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○保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について

(平成八年三月八日)

(保険発第二二号)

(都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長、国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長、厚生省保険局歯科医療管理官通知)

保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等については、本日付け保発第二〇号をもって厚生省保険局長から都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施に伴う留意事項は、次のとおりであるので、その取扱いに遺憾のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。

なお、この通知は、平成八年四月一日から適用する。ただし、第四の三については、同日以降に依頼を受けた治験に係る診療について適用する。

第一 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一五号。以下「療養担当規則」という。)の一部改正に関する事項

一 特定の保険薬局への誘導の禁止(第二条の四及び第一九条の三)関係

(一) 従来から、保険医が処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことは禁止されているところであるが、今般、保険医療機関についても、当該保険医療機関において診療に従事する保険医の行う処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことを禁止したものであること。具体的には、保険医療機関内に掲示した特定の保険薬局への案内図や、保険医療機関の受付において配布した特定の保険薬局への地図等を用いることにより、患者を特定の保険薬局へ誘導すること等を禁止するものであること。

(二) 保険医療機関が、保険医の行う処方せんの交付に関し、患者に対し特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、保険薬局から金品その他の財産上の利益を受け取ることについても、特定の調剤薬局への患者誘導につながる蓋然性が極めて高く、また、行為それ自体が医薬分業の本旨にもとるものであることから、禁止することとしたものであること。この場合において、金品その他の財産上の利益とは、金銭、物品、便益、労務、饗応、患者一部負担金の減免等を指すものであること。

(三) 保険医についても、(二)と同様の観点により、保険薬局から金品その他の財産上の利益を受け取ることを禁止するものとすること。

二 証明書等の交付(第六条)関係

あん摩・マッサージ、はり及びきゅうに係る療養費の請求の際に必要な医師の同意書の交付に要する費用について、診療報酬上評価を行ったことに伴い、無償で交付する義務の対象から除外したこと。

三 特殊療法等の禁止(第一八条)及び使用医薬品(第一九条)関係

(一) 保険医は、健康保険の診療に従事するに当たり、厚生大臣の定める医薬品以外の医薬品を使用することは禁止されているところであるが、今般、薬事法(昭和三五年法律第一四五号)第八〇条の二第一項に規定する治験(以下「治験」という。)に係る診療について、特定療養費の支給対象とされたことに伴い、厚生大臣の定める医薬品とされていない治験薬についても保険診療上使用されることとなることから、その場合には、本規定を適用をしない旨を明記したものであること。

(二) また、特殊な療法及び新しい療法等についても、厚生大臣が定める場合のほかこれを行ってはならないものとされているが、(一)と同様の趣旨により、治験に係る診療については、本規定の適用除外とするものであること。(厚生大臣が定める場合を告示)

四 診療の具体的方針(第二〇条)関係

(一) 検査については、研究の目的で行うことは禁止されているところであるが、治験に係る診療について、特定療養費の支給対象としたことに伴い、治験に伴う検査については、この限りでない旨を明記したものであること。

(二) 歯科診療についても、(一)と同様であること。

五 歯科診療の具体的方針(第二一条)関係

今般、歯科診療報酬において、補綴物維持管理料を創設したこと等に伴い、歯冠修復物及びブリッジの維持管理について、歯科医師である保険医の努力義務として明確に位置づけたものであること。

第二 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一六号)の一部改正に関する事項

一 健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三)関係

(一) 平成六年の保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正において、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われていた保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から必要な改正が行われたところであるが、その後も、保険薬局の保険医療機関からの独立性に関して問題のみられる事例が発生し、社会問題化している実情に鑑み、保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営を行ってはならないこと、及び、保険薬局は保険医又は保険医療機関に対し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないことを明確化するものであること。

(二) この場合において、保険医療機関と一体的な構造とは、保険薬局の土地又は建物が保険医療機関の土地又は建物と分離しておらず、公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものをいうものであること。また、保険薬局の独立性の確保の観点からは、いわゆる医療ビルのような形態は好ましくないが、このような場合にあっては、当該建物について、患者を含む一般人が自由に行き来できるような構造になっている旨を十分に確認すること。加えて、このような形態の場合には、患者誘導が行われるような実態のないよう、併せて留意すること。

(三) 保険医療機関と一体的な経営を行う場合とは、(二)のまた以下に該当する場合等保険医療機関と保険薬局が一定の近接的な位置関係にあり、かつ、次のアからエまでに規定するような経営主体の実質的同一性が認められる場合又は機能上医療機関とのつながりが強いとみなされる場合を指すものであること。

ア 保険薬局の開設者(法人たる保険薬局の役員を含む。)が当該保険医療機関の開設者(特定保険医療機関の開設者が法人の場合にあっては、当該法人の役員を含む。)又は開設者と同居又は開設者と生計を一にする近親者であるもの。

イ 保険薬局の開設者と保険医療機関の開設者の間の資本関係が実質的に同一であるもの(法人の場合にあっては当該法人の役員が経営するものを含む。)

