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○保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について

(平成六年三月一六日)

(保険発第二六号)

(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長、国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長・厚生省保険局歯科医療管理官通知)

保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等については、本日付け保発第一七号をもって厚生省保険局長から都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施に伴う留意事項は、次のとおりであるので、その取扱に遺憾のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。

なお、この通知は、平成六年四月一日(第四の三については同年六月一日)から適用する。

第一 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一五号。以下単に「療養担当規則」という。)の一部改正に関する事項

一 適正な手続の確保(第二条の二)関係

保険医療機関が行うこととされている厚生大臣又は都道府県知事に対する各種の申請、届出等に係る手続あるいは診療報酬請求事務については、これを適正に行わなければならないことは改めて言及するまでもないところであるが、今回の診療報酬改定に伴い、許認可事項の簡素化が行われ、新規の制度は原則として届出事項として創設されるとともに、ほとんどの承認事項が平成六年一〇月一日から届出事項とされること等に伴い、こうした手続を適正に行わなければならない旨、再度確認する観点から、本条を設けることとしたものであること。

二 健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三及び第一九条の二)関係

(一) 保険医療機関及び保険医は、健康保険事業の健全な運営を損なうようなことは厳に慎むべきものであること。

(二) 具体的には、例えば、特定の保険医療機関と保険薬局が経済的に結びつくこと等は、医薬分業の趣旨、保険診療の経済的な評価等の観点からして問題であるほか、診療行為に付随して保険医等がリベート、バックマージン等を受け取る等の行為は保険財源の効率的な使用を害し、保険診療に対する国民の信頼を揺るがしかねない由々しい行為であり、このようなことのないよう明らかにしたものであること。

三 収容(第一一条)関係

今回の診療報酬改定により、従前の基準寝具設備を室料と合わせて入院環境料として評価することとしたことに伴い、療養環境の確保を図るための当然の条件として、療養担当規則上明示的に位置づけたものであること。

四 特定の保険薬局への誘導の禁止(第一九条の三)関係

(一) 今回、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われている保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化するとともに、適正な医薬分業の推進を図る観点から、保険医が、処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行ってはならないとする規定を新設したものであること。

(二) 具体的には、(一)に記した事項のほか、例えば以下のような行為を行ってはならないこと。

ア 保険医療機関内において、患者サービスの目的で、近隣の保険薬局の所在地を表した地図を配布する際に、特定の保険薬局についてのみを記載すること。

イ 処方せんの処方欄に、保険医療機関と保険薬局との間で約束されたいわゆる約束処方による医薬品名の省略、記号等による記載を行うこと。

五 投薬(第二〇条第二号及び第二一条第二号)関係

(一) 今回、在宅医療の進展及び投薬の実状を勘案し、内服薬及び外用薬の投与期間を適正化したこと。

(二) 具体的には、以下のように定めたこと。

ア 内服薬については、厚生大臣の定めるものにつき、厚生大臣の定める疾患に罹患している者に対する場合及びウの場合を除き、一回一四日分を限度として投与することとしたこと。

イ 外用薬については、厚生大臣の定めるものにつき、厚生大臣の定める疾患に罹患している者に対する場合及びウの場合を除き、一回七日分を限度として投与することとしたこと。

ウ 長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認められるときは、必要最小限の範囲において、一回三〇日分を限度として投与できることとしたこと。

この場合において、必要があると認められるときとは、海外への渡航、年末・年始及び連休に係るもの等に限られるものであること。また、単に保険医療機関への通院が困難又は保険医療機関が遠隔地にある等の理由で、内服薬については一四日、外用薬については七日を超えて投与することは認められないものであること。

エ なお、ウの場合、診療報酬明細書の摘要欄及び院外処方せんの備考欄に、内服薬については一四日を超えて投与した理由、外用薬については七日を超えて投与した理由を記載しなければならないこと、調剤報酬明細書の適用欄に当該理由を転記すべきことを別途通知するものであること。

六 処方せんの交付(第二三条第二項)関係

医薬分業の進展に伴い、保険薬剤師からの、処方せんを発行した保険医に対する疑義照会が円滑に行われるよう、保険医の疑義照会に対する応答義務に関する規定を置いたものであること。

七 適正な費用の請求の確保(第二三条の二)関係

(一) 健康保険制度においては、保険医療機関が療養の給付を担当し、当該給付に係る費用の請求を自らの責任のもとに行うこととされており、一方で保険医は、直接的には診療行為に責任を持つものであるが、自ら行った診療に対する情報の提供等により保険医療機関が行う療養の給付に関する費用の請求が適正なものとなるよう努めることが保険医に求められているため、これを明示的に規定したものであること。

