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○外国人に係る国民健康保険の適用促進について

(平成一〇年五月一三日)

(保険発第八三号)

(各都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)

先般、別添1のとおり、総務庁の「外国人の在留に関する行政監察結果に基づく勧告」において、外国人の国民健康保険の適用について、その適用基準の周知徹底や在留資格が「就学」の者及び「研修」の者の適用漏れが指摘されるとともに、財団法人日本語教育振興協会や研修協力機構の協力を得ることにより、適用の促進を図るよう指摘されたところであるが、外国人の国民健康保険の適用については、「外国人に対する国民健康保険の適用について(通知)」(平成四年三月三一日保険発第四一号)に基づき適正に行うとともに、当勧告を踏まえて、別添2、別添3及び別添4のとおり、法務省並びに財団法人日本語教育振興協会及び財団法人国際研修協力機構に対して協力依頼を行ったところであるので、その旨ご了知の上、貴管下市町村保険者の指導に遺憾のないよう配慮されたい。

別添1

外国人の在留に関する行政監察結果に基づく勧告(抄)

〔平成九年三月 総務庁〕

3 外国人の在留環境の整備

(1) 医療環境の改善

ア 公的医療保険の適用促進

在留外国人の増加に伴い、病気やけがにより医療を受ける外国人も多くなっており、日本人と同様に公的医療保険制度の利用が重要である。

我が国の公的医療保険制度は、一定の要件の下に、外国人に対しても日本人と同様に適用されるものとなっている。

公的医療保険の主なものとしては、被用者を対象とする健康保険法(大正一一年法律第七〇号)に基づく健康保険(以下「健保」という。)と自営業者等を対象とする国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)に基づく国民健康保険(以下「国保」という。)がある。

厚生省は、健保について、「外国人に対する健康保険の適用の適正化について」(平成四年三月三一日付け保険発第三八号・庁文発第一、二四四号厚生省保険局保険課長、社会保険庁運営部保険管理課長・保険指導課長通知)により、合法的に就労する外国人に対しては、短時間労働者も含めて日本人と同様の取扱いをするものであり、適用事業所と実態的かつ常用的な使用関係にある被用者については、被保険者資格取得届の届出漏れ等がないよう適用の徹底を図ることとしている。また、国保については、「外国人に対する国民健康保険の適用について」(平成四年三月三一日付け保険発第四一号厚生省保険局健康保険課長通知)により、国保の対象となる外国人は、外国人登録を行っている者で、入管法により決定された入国当初の在留期間が一年以上であること(一年以上我が国に滞在すると認められる者を含む。)を原則としており、市町村は、外国人登録の部門と連携し、外国人登録の窓口において外国人用説明パンフレットの配布など制度の周知徹底に努めることとしている。

今回、外国人労働者を受け入れている企業等における公的医療保険への加入状況等を調査した結果、以下のような状況がみられた。

(ア) 健保の適用促進

在留資格が「人文知識・国際業務」の者等、就労が可能な在留資格の者が雇用されている二八の健保適用事業所の外国人労働者二二九人について健保の適用状況をみると、一六事業所において計一三二人が未適用者となっている。なお、これらの一三二人のうち、国保の適用を受けている者が七〇人、民間保険に加入している者が二三人となっているほか、医療保険に全く加入していない者が三九人となっている。これらの一六事業所では、健保の外国人労働者の未適用の理由として、Ⅰ)風邪などの日常的な病気の場合は持参してきている常備薬で治癒を図らせ、病気の症状が重くなった場合は帰国させて治療を受けさせるから問題ないこと、Ⅱ)見習い期間は適用がないと考えていたこと、Ⅲ)外国人に保険料を負担する意思がないことなどを挙げている。また、健保の適用を本来受ける外国人労働者から、事業主が必要な手続(被保険者資格取得届の届出)を採らないため「国保の適用を受けたい」との相談が平成六年には三四件、七年には六四件あったとしている市町村がみられるなど、事業主における外国人労働者に対する健保制度に関する理解が不十分とみられる。

(イ) 国保への適用促進

在留資格が「就学」の者及び「研修」の者の国保への適用状況をみると、次のとおりとなっている。

① 日本語教育施設の就業期間は、原則として一年以上とされていることから、ほとんどの就学生は、一年以上我が国に滞在すると認められ、国保の適用対象者となる。調査した日本語教育施設一三施設のうち、三施設においては就学生全員が国保の適用を受けていたが、六施設においては未適用の者(五七八人中二八二人)がみられ、また、四施設においては適用状況が把握されていない。未適用の者がみられる前記六施設の中には、七九人の就学生のうち六四人が未適用となっている例もみられる。

② 当庁が面接した在留資格が「研修」である者二六人のうち一五人は、一年の在留期間を付与されており、国保の適用対象者となるが民間保険に加入しているとして国保の適用を受けていない。

③ 就学生及び研修生に対する国保適用の促進については、市町村による国保制度の周知とともに、就学生については財団法人日本語教育振興協会(文部大臣が、日本語教育施設の教育条件等についての審査及び証明を行う事業のうち日本語教育の振興を図る上で奨励すべきものとして認定している事業を行っている。)を、また、研修生については研修協力機構を活用することが効果的であるとみられる。

したがって、厚生省は、外国人の公的医療保険の適用促進を図るため、次の措置を講ずる必要がある。

① 外国人労働者の健保の適用について、事業主に対する健保制度の周知を一層徹底すること及び事業主が雇用する外国人労働者に係る被保険者資格取得届を励行させることにつき改めて県を指導すること。

② 外国人の国保の適用について、市町村に対し国保制度の周知を一層徹底するよう県を指導するとともに、特に、在留資格が「就学」の者及び「研修」の者については、財団法人日本語教育振興協会や研修協力機構の協力を得ることにより、その促進を図ること。

別添2~4 略