添付一覧
○保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について
(平成六年八月五日)
(保険発第九七号)
(都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長、国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長厚生省保険局歯科医療管理官通達)
保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等については、本日付け保発第七八号をもって厚生省保険局長から都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施に伴う留意事項は、次のとおりであるので、その取扱いに遺憾のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。
なお、この通知は、平成六年一〇月一日から適用する。
記
第一 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一五号。以下単に「療養担当規則」という。)の一部改正に関する事項
一 療養の給付の担当の範囲(第一条)関係
(一) 健康保険法等の一部を改正する法律(平成六年法律第五六号。以下「医療保険制度の改正」という。)により、療養の給付として在宅医療が位置付けられたことに伴い、保険医療機関(特定承認保険医療機関を含む。二を除き、以下同じ。)が担当する療養の給付並びに被保険者及び被保険者であった者並びにこれらの被扶養者の療養の範囲として、以下のものを位置付けたこと。
ア 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
イ 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
(二) 「居宅における療養上の管理」とは、訪問診療等による在宅患者に対する医師の医学的管理を意味するものであり、「入院」の解釈に含まれる入院患者に対する医学的管理と対比されるものであること。
(三) 「居宅における療養に伴う世話その他の看護」とは、在宅患者に対する訪問看護などを意味するものであること。
二 一部負担金等の受領(第五条、第五条の二)関係
(一) 保険医療機関及び特定承認保険医療機関(以下この項において「保険医療機関等」という。)は、食事の提供たる療養(病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護と併せて行うものに限る。以下「食事療養」という。)を行った場合には、健康保険法(大正一一年法律第七〇号)第四三条ノ一七の規定による標準負担額の支払を受けるものとすること。
(二) 保険医療機関等は、食事に関し、当該療養に要する費用の範囲内において、厚生大臣が定める食事療養に係る費用の算定基準額を超える金額の支払を受けることができるものとすること。
三 食事療養(第五条の三)関係
(一) 医療保険制度の改正により、入院時食事療養費が創設されたことに伴い、入院時食事療養費に係る食事療養について規定したものであること。
(二) 保険医療機関は、その入院患者に対して食事療養を行うに当たっては、当該患者ごとの病状に応じて適切に行わなければならないものとするとともに、その提供する食事の内容の向上に努めなければならないものとすること。
(三) 保険医療機関は、食事療養を行う場合には、患者から特別の料金の支払を受ける場合を除き、標準負担額の支払を受けることにより食事を提供するものとすること(標準負担額による食事の提供義務)。
(四) 保険医療機関は、追加的なメニュー等患者から特別の料金の支払を受けて食事療養を行う場合には、当該食事療養をそのような支払を受けるものとしてふさわしい内容のものとするほか、その提供に当たっては、あらかじめ当該患者に対してその内容及び費用に関して十分な説明を行い、当該患者の同意を得るものとすること。なお、当該説明を行うに当たっては、患者が食事の選択について適確な判断を行えるよう、標準負担額の支払を受けることにより提供する食事の内容及び費用を含めて、パンフレット等によりわかりやすく患者に対し説明を行うとともに、事実上特別の料金の支払を受けて行う食事療養しか選択できないような運用になることのないようにすること。
(五) 保険医療機関は、その病院又は診療所の病棟等の見やすい場所に、特別の料金の支払を受けて行う食事療養の内容及び費用に関する事項を掲示しなければならないものとすること。
四 指定訪問看護(第七条及び第一九条の四)関係
(一) 医療保険制度の改正により、新たに訪問看護事業が位置付けられたことに伴い、本事業と保険医療機関及び医師である保険医との関係を規定したものであること。
(二) 保険医療機関は、患者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受ける必要があると認めた場合には、当該患者に対し、その利用手続、提供方法及び内容について十分説明を行うよう努めなければならないものとすること。
(三) 医師である保険医は、患者から訪問看護指示書の交付を求められ、その必要があると認めた場合には、速やかに、当該患者の選定する訪問看護ステーション(指定訪問看護事業者が当該指定に係る訪問看護事業を行う事業所をいう。以下同じ。)に交付しなければならないものとすること。
(四) 医師である保険医は、訪問看護指示書に基づき、適切な訪問看護が提供されるよう、訪問看護ステーション及びその従業者からの相談に際しては、当該指定訪問看護を受ける者の療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行わなければならないものとすること。
五 看護(第一一条の二、第二〇条第七号及び第二一条第八号)関係
(一) 医療保険制度の改正により、患者の負担による当該保険医療機関の従業者以外の者による看護が原則禁止されることに伴うものであること。
(二) 保険医療機関は、その入院患者に対して、患者の負担により、当該保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならないものとすること。
(三) 保険医療機関は、当該保険医療機関の従業者による看護を行うため、従業者の確保等必要な体制の整備に努めなければならないものとすること。
(四) ただし、健康保険法等の一部を改正する法律(平成六年法律第五六号)附則第四条又は第一二条の規定により療養の給付等とみなされる当該保険医療機関の従業者以外の者による看護については、従前と同様の取扱いとするが、保険医療機関は、その場合にあっても、当該看護が患者の病状に応じて適切に行われるよう必要な配慮を行うものとすること。
六 居宅における療養上の管理等(第二〇条第六号二及び第二〇条第七号二)関係
医療保険制度の改正により療養の給付として在宅医療が位置付けられたことに伴い、居宅における療養上の管理及び看護は、療養上適切であると認める場合に行うものとしたこと。
七 診療録(第二二条)関係
(一) 医療保険制度の改正により、入院時食事療養費が創設されたことに伴い、診療録の様式第一号(一)の三に新たに食事療養算定額及び標準負担額に係る記入欄を設けるものとすること。
(二) なお、今回の改正前の様式による診療録の用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができるものとすること。
八 その他
医療保険制度の改正に伴い、所要の規定の整備を行ったものであること。
第二 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一六号)の一部改正に関する事項
療養の給付の担当の範囲(第一条及び第二条)関係
(一) 医療保険制度の改正により療養の給付として在宅医療が位置付けられたことに伴い、保険薬局が担当する療養の給付及び被扶養者の療養について、薬剤又は治療材料の支給に加え、居宅における薬学的管理及び指導を位置付けたものであること。
(二) 上記に伴い、保険薬局は、調剤録に、居宅における薬学的管理及び指導に関し必要な事項についても記載することとし、これを他の調剤録と区別して整備しなければならないものとすること。