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○健康保険法の一部を改正する法律、厚生年金保険法の一部を改正する法律及び船員保険法の一部を改正する法律の施行について

(昭和二八年八月二八日)

(保発第五七号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通達)

健康保険法の一部を改正する法律、厚生年金保険法の一部を改正する法律及び船員保険法の一部を改正する法律は、別紙のとおり、それぞれ、昭和二八年八月一日法律第一一六号、第一一七号及び第一一九号をもつて公布され、健康保険法及び厚生年金保険法については、同年九月一日から、船員保険法については同年一一月一日から施行されることとなり、これに伴う健康保険法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令も、近くそれぞれ公布される見込であるが、その施行事務の取扱については、特に左記事項に御留意の上、その実施に遺憾のないよう御配慮を願いたい。

なお、組合の管掌する健康保険についても、この旨周知徹底方お取り計らい願いたい。

また、地方自治法の一部を改正する法律(昭和二七年法律第三○六号)の施行に伴つて、健康保険、厚生年金保険及び船員保険に関する厚生大臣の権限及びこれに基く事務のうち、貴職に委任するものについては、政令で規定され、昭和二八年九月一日から施行されることとなつたから御了知ありたい。

第一 健康保険法及び厚生年金保険法関係

一 標準報酬の決定及び改定

1 標準報酬は、毎年八月一日現在において使用される事業所における過去三カ月、すなわち五月、六月及び七月(報酬支払の基礎となつた日数が二○日未満の月を除く。)に受けた報酬の平均月額により決定し、その年の一○月一日から翌年の九月三○日まで一年間改定しない(健康保険法第三条第二項、厚生年金保険法第四条第二項)ことを原則とすること。

2 報酬の額に特に著しい変動を生じたため、現に使用される事業所における継続した三カ月(各月とも報酬支払の基礎となつた日数が二○日以上でなければならない。)に受けた報酬の平均月額とすでに決定されている標準報酬の基礎となつた報酬月額とを比較して著しい高低を生じた場合において、必要があると認めたときには、標準報酬を改定し得ることとなつている(健康保険法第三条第四項、厚生年金保険法第四条第四項)が、前号の趣旨にかんがみて、標準報酬の改定については、慎重に考慮すること。

なお「著しい高低を生じた場合」とは、たとえば、一斉昇給により報酬の額に大幅な差を生じた場合、あるいはその他の場合において標準報酬につき二等級以上の差を生じた場合等をさすものであること。

二 適用範囲の拡張

1 新規適用事業の範囲については、別紙「新規適用事業の範囲」を基準とすること。

2 健康保険法第一三条第一号(ヲ)及び厚生年金保険法第一六条第一号(ヲ)に規定する土木建築等の事業に使用される者の適用については、雇よう❜❜実態の特殊性を十分考慮し、左に掲げる常よう❜❜的従業員にとどめること。

(イ) 事務所(現場事務所を含む。)に使用される職員、守衛、自動車運転手、給仕又は小使等の従業員

(ロ) 元請、下請業者雇よう❜❜の基幹要員

三 経過措置

1 本年九月一日前に被保険者となり、九月一日まで引き続いて被保険者である者の標準報酬については、その者が同日に被保険者の資格を取得したものとみなして改正法を適用し、事業主から同日現在によつて提出させた被保険者報酬月額算定基礎届(従前の様式第五号)に基いて、改正法による標準報酬を決定する(健康保険法附則第二項、厚生年金保険法附則第二項)が、その標準報酬は、本年一一月一日から明年九月三○日までのものとし、本年九月一日から一○月三一日までの標準報酬は、従前の例による(健康保険法附則第三項、厚生年金保険法附則第三項)こと。

また、本年九月一日から一○月三一日までの間に、健康保険法第一三条第一号(イ)から(ル)まで若しくは第二号又は第一五条若しくは厚生年金保険法第一六条第一号(イ)から(ル)まで若しくは第二号、第一六条ノ三又は第一七条の規定によつて被保険者となつた者の本年九月一日から一○月三一日までの標準報酬についても、なお従前の例による(健康保険法附則第三項、厚生年金保険法附則第三項)こと。

2 本年九月一日から一○月三一日までの間に、改正後の健康保険法第一三条第一号(ヲ)から(タ)まで又は厚生年金保険法第一六条第一号(ヲ)から(タ)までの規定によつて被保険者となつた者に対する保険給付は、本年一一月一日から行い、その者に関する保険料は、一一月分から徴収する(健康保険法附則第四項、厚生年金保険法附則第四項)こと。

3 健康保険法による療養の給付及び家族療養費の支給期間は、現行の二年から三年に延長され(健康保険法第五七条ノ三第二号)、これに伴つて厚生年金保険法による障害給付の廃疾の認定時期も一年延長された(厚生年金保険法第三六条第一項)が、これらの規定は、本年一一月一日から施行されるもので、同日前に、健康保険法による療養の給付又は家族療養費の支給開始後二年を経過したもの、又は厚生年金保険法による障害給付の廃疾認定を行う場合において疾病又は負傷につき医師の診療を受けた日(健康保険の被保険者たる被保険者については健康保険法による療養の給付を受けた日)から起算して二年を経たもの(認定日が本年一一月一日以前のもの)に関する保険給付の支給については、改正法は適用されない(健康保険法附則第五項、厚生年金保険法附則第六項)こと。

