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○新診療報酬点数表(平成六年三月厚生省告示第五四号)の一部改正に伴う実施上の留意事項について

(平成一二年三月一七日)

(保険発第二八号)

(都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長・国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長・歯科医療管理官通知)

標記については、本日、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法の一部を改正する件」(平成一二年三月厚生省告示第六六号)が公布され、平成一二年四月一日より適用されることとなったところであるが、この実施に伴う留意事項は、医科診療報酬点数表については別添1、歯科診療報酬点数表については別添2及び調剤報酬点数表については別添3のとおりであるので、その取り扱いに遺憾のないよう関係者に対し、周知徹底を図られたい。

なお、従前の「新診療報酬点数表の制定(昭和三三年告示の全部改正)等に伴う実施上の留意事項について」(平成六年三月一六日保険発第二五号)貴職あて当職通知は、平成一二年三月三一日限り廃止する。

また、今回の改正において、区分番号の変更等を行ったことに伴い、従来のこれに関する通知については、改正後の区分番号等に読み替えるものとする。

別添1

医科診療報酬点数表に関する事項

1 1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

2 基本診療料は、簡単な検査(例えば、血圧測定検査等)の費用、簡単な処置の費用等(入院の場合には皮下、筋肉内及び静脈内注射の注射手技料等)を含んでいる。

3 特掲診療料は、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。

4 基本診療料に係る施設基準、届出等の取り扱いについては、「基本診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第67号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

5 特掲診療料に係る施設基準、届出等の取り扱いについては、「特掲診療料の施設基準等(平成12年3月厚生省告示第68号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

第1章 基本診療料

第1部 初・再診料

<通則>

1 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料(外来診療料を含む。)は1回に限り算定するものであること。

同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様であること。

2 初診又は再診が行われた同一日であるか否かにかかわらず、当該初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料又は再診料若しくは外来診療料に含まれ、別に再診料又は外来診療料は算定できない。

ア 初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合

イ 往信等の後に薬剤のみを取りに来た場合

ウ 初診又は再診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合

3 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療に属する診療料に係る傷病につき入院中の患者が歯牙口腔の疾患のために歯科において初診若しくは再診を受けた場合、又は歯科診療に係る傷病につき入院中の患者が他の傷病により医科診療に属する診療科において初診若しくは再診を受けた場合等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)又は再診料(外来診療料、かかりつけ歯科医初診料を含む。)を算定することができる。

ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合には、主たる診療科においてのみ初診料(かかりつけ歯科医初診料を含む。)又は再診料(外来診療科、かかりつけ歯科医初診料を含む。)を算定する。

4 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、再診料は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合においても、再診料は算定できない。なお、この場合において、再診料以外の検査、治療等の費用の請求については、診療報酬明細書は入院用を用いること。

第1節 初診料

A000 初診料

(1) 特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った医療機関において初診料を算定する。

(2) 患者が異和を訴え診療を求めた場合において、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合にあっても初診料を算定できる。

(3) 自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始した場合には、初診料は算定できない。ただし、当該治療(初診を除く。)については、医療保険給付対象として診療報酬を算定できること。

(4) (3)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医において治療を開始した場合には、初診料を算定できる。ただし、当該治療が健康診断の結果に基づくものであることが明らかである場合は、この限りでない。

(5) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により傷病の治療を入院外で受けている期間中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、当該保険医療機関において医療保険給付対象となる診療を受けた場合においても、初診料は算定できない。

(6) 現に傷病について診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。

(7) 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は、初診として取り扱う。なお、この場合において、1月の期間の計算は、暦月によるものであり、例えば、2月10日~3月9日、9月15日~10月14日等と計算する。

(8) (7)にかかわらず、慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療は、初診として取り扱わない。

(9) A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、次のように取り扱うものとする。(B009~B011-2診療情報提供料の(5)~(7)を参照。)

ア B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合

B保険医療機関においては、診療情報提供料、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。

イ B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受けた場合

B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定できる。

(10) 乳幼児加算

初診料を算定しない場合には、特に規定する場合を除き、「注3」の乳幼児加算は、算定できない。

(11) 乳幼児育児栄養指導加算

「注4」の乳幼児育児栄養指導加算については、小児科を標榜する保険医療機関において、小児科を担当する医師が3歳未満の乳幼児に対して初診を行った場合に、育児、栄養その他療養上必要な指導を行ったときに算定する。この場合、指導の要点を診療録に記載すること。

(12) 時間外加算

ア 各都道府県における医療機関の診療時間の実態、患者の受診上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休診日とする保険医療機関における当該休診日とする。

ただし、午前中及び午後6時以降を診療時間とする保険医療機関等、当該標準によることが困難な保険医療機関については、その表示する診療時間以外の時間をもって時間外として取り扱うものとする。

イ アにより時間外とされる場合においても、当該保険医療機関が常態として診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様の取扱いで診療を行っているときは、時間外の取扱いとはしない。

ウ 保険医療機関は診療時間をわかりやすい場所に表示する。

エ 時間外加算は、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により時間外に診療が開始された場合は算定できない。

オ 時間外加算を算定する場合には、休日加算、深夜加算及び時間外加算の特例については、算定しない。

(13) 休日加算

ア 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱う。

イ 休日加算は次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の3に規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

(ロ) 当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く。)

ウ 休日加算を算定する場合には、時間外加算、深夜加算及び時間外加算の特例については、算定しない。

(14) 深夜加算

ア 深夜加算は、初診が深夜に開始された場合に算定する。ただし、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により深夜に診療が開始された場合は算定できない。なお、深夜とは、いずれの季節においても午後10時から午前6時までの間をいう。

イ いわゆる夜間開業の保険医療機関において、当該保険医療機関の診療時間又は診療態勢が午後10時から午前6時までの間と重複している場合には、当該重複している時間帯における診療については深夜加算は認められない。

ウ 深夜加算は、次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に深夜における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の3の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

(ロ) 自己の表示する診療時間が深夜を含んでいない保険医療機関に、又は自己の表示する診療時間が深夜にまで及んでいる保険医療機関の当該表示する診療時間と重複していない深夜に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該深夜時間帯を診療時間としている保険医療機関に受診した患者を除く。)

エ 深夜加算を算定する場合には、時間外加算、休日加算及び時間外加算の特例については、算定しない。

(15) 時間外加算の特例

ア 当該特例の適用を受ける保険医療機関(以下「時間外特例医療機関」という。)とは、客観的に専ら夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の3の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関をいう。

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

イ 別に厚生大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く。)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする。

ウ 時間外特例医療機関において、休日加算又は深夜加算に該当する場合においては、時間外加算の特例を算定せず、それぞれ休日加算、深夜加算を算定する。また、時間外加算の特例を算定する場合には、時間外加算は算定しない。

(16) 病院の紹介患者加算

ア 病院における紹介患者を診療するという機能を評価し、初診料に加算したものであり、単に電話での照会を受けた場合等は紹介患者には該当しない。なお、保健所、市町村等の医師からの文書による紹介患者についても算定できる。

イ 健康診断については、当該健康診断を担当した医師が、その結果に基づき治療の必要性を認め、当該患者に対し、必要な診療が可能な概ね5カ所程度の保険医療機関を特定し、当該保険医療機関宛てに文書により紹介した場合には、紹介患者加算を算定できる。

ウ 当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関からの紹介患者については算定できない。また、紹介率の算定式には当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関からの紹介患者は算入しない。この場合における「特別の関係にある保険医療機関」とは、第1章第2部入院料等の通則6に規定するものをいう。

エ 紹介患者加算における「文書」とは、別紙様式2又はこれに準ずる様式をいう。

第2節 再診料

A001 再診料

(1) 再診料は、診療所又は許可病床数が200床未満の病院において、再診の都度(同一日において2以上の再診があってもその都度)算定できる。ただし、2以上の傷病について同時に再診を行った場合の再診料は、当該1日につき1回に限り算定する。

