○健康保険法等の一部を改正する法律等の施行に伴う国民健康保険関係法令の改正及び施行上の留意事項について
(平成九年八月一四日)
(保険発第一〇九号)
(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)
健康保険法等の一部を改正する法律(平成九年法律第九四号)及び国民健康保険法施行令及び国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令の一部を改正する政令(平成九年政令二〇三号)については、平成九年六月二〇日に公布され、また、健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成九年政令第二五号)については、同年八月一日、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第六一号)については、同月一四日にそれぞれ公布され、これらの法令により、国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)並びに国民健康保険法施行令(昭和三三年政令第三六二号)等の国民健康保険関係政令及び国民健康保険法施行規則(昭和三三年厚生省令第五三号)の一部改正が行われたところである。
その内容及び留意事項については、平成九年八月八日付け厚生省発保第一一〇号による厚生事務次官通知及び同日付け保発第九三号・庁保発第二二号による厚生省保険局長、社会保険庁運営部長通知等によって通知されたところであるが、実施に当たっては、更に次の事項に留意の上、貴管下保険者等関係各方面への周知徹底、指導に遺憾のないよう配慮されたい。
なお、この通知においては、健康保険法等の一部を改正する法律を「改正法」と、改正後の国民健康保険法を「法」と、改正後の国民健康保険法施行令を「施行令」と、改正後の国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令(昭和三四年政令第四一号)を「算定政令」と、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令を「改正省令」と、改正後の国民健康保険法施行規則を「施行規則」と、それぞれ略称する。
記
Ⅰ 改正の内容及び留意事項
第一 薬剤に係る一部負担に関する事項
一 薬剤に係る一部負担金の額又は当該一部負担金に係る薬剤費が療養に要する費用の額から定率一部負担金を控除した額を超える場合に、保険者が定率一部負担金の差額又は特例療養費として被保険者に支給しなければならない額は、法第四三条第三項に規定する差額から当該超える額を控除した額又は法第五四条の五に規定する控除額から当該超える額を控除した額とされたこと。ただし、このような事例は、現時点における診療報酬においては生ずることはなく、入念的に規定されたものであること。(法第四三条第三項、第五四条の五、施行令第二八条の三、第二八条の九)
二 法第四三条第一項に基づき条例等によって一部負担金の割合を減ずることができるのは、従前と同様に定率一部負担金だけであり、薬剤に係る一部負担金は法第四三条第一項に基づき条例等によってその額そのものを減額することはできないこと。
三 都道府県又は市町村が薬剤に係る一部負担金に相当する額の全部又は一部を負担することとしている場合には、国庫負担金の算定に当たって、定率一部負担金の軽減に関して従前より調整が行われていたことと同様に、当該負担措置が講じられていないものとして算定された費用を基準に算定することとされたこと。この場合の算定政令第二条第二項に規定する調整療養給付費額及び調整特定療養費額等の算定に係る厚生省令で定める率については、国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令(昭和四七年厚生省令第一一号)で新たに定められる予定であること。
また、国庫負担金の算定において、調整療養給付費に係る算定と同様に、特定療養費、療養費、特別療養費及び高額療養費の額の算定に当たっても薬剤に係る一部負担金相当額を控除した上で算定することとされたこと。(算定政令第二条第二項)
四 以上のほか、その他国庫負担金等の算定方法に係る必要な事項については、国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令(昭和三八年厚生省令第一〇号)及び国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令の改正によって規定することが予定されており、その取扱いについては別途通知するものであること。また、薬剤に係る一部負担金の具体的な取扱いについては、「薬剤一部負担金の取扱いについて」(平成九年八月八日保険発第一〇三号・老企第八二号・老健第一五九号)を参照されたいこと。
第二 国民健康保険組合に対する国庫補助に関する事項
一 新たに健康保険の適用除外承認を受けて、健康保険法の被保険者とならないことにより国民健康保険組合の被保険者である者及びその世帯に属する当該組合の被保険者(以下「組合特定被保険者」という。)に係る療養給付費等に対する国庫補助の割合については、健康保険との均衡を図る観点からその国庫補助率を勘案した割合とし、療養給付費については一三・七%、老人医療費拠出金の納付に要した費用については一六・四%とされたこと。(法第七三条第一項、第二項、算定政令第五条)
二 組合特定被保険者のうち、全国土木建築国民健康保険組合の組合員に係る療養給付費等に対する国庫補助の取扱いについては、以下のとおりとされたこと。(算定政令第五条)
(一) 常時三〇〇人以上の従業員を使用する事業所に使用される者(第二種組合員を除く。)及びその世帯に属する者に係る療養給付費等については国庫補助を行わないこと。
(二) 常時三〇〇人未満の従業員を使用する事業所に使用される者及びその世帯に属する者並びに常時三〇〇人以上の従業員を使用する事業所に使用される者のうち第二種組合員であるもの及びその世帯に属する者に係る療養給付費に対する国庫補助の割合については一三・七%、老人保健医療費拠出金の納付に要した費用に対する国庫補助の割合については一六・四%とすること。
三 二の事業所における従業員数とは、前年の一月から一二月までの各月末における従業員数の合計を一二で除して得た人数とすること。
四 新補助率の適用に当たっては、平成九年八月八日付け事務次官通知及び保険局長・運営部長通知によって示されたところであるが、平成九年八月三一日以前から組合員であった者について、平成九年九月一日以後に婚姻や出産等によりその世帯に属する者となった場合には、その者に係る療養給付費等についても従前の国庫補助の割合が適用されること。(改正法附則第七条)
