

J054-2 皮膚レーザー照射療法

(1) 皮膚レーザー照射療法は、単なる美容を目的とした場合は算定できない。

(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね3月間にわたり行われるものをいう。例えば、対象病変部位の一部ずつに照射する場合や、全体に照射することを数回繰り返して一連の治療とする場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(3) 皮膚レーザー照射療法を開始した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、前回の一連の治療の開始日を記載する。

(4) 「1」の色素レーザー照射療法は、単純性血管腫、苺状血管腫又は毛細血管拡張症に対して行った場合に算定できる。

(5) 「2」のQスイッチ付レーザー照射療法は、Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法、ルビーレーザー照射療法、Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法をいう。

(6) Qスイッチ付レーザー照射療法は、頭頚部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部又は背部のそれぞれの部位ごとに所定点数を算定する。また、各部位において、病変部位が重複しない複数の疾患に対して行った場合は、それぞれ算定できる。

(7) Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法及びルビーレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑等に対して行った場合に算定できる。なお、一連の治療が終了した後に再発した症例に対して当該療法を行う場合には、同一部位に対しては初回治療を含め2回を限度として算定する。

(8) Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症等に対して行った場合に算定できる。

J055 いぼ焼灼法

臍肉芽腫切除術を行った場合は、いぼ焼灼法の「1」に準じて算定する。

J056 軟属腫摘除

伝染性軟属腫の内容除去は、その範囲にかかわらず、軟属腫摘除として算定する。

J057-2 面皰圧出法

面皰圧出法は、顔面、前胸部、上背部等に多発した面皰に対して行った場合に算定する。

J057-3 鶏眼・胼胝処置

(1) 鶏眼・胼胝処置は、同一部位の一連の治療について、その範囲にかかわらず1回のみ算定する。

(2) 鶏眼・胼胝に対して、麻酔を使用し、切除後縫合を行う場合は、区分「K005」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)又は区分「K006」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)により算定する。なお、露出部とは区分「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(泌尿器科処置)

J058 膀胱洗浄

(1) カテーテル留置中に膀胱洗浄及び薬液膀胱内注入を行った場合は、1日につき、膀胱洗浄により算定する。

(2) 膀胱洗浄、留置カテーテル設置又は導尿を同一日に行った場合には、主たるものの所定点数により算定する。

(3) 後部尿道洗浄(ウルツマン)は、膀胱洗浄に準じて算定する。

(4) 区分「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて行った膀胱洗浄、留置カテーテル設置又は導尿の費用は算定できない。

J061 腎盂洗浄

(1) 腎盂洗浄は片側ごとに所定点数をそれぞれ算定する。

(2) 尿管カテーテル挿入を行った場合は、所定点数に区分「D318」尿管カテーテル法の所定点数を合わせて算定できる。

J063 留置カテーテル設置

長期間にわたり、バルーンカテーテルを留置するための挿入手技料は、留置カテーテル設置により算定する。この場合、必要があってカテーテルを交換したときの挿入手技料も留置カテーテル設置により算定する。

J065 間歇的導尿

間歇的導尿は脊椎損傷の急性期の尿閉、骨盤内の手術後の尿閉の患者に対し、排尿障害の回復の見込みのある場合に行うもので、3月間を限度として算定する。

J068 嵌頓包茎整復法

小児仮性包茎における包皮亀頭癒着に対する用手法等による剥離術は、嵌頓包茎整復法に準じて算定する。

J070 前立腺冷温榻

(1) 冷却痔処置は冷却式痔疾治療用具を用い痔処置を行った場合に、前立腺冷温榻に準じて算定する。この場合、Ⅰ度又はⅡ度の内痔核の患者に対し、1日1ないし2回、かつ連続して5日以上実施した場合に10日間を限度として、1日につき1回算定できる。

なお、当該処置に使用した冷却痔疾治療用具については、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 冷却痔処置の請求に当たっては、内痔核の重症度について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

J070-2 干渉低周波による膀胱等刺激法

(1) 干渉低周波による膀胱等刺激法は、尿失禁の治療のために行った場合に算定する。

(2) 治療開始時点においては、3週間に6回を限度とし、その後は2週間に1回を限度とする。

(産婦人科処置)

J078 子宮膣部薬物焼灼法

ゲメプロスト製剤の投与により子宮内容物の排出が認められた場合は、子宮膣部薬物焼灼法に準じて算定できる。

J085-2 人工羊水注入法

人工羊水注入法は、羊水過少症等の患者に対して、超音波断層法検査及び子宮内圧測定を施行し、適正な注入量の羊水を子宮内に注入した場合に算定する。なお、当該手技に伴って実施される超音波検査等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(眼科処置)