(2) A傷病について診療継続中の患者が、B傷病に罹り、B傷病について初診があった場合、当該初診については、初診料は算定できないが、再診料を算定できる。

(3) 健康保険法(大正11年法律第70号)第55条による継続療養費受給者が、その継続療養の対象である疾病以外の疾病により国民健康保険の療養の給付あるいは生活保護法の医療扶助を受けた場合の再診料(外来診療料を含む。)は、継続療養の対象である疾病の再診料(外来診療料を含む。)として算定する。なお、入院料及び往診料は、当該入院あるいは往診を必要とした疾病に係るものとして算定する。

(4) 再診料における時間外加算、休日加算、深夜加算及び時間外特例加算の取扱いは、初診料の場合と同様である。

(5) 外来管理加算

ア 外来管理加算は、標榜する診療科に関係なく算定できる。ただし、複数科を標榜する保険医療機関において、外来患者が2以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置又は手術等を行った場合は、他科においても外来管理加算は算定できない。

イ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、外来管理加算を算定できる。

ウ 「注4」に規定するリハビリテーション、精神科専門療法、処置、手術、麻酔及び放射線治療とは、第2章第7部リハビリテーション、第8部精神科専門療法、第9部処置、第10部手術、第11部麻酔、第12部放射線治療に掲げられている項目及びそれぞれの部に掲げられている項目を準用しているものをいう。

ただし、処置のうちネブライザー及びこれに準ずる処置は含まない。

エ 「注4」の厚生大臣が別に定める検査とは、第2章第3部第3節生体検査のうち、次の各区分に掲げるものをいう。

超音波検査等

脳波検査等

神経・筋検査

耳鼻咽喉科学的検査

眼科学的検査

負荷試験等

ラジオアイソトープを用いた諸検査

内視鏡検査

(6) 継続管理加算

継続管理加算は、当該患者について、初診料を算定しない月において、最初に再診料を算定する日に算定する。ただし、継続管理加算を算定した月に傷病が治癒し、当月中に新たに初診料を算定した場合においては、先の継続管理加算は算定できる。

(7) 電話等による再診

ア 当該保険医療機関で初診を受けた患者について、第2診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話、テレビ画像等による場合を含む。)に、治療上の意見を求められた場合に、必要な指示をしたときには、再診料を算定できる。

イ 電話、テレビ画像等を通した再診(ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)については、患者の病状の変化に応じ療養について医師の指示を受ける必要のある場合であって、当該患者又は看護に当たっている者からの医学的な意見の求めに対し治療上必要な適切な指示をした場合に限り算定する。ただし、電話、テレビ画像等を通した指示等が、同一日における初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる場合、時間おきに病状の報告を受ける内容のものである場合等には、再診料を算定できない。

ウ 乳幼児又は幼児の看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、乳幼児加算又は幼児加算を算定する。

エ 時間外加算を算定すべき時間、休日又は深夜に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定する。

A002 外来診療料

(1) 外来診療料は、医療機関間の機能分担の明確化、請求の簡素化を目的として設定されるものであり、許可病床数が200床以上の病院において算定する。

(2) 外来診療料の取扱いについては、再診料の場合と同様である。ただし、電話等による再診料、継続管理加算及び外来管理加算は算定できない。

(3) 包括されている検査項目に係る検査の部の款及び注に規定する加算並びに包括されている処置項目に係る処置の部の注に規定する加算は、別に算定できない。

(4) 外来診療料には、包括されている検査項目に係る判断料が含まれず、別に算定できる。なお、当該検査項目が属する区分(尿・糞便等検査判断料又は血液学的検査判断料の2区分)の判断料について、当該区分に属する検査項目のいずれをも行わなかった場合は、当該判断料は算定できない。

(5) 外来診療料には、包括されている処置項目に係る薬剤料及び特定保険医療材料料は含まれず、処置の部の薬剤料及び特定保険医療材料料の定めるところにより別に算定できる。また、熱傷に対する処置についても別に算定できる。

第2部 入院料等

<通則>

1 入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術基本料は、基本的な入院医療の体制を評価するものであり、療養環境(寝具等を含む。)の提供、看護婦等の確保及び医学的管理の確保等については、医療法の定めるところによる他、「病院、診療所等の業務委託について(平成5年2月15日指第14号)」等に従い、適切に実施するものとし、これに要する費用は、特に規定する場合を除き、入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術基本料に含まれる。

2 1に規定する他、寝具等について次の基準のいずれかに該当しない場合には、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術基本料は算定できない。

ア 患者の状態に応じて寝具類が随時利用できるよう用意されていること。なお、具備されるべき寝具は、敷布団(マットレスパットを含む。)、掛布団(毛布、タオルケット、綿毛布を含む。)、シーツ類、枕、枕覆等である。

イ 寝具類が常時清潔な状態で確保されていること。シーツ類は、週1回以上の交換がなされていること。

ウ 消毒は必要の都度行われていること。

3 1日入院

眼科、耳鼻科等において手術を行い、同一の日に入院及び退院した場合、医師が入院の必要を認めて病院に入院させて入院医療が行われた場合にあっては、入院基本料又は特定入院料を算定できるが、単なる覚醒、休養等の目的で入院させた場合は、入院基本料又は特定入院料は算定しない。なお、短期滞在手術基本料については、第4節に規定するところによる。

4 入院中の患者の他医療機関への受診

(1) 入院中の患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、入院している保険医療機関(以下本項において「入院医療機関」という。)以外での診療の必要が生じた場合は、他の保険医療機関(以下本項において「他医療機関」という。)へ転医又は対診を求めることを原則とする。

(2) 入院医療機関において、特定入院料を算定している患者について、当該特定入院料に含まれる診療(初再診料を除く。)を他医療機関で行った場合には、当該他医療機関は当該費用を算定できない。

5 外泊期間中の入院料等

(1) 入院患者の外泊期間中の入院料等については、入院基本料の基本点数の15%又は特定入院料の15%を算定する。ただし、精神神経症や精神障害の患者について治療のために外泊を行わせる場合は、連続して3日を超えたときは3日間以内の外泊期間に限り、かつ、月(同一暦月)6日以内の外泊期間に限り、更に15%を算定できる。この場合において、その点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算するものとする。

なお、当該外泊期間は、6の入院期間に算入する。

(2) 入院中の患者が在宅医療に備えて一時的に外泊するに際して、当該在宅医療に関する指導管理が行われた場合は、(1)に規定する点数に加えて、区分「C100」退院前在宅療養指導管理料を、外泊初日に1回に限り算定できる。

6 入院期間の計算

(1) 入院の日とは、入院患者の保険種別変更等の如何を問わず、当該保険医療機関に入院した日をいい、保険医療機関ごとに起算する。

また、A傷病により入院中の患者がB傷病に罹り、B傷病についても入院の必要がある場合(例えば、結核で入院中の患者が虫垂炎で手術を受けた場合等)又はA傷病が退院できる程度に軽快した際に他の傷病に罹り入院の必要が生じた場合においても、入院期間はA傷病で入院した日を起算日とする。

(2) (1)にかかわらず、保険医療機関を退院後、同一傷病により当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合の入院期間は、当該保険医療機関の初回入院日を起算日として計算する。

ただし、次のいずれかに該当する場合は、新たな入院日を起算日とする。

ア 1傷病により入院した患者が退院後、一旦治癒し若しくは治癒に近い状態までになり、その後再発して当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合

イ 退院の日から起算して3月以上(悪性腫瘍又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)の別紙の第3に掲げる疾患に罹患している患者については1月以上)の期間、同一傷病について、いずれの保険医療機関に入院又は介護老人保健施設に入所(短期入所療養介護費を算定すべき入所を除く。)することなく経過した後に、当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合

