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○柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について

(平成九年四月一七日)

(保険発第五七号)

(各都道府県民生主管部(局)保険・国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長通知)

柔道整復師の施術に係る療養費の算定及び審査の適正を図るため、今般、算定基準の実施上の留意事項等に関する既通知及び疑義等を整理し、別紙のとおり定め、本年五月一日より適用することとしたので、貴管下の関係者に柔道整復師を対象とする講習会の開催等を通じ周知徹底を図るとともに、その取扱いに遺漏のないよう御配慮願いたい。

別紙

柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項

第一 通則

1 療養費の支給対象となる柔道整復師の施術は、柔道整復師法(昭和四五年四月一四日法律第一九号)に違反するものであってはならないこと。

2 脱臼又は骨折(不全骨折を含む。以下第一において同じ。)に対する施術については、医師の同意を得たものでなければならないこと。また、応急手当をする場合はこの限りではないが、応急手当後の施術は医師の同意が必要であること。

3 医師の同意は個々の患者が医師から得てもよく、又施術者が直接医師から得てもよいが、いずれの場合であっても医師の同意は患者を診察した上で書面又は口頭により与えられることを要すること。なお、実際に医師から施術につき同意を得た旨が施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添付を要しないこと。

また、施術につき同意を求める医師は、必ずしも整形外科、外科等を標榜する医師に限らないものであること。

4 現に医師が診療中の骨折又は脱臼については、当該医師の同意が得られている場合のほかは、施術を行ってはならないこと。ただし、応急手当をする場合はこの限りでないこと。

この場合、同意を求めることとしている医師は、原則として当該負傷について診療を担当している医師とするが、当該医師の同意を求めることができないやむを得ない事由がある場合には、この限りではないこと。

なお、この場合における当該骨折又は脱臼に対する施術料は、医師が整復又は固定を行っている場合は整復料又は固定料は算定せず、初検料、後療料等により算定すること。

5 療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、第五の3の(5)により算定して差し支えないこと。

6 単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。

7 柔道整復の治療を完了して単にあんま(指圧及びマッサージを含む。)のみの治療を必要とする患者に対する施術は支給対象としないこと。

8 既に保険医療機関での受診又は他の施術所での施術を受けた患者及び受傷後日数を経過して受療する患者に対する施術については、現に整復、固定又は施療を必要とする場合に限り初検料、整復料、固定料又は施療料を算定できること。なお、整復、固定又は施療の必要がない場合は、初検料、後療料等により算定すること。

9 保険医療機関に入院中の患者の後療を医師から依頼された場合の施術は、当該保険医療機関に往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても、支給対象としないこと。

10 骨折、脱臼、打撲及び捻挫に対する施術料は、膏薬、湿布薬等を使用した場合の薬剤料、材料代等を含むものであること。

11 患者の希望により後療において新しい包帯を使用した場合は、療養費の支給対象とならないので、患者の負担とするもやむを得ないものであること。なお、その際、患者が当該材料の使用を希望する旨の申出書を患者から徴するとともに、徴収額を施術録に記載しておくこと。

12 柔道整復師宅に滞在して手当てを受けた場合に要した食費、寝具費、室代等は支給対象としないこと。

第二 初検料

1 患者の負傷が治癒した後、同一月内に新たに発生した負傷に対し施術を行った場合の初検料は算定できること。

2 現に施術継続中に他の負傷が発生して初検を行った場合は、それらの負傷に係る初検料は合わせて一回とし、一回目の初検のときに算定するものであること。

3 同一の施術所において同一の患者に二以上の負傷により同時に初検を行った場合であっても、初検料は一回とすること。この場合、施術者が複数であっても、初検料は合わせて一回のみとすること。

4 患者が任意に施術を中止し、一月以上経過した後、再び同一の施術所において施術を受けた場合には、その施術が同一負傷に対するものであっても、当該施術は初検として取り扱うこと。

