添付一覧
J033 頬腫瘍摘出術
下顎角部又は下顎枝に埋伏している下顎智歯を、口腔外より摘出を行った場合は、頬腫瘍摘出術により算定する。
J036 術後性上顎嚢胞摘出術
術後性上顎嚢胞摘出術のうち、手術の範囲が篩骨蜂巣にまで及ぶものについては、医科点数表区分「K358」上顎洞篩骨洞根本手術により算定する。
J037 上顎洞口腔瘻閉鎖術
(1) 「困難なもの」とは、陳旧性のもの又は減張切開等を必要とするものをいう。
(2) 上顎洞へ抜歯窩より穿孔がある場合の閉鎖手術については、新鮮創であっても減張切開等を必要とする場合は、上顎洞口腔瘻閉鎖術の「2」の所定点数により算定する。
(3) 「著しく困難なもの」とは、腫瘍摘出後等による比較的大きな穿孔に対して、粘膜弁移動術、粘膜移植術等により閉鎖を行うものをいう。なお、口腔粘膜弁の作製・移動術及び口腔粘膜移植術の費用は「3」の所定点数に含まれ、別に算定できない。
(4) 「著しく困難なもの」について植皮術を併せて行った場合は区分「J089」全層、分層植皮術又は区分「J090」皮膚移植術の所定点数を合算して算定する。
(5) 「著しく困難なもの」について、口腔粘膜弁及び口腔粘膜移植以外の区分「J091」皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術から区分「J097」粘膜移植術までの手術を併せて行った場合は主たる手術の所定点数に従たる手術の所定点数の100分の50を加算して算定する。
(6) 腫瘍摘出等により上顎洞又は鼻腔に比較的大きな穿孔を生じた場合の閉鎖術は「3」により算定する。
(7) 埋伏歯の抜去や顎骨骨内病巣を除去し、後日二次的に創腔の閉鎖を行った場合は、「1」により算定する。
J042 下顎骨悪性腫瘍手術
顎骨に生ずる琺瑯上皮腫(エナメル上皮腫)に対する手術は、「1」又は「2」により算定する。また、単胞性琺瑯上皮腫の手術の場合も同様に算定する。
J043 顎骨腫瘍摘出術
(1) 萌出困難な歯牙に対して開窓術(歯槽骨及び被覆粘膜を切除する手術)を行った場合は、「1」により算定する。
(2) 下顎骨体の深部に存在する埋伏犬歯と複合性歯牙腫を口腔外より摘出手術を行った場合は「1」及び区分「J033」頬腫瘍摘出術により算定する。
(3) 顎骨腫瘍摘出術と同時に行った原因歯の抜歯手術に要する費用は、顎骨腫瘍摘出術の所定点数に含まれ、別に算定できない。
(4) 鶏卵大に達した歯根嚢胞を摘出する手術を行った場合は、区分「J044」顎骨嚢胞開窓術により算定する。
J045 口蓋隆起形成術
義歯の装着に際して口蓋隆起が著しい障害となるような症例に対して、口蓋隆起を切除、整形した場合に算定する。
J046 下顎隆起形成術
義歯の装着に際して下顎隆起が著しい障害となるような症例に対して、下顎隆起を切除、整形した場合に算定する。
J047 腐骨除去手術
2歯までの範囲であれば顎骨に及ぶものであっても「1」により算定する。
J048 口腔外消炎手術
(1) 口腔外消炎手術における長さ(2センチメートル未満等)とは、膿瘍、蜂窩織炎等の大きさをいい、切開を加えた長さではない。
(2) 重症な顎炎等に対して複数の切開により、口腔外からの消炎手術を行った場合は、区分「J013」口腔内消炎手術の「4のロ」により算定する。
(3) 広範囲で極めて重症な顎炎等に対して、中・下頚部又は鎖骨上窩等を切開し、口腔外から消炎手術を行った場合は、区分「J013」口腔内消炎手術の「4のハ」により算定する。
J053 唾石摘出術
(1) 「表在性のもの」とは、導管開口部分付近に位置する唾石をいう。
(2) 「深在性のもの」とは、腺体付近の導管等に位置する唾石をいう。
(3) 外部より唾石及び唾液腺を併せて摘出したものについては、「2」により算定する。
J063 歯周外科手術
(1) 歯周外科手術とは、区分「D002」歯周組織検査の「2」に規定する歯周精密検査の結果に基づき行われる歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、歯肉剥離掻爬手術をいう。なお、歯周外科手術の実施については、「歯周病の診断と治療のガイドライン」(平成8年3月)を参考とすること。
(2) 歯周外科手術と同時に行われるスケーリング等の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(3) 歯周ポケット掻爬術とは、縫合又はパックを伴うものであり、その費用は所定点数に含まれる。
(4) 「注」の「簡単な暫間固定」とは、4歯未満の暫間固定をいう。
(5) 歯周外科手術を伴う場合の4歯以上の暫間固定の費用は、歯周外科手術とは別に区分「I014」の「2」の所定点数を算定する。
(6) 暫間固定に当たって印象採得、咬合採得、装着を行った場合、区分「I107」床副子と同様に算定する。
(7) 歯肉剥離掻爬手術と併せて、当該手術部位以外の部位について歯槽骨整形を行った場合は、歯肉剥離掻爬手術及び区分「J006」歯槽骨整形手術のそれぞれの所定点数を算定する。
(8) 歯肉剥離掻爬手術と同時に欠損部の骨瘤等を除去した場合は、歯肉剥離掻爬手術及び区分「J006」骨瘤除去手術のそれぞれの所定点数を算定する。
(9) 骨代用物質を歯槽骨欠損部に挿入した場合は、1歯につき区分「J006」歯槽骨整形手術により算定する。なお、ハイドロキシアパタイト等の人工骨は特定保険医療材料として算定する。
(10) 歯肉剥離掻爬手術と同時に口腔内から骨片を切採して骨移植を行った場合は、医科点数表区分「K042」骨穿孔術の所定点数を算定し、口腔外から骨片を切採して行った場合は、医科点数表区分「K059」骨移植術の所定点数を算定する。
(11) 骨移植術を行った場合の取扱いについては、他の手術の所定点数に医科点数表区分「K059」骨移植術の所定点数を併せて算定する。なお、骨片切採術の手技料は、骨移植術の所定点数に含まれ、また、骨移植に用いる骨片をその必要があって2か所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該骨の採取術に係る手技料は算定できない。
(12) 歯周疾患に対し、口腔前庭拡張術を行った場合は、区分「J043」顎骨腫瘍摘出術「1」により算定する。なお、拡張術に対し小帯の切離移動又は形成も同時に行った場合には、別に区分「J027」頬、口唇、舌小帯形成術の所定点数が算定できる。
(13) 歯肉弁根尖側移動術及び歯肉弁歯冠側移動術は、「J063」歯周外科手術の「4」により算定する。
J064 歯肉弁移動術
(1) 歯周疾患に対し、必要があって歯肉側方移動術又は歯肉移植術を行った場合は、区分「J064」歯肉弁移動術により算定する。
(2) 転位歯等を抜去した際、隣在歯の歯根面が露出し、知覚過敏等の障害のおそれがあるときに歯肉移植術を行った場合は、区分「J064」歯肉弁移動術により算定する。
J066 歯槽骨骨折観血的整復術
歯槽骨骨折に対し、歯肉粘膜を剥離して観血的に歯槽骨の整復を行った場合に算定する。
J069 上顎骨形成術
(1) 「単純な場合」とは上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着等に対し、Le Fort Ⅰ型切離により移動を図る場合をいう。
(2) 「複雑な場合及び2次的再建の場合」とは同様の症例に対し、Le Fort Ⅱ型又はLe Fort Ⅲ型切離により移動する場合及び悪性腫瘍手術等による上顎欠損症に対し2次的骨性再建を行う場合をいう。
J070 頬骨骨折観血的整復術
頬骨弓骨折観血的整復術については、頬骨骨折観血的整復術により算定する。
J071 下顎骨折非観血的整復術
下顎骨折非観血的整復術の「注」の加算は三内式線副子以上を使用する連続歯牙結紮法を行った場合に算定し、これに至らない場合は、所定点数中に含まれ、別に算定できない。
J073 口腔内軟組織異物(人工物)除去術
(1) 「簡単なもの」とは異物(人工物)が比較的浅い組織内にあり、非観血的あるいは簡単な切開で除去できるものをいう。
(2) 「困難なもの」とは除去に当たって組織の剥離を必要とするものをいう。
(3) 「著しく困難なもの」とは異物の位置が確定できず、なおかつ深部に存在するため大きく深い切開と組織の乱切を必要とするものをいう。
(4) 口腔内軟組織異物(人工物)除去術は、異物の数にかかわらず所定点数を1回に限り算定する。ただし、当該除去物は同一術創で除去できるものに限る。
(5) 「困難なもの」の算定について、顎骨骨折手術に使用した金属内副子等、浅在性のものであっても除去術の範囲が2分の1顎程度に及ぶ場合には「2のロ」により、除去の範囲が全顎に及ぶ場合は「3」により算定する。
(6) 「1」、「2」及び「3」のうち、2以上を同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。
J074 顎骨内異物除去術
(1) 根管外に突出した異物等、顎骨内に存在する異物を骨の開さくを行い、除去した場合に算定する。
(2) 区分「J004」歯根端切除手術と同時に行った顎骨内異物除去の費用は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。
(3) 同一の骨の開さく内で、除去した異物の数にかかわらず所定点数1回のみで算定する。
J076 顔面多発骨折観血的手術
顔面多発骨折観血的手術は上下顎が同時に骨折した場合等、複数の骨に対して観血的手術を行った場合に算定する。
J077 顎関節脱臼非観血的整復術
顎関節脱臼非観血的整復術は、一側につき、所定点数を算定する。
J080 顎関節授動術
(1) 「徒手的授動術」とは顎関節の運動障害を有する患者に対して、パンピング(顎関節腔に対する薬液の注入、洗浄)を行いながら、徒手的に顎関節の授動を図ったものをいう。
なお、この場合において関節腔に対する薬剤の注入に係る手技料は含まれ、別に算定できない。
(2) 瘢痕性顎関節強直症に対する手術の費用は「3」により算定する。
(3) 筋突起過長による顎運動障害等で、筋突起形成術を行った場合の費用は「3」により算定する。
