添付一覧
○中国残留邦人等に対する身元引受人制度の実施について
(平成7年2月1日)
(社援発第74号)
(各都道府県知事あて厚生省社会・援護局長通知)
標記については、昭和60年3月29日援発第207号厚生省援護局長通知「本邦に永住帰国する身元未判明の中国残留日本人孤児に対する身元引受人制度の実施について」、昭和60年11月1日援発第621号厚生省援護局長通知「中国残留日本人孤児の身元引受人制度の法人への適用について」、平成2年10月31日援発第645号厚生省援護局長通知「中国残留日本人孤児の身元引受人制度の任意団体への適用について」及び平成5年12月15日社援発第600号厚生省社会・援護局長通知「身元判明孤児等に対する特別身元引受人制度の実施について」により行ってきたところであるが、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)が平成6年10月1日から施行されたこと等に伴い、これらの通知を廃止し今後は本通知の別添の実施要領により行うこととしたので、御了知の上、関係者に周知方よろしくお取り計らい願いたい。
〔別添〕
身元引受人制度実施要領
第1 目的
この制度は、本邦に永住帰国する中国残留邦人等(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律第2条第1項に規定する者をいう。以下同じ。)のうち、在日親族がいない者(所在が不明の者を含む。)又は在日親族による身元引受けが行われない者等に対し、在日親族に代わって帰国後の日常生活面での相談・助言等を行う身元引受人(団体を含む。以下同じ。)をあっせんし、もって中国残留邦人等の帰国の促進及び日本社会への早期定着自立を図ることを目的とする。
第2 対象者
この制度の対象者は、次に掲げる者(以下「特別事情残留邦人」という。)とする。
1 中国残留邦人等のうち、本邦に帰国する前の居住地が中国の地域である者で、厚生労働省が実施した訪日肉親調査等に参加した者であって、身元が判明していないもの
2 中国残留邦人等のうち、1に掲げる者以外の者であって、次のずれかに該当するもの
(1) 3親等以内の在日親族(以下「肉親」という。)が死亡している者
(2) 肉親の所在が不明である者
(3) 肉親に身元引受けを拒否されている者
(4) その他、肉親が家庭の事情等により中国残留邦人等の身元引受けを行うことができないなど、肉親以外の者が身元引受けを行うことがやむを得ないと判断される者
第3 身元引受人の役割と資格
1 身元引受人の役割
身元引受人は、特別事情残留邦人及びその世帯員(以下「特別事情残留邦人世帯構成員」という。)の身元を肉親に代わって引き受け、次に掲げる業務を行うこととする。
(1) 特別事情残留邦人世帯構成員の日常生活上の諸問題の相談、援助
(2) 特別事情残留邦人世帯構成員の定着自立に必要な助言、指導
2 身元引受人の資格
身元引受人は特別事情残留邦人世帯構成員及び特別事情残留邦人の肉親の置かれている立場に理解を有し、かつ、社会的信望が厚く、特別事情残留邦人世帯構成員の日本社会への早期定着自立のための指導に熱意をもって当たることができる者でなければならない。
なお、身元引受人は、その業務を行うに当たっては、特別事情残留邦人世帯構成員及び特別事情残留邦人の肉親の事情を尊重し、その身上に関して業務上知り得た秘密を守らなければならない。
第4 身元引受人の申請及び登録
1 身元引受人となることを申請しようとする者(以下「登録申請者」という。)は、居住地の都道府県知事に次の身元引受人申請書を提出するものとする。
(1) 中国残留邦人等のうち、本邦に帰国する前の居住地が中国の地域である者の身元引受人となることを申請しようとする者は、別紙様式1(個人用)又は別紙様式1―2(団体用)
(2) 中国残留邦人等のうち、本邦に帰国する前の居住地が樺太等の地域である者の身元引受人となることを申請しようとする者は、別紙様式1―3(樺太等―個人用)又は別紙様式1―4(樺太等―団体用)
2 都道府県知事は、登録申請者から身元引受人申請書を受けたときは、当該登録申請者について審査の上、適格者と認めた者を身元引受人申請書に副申書を添えて、厚生労働省社会・援護局長に推薦するものとする。
3 厚生労働省社会・援護局長は、登録申請者に係る推薦があったときは、これらの者を身元引受人登録者として登録簿に登録し、その旨を居住地の都道府県知事を通じ当該登録申請者に通知する。ただし、明らかに適格者に該当しないと認められる者については、この限りではない。
4 当該身元引受人登録者は、身元引受人登録者の登録内容に変更が生じたときは、身元引受人登録内容変更届(別紙様式2)を居住地の都道府県知事を経由して厚生労働省社会・援護局長に提出するものとする。
第5 身元引受人のあっせん
特別事情残留邦人に係る身元引受人のあっせんは次の方法によるものとする。
1 居住予定地の決定
(1) 厚生労働省社会・援護局長は、次に掲げる基準により特別事情残留邦人の居住予定地を速やかに決定し、その旨を当該居住予定地の都道府県に通知するものとする。
ア 第2の2に該当する者が本籍地都道府県への居住を希望する場合又は特に希望する都道府県がない場合においては、本籍地都道府県。
イ 特別事情残留邦人が在日関係者の居住する特定の都道府県への居住を希望し、かつ、当該都道府県への居住が特別事情残留邦人世帯構成員の自立に資すると認められる場合においては、その都道府県。
