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○特定承認保険医療機関及び特定承認療養取扱機関の取扱いについて

(昭和六〇年二月二五日)

(保発第一九号)

(都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

健康保険法等の一部を改正する法律(昭和五九年法律第七七号)による改正後の健康保険法第四四条第一項に規定する特定承認保険医療機関及び国民健康保険法第五三条第一項に規定する特定承認療養取扱機関(以下単に「特定承認保険医療機関」という。)の要件、当該特定承認保険医療機関における高度先進医療の取扱い等については、昨年一一月一九日の中央社会保険医療協議会の答申を踏まえ、「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令等の一部を改正する省令」(昭和六〇年厚生省令第四号)並びに「保険医療機関及び保険医療養担当規則第五条の二第二項の規定に基づき厚生大臣の定める療養を定める件」(昭和六〇年二月厚生省告示第二六号)及び「医療法第六九条第四項及び第七一条第四項の規定に基き広告し得る事項の一部を改正する件」(昭和六〇年二月厚生省告示第二七号)が、別紙のとおり昭和六〇年二月二一日公布され、特定承認保険医療機関制度の実施に必要な関係省令等の整備を図ったところである(昭和六〇年三月一日施行)。

特定承認保険医療機関についての取扱いについては、左記のとおりであるので、貴職におかれては、その周知徹底を図られるとともに、その実施に遺憾なきを期されたい。

1 基本的な考え方

(1) 特定承認保険医療機関制度は、新しい医療技術の出現やニーズの多様化等に対応し、高度先進医療について保険給付との調整を図るものである。このため、高度先進医療を提供する医療機関で、厚生省令で定める要件に該当し、特定承認保険医療機関として都道府県知事の承認を受けたものにおいて行われた高度先進医療については、その療養のうち、一般の療養の給付と同様な基礎的な診療部分については、特定療養費として保険給付の対象とするものであること。

(2) 特定承認保険医療機関については、高度先進医療を支える基盤が質・量両面において十分なものとなるようその承認要件を定めたこと。高度先進医療については、厚生大臣の承認を要すること等本制度の取扱いについては、制度発足当初であることにかんがみ、厳格、慎重を期したこと。

2 特定承認保険医療機関の要件

特定承認保険医療機関の要件は、次のとおりであること。(保険医療機関及び保険薬局の指定並びに特定承認保険医療機関の承認並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令(以下「登録省令」という。)第五条の二関係)

(1) 学校教育法(昭和二二年法律第二六号)に基づく大学(以下「大学」という。)若しくはその医学部若しくは歯学部の附属の教育研究施設としての附属病院又は医師法(昭和二三年法律第二〇一号)第一六条の二第一項の規定により厚生大臣の指定する病院であって、以下の要件を満たすもの

ア 病床数

医科にあっては、おおむね三〇〇床以上の病床を有していること。

イ 常勤医師数

医科にあっては、常勤の医師が、内科については五名以上、外科については四名以上、産婦人科については三名以上、精神科、小児科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科及び麻酔科についてはそれぞれ二名以上配置されていること。ただし、高度先進医療を担当する科については五名以上配置されていること。なお、常勤医師数は医療法で定める標準を満たしていること。

ウ 常勤歯科医師数

歯科にあっては、常勤の歯科医師が、高度先進医療を担当する科については五名以上配置されていること。なお、常勤歯科医師数は医療法で定める標準を満たしていること。

エ 当直体制

主たる診療科において、それぞれ当直体制がとられていること。

オ 看護体制

看護体制について、病棟において看護を行う看護婦、准看護婦及び看護補助者の数が次のいずれかに該当するものであること。

(ア) 「新看護等の基準」(平成六年三月厚生省告示第六三号)の新看護の基準の例によって算定した場合において、少なくとも同基準の三対一看護の看護婦等の必要数以上であること。

(イ) 「新看護等の基準」の看護の基準の例によって算定した場合において、少なくとも同基準の特二類看護の看護婦等の必要数以上であること。

カ 内部の専門委員会

当該病院(その所属する大学又は医学部若しくは歯学部を含む。)に、高度先進医療について審査、評価及び指導を実施するための専門委員会が設置され、十分機能していること。

(2) 医療法第四条の二第一項に規定する特定機能病院であること。

(3) (1)に規定する病院に準ずる病院(大学附置の研究所の附属施設である病院を含む。)であって、厚生大臣と協議して適当と認められるもの

(4) 高度の医療を提供する特定の診療科を有する病院のうち以下の要件を満たす病院であって、厚生大臣と協議して適当と認められるもの

ア 病床数

原則として三〇〇床以上の病床を有していること。ただし、既に特定承認保険医療機関として承認されている保険医療機関と密接な連携体制が築かれている等、高度先進医療を行う十分な体制がとられていると認められる場合はこの限りでない。