J082 歯科インプラント摘出術
他の医療機関で埋植した歯科インプラントを撤去した場合に、当該摘出物の種別に応じて算定する。
J083 顎骨インプラント摘出術
(1) 「顎骨インプラント」とは腫瘍摘出後等による顎骨欠損に対して埋植した人工骨及び人工骨頭等の欠損補綴用人工材料(体内)をいう。
(2) 埋植した顎骨インプラントを感染による化膿や破折等の理由で、やむを得ず摘出した場合に行った顎骨インプラント摘出術は算定できる。ただし、当該医療機関において行われた治療に基づく異物(骨折手術に用いられた金属内副子等を除く。)について除去を行っても区分「J073」口腔内軟組織異物(人工物)除去術、区分「J074」顎骨内異物除去術及び区分「J082」歯科インプラント摘出術においては、所定点数は算定できない。
J084 創傷処理
(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことである。
(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。
(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頚部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。
(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定できる。
(5) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J085 デブリードマン
(1) 医科点数表区分「K012」全層、分層植皮術(露出部・粘膜部・関節部以外の部位)から医科点数表区分「K021―2」粘膜弁移植術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。
(2) 面積の算定方法については、医科点数表区分「J000」創傷処置の取扱いの例による。
(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記入する。
(4) 当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J086 試験上顎洞開窓術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J087 上顎洞根本手術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J088 リンパ節摘出術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J089 全層、分層植皮術(露出部・粘膜部・関節部)
(1) 「露出部」とは区分「J084」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一部位をいう。
(2) デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
J090 皮膚移植術
別添1医科診療報酬点数表第2章第10部手術の「K014」皮膚移植術((5)を除く。)と同様の取扱いであること。
J098 血管結紮術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J099 動脈形成術、吻合術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J100 血管移植術、バイパス移植術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
J101 神経移植術
当該手術を同一術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、骨移植術及び植皮術を当該手術と同時に行った場合はこの限りではない。
第2節 輸血料
J200 輸血
別添1医科診療報酬点数第2章第10部第2節輸血料の「K920」輸血と同様の取扱いであること。
第3節 薬剤料
手術後の薬剤病巣撤布
手術後の薬剤病巣撤布については、次に掲げる手術後に実施されたとき、その薬剤料を第9部手術第3節により併せて算定できる。
ア 口腔領域の悪性腫瘍手術及びこれらに準ずる手術
イ 顎骨及び顎関節の形成術
ウ 腐骨除去手術で広範囲のもの
エ 口腔領域の複雑骨折に対する観血的整復手術及びこれらに準ずるような開放性外傷に対する手術
第4節 特定薬剤料
J300 特定薬剤
(1) 1回の手術に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて特定薬剤料を算定する。
(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の手術に使用した特定薬剤の合計価格が40円以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。
(3) 上記(1)でいう1回の手術とは、手術の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。
(4) 特定薬剤における生理食塩水及びアクリノールは、当該手術を行うに当たり入院を必要とする手術を行った際に、当該手術に使用される特定薬剤の総量価格が40円を超える場合に限り、当該手術の所定点数の他、その費用を算定する。
(5) その他については、第8部処置の「I100」の1の(4)から(10)と同様の取扱いである。
第5節 特定保険医療材料
J400 特定保険医療材料
当該手術の実施のために使用される特定保険医療材料については、購入価格を10円で除して得られた点数により算定する。
第10部 麻 酔
[通則]
1 「通則2」、「通則3」及び「通則4」の規定は、第1節の所定点数(ただし、酸素及び窒素を使用した場合の加算を除く。)のみに適用されるものであり、第2節薬剤料に対しては適用されない。
2 「通則2」における著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行なうことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護婦等が参画した場合等に算定する。
3 「通則2」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。
4 「通則4」における加算は、時間外加算等の適用される処置及び手術に伴って行われた麻酔に対して、第9部手術の時間外加算等と同様の取扱いで算定されるもので、当該処置及び手術の所定点数が150点に満たない場合は加算は認められない。
5 「通則4」における時間外加算等の取り扱いは初診料における場合と同様である。
6 麻酔の休日加算、時間外加算及び深夜加算は、これらの加算が算定できる緊急手術に伴い行われた麻酔についてのみ算定できる。
7 その他の麻酔法の選択について、従前から具体的な規定のないものについても、保険診療の原則に従い必要に応じ妥当適切な方法を選ぶべきものである。
8 第10部に規定する麻酔料以外の麻酔料の算定は医科点数表の例による。
第1節 麻酔料
K001 浸潤麻酔、圧迫麻酔
(1) 手術、120点以上の処置、特に規定する処置、歯冠形成の所定点数には、浸潤麻酔の費用が含まれ、別に算定できない。
(2) 齲●〔しょく〕症又は象牙質知覚過敏症等の歯に対する所定点数が120点未満の処置のために浸潤麻酔を行った場合の費用は、1歯を単位として所定点数により算定する。
K002 吸入鎮静法
(1) 吸入鎮静法は、笑気等を用いてゲーデル(Guedel)の分類の麻酔深度の第1期において歯科手術等を行う場合に算定する。
(2) 吸入鎮静法において使用した麻酔薬剤(亜酸化窒素等)に係る費用の算定については別に定める「酸素及び窒素の購入価格(平成2年3月厚生省告示第41号)」に基づき算定する。
(3) 酸素又は窒素の購入価格は、別添1医科診療報酬点数表第2章第9部処置の区分「J024」((1)、(10)、(11))を除く)、別添1医科診療報酬点数表第2章第11部麻酔の「L008」の(7)のア、と同様の取扱いであること。
第2節 薬剤料
K100 薬剤
1回の麻酔に麻酔薬剤を2種以上使用した場合であっても使用麻酔薬剤の合計薬価から40円を控除した残りの額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて麻酔薬剤料を算定する。
第11部 放射線治療
別添1医科診療報酬点数表第2章第12部放射線治療(「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療、「M001―3」直線加速器による定位放射線治療、「M002」全身照射及び「M005」血液照射を除く。)と同様の取扱いであること。
第12部 歯冠修復及び欠損補綴
[通則]
1 歯冠修復及び欠損補綴の費用は、第1節中の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されているものを除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の保険医療材料料を合算して算定する。
2 歯冠修復及び欠損補綴を行った場合の費用の算定は、一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数を併せて算定できる。
3 印象採得、咬合採得、仮床試適及び装着については、それぞれの診療行為を行った際に算定する。
4 歯冠修復の当日に行う普通処置の費用については、歯冠修復の所定点数に含まれ別に算定できない。
5 歯冠継続歯、有床義歯、ブリッジ等において人工歯を使用した場合の当該人工歯の費用は人工歯を必要とする部位が両側にわたる場合は1組として、片側の場合は1/2組として、それぞれ人工歯材料料として算定する。
