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○健康保険法、日雇労働者健康保険法及び船員保険法による給付と公害健康被害補償法による補償給付との調整について
(昭和五〇年一二月八日)
(保険発第一一〇号・庁保険発第二〇号)
(都道府県民生主管部(局)保険課(部)長あて厚生省保険局保険課長・社会保険庁医療保険部健康保険課長・社会保険庁医療保険部船員保険課長通達)
公害健康被害補償法(昭和四八年法律第一一一号。以下「公害補償法」という。)及び公害健康被害補償法施行令(昭和四九年政令第二九五号)は、昭和四九年九月一日から施行された。公害補償法においては、健康保険法、日雇労働者健康保険法及び船員保険法(以下「健康保険法等」という。)による給付と公害補償法による補償給付とについて調整規定が設けられているが、その取扱いについては、次の事項に留意のうえ、遺憾のないよう配慮されたい。
なお、貴管下健康保険組合に対する指導方につき、あわせて配慮願いたい。
おつて、本通知については環境庁企画調整局環境保健部とも協議済みであるので、念のため申し添える。
記
第一 公害補償法における調整規定の趣旨及び内容
一 公害補償法による補償給付(以下「補償給付」という。)の支給がされた場合においては、同一の事由について当該補償給付に相当する給付を支給すべき健康保険、日雇労働者健康保険及び船員保険(以下「健康保険等」という。)の保険者は、その支給された補償給付の価額の限度で、当該補償給付に相当する健康保険法等による給付を支給する義務を免れること(公害補償法第一四条第一項及び同法施行令第七条第一項)。
二 健康保険法等の規定により同一の事由について補償給付に相当する給付がされた場合においては、補償給付の支給の実施機関である都道府県知事(政令で定める市(区)にあつては、当該市(区)の市(区)長。以下同じ。)は、その価額の限度で補償給付を支給する義務を免れること。
この場合において、保険者は、当該都道府県知事が補償給付を支給する義務を免れた価額の限度で、当該都道府県知事に対し、当該給付の価額に相当する金額を求償することができること(公害補償法第一四条第二項及び同法施行令第七条)。
三 公害補償法による補償給付で健康保険法等による給付に相当する給付は、別表のとおりであること。
第二 具体的取扱い
一 公害補償法による被認定者に係る通知
補償給付の対象となる公害補償法による被認定者(健康保険法等による受給資格がある者に限る。)については、都道府県知事から都道府県民生主管部(局)保険課(部)長(組合管掌健康保険にあつては、当該健康保険組合)に対し、次により通知がなされるものであること。
(一) 通知の時期
ア 健康保険等の被保険者又は被扶養者が公害補償法による指定疾病にかかつていると認定されたとき
イ 健康保険等の被保険者又は被扶養者で公害補償法による指定疾病にかかつていると認定されたものの認定の効力が失われ、又は認定が取り消されたとき
(二) 通知される事項
ア 健康保険法等の保険者名
イ 健康保険法等の被保険者証等の記号番号
ウ 指定疾病にかかつていると認定された者の氏名
エ 指定疾病の種類
オ 公害医療手帳の記号番号
カ (一)のアの場合においては、認定の申請年月日及び認定年月日
キ (一)のイの場合においては、その事由及び事由に該当した年月日
二 補償給付の支給がされた者に関する取扱い
(一) 既に補償給付の支給がされた者については、同一の事由について、その支給された補償給付の価額の限度で、当該補償給付に相当する健康保険法等による給付はしないようにすること。
(二) 補償給付の受給者に対し同一の事由について、その支給された補償給付と重複して健康保険法等による給付をしたことが明らかとなつたときは、重複する価額について、被保険者等に対し返還請求を行うこと。
三 都道府県知事に対する求償
(一) 補償給付の支給がされる前に、健康保険法等の規定により同一の事由について補償給付に相当する給付がされたことが明らかとなつた場合における都道府県知事に対する求償は、別紙様式による文書に納入告知書を添え、これを各都道府県(政令で定める市(区)にあつては、市(区)公害主管部(局)担当課(部)(以下「公害補償部局」という。)に送付することにより行うこと。
なお、求償を行う際には、同一事由によるものか否か求償内容が分かるような診療報酬請求明細書の写し、傷病手当金請求書の写し等を添付すること。
(二) (一)の場合、公害補償法による障害補償費は、指定疾病による障害の程度が一定限度以上の場合に支給されるものであること。
また、葬祭料については、指定疾病に起因して死亡した場合にその旨の認定がなされたうえ支給されるものであるので都道府県知事のこれらの給付に関する支給決定がされた後求償するよう留意されたいこと。
(三) 公害補償法による療養の給付及び療養費は、指定疾病について行われるものであり、その具体的範囲については、別添の環境庁企画調整局環境保健部長の昭和四九年九月二八日付第一一○号通知に示されているものであること。
〔編注 別添は第一四編第三章第一○節参照〕
四 その他
(一) 本通知に基づく求償に当たつては、指定疾病を発生させた原因者が明確に特定できるときは、健康保険法第六七条第一項等の規定に基づき、その原因者に対しても求償を行い得るものであるので、公害補償部局と連絡を密にし事務処理の円滑な遂行を期すること。
(二) 本通知に基づき政府管掌健康保険、日雇労働者健康保険及び船員保険において求償を行い、それについて納入があつたものについては、政府管掌健康保険及び日雇労働者健康保険にあつては昭和四四年七月一一日付庁文発第五三一三号通知(診療報酬請求明細書等の点検調査の強化について)の別紙二をもつて、船員保険にあつては昭和四九年三月一四日付庁文発第五六四号通知(船員保険診療報酬請求明細書調査結果の報告について)の別紙をもつてそれぞれ報告することとし、この場合、同別紙二の四又は別紙の四不正不当と確定したものの枚数及び金額の内訳の表の第三者行為・一般分の項の枚数及び金額欄に、一般分に加えて記載するほか、当該欄に本通知に基づく分を括弧で再掲すること。
(別表)
公害補償法による補償給付で健康保険法等による給付に相当す給付 |
健康保険法による給付 |
日雇労働者健康保険法による給付 |
船員保険法による給付 |
1 療養の給付及び療養費 |
1 療養の給付及び療養費 |
1 療養の給付及び療養費 |
1 療養の給付及び療養費 |
家族療養費 |
家族療養費 |
家族療養費 |
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特別療養費 |
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高額療養費 |
高額療養費 |
高額療養費 |
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家族療養費附加金 |
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2 障害補償費 |
2 傷病手当金 |
2 傷病手当金 |
2 傷病手当金 |
傷病手当金附加金及び延長傷病手当金附加金 |
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傷病手当特別支給金 |
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傷病給付金 |
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3 葬祭料 |
3 埋葬料(費)及び家族埋葬料埋葬料(費)附加金及び家族埋葬料附加金 |
3 埋葬料(費)及び家族埋葬料 |
3 葬祭料及び家族葬祭料 |
別紙(様式)