(二) 保険医がその行った診療に関して、保険医療機関の不正請求を助長するような専門的助言等を行うこと、例えば、ある疾患の患者に対して通常であれば行われるような検査、投薬等を実際には行わなかったにもかかわらず、教示し、不正な診療報酬請求をなさしめるような行為は厳に慎むべきものであること。

八 診療録、歯科診療録(様式第一号)関係

用紙の大きさが従前はB列5番とされていたが、今後は、特に大きさを定めないこととしたこと。

なお、この場合において行政文書のA判化等を踏まえ、今後はA列四番としていく方向が望ましいことを別途通知するものであること。

九 処方せん(様式第二号)関係

(一) 今回、医薬分業の進展に伴い、処方せんの様式をより適切なものに改めたこと。

(二) 具体的には、以下のとおり改めたこと。

ア 用紙の大きさを、最近のA判化の動向、諸外国の状況等にかんがみ、従来のB列五番からA列五番に改めたこと。

イ 今回の改正に係る療養担当規則第一九条の二において規定された、特定の保険薬局への患者誘導の禁止を徹底するために、様式中に「この処方せんは、どの保険薬局でも有効である。」旨を追加したこと。

ウ 医薬分業の進展に伴い増加している疑義照会に対して、回答の内容を記載するのに必要な備考欄を大きくしたこと。

エ 薬剤師法(昭和三五年法律第一四六号)第二六条及び同法施行規則(昭和三六年厚生省令第五号)第一五条の規定により、処方せんに記載することが義務づけられている調剤済みの旨、調剤年月日、薬剤師氏名、薬局の所在地及び名称を記載する欄を設けたこと。

オ その他所要の改正を行ったこと。なお、今回の改正前の様式による処方せんの用紙については、当分の間これを使用することができるものであること。

一〇 その他

今回の改正に関連して、保険医療機関において療養の給付の担当に関する帳簿等を整備しておくことの必要性が従来にも増して高まるが、療養担当規則第九条の規定に基づき、こうした記録の整備を一層徹底し、データ管理に努めるべきものであること。

第二 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一六号)の一部改正に関する事項

一 健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三)関係

(一) 今回、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われている保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から、保険薬局は、療養の給付の担当に関し、保険医療機関と一体とみられるような運営を行ってはならない旨を特に定めたこと。

(二) その他については第一と同様であること。

第三 厚生大臣の定める掲示事項、特定承認保険医療機関に係る厚生大臣の定める療養及び厚生大臣の定める報告事項(平成六年三月厚生省告示第五六号)に関する事項

一 厚生大臣の定める掲示事項関係

(一) 保険医療機関が提供する医療サービスの内容及び費用に関する事項について、患者に対する情報の提供の促進を図る観点から、療養担当規則上院内掲示が義務付けられている特定療養費に係るものを除き、届出事項等を院内掲示の対象としたこと。

なお、本年一〇月一日から届出制となるものの取扱いについては、基本的に届出事項を掲示することとなるものであるが、詳細については別途通知する。

(二) 具体的には、従来からの院内掲示とされていたものを含め、以下の四つの事項を院内掲示事項として定めたこと。

ア 入院基本料に関する事項

保険医療機関は、入院基本料に係る届出内容の概要(看護要員の対患者割合、看護要員の構成)を掲示するものとすること。

(掲示例)

(ア) 一般病棟入院基本料二、一〇対一看護補助加算を実施している病院の例

「当病院は、(日勤・夜勤あわせて)入院患者二・五人に対して一人以上の看護職員と入院患者一〇人に対して一人以上の看護補助者がいます。」

(イ) 有床診療所Ⅰ群入院基本料二の例

「当診療所には、看護職員が五名以上勤務しています。」

イ かかりつけ歯科医初診料に関する事項

保険医療機関は、かかりつけ歯科医初診料に係る届出を行った場合は、当該届出により患者が受けられるサービス等(治療内容等に関する治療計画の策定、口腔の状況の説明、治療計画に関する文書による情報提供等)をわかりやすく掲示するものとすること。

ウ 保険医療機関の従業員以外の者による看護(付添看護)に関する事項

(ア) 付添看護制度は、医療保険制度の改正により、平成六年一〇月一日から厚生大臣の定める病院又は診療所を除いて禁止されることとなったところであるが、これらの点を踏まえ、その周知徹底と運用の適正化を図る観点から院内掲示事項としたものであること。