ウ 職員の勤務体制、医薬品の購入管理、調剤報酬の請求事務、患者の一部負担金の徴収に係る経理事務等が特定保険医療機関と明確に区分されていないもの

エ 特定の保険医療機関との間で、いわゆる約束処方、患者誘導等が行われているもの。

(四) 金品その他の財産上の利益とは、第一の一の(二)と同様であること。

(五) 本条の規定に照らし、総合的に判断して医療機関の調剤所と同様とみられるものについては、保険薬局としての適格性に欠けるものであるから、地方社会保険医療協議会に諮った上、保険薬局の新規指定を行わないこと。また、現に存するものについては、次回更新時までに改善を指導し、これに従わない場合は、地方社会保険医療協議会に諮った上、更新を行わないこと。

二 掲示(第二条の四)関係

(一) 保険薬局が提供するサービスの内容等に関する事項について、患者に対する十分な情報提供の促進を図る観点から、厚生大臣の定める事項を薬局内の見やすい場所に掲示することとしたこと。

(二) 具体的には、次の四つの事項を掲示事項としたこと。

ア 薬剤服用歴管理指導料に関する事項

イ 基準調剤加算に関する事項

ウ 無菌製剤処理加算に関する事項

エ 在宅患者訪問薬剤管理指導料に関する事項

三 調剤の一般的方針(第八条)関係

(一) 保険薬局における薬学的管理及び指導は医薬分業の本旨であり、最近の医薬分業の急速な進展に伴い、その重要性が高まっていることに鑑み、調剤に加えて薬学的管理及び指導を保険薬剤師の義務として明確にしたものであること。

(二) 患者の療養上妥当適切な調剤及び薬学的管理指導を行うため、保険薬剤師は、日本薬剤師研修センター、薬剤師会及び薬科大学等が開催する研修等を通じて必要な知識及び技能の研鑽に努めなければならないものであること。

第三 保険薬局に係る厚生大臣の定める掲示事項(平成八年三月厚生省告示第二七号)に関する事項

一 保険薬局が提供するサービスの内容について、患者に対する情報の提供の促進を図る観点から、保険薬局内の掲示事項として、調剤報酬点数表の薬剤服用歴管理指導料に関する事項及び同表に基づく届出事項に関する事項を定めたこと。

二 具体的には、薬剤服用歴管理指導料に関する事項並びに基準調剤加算の届出、無菌製剤処理加算の届出及び在宅訪問薬剤管理指導料に係る届出等に使用した届出書の内容のうち、届出を行ったことにより患者が受けられるサービスの内容等を保険薬局内の見やすい場所に分かりやすく掲示するものであること。

三 保険薬局の外側の見やすい場所に、開局時間及び休業日並びに時間外、休日、深夜における調剤応需体制に関する事項等についても掲示することが望ましいこと。

四 保険調剤に関して、ここで定められた以外の事項について誤解を招くような表現の掲示を行ったり、誇大な広告・宣伝を行ってはならないものであること。

なお、以下に各事項の掲示の具体例を示す。

(掲示例)

「一 当薬局は、厚生大臣が定める基準による調剤を行っている保険薬局です。

二 当薬局は、〇〇〇品目の医薬品を備蓄しています。

三 当薬局は、どの保険医療機関の処方せんでも応需します。

四 当薬局は、患者さんの希望により服用薬剤の種類や服用経過などを記録した「薬剤服用歴の記録」を作成し、薬剤によるアレルギーや副作用の有無を確認するとともに、複数の病院・診療所から薬剤が処方されているような場合には、服用薬剤同士の重複や相互作用の有無をチェックします。

五 当薬局は、処方せんによる医師の指示があるときは、在宅で療養されている患者さん宅を訪問して服薬指導等を行います。

六 当薬局は、無菌室(クリーンベンチ)の設備を備え、注射薬等の無菌的な製剤を行います。」

第四 特定療養費に係る療養の基準(昭和六三年三月厚生省告示第五三号)に関する事項

一 病院の初診に関する基準関係

(一) 今般、病院と診療所の機能分担の推進を図る観点から、他の保険医療機関等からの紹介なしに二〇〇床以上の病院を受診した患者については、自己の選択に係るものとして、初診料を算定する初診に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することができることとしたところであるが、当該療養の取扱いについては、以下のとおりとする。

ア 患者の疾病について医学的に初診といわれる診療行為が行われた場合に徴収できるものであり、自ら健康診断を行った患者に診療を開始した場合等には、徴収できない。

イ 同時に二以上の傷病について初診を行った場合においても、一回しか徴収できない。

ウ 一傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合においても、第一回の初診時にしか徴収できない。

エ 医科・歯科併設の病院においては、お互いに関連のある傷病の場合を除き、医科又は歯科においてそれぞれ別に徴収できる。

オ アからエまでによるほか、初診料の算定の取扱いに準ずるものとする。

(二) 初診に係る特別の料金を徴収しようとする場合は、患者への十分な情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものであり、当該情報提供に資する観点から、「他の保険医療機関等からの紹介によらず、当該病院に直接来院した患者については初診に係る費用として〇〇〇〇円を徴収する。ただし、緊急その他やむを得ない事情により、他の保険医療機関からの紹介によらず来院した場合にあっては、この限りでない。」旨を病院の見やすい場所に明示するものとする。

