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○健康保険法等の一部を改正する法律の施行等について

(昭和五一年六月五日)

(保発第二九号・庁保発第二〇号)

(都道府県知事あて厚生省保険局長・社会保険庁医療保険部長通知)

健康保険法等の一部を改正する法律(昭和五一年法律第六二号。以下「改正法」という。)の施行については、本日、厚生省発社保第一〇五号により、厚生事務次官から通知されたところであるが、これが実施については、同通知によるほか、次の事項に留意のうえ、遺憾のないよう配慮されたい。

なお、今回の改正の趣旨、内容等に関し被保険者、事業主、健康保険組合その他関係機関に対する周知指導方につき、特段の配慮を願いたい。

おつて、船員保険法関係については、別途通知する予定であるので念のため申し添える。

第一 健康保険関係

一 標準報酬に関する事項

標準報酬については、昭和五一年七月一日から上限が二〇〇、〇〇〇円から三二〇、〇〇〇円に、下限が二〇、〇〇〇円から三〇、〇〇〇円に改められ、等級区分が三五等級から三六等級に改められることとなつたが、このための改定事務は次により保険者が行うものであること。

(一) 昭和五一年七月一日前に被保険者の資格を取得して、同日まで引き続き被保険者の資格を有する者(法第二〇条の規定による被保険者(以下「任意継続被保険者」という。)及び同月から標準報酬を改定されるべき者を除く。)の同年六月における標準報酬が昭和五〇年一〇月の報酬の定時決定による者にあつては、当該報酬月額算定基礎届により、標準報酬の随時改定による者にあつては、当該報酬月額変更届により、また、資格取得時決定による者にあつては、当該資格取得届により、それぞれ届け出られた報酬月額に基づき、その標準報酬を改定すること。

(二) 昭和五一年七月一日に被保険者の資格を取得した被保険者又は同月から標準報酬の随時改定が行われる被保険者については、当該被保険者資格取得届又は報酬月額変更届による報酬月額に基づき、その標準報酬を決定すること。

なお、上記(一)により、標準報酬の改定が行われた被保険者については、別途標準報酬月額改定通知書を作成し、改正法附則第二条による改定である旨を付記して通知すること。

二 現金給付に関する事項

本人分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額については、一〇〇、〇〇〇円に、本人埋葬料の最低保障額及び家族埋葬料の額については、五〇、〇〇〇円に引き上げられたが、昭和五一年七月一日前に生じた分べん又は死亡に係るこれら現金給付の額については、従前の額によるものであること。

三 任意継続被保険者に関する事項

任意継続被保険者に関し、次の改正が行われたこと。

(一) 任意継続被保険者制度は、従来、健康保険組合の被保険者であつた者を含め政府管掌健康保険において実施されていたところであるが、今回の改正により、健康保険組合においても実施することとされたこと。これにより、改正法施行後健康保険組合の被保険者の資格を喪失した者であつて、任意継続被保険者となろうとするものは、当該組合において、その資格を取得すべきものとされたこと。

(二) 任意継続被保険者の資格を取得するための申請期限については、従来、被保険者の資格を喪失した日から一〇日以内となつていたものが、二〇日以内に改められたこと。

(三) 任意継続被保険者の標準報酬については、その者の資格喪失の際の保険者が管掌する前年度の一〇月三一日における全被保険者の標準報酬月額の平均額に基づき算定した標準報酬(以下「平均標準報酬」という。)とその者の従前の標準報酬のいずれか低い方とされるとともに、健康保険組合については、当該組合における平均標準報酬の範囲内において規約をもつてその額を軽減することができることとされたこと。

上記任意継続被保険者の標準報酬は、毎年度、平均標準報酬が改定される際に、全任意継続被保険者について見直しを行い必要に応じ改定すべきものであるので、特に留意されたいこと。

なお、政府管掌健康保険において、昭和五一年七月一日から五二年三月三一日までの間において適用される平均標準報酬は月額一一〇、〇〇〇円として、おつて社会保険庁長官告示を行う予定であること。