6 「通則4」による乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50を加算する。
7 著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行なうことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護婦等が参画した場合等に算定する。
8 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合(100分の50加算)は、乳幼児加算のみを算定する。
9 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における暫間被覆冠、歯肉圧排、歯肉整形、歯肉息肉除去、特定薬剤等の費用は、それぞれの所定点数に含まれる
10 「通則6」に規定する加算は、区分番号「C000」歯科訪問診療料を算定した患者、又は著しく歯科診療が困難な障害者に対して訪問診療を行った場合において、切削を伴う処置、手術、歯冠修復又は欠損補綴が必要な場合であって、切削器具及びその周辺装置を訪問先に携行して必要な処置を行った場合に、処置等の主たるものの所定点数に加算する。なお、同時にエアタービン及び歯科用電気エンジンを使用した場合は、いずれかの加算を算定する。
11 「通則7」でいう検査とは、区分「D004」平行測定から区分「D008」パントグラフ描記法に掲げる補綴関連検査のことをいう。
12 保険給付外診療で製作された歯冠修復物及び欠損補綴物であっても、後日破損した場合の修理(保険給付の修理と同一の場合)あるいは、脱落した際の再装着は、保険給付として差し支えない。
第1節 歯冠修復及び欠損補綴診療料
M000 補綴時診断料
(1) 補綴時診断料は、患者の当該初診における受診期間を通じ、新たな欠損補綴及び有床義歯の床裏装を行う場合に、着手した日において1回に限り算定する。
(2) 新たに生じた欠損部の補綴に際し、既成の有床義歯に追加する場合は、有床義歯の床裏床の場合と同様に補綴時診断料を算定する。
(3) 製作を予定する部位、欠損補綴物の名称及び設計の主要事項を診療録に記載する。
(4) 「注1」の加算は、有床義歯又はブリッジを新たに製作する場合、着手の日において1回に限り算定する。
M000―2 補綴物維持管理料
(1) 補綴物維持管理を実施する保険医療機関は、補綴物維持管理を開始する前月までに地方社会保険事務局長に届け出るものとする。なお、様式等については別途通知する。
(2) 「注1」の「歯冠補綴物」とは、インレーを除く鋳造歯冠修復、前装鋳造冠、帯環金属冠、歯冠継続歯、ジャケット冠、硬質レジンジャケット冠をいう。なお、乳歯に対する歯冠修復及び欠損補綴は、補綴物維持管理の対象としない。
(3) 「注2」の「補綴関連検査」とは、区分「D004」平行測定から区分「D008」パントグラフ描記法までに定める各種検査をいう。
(4) 補綴物維持管理料は、当該補綴物維持管理の対象となる補綴物ごとに、医療機関名、開設者名、装着日、補綴部位等を明記した補綴物維持管理に係る案内書等を交付し患者に対する情報提供を行った場合に限り算定できる。
(5) 注1の歯冠補綴物又はブリッジを保険医療機関において装着した日から起算して1年を経過した日以降2年を経過した日までの間に、止むを得ず隣在歯を抜歯し、ブリッジを装着する場合には、その理由書及び模型を地方社会保険事務局長に提出し、その判断を求めるものとする。
M001 歯冠形成
(1) 歯冠形成は、同一歯牙について、1回に限り歯冠形成が完了した日において算定する。なお、簡単な支台築造の費用、歯冠形成に付随して行われる麻酔等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(2) 歯冠形成完了後、完了した日とは別の日に当該歯牙に行われる麻酔の費用は別に算定できる。
(3) 「1」の所定点数には歯冠形成に付随して行われる処置等の一連の費用は含まれるが、歯冠修復物の除去を行った場合の除去料は別に算定できる。
(4) 「1のイ」及び「2のイ」の鋳造冠とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠及び臼歯の5分の4冠をいう。
(5) 「鋳造冠」とは、全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠等、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。
(6) 「1のロ」のジャケット冠とは、レジンジャケット冠及び硬質レジンジャケット冠をいう。
(7) 「4」の窩洞形成は1歯単位に算定する。したがって、同一歯牙に2窩洞以上の形成を行った場合も、窩洞数にかかわらず所定点数1回のみ算定する。
(8) 「4のイ」の「単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞をいう。
(9) 「4のロ」の「複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞をいう。
(10) 「乳歯金属冠」は既成の金属冠をいう。
(11) 燐酸セメント又はカルボキシレートセメントにより充填を行うための窩洞形成は「4のイ」により算定する。
(12) 可動性固定架工義歯(半固定性架工義歯)の可動性連結装着については「4のロ」により算定する。
(13) 歯冠修復物の脱落時において、軟化象牙質を除去して再形成を行った場合は、区分「I000」普通処置により算定する。
M001―2 齲●〔しょく〕歯即時充填形成
(1) 齲●〔しょく〕歯即時充填形成は、齲歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し充填を行った場合に限り算定し、次回来院の際、充填を行う場合は該当しない。
(2) C1″、C2″、C3″において充填物を除去し、即時充填のための窩洞形成を行った場合は、齲●〔しょく〕歯即時充填形成により算定する。この場合は、除去料の費用は算定できない。
(3) 当該歯牙の歯冠修復物の除去を伴う場合の費用は算定できない。
M001―3 齲●〔しょく〕歯インレー修復形成
(1) 齲●〔しょく〕歯インレー修復形成は齲歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し、印象採得及び咬合採得までを行った場合に算定する。
(2) C1″、C2″、C3″において充填物を除去し、インレー修復のための窩洞形成を行った場合は、齲●〔しょく〕歯インレー修復形成により算定する。この場合、除去料の費用は算定できない。
(3) 当該歯牙の歯冠修復物の除去を伴う場合の費用は算定できない。
M002 支台築造
(1) 「支台築造」とは、実質欠損の大きい失活歯に対して根管等により築造物を維持し、填塞又は被覆して支台歯形態に修復することをいう。
(2) 「メタルコア」とは、鋳造物により築造するものをいう。
(3) 「その他」とは、スクリューポスト(支台築造用)及び複合レジン(築造用)等により築造するものをいい、セメント等による簡単な支台築造は含まれない。
(4) 乳歯については、全部鋳造冠の歯冠形成は、帯環金属冠又は乳歯金属冠の歯冠形成、窩洞形成及び根面形成における支台築造の費用は算定できない。
(5) メタルコアによる支台築造物を再装着した場合は、装着料として区分「M005」装着の「1のロ」と装着に係る保険医療材料料とを算定する。
(6) 歯冠修復を行うにあたり、メタルコアと全部鋳造冠等を同一模型上で作製し、1日で患者に装着することは、歯科医学的に適切であると認められる場合に限られ、常態として行うことは認められない。
M003 印象採得
(1) 印象採得料は、有床義歯、ブリッジ及び義歯修理に当たってそれぞれの製作物ごとに算定する。
(2) ブリッジの印象採得料の算定の時期は、間接法の場合は最初の印象採得の日とし、直接法の場合は支台装着を試適して印象採得を行った日とする。
(3) 印象採得の費用は原則として歯冠修復及び欠損補綴に当たって印象採得又は 型採得を行った際に、製作物単位に算定する。ただし、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジにあっては、支台装置ごとに「1のイ」を、または、1装置ごとに「2のイの(1)」を算定する。
(4) その他の印象採得は、次により算定する。
ア 「1のロ」に該当するものは、鋳造歯冠修復、前装鋳造冠、歯冠継続歯、硬質レジンジャケット冠において連合印象又は各個トレーを用いて行ったものである。
イ 「その他のブリッジ」の印象採得について、一部の支台装置が鋳造歯冠修復、前装鋳造冠又は歯冠継続歯である場合にその支台歯につき連合印象を行った場合は「1のロ」の所定点数を算定する。
ウ 「2のイの(1)」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴(ワンピースキャストブリッジを除く。)及び有床義歯修理等である。
エ 9歯以上の欠損補綴及びケロイドにより口唇狭小で印象採得が困難な場合、又は分割印象等を行わなければ所期の目的を達し得ない場合は「2のイの(2)」により算定する。
オ 欠損補綴で連合印象又は各個トレーを用いて行った場合、又は有床義歯床裏装の印象採得料は「2のロ」により算定する。
カ 「2のハ」は、欠損補綴でレジン系印象材又はラバー系印象材等を用いて義歯により咬合圧印象を行った場合をいう。また、フレンジテクニック又はマイオモニターによる印象も本区分で算定する。
キ ケロイドにより口唇狭小の際に、連合印象又は特殊印象を行った場合は、「2のロ」又は「2のハ」によりそれぞれの所定点数を算定する。
(5) 「(注)」の「印象採得が困難なもの」とは、次に掲げるものである。
ア 局部義歯にあっては、9歯から14歯までの多数歯欠損の場合で、顎堤の吸収が高度であり残存歯の挺出や位置異常が著しいもの又は著しく顎堤被覆粘膜が肥厚したいわゆるフラビーガムの状態にあるものについて通常線鉤を使用して遊離端義歯又は複合義歯を製作する場合に行う印象採得。