(3) 「特別の関係」とは、次に掲げる関係をいう。

ア 当該保険医療機関等と他の保険医療機関等の関係が以下のいずれかに該当する場合に、当該保険医療機関等と当該他の保険医療機関等は特別の関係にあると認められる。

(イ) 当該保険医療機関等の開設者が、当該他の保険医療機関等の開設者と同一の場合

(ロ) 当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者と同一の場合

(ハ) 当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者の親族等の場合

(ニ) 当該保険医療機関等の理事・監事・評議員その他の役員等のうち、当該他の保険医療機関等の役員等の親族等の占める割合が10分の3を超える場合

(ホ) (イ)から(ニ)までに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当該保険医療機関等が、当該他の保険医療機関等の経営方針に対して重要な影響を与えることができると認められる場合に限る。)

イ 「保険医療機関等」とは、保険医療機関である病院若しくは診療所、特定承認保険医療機関、介護老人保健施設又は指定訪問看護事業者をいう。

ウ 「親族等」とは、親族関係を有する者及び以下に掲げる者をいう。

(イ) 事実上婚姻関係と同様の事情にある者

(ロ) 使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

(ハ) (イ)又は(ロ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

7 定数超過入院に該当する保険医療機関、医療法に定める人員標準を著しく下回る保険医療機関の取り扱いについては、「厚生大臣の定める入院患者数の基準、医師等の員数の基準及び入院基本料の算定方法(平成12年3月厚生省告示第69号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

8 複合病棟に関する取り扱いについては、「複合病棟の基準等(平成12年3月厚生省告示第70号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

第1節 入院基本料

A100 一般病棟入院基本料

(1) 一般病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の減算される入院基本料、「注3」の特別入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟に入院している患者について、Ⅰ群入院基本料Ⅰ等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料等他の種別の入院基本料又は特殊疾患療養病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の一般病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、別に厚生大臣が定める基準に適合していない場合に行うものであるが、当該基準に適合していることを地方社会保険事務局長へ届け出ることは要しない。ただし、基準に適合していることを示す資料等を整備しておく必要がある。

(4) 一般病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A101 療養病棟入院基本料

(1) 療養病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の特別入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の療養病棟がある場合には、当該病棟のうち、回復期リハビリテーション病棟入院料等他の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の療養病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 療養病棟入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用並びに療養病棟入院基本料に含まれない厚生大臣が別に定める注射薬の費用とは、それぞれ次のものをいう。なお、浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用についても療養病棟入院基本料に含まれる。

ア 検査の費用 医科点数表 第2章第3部検査に係る費用

イ 投薬の費用 医科点数表 第2章第5部投薬に係る費用

ウ 注射の費用 医科点数表 第2章第6部注射に係る費用(エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜潅流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対し投与された場合に限る。)を除く。)

エ 処置の費用 医科点数表 第2章第9部処置のうち次に掲げるものの費用(当該処置に伴う薬剤料及び特定保険医療材料料を含む。)

創傷処置(熱傷に対する処置を除く。)、湿布処置、喀痰吸引、摘便、酸素吸入、酸素テント、皮膚科軟膏処置、膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(間歇的導尿を除く。)、腟洗浄、眼処置、耳処置、耳管処置、鼻処置、口腔・咽頭処置、喉頭処置、ネブライザー、超音波ネブライザー、消炎鎮痛処置及び鼻腔栄養

(4) 療養病棟入院基本料を算定する病棟は主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する施設であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、この場合、療養病棟入院基本料を算定する病棟から他の病棟に移動した日に行った(3)に掲げる診療行為の費用は、療養病棟入院基本料に含まれ、他の病棟等において算定できない。なお、必要があって患者を他の病棟へ移動させた場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(5) 患者が他の病棟から療養病棟入院基本料を算定する病棟に移動した日については、当該患者について療養病棟入院基本料を算定する。当該移動の日に行った投薬等(3)に掲げる診療行為の費用は、療養病棟入院基本料に含まれ、他の病棟等において算定できない。

(6) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(7) 療養病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A102 結核病棟入院基本料

(1) 結核病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の減算される入院基本料、「注3」の特別入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た結核病棟に入院している患者について、入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の結核病棟がある場合には、当該病棟全てについて同じ区分の結核病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 結核病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A103 精神病棟入院基本料

(1) 精神病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の減算される入院基本料、「注3」の特別入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た精神病棟に入院している患者について、入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の精神病棟がある場合には、当該病棟のうち、精神科急性期治療病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の精神病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 精神病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A104 特定機能病院入院基本料

(1) 特定機能病院入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の減算される入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟、結核病棟又は精神病棟に入院している患者について、Ⅰ群入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該特定機能病院において同一種別の病棟が複数ある場合の入院基本料の算定については、一般病棟入院基本料の(2)、結核病棟入院基本料の(2)及び精神病棟入院基本料の(2)の例による。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 特定機能病院入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A105 専門病院入院基本料

(1) 専門病院入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の減算される入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た(Ⅰ群又はⅡ群の選択を含む。)一般病棟に入院している患者について、Ⅰ群入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該専門病院において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料等他の種別の入院基本料又は緩和ケア病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の専門病院入院基本料を算定するものとする。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 専門病院入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A106 障害者施設等入院基本料

(1) 障害者施設等入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の減算される入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た(Ⅰ群又はⅡ群の選択を含む。)上で、障害者施設等一般病棟に入院している患者について、Ⅰ群入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の障害者施設等一般病棟がある場合には、当該病棟全てについて同じ区分の障害者施設等入院基本料を算定するものとする。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 障害者施設等入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A107 老人病棟入院基本料

(1) 老人病棟入院基本料は、老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(平成6年3月厚生省告示第72号)(以下「老人算定基準」という。)の「注1」又は「注2」の届出を行った老人病棟に入院している患者について、入院基本料又は特別入院基本料を算定する。

(2) 老人病棟入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用並びに老人病棟入院基本料に含まれない厚生大臣が別に定める注射薬の費用は、療養病棟入院基本料の例による。なお、浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用についても老人病棟入院基本料に含まれる。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 老人病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(5) 患者が他の病棟から老人病棟入院基本料を算定する病棟に移動した日については、当該患者について老人病棟入院基本料を算定する。当該移動の日に行った投薬等(2)に掲げる診療行為の費用は、老人病棟入院基本料に含まれ、他の病棟等において算定できない。

A108 有床診療所入院基本料

(1) 有床診療所入院基本料は、別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養型病床群に係るものを除く。)に入院している患者について、Ⅰ群入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(3) 有床診療所入院基本料を算定する診療所については、「注4」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A109 有床診療所療養病床入院基本料

(1) 有床診療所療養病床入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の特別入院基本料から構成され、それぞれ別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養型病床群に係るものに限る。)に入院している患者について、入院基本料又は特別入院基本料の所定点数を算定する。

(2) 有床診療所療養病床入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用並びに有床診療所療養病床入院基本料に含まれない厚生大臣が別に定める注射薬の費用については、療養病棟入院基本料の例による。なお、浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用についても有床診療所療養病床入院基本料に含まれる。

(3) 入院診療計画未実施減算、院内感染防止対策未実施減算については、一般病棟入院基本料の例による。

(4) 有床診療所療養病床入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(5) 患者が他の病床から有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床に移動した日については、当該患者について有床診療所療養病床入院基本料を算定する。当該移動の日に行った投薬等(2)に掲げる診療行為の費用は、有床診療所療養病床入院基本料に含まれ、他の病床等において算定できない。