J086 眼処置

(1) 所定点数には、洗眼、点眼、片眼帯、巻軸帯を必要とする処置及び麻薬加算が含まれており、これらを包括して1回につき所定点数を算定する。

(2) 少数(5~6本程度)の睫毛抜去は眼処置に準じて算定する。ただし、他の眼科処置又は眼科手術に併施した場合には、その所定点数に含まれ別に算定できない。

J087 前房穿開又は前房穿刺

前房内注射は前房穿開又は前房穿刺(前房内注入を含む。)に準じて算定する。

J089 睫毛抜去

睫毛抜去において、片眼の上眼瞼と下眼瞼にそれぞれ多数の乱生睫毛があり、同時に抜去した場合は、それぞれ算定する。

J091 鼻涙管ブジー法

鼻涙管拡張の目的で、小ビニール管を涙管内に挿入し数日間放置した場合の点数算定は、鼻涙管ブジー法に準じて算定する。

J094 蒸気罨法、熱気罨法

蒸気罨法、熱気罨法及びイオントフォレーゼを併せて行っても、1回につき所定点数のみを算定する。

(耳鼻咽喉科処置)

J095 耳処置

耳処置には、点耳、耳浴、耳洗浄、簡単な耳垢栓除去及び片耳帯が含まれており、これらを包括して一側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。

J096 耳管処置

耳管処置には、耳管通気法、鼓膜マッサージ及び通気に必要とする鼻内処置が含まれており、これらを包括して1回につき片側ごとに所定点数を算定する。

J097 鼻処置

(1) 鼻処置には、鼻吸引、鼻洗浄、単純鼻出血及び鼻前庭の処置が含まれており、これらを包括して一側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。なお、口腔、咽頭処置と併せて行った場合であっても、口腔、咽頭処置の所定点数は別に算定できない。

(2) 副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置は、副鼻腔洗浄の所定点数に含まれ別に算定はできない。

J097-2 副鼻腔自然口開放処置

副鼻腔自然口開放処置は、急性副鼻腔炎及び慢性副鼻腔炎急性増悪の患者に対して、副鼻腔の換気・排液ならびにネブライザー効果の増大を目的として自然口の開放処置を行った場合に算定する。

J098 口腔、咽頭処置

(1) 口腔、咽頭処置をそれぞれ単独に実施した場合も、同時に実施した場合も1回につき所定点数を算定する。

(2) ルゴール液の噴霧吸入は口腔、咽頭処置に準ずる。

(3) ルゴール等の噴霧吸入と鼻、口腔又は咽頭処置を同時に行った場合は、鼻処置又は口腔、咽頭処置の所定点数を算定する。

J099 喉頭処置

(1) 喉頭処置には、喉頭注入及び喉頭処置に伴う同一薬剤を用いる口腔、咽頭処置が含まれており、これらを包括して1回につき所定点数を算定する。

(2) 強度の牙関節緊急処置は喉頭処置に準じて算定する。

(3) 喉頭処置後の薬剤注入は、喉頭処置の所定点数に含まれる。

J100 副鼻腔手術後の処置(片側)

副鼻腔手術後の洗浄、ガーゼ交換等(手術日の翌日以降のものに限る。)を行った場合に算定する。

この場合、区分「J001」術後創傷処置は別に算定できない。

J102 上顎洞穿刺

区分「D406」上顎洞穿刺と同一日に算定することはできない。

J103 扁桃周囲膿瘍穿刺

扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍において、単に穿刺排膿のみ行い切開しなかった場合は所定点数を算定し、試験穿刺を行い膿汁を認め直ちに切開した場合は区分「K368」扁桃周囲膿瘍切開術を算定する。

J106 腺窩(陰窩)洗浄

腺窩性扁桃炎の際の腺窩(陰窩)の洗浄の場合に算定する。

J108 鼻出血止血法

副鼻腔炎術後の後出血(手術日の翌日以後起った出血をいう。)が多量で再び術創を必要があって開く場合は、区分「K352」上顎洞根本手術に準じて算定する。

J113 耳垢栓塞除去

耳垢水等を用いなければ除去できない耳垢栓塞を、完全に除去した場合に算定する。

J115 超音波ネブライザー

超音波ネブライザーにおいて、酸素療法を併せて行った場合は区分「J024」酸素吸入の所定点数を合わせて算定できる。

(整形外科的処置)

J116 関節穿刺

関節穿刺を左右両側に行った場合は、それぞれ算定できるが、同一側の関節に対して、区分「D405」関節穿刺、区分「G010」関節腔内注射を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