イ 総義歯にあっては、顎堤の吸収が高度である場合又は著しく顎堤被覆粘膜が肥厚したいわゆるフラビーガムの状態にある場合に行う印象採得。
(6) ワンピースキャストブリッジの印象採得料は、1装置における支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計により算定する。
(7) ブリッジの製作に当たり、ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、止むを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、患者に装着した場合の印象採得は、「2のニ」により算定する。
M004 リテイナー
(1) リテイナー(Retainer)とは、ブリッジの製作過程において、支台歯の保護、支台歯及び隣在歯及び対合歯の移動防止並びに歯周組織の保護等のために歯冠形成完了後にブリッジ装着までの間暫間的に装着されるものをいう。
(2) リテイナーの費用は分割して製作してもブリッジ1装置につき所定点数1回の算定とする。
また、ブリッジ装着までの修理等の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(3) リテイナーの製作に当たり使用される保険医療材料料(人工歯を使用した場合の人工歯料を含む。)は所定点数に含まれ、別に算定できない。
(4) リテイナーの装着に用いた仮着セメント料については、印象採得後リテイナー装着に係る算定と同時点のものに限り算定が認められる。また、必要があってブリッジの試適を行った場合のリテイナーの再装着についても同様とする。
M005 装着
(1) 装着は次により算定する。
ア 「2のロの(1)」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴をいう。
イ 「2のロの(2)」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴をいう。
ウ 「2のロの(3)」に該当するものは、総義歯をいう。
(2) 装着の費用は原則として歯冠修復物又は欠損補綴物を装着した際に製作物ごとに算定する。
ただし、ブリッジにあっては別に支台装置ごとに「1のイ」又は「1のロ」を算定し、併せて保険医療材料料を算定する。
(3) 歯間離開度検査、装着後の歯冠修復の調整等の費用は、装着の所定点数に含まれる。
(4) 前装鋳造冠の装着を行った場合の費用は、「1のイ」により算定する。
(5) 「2のイの(1)の(一)又は(二)の(注)」による加算は、ワンピースキャストブリッジの製作に当たって生体との調和性をみるために装着日以前に仮着を行った場合に算定する。なお、仮着物の除去の費用は、算定できない。
(6) ワンピースキャストブリッジと同様の術式で支台歯形成から装着までを行う場合、止むを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、装着した場合の装着料は、「2のイの(1)の(一)又は(二)」により算定する。
(7) 欠損補綴の装着には咬合音検査の費用は含まれ、別に算定できない。
M006 咬合採得
(1) 歯冠修復及び欠損補綴における咬合採得については、製作物ごとに算定する。
ア 「1」に該当するものは、ブリッジの支台装置を除く歯冠修復。
イ 「2のイの(2)」に該当するものは、ワンピースキャストブリッジ以外のその他のブリッジ。
ウ 「2のロの(1)」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴。
エ 「2のロの(2)」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴。
オ 「2のロの(3)」に該当するものは、総義歯。
(2) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における咬合採得については、区分「M025」口蓋補綴、顎補綴の「1」を算定する場合は「2のロの(1)」の所定点数を、同区分の「2」を算定する場合は「2のロの(2)」の所定点数を、同区分の「3」を算定する場合は「2のロの(3)」の所定点数をそれぞれ咬合採得として算定する。また、副子における咬合採得については、当該副子の範囲に相当する歯数により、「2のロ」により算定する。
(3) 「2のロの(3)の(注)」における「困難なもの」とは、次に掲げるものをいう。
ア 習慣性又は筋機能異常等のため咬合位が定まらないもの
イ 著しく顎堤被覆粘膜が肥厚したいわゆるフラビーガムの状態にあるもの
ウ 座位のとれない患者
(4) 「2のロの(3)の(注)」の加算は総義歯の咬合採得に限り認められ、2回以上行った場合に1装置につき、1回に限り加算する。ただし、総義歯の仮床試適と同一日に行った咬合採得にあっては算定できない。
M007 仮床試適
(1) 仮床試適の費用は、仮床試適を行った際に製作物ごとに算定する。
(2) 仮床試適は次により算定する。
ア 「1」に該当するものは、1歯より8歯欠損までの欠損補綴。
イ 「2」に該当するものは、9歯より14歯欠損までの欠損補綴。
ウ 「3」に該当するものは、総義歯。
(3) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴における仮床試適については、区分「M025」口蓋補綴、顎補綴の「1」を算定する場合は「2」の所定点数を、同区分の「2」又は「3」を算定する場合は「3」の所定点数を算定する。
M008 ワンピースキャストブリッジの試適
(1) 前歯部に係るワンピースキャストブリッジの製作に当たり、鋳造物の適否等を診断するために試適を行った場合に算定する。
(2) その他のブリッジにおいては、前歯部に係る当該ブリッジの製作に当たり鋳造物等の適否等を診断するために、試適を行った場合は、「1」に準じて算定する。
<歯冠修復>
M009 充填
(1) 「単純なもの」とは隣接面を含まない窩洞に行う充填をいう。
(2) 「複雑なもの」とは隣接面を含む窩洞に行う充填をいう。
(3) 充填の費用は、1窩洞単位に算定する。ただし、同一面に限局する2窩洞の充填を行った場合においては、1窩洞としてそれぞれ「単純なもの」又は「複雑なもの」として算定する。
(4) 前歯部切端又は切端隅角のみのものは、「単純なもの」として算定する。
(5) 3面以上にわたる窩洞に硅酸セメント、硅燐酸セメント及び歯科充填用即時硬化レジンを行った場合は、「単純なもの」として算定する。
(6) 前歯部5級窩洞又は臼歯部楔状欠損に対する充填は、いずれも「1」により算定する。
(7) 充填を行うに当たり窩洞形成を行った場合は、区分「M001―2」齲●〔しょく〕歯即時充填形成の場合を除き、1歯につき区分「M001」歯冠形成の「4のイ」又は「4のロ」の所定点数を算定する。
(8) 歯科充填用材料Ⅰの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。
ア 単純なもの
「1」に掲げる所定点数及び「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「ロ 複雑なもの」に係る点数を算定する。
イ 複雑なもの
「2」に掲げる所定点数及び「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅰの「イ 単純なもの」に係る点数及び「ロ 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。なお、印象採得を行った場合は1個につき区分「M003」印象採得の「1」を、装着した場合は1個につき区分「M005」装着の「1のロ」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。
(9) 歯科充填用材料Ⅱの保険医療材料料を算定する歯科用複合レジン充填材料を用いて、窩洞の修復を行った場合は、次の取扱いとする。
ア 単純なもの
「1」に掲げる所定点数及び「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「ロ 複雑なもの」に係る点数を算定する。
イ 複雑なもの
「2」に掲げる所定点数及び同区分の「注」に規定する加算点数を合算した点数を算定し、保険医療材料料については歯科充填用材料Ⅱの「イ 単純なもの」に係る点数及び「ロ 複雑なもの」に係る点数を合算した点数を算定する。なお、印象採得を行った場合は1個につき区分「M003」印象採得の「1」を、装着した場合は1個につき区分「M005」装着の「1のロ」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。
(10) 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合にアマルガム等で封鎖した場合は、区分「M009」充填の「1」と保険医療材料料により算定する。
なお、形成を行った場合は区分「M001」歯冠形成の「4のイ」の所定点数により算定する。
また、歯肉を剥離して行った場合は区分「J006」歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。
(11) 光重合型充填用レジン強化グラスアイオノマーにより充填を行うに当たり、歯質と充填材料との接着のための専用のコンディショナーを用いた場合には、「注」の加算点数を算定する。
ただし、加算点数には保険医療材料料が含まれ、別に算定できない。
M010 鋳造歯冠修復
(1) 「単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に行うインレーをいう。
(2) 「複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に行うインレーをいう。