第2節 入院基本料加算

A200 入院時医学管理加算

病院の一般病棟に対する医師の配置数と入院外来患者比率を指標とする加算である。

A201 紹介外来加算・紹介外来特別加算

(1) 紹介外来加算は、許可病床数200床以上の病院の一般病棟に対する紹介率を指標とする加算である。

(2) 紹介外来特別加算は、紹介外来加算を算定できる病院の一般病棟に対する入院外来患者比率を指標とする更なる加算である。

A202 急性期病院加算

(1) 病院の一般病棟に対する紹介率と平均在院日数を指標とする加算である。

(2) 急性期病院加算を紹介外来加算と同時に算定する場合には、急性期病院加算の所定点数と紹介外来加算の所定点数の差額分を急性期病院加算として算定する。この場合、要件を満たせば、更に紹介外来特別加算が算定できる。具体的には、次のようになる。

100点(紹介外来加算)+55点(急性期病院加算)+50点(紹介外来特別加算)=205点

A203 急性期特定病院加算

(1) 病院の一般病棟に対する紹介率、平均在院日数、入院外来患者比率その他診療実績評価の基盤の有無等を指標とする加算である。

(2) 急性期特定病院加算を紹介外来加算と同時に算定する場合には、急性期特定病院加算の所定点数と紹介外来加算の所定点数の差額分を急性期特定病院加算として算定する。この場合、要件を満たせば、更に紹介外来特別加算が算定できる。具体的には、次のようになる。

100点(紹介外来加算)+100点(急性期特定病院加算)+50点(紹介外来特別加算)=250点

A204 地域医療支援病院入院診療加算

(1) 地域医療支援病院入院診療加算は、地域医療支援病院における紹介患者に対する医療提供、病床や高額医療機器等の共同利用、24時間救急医療の提供等を評価するものであり、入院初日に算定する。

(2) (1)にかかわらず入院初日に病棟単位で行うべき特定入院料以外の特定入院料を算定した場合については、入院基本料の入院期間の計算により一連の入院期間とされる期間中に特定入院料を算定しなくなった日(当該日が退院日の場合は、退院日)において1回に限り算定する。

A205 救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算

(1) 客観的に休日又は夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の3の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関において、休日又は夜間に緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に算定できる。

① 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

(2) 都道府県知事の指定する精神科救急医療施設において、休日又は夜間に緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合にも算定できる。ただし、精神科応急入院施設管理加算又は精神科措置入院診療加算を算定した患者については算定できない。なお、精神科救急医療施設の運営については、平成7年10月27日健医発第1321号厚生省保健医療局長通知に従い実施されたい。

(3) 当該加算の対象となるのは、診察等の結果緊急に入院を必要とする重症患者であり、例えば、次に掲げるような状態をいう。

ア 吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態

イ 中等度以上の意識障害(脳血管障害等)

ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態

エ ショック

オ 緊急手術を必要とする状態

カ 精神疾患であり、入院させなければ医療及び保護を図る上で支障のある状態

(4) 加算の対象となる時間は、予め定められた当番日であって、夜間にあっては午後6時から翌日午前8時まで、休日にあっては午前8時から当日午後6時までとする。

A206 在宅患者応急入院診療加算

(1) 診療所において在宅時医学管理料、在宅末期医療総合診療料又は第2章第2部第2節に掲げる在宅療養指導管理料の各区分に掲げる指導管理料(在宅自己注射指導管理料を除く。)を入院の月又はその前月に算定している患者について、当該患者の病状の急変等に伴い当該診療所の医師(以下本項において「主治医」という。)の求めに応じて入院させた場合に、当該入院中1回に限り、入院初日に算定する。

(2) 当該患者が入院中の保険医療機関が、主治医が属する保険医療機関と特別の関係(入院基本料の通則6に規定する「特別の関係」をいう。)にある場合には、在宅患者応急入院診療加算は算定できない。

A207 診療録管理体制加算

1名以上の専任の診療記録管理者の配置その他の診療管理体制を整え、現に患者に対し診療情報を提供している保険医療機関への加算である。

A208 乳幼児加算・幼児加算

乳幼児加算又は幼児加算は、当該患者を入院させた場合に算定するものであって、産婦又は生母の入院に伴って健康な乳幼児又は幼児を在院させた場合にあっては、算定できない。

A209 新生児介補加算・乳児介補加算

産婦又は生母について算定する。

A210 難病患者等入院診療加算

(1) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者については、菌の排出がなくなった後、3週間を限度として算定する。

(2) 特殊疾患入院施設管理加算を算定している患者については算定できない。

A211 特殊疾患入院施設管理加算

(1) 重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等を主として入院させる障害者施設等一般病棟等その他の病棟において算定する。

(2) 重度の意識障害者とは、以下に掲げる者をいう。

ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者

イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等)

(3) 神経難病患者とは、多発性硬化症、無症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病(ヤールの臨床的症度分類のステージ3以上であって生活機能症度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)、シャイ・ドレーガー症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病又は亜急性硬化性全脳炎に罹患している患者をいう。

A212 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算

(1) 超重症児(者)入院診療加算の対象となる超重症の状態は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取り扱いについて(平成12年3月保険発第29号)」別紙4の超重症児(者)判定基準による判定スコアが25以上のものをいう。

(2) 準超重症児(者)入院診療加算の対象となる準超重症の状態は、当該超重症児(者)判定基準による判定スコアが10以上のものをいう。

A213 看護配置加算

看護配置加算は、看護婦比率が40%と規定されている入院基本料を算定している病棟全体において、70%を超えて看護婦を配置している場合に算定する。

A214 看護補助加算

看護補助加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において必要最小数を超えて配置している看護職員について、看護補助者とみなして計算することができる。

A215 夜間勤務等看護加算

(1) 夜間勤務等看護加算は、夜間の勤務体制及び看護サービスを評価したものであり、入院基本料を算定している全ての病棟において当該加算区分のいずれかを算定している場合に限って算定することができる。

(2) 病棟により夜間の看護体制が異なることから病棟ごとに異なる区分の加算を算定できる。

A216 特別看護加算・特別看護長時間加算

(1) 特別看護加算は、有床診療所において、看護職員を増員する等、一挙に通常の看護体制に組み込むことが困難な場合に、過渡的な勤務形態として、特定の患者に対して特定の看護職員による看護(特別看護)を行うことにより看護の充実強化を図るものであること。

(2) 特別看護を実施する際には、当該診療所は対象となる患者に対してその旨を十分に説明するとともに、当該患者の病床の見やすい位置に担当の看護職員の名称を表示すること。また、特別看護を担当する看護職員が胸に付ける名札に「特別看護担当」と記載する等して、当該職員が特別看護を担当する旨がわかるようにすること。

(3) 特別看護の実施に当たっては、審査支払機関と密接な連携をとりつつ、十分な指導をされたい。

A217 特別看護補助加算・特別看護補助長時間加算

(1) 特別看護補助加算は、有床診療所において、必要な看護要員を確保するまでの間の過渡的な職務形態として、平成10年4月1日以降、平成12年3月31日までの間に、従前の特別介護料が算定された診療所においてのみ、特定の患者に対して特定の看護補助者による看護を行うことを認めるものであること。

(2) 特別看護補助を実施する際には、当該診療所は対象となる患者に対してその旨を十分に説明するとともに、当該患者の病床の見やすい位置に担当の看護補助者の名称を表示すること。また、特別看護補助を担当する看護補助者が胸に付ける名札に「特別看護補助担当」と記載する等して、当該職員が特別看護補助を担当する旨がわかるようにすること。

(3) 特別看護補助に係る期間が30日間以上となる場合は、特別看護補助の延長が必要な旨の主治医による理由書を当該患者の診療報酬明細書に添付すること。

(4) 特別看護補助加算は、平12年4月1日以降の別に定める日まで算定できる。

A218 地域加算

地域加算は、医業経費における地域差に配慮したものであり、別に厚生大臣が定める地域区分による地域に所在する保険医療機関において、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術基本料2の加算として算定できる。