ウ ア又はイに該当する場合であっても、当該都道府県の受入条件が整っていない等、当該都道府県への居住に支障があると認められる場合においては、特別事情残留邦人の意向を踏まえて、厚生労働省社会・援護局長が推薦するその他の都道府県。
エ 特別事情残留邦人の居住希望の状況が、ア又はイに該当する場合以外の場合においては、特別事情残留邦人の意向、各都道府県における受入状況等を踏まえて、厚生労働省社会・援護局長が推薦する都道府県。
(2) 厚生労働省社会・援護局長は、特別事情残留邦人の居住地に関する意向の把握に努めるものとする。
(3) 厚生労働省社会・援護局長は、(1)のイ、ウ又はエの場合において居住予定地の都道府県を決定するに当たっては、あらかじめ関係都道府県の知事と協議するものとする。
2 身元引受人の選定
(1) 1の(1)により決定された都道府県(以下「業務担当都道府県」という。)の知事は、当該決定に係る特別事情残留邦人について、当該都道府県内に居住している身元引受人登録者のうち、適当と認められる者を選定し、その者に対して身元引受人となることを要請する。
(2) 業務担当都道府県の知事は、身元引受人登録者が特別事情残留邦人の身元引受人となることを承諾したときは、当該身元引受人登録者から身元引受人承諾書(別紙様式3)の提出を求めるものとする。
(3) 業務担当都道府県の知事は、(2)により提出された身元引受人承諾書を厚生労働省社会・援護局長あて進達するものとする。ただし、厚生労働省社会・援護局長が適当でないと認める者については、この限りではない。
3 身元引受人の決定
(1) 厚生労働省社会・援護局長は、2の(3)の身元引受人承諾書の進達をうけたときは、当該身元引受人の氏名、住所等を当該特別事情残留邦人に通知した上、当該特別事情残留邦人から身元引受人あっせん承諾書(別紙様式4)の提出を求めるものとする。
(2) 厚生労働省社会・援護局長は、特別事情残留邦人から身元引受人あっせん承諾書を受けたときは、当該承諾書に係る身元引受人登録者を当該特別事情残留邦人世帯構成員の身元引受人として決定する。
(3) 厚生労働省社会・援護局長は、身元引受人の決定を行ったときは、その旨を業務担当都道府県の知事を通じ当該身元引受人に通知するとともに、必要と認める場合には当該特別事情残留邦人に通知する。
4 身元引受人のあっせん時期
身元引受人のあっせんは、原則として特別事情残留邦人の帰国前に行うものとする。ただし、特別事情残留邦人のうち、当該特別事情残留邦人が表明した帰国希望時期から相当期間を経ても身元引受人のあっせんが困難なもの又は厚生労働省社会・援護局長が特に必要と認めるものについては、それらの特別事情残留邦人の帰国後に行うことができるものとする。
第6 身元引受人の決定又は登録の取消し
厚生労働省社会・援護局長は、身元引受人が業務の遂行が不能になった場合、身元引受人としてふさわしくない行為があった場合又は身元引受人若しくは特別事情残留邦人にやむを得ない事情があると認めた場合は、身元引受人の決定又は登録を取り消すことができるものとする。
第7 身元引受人の再あっせん
厚生労働省社会・援護局長は、第6により身元引受人の決定又は登録を取り消した場合は、第5の1から3までにより身元引受人のあっせんを再び行うことができるものとする。
第8 身元引受期間
1 身元引受人の身元引受期間は、当該身元引受人が身元引受けを行う特別事情残留邦人世帯構成員の帰国した日(首都圏中国帰国者支援・交流センター定着促進事業宿泊施設入所者については、同宿泊施設を退所した日)から3年(以下「基本身元引受期間」という。)とする。ただし、厚生労働省社会・援護局長が必要でないと認める場合にあっては、この期間を短縮することができるものとする。
2 第7により身元引受人のあっせんを再び行った場合において、既に身元引受けが開始された特別事情残留邦人に係る新しい身元引受人の身元引受期間は、第5の3の(3)により身元引受人の決定を行った旨を当該身元引受人に通知した日から基本身元引受期間の終了する日までとする。ただし、厚生労働省社会・援護局長が必要でないと認める場合にあっては、この期間を短縮することができるものとする。
第9 身元引受手当等の支給
1 業務担当都道府県の知事は、特別事情残留邦人世帯構成員の身元引受けを行っている身元引受人に対し身元引受手当を支給する。
2 身元引受手当の支給額は、特別事情残留邦人の世帯1世帯当たり別に定める額とし、その支給期間は、身元引受人が特別事情残留邦人世帯構成員の身元引受けを開始した日の属する月からその身元引受けの終了した日の属する月までとする。
3 身元引受人として登録している団体で厚生労働省社会・援護局長が特に必要と認めるものについては、事務費の一部を支給することができるものとする。
第10 身元引受人の業務の実施状況報告
1 都道府県知事は、身元引受人から業務の実施状況について適宜報告させ、当該報告について各半期毎にとりまとめ、厚生労働省社会・援護局長に報告するものとする。
2 都道府県知事は、身元引受人からの報告に基づき、必要に応じて当該身元引受人に対し必要な助言、指導を行うものとする。
第11 施行期日
本通知は、平成7年2月1日から施行する。
別紙様式1(個人用)
別紙様式1―2(団体用)
別紙様式1―3(樺太等―個人用)
別紙様式1―4(樺太等―団体用)
別紙様式2
別紙様式3
別紙様式4