(3) 可動性固定架工義歯(半固定性架工義歯)の可動性連結装置については、1装置につき「1のロ」に準じて算定する。
(4) 全部鋳造冠、前装鋳造冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠とは、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で製作する鋳造歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の鋳造歯冠修復のすべての場合が該当するものではない。
(5) 乳歯の歯冠修復は銀合金により行う。また、乳歯に対する鋳造歯冠修復については、交換期を考慮して鋳造歯冠修復を行うことは認められるが、乳歯の解剖学的特殊性を考慮して窩洞形成を行うこと。
(6) 鋳造歯冠修復の欠損部を鋳造歯冠修復によって修復することは、全部鋳造冠の場合を除き、認められない。
(7) 智歯に対し必要がある場合には、鋳造歯冠修復を行って差し支えない。
(8) 歯槽中隔部に骨吸収及び肉芽を形成している下顎大臼歯を保存可能と診断した場合において、当該歯牙を近遠心根の中隔部において分離切断し、中隔部を掻爬するとともに、各根管に対し歯内療法を行った上で、近心根、遠心根にそれぞれ鋳造冠を製作し連結して装着する場合には、歯内療法については当該歯牙を単位として算定し、歯冠修復については製作物ごとに算定する。
なお、歯冠修復における保険医療材料料については、それぞれ小臼歯の材料料として算定する。
(10) コンビネーション・インレーを製作した場合はそれぞれの所定点数により算定する。
(11) 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根を保存する場合であって、根の削除のみを行う場合は、区分「I000」普通処置により算定する。
ただし、歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置の上、鋳造歯冠修復で根面を被覆した場合には、歯冠形成については区分「M001」歯冠形成の「4のイ」、鋳造歯冠修復については「1のイ」と保険医療材料料とを算定する。
(12) 抜歯禁忌症以外であっても、必要があって、根管処置及び根面被覆処置が完了した残根上に、義歯の装着を行うことは認められる。
M011 前装鋳造冠
(1) 前装鋳造冠とは、全部鋳造冠方式で製作された歯冠修復物の唇面を硬質レジンで前装したものをいい、前歯に限り認められる。
(2) 前装鋳造冠及び前装鋳造ポンテイック(ダミー)の前装部分の破損部分に対して、口腔内にて充填により補修を行った場合は、形成は区分「M001」歯冠形成の「4のイ」、充填は区分「M009」充填の「1」及び保険医療材料料並びに研磨は区分「M028」充填物の研磨により算定する。
(3) 前装鋳造冠を装着するに当たり、
ア 歯冠形成を行った場合は、1歯につき生活歯は区分「M001」歯冠形成の「1のイ」及び同区分「1のイの注2」の加算点数を、失活歯は同区分の「2のイ」及び「2のイの注2」の加算点数を算定する。なお、支台築造を行った場合は区分「M002」支台築造の「1」又は「2」及び保険医療材料料を算定する。
イ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分「M003」印象採得の「1のロ」を算定する。
ウ 装着した場合は、1個につき区分「M005」装着の「1のイ」を算定する。
M012 帯環金属冠
(1) 帯環金属冠等を咬合の適否を見るため固定装着せず、翌日にセメント装着する予定の場合、その間に患者の不注意等により紛失し再製したときは、患者の不注意によるときは患者負担とし、歯科医師の不注意による場合は歯科医師の負担とし、その他の場合は保険給付とする。
(2) 有髄歯である不正咬合歯に対して、抜髄の上歯冠修復を行い、咬合、咬交の機能回復を図った場合は所定点数を算定する。
(3) 適当な鉤歯がなく歯冠形態又は植立状態が不良で鉤歯として不適な歯牙に歯冠修復を行うことにより鉤歯として目的が達せられる場合には、歯冠修復の所定点数を算定できる。
(4) 嚼面充実冠とはピーソークラウンのことをいう。
(5) 帯環金属冠を装着するに当たっては、次のとおり算定する。
ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯に行う場合は区分「M001」歯冠形成の「1のハ」を、失活歯に行った場合は同区分の「2のハ」を算定する。
イ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分「M003」印象採得の「1のイ」を算定する。
ウ 装着した場合は、1歯につき区分「M005」装着の「1のロ」と保険医療材料料とを算定する。
M013 歯冠継続歯
(1) 適応症であれば、歯科医学上必要性が認められる場合に限り小臼歯に対して歯冠継続歯を行った場合に所定点数を算定する。
(2) 歯冠継続歯を装着するに当たっては、次のとおり算定する。
ア 歯冠形成(根面形成)を行った場合は1歯につき、区分「M001」歯冠形成の「3」又は当該所定点数に「注」を加算した点数を算定する。
イ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分「M003」印象採得の「1のイ」又は「1のロ」を算定する。
ウ 装着した場合は、1歯につき区分「M005」装着の「1のイ」と保険医療材料料とを算定する。
M014 ジャケット冠
(1) ジャケット冠はレジンジャケット冠のことをいう。
(2) 乳歯に対するジャケット冠についても所定点数を算定する。
(3) ジャケット冠を装着するに当たり
ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯に行う場合は区分「M001」歯冠形成の「1のロ」を、失活歯に行った場合は同区分の「2のロ」を算定する。
イ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分「M003」印象採得の「1のイ」を算定する。
ウ 装着した場合は、1歯につき区分「M005」の「1のロ」と保険医療材料料とを算定する。
(4) 歯科射出成形樹脂(歯冠用)を用いて、単層成形を行った場合は、ジャケット冠により算定する。
(5) 乳歯又は永久歯の前歯の歯冠部全体のエナメル質の一層を削除し、エナメルエッチング法を実施した後、クラウンフオームのビニールキャップに複合レジンを填入し、支台歯に圧接を行い、硬化後キャップを除去した上で、調整して歯冠修復を完成した場合は、歯冠形成については区分「M001」歯冠形成の「1のロ」により、また、歯冠修復についてはジャケット冠の所定点数に算定する。
なお、この場合、使用した保険医療材料料は、歯科充填用材料Ⅰ又はⅡの「イ 単純なもの」と「ロ 複雑なもの」を合算して算定する。
(6) 複合レジン冠を失活歯に行った場合は所定点数を算定する。なお、歯冠形成は区分「M001」歯冠形成の「2のロ」により算定する。
M015 硬質レジンジャケット冠
(1) 硬質レジンジャケット冠を装着する場合は、次の通り算定する。
ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分「M001」歯冠形成の「1のロ」を、失活歯の場合は同区分の「2のロ」を算定する。
イ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分「M003」印象採得の「1のイ」又は「1のロ」を算定する。
ウ 装着した場合は、1歯につき区分「M005」装着の「1のイ」と保険医療材料料とを算定する。
(2) 応分の咬合圧に耐えうる場合等に限り、小臼歯に対して硬質レジンジャケット冠により歯冠修復を行った場合には所定点数により算定する。
(3) 歯冠用強化ポリサルホン樹脂を用いて、歯科射出成形樹脂(歯冠用)とともに二層成形を行った場合は、硬質レジンジャケット冠により算定する。
M016 乳歯金属冠
(1) 乳歯金属冠は既製の金属冠をいう。
(2) 乳歯金属冠を装着するに当たっては、次のとおり算定する。
ア 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分「M001」歯冠形成の「1のニ」を、失活歯の場合は同区分の「2のニ」を算定する。
イ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分「M003」印象採得の「1のイ」を算定する。
ウ 装着した場合は、1歯につき区分「M005」装着の「1のロ」と保険医療材料料とを算定する。
<欠損補綴>
M017 ポンティック(ダミー)
(1) 臼歯部におけるポンティック(ダミー)にレジン歯を使用することは認められないが、咬合面を金属で製作し、他の部分に合成樹脂装を施した場合に所定点数を算定する。
(2) 延長ブリッジの場合の7番ポンティック(ダミー)の保険医療材料料は小臼歯(鋳造ポンティック(ダミー)の保険医療材料料の小臼歯)に該当する保険医療材料料を算定する。
(3) 前装鋳造ポンティック(ダミー)とは、鋳造方式により製作されたポンティック(ダミー)の唇面を硬質レジンにより前装したものをいう。
(4) 前装鋳造ポンティック(ダミー)は、前歯の支台歯を前装鋳造冠又は4分の3冠により製作されたブリッジの前歯のものに限り認められる。ただし、3番、4番の2歯欠損については、小臼歯の前装鋳造ポンティック(ダミー)は算定できる。
(5) 可動性固定架工義歯(半固定性架工義歯)の可動性連結装置を使用した場合は、区分「M010」鋳造歯冠修復の「1のロ」及び区分「M001」歯冠形成の「4のロ」を算定する。
(6) ブリッジの製作に当たり支台歯の植立方向によりポンティック(ダミー)を分割して製作することは、認められない。
(7) ブリッジについては、以下の適用によるものとする。
ア ブリッジの給付について