A219 療養環境加算

(1) 特別の療養環境の提供に係る病室については、加算の対象とはならない。

(2) 医師並びに看護婦、准看護婦及び看護補助者の配置が医療法の定める基準を満たしていない病院では算定できない。

A220 HIV感染者療養環境特別加算

後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者については、CD4リンパ球数の値にかかわらず、抗体の陽性反応があれば、患者の希望により特別の設備の整った個室に入室する場合を除き、本加算を算定する。

A221 重症者等療養環境特別加算

(1) 加算の対象となる者は、次のいずれかに該当する患者であって、特に医療上の必要から個室又は2人部屋の病床に入院した者である。

ア 病状が重篤であって絶対安静を必要とする患者

イ 必ずしも病状は重篤ではないが、手術又は知的障害のため常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする患者

(2) インキュベーターに収容した新生児又は乳幼児は、加算の対象とならない。

(3) 当該加算の対象となった患者の氏名及び入院日数を記録し、3年間保存しておくこと。

A222 療養病棟療養環境加算

(1) 療養病棟療養環境加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものであり、療養環境加算を算定する患者については算定できない。

(2) 特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A223 診療所療養型病床群療養環境加算

(1) 診療所療養型病床群療養環境加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものであり、療養環境加算を算定する患者については算定できない。

(2) 特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A224 無菌治療室管理加算

(1) 当該加算は、入院基本料(特別入院基本料を除く。)を算定し、かつ、自家発電装置を有している病院において、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症の患者に対して、必要があって無菌治療室管理を行った場合に算定する。

なお、無菌治療室管理とは、当該管理を行うために、滅菌水の供給が常時可能であること、室内の空気清浄度がクラス1万以下であること等の要件を満たす無菌治療室において、医師等の立入、物資の供給等の際にも無菌状態が保たれるよう必要な管理をいう。

(2) 当該加算は、一連の治療につき、無菌室に入室した日を起算日として90日を限度として算定する。

A225 放射線治療病室管理加算

当該加算は、悪性腫瘍の患者に対して、当該管理を行った場合に算定する。なお、放射線治療病室管理とは、密封小線源あるいは治療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させる病室において、放射線に係る必要な管理をいう。

A226 重症皮膚潰瘍管理加算

(1) 重症皮膚潰瘍管理とは、重症な皮膚潰瘍(Sheaの分類Ⅲ度以上のものに限る。)を有している者に対して、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行うことをいう。

(2) 本加算を算定する場合は、当該患者の皮膚潰瘍がSheaの分類のいずれに該当するかについて、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A227 精神科措置入院診療加算

精神科措置入院診療加算は、措置入院に係る患者について当該入院期間中1回に限り入院の日に算定する。ただし、応急入院患者として入院し、入院後措置入院又は緊急措置入院が決定した場合は、当該措置入院が決定した日に算定する。また、この場合にあっては、精神科応急入院施設管理加算は算定できない。

A228 精神科応急入院施設管理加算

(1) 精神科応急入院施設管理加算の算定の対象となる応急入院患者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)第33条の4第1項に規定する応急入院患者であり、その取扱いについては昭和63年4月6日健医発第433号厚生省保健医療局長通知に則して行うこと。

(2) 応急入院患者として入院した場合であっても、入院後、精神保健福祉法第29条第1項に規定する措置入院として措置が決定した場合は精神科応急入院施設管理加算は算定できない。なお、応急入院後の処遇の決定については、各都道府県の衛生担当部局との連絡を密にすること。

(3) 診療報酬明細書を審査支払機関に提出した後に措置入院が決定した場合にあっては、遅滞なく、精神科応急入院施設管理加算の請求を取り下げる旨を当該保険医療機関が審査支払機関に申し出ること。

(4) 精神科応急入院施設管理加算を算定する場合にあっては、精神保健福祉法第33条の4第2項に規定する精神病院の管理者から都道府県知事への届出の書面の写しを診療報酬明細書に添付すること。

A229 精神科隔離室管理加算

(1) 当該加算が算定できる隔離とは、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づいて行われるものをいう。患者の隔離に当たっては、同法第37条第1項の規定に基づき厚生大臣が定める基準に従うとともに、隔離を行っている間は1日1回以上診察を行うこと。

(2) 精神科隔離室管理加算を算定する場合には、その隔離の理由を診療録に記載し、1日1回の診察の内容を診療録に記載すること。

(3) 精神保健福祉法第36条第3項に規定する隔離が数日間にわたり連続して行われた場合にあっては、当該隔離の開始日及び終了日についても精神科隔離室管理加算を算定できる。

(4) 隔離時間が12時間以下の場合や患者本人の意思に基づいて隔離を行った場合には算定できない。また、当該加算は、連続する30日間に7日を超えて算定できない。なお、応急入院中の期間及び精神科措置入院診療加算を算定した日に行った隔離については、当該加算の日数には数えない。

(5) 精神科応急入院施設管理加算を算定した入院患者について、当該応急入院中に行った隔離については、精神科隔離室管理加算は算定できない。ただし、当該応急入院の終了後も措置入院等で入院を継続している場合であって、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づく隔離を行った場合は算定できる。

(6) 精神科措置入院診療加算を算定する同一日に行った隔離については、精神科隔離室管理加算は算定できない。

(7) 当該加算は、「厚生大臣の定める入院患者の基準、医師等の員数の基準及び入院基本料の算定方法」及び「厚生大臣の定める入院患者の基準、医師等の員数の基準及び老人入院基本料等の算定方法」に規定する基準に該当する保険医療機関については、算定できない。

A230 精神病棟入院時医学管理加算

精神病棟においては、入院時医学管理加算は算定できず、精神病棟入院時医学管理加算のみを算定する。

第3節 特定入院料

1 特定入院料(特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患療養病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神療養病棟入院料、老人一般病棟入院医療管理料、老人性痴呆疾患治療病棟入院料及び老人性痴呆疾患療養病棟入院料を除く。以下この項において同じ。)は、1回の入院について、当該治療室に入院させた連続する期間1回に限り算定できるものであり、1回の入院期間中に、当該特定入院料を算定した後に、入院基本料又は他の特定入院料を算定し、再度同一の特定入院料を算定することはできない。

ただし、特定集中治療室管理料については、他の特定入院料を算定した後に、一般病棟に入院し入院基本料を算定した後、再度病状が悪化して当該特定集中治療室へ入院させた場合には、これを算定できるものとする。

2 特定入院料を算定できる2以上の治療室に患者を入院させた場合において、特定入院料を算定できる日数の限度は、他の特定入院料を算定した日数を控除して計算するものとする。例えば、救命救急入院料を算定した後、広範囲熱傷特定集中治療室に入院させた場合においては、60日から救命救急入院料を算定した日数を控除して得た日数を限度として、広範囲熱傷特定集中治療室管理料を算定する。

3 他の病棟から特定入院料を算定する病棟(病室及び治療室を含む。)に移動した日又は特定入院料を算定する病棟(病室及び治療室を含む。)から他の病棟に移動した日に行った診療に係る費用は、当該特定入院料に含まれる。

A300 救命救急入院料

(1) 救命救急入院料の算定対象となる重篤な救急患者とは、次に掲げる状態にあって、医師が救命救急入院が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性憎悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術を必要とする状態

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 救命救急入院料は、救命救急医療に係る入院初期の医療を重点的に評価したものであり、救命救急入院後症状の安定等により他病棟に転棟した患者又は他病棟に入院中の患者が症状の憎悪等をきたしたことにより当該救命救急センターに転棟した場合にあっては、救命救急入院料は算定できない。

(3) 救命救急入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A301 特定集中治療室管理料

(1) 特定集中治療室管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる状態にあって、医師が特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性憎悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術後