なお、この場合の一月の期間の計算は暦月によること。すなわち、二月一〇日~三月九日、七月一日~七月三一日、九月一五日~一〇月一四日等であること。

5 同一の患者について、自費施術途中に受領委任の取扱いができることとなった場合は、同一の負傷に関するものである限り、その切り替え時の施術について初検料は算定できないこと。その際、施術録及び支給申請書の「摘要」欄に「〇月〇日自費初検、〇月〇日健保被保険者資格取得」等の記載をしておくこと。

なお、保険種別に変更があった場合も同様とすること。その際、施術録及び支給申請書の「摘要」欄に「〇月〇日初検、〇月〇日保険種別変更による健保被保険者資格取得」等の記載をしておくこと。

6 患者が異和を訴え施術を求めた場合で、初検の結果何ら負傷と認むべき徴候のない場合は、初検料のみ算定できること。

7 時間外加算及び深夜加算の取扱いについては、以下によること。

(1) 休日加算と時間外加算又は深夜加算との重複算定は認められないこと。

(2) 時間外加算又は深夜加算は、初検が時間外又は深夜に開始された場合に認められるものであるが、施術所においてやむを得ない事情以外の都合により時間外又は深夜に施術が開始された場合は算定できないこと。

(3) 各都道府県の施術所における施術時間の実態、患者の受療上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前八時前と午後六時以降(土曜日の場合は、午前八時前と正午以降)及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休術日とする施術所における当該休術日とすること。

(4) 施術時間外でも実態上施術応需の体制をとっているならば、時間外加算は認められないこと。

(5) 深夜加算は、深夜時間帯(午後一〇時から午前六時までの間をいう。ただし、当該施術所の表示する施術時間が深夜時間帯にまで及んでいる場合は、深夜時間帯のうち当該表示する施術時間と重複していない時間をいう。)を施術時間としていない施術所において、緊急やむを得ない理由により受療した患者について算定すること。したがって、常態として又は臨時に当該深夜時間帯を施術時間としている施術所に受療した患者の場合は該当しないこと。

(6) 施術所は、施術時間をわかりやすい場所に表示すること。

8 休日加算の取扱いについては、以下によること。

(1) 休日加算の算定の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和二三年法律第一七八号)第三条に規定する休日をいうものであること。なお、一二月二九日から一月三日まで(ただし一月一日を除く。)は、年末・年始における地域医療の確保という見地から休日として取扱って差し支えないこと。

(2) 休日加算は、当該休日を休術日とする施術所に、又は当該休日を施術日としている施術所の施術時間以外の時間に、緊急やむを得ない理由により受療した患者の場合に算定できるものとすること。したがって、当該休日を常態として又は臨時に施術日としている施術所の施術時間内に受療した患者の場合は該当しないものであること。

(3) 施術所の表示する休日に往療した場合は、往療料に対する休日加算は算定できないこと。

第三 往療料

1 往療は、往療の必要がある場合に限り行うものであること。

2 往療料は、下肢の骨折又は不全骨折、股間節脱臼、腰部捻挫等による歩行困難等真に安静を必要とするやむを得ない理由により患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に算定できるものであり、単に患者の希望のみにより又は定期的若しくは計画的に患家に赴いて施術を行った場合には算定できないこと。

3 二戸以上の患家に対して引き続き往療を行った場合の往療順位第二位以下の患家に対する往療距離の計算は、柔道整復師の所在地を起点とせず、それぞれ先順位の患家の所在地を起点とするものであること。ただし、先順位の患家から次順位の患家へ行く途中で、その施術所を経由するときは、第二患家への往療距離は、その施術所からの距離で計算すること。

この場合、往療距離の計算は、最短距離となるように計算すること。

4 往療の距離は施術所の所在地と患家の直線距離によって算定すること。

5 片道一六kmを超える往療については、当該施術所からの往療を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであるが、かかる理由がなく、患家の希望により一六kmを超える往療をした場合の往療料は、全額患者負担とすること。