J117 鋼線等による直達牽引

(1) 鋼線等による直達牽引は、鋼線等を用いて観血的に牽引を行った場合に算定する。なお鋼線等による直達牽引には、鋼線牽引法、双鋼線伸延法及び直達頭蓋牽引法を含むものである。

(2) 1局所とは、上肢の左右、下肢の左右及び頭より尾頭までの●〔く〕幹のそれぞれをいい、全身を5局所に分けるものである。

J118 介達牽引

(1) 介達牽引には、絆創膏牽引法、斜面牽引法、スピードラック牽引、腰椎バンド及びグリソン係蹄によるモーターを使用した断続牽引、ベーラー法を含むものであり、部位数にかかわらず所定点数を算定する。

(2) 変形の矯正を目的としてマッサージ等を行った後に、副子、厚紙や絆創膏にて矯正固定を行った場合は、介達牽引の所定点数により算定する。

J119 消炎鎮痛処置

(1) 消炎鎮痛処置は、疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。

(2) 「注1」の「イ」のマッサージ等の手技による療法とは、あんま、マッサージ及び指圧による療法をいう。また、「ロ」の器具等による療法とは、電気療法、赤外線治療、熱気浴、ホットパック、超音波療法、マイクロレーダー等による療法をいう。

(3) 腰痛症の患者に対して腰部固定帯で腰部を固定した場合又は骨折非観血的整復術等の手術を必要としない肋骨骨折等の患者に対して、胸部固定帯で胸部を固定した場合は消炎鎮痛処置で算定する。

(4) 筋肉、関節の慢性非感染性炎症性疾患における疼痛の緩和のために低出力レーザー照射を行った場合は、疾病、照射部位又は照射回数に関わらず、消炎鎮痛処置として算定する。

(栄養処置)

J120 鼻腔栄養

(1) 鼻腔栄養は、注入回数の如何を問わず1日につき算定するものである。

(2) 患者が経口摂取不能のため、薬価基準に収載されている高カロリー薬を経鼻経管的に投与した場合は鼻腔栄養の所定点数及び薬剤料を算定し、入院時食事療養費及び投薬料は別に算定しない。

(3) 患者が経口摂取不能のため、薬価基準に収載されていない流動食を提供した場合は、鼻腔栄養の所定点数及び入院時食事療養費を算定する。この場合において、当該保険医療機関が入院時食事療養(Ⅰ)の届出を行っているときは入院時食事療養(Ⅰ)を、さらに、特別食の算定要件を満たしているときは特別食の加算をそれぞれ算定する。

(4) 薬価基準に収載されている高カロリー薬及び薬価基準に収載されていない流動食を併せて投与及び提供した場合は、(2)又は(3)のいずれかのみにより算定する。

(5) 胃瘻より流動食を点滴注入した場合は、鼻腔栄養に準じて算定する。

(6) 区分「C105」在宅成分栄養経管栄養法指導管理料又は区分「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る器具加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分「C001」在宅患者訪問診療料を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて行った鼻腔栄養の費用は算定できない。

第10部 手術

<通則>

1 「通則1」の「診断穿刺・検体採取」とは、第2章第3部検査の第4節診断穿刺・検体採取料に係るものをいう。

2 「通則1」及び「通則2」は、手術料算定の内容には次の6通りあることを示しており、輸血料又はギプス料については、手術料の算定がなくとも単独で算定できる。

ア 手術料(+薬剤料等)

イ 手術料+輸血料(+薬剤料等)

ウ 手術料+ギプス料(+薬剤料等)

エ 手術料+輸血料+ギプス料(+薬剤料等)

オ 輸血料(+薬剤料等)

カ ギプス料(+薬剤料等)

3 手術料(輸血料、ギプス料を除く。)は、特別の理由がある場合を除き、入院中の患者及び入院中の患者以外の患者にかかわらず、同種の手術が同一日に2回以上実施される場合には、主たる手術の所定点数のみにより算定する。

4 手術当日に、手術に関連して行う処置の費用は、術前、術後にかかわらず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、これと同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。

5 手術に当たって通常使用される保険医療材料(チューブ、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏等)、患者の衣類及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤の費用は手術の所定点数に含まれる。

ただし、厚生大臣が別に定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される総量価格が15円を超える薬剤(手術後の薬剤病巣撒布を含む。)については、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び薬剤の費用を算定できる。