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A302 新生児特定集中治療室管理料

(1) 新生児特定集中治療室管理料の算定対象となる新生児は、次に掲げる状態にあって、医師が新生児特定集中治療室管理が必要であると認めた者である。

ア 高度の先天奇形

イ 低体温

ウ 重症黄疸

エ 未熟児

オ 意識障害又は昏睡

カ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性憎悪

キ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

ク 急性薬物中毒

ケ ショック

コ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

サ 大手術後

シ 救急蘇生後

ス その他外傷、破傷風等で重篤なもの

(2) 新生児特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A303 総合周産期特定集中治療室管理料

(1) 総合周産期特定集中治療室管理料は、出産前後の母体及び胎児並びに新生児の一貫した管理を行うため、都道府県知事が適当であると認めた病院であって、別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると地方社会保険事務局長に届出を行った病院である保険医療機関に限って算定できる。

(2) 総合周産期特定集中治療室管理料の「イ」母体・胎児集中治療室管理料の算定対象となる妊産婦は、次に掲げる疾患等のため母体又は胎児に対するリスクの高い妊婦と認められる者であって、医師が、常時十分な監視のもとに適時適切な治療を行うために母体・胎児集中治療室管理が必要であると認めたものである。

ア 合併症妊婦

イ 妊娠中毒症

ウ 多胎妊娠

エ 胎盤位置異常

オ 切迫流早産

カ 胎児発育遅延や胎児奇形などの胎児異常を伴うもの

(3) 総合周産期特定集中治療室管理料の「ロ」新生児集中治療室管理料の算定対象となる新生児は、A302新生児特定集中治療室管理料の(1)に掲げる状態にあって、医師が新生児集中治療室管理が必要であると認めたものである。

(4) 総合周産期特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

A304 広範囲熱傷特定集中治療室管理料

(1) 広範囲熱傷特定集中治療室管理料の算定対象となる患者は、2度熱傷30%程度以上の重症広範囲熱傷患者であって、医師が広範囲熱傷特定集中治療室管理が必要であると認めた者である。なお、熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる。

(2) 熱傷用空気流動ベッドの使用の有無にかかわらず所定点数を算定する。なお、創傷処置又は皮膚科軟膏処置の費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、創傷処置又は皮膚科軟膏処置に用いた薬剤料については別に算定できる。

A305 一類感染症患者入院医療管理料

一類感染症患者入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者であって、医師が一類感染症患者入院医療管理が必要と認めた者である。

ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第7項に規定する新感染症又は同法(以下「感染症法」という。)第6条第2項に規定する一類感染症に罹患している患者

イ アの感染症の疑似症患者又は無症状病原体保有者

A306 特殊疾患入院医療管理料

(1) 特殊疾患入院医療管理料を算定する病室は、主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する病室であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病室への患者の移動は認められるが、この場合、特殊疾患入院医療管理料を算定する病室から他の病室等に移動した日に行った診療行為の費用は、特殊疾患入院医療管理料に含まれ、他の病室等において算定できない。なお、必要があって患者を他の病室等へ移動させた場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 患者が他の病室等から特殊疾患入院医療管理料を算定する病室に移動した日については、当該患者について特殊疾患入院医療管理料を算定する。当該移動の日に行った投薬等の診療行為の費用は、特殊疾患入院医療管理料に含まれ、他の病室等において算定できない。

(3) 特殊疾患入院医療管理料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特殊疾患入院医療管理料に含まれ、別に算定できない。

(4) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、購入価格を10円で除して得た点数を加算する。酸素及び窒素の購入価格は、別に厚生大臣が定めるところによる。

(5) 特殊疾患入院医療管理料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

A307 小児入院医療管理料

(1) 小児入院医療管理料は、届け出た保険医療機関における入院中の15歳未満の患者の全ての患者を対象とする。ただし、当該患者が他の特定入院料を算定できる場合は、小児入院医療管理料は算定しない。

(2) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、購入価格を10円で除して得た点数を加算する。酸素及び窒素の購入価格は、別に厚生大臣が定めるところによる。

(3) 小児入院医療管理料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

A308 回復期リハビリテーション病棟入院料

(1) 回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患又は大腿骨頚部骨折等の患者に対して、ADL能力の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的としたリハビリテーションプログラムを医師、看護婦、理学療法士、作業療法士等が共同して作成し、これに基づくリハビリテーションを集中的に行うための病棟であり、回復期リハビリテーションを要する状態の患者が常時8割以上入院している病棟をいう。

(2) 医療上特に必要がある場合に限り回復期リハビリテーション病棟から他の病棟への患者の移動は認められるが、この場合、回復期リハビリテーション病棟から他の病棟に移動した日に行った診療行為の費用は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれ、他の病棟において算定できない。

なお、必要があって患者を他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(3) 患者が他の病棟から回復期リハビリテーション病棟に移動した日については、当該患者について回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する。当該移動の日に行った診療行為の費用は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれ、他の病棟において算定できない。

(4) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(5) 回復期リハビリテーション病棟入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、病棟種別に応じて一般病棟Ⅱ群入院基本料5又は療養病棟入院基本料1を算定する。

A309 特殊疾患療養病棟入院料

(1) 特殊疾患療養病棟は、主として長期にわたり療養が必要な重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者が入院する病棟であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、この場合、特殊疾患療養病棟から他の病棟に移動した日に行った診療行為の費用は、特殊疾患療養病棟入院料に含まれ、他の病棟において算定できない。

なお、必要があって患者を他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 患者が他の病棟から特殊疾患療養病棟に移動した日については、当該患者について特殊疾患療養病棟入院料を算定する。当該移動の日に行った診療行為の費用は、特殊疾患療養病棟入院料に含まれ、他の病棟において算定できない。

(3) 特殊疾患療養病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特殊疾患療養病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、購入価格を10円で除して得た点数を加算する。酸素及び窒素の購入価格は、別に厚生大臣が定めるところによる。

(5) 特殊疾患療養病棟入院料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

A310 緩和ケア病棟入院料

(1) 緩和ケア病棟は、主として末期の悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させ、緩和ケアを行う病棟であり、当該病棟に入院した緩和ケアを要する末期の悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者について算定する。

(2) 緩和ケア病棟入院料を算定する日に使用するものとされた薬剤に係る薬剤料は緩和ケア病棟入院料に含まれるが、退院日に退院後に使用するものとされた薬剤料は別に算定できる。

(3) 末期の悪性腫瘍の患者及び後天性免疫不全症候群の患者以外の患者が、当該病棟に入院した場合には、一般病棟Ⅱ群入院基本料5を算定する。

(4) 緩和ケア病棟における末期悪性腫瘍患者のケアに関しては、「がん末期医療に関するケアのマニュアル」(厚生省・日本医師会編)を参考とする。

A311 精神科急性期治療病棟入院料

(1) 精神科急性期治療病棟入院料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者である。

ア 当該病棟に入院する前3月間に保険医療機関に入院したことがない者であって、当該病院への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)(以下この項において「新規患者」という。)

イ 他の病棟から当該病棟に移動した入院患者又は当該病棟に入院中の患者であって当該入院料を算定していない患者のうち、意識障害、昏迷状態等の急性憎悪のため当該病院の精神保健指定医が当該病棟における集中的な治療の必要性を認めた患者(以下この項において「転棟患者等」という。)

(2) 新規患者については入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) 転棟患者等については、1年に1回に限り、1月を限度として算定する。1年とは暦年をいい、同一暦年において当該入院料の算定開始日が2回にはならない。なお、転棟患者等が当該入院料を算定する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 精神科急性期治療病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科急性期治療病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(5) 精神科急性期治療病棟入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料3を算定する。

A312 精神療養病棟入院料

(1) 精神療養病棟は、主として長期にわたり療養が必要な精神障害患者が入院する病棟として認められたものであり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、この場合、精神療養病棟から他の病棟に移動した日に行った診療行為の費用は、精神療養病棟入院料に含まれ、他の病棟において算定できない。