イ 常勤医師数

高度先進医療を担当する科について、常勤の医師が五名以上配置されていること。なお、常勤医師数は医療法で定める標準を満たしていること。

ウ (1)のウと同様であること。

エ (1)のエと同様であること。

オ (1)のオと同様であること。

カ (1)のカと同様であること。

キ 公的病院又はそれに準ずる病院であること。

3 特定承認保険医療機関における高度先進医療

(1) 高度先進医療の承認制

特定承認保険医療機関は、高度先進医療を行おうとする場合は、厚生大臣の承認を受けるものとすること。(保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療養担当規則」という。)第五条の二第二項関係)

(2) 高度先進医療の範囲

承認の対象となる高度先進医療は、質的・量的に高水準の医療基盤を有する医療機関において実施される場合にはその安全性及び有効性が確立されているが、その実施については未だ一般に普及するには至っていないものであり、当該医療が一般に普及し、保険に導入されるまでの間、本制度の対象とするものであること。

特定承認保険医療機関から承認申請のあった療養が本制度の対象となる高度先進医療に該当するか否かについては、当該承認申請に基づいて個別に判断することとするものであること。

(3) 承認申請があった高度先進医療の取扱い

特定承認保険医療機関からの高度先進医療に係る承認申請があった場合には、厚生大臣は、中央社会保険医療協議会の意見を聴くものであること。このため、中央社会保険医療協議会に、高度先進医療に関し、専門的分野に係る学識経験を有する専門家により構成される専門家会議を置き、専門的事項についての検討に当たらせるものであること。

(4) 特定承認保険医療機関に係る特定療養費

ア 特定承認保険医療機関において厚生大臣の承認を受けた高度先進医療を含む療養を受けた患者は、特定療養費の支給を受けるものであること。特定療養費の算定に当たっては、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(平成六年三月厚生省告示第五四号)の例によるものであること。(昭和五九年九月厚生省告示第一四八号)

イ アの費用については、保険者が被保険者に代わり、直接、特定承認保険医療機関に対し、支払うものとすること。(健康保険法第四四条第三項及び第四項関係)

(5) 費用の徴収及び患者の同意

特定承認保険医療機関が、厚生大臣の承認を受けた高度先進医療を実施した場合、当該高度先進医療については、当該療養に要する費用の範囲内において健康保険法第四四条第二項又は第五九条ノ二第三項の規定により算定した費用の額を超える金額の支払いを患者から受けることができるものであること。(療養担当規則第五条の二第二項関係)

この場合において、特定承認保険医療機関は、当該療養を行うに当たり、あらかじめ患者に対し、その内容及び費用に関して説明を行い、文書によりその同意を得なければならないこと。(療養担当規則第五条の四第一項関係)

(6) 患者に対する領収書の交付

特定承認保険医療機関は、(5)の費用の支払を受ける場合は、特定療養に係る一部負担金額と患者から支払を受けたその他の費用の額とを区分して記載した領収書を交付する。(当該費用に食事療養に係る標準負担額が含まれるときは、当該額についても区分して記載するものとする。)この場合において、特別の療養環境の提供等に係る患者の支払額と高度先進医療に係る患者の支払額を区分して記載するよう指導する。(健康保険法施行規則第四七条及び国民健康保険法施行規則第二六条の七関係)

(7) 掲示

特定承認保険医療機関は、当該病院の見やすい場所に、厚生大臣の承認を受けた高度先進医療の内容及び費用に関する事項を掲示しなければならないこと。(療養担当規則第五条の四第二項関係)

4 その他

(1) 特定承認保険医療機関の標示

特定承認保険医療機関は、その病院の見やすい場所に、特定承認保険医療機関である旨を標示しなければならないこと。(登録省令第二条関係)

(2) 特定承認保険医療機関における高度先進医療以外の費用の徴収

療養を受ける者が希望して、療養担当規則第五条の二に規定する厚生大臣が定める療養を受けた場合は、当該療養に要する費用の範囲内において、健康保険法第四四条第二項又は第五九条ノ二第三項の規定により算定した費用の額を超える金額の支払を受けることができるものであること。(療養担当規則第五条の二関係)

(3) 特別の病室の提供等の取扱い

ア 特定承認保険医療機関における療養担当規則第五条の二に規定する厚生大臣が定める療養については、療養担当規則第五条の四第一項の規定に基づく特定療養費に係る療養の基準及び関連通知に示す取扱いによるものであること。

イ 特定承認保険医療機関の申請があった場合において、前記に反した取扱いが認められた場合にあっては、当該承認は行わないこと。

別紙・別添 略