6 画像診断及び検査の費用を別に算定できない手術の際に画像診断又は検査を行った場合においても、当該画像診断及び検査に伴い使用したフィルムに要する費用については、区分「E400」(注を含む。)に掲げるフィルム料を算定できる。また、当該画像診断及び検査に伴い特定保険医療材料又は薬剤を使用した場合は、特定保険医療材料料又は薬剤料を算定できる。なお、この場合、フィルム料、特定保険医療材料料及び薬剤料以外の画像診断及び検査の費用は別に算定できない。

7 第1節手術料に掲げられていない手術のうち、簡単な手術の手術料は算定できないが、特殊な手術(点数表にあっても、手技が従来の手術と著しく異なる場合等を含む。)の手術料は、その都度当局に内議し、最も近似する手術として準用が通知された算定方法により算定する。

例えば、従来一般的に開胸又は開腹により行われていた手術を内視鏡下において行った場合等はこれに該当する。

8 「通則4」の加算は、第1節手術料に定める手術にのみ適用され、輸血料、ギプス料、薬剤料及び特定保険医療材料料は加算の対象とならない。

また、「通則4」の「所定点数」とは、第1節手術料の各区分に掲げられた点数及び各区分の注に規定する加算(創外固定器、自動吻合器又は自動縫合器を使用した場合の加算、レーザー照射加算等、保険医療材料に係る加算を除く。)の合計をいい、通則の加算点数は含まない。

9 「通則5」に規定する脊椎、脊髄又は大動脈瘤の手術とは、区分「K116」から「K118」まで、「K126」から「K139」まで、「K142」、「K183」から「K192」まで、及び「K605」に掲げる手術をいう。なお、これらの項目に準じて所定点数を算定する手術については、「通則5」の加算は行わない。

10 「通則7」の加算は、HIV-1抗体価精密測定、HIV-2抗体価精密測定によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV-1核酸同定検査によってHIV-1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

11 「通則8」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

ア 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準により医師により届け出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)

イ HBs又はHBe抗原精密測定によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者

ウ HCV抗体価精密測定又はHCV抗体価検査によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者

エ 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者

12 「通則9」の入院中の患者以外の患者に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、次の場合に算定できる。ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない。

(1) 休日加算、時間外加算又は深夜加算が算定できる初診又は再診に引き続き行われた緊急手術の場合

(2) 初診又は再診から手術までの間に、手術に必要不可欠な検査等を行い、かつ、当該検査等の終了後に手術(休日に行うもの又はその開始時間(執刀した時間をいう。)が診療時間以外の時間若しくは深夜であるものに限る。)を開始した場合であって、当該初診又は再診から手術の開始時間までの間が8時間以内である場合(当該手術の開始時間が入院手続きの後の場合を含む。)

13 「通則9」の入院中の患者に対する手術の休日加算又は深夜加算は、病状の急変により、休日に緊急手術を行った場合又は開始時間が深夜である緊急手術を行った場合に算定できる。

ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない。

14 「通則9」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様である。また、「通則9」の加算に係る適用の範囲および「所定点数」については、「通則4」の加算の取り扱いと同様(本通則8参照)である。なお、区分番号「K780」同種腎移植術の「注2」に規定する死体腎移植加算について、「通則9」の加算を算定する場合は、同種腎移植の開始時間により要件の該当の有無を判断するのではなく、死体腎の摘出術の開始時間をもって判断する。

15 「通則10」の「特に規定する場合」とは、各区分に掲げる手術名の末尾に両側と記入したものをいう。なお、この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定することができる。

また、肺の両側に対し手術を行った場合は、片側それぞれについて算定できる。

16 同一手術野又は同一病巣における算定方法

(1) 「通則11」の「同一手術野又は同一病巣」とは、原則として、同一皮切により行い得る範囲をいい、具体的には、次のような手術の組み合わせが行われる範囲をいう。この場合においては、「主たる手術」の所定点数のみを算定する。なお、「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。

ア 肺切除術の際に併施する簡単な肺剥皮術

イ 虫垂切除術と盲腸縫縮術

ウ 子宮附属器腫瘍摘出術と卵管結紮術

(2) (1)にかかわらず、「同一皮切により行い得る範囲」内にあっても、次に掲げる場合には、「同一手術野又は同一病巣」には該当せず、それぞれ所定点数を算定する。なお、それらの他、「同一皮切により行い得る範囲」の原則によることが著しく不合理である場合は、「通則3」に照してその都度当局に内議うえ決定する。

