添付一覧
○健康保険法等の一部を改正する法律の施行について(施行通達)
(昭和五一年六月五日)
(厚生省発社保第一〇五号)
(都道府県知事あて厚生事務次官通達)
健康保険法等の一部を改正する法律は、昭和五一年六月五日法律第六二号として公布されたところであるが、その趣旨及び内容は、次のとおりであるので、これが周知徹底を図りその実施に遺憾なきを期せられたく通知する。
なお、今回の法律改正に伴う船員保険法施行令の一部を改正する政令並びに健康保険法施行規則の一部を改正する省令及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令等は近く制定公布される予定であるので念のため申し添える。
第一 改正の趣旨
今回の改正は、最近の社会経済情勢の変動等にかんがみ、標準報酬の上下限の改定措置を講ずるとともに、分娩費等の現金給付の改善を行うほか、健康保険法第二〇条の規定等による被保険者(以下「任意継続被保険者」という。)に関し制度の拡充等を図るものであること。
第二 改正の内容
一 健康保険関係
(一) 標準報酬に関する事項
標準報酬については、最近における給与の実態にかんがみ、被保険者の保険料負担の公平を図る見地から標準報酬月額の上限を二〇〇、〇〇〇円から三二〇、〇〇〇円に、下限を二〇、〇〇〇円から三〇、〇〇〇円に改定したこと。
(二) 現金給付に関する事項
分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額を六〇、〇〇〇円から一〇〇、〇〇〇円に引き上げるとともに、埋葬料の最低保障額及び家族埋葬料の額を三〇、〇〇〇円から五〇、〇〇〇円に引き上げたこと。
(三) 任意継続被保険者に関する事項
任意継続被保険者制度について、高齢退職者等にも利用しやすいものとするため、任意継続被保険者に加入できる期間を現行一年から二年に、加入の申出期限を現行一〇日以内から二〇日以内に延長したほか、その標準報酬を、その者の保険者の管掌する全被保険者の前年度の一〇月三一日における標準報酬月額の平均額に基づいた標準報酬又はその者の従前の標準報酬のいずれか低い方とすることにより保険料負担の軽減を図るとともに、任意継続被保険者制度を健康保険組合においても実施すること及び任意継続被保険者が加入期間中にかかつた疾病等についても一定の要件のもとに資格喪失後の継続給付が受けられるようにしたこと等制度の拡充を図つたこと。
二 船員保険関係
(一) 標準報酬に関する事項
標準報酬月額の上限を二〇〇、〇〇〇円から三四〇、〇〇〇円に、下限を二四、〇〇〇円から三六、〇〇〇円に改定したこと。
(二) 現金給付に関する事項
分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額を六〇、〇〇〇円から一〇〇、〇〇〇円に引き上げるとともに、葬祭料の最低保障額及び家族葬祭料の最低保障額を三〇、〇〇〇円から五〇、〇〇〇円に引き上げたこと。
(三) 疾病部門の任意継続被保険者に関する事項
健康保険法の任意継続被保険者制度に準じた制度を創設したこと。
ア 任意継続被保険者の資格要件については、船員保険法第一七条の規定による被保険者の資格を喪失した者であつて、資格を喪失した日の前日まで継続して同条の規定による被保険者であつたものが資格喪失の日より二〇日以内に申請をした場合に継続して被保険者となることができることとし、その加入できる期間は二年間としたこと。また、この任意継続被保険者に対する保険給付は、疾病部門に限つて行われるものであること。
イ 任意継続被保険者の標準報酬は、全被保険者の前年度の一〇月三一日における標準報酬月額の平均額に基いた標準報酬又はその者の従前の標準報酬のいずれか低い方とするものであること。
ウ 任意継続被保険者に係る保険料率を一〇〇〇分の七二とするとともに、その納付期限を毎月一〇日としたこと。
三 社会保険診療報酬支払基金関係
社会保険診療報酬支払基金について、従前の業務のほか、国等の負担において行われる医療に関する給付であつて厚生大臣の定めるものについて、その費用の額の審査及び支払に関する事務を行うことができるものとするとともに、審査委員会の委員の定数については定款の定めるところにより幹事長が委嘱するものとしたこと。
四 国民健康保険団体連合会関係
国民健康保険団体連合会の診療報酬審査委員会は、当該都道府県知事の定める定数の審査委員により組織することとしたこと。
第三 施行期日
この改正法の施行期日は、昭和五一年七月一日であること。ただし、船員保険法の標準報酬に係る改正については、同年八月一日から、また、社会保険診療報酬支払基金法及び国民健康保険法の改正については、公布の日からであること。