(三) 特別の料金の設定については、前記一に掲げた趣旨にかんがみ、保険医療機関単位で同一の金額とし、例えば医師ごとに異なった料金の設定を行うことは認めないものとする。

(四) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とする。

(五) 特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、都道府県知事にその都度報告するものとする。

(六) 国の公費負担医療制度の受給対象者については、「やむを得ない事情がある場合」に該当するものとして、初診に係る特別の料金の徴収を行うことは認められないものであること。

(七) いわゆる地方単独の公費負担医療(以下「地方単独事業」という。)の受給対象者については、当該地方単独事業の趣旨が、特定の傷害、特定の疾病等に着目しているものである場合には、(六)と同様の取扱いとすること。

(八) 社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)第二条第三項第五号に規定するいわゆる無料低額診療事業の実施医療機関において当該制度の対象者について初診に係る特別の料金の徴収を行うこと、及びエイズ拠点病院においてHIV感染者について初診に係る特別の料金の徴収を行うことは、「やむを得ない事情がある場合」に該当するものとして認められないものであること。

二 予約に基づく診察に関する基準関係

(一) 予約診察による特別の料金の徴収に当たっては、それぞれの患者が予約した時刻に診療を適切に受けられるような体制が確保されていることが必要であり、予約時間から一定時間(三〇分程度)以上患者を待たせた場合は、予約料の徴収は認められない。

(二) 予約料を徴収しない時間を各診療科ごとに少なくとも延べ外来診療時間の二割程度確保するものとする。なお、この時間帯の確保に当たっては、各診療科における各医師の同一診療時間帯に、予約患者とそうでない患者を混在させる方法によっても差し支えない。

(三) 二のなお書きの場合にあっては、予約患者でない患者の診療時間を一時間につき二割程度確保できるよう、予約患者数、予約時間等について適切な措置を講ずるものとする。また、予約患者でない患者についても、概ね二時間以上待たせることのないよう、適宜診察を行うものとする。

(四) 予約患者については、予約診察として特別の料金を徴収するのにふさわしい診療時間(一〇分程度以上)の確保に努めるものとし、医師一人につき一日に診察する予約患者の数は概ね四〇人を限度とする。

(五) 上記の趣旨を患者に適切に情報提供する観点から、当該事項について院内に掲示するとともに、病院の受付窓口の区分、予約でない患者に対する受付窓口での説明、予約患者でない患者への番号札の配布等、各保険医療機関に応じた方法により、予約患者とそうでない患者のそれぞれについて、当該取扱いが理解されるよう配慮するものとする。

(六) 予約料の徴収は、患者の自主的な選択に基づく予約診察についてのみ認められるものであり、病院側の一方的な都合による徴収は認められない。

(七) 予約料の額は、社会的に見て妥当適切なものでなければならない。

(八) 他の保険医療機関等からの紹介状を持参して来た患者について、当該診察に係る予約料の徴収は認められない。

(九) 専ら予約患者の診察に当たる医師がいても差し支えないものとする。

三 治験に係る診療に関する基準

(一) 特定療養費の支給対象となる治験は、薬事法(昭和三五年法律第一四五号)第八〇条の二の規定により依頼されたものとする。

(二) したがって、治験の実施に当たっては、薬事法及び薬事法施行規則(昭和三六年厚生省令第一号)の関係規定によるほか、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(平成元年一〇月二日薬発第八七四号)によるものとする。

(三) 特定療養費の支給対象となる期間については、治験の対象となる患者ごとに当該治験を実施した期間とする。

(四) 特定療養費の支給対象となる診療については、医療保険制度と治験依頼者との適切な費用分担を図る観点から、治験に係る診療のうち、検査及び画像診断に係る費用については、特定療養費の支給対象はせず、また、投薬及び注射に係る費用については、当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る診療については、特定療養費の支給対象とはしないものとする。なお、これらの項目が包括化された点数を算定している保険医療機関において治験が行われた場合の当該包括点数の取扱いについては、当該包括点数から、当該診療において実施した特定療養費の支給対象とはならない項目のうち当該包括点数に包括されている項目の所定点数を合計した点数を差し引いた点数に係るものについて、特定療養費の支給対象とする。

(五) 特定療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られるものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、特定療養費の支給対象としないものとする。

(六) 特定療養費の支給対象となる治験を実施した保険医療機関については、毎年の定例報告の際に、治験の実施状況について都道府県知事に報告するものとする。

(七) 本取扱いについては、平成八年四月一日以降に依頼を受けた治験に係る診療について適用することとし、同日前に治験の実施に係る契約(仮契約を含む。)が締結されているものについては適用しないものとする。

第五 関連通知の改正

一 平成四年三月七日保険発第一八号を次のように改める。

第二の三を次のように改める。

三 削除

二 平成五年二月二二日保険発第一二号を次のように改める。

(一) 第五の二を次のように改める。

二 削除

(二) 第五の四を次のように改める。

四 削除

(三) 第七を次のように改める。

第七 削除

(四) 別紙様式二及び別紙様式三を削る。