(イ) 保険医療機関(無床診療所を除く。)は、次に掲げる事項を掲示する。

a 医療保険制度の改正に伴う経過措置により、例外的に付添看護が認められる保険医療機関にあっては、例えば、「当病院は基準看護ではなく、やむを得ない場合には患者の負担による付添看護を求めることがありうる」旨の掲示を行うこと。なお、例外的に付添看護が認められる保険医療機関については、追って関係告示が公布された時点で別途通知するものであること。

b a以外の保険医療機関にあっては、例えば、「当病院においては、患者の負担による付添看護を行っていません」という旨の掲示を行うこと。

エ 地方社会保険事務局長への届出事項に関する事項

(ア) 健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年三月厚生省告示第五四号)及び入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年八月厚生省告示第二三七号)に基づき、医療機関が診療報酬上地方社会保険事務局長へ届け出ることとされている事項を届け出た場合は、当該届け出た事項を掲示するものとすること。

(イ) 具体的には、病衣加算の届出、各種施設基準に適合している旨の届出、入院時食事療養(Ⅰ)及び特別管理の届出等に使用した届出書の内容のうち、届出を行ったことにより患者が受けられるサービス等をわかりやすく掲示するものであること。

(掲示例)

入院時食事療養に係る特別管理を実施している病院の例

「入院時食事療養に関する特別管理の届出に係る食事を提供していること。

特別管理による食事の提供では、管理栄養士によって管理された食事が適時(夕食については午後六時以降)、適温で提供されること。」

エ 保険外負担に関する事項

(ア) 今回、いわゆる保険外負担について、その適切な運用を期するため、院内掲示の対象とすることとしたものであること。なお、保険外負担のあり方については、平成四年四月八日付老健第七九号「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」を参考にされたいこと。

(イ) 具体的には、次に掲げる事項を掲示するものとすること。

a 法令の規定に基づかず、患者から費用の支払を受けている個々の「サービス」又は「物」について、その項目とそれに要する実費

b 「介護料」「衛生材料費」等の、治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」又は「物」については、患者から費用を徴収することは認められていないこと。

また、「施設管理費」「雑費」等曖昧な名目での費用徴収は認められていないこと。

(掲示例)

「当院では、以下の項目について、その使用量、利用回数に応じた実費の負担をお願いしています。

紙おむつ代    1枚につき  〇〇円

理髪代      1回につき〇〇〇〇円

―――      ――――  ―――円

なお、衛生材料等の治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」や「物」について費用の徴収や、「施設管理費」等の曖昧な名目での費用の徴収は、一切認められていません。」

(三) なお、特定療養費に係る事項については、従前より、療養担当規則第五条の四第二項に基づきその内容及び費用につき院内掲示を行う旨定められているところであるが、今後とも当該事項を院内の見やすい場所に掲示することの徹底が図られるべきものであること。

二 特定承認保険医療機関に係る厚生大臣の定める療養関係

療養担当規則第五条の二第二項の規定に基づき、特定承認保険医療機関が患者の選択により提供する厚生大臣の定める療養は、健康保険法第四三条第二項の規定に基づき厚生大臣の定める療養(平成六年八月厚生省告示第二三六号)の各号に定める療養と同様であること。

三 厚生大臣の定める報告事項関係

(一) 今回、従来から、報告を義務付けている事項にあわせ、現行上通知に基づき報告を求めている一定の事項等について療養担当規則上の位置づけを明確にする観点から、告示に明記することとしたものであること。

これらの報告事項の詳細については、必要に応じ別途通知する予定であるが、基本的には従来から通知等により定時の報告を求めてきたものが該当するものであること。

(二) 具体的には、現行上明記されているものを含め、以下の五つの事項を報告事項として定めたこと。

ア 付添看護に関する事項

毎年七月一日現在で、医療保険制度の改正に伴う経過措置により、付添看護を行うことが例外的に認められた保険医療機関に、直近一年間(前年の七月一日から当該年の六月末日)における付添看護の状況(患者の負担による付添看護を受けた患者の日毎の数)を報告させる。