五 平成九年八月三一日において国民健康保険組合の組合員であった者は、平成九年九月一日以後に使用される事業所を変更した場合であっても、引き続き当該組合の組合員である場合には従前の国庫補助の割合が適用されること。
六 平成九年八月三一日において組合員であった者と、平成九年九月一日以後に健康保険の適用除外承認を受けて組合員になった者について、それぞれ適用される国庫補助の割合が異なることから、国民健康保険組合にあっては、平成九年八月三一日において組合員であった者が同日以前に組合員であったことを明らかにする書類等を備える必要があること。また、平成九年九月一日以後に適用除外承認を受けて組合員に加入しようとする者については、国民健康保険組合規約例(昭和三四年二月二〇日保発第一三号保険局長通知)第七条第一項に基づき、当該承認を受けたことを証する書面の写し等を提出させることにより当該承認日を確実に把握すること。
七 平成九年九月一日以後に組合員になった者であって、健康保険の適用事業所以外の事業所に使用されているため健康保険の適用除外承認を必要とせずに組合員になったものが、使用される事業所を変更することにより適用除外承認を受けた場合、若しくは使用される事業所が健康保険法第一三条第一号の事業所に該当することとなったこと又は使用される事業所が同法第一四条第一項の認可を受けたこと等により組合員が健康保険の適用除外承認を受けた場合には、国民健康保険組合規約例第七条の二に基づき、組合員は当該承認を受けたことを証する書面の写し等を提出する必要があること。また、これらの者については、国庫補助の割合が三二%から一三・七%(老人医療費拠出金の納付に要する費用については一六・四%)に変更されるものであること。
八 平成九年九月一日以後に組合員になった者であって、健康保険の適用除外承認を受けて組合員になったものが、使用される事業所を変更することにより健康保険の適用事業所以外の事業所に使用されることとなった場合又は使用される事業所が健康保険法第一九条第一項の認可を受けた場合には、国民健康保険組合規約例第七条の二に基づき、組合員はその旨を組合に届け出る必要があること。また、これらの者については、国庫補助の割合が一三・七%(老人医療費拠出金の納付に要する費用については一六・四%)から三二%に変更されるものであること。
九 組合員が使用される事業所を変更する等により、七及び八の補助率の変更が行われる場合にあっては、当該変更された補助率は、当該変更が行われた日の属する月の翌月(ただし、その日が月の初日であるときはその日の属する月)から適用するものとし、当該変更が同月内に二回以上行われた場合にあっては、最後の変更に係る補助率を翌月から適用するものとすること。
一〇 国民健康保険組合が薬剤に係る一部負担金に相当する額の全部又は一部を負担することとしている場合には、国庫補助金の算定に当たって、定率一部負担金の軽減に関して従前より調整が行われていたことと同様に、当該負担措置が講じられていないものとして算定された費用を基準に算定することとされたこと。この場合の算定政令第五条第五項に規定する調整療養給付費額及び調整特定療養費額等の算定に係る厚生省令で定める率については、国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令(昭和三八年厚生省令第一〇号)で新たに定められる予定であること。
また、国庫補助金の算定において、調整療養給付費に係る算定と同様に、特定療養費、療養費、特別療養費及び高額療養費の額の算定に当たっても薬剤に係る一部負担金相当額を控除した上で算定することとされたこと。(算定政令第五条第五項)
一一 国民健康保険組合による療養給付費等補助金の申請については、国民健康保険組合から月ごとに提出される国民健康保険毎月事業報告書(事業月報)に基づき行うこととされているところであるが、この度の国庫補助の見直しに伴い、各国民健康保険組合が同補助金の申請の事務処理を適切に行えるよう、国民健康保険組合において、別添一により組合特定被保険者に関する毎月の状況を把握するとともに、同補助金の申請は、従来の事業報告書のほか、別添二の集計表に基づき行うよう指導すること。
なお、別添一により把握した事業状況については、毎月報告する必要はないこと。
一二 以上のほか、国庫補助金の算定方法に係る必要な事項については、国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令(昭和四七年厚生省令第一一号)の改正によって規定することが予定されており、その取扱いについては別途通知するものであること。
第三 国保財政安定化支援事業に関する事項
市町村の一般会計から国民健康保険特別会計への繰入れを地方財政措置で支援する国保財政安定化支援事業については、同事業の定着等にかんがみ、国民健康保険法上の特例措置として規定しないこととされたが、平成九年度から平成一一年度までにおいても同事業を継続することとされたこと。
第四 被保険者証に関する事項
一 薬剤の一部負担金が導入されたことに伴い、国民健康保険被保険者証、国民健康保険退職被保険者証、国民健康保険医療保険カード、国民健康保険退職被保険者医療カード及び国民健康保険検査証の様式改正が行われたこと。
二 一により改正された様式のうち、国民健康保険被保険者証、国民健康保険退職被保険者証、国民健康保険医療保険カード及び国民健康保険退職被保険者医療カードについては、当分の間、改正前の様式によるものを改正後の様式によるものとみなすこととされたこと。ただし、被保険者証等の注意事項には、新たに薬剤に係る一部負担金を負担すること等が書かれることとなっており、可能な限り速やかに新しい様式に切り替えていくことが望ましいものであること。やむをえず切り替えを行わない場合には、制度に関して被保険者等への十分な公報を行うこと。
三 改正省令の施行の際現に交付されている国民健康保険検査証は、新様式によるものとみなすこととされたこと。
Ⅱ その他
今回の改正省令とは別に、改正法に伴うものとして、国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令(昭和三八年厚生省令第一〇号)及び国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令(昭和四七年厚生省令第一一号)の改正が行われる予定であること。また、療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五一年厚生省令第三六号)が改正され、診療報酬請求書等の様式の改正が行われることが予定されており、その取扱いについては別途通知されるものであること。
(別添1)
(別添2)