6 同一家屋内の二人目以降の患者を施術した場合の往療料は、別々に算定できないこと。

7 難路加算における難路とは、常識で判断されるもので、第三者に納得され得る程度のものでなければならないこと。

8 暴風雨雪加算における暴風雨又は暴風雪とは、気象警報の発せられているものに限られ、気象警報の発せられない場合は原則として認められないこと。

9 夜間加算については、以下によること。

(1) 夜間の取扱いについては、おおむね午後六時から翌日の午前六時まで、又は、午後七時から翌日午前七時までのように、一二時間を標準として各都道府県において統一的に取扱うこと。

(2) 後療往療の場合は算定できないこと。

10 往療に要した交通費については、患家の負担とすること。往療時に要したバス、タクシー、鉄道、船等の交通費は、その実費とすること。自転車、スクーター等の場合は、土地の慣例、当事者間の合議によるべきであるが、通例は交通費に該当しないこと。

第四 再検料

1 再検料は、初検料を算定する初検の日後最初の後療の日のみ算定できるものであり、二回目以降の後療においては算定できないこと。

2 医師から後療を依頼された患者、既に保険医療機関での受診又は他の施術所での施術を受けた患者及び受傷後日数を経過して受療する患者の場合は、初検料を算定した初検の日後最初の後療の日に算定できること。

第五 その他の施術料

1 骨折の部・不全骨折の部

(1) 肋骨骨折における施術料金は、左右側それぞれを一部位として所定料金により算定するものであること。

(2) 指・趾骨の骨折における施術料は、骨折の存する指・趾一指(趾)を単位として所定料金により算定し、指・趾骨の不全骨折における施術料金は、一手又は一足を単位とし所定料金により算定するものであること。

(3) 関節近接部位の骨折又は不全骨折の場合、同時に生じた当該関節の捻挫に対する施術料金は骨折又は不全骨折に対する所定料金のみにより算定すること。

(4) 膝蓋骨骨折の後療については、特に医師から依頼があった場合に限り算定できるものであること。

この場合の料金は初検料と骨折の後療料等により算定することとし、支給申請書の「摘要」欄に後療を依頼した医師又は医療機関名を付記すること。

(5) 頭蓋骨骨折又は不全骨折、脊椎骨折又は不全骨折、胸骨骨折その他の単純ならざる骨折又は不全骨折については原則として算定できないが、特に医師から後療を依頼された場合に限り算定できるものであること。その場合は、支給申請書の摘要欄に後療を依頼した医師又は医療機関名を付記すること。

(6) 肋骨骨折にて喀血し、又は皮下気泡を触知する場合、負傷により特に神経障害を伴う場合、観血手術を必要とする場合、臓器出血を認め又はその疑いのある場合には、必ず医師の診療を受けさせるようにすること。

(7) 近接部位の算定方法については、第五の4の(1)を参照すること。

2 脱臼の部

(1) 指・趾関節脱臼における施術料金は、脱臼の存する指・趾一指(趾)を単位として所定料金により算定するものであること。

(2) 先天性股関節脱臼等の疾病は、支給対象としないこと。

(3) 顎関節脱臼は左右各一部位として算定して差し支えないが、同時に生じた同側の顔面部打撲に対する施術料金は、脱臼に対する所定料金のみにより算定すること。

(4) 近接部位の算定方法については、第五の4の(1)を参照すること。

3 打撲・捻挫の部

(1) 打撲・捻挫の施術が初検の日から三月を超えて継続する場合は、負傷部位、症状及び施術の継続が必要な理由を明らかにした別紙様式1による長期施術継続理由書を支給申請書に添付すること。

なお、同様式を支給申請書の裏面に印刷及びスタンプ等により調製し、又は、「摘要」欄に長期施術継続理由を記載して差し支えないこと。

(2) 指・趾の打撲・捻挫における施術料は、一手又は一足を単位として所定料金により算定するものであること。

(3) 打撲の部においては、顔面部、胸部、背部(肩部を含む。)及び殿部は左右合わせて一部位として算定すること。

(4) 肩甲部打撲は、背部打撲として取扱うものであること。なお、肩甲部打撲の名称を使用しても差し支えないが、肩甲部及び背部の二部位として取扱うものではないこと。

(5) 筋又は腱の断裂(いわゆる肉ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、打撲の部の所定料金により算定して差し支えないこと。