ア 胃癌に対する胃切除術(消化器系の手術)と腹部大動脈瘤に対する大動脈瘤切除術(脈管系の手術)の組み合わせ等、相互に関連のない2手術を同時に行う場合

イ 胃切除術と直腸切除術の組み合わせ等、同じ消化器系の手術であっても、遠隔部位の2手術を行う場合

ウ 人工妊娠中絶術(膣式手術)と卵管結紮術(開腹術)の組み合わせ等、通常行う手術の到達方法又は皮切及び手術部位が異なる場合

(3) 同一手術野又は同一病巣であっても、「厚生大臣が定める複数手術に係る費用の特例(平成12年厚生省告示第71号)」に規定するものについては、主たる手術の所定点数に、従たる手術(一つに限る。)の所定点数の100分の50に相当する額を加えた点数により算定する。なお、具体的な取り扱いについては、別途通知する。

(4) 指に係る同一手術野の範囲

指に係る同一手術野の範囲と算定方法については次の通りである。

ア 第1指から第5指までを別の手術野とする次に掲げる手術のうち、2つ以上の手術を同一指について行った場合には、「通則11」における「別に厚生大臣が定めた場合」に該当する場合を除き、当該手術の中で主たる手術の所定点数のみを算定する。なお、複数指について行った場合には、それぞれの指について算定する。

(イ) 第1指から第5指(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

区分「K028」腱鞘切開術

区分「K034」腱切離術・腱切除術

区分「K035」腱剥離術

区分「K037」腱縫合術

区分「K038」腱延長術

区分「K046」骨折観血的手術

(ロ) 第1指から第5指(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

区分「K089」爪甲除去術

区分「K090」●〔ひょう〕疽手術

区分「K091」陥入爪手術

区分「K099」指瘢痕拘縮手術

区分「K100」多指症手術

区分「K101」合指症手術

区分「K102」巨指症手術

区分「K103」屈指症手術、斜指症手術

第1節手術料の項で「指(手、足)」と規定されている手術(区分「K046」骨折観血的手術」を除く。)

イ デブリードマンその他(イ)及び(ロ)に該当しない手術については、第1指から第5指までを同一手術野として取り扱い、当該手術のうち二以上の手術を複数指に行った場合には、「通則11」における「別に厚生大臣が定めた場合」に該当する場合を除き、主たる手術の所定点数のみを算定する。

ウ 第1指から第5指までを別の手術野として取り扱う手術と、第1指から第5指までを同一手術野として取り扱う手術を同時に行った場合にあっては、それぞれの手術が別々の指に対して行われたものであっても、「通則11」における「別に厚生大臣が定めた場合」に該当する場合を除き、主たる手術の所定点数のみを算定する。

ただし、第1指から第5指までを別の手術野として取り扱う手術を複数指に対し行った場合に、それぞれの点数を合算した点数が、同一手術野として取り扱う手術の点数よりも高くなる場合にあっては、いずれかにより算定する。

(5) 眼球の手術(第1節手術料第4款眼に掲げるものをいう。)については、片眼を同一手術野として取り扱う。

(6) 多発性嚢腫等で近接しているものについては、数か所の切開を行った場合でも1切開として算定する。また、麦粒腫、霰粒腫等については、同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

(7) 骨折整復と脱臼整復を併施した場合については、骨折部位と関節との距離やそれぞれの整復が非観血的に行われたか観血的に行われたか、また、一方の整復手技が他方の整復手技と個別に行われる場合と、併せて1手術とみなすのが適当な場合等によって異なるが、一般には近接部位の場合は通例同一手術野の手術として「通則11」により主たる手術の所定点数のみにより算定する。

(8) 悪性腫瘍に対する手術において、リンパ節郭清術、頚部郭清術(ネックディセクション)は所定点数に含まれ、特に規定する場合を除き、別に算定できない。

(9) 「通則11」の植皮術とは区分「K012」全層、分層植皮術(露出部・粘膜部・関節部以外の部位)及び区分「K013」全層、分層植皮術(露出部・粘膜部・関節部)をいう。

17 手術中断等の場合の算定方法

(1) 手術の開始後、患者の病状の急変等やむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定する。

例えば、胃切除術を行うべく開腹したが、適応でないのでそのまま手術創を閉じた場合は、区分「K636」試験開腹術の所定点数により、また、全副鼻腔根本手術を開始したが、上顎洞、篩骨洞を終えたのみで中絶した場合は、区分「K358」上顎洞篩骨洞根本手術の所定点数により、算定する。なお、術前において中絶した場合は、算定の対象にならない。

(2) 妊娠9か月において子宮出血があり、前置胎盤の疑いで入院し、止血剤注射を行い帝王切開の準備として諸器械の消毒を終ったところ出血が止まり、そのまま分娩した場合の消毒に要した諸経費は、保険給付の対象とならない。