イ 健康保険法第四三条第二項に規定する選定療養に関する事項

ウ 入院時医学管理加算に関する事項

エ 酸素及び窒素の購入価格に関する事項

オ 歯科口腔衛生指導料及び歯周疾患指導管理料に係る歯科衛生士の実施指導加算に関する事項

カ 健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年三月厚生省告示第五四号)及び入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年八月厚生省告示第二三七号)に基づき、地方社会保険事務局長に届け出た事項に関する事項

(ア) 保険医療機関が都道府県知事に届け出た事項については、毎年七月一日現在の届出事項に係る状況等を地方社会保険事務局長に報告するものであること。

(イ) この中には、「基本診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六七号)及び特掲診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六八号)に係る届出に関する事項が含まれるものであること。

第四 特定療養費に係る療養の基準(昭和六三年三月厚生省告示五三号。以下「特定療養費基準」という。)に関する事項)

一 特別の療養環境の提供に係る基準関係

(一) 診療報酬において、室料が療養環境に着目したより広い概念である入院環境料に改編されたことに伴い、従来の「特別の病室の提供」と「療養型病床群に係る特別の療養環境の提供」を「特別の療養環境の提供」として一本化したものであること。

(二) 具体的には、療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、より一層良好な療養環境を提供する以下の要件を満たす病床について保険医療機関(特定承認保険医療機関を含む。以下同じ。)の病床数の五割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。

(三) (二)に加えて、厚生大臣が次に掲げる要件を満たすものとして承認した保険医療機関にあっては、当該承認に係る病床割合まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。

ア 当該保険医療機関の属する地域の病床の整備状況からみて、特別の療養環境に係る病床数の当該保険医療機関の病床数に対する割合を増加しても患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないこと。

この場合においては、医療法(昭和二三年法律第二〇五号)に基づく医療計画に定める必要病床数と既存病床数との関係を勘案するとともに、当該保険医療機関におけるこれまでの特別の病室の稼働の状況、特別の病室の申し込みの状況等を併せて勘案し、当該保険医療機関の特定の病室を増加しても、患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないかどうか判断するものとすること。

イ 経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室及び特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること。

ウ 新看護等の基準(平成六年三月厚生省告示第六三号)の新看護等の基準の項に規定する二対一看護であって、当該基準における看護婦及び准看護婦の最少必要数の七割以上が看護婦であるものにより看護を行う保険医療機関であること。

エ 医療法施行規則(昭和二三年厚生省令第五〇号)第一九条第一項第一号及び第二号に定める医師及び歯科医師の員数を満たしていること。

オ 厚生大臣から当該承認を受ける前六月間において特定療養費に係る療養の基準(昭和六三年三月厚生省告示第五三号)に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。

(四) ただし、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国又は地方公共団体が開設するものにあっては、その公的性格等にかんがみ、国が開設するものにあっては病床数の二割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の三割以下としたこと。

(五) 療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次のアからエの要件を充足するものでなければならないこと。

ア 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は四床以下であること。

イ 病室の面積は一人当たり六・四平方メートル以上であること。

ウ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。

エ 少なくとも下記の設備を有すること。

(ア) 個人用の私物の収納設備

(イ) 個人用の照明

(ウ) 小机等及び椅子

(六) 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。

(七) したがって、特別療養環境室へ入院させ、患者に特別の料金を求めることができるのは、患者側の希望がある場合に限られるものであり、救急患者、術後患者等、治療上の必要から特別療養環境室へ入院させたような場合には、患者負担を求めてはならず、患者の病状の経過を観察しつつ、一般病床が空床となるのを待って、当該病床に移す等適切な措置を講ずるものであること。

(八) 特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行するものであること。

ア 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数及び料金を掲示しておくこと。

イ 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。

ウ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。

なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようにしておくこと。

(九) 患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられる恐れがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。

(一○) 国又は地方公共団体が開設する保険医療機関が、平成六年三月三一日現在、従来の特別の病室として厚生大臣又は都道府県知事による承認を受け、現に国が開設するものにあっては病床数の二割、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の三割を超えて特別の料金の徴収を行っている場合には、当分の間、当該病床割合に基づき特別の料金の徴収を行っても差し支えないものであるが、今後、できるだけ早く、二割以下又は三割以下とするよう努力するものであること。

(一一) 平成六年三月三一日現在、従来の特別の病室として特別の料金を徴収している病室が(四)のイに掲げる要件を満たしていない場合は、当該病床を含む病棟の改築又は建替までは経過的に当該要件を課さないこととするが、早急に改善されるべきものであること。