算定に当たっては、以下によること。

ア 支給の対象は、介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ばなれ)であって柔道整復師の業務の範囲内のものとすること。

なお、打撲及び捻挫と区分する必要があることから、支給申請書に記載する負傷名は挫傷として差し支えないこと。

イ 算定部位は次のものに限ること。

(ア) 胸部挫傷

胸部を走行する筋の負傷であって、肋間筋、胸筋等の損傷であるもの

(イ) 背部挫傷

背部を走行する筋の負傷であって、広背筋、僧帽筋等の損傷であるもの

(ウ) 上腕部挫傷

上腕部を走行する筋の負傷であって、上腕二頭筋、上腕三頭筋等、肩関節と肘関節の間の損傷であるもの

(エ) 前腕部挫傷

上腕部を走行する筋の負傷であって、円回内筋、手根屈筋、腕橈骨筋等、肘関節と手関節との間の損傷であるもの

(オ) 大腿部挫傷

大腿部を走行する筋の負傷であって、大腿四頭筋、内転筋、大腿二頭筋等、股関節と膝関節の間の損傷であるもの

(カ) 下腿部挫傷

下腿部を走行する筋の負傷であって、腓腹筋、ヒラメ筋、脛骨筋等、膝関節と足関節の間の損傷であるもの

ウ 胸部及び背部は、左右合わせて一部位として算定すること。

(6) 近接部位の算定方法については、第五の4の(1)を参照すること。

4 その他の事項

(1) 近接部位の算定方法

ア 頚部、腰部又は肩関節のうちいずれか二部位の捻挫と同時に生じた背部打撲(肩部を含む。)又は挫傷に対する施術料は、捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。

イ 左右の肩関節捻挫と同時に生じた頚部捻挫又は背部打撲に対する施術料は、左右の肩関節捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。

ウ 顎関節の捻挫は、捻挫の部の料金をもって左右各一部位として算定して差し支えないが、同時に生じた同側の顔面部打撲に対する施術料は、捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。

エ 指・趾骨の骨折又は脱臼と同時に生じた不全骨折、捻挫又は打撲に対する施術料は、骨折又は脱臼に対する所定料金のみにより算定すること。

オ 関節近接部位の骨折の場合、同時に生じた当該骨折の部位に最も近い関節の捻挫に対する施術料は、骨折に対する所定料金のみにより算定すること。

また、関節捻挫と同時に生じた当該関節近接部位の打撲又は挫傷に対する施術料は、別にその所定料金を算定することなく、捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。この場合の近接部位とは、次の場合を除き、当該捻挫の部位から上下二関節までの範囲のものであること。

① 手関節捻挫と前腕部打撲又は挫傷(上部に限る。)

② 肘関節捻挫と前腕部打撲又は挫傷(下部に限る。)

③ 肘関節捻挫と上腕部打撲又は挫傷(上部に限る。)

④ 肩関節捻挫と上腕部打撲又は挫傷(下部に限る。)

⑤ 足関節捻挫と下腿部打撲又は挫傷(上部に限る。)

⑥ 膝関節捻挫と下腿部打撲又は挫傷(下部に限る。)

⑦ 膝関節捻挫と大腿部打撲又は挫傷(上部に限る。)

⑧ 股関節捻挫と大腿部打撲又は挫傷(下部に限る。)

(注) 上部、下部とは、部位を概ね上部、幹部、下部に三等分した場合のものであること。

なお、当該負傷の施術継続中に発生した同一部位又は近接部位の負傷に係る施術料は、当該負傷と同時に生じた負傷の場合と同様の取扱いとすること。

カ 近接部位の算定例は次のとおりであること。

① 算定できない近接部位の負傷例(骨折・不全骨折の場合)