4 厚生年金保険法第二二条の規定による任意継続被保険者の標準報酬については、本年一○月三一日までは従前の例によることとし、一一月一日においてその標準報酬月額を同法第四条第一項の報酬月額とみなして改定する(厚生年金保険法附則第五項)こと。但し、健康保険法第二○条の規定による任意継続被保険者の標準報酬については、改定することなく、従前の例による(健康保険法第三条第一○項)こと。

第二 船員保険法関係

経過措置

療養の給付及び家族療養費の支給期間の一年延長については、健康保険と同様であり、これに伴う障害給付の廃疾の認定時期の一年延長については、厚生年金保険と同様であるが、傷病手当金の支給期間についても現行の二年から三年に延長され(船員保険法第三一条第二号)、また、職務上死亡の場合における遺族年金又は遺族一時金の支給要件である療養の給付開始後二年以内の死亡が三年以内とされた(船員保険法第四二条の三第一項、第五○条第三号)が、これらの規定は、本年一一月一日から施行されるので、同日前に、療養の給付又は家族療養費の支給開始後二年を経過したものに関する保険給付の支給については、改正法は適用されない(船員保険法附則第二項)こと。

第三 私立学校教職員共済組合法との関係

一 私立学校教職員共済組合法(以下共済組合法という。)の施行に伴つて、健康保険法及び厚生年金保険法の一部改正による新規適用事業である教育の事業(健康保険法第一三条第一号(ワ)、厚生年金保険法第一六条第一号(ワ))に使用される者のうち、私立学校法第三条に定める学校法人(私立学校の設置を目的として、私立学校法の定めるところにより設立される法人をいう。)、同法第六四条第四項の法人(各種学校を設置しようとする者が設立することができる各種学校の設置のみを目的とする法人をいう。)又は共済組合法において学校法人とみなされるもの(共済組合法附則第一○項)に使用されるものについては、私立学校教職員共済組合(以下共済組合という。)成立の日までは、教育の事業は、健康保険法及び厚生年金保険法に規定する事業とはならない(共済組合法附則第二四項)こと。但し、任意包括による適用については、この限りでないこと。

また、共済組合成立の日の翌日から、教育の事業は、健康保険及び厚生年金保険について全面的に適用になるが、健康保険については、健康保険法第一二条及び第一二条の三の規定により、共済組合の組合員に関しては、健康保険法による保険給付及び保険料の徴収を行わず、厚生年金保険については、厚生年金保険法第一六条の二第一号(ロ)の規定より、共済組合の組合員は、厚生年金保険の被保険者とならないこと。

二 共済組合成立の際現に任意包括制度により健康保険又は厚生年金保険の適用事業所となつている私立学校について、その私立学校を設置している学校法人が共済組合法附則第二二項の規定による申請をした場合には、それらの教職員は、共済組合法の施行にかかわらず、その学校法人が設置する私立学校ごとに包括されて、次のように従前どおりの資格を有すること。

1 健康保険の任意包括制度による適用事業所となつている私立学校について、健康保険に関して申請した場合においては、健康保険法による保険給付を受けること。(その私立学校が共済組合成立の際現に健康保険組合が設立されている事業所であるときは、それらの教職員は、引き続き当該健康保険組合の組合員となること。)

2 厚生年金保険の任意包括制度による適用事業所となつている私立学校について、厚生年金保険に関して申請した場合においては、厚生年金保険の被保険者となること。

3 健康保険及び厚生年金保険の任意包括制度による適用事業所となつている私立学校について、健康保険及び厚生年金保険の両方に関して申請した場合においては、健康保険法による保険給付を受け、且つ、厚生年金保険の被保険者となること。(健康保険組合に関しては、1の括弧書と同じであること。)

なお、共済組合成立の日の翌日以後において、1、2又は3に該当する私立学校に勤務することとなつた教職員についても、共済組合法の適用は除外され、それぞれの私立学校において、共済組合成立の際現に教職員である者と同じ取扱を受けること。

三 共済組合法と厚生年金保険法との給付費の負担特例、給付の調整及びこれに伴う事務処理等の細目については、別途共済組合法に基く政令で定められることになつているので、これらについては、その制定公布を待つて通知するものであること。

第四 「地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律」との関係

地方自治法の一部を改正する法律(昭和二七年法律第三○六号)の施行に伴つて、健康保険、厚生年金保険及び船員保険に関する厚生大臣の権限及びこれに基く事務のうち、都道府県知事に行わせるものについては、法律又はこれに基く政令により規定しなければならないので、「地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律」(昭和二八年法律第二一三号)により、健康保険については第九条、第九条ノ二、第一○条及び第二四条、厚生年金保険法については第二条第二項及び第一四条、船員保険法については第二条第二項、第九条第三項及び第一六条ノ二が改正又は追加されたこと。

なお、この法律の条項等によつて、健康保険法施行令の一部が改正され、また、厚生年金保険法施行令及び船員保険法施行令が制定されること。

第五 国家公務員共済組合法の一部改正との関係

「旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び国家公務員共済組合法の一部を改正する法律」(昭和二八年法律第一五八号)第二条の規定により、国家公務員共済組合法第一条第二号中「(雇よう❜❜の日から二月を超える者を除く。)」が削られたので、国に使用され国庫から報酬を受ける者であつて臨時に使用されるものは、本年八月一日以後は、すべて同法の適用を除外されることとなり、従つて、それらの者の中には、健康保険法及び厚生年金保険法の適用を受けることとなる者もあるので、その取扱については万全を期すること。

なお、その取扱の細目等については、追つて通知するものであること。