(一二) 保険医療機関は、特別の療養環境の提供に係る病床数、特別の料金等を定期的に都道府県知事に報告するとともに、当該事項を定め又は変更しようとする場合には、別紙様式により都道府県知事にその都度報告するものであること。

二 紹介外来型病院における初診に関する基準関係

(一) 直接紹介外来型病院を受診した患者については、自己の選択に係るものとして初診料に相当する療養部分について、その費用を患者から徴収することができるが、当該費用の徴収の取扱いは、初診料の取扱いに準じるものであること。

したがって当該費用は、初診料に相当する療養に要するものとして妥当と認められるものであるほか、以下の取扱いとすること。

ア 患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に徴収できるものであり、自ら学校検診を行った患者に診療を開始した場合等には、徴収できないこと。

イ 同時に二以上の傷病について初診を行った場合においても、一回しか徴収できないこと。

ウ 一傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合においても、第一回の初診時にしか徴収できないこと。

エ 医科・歯科併設の病院においては、互いに関連のある傷病の場合を除き、医科及び歯科において別にそれぞれ徴収できること。

オ 初診料の各種加算点数に相当する費用を徴収できること。

(二) 紹介外来型病院においては、「他の保険医療機関からの紹介によらず、当該病院に直接来院した患者については初診に係る費用として〇〇〇円を徴収する。ただし、緊急やむを得ない事情により、他の保険医療機関からの紹介によらずに来院した場合にあっては、この限りでない。」旨を病院内の見やすい場所に明示すること。

(三) 紹介外来型病院は特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、都道府県知事にその都度報告するものであること。

三 金属床による総義歯の提供に関する基準関係

(一) 今回、有床義歯に係る患者のニーズの動向等を踏まえ、金属床総義歯に係る特定療養費制度を創設したものであること。

(二) 金属床総義歯とは、義歯床粘膜面の大部分が金属で構成されていて顎粘膜面にその金属が直接接触する形態で、なおかつ金属部分で咬合・咀嚼力の大部分を負担できる構造の総義歯をいうものであること。

(三) 本制度が適用されるのは、患者に対して総義歯に関する十分な情報提供がなされ、医療機関との関係において患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものであること。

(四) 金属床総義歯を提供する場合はスルフォン樹脂を用いたものとみなして特定療養費を支給するが、その費用は患者に対し実際に行った再診、補綴関連検査、補綴時診断、印象採得、仮床試適、義歯製作(材料料を含む。)、装着及び新製義歯調整指導(一回のみ)に係る所定点数を合計して算出すること。

(五) 保険医療機関が、特定療養費及び特別の料金からなる金属床義歯に係る費用等を定めた場合又は変更しようとする場合は別紙様式により都道府県知事にその都度報告するものであること。

(六) 本制度に基づき、金属床総義歯に係る費用を徴収する保険医療機関は、金属床総義歯の概要及び金属床総義歯に係る費用について、あらかじめ院内の見やすい場所に掲示しておかなければならないこと。

(七) 金属床総義歯に係る費用については、社会的にみて妥当適切なものでなければならないこと。

(八) 患者から金属床総義歯に係る費用徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、特定療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該費用徴収に係る受領証を交付するものであること。

(九) 本制度に基づき、金属床総義歯の提供を行った保険医療機関は、毎年定期的に金属床総義歯に係る費用を含めた金属床総義歯の実施状況について、都道府県知事に対し、報告を行うものであること。

(一○) なお、(四)に係る報告については、本制度の実施を控え、平成六年五月一日から受け付けるものであり、(八)に係る報告については、本年に限り不要とすること。

四 その他

(一) 特定療養費に係る前記以外の療養に関しても、共通的に患者への情報提供と患者の自由な選択と同意を条件としたほか、当該サービス内容を定め、又は変更する場合に都道府県知事に報告しなければならないこととしたものであること。なお、この報告については、新設された上記一又は三に係る療養を提供する場合、又は既存の特定療養費に係る療養を新たに提供しようとする場合の他は不要とするが、報告の際には全ての特定療養費に係る療養を一括して別紙様式により報告することとすること。

(二) 予約に基づく診察については、大臣承認制を廃止するほか、看護類別、加算入院時医学管理料の要件を廃止(診療所も可)するとともに、予約診察の時間を診療科ごとに延べ診療時間の一/二程度(特定機能病院以外の国公立は一/三のままとし、特定機能病院は二/三とする。)まで拡大して認めるものであること。(平成六年三月一六日保険発第二九号通知参照)

(別紙様式)

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