骨折・不全骨折の種類

算定できない近接部位の負傷例

1 鎖骨骨折

肩部の打撲、肩関節捻挫

2 肋骨骨折

同側の一~一二肋骨の骨折

同側の胸部打撲又は挫傷

同側の背部打撲又は挫傷

3 上腕骨骨折(上部)

肩部打撲、肩関節捻挫

4 上腕骨骨折(下部)

肘部打撲、肘関節捻挫

5 前腕骨骨折(上部)

肘部打撲、肘関節捻挫

6 前腕骨骨折(下部)

手関節捻挫、手根・中手部打撲

7 手根骨骨折

手関節捻挫、中手部打撲、中手指関節捻挫

8 中手骨骨折

中手骨一~五個々の骨折

手関節捻挫、手根部打撲、中手指関節捻挫

指部打撲、指関節捻挫

9 指骨骨折

手根・中手部打撲、中手指関節捻挫指部打撲、指関節捻挫

10 大腿骨骨折(上部)

殿部打撲、股関節捻挫

11 大腿骨骨折(下部)

膝部打撲、膝関節捻挫

12 下腿骨骨折(上部)

膝部打撲、膝関節捻挫

13 下腿骨骨折(下部)

足根部打撲、足関節捻挫

14 足根骨骨折

足関節捻挫、中足部打撲、中足趾関節捻挫

15 中足骨骨折

中足骨一~五個々の骨折

足関節捻挫、足根部打撲

中足趾・趾関節捻挫、趾部打撲

16 趾骨骨折

足根・中足部打撲、中足趾関節捻挫趾部打撲、趾関節捻挫

② 算定できない近接部位の負傷例(脱臼・打撲・捻挫・挫傷の場合)

脱臼・打撲・捻挫・挫傷の種類

算定できない近接部位の負傷例

1 頚部捻挫

肩峰より内側の肩部打撲

2 肩関節脱臼・捻挫

上腕上部又は幹部の打撲又は挫傷

3 肘関節脱臼・捻挫

上腕下部又は幹部の打撲又は挫傷

前腕上部又は幹部の打撲又は挫傷

4 手関節脱臼・捻挫

前腕下部又は幹部の打撲又は挫傷

手根・中手部打撲

5 中手指・指関節脱臼・捻挫

手根・中手部打撲、指部打撲、指関節捻挫

6 背部打撲又は挫傷

同側の胸部打撲又は挫傷

7 腰部打撲

殿部打撲

8 股関節脱臼・捻挫

大腿上部又は幹部の打撲又は挫傷

同側の殿部打撲

9 膝関節脱臼・捻挫

大腿下部又は幹部の打撲又は挫傷

下腿上部又は幹部の打撲又は挫傷

10 足関節脱臼・捻挫

下腿下部又は幹部の打撲又は挫傷

足根・中足部打撲

11 中足趾・趾関節脱臼・捻挫

足根・中足部打撲、趾部打撲、趾関節捻挫

③ 算定可能な部位の負傷例(骨折・不全骨折の場合)

骨折・不全骨折の種類

算定可能な部位の負傷例

1 鎖骨骨折

頚部捻挫

上腕部打撲又は挫傷

2 肋骨骨折

左右の肋骨骨折

左右反対側の胸部・背部打撲又は挫傷

3 上腕骨骨折(上部)

肘部打撲・肘関節捻挫

4 上腕骨骨折(下部)

肩関節捻挫・肩部打撲

5 前腕骨骨折(上部)

手関節捻挫・手部打撲

6 前腕骨骨折(下部)

肘関節捻挫・肘部打撲

7 手根骨骨折

前腕部打撲又は挫傷、指関節捻挫・指部打撲

8 中手骨骨折

前腕部打撲又は挫傷

9 指骨骨折

一指単位の算定、手関節捻挫

10 大腿骨骨折(上部)

膝部打撲、膝関節捻挫、腰部打撲・捻挫

11 大腿骨骨折(下部)