(イ) ブリッジは歯の欠損状況から「ブリッジの適応症と設計」(1992年)に示す方法で支台歯数等を定め製作する。
(ロ) 連続欠損の場合は、2歯までとする。ただし、中側切歯については連続4歯欠損まで認められる。
(ハ) 延長ブリッジは原則として認められない。ただし、第二大臼歯欠損の場合に、咬合状態及び支台歯の骨植状態を考慮し、半歯程度のポンティック(ダミー)を行う場合に限り認められる。
(ニ) 隣接歯の処置状況等からやむをえず延長ブリッジを行う場合にあっては、側切歯及び小臼歯1歯のみ認められる。
(ホ) 第三大臼歯は歯軸に傾きがなく歯周組織が健全で骨植堅固な場合に限り支台歯として認められる。
イ ブリッジ設計の考え方
ブリッジの設計については、「ブリッジの適応症と設計」(1992年)によること。
M018 有床義歯
(1) 欠損補綴に当たっての歯数の数え方については、欠損歯数によるものではなく、人工歯の数による。欠損歯が4歯であっても、人工歯の配列上5歯となる場合には、その歯数は5歯とする。
(2) 局部義歯のうち12歯より14歯については、あくまで残存歯があり、局部義歯として補綴を行った場合に限り算定する。なお、1床14歯の局部義歯の場合もあり得る。
(3) 「1」の遊離端義歯とは欠損部の後方に天然歯のない場合に製作した義歯をいい、また、複合義歯とは遊離端義歯と中間義歯(欠損部の前後又は左右に天然歯のある場合に製作した義歯をいう。)とが混合している義歯をいう。
(4) 上顎左側第二第臼歯から上顎右側第二第臼歯が欠損している(欠損歯数14歯)症例において、歯冠の一部が露出した状態の埋伏智歯が残存している場合又は当然抜歯すべき症例のうち何らかの理由で抜歯不可能な場合は、智歯と無関係に総義歯同様の義歯を製作したときは、総義歯として算定する。
(5) 抜歯後1か月を経過していなくても歯科医学的にみて適当であると認められる場合に限り、義歯の製作の費用は所定点数により算定する。
(6) 抜歯禁忌症以外の場合で、残根歯に対して歯内療法及び根面被覆処置が完了したものについて、必要があって義歯を製作した場合には、その費用は算定できる。
(7) 骨植堅固で保存可能な残根歯を利用したアタッチメントを使用した総義歯については算定できない。
(8) 前歯部の間隔のみがある場合、これを有床義歯の隙により補綴することは歯科医学的に適切でない。
(9) 小児義歯は原則として認められないが、後継永久歯が無く著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症児に対する小児義歯に限り、有床義歯に準じて算定する。
(10) 模型上で抜歯後を推定して製作する即時義歯は認められる。ただし、即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できない。
なお、歯肉の退縮等により比較的早期に床裏装を行った場合は、区分「M029」有床義歯修理により算定する。
(11) 有床義歯を1日で製作し装着することは、特殊な症例で歯科医学的に適切な場合に限り、その費用は算定できる。ただし、常態として1~2日で製作し装着を行うものの、装着後の調整指導を実施しない保険医療機関においては認められない。
M019 スルフォン樹脂有床義歯
(1) 義歯床用スルフォン樹脂とは、義歯床用ポリエーテルサルホン樹脂、義歯床用ポリサルホン樹脂及び義歯床用強化ポリカーボネート樹脂をいう。
(2) 「1の注」の遊離端義歯とは欠損部の後方に天然歯のない場合に製作した義歯をいい、また、複合義歯とは遊離端義歯と中間義歯(欠損部の前後又は左右に天然歯のある場合に製作した義歯をいう。)とが混合している義歯をいう。
M020 鋳造鉤
(1) 14カラット金合金による鉤は2歯欠損までの有床義歯の場合に限り算定できる。
(2) 保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料により算定する。
(3) ローチのバークラスプ及び鋳造によるバックアクション鉤は両翼鉤として算定し、2歯以上にわたるバークラスプは、双歯鉤として算定する。
なお、保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料の区分の大・小臼歯により算定する。
M021 線鉤
バックアクション鉤等に要する費用は、「1」により算定する。
M023 バー
(1) 保持装置とは、孤立した中間欠損部分を補綴するため、局部義歯の鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子をいう。
(2) 鋳造バー、屈曲バーに保持装置を装着した場合は、その使用個数に応じて算定する。
(3) 緩圧式バーは「1」又は「2」により算定し、ケネディバーは「1」により算定する。
(4) バー義歯が破損し、バーの取替えが必要な症例に限り新たなバーに要する費用は算定できる。
また、有床義歯修理の際に、新たにバーを付与した場合も歯科医学上適切な場合に限り算定できる。
(6) 補強線の保険医療材料料は、不銹鋼及び特殊鋼により算定する。
(7) 補強線は、歯牙欠損部、残存歯牙の植立状態、対咬関係、顎堤の形態及び粘膜の性状等を勘案し、義歯の破損防止のために使用した場合に限り算定できる。
(8) 義歯が破折を繰り返す場合に、新たに義歯を製作するに当たり、必要があって補強線を使用した場合は、その費用は算定できる。
(9) 義歯修理の際の補強線を使用した場合の費用は、1本に限り算定できる。
(10) 局部義歯の修理に際し、広範囲にレジン床を削除して、やむを得ずバーと同程度の強度を有する線を使用した場合は補強線に準じて算定する。
M024 臼歯金属歯
局部義歯又は総義歯において臼歯金属歯を使用した場合には、区分「M018」有床義歯の所定点数と臼歯金属歯の所定点数とを合算して算定する。
M025 口蓋補綴、顎補綴
(1) 義歯を装着した口蓋補綴又は顎補綴を行った場合の費用は、義歯の費用と口蓋補綴又は顎補綴の費用をそれぞれ算定する。
(2) 口蓋裂に起因する鼻咽腔閉鎖機能不全による言語療法のため鼻咽腔閉鎖機能改善の必要があり、いわゆるスピーチエイド等の発音補装装置を装着した場合は本区分により算定する。
なお、当該装置の調整に要する費用は区分「M029」有床義歯修理により算定する。
(3) 濾胞性歯嚢胞の摘出の際、あらかじめ術前に製作しておいた口蓋板の装着は、「1」により算定する。
(4) 舌の切除等の外科的療法を行った後の発音障害に対して、必要があって有床義歯に発音補助装置を付加して製作し装着した場合、当該発音補助装置については「2」により算定する。
ただし、印象採得の費用は算定できない。
<その他の技術>
M026 補綴隙
(1) 補綴隙は、必要と認められる場合に限り前歯部にはレジン隙を、臼歯部には金属隙の使用が認められるが、その費用は、いずれも補綴隙の所定点数により算定する。なお、総義歯については認められない。
(2) 間隔が広く補綴物を必要とする場合は金属冠に使用しても差し支えない。
M027 ろう着
(1) 歯冠修復物又は欠損補綴物をそれぞれろう着した場合の費用は、ブリッジ及び歯冠修復物のろう着を行う場合を除き、本区分の所定点数により算定する。
(2) 異種合金のろう着は原則として認められないが、バー義歯の製作に当たり、歯科医学上必要性が認められ、金銀パラジウム合金鉤と特殊鋼バーとをろう着した場合に限り認められる。
M028 充填物の研磨
(1) 充填を行った場合の研磨に要する費用は、1歯につき1回に限り算定できる。
<修理>
M029 有床義歯修理
(1) 有床義歯の修理の費用は、人工歯数に関係なく所定点数により算定する。この場合、修理に伴って鉤を新たに製作したときは、その鉤の費用については、鉤の所定点数により算定する。
(2) 有床義歯修理の場合において、例えば陶歯の破折脱落のため陶歯を新たに使用した場合又は1歯を抜歯し、旧義歯床を延長して新たに1歯分の補綴をした場合の費用は、有床義歯修理と人工歯料の所定点数を合算して算定する。
(3) 破損した有床義歯を修理した後、新たに有床義歯を製作した場合の費用はそれぞれ所定点数により算定する。
(4) 鉤歯の抜歯又は鉤の破損等のため不適合となった鉤を、連結部から切断した場合は、修理又は床裏装を前提に切断した場合に限り、除去料を算定する。
(5) 局部義歯の修理に際し、広範囲にレジン床を削除して、やむを得ずバーと同程度の強度を有する線を使用した場合は補強線に準じて算定する。
M030 有床義歯床裏装
(1) 有床義歯床裏装は、アクリリック樹脂又はスルフォン樹脂で製作された義歯床の粘膜面を一層削除し、新たに義歯床の床裏装を行った場合に当該義歯の人工歯数に応じ所定点数を算定する。
(2) 義歯が不適合で有床義歯を新たに製作することを前提に行った床裏装は、有床義歯修理の所定点数により算定する。
(3) 義歯破損に際し義歯修理のみにより当初の目的を達せられない場合、歯科医学的判断により、床裏装を行ったときは、修理及び有床義歯床裏装の点数をそれぞれ算定する。ただし、同一日に直接法により床裏装を行った場合の修理の費用は、有床義歯床裏装の所定点数に含まれる。
(4) 床裏装に際しての印象採得料は区分「M003」印象採得の「2のロ」により算定する。
(5) 口蓋補綴を行い、有床義歯装着後、当該義歯不適合のため床裏装を行った場合は、「2」により算定する。
(6) 有床義歯の換床を行った場合は、本区分により算定する。
(7) 現在使用中の総義歯又は多数歯欠損の局部義歯において必要があって人工歯を置換した場合若しくは咬合高径等を調整する目的で、人工歯の咬合面にレジンを添加し再形成を行った場合は、有床義歯床裏装により算定する。
(8) 旧義歯が不適合で床裏装や再製が必要とされる場合に、粘膜異常に対してそれを調整するために、旧義歯を調整しながら、ティッシュコンディショナーを用いテッシュコンディショニングを行った場合は、当該義歯の調整を含めて、1回につき区分「J006」歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。なお、当該点数を算定した場合は、区分「M036」有床義歯調整・指導料の算定は認められない。