なお、必要があって患者を他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記入する。

(2) 患者が他の病棟から精神療養病棟に移動した日については、当該患者について精神療養病棟入院料を算定する。当該移動の日に行った診療行為の費用は、精神療養病棟入院料に含まれ、他の病棟において算定できない。

(3) 精神療養病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神療養病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

第4節 短期滞在手術基本料

A400 短期滞在手術基本料

(1) 短期滞在手術基本料は、短期滞在手術(日帰り手術及び1泊2日入院による手術)を行うための環境及び当該手術を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断、麻酔管理を包括的に評価したものであり、次に定める要件を満たしている場合に限り算定できる。

ア 手術室を使用していること。

イ 術前に十分な説明を行った上で、患者の同意を得ること。

ウ 退院翌日に患者の状態を確認する等、十分なフォローアップを行うこと。

エ 退院後概ね3日間、患者が1時間以内で当該医療機関に来院可能な距離にいること。

(2) 短期滞在手術を行うことを目的として本基本料に包括されている検査及び当該検査項目等に係る判断料並びに画像診断項目を実施した場合の費用は短期滞在手術基本料に含まれ、別に算定できない。ただし、当該手術の実施とは別の目的で当該検査又は画像診断項目を実施した場合は、この限りでない。この場合において、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 短期滞在手術基本料を算定している月においては、血液学的検査判断料、生化学的検査(1)判断料又は免疫学的検査判断料は算定できない。

(4) 短期滞在手術基本料を算定した同一月に心電図検査を算定した場合は、算定の期日にかかわらず、所定点数の100分の90の点数で算定する。

(5) 短期滞在手術基本料を算定する際使用したフィルムの費用は、区分番号「E400」に掲げるフィルムの所定点数により算定する。

(6) 同一の部位につき短期滞在手術基本料に含まれる写真診断及び撮影と同時に2枚以上のフィルムを使用して同一の方法により撮影を行った場合における第2枚目から第5枚目までの写真診断及び撮影の費用は、それぞれの所定点数の100分の50に相当する点数で別に算定できるものとする。なお、第6枚目以後の写真診断及び撮影の費用については算定できない。

(7) 短期滞在手術基本料1の届出を行った保険医療機関が、短期滞在手術基本料の対象となる手術を行った場合であって入院基本料を算定する場合には、短期滞在手術基本料を算定しない詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第2章 特掲診療料

<通則>

第1部に規定する特定疾患療養指導料、ウイルス疾患指導料、小児特定疾患カウンセリング料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料及び皮膚科特定疾患指導管理料並びに第2部第2節の各区分に規定する在宅療養指導管理料及び第8部精神科専門療法に掲げる心身医学療法は同一月に算定できない。

第1部 指導管理料

B000 特定疾患療養指導料

(1) 特定疾患療養指導料は、生活習慣病等の厚生大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の指導を行うことを評価したものであり、許可病床数が200床以上の病院においては算定できない。

(2) 特定疾患療養指導料は、別に厚生大臣が定める疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の指導を行った場合に、月2回に限り算定する。

(3) 第1回目の特定疾患療養指導料は、初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以後に算定する。ただし、本指導料の性格に鑑み、1か月を経過した日が休日の場合であって、その休日の直前の休日でない日に特定疾患療養指導料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、その日に特定疾患療養指導料を算定できる。

(4) 初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日が翌々月の1日となる場合であって、初診料を算定した初診の日又は退院の日が属する月の翌月の末日(その末日が休日の場合はその前日)に特定疾患療養指導料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、本指導料の性格に鑑み、その日に特定疾患療養指導料を算定できる。

(5) 診察に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に、看護に当たっている家族等を通して療養上の指導を行ったときにおいても、特定疾患療養指導料を算定できる。

(6) 指導内容の要点を診療録に記載する。

(7) 同一保険医療機関において、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。

(8) 特定疾患療養指導料は、別に厚生大臣が定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な指導が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合には算定できない。

(9) 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては算定できない。

(10) 再診が電話等により行われた場合にあっては、特定疾患療養指導料は算定できない。

(11) 入院中の患者については、いかなる場合であっても特定疾患療養指導料は算定できない。従って、入院中の患者に他の疾患が発症し、別の科への外来診療室へ行って受診する場合であっても、当該発症については特定疾患療養指導料の算定はできない。

(12) 別に厚生大臣が定める疾病名は、「疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表(平成6年10月総務庁告示第75号)」(以下「分類表」という。)に規定する疾病の名称であるが、疾病名について各医療機関での呼称が異なっていても、その医学的内容が分類表上の対象疾病名と同様である場合は算定の対象となる。ただし、混乱を避けるため、できる限り分類表上の疾病名を用いることが望ましい。

B001 特定疾患治療管理料

1 ウイルス疾患指導料

(1) 肝炎ウイルス、HIVウイルス又は成人T細胞白血病ウイルスによる疾患に罹患しており、かつ、他人に対し感染させる危険がある者又はその家族に対して、療養上必要な指導及びウイルス感染防止のための指導を行った場合に、肝炎ウイルス疾患又は成人T細胞白血病については、患者1人につき1回に限り算定し、後天性免疫不全症候群については、月1回に限り算定する。

(2) ウイルス疾患指導料は、当該ウイルス疾患に罹患していることが明らかにされた時点以降に、「注」に掲げる指導を行った場合に算定する。なお、ウイルス感染防止のための指導には、公衆衛生上の指導及び院内感染、家族内感染防止のための指導等が含まれる。

(3) HIVウイルスの感染者に対して指導を行った場合には、「ロ」を算定する。

(4) 指導内容の要点を診療録に記載する。

(5) 同一の患者に対して、同月内に「イ」及び「ロ」の双方に該当する指導が行われた場合は、主たるもの一方の所定点数のみを算定する。

2 特定薬剤治療管理料

(1) 特定薬剤治療管理料は、下記のものに対して投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

ア 心疾患患者であってジギタリス製剤を投与しているもの

イ てんかん患者であって抗てんかん剤を投与しているもの

ウ 気管支喘息患者であってテオフィリン製剤を投与しているもの

エ 不整脈の患者に対して不整脈用剤を継続的に投与しているもの

オ 精神分裂病の患者であってハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与しているもの

カ 躁うつ病の患者であってリチウム製剤を投与しているもの

キ 臓器移植術を受けた患者であって臓器移植における拒否反応の抑制を目的として免疫抑制剤を投与しているもの

ク 重症の再生不良性貧血の患者又は赤芽球癆の患者であってシクロスポリンを投与しているもの

ケ ベーチェット病の患者であって活動性・難治性眼症状を有するもの又は尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症若しくは関節症性乾癬の患者であってシクロスポリンを投与しているもの

コ ネフローゼ症候群の患者であってシクロスポリンを投与しているもの

サ 若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は慢性関節リウマチの患者であってサリチル酸系製剤を継続的に投与しているもの

シ 悪性腫瘍の患者であってメトトレキサートを投与しているもの

(2) 特定薬剤治療管理料を算定できる不整脈用剤とはブロカインアミド、N―アセチルプロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、アプリンジン、リドカイン、塩酸ピルジカイニド、プロパフェノン、メキシレチン、フレカイニド、コハク酸シベンゾリン、ピルメノール及びアミオダロンをいう。

(3) 特定薬剤治療管理料を算定できるグリコペプチド系抗生物質とは、バンコマイシン及びテイコプラニンをいう。また、免疫抑制剤とは、シクロスポリン及びタクロリムス水和物をいう。

(4) アミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質等を数日間以上投与している入院中の患者について、投与薬剤の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