腰殿部打撲、股関節捻挫、下腿部打撲又は挫傷

12 下腿骨骨折(上部)

大腿部打撲又は挫傷、足関節捻挫

13 下腿骨骨折(下部)

膝部打撲、膝関節捻挫、中足部打撲

14 足根骨骨折

下腿部打撲又は挫傷、趾関節捻挫、趾部打撲

15 中足骨骨折

下腿部打撲又は挫傷

16 趾骨骨折

一趾単位で算定、足関節捻挫

④ 算定可能な部位の負傷例(脱臼・打撲・捻挫・挫傷の場合)

脱臼・打撲・捻挫・挫傷の種類

算定可能な部位の負傷例

1 頚部捻挫

一側の肩関節脱臼・捻挫

背部打撲又は挫傷(下部)

2 背部打撲又は挫傷

胸部打撲又は挫傷(同側を除く。)

一側の肩関節捻挫

3 腰部捻挫

背部の打撲又は挫傷(上部)

股関節捻挫、殿部打撲(下部)

4 肩関節脱臼・捻挫

上腕下部の打撲又は挫傷

背部打撲又は挫傷(下部)

頚部捻挫(ただし、肩関節一側の場合)

5 肘関節脱臼・捻挫、肘部打撲

上腕上部の打撲又は挫傷

前腕下部の打撲又は挫傷

6 手関節脱臼・捻挫

前腕上部の打撲又は挫傷、中手指・指関節捻挫

指部打撲

7 中手指・指関節脱臼

一指単位で算定

8 指関節捻挫

手関節捻挫

9 腰部打撲

背部打撲又は挫傷(上部)、股関節捻挫

10 股関節脱臼・捻挫

大腿下部の打撲又は挫傷、腰部打撲・捻挫

11 膝関節脱臼・捻挫

大腿上部の打撲又は挫傷

下腿下部の打撲又は挫傷

12 足関節脱臼・捻挫

下腿上部の打撲又は挫傷

中足趾・趾関節脱臼・捻挫、趾部打撲

13 中足趾・趾関節脱臼

一趾単位で算定

(2) 罨法料

ア 骨折又は不全骨折の受傷の日から起算して八日以上を経過した場合であっても、整復又は固定を行った初検の日は、温罨法料の加算は算定できないこと。また、脱臼、打撲、不全脱臼又は捻挫の受傷の日より起算して六日以上を経過して整復又は施療を行った初検の日についても算定できないこと。

ただし、初検の日より後療のみを行う場合は算定して差し支えないこと。

イ 温罨法と併せて電気光線器具を使用した場合の電療料の加算は、柔道整復師の業務の範囲内において低周波、高周波、超音波又は赤外線療法を行った場合に算定できること。

なお、電気光線器具の使用は、柔道整復業務の範囲内で行われるものに限られるものであること。

(3) 施術部位が三部位以上の場合の算定方法

ア 多部位逓減は、骨折、不全骨折、脱臼、捻挫及び打撲の全てのものが対象となること。

イ 三部位目から四部位目までの施術部位については、所定料金にそれぞれの逓減率を乗じた額を算定し、五部位目以降の施術に係る後療料、温罨法料、冷罨法料及び電療料については、五部位目までの料金に含まれること。

なお、多部位の負傷の施術中、特定の部位に係る負傷が先に治癒し、施術部位数が減少した場合は、減少後の施術部位数に応じた逓減率を乗じた額を算定するものであること。

ウ 逓減率が変更されるのは他の部位が治癒したことによる場合のみであり、三部位以上の施術期間中、その日に二部位のみについて施術するような場合については逓減率は変更されないこと。