(3) 手術の準備をしていたところ、患者が来院しなかったとき又は患者が手術の術前において手術不能となった場合は保険給付の対象とならない。

18 臓器等移植における組織適合性試験及び臓器等提供者に係る感染症検査の取り扱い

(1) 組織適合性試験

ア 組織適合性試験とは、HLA型クラスⅠ(A,B,C)、クラスⅡ(DR,DQ,DP)及びDNAタイピングをいう。

イ 次に掲げる臓器等移植の提供者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分「K697-3」移植用部分肝採取術(生体)

区分「K779」移植用腎採取術(生体)

区分「K780」同種腎移植術(死体腎を移植する場合に限る。)

区分「K921」移植骨髄穿刺

ウ 次に掲げる臓器等移植の移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分「K697-4」生体部分肝移植

区分「K780」同種腎移植術

区分「K922」骨髄移植の「1」同種移植

エ 次に掲げる臓器等移植の提供者及び移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分「K922」骨髄移植の「3」同種末梢血幹細胞移植

区分「K922-2」臍帯血移植

(2) 臓器等提供者に係る感染症検査

ア 臓器等提供者に係る感染症検査とは、HBS抗原、HBC抗体価、HCV抗体価、HIV-1抗体価、HIV-2抗体価、HTLV-1抗体価、TPHA試験又は白血球中サイトメガロウィルスpp65抗原(同一検査で一般測定及び精密測定又は定性及び定量測定がある場合は、いずれか一つの検査に限る。)の全部又は一部をいう。

イ 次に掲げる臓器等移植に際し、必要に応じ臓器等提供者に係る感染症検査を行った場合には、スクリーニング検査1回に限り、別に算定できる。

区分「K014」皮膚移植術

区分「K697-3」移植用部分肝採取術(生体)

区分「K779」移植用腎採取術(生体)

区分「K780」同種腎移植術(生体腎を移植する場合に限る。)

区分「K921」移植骨髄穿刺

区分「K922」骨髄移植の「3」同種末梢血幹細胞移植

区分「K922-2」臍帯血移植

ウ 次に掲げる臓器等移植に際し行った臓器等提供者に係る感染症検査は、所定点数又は特定保険医療材料料に含まれ、別に算定できない。

区分「K259」角膜移植術

区分「K780」同種腎移植術(死体腎を移植する場合に限る。)

19 第1節第2款筋骨格系・四肢・体幹に掲げる手術のうち、関節鏡下によることができるものについては、内視鏡下によるものの場合にも算定できる。

20 既に保険適用されている腹腔鏡下手術以外の手術で腹腔鏡を用いる場合については、その都度当局に内議し準用が通知されたもののみが保険給付の対象となる。それ以外の場合については、その手術を含む診療の全体が保険適用とならないので留意されたい。なお、胸腔鏡下手術も同様の取り扱いとする。

21 平成12年度における手術体系の整理

平成12年度改定において手術の区分として算定の取り扱いが変更された手術については次の通りである。

(1) パルス色素レーザー療法、ルビーレーザー療法

第2章第9部処置の区分「J054-2」により算定する。

(2) 腱形成術

区分「K034」から「K040」までにより算定する。

(3) 人工腱形成術

区分「K039」腱移植術(人工腱形成術を含む。)により算定する。

(4) 瞼板縫合術

兎眼症の場合については区分「K212」で、その他の場合については区分「K207」により算定する。

(5) 眼窩ブローアウト骨折手術

区分「K227」により算定する。

(6) 前房、虹彩、硝子体内異物除去術(マグネットを使用するもの)

前房、虹彩内異物除去術については、区分「K274」、硝子体内異物除去術については、区分「K238」により算定する。

第1節 手術料

第1款 皮膚・皮下組織

K000 創傷処理

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことであり、第2診以後の手術創に対する処置は区分「J001」術後創傷処置により算定する。

(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頚部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。

(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定できる。

K001 皮膚切開術

(1) 長径10センチメートルとは、切開を加えた長さではなく、膿瘍、●〔せつ〕又は蜂窩織炎等の大きさをいう。

(2) 多発性窃拙●〔せつ〕腫等で近接しているものについては、数か所の切開も1切開として算定する。

(3) 子宮膣部糜爛(ナボット胞のあるもの)等の場合に、子宮膣部の乱切術を行う場合は、皮膚切開術の「1」に準じて算定する。

K002 デブリードマン

(1) 区分番号「K012」全層、分層植皮術(露出部・粘膜部・関節部以外の部位)から区分番号「K021-2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。

(2) 面積の算定方法については、区分「J000」創傷処置の取扱いの例による。

(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記入する。

K003、K004 皮膚・皮下、粘膜下血管腫摘出術

(1) 「露出部」とは区分「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分「K003」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分「K004」の所定点数により算定する。