(5) 本管理料には、薬剤の血中濃度測定、当該血中濃度測定に係る採血及び測定結果に基づく投与量の管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうちに2回以上血中濃度を測定した場合であっても、それに係る費用は別に算定できない。ただし、別の疾患に対して別の薬剤を投与した場合はそれぞれ算定できる。(例 てんかんに対する抗てんかん剤と気管支喘息に対するテオフィリン製剤の両方を投与する場合)

(6) てんかん患者であって、2種類以上の抗てんかん剤を投与している者について、同一暦月に血中の複数の抗てんかん剤の濃度を測定し、その測定結果に基づいて個々の投与量を精密に管理した場合には、当該月においては、2回に限り所定点数を算定できる。

(7) 薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に記載する。

(8) ジギタリス製剤の急速飽和を行った場合は、1回に限り急速飽和完了日に800点を算定することとし、当該算定を行った急速飽和完了日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料は算定できない。なお、急速飽和とは、重症うっ血性心不全の患者に対して2日間程度のうちに数回にわたりジギタリス製剤を投与し、治療効果が得られる濃度にまで到達させることをいう。

(9) てんかん重積状態のうち算定の対象となるものは、全身性けいれん発作重積状態であり、抗てんかん剤を投与している者について、注射薬剤等の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合は、1回に限り、重積状態が消失した日に800点を算定することとし、当該算定を行った重積状態消失日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料は算定できない。

(10) 「注3」に規定する点数を算定する場合にあっては、「注5」に規定する加算を含め別に特定薬剤治療管理料は算定できない。

(11) 所定点数の100分の50に相当する点数により算定する「4月目以降」とは、初回の算定から暦月で数えて4月目以降のことである。

(12) 免疫抑制剤を投与している臓器移植後の患者については、臓器移植を行った日の属する月を含め3月に限り、臓器移植加算として3,000点を算定し、初回月加算は算定しない。

(13) 初回月加算は、投与中の薬剤の安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り、300点を加算できるものであり、薬剤を変更した場合においては算定できない。

(14) 特殊な薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する測定及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

3 悪性腫瘍特異物質治療管理料

(1) 悪性腫瘍特異物質治療管理料は、悪性腫瘍であると既に確定診断がされた患者について、腫瘍マーカー検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 悪性腫瘍特異物質治療管理料には、腫瘍マーカー検査、当該検査に係る採血及び当該検査の結果に基づく治療管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうち2回以上腫瘍マーカー検査を行っても、それに係る費用は別に算定できない。

(3) 腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点を診療録に記載する。

(4) 「注3」に規定する初回月加算は、適切な治療管理を行うために多項目の腫瘍マーカー検査を行うことが予想される初回月に限って200点を加算する。ただし、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する当該初回月の前月において、区分「D009」に掲げる腫瘍マーカーを算定している場合は、当該初回月加算は算定できない。

(5) 区分「D009]腫瘍マーカーにおいて、併算定が制限されている項目(α―フェトプロテイン(AFP)精密測定とPIVKAⅡ精密測定等)を同一月に併せて実施した場合には、1項目とみなして、本管理料を算定する。

(6) 当該月に悪性腫瘍特異物質以外の検査(本通知の腫瘍マーカーの項に規定する例外規定を含む。)を行った場合は、本管理料とは別に、検査に係る判断料を算定できる。

(例) 肝癌の診断が確定している患者でAFP精密測定を算定し、別に、区分「D008」内分泌学的検査を行った場合の算定

区分「B001」の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」の「(1)」

+区分「D008」の内分泌学的検査の実施料

+区分「D026」の「4」生化学的検査(Ⅱ)判断料

(7) 特殊な腫瘍マーカー検査及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する腫瘍マーカー検査及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

4 小児特定疾患カウンセリング料

(1) 乳幼児期及び学童期における特定の疾患を有する患者及びその家族に対して日常生活の環境等を十分勘案した上で、医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要なカウンセリングを行った場合に算定する。ただし、家族に対してカウンセリングを行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(2) 小児特定疾患カウンセリングの対象となる患者は、喘息、登校拒否、自閉症、周期性嘔吐症等の小児心身症及び神経症の患者である。

(3) 小児科を標榜する保険医療機関のうち、他の診療科を併せ標榜するものにあっては、小児科のみを専任する医師が本カウンセリングを行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。ただし、アレルギー科を併せ担当している場合はこの限りでない。

(4) 小児特定疾患カウンセリング料は、同一暦月において第1回目のカウンセリングを行った日に算定する。

(5) 当該疾病の原因と考えられる要素、診療計画及び指導内容の要点等カウンセリングに係る概要を診療録に記載する。

(6) 小児特定疾患カウンセリング料を算定する場合には、同一患者に対し第1回目のカウンセリングを行った月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(7) 電話によるカウンセリングは、本カウンセリングの対象とはならない。

5 小児科療養指導料

(1) 小児科を標榜する保険医療機関のうち、他の診療料を併せ標榜するものにあっては、小児科のみを専任する医師が一定の治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。ただし、アレルギー科を併せ担当している場合はこの限りでない。

(2) 小児科療養指導料の対象となる疾患は、脳性麻痺、先天性心疾患、ネフローゼ症候群、ダウン症等の染色体異常、川崎病で冠動脈瘤のあるもの、脂質代謝障害、腎炎、小児悪性腫瘍、溶血性貧血、再生不良性貧血、血友病、血小板減少性紫斑病、白血病及び悪性リンパ腫であり、対象となる患者は、15歳未満の入院中の患者以外の患者である。また、出生時の体重が1,500g未満であった6歳未満の者についても、入院中の患者以外の患者はその対象となる。

(3) 小児科療養指導料は、当該疾病を主病とする患者又はその家族に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に月1回に限り算定する。ただし、家族に対して指導を行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(4) 第1回の小児科療養指導料は、初診料を算定した初診の日の属する月の翌日又は退院の日から起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(5) 指導内容の要点を診療録に記載する。

(6) 再診が電話等により行われた場合にあっては、小児科療養指導料は算定できない。

6 てんかん指導料

(1) てんかん指導料は、小児科、神経科、神経内科、精神科、脳神経外科又は心臓内科を標榜する保険医療機関において、当該標榜診療科の専任の医師が、てんかん(外傷性を含む。)の患者であって入院中以外のもの又はその家族に対し、治療計画に基づき療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 第1回目のてんかん指導料は、初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できる。

(3) 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(4) 電話等によって指導が行われた場合は、てんかん指導料は算定できない。

7 難病外来指導管理料

(1) 難病外来指導管理料は、別に厚生大臣が定める疾病を主病とする患者に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 第1回目の難病外来指導管理料は、初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できる。

(3) 別に厚生大臣が定める疾患を主病とする患者にあっても、実際に主病を中心とした療養上必要な指導が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が行われていない場合には算定できない。

(4) 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(5) 電話等によって指導が行われた場合は、難病外来指導管理料は算定できない。

8 皮膚科特定疾患指導管理料

(1) 皮膚科を標榜する保険医療機関とは、皮膚科、皮膚泌尿器科又は皮膚科及び泌尿器科、形成外科若しくはアレルギー科を標榜するものをいい、他の診療科を併せ標榜するものにあっては、皮膚科又は皮膚泌尿器科を専任する医師が本指導管理を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。

(2) 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)の対象となる特定疾患は、天疱瘡、類天疱瘡、エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)、紅皮症、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、先天性魚鱗癬、類乾癬、扁平苔癬、並びに結節性痒疹及びその他の痒疹(慢性型で経過が1年以上のもの)であり、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ)の対象となる特定疾患は、帯状疱疹及びじんま疹であり、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅲ)の対象となる特定疾患は、アトピー性皮膚炎(16歳以上の患者が罹患している場合に限る。)であって、外用療法を必要とするものである。

(3) 医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(4) 第1回の皮膚科特定疾患指導管理料は、初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して1月を経過した日以降に算定する。