エ 施術録には、六部位目以降の負傷名も含め記載すること。

オ 部位ごとの算定の過程において一円未満の端数が生じた場合は、その都度小数点以下一桁目を四捨五入することにより端数処理を行うものとすること。

(4) 長期施術の場合の算定方法

ア 長期に係る減額措置については、各部位ごとにその初検日を含む月(ただし、初検の日が月の一六日以降の場合にあっては当該月の翌月)から起算するものとすること。

イ 部位ごとの算定の過程において一円未満の端数が生じた場合は、その都度小数点以下一桁目を四捨五入することにより端数処理を行うものとすること。

(5) 長期・多部位の施術の場合の算定方法

ア 地方社会保険事務局長及び都道府県知事に対し、「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」(昭和六〇年五月二〇日付け保発第五六号別紙)の備考5に掲げる施術(以下「長期・多部位の施術」という。)の場合の定額料金を算定する旨を届け出た施術所において、柔道整復師が当該施術を行った場合は、施術部位数に関係なく、一二〇〇円を算定し、当該施術に要する費用の範囲内に限り、これを超える金額の支払いを患者から受けることができること。

ただし、柔道整復師が扱う骨折、脱臼、打撲及び捻挫が国の公費負担医療制度の受給対象となる場合は、患者からの特別の料金の徴収については認められないものであること。

イ 患者から特別の料金を徴収しようとする場合は、患者への十分な情報提供を前提として、当該特別の料金に係る施術の内容、料金等を施術所内の見やすい場所に明示するものとすること。

ウ 特別の料金の設定については、施術所単位で同一のものとし、例えば柔道整復師ごと、又は患者ごとに異なった料金の設定は行わないこと。なお、部位数又は施術内容に応じた料金の設定を行っても差し支えないこと。

エ 特別の料金については、その徴収の対象となる施術に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とすること。

オ 当該施術を行い、長期・多部位の施術の場合の定額料金を算定し、患者から特別の料金を徴収した場合は、その旨を施術録に記載しておくこと。

(6) 金属副子加算

ア 骨折、脱臼の整復及び不全骨折の固定に際し、特に施療上金属副子による固定を必要としてこれを使用した場合に、整復料又は固定料の加算として算定できること。

イ 金属副子加算の対象となるのは、使用した金属副子が網目状のものである場合に限ること。

ウ 金属副子加算は、固定に使用した金属副子の数にかかわらず、次の基準により算定できるものであること。

① 大型金属副子加算については、固定部位の範囲が一肢又はこれに準ずる範囲に及ぶ場合

② 中型金属副子加算については、固定部位の範囲が半肢又はこれに準ずる範囲に及ぶ場合

③ 小型金属副子加算については、固定部位の範囲が前記の①又は②に及ばない程度の場合

エ 金属副子加算の所定金額には、金属副子の費用及び包帯等の費用が含まれているものであること。

(7) 施術情報提供料

ア 施術情報提供料は、骨折、不全骨折又は脱臼に係る柔道整復師の応急施術を受けた患者について、保険医療機関での診察が必要と認められる場合において、当該患者が、柔道整復師の紹介に基づき、実際に保険医療機関に受診した場合に、紹介状の年月日が初検日と同一日である場合に限り算定できるものであること。

イ 紹介に当たっては、柔道整復師は事前に紹介先の保険医療機関と調整の上、別紙様式2により施術情報提供紹介書を作成し、患者又は紹介先の保険医療機関に交付しなければならないものであること。また、交付した文書の写しを施術録に添付しておくとともに、請求にあっては、支給申請書に同文書の写しを添付すること。

ウ 保険医療機関と電話等で予め連絡の上で紹介し、受診についても確認する等連絡を密にするとともに、紹介する保険医療機関の選定に際しては患者の利便性等も考慮すること。

エ 紹介先の保険医療機関については、骨折等の診療に適切と認められる診療科(例えば整形外科等)を標榜する保険医療機関とすること。

オ レントゲン撮影のために保険医療機関に紹介した場合及びレントゲンの撮影を保険医療機関に依頼した場合については、算定できないものであること。

カ 柔道整復師が骨折、不全骨折又は脱臼であると判断して応急施術を行い、保険医療機関に紹介した場合であっても、紹介先の保険医療機関において骨折等でないと診断された場合は、やむを得ない場合を除き、原則として算定できないものであること。