M032 帯環金属冠修理
(1) 修理に際して同時に普通処置、抜髄又は根管充填等の処置を行った場合は、それらの処置の費用はそれぞれの所定点数により算定する。
(2) 歯科医学的に適切なブリッジの修理については、当該ブリッジが別に定める材料価格基準に収載されている代用合金材料で製作されている場合は、「2」の所定点数に当該ブリッジのポンティック(ダミー)と支台歯の数の合計数を乗じて得た点数により算定する。
(3) ブリッジの修理に際し印象採得を行った場合は、1装置につき区分「M003」印象採得の「2のイの(1)」により算定する。
(4) ブリッジの修理に際し装着を行った場合は、支台装置1歯につき区分「M005」装着の「1のイ」又は「1のロ」により、ブリッジ1装置につき同区分の「2のイ」のそれぞれの所定点数により算定する。ただし、口腔内においてポンティック(ダミー)部分を修理した場合の装着料の算定は認められない。
(5) 平成4年3月までに保険給付をされていたブリッジで同月までに装着されたものが、破損した場合の修理(保険給付の修理と同一の場合)あるいは脱落した際の再装着の費用は所定点数により算定する。
M033 金合金鉤修理
金合金鉤修理の所定点数は、14カラット金合金鋳造鉤以外の金合金鉤(従来の金鉤)について修理を行った場合に算定し、14カラット金合金鋳造鉤の修理は算定できない。
M034 歯冠継続歯修理
(1) 前歯部のポンティック(ダミー)の修理は、本区分により算定する。
(2) 咬合面が金属であるレジン裏装を行った臼歯部架工義歯のポンティック(ダミー)においてレジン裏装が脱落し、これを即時重合レジンで修理した場合は本区分により算定する。
(3) レジンジャケット冠の一部破損に対して、口腔内において即時硬化レジンで修理した場合は、本区分により算定する。
M036 有床義歯調整・指導料
(1) 有床義歯調整・指導料の「注1」に規定する有床義歯の装着とは新製義歯の装着をいう。
(2) 別の保険医療機関で製作した有床義歯の調整及び指導については、装着後1月以内であっても有床義歯調整・指導料により算定する。
(3) 有床義歯の新製を前提に旧義歯の修理を行う場合は、旧義歯修理の際は有床義歯調整・指導料を算定し、有床義歯の新製後に新製義歯調整指導料を算定する。
(4) 有床義歯の新製を行った月と同一月に、当該有床義歯とは別の欠損部位の有床義歯の修理又は床裏装を行った場合、修理又は有床義歯床裏装の費用の算定は認められる。なお、調整指導に係る費用は1口腔単位として算定するものであることから、同日に新製義歯及び床裏装又は床修理を行った義歯について調整指導を行った場合は、新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料のいずれかで算定する。
(5) ティッシュコンディショニングを行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、新製義歯調整指導料、有床義歯・調整指導料、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)又は有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)はいずれも算定しない。この場合において、当該有床義歯の新製後又は床裏装後に新製義歯調整指導料又は有床義歯調整・指導料を算定する。
(6) 有床義歯の検査及び調整指導を行った場合は、要点を診療録に記載する。なお、有床義歯の検査及び調整指導については、日本補綴歯科学会の「有床義歯の調整・指導についてのガイドライン」を参考とすること。
(7) 有床義歯を新製し、新製義歯調整指導料を算定し、継続して診療を行っている患者に対し、時期を異にして有床義歯の新製を行った場合にあっては、義歯の調整指導に係る費用は、有床義歯調整・指導料を算定する。
M038 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)
(1) 有床義歯を新たに製作し、装着した患者について、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)の算定要件に該当する期間以前の時点において、当該有床義歯の装着部位とは異なる部位について別に有床義歯の新製又は有床義歯床裏装を行った場合は、当初の義歯の装着からの期間により有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定できる期間を計算する。
(2) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した月の翌月以降であって、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)の算定要件に該当する期間以前の時点において、1装置以上の有床義歯の新製又は床裏装を行った場合は、当該新製又は床裏装に係る有床義歯の装着からの期間により再び有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定できる期間を計算する。
(3) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は、診療報酬明細書に新製義歯の装着を行った年月を記入し、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)を算定する場合は、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した年月を記入すること。なお、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定後に床裏装を行い、再度有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は当該床裏装を行った年月を記入すること。
(4) 「注4」に掲げる加算は、有床義歯の長期適正使用を推進するため、特に咬合の回復が困難な患者に対する長期調整指導を評価したものである。なお、咬合の回復が困難な患者とは、次のいずれかの要件を満たす患者をいう。
ア 総義歯を装着した患者
イ 9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外には対合歯間の接触関係を有しない患者
M039 有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)
(1) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した月の翌月以降であって、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)の算定要件に該当する期間以前の時点において、1装置以上の有床義歯の新製又は床裏装を行った場合は、当該新製又は床裏装に係る有床義歯の装着からの期間により再び有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定できる期間を計算する。
(2) 有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は、診療報酬明細書に新製義歯の装着を行った年月を記入し、有床義歯長期調整指導料(Ⅱ)を算定する場合は、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定した年月を記入すること。なお、有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定後に床裏装を行い、再度有床義歯長期調整指導料(Ⅰ)を算定する場合は当該床裏装を行った年月を記入すること。
(3) 「注4」に掲げる加算は、有床義歯の長期適正使用を推進するため、特に咬合の回復が困難な患者に対する長期調整指導を評価したものである。なお、咬合の回復が困難な患者とは、次のいずれかの要件を満たす患者をいう。
ア 総義歯を装着した患者
イ 9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外には対合歯間の接触関係を有しない患者
第13部 歯科矯正
[通則]
1 歯科矯正は、唇顎口蓋裂に起因した咬合異常若しくは別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養又は特定承認保険医療機関において行う「保険医療機関及び保険医療養担当規則第5条の2の第2項」に規定する厚生大臣の承認を受けた療養に限り保険診療として対象とする。
2 歯科矯正の費用は、第1節の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されている場合を除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の保険医療材料料を合算して算定する。
3 印象採得、咬合採得及び装着については、それぞれの診療行為を行った日に算定する。
4 歯科矯正料の項に掲げられていない歯科矯正のうち、特殊な歯科矯正の歯科矯正料は、その都度当局に内議し、最も近似する歯科矯正として準用が通知された算定方法により算定する。
5 歯科矯正においては、患者が任意に診療を中止し、一月を経過した後、再び同一症状又は同一病名で当該保険医療機関に受診した場合は、初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む)は算定できない。
第1節 歯科矯正料
N000 歯科矯正診断料
(1) 歯科矯正診断料は、唇顎口蓋裂に起因した咬合異常が認められる患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析し、これらの分析結果と過去に行った治療内容の評価と併せて可及的に長期的な予測を行い、治療計画書を作成した場合に算定する。