K005、K006 皮膚・皮下腫瘍摘出術

(1) 「露出部」とは区分「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生しているいぼ及び皮膚腫瘍等については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分「K005」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分「K006」の所定点数により算定する。

(4) 良性又は悪性の皮膚腫瘍に対する冷凍凝固摘出術は、区分「K006」に準じて、次のように算定する。

ア 長径が6センチメートル未満の良性の皮膚腫瘍に対するものは、区分「K006」の「1」又は「2」。

イ 長径が6センチメートル未満の悪性の皮膚腫瘍に対するものは、区分「K006」の「2」。

ウ 長径が6センチメートル以上の良性又は悪性に対するものは、区分「K006」の「3」。

K007 皮膚悪性腫瘍切除術

リンパ節の郭清を伴う場合は「1」を算定し、病巣部のみを切除した場合は「2」を算定する。

K009 皮膚剥削術

皮膚剥削術(グラインダーで皮膚を剥削する手術)は小腫瘍、丘疹性疾患及び外傷性異物の場合に算定する。なお、単なる美容を目的とした場合は保険給付外である。

K010 瘢痕拘縮形成手術

(1) 単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うものに限り算定する。

(2) 指に対して行う場合には、区分「K099」指瘢痕拘縮手術により算定する。

K012、K013 全層、分層植皮術

(1) 「露出部」とは区分「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一部位をいう。

(2) デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 広範囲熱傷の患者に対して、全層、分層植皮術を頭頚部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部(胸部を含む。)又は背部の部位のうち同一部位以外の2以上の部位について行った場合においては、それぞれの部位ごとに所定点数を算定する。

(4) ルベルダン植皮術は、全層、分層植皮術に準じて算定する。

(5) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る面積が全体の50%以上の場合は、区分「K013」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分「K012」の所定点数により算定する。

K014 皮膚移植術

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 生体皮膚を移植する場合においては、皮膚提供者から移植用皮膚を採取することに要する費用(皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は除く。)については、各所定点数により算出し、皮膚移植術の所定点数に加算する。

(3) 皮膚移植を行った保険医療機関と皮膚移植に用いる移植用皮膚を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、皮膚移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、皮膚移植者の診療報酬明細書の摘要欄に皮膚提供者の氏名及び療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、皮膚提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

(4) 死体皮膚を移植する場合においては、死体から死体皮膚を採取・保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に請求できない。

(5) 皮膚管形成のため生じた皮膚欠損部及び新しく造成した食道を覆うため有茎皮膚弁を作り、これを移動させて縫合する手術は、区分「K015」皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術に準じて算定する。また、大腿部等により植皮する手術は、区分「K012」全層、分層植皮術(露出部・粘膜部・関節部以外の部位)に準じて算定する。

K017 遊離皮弁術、K020 自家遊離複合組織移植術

(1) いずれも顕微鏡下の手術の場合に算定する。

(2) 四肢(手、足、指(手、足)を含む。)以外の部位において「K017」遊離皮弁術又は「K020」自家遊離複合組織移植術を行う際に、微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を用いた場合は、「K511」肺切除術の「注2」に規定する自動縫合器加算に準じて、所定点数に加算する。なお、この場合において、「K511」肺切除術の「注2」に規定する点数に、2個を限度として微小血管自動縫合器用カートリッジの使用個数を乗じて得た点数を加算するものとする。

K022 組織拡張器による再建手術

(1) 治療に要した日数、回数にかかわらず、一連のものとして所定点数を算定する。

(2) 対象となる疾患は、先天異常、母斑(血管腫を含む。)、外傷性瘢痕、術後瘢痕である。なお、美容を目的とするものは保険給付外である。

(3) 1患者の同一疾患に対して1回のみの算定であり、1回行った後に再度行っても算定できない。

第2款 筋骨格系・四肢・体幹

K037 腱縫合術

(1) 切創等の創傷によって生じた固有指の伸筋腱の断裂の単なる縫合は、区分「K000」創傷処理の「2」に準じて算定する。

(2) アキレス腱断裂手術は、区分「K037」腱縫合術に準じて算定する。

K043 骨掻爬術

(1) 骨関節結核に行う瘻孔摘出術は、骨掻爬術に準じて算定する。この際行った脂肪移植術は所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 骨髄炎・骨結核手術は、骨掻爬術に準じて算定する。

