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○健康保険の移送費の支給の取扱いについて

(平成六年九月九日)

(保険発第一一九号・庁保険発第九号)

(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長あて厚生省保険局保険・社会保険庁運営部保険管理・保険指導課長連名通知)

標記については、健康保険法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成六年厚生省令第五六号)において必要な諸規定の整備が図られたところであるが、その取扱いについては、平成六年九月九日保発第九六号・庁保発第二九号(「健康保険法等の一部を改正する法律の施行について」)によるほか、左記の事項に留意し、その適正な取扱いを期するとともに、貴管下健康保険組合においてもこれに準じて取扱われるよう指導されたい。

なお、本制度を円滑に運用するためには、被保険者等の本制度に対する正しい理解が前提となるので、その周知徹底を図られたい。

1 制度の概要

(一) 移送に係る給付については、負傷、疾病等により移動が困難な患者が医師の指示により一時的、緊急的な必要性があって移送された場合に、その経済的な出費について補填を行い、必要な医療が受けられることを可能にするとの考え方から、平成六年一〇月一日より移送費として現金により支給することとされたこと。

(二) これは今般の制度改革の一環として療養の給付に関する規定の整備が行われたことに伴い、従来療養費の支給として行われてきた移送費について、新たに現金給付として位置付けることとしたものであり、これまでの移送費に係る制度の運用の実績を踏まえ支給要件の明確化等の措置を講じたものであること。

(三) 移送費は、当該移送の目的である療養が保険診療として適切であって、患者が移動困難であり、かつ緊急その他やむを得ないと保険者が認めた場合について、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定された額を、現に要した費用を限度として支給することとされたこと。

(四) 従って、通院など一時的、緊急的とは認められない場合については、移送費の支給の対象とはならないものであること。

2 移送費の支給基準

(一) 移送費の支給要件

従来の移送に係る療養費の支給の要否の判断基準を明確化した健康保険法施行規則(大正一五年内務省令第三六号。以下「規則」という。)第五五条に規定する要件のいずれにも該当すると保険者が認めた場合に移送費を支給すること。

なお、次のような事例の場合には、移送費が支給されるものであるが、これらの事例は標準的なものであり、個々の事例に応じて社会通念上妥当な範囲内で保険者が適切に判断すること。

① 負傷した患者が災害現場等から医療機関に緊急に移送された場合。

② 離島等で疾病にかかり、又は負傷し、その症状が重篤であり、かつ、傷病が発生した場所の付近の医療施設では必要な医療が不可能であるか又は著しく困難であるため、必要な医療の提供を受けられる最寄りの医療機関に移送された場合。

③ 移動困難な患者であって、患者の症状からみて、当該医療機関の設備等では十分な診療ができず、医師の指示により緊急に転院した場合。

(二) 移送費の支給額

移送費の支給額は、規則第五四条に規定する算定基準により算定された額とすること。具体的には、次のような取扱いとなるものであること。

① 経路については、必要な医療を行える最寄りの医療機関まで、その傷病の状態に応じ最も経済的な経路で算定すること。

② 運賃については、その傷病の状態に応じ最も経済的な交通機関の運賃で算定すること。

③ 医師、看護婦等付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として一人までの交通費を算定すること。

④ 天災その他やむを得ない事情により、前記のような取扱いが困難である場合には、現に要した費用を限度として例外的な取扱いも認められること。

3 付添人の医学的管理等に係る療養費の支給

移送費の支給が認められる医師、看護婦等の付添人による医学的管理等について、患者がその医学的管理等に要する費用を支払った場合にあっては、現に要した費用の額の範囲内で、移送費とは別に、診療報酬に係る基準を勘案してこれを評価し、療養費の支給を行うことができること。