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○社会福祉法第2条第3項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事業について
(平成13年7月23日)
(社援発第1276号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知)
標記の事業(以下「無料又は低額診療事業」という。)については、「社会福祉事業法第二条第三項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事業について」(昭和49年10月31日社庶第180号社会局長・児童家庭局長連名通知。以下「旧通知」という。)によりその基準が定められているところでありますが、今般、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)の施行、「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」(平成12年法律第111号)の公布・施行等を踏まえ、標記事業の基準及びその運用等について、下記のとおり制定いたしましたので、貴職におかれましては、適正な無料又は低額診療事業の実施に御配慮いただくようお願いいたします。
なお、本通知の施行に伴い、旧通知は廃止する旨を併せて申し添えます。
記
第一 無料又は低額診療事業の基準
次の項目のうち、1、2、3及び4に該当するとともに病院にあっては、5から10までの項目のうちの二以上、診療所にあっては、7又は8のいずれかの項目に該当すること。
1 低所得者、要保護者、行旅病人、一定の住居を持たない者で、野外において生活している者等の生計困難者を対象とする診療費の減免方法を定めて、これを明示すること。
2 生活保護法による保護を受けている者及び無料又は診療費の10%以上の減免を受けた者の延数が取扱患者の総延数の10%以上であること。
3 医療上、生活上の相談に応ずるために医療ソーシャル・ワーカーを置き、かつ、そのために必要な施設を備えること。
4 生活保護法による保護を受けている者その他の生計困難者を対象として定期的に無料の健康相談、保健教育等を行うこと。
5 老人、心身障害児者その他特別な介護を要する特殊疾患患者等が常時相当数入院できる体制を備えること。
6 生活保護法による保護を受けている者、その他の生計困難者のうちで日常生活上、特に介護を必要とする者のために常時相当数の介護者を確保する体制を備え、かつ、そのために必要な費用を負担すること。
7 当該診療施設を経営する法人が、特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、肢体不自由者更生施設、重症心身障害児施設等の施設を併せて経営していること。又は、当該診療施設がこれらの施設と密接な連携を保持して運営されていること。
8 夜間又は休日等通常の診療時間外においても、一定時間外来診療体制がとられていること。
9 地区の衛生当局等との密接な連携の下に定期的に離島、へき地、無医地区等に診療班を派遣すること。
10 特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、肢体不自由者更生施設、重症心身障害児施設等の施設の職員を対象として定期的に保健医療に関する研修を実施すること。
第二 留意事項
1 この基準は、病院又は診療所ごとに適用されるが、社会福祉施設等の施設内に附置された診療所であって、専ら当該施設の利用者のために診療を行っているものについては、適用されないものであること。
2 診療施設において取り扱う患者の診療方針、診療報酬については、健康保険法の例によること。
3 診療施設の経営主体は、無料又は低額な料金による診療事業を行うために必要な資産を有すること。
4 診療費の減免は、おおむね次のような方法により行うこと。
(1) 診療施設は、無料診療券又は低額診療券を発行すること。この場合において、これらの診療券は、当該施設を利用することができる地域の社会福祉協議会等において保管し、必要に応じて第一の1の生計困難者に交付することとし、診療施設は、無料診療券又は低額診療券の提出を受けて診療費の減免を行うこと。
(2) 診療費の減免額は、診療施設において関係機関と協議の上決定すること。
(3) 診療施設において、無料診療券又は低額診療券によらない患者から診療費の減免の申出があった場合には、医療ソーシャル・ワーカーがその相談に応じ、適宜減免の措置を採るとともに、社会福祉協議会、民生委員等と十分連絡し、以後無料診療券又は低額診療券により診療を受けるよう指導すること。
(4) 以上について、その実効を確保するためには、市町村社会福祉協議会、民生委員協議会、民生委員等の十分な協力が必要であると考えられるので、各関係機関に無料又は低額診療事業の内容について周知徹底を図り、その適正な運営を期するよう指導されたいこと。
第三 今後における指導監督
1 無料又は低額診療事業を行う者について、少なくとも毎年一回その実施状況を調査し、その結果を別に定めるところにより報告するほか、その適正な運営を期するため、必要な指導を行われたいこと。
2 無料又は低額診療事業の開始に係る社会福祉法人の設立又は定款変更の認可は、社会情勢等の変化に伴い、必要性が薄らいでいるので、抑制を図るものであること。
3 社会福祉法人で、本基準により今後無料又は低額診療事業を行うことが不適当であると認められるものについては他の法人への切り替えを指導すること。
4 社会福祉法人以外の者から新たに無料又は低額診療事業に係る社会福祉法第69条の届出を受理するに際しても、第三の2に準じて、取り扱われたいこと。