K044 骨折非観血的整復術

(1) ギプスを使用した場合にはギプス料を別に算定できる。

(2) 著しい腫脹等によりギプスを掛けられない状態にあるために徒手整復のみを行った場合についても、骨折非観血的整復術により算定できる。その際に副木を使用した場合には、当該副木の費用は別に算定できる。

(3) 徒手整復した骨折部位に対して2回目以降の処置を行った場合は、区分「J001」術後創傷処置に準じて算定する。

(4) 足関節捻挫又は膝関節靭帯損傷に「絆創膏固定術」を行った場合は、骨折非観血的整復術の「3」に準じて算定する。ただし、交換は原則として週1回とする。

(5) 鎖骨骨折固定術は、骨折非観血的整復術の「3」に準じて算定する。ただし、固定術後の包帯交換は、区分「J001」術後創傷処置に準じて算定する。

(6) 肋骨骨折固定術及び肋骨骨折固定術の2回目以降の絆創膏貼用は、骨折非観血的整復術の「3」に準じて算定する。

K046  骨折観血的手術

前腕骨又は下腿骨骨折の手術に際し、両骨(橈骨と尺骨又は脛骨と腓骨)を同時に行った場合であって皮切が別々の場合には、別の手術野として骨折観血的手術の「2」をそれぞれの手術野について算定する。

K047 難治性骨折電磁波電気治療法

(1) 対象は四肢長管骨(手足の長管骨を含む。)の遷延治癒骨折や偽関節であって、観血的手術又は他の療法を行っても治癒しない難治性骨折に対して行われた場合に限り算定する。

(2) 治療に要した日数、回数にかかわらず一連のものとして所定点数を算定する。

(3) 当該治療法は1患者に対して一連として1回のみの算定であり、1回行った後に再度行った場合又は入院中に開始した当該療法を退院した後も継続して行っている場合であっても別に算定できない。

K047-2 難治性骨折超音波治療法

区分「K047」難治性骨折電磁波電気治療法の取扱いと同様とする。

K048 骨内異物(挿入物)除去術

(1) 三翼釘、髄内釘、ロッドを抜去する場合の骨内異物(挿入物)除去術は、手術を行った保険医療機関であると否とにかかわらず算定できる。

(2) 鋼線、銀線等で簡単に除去し得る場合には、区分「J000」創傷処置又は区分「K000」創傷処理の各区分により算定する。

K051 骨全摘術

中手骨又は中足骨の2本以上の摘除術は、骨全摘術の「3」により算定する。

K052 骨腫瘍切除術

(1) 多発性軟骨性外骨腫摘出術は、骨腫瘍切除術により算定するが、巨大(児頭大)なもので、2回に分けて摘出することが必要な場合は、1回ごとにそれぞれ所定点数を算定できる。

(2) 多発性骨腫摘出術は、同一皮切で実施し得る範囲のものについては、回数にかかわらず1回の算定とする。

K057 変形治癒骨折矯正手術

次に掲げる変形治癒骨折矯正手術は、それぞれに規定する区分により算定する。

ア 眼窩変形治癒骨折に対する矯正術は区分「K228」による。

イ 鼻骨変形治癒骨折に対する矯正術は区分「K334-2」による。

ウ 頬骨変形治癒骨折に対する矯正術は区分「K427-2」による。

K058 骨長調整手術

(1) 使用するステイプルの数にかかわらず1回の算定とする。

(2) 「注」の加算は、軟骨無形成症及び軟骨低形成症等の骨異形成症、四肢形成不全又は四肢変形の患者に対して脚延長術を行う際に創外固定器を用いた場合に算定する。

K059 骨移植術(軟骨移植術、骨軟骨欠損補填材料埋没を含む。)

(1) 骨移植術を行った場合は、他の手術の所定点数に骨移植術の所定点数を併せて算定できる。なお、骨移植術の所定点数には、骨片切採術の手技料は含まれ、骨移植術において骨移植に用いる骨片をその必要があって2か所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該採取に係る手技料は別に算定できない。

(2) 骨移植術は、採取した骨片を複数か所に移植した場合も、1回の算定とする。

(3) 骨片切採のみに終り骨移植に至らない場合については、区分「K126」脊椎、骨盤骨(軟骨)組織採取術(試験切除によるもの)に準じて算定する。

K060 関節切開術

(1) 肩甲関節周囲炎における関節周囲の沈着石灰の摘出術は、関節切開術の「1」に準じて算定する。

(2) 結核関節清掃術は、四肢関節難断術に準じて算定する。

K062 先天性股関節脱臼非観血的整復術

(1) 先天性股関節脱臼非観血的整復術のギプス料は、区分「K934」先天性股関節脱臼ギプス包帯(両側)により算定する。