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○治験に係る診療の特定療養費化について

(平成九年一月三一日)

(事務連絡各都道府県民生主管部(局)保険・国民健康保険主管課(部)あて厚生省保険局医療課)

標記については、平成八年四月から特定療養費とされ、関連する通知等も既に示されているところであるが、本制度の円滑な運用を図る観点から、その趣旨及び取扱いの細則についてさらに次のとおりとするので、関係機関等への周知方よろしくお取り計らいいただきたい。

1 制度の趣旨及び内容

(1) 治験に係る診療を特定療養費としたのは、治験に参加している患者の診療に要する費用について、医療保険制度と治験依頼者の適切な費用分担を図る観点から、特定療養費の支給になじむ部分について医療保険制度から委託することとするとともに、特定療養費の支給対象となる診療の範囲の明確化を行ったものである。

(2) 明確化に当たっては、保険請求上の取扱いの簡素化を図り、かつ恣意性を排除する観点から、診療報酬点数表上の項目によることとした。具体的には、治験期間内に実施される全ての検査及び画像診断並びに当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る投薬及び注射に要する費用は治験依頼者の負担とし、それ以外の費用は、特定療養費の支給対象として取り扱うこととした。

なお、制度実施上の問題点については、今後の運用状況をみながら、必要に応じ見直しを行うこととしている。

2 治験実施期間

(1) 治験の特定療養費の支給対象となる期間に関し、平成八年三月八日保険発第二二号厚生省保険局医療課長・歯科医療管理官通知(以下「医療課長通知」という。)第四の3の(3)における「当該治験を実施した期間」(以下「治験実施期間」という。)とは、治験薬等の投与を開始した日から投与を終了した日までであり、治験薬等を投与していない前観察期間及び後観察期間はこれに含まれない。

この場合、「治験薬等」には、治験薬のほか、対照薬(二重盲検比較試験における対照薬としてのプラセボ(偽薬)も含む。)及び降圧薬等の治験における前観察期間に使用されるプラセボ(偽薬)が含まれる。

なお、治験薬及び対照薬の定義については、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(平成元年一〇月二日薬発第八七四号)によられたい。

(備考)

治験薬:「治験の対象とされる薬物(医薬品、化学的物質、生物学的物質又はそれらを含有する製剤)」

対照薬:「治験薬と比較する目的で治験に用いられる薬物(医薬品、化学的物質、生物学的物質又はそれらを含有する製剤)」

(2) 例えば、造影剤の治験のように、単回で投与を行い、その後、検査を行い安全性の確認等を行うような場合については、投与日のみを治験期間とする。

(3) 中止例及び脱落例については、治験薬の投与を開始した日から治験薬が最後に投与された日までを治験期間とする。

3 特定療養費の支給の範囲

(1) 医療課長通知第四の3の(3)の「当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品」には、二重盲検比較試験における対照薬としてのプラセボ(偽薬)及び降圧薬等の治験における前観察期間に使用されるプラセボ(偽薬)が含まれる。

(2) 治験とは無関係の疾病(他科に属するものも含む。)に係る検査及び画像診断並びに当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る投薬及び注射に要する費用についても、治験期間中に実施されるものは、治験依頼者の負担とする。

治験薬等の副作用による疾病に係る費用についても同様の取扱いとする。

(3) 本来入院を要しない疾病であるにも係わらず治験のプロトコール上入院して検査等を行う必要がある場合であっても、治験実施期間中に実施される(2)に掲げる項目以外の基本診療料等については、特定療養費の支給対象となる。

4 その他

既に従来方式で実施されている治験であっても、平成八年四月以降に新たに契約の更新を行う場合には新方式で行う。