(2) 治療計画書とは、裂型の分類及び歯牙年齢によるステージ分類、歯科矯正において採用すべき個々の療法の開始時期及びその内容、療養上の指導計画等が記載されているものをいう。
(3) 歯科矯正診断料を算定した後、「注2」に掲げる歯科矯正診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びにセファログラム及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、歯科矯正診断料は、算定できない。
(4) 治療計画書の要点を診療録に記載する。
N001 顎口腔機能診断料
(1) 顎口腔機能診断料は、厚生大臣が定める施設基準に適合していると地方社会保険事務局長に届出を行った保険医療機関に限り算定する。
(2) 顎口腔機能診断料は、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析し、これらの分析結果、顎口腔機能の分析結果及び既に行った治療内容の評価を併せて可及的に長期的な予測を行い、治療計画書を作成した場合に限り算定する。
(3) 顎口腔機能分析には、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査及び予測模型等による評価を併せて行う。
(4) 治療計画書とは、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の歯科矯正において採用すべき個々の療法の開始時期及びその内容、療養上の指導計画、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等が記載されているものをいう。
(5) 顎口腔機能診断料を算定した後、「注2」に掲げる顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びにセファログラム及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、顎口腔機能診断料は算定できない。
(6) 顎口腔機能診断料の算定に係る歯科矯正及び顎離断等の手術は、歯科矯正に関する医療を担当する歯科医師及び口腔に関する医療を担当する歯科医師又は医師の十分な連携の下に行われるべきものであり、これら一連の治療に関する記録は、当該医療を担当するそれぞれの歯科医師又は医師において保管する。
(7) 治療計画書の要点を診療録に記載する。
N002 歯科矯正管理料
(1) 「注1」に規定する「計画的な歯科矯正管理」とは、歯と顎の変化及び移動の把握並びにそれに基づく治療計画の点検及び修正をいう。また、「経過模型による歯の移動等の管理」とは、経過模型を製作し、過去に製作した経過模型と対比し、歯の移動等を把握することをいう。
(2) 区分「N000」歯科矯正診断料の「注1」に規定する治療計画書が作成されていない場合及び当該保険医療機関において歯科矯正の治療が行われていない場合には、歯科矯正管理料は算定できない。
(3) 療養上必要な指導とは、区分「N000」歯科矯正診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づいた矯正装置の取扱い、口腔内衛生、栄養、日常生活その他療養上必要な指導をいう。
なお、療養上必要な指導を行った場合には、患者の症状の経過に応じて、既に行われた指導等の評価及びそれに基づいて行った指導の内容の要点を診療録に記載する。
(4) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科矯正管理料は算定できない。
(5) 歯科矯正管理を行った場合に使用した経過模型、口腔内写真、顔面写真等の費用は、歯科矯正管理料に含まれる。
(6) 保定における保定装置の調整の費用は、歯科矯正管理料に含まれる。
N003 歯科矯正セファログラム
(1) 歯科矯正セファログラムとは、焦点と被写体の中心及びフィルム面が常に一定の距離を保持し、かつ、エックス線の主線が両耳桿の延長線に対して、0度、90度又は45度に保てる規格の機器を用いて撮影したものをいう。
なお、常に一定の距離とは、個々の患者につき、焦点と被写体の中心及びフイルム面の距離が経年的に一定であることをいう。
(2) 一連とは、側貌、前後像、斜位像等の撮影を全て含むものである。
(3) フィルム料は、区分「E300」フィルムにより算定する。
N004 模型調製
(1) 平行模型は、咬合平面が水平になるよう製作したときに、顎態模型は、眼耳平面を基準として顎顔面頭蓋との関係を明らかにした模型を製作したときに算定する。
(2) プラスターベースは、平行模型及び顎態模型を一定の規格に維持した状態で長期にわたって保管する必要があるために用いる。
(3) 平行模型は、歯科矯正を開始したとき、動的処置を開始したとき、マルチブラケット法を開始したとき、顎離断等の手術を終了したとき及び保定を開始したとき、各々につき一回に限り算定する。
(4) 予測模型は、歯及び顎の移動後の咬合状態の予測を模型上にあらわしたものである。
(5) 予測模型は、歯科矯正の治療においてダイナミックポジショナー及びスプリングリテーナーを製作した場合には各々につき一回算定する。なお、歯科矯正を開始したとき又は動的処置を開始したときは、いずれかについて1回に限り算定するものとし、顎離断等の手術を開始したときも1回に限り算定する。
N005 動的処置
(1) 動的処置とは、区分「N000」歯科矯正診断料の「注1」に規定する治療計画書及び区分「N008」装着「1の注2」に規定する力系に関するチャートに基づき、矯正装置に用いた主線、弾線、スクリュー等の調整並びに床の削除及び添加により、歯及び顎の移動・拡大等を計画的に行うものとする。
(2) 動的処置は、装置装着時及び保定装置の使用時には算定できない。
(3) 同一月内における装置の装着と日を異にして行った動的処置は、同一月内の第1回目として取り扱う。
N006 印象採得
(1) 歯科矯正における印象採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。
(2) マルチブラケット装置の印象採得をステップⅠ、ステップⅡ、ステップⅢ及びステップⅣの各ステップにおいて行った場合は、各ステップにつき1回に限り算定する。
(3) 「2のイ」に該当するものは、唇裂の場合である。
(4) 「2のロ」に該当するものは、唇顎口蓋裂、顎口蓋裂、口蓋裂及び唇顎裂の場合である。
(5) 「2のハ」に該当するものは、前記(4)に該当する場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合又は残孔の状態にある場合である。
(6) リトラクター又はプロトラクターを製作するために顎顔面の採型を行った場合は、「2のハ」により算定する。
(7) 双線弧線装置を使用して歯科矯正を行う場合の第1回目の装置の印象採得は、「1」、装着は区分「N008」装着の「1のロ」及び装置は区分「N018」マルチブラケット装置の「1のロ」により算定するものとし、第2回目以降の装置については同区分「1のロ」のみ算定とする。
なお、区分「N008」装着の「1の注2」については算定できるものであるが、区分「N018」マルチブラケット装置の「注1」については算定できない。
N007 咬合採得
(1) 歯科矯正における咬合採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。
(2) マルチブラケット装置の場合は、算定できない。
(3) 「2」に該当するものは、唇顎口蓋裂、顎口蓋裂、口蓋裂及び唇蓋裂の場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合である。
(4) 構成咬合とは、アクチバトール、ダイナミックポジショナーの製作のために筋の機能を賦活し、その装置が有効に働き得る咬合状態を採得するものをいう。
N008 装着
(1) 「1のイ」に該当するものは、患者が自由に着脱できる床装置、アクチバトール、リトラクター等である。
(2) 「1のロ」に該当するものは、患者が自由に着脱できないリンガルアーチ、マルチブラケット装置、ポータータイプの拡大装置等である。
(3) 装置の装着料は、マルチブラケット装置を除き第1回の装着の場合にのみ算定する。
(4) マルチブラケット装置の装着料は、各ステップにつき1回に限り算定する。
(5) ポータータイプ又はスケレトンタイプの拡大装置に使用する帯環の装着料は、装置の装着料に含まれる。
(6) マルチブラケット装置の装着時の結紮料は、装着料に含まれる。
(7) フォースシステムとは、歯及び顎の移動に関して負荷する矯正力の計画を立てることであり、力系に関するチャートとは、フォースシステムを基にした矯正装置の選択及び設計のチャートである。
(8) メタルリテーナーを除いた保定装置の製作に当たって、フォースシステムを行った場合であっても、フォースシステムの費用は算定できない。
N009 撤去
ポータータイプの拡大装置の撤去の費用は、同装置を最終的に撤去する場合に1回に限り帯環数に応じて算定する。
N010 セパレイティング
(1) セパレイティングとは、帯環を調製装着するため、歯間を離開させることをいい、相隣接する2歯間の接触面を1か所として算定する。なお、これに使用した真鍮線等の撤去に要する費用は、所定点数に含まれる。
(2) クラウディング(叢生)について、唇顎口蓋裂に起因した咬合異常の歯科矯正を行う際に歯の隣接面の削除を行った場合は、区分「I000」普通処置により算定する。
N011 結紮
マルチブラケット装置において結紮を行った場合にのみ算定する。
N012 床装置
マルチブラケット装置以外の装置については、次により算定する。
ア 「1」については、顎の狭窄を伴わない場合に装着する装置について算定する。
イ 「2」については、前後又は側方の顎の狭窄を伴う場合又は残孔の状態にある場合に装着する装置について算定する。