(四) 任意継続被保険者制度に加入できる期間については、一年から二年に延長されるとともに、保険料を納付しないことによる資格喪失の取扱いについて、従来保険料の納付期日後一〇日を経過したときとされていたものが、保険料を納付期日まで納付しないときに改められたこと。

(五) 毎月の保険料の納付期日については、従来翌月末日とされていたが、その月の一〇日(初めて納付すべき保険料については、保険者の指定する日)までとされたこと。

なお、任意継続被保険者については、法第七一条ノ三の規定による保険料の免除の措置は適用されないものであること。

(六) 任意継続被保険者については、従来資格喪失後の継続給付は受けられないこととされていたが、今回任意継続被保険者が、その資格を取得した日の前日まで継続して法第一三条又は法第一五条の規定による被保険者であつた期間(以下「強制適用期間」という。)が一年以上ある場合は、当該強制適用期間中に発した疾病だけでなく任意継続被保険者期間中に発した疾病等についても、資格喪失後の継続給付が受けられることとされたこと。

なお、その他傷病手当金、分娩費等の給付についても、これに準じた取扱いがなされることとなつたこと。

(七) 任意継続被保険者制度に関する上記改正に伴う経過措置として、次のように定められたこと。

ア 改正後の健康保険法(以下「新法」という。)第二〇条第一項の規定は、昭和五一年七月一日以後に同法第一八条の規定により被保険者資格を喪失した者について適用され、同日前に同条の規定により被保険者資格を喪失した者については、従前の例によるものであること。したがつて、後者についての保険者、申請期限及び同年七月一日前の標準報酬等については、この法律による改正前の健康保険法(以下「旧法」という。)の規定が適用されるものであること。

イ 旧法の規定により任意継続被保険者となつた者であつて、法施行の際現に任意継続被保険者であるものについては、改正法附則において経過措置が定められている場合(改正法附則第二条第一項、第三項、第四項及び第五項)を除き、新法の規定が適用されることとなるので、改正法施行の日からその者の標準報酬、保険料及び現金給付について必要な改定が行われるとともに、加入できる期間についても、その資格を取得した日から二年間となるものであること。

ウ イに該当する者に係る昭和五一年六月以前の月分の保険料の給付期日及び当該保険料を納付しないことによる被保険者資格の喪失については、新法の規定にかかわらず、なお、従前の例によるものであること。

また、この者の昭和五一年七月分の保険料の納付期日は、改正法附則第二条第五項の規定により新法第七九条第一項のただし書の規定にかかわらず、昭和五一年八月一〇日とされたこと。

第二 社会保険診療報酬支払基金関係

一 業務の範囲に関する事項

社会保険診療報酬支払基金の業務の範囲は、従来社会保険診療報酬支払基金法上制限列挙されていたが、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、これらに加えて国等の負担において行われる医療に関する給付であつて厚生大臣の定めるものについて医療機関が請求することができる費用の額の審査及び支払に関する事務を行うことができるようにしたこと。

なお、厚生大臣の定める医療に関する給付については、おつて通知する予定であるが、全国統一的に実施されている制度を対象とし、当面昭和四八年四月一七日衛発第二四二号厚生省公衆衛生局長通知「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付等の実施を検討していること。

二 審査委員会の委員の定数に関する事項

診療報酬請求明細書の処理に遺憾なきを期するため、審査委員会の委員について、従前社会保険診療報酬支払基金の従たる事務所ごとに診療担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者のうち各々九人以下の同数を幹事長が委嘱するものとされていたのを定款の定めるところにより当該三者各々同数を幹事長が委嘱するものとしたこと。

第三 国民健康保険団体連合会関係

国民健康保険団体連合会における診療報酬審査委員会の委員の定数についても、上記第二の二の改正に準じ、都道府県知事の定めるところにより国民健康保険医等を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員各々同数を当該都道府県知事が委嘱するものとしたこと。