キ 保険医療機関に紹介した患者について、一定期間の治療後に医師の指示により再度柔道整復師に後療を依頼された場合については、初検料は算定できないこと。なお、この場合、後療料等を算定できること。

第六 施術録について

1 療養費の支給対象となる柔道整復師の施術については、別添の記載・整備事項を網羅した施術録を患者毎に作成しておくこと。

なお、同一患者にあっては、初検毎又は負傷部位毎に別葉とすることなく、同じ施術録に記載すること。また、施術明細を書ききれない場合は、別紙に記載して施術録に添付しておくこと。

2 地方社会保険事務局長及び都道府県知事との協定及び契約又は関係通知等により、保険者等に施術録の提示及び閲覧を求められた場合は、速やかに応じること。

3 施術録は、施術完結の日から五年間保管すること。

第七 一部負担金

施術所の窓口での事務の負担軽減を考慮し、患者が一部負担金を支払う場合の一〇円未満の金額については四捨五入の取扱いとすること。

また、施術所の窓口においては、一〇円未満の四捨五入を行う旨の掲示を行うことにより、被保険者等との間に無用の混乱のないようにすること。

なお、保険者が支給する療養費の額は、一〇円未満の四捨五入を行わない額であること。

別紙様式1

別紙様式2

別添

施術録の記載・整備事項

1 施術録の記載項目

(1) 受給資格の確認

ア 保険等の種類

① 健康保険(政・組・日) ② 船員保険 ③ 国民健康保険(退)

④ 共済組合 ⑤ 老人保健 ⑥ その他

イ 被保険者証等

① 記号・番号 ② 氏名 ③ 住所・電話番号 ④ 資格取得年月日

⑤ 有効期限 ⑥ 保険者・事業者名称及び所在地 ⑦ 保険者番号等

ウ 公費負担

① 公費負担者番号 ② 公費負担の受給者番号

エ 施術を受ける者

① 氏名 ② 性別 ③ 生年月日 ④ 続柄 ⑤ 住所

オ 一部負担割合

0割・1割・2割・3割等

◎以上のことは被保険者証等から転記するほか、必要な事柄は患者から直接聞いて記載する。

◎月初めに適宜、保険証を確認するなど、必要な措置を講ずること。

(2) 負傷年月日、時間、原因等

正しく聴取して必ず記載すること。

① いつ

② どこで

③ どうして

(3) 負傷の状況、程度、症状等

近接部位の場合は、その旨表示又は図示すること。

(4) 負傷名

第6の2の(1)によること。

(5) 初検年月日、施術終了年月日

(6) 転帰欄には、治癒、中止、転医の別を記載すること。

(7) 施術回数

(8) 同意した医師の氏名と同意日

(9) 施術の内容、経過等

施術月日、施術の内容、経過等を具体的に順序よく記載すること。

(10) 施術明細

① 初検月日、時間外等の表示、初回施術、初検料(加算=休日・深夜・時間外)、往療料km(加算=夜間・難路・暴風雨雪)、金属副子、その他

② 再検料、往療料、後療料、罨法料、電療料、包帯交換、その他

③ 上記について施術後その都度、必要事項及び金額を記入すること。

④ 一部負担金、長期・多部位の定額料金等、窓口徴収の金額は正確に記入すること。

⑤ 施術所見を記入すること。

(11) 施術料金請求等

請求年月日、請求期間、請求金額、領収年月日

(12) 傷病手当金請求等

傷病手当金証明に関する控えとして、労務不能期間、施術回数、意見書交付年月日

2 施術録の整理保管等

(1) 施術録は、療養費請求の根拠となるものなので、正確に記入し、保険以外の施術録とは区別して整理し、施術完結の日から5年間保管すること。

(2) 施術録は、保険者等から施術内容について調査照会のあった場合は直ちに答えられるよう常時整備しておくこと。

(様式参考例)

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