添付一覧
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律の施行について
(昭和六一年六月一〇日)
(援発第三一九号)
(各都道府県知事あて厚生省援護局長通知)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和六一年法律第五三号)が本年五月二○日別添のとおり公布されたが、その内容は左記のとおりであるから、その周知徹底を図り、施行上遺憾なきを期されたく通知する。
なお、この通知において次の表の上欄に掲げる法律はそれぞれ下欄のとおり略称する。
恩給法(大正一二年法律第四八号) |
恩給法 |
戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二七年法律第一二七号) |
遺族援護法 |
未帰還者留守家族等援護法(昭和二八年法律第一六一号) |
留守家族等援護法 |
戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律(昭和二八年法律第一八一号) |
昭和二八年法律第一八一号 |
戦没者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和三八年法律第六一号) |
戦没妻特給法 |
戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和四一年法律第一〇九号) |
戦傷妻特給法 |
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和四六年法律第五一号) |
昭和四六年法律第五一号 |
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和五一年法律第二二号) |
昭和五一年法律第二二号 |
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和五九年法律第七三号) |
昭和五九年法律第七三号 |
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和六一年法律第五三号) |
改正法 |
恩給法の一部を改正する法律(昭和六一年法律第三〇号) |
恩給法改正法 |
記
第一 改正の内容
一 遺族援護法関係
(一) 障害年金及び障害一時金の増額(改正後の遺族援護法第八条第一項、第二項、第三項及び第七項並びに第八条の二第一項及び第三項関係。別表一参照)
障害年金の額を、恩給法改正法による傷病恩給の増額に準じ、昭和六一年七月分から五・三%引き上げること。
また、障害一時金の額を障害年金の増額に準じ増額するほか、扶養親族加給についても、傷病恩給の扶養加給に準じ昭和六一年七月分から増額すること。
(二) 遺族年金及び遺族給与金の増額(改正後の遺族援護法第二六条第一項、第二七条第一項及び第三項並びに第三二条第三項、改正後の昭和二八年法律第一八一号附則第一八項及び改正後の昭和四六年法律第五一号附則第八条第四項関係。別表二参照)
ア 遺族年金及び遺族給与金(以下「遺族年金等」という。)の額を、恩給法改正法による公務扶助料等の増額に準じ、昭和六一年七月分から五・三%引き上げるとともに、障害者遺族特例年金等の額を同年八月分から更に増額すること。
また、後順位の遺族に係る遺族年金等の額を恩給法改正法による公務扶助料の扶養遺族加給の増額に準じ昭和六一年七月分から引き上げる(例えば公務死した者の遺族については、従前五○、四○○円であつたものを五四、○○○円に引き上げる)こと。
イ 他に恩給法による公務扶助料の受給者がある場合であつて、同法に規定する要件に該当しないため、同法の対象となることができなかつた軍人の遺族及び昭和二八年法律第一八一号施行(いわゆる軍人恩給復活)の際に六○歳未満であつた軍人の父母等であつて、その後恩給法による公務扶助料の扶養加給の対象となつたことのない者に係る遺族年金の額を、それぞれ昭和六一年七月分から引き上げること。
二 留守家族等援護法関係(改正後の留守家族等援護法第八条関係)
未帰還者の留守家族に支給する留守家族手当の月額を、遺族援護法による遺族年金等の増額に準じ、現行一一二、○○○円を、昭和六一年七月分から一一七、九一○円に増額すること。
三 戦没妻特給法関係(改正後の戦没妻特給法附則第二九項及び第三○項関係)
(一) 戦傷病者等の妻として戦傷妻特給法による特別給付金の受給権を取得した者であつて、当該戦傷病者等が、昭和五八年四月一日前に死亡したことにより、その権利を取得した日から一○年(昭和五九年法律第七三号による改正前の戦傷妻特給法による特別給付金に係るものにあつては七年)を経過した日において戦没者等の妻として恩給法による公務扶助料等を受ける権利を有する者に新たに戦没者等の妻に対する特別給付金を支給することとしたこと。
(二) 今回の改正で支給される特別給付金は次のとおりであること。
ア 戦傷妻特給法による特別給付金として額面五万円又は二・五万円、五年償還の国債を受ける権利を取得した者 額面六○万円、一○年償還の国債
イ 戦傷妻特給法による特別給付金として額面三○万円又は一五万円、一○年償還の国債を受ける権利を取得した者 額面一二○万円、一○年償還の国債
(三) 今回の特別給付金の国債の発行の日は、戦傷妻特給法による特別給付金を受ける権利を取得した日から一○年(昭和五九年法律第七三号による改正前の戦傷妻特給法による特別給付金に係るものにあつては七年)を経過した日の属する年の一一月一日であり、毎年四月三○日及び一○月三一日に償還されるものであること。
四 戦傷妻特給法関係
(一) 基準日変更による支給対象者の拡大(改正後の戦傷妻特給法第二条、第三条第一項及び第四条第一項関係)
ア 改正前の戦傷妻特給法では、支給要件の認定の基準となる日が昭和五四年四月一日とされていたが、その後新たに戦傷病者等の妻となつた者が相当数にのぼつていることを考慮し、昭和五八年四月一日を基準日として、これらの者に対しその特別な労苦を慰藉するため特別給付金を支給することとしたこと。
イ 今回の改正により新たに特別給付金の支給対象となる者は、昭和五四年四月二日以後に戦傷病者等の妻となつた者であつて、当該戦傷病者等が昭和五八年四月一日において、傷病恩給金、障害年金等を受けていたものであること。
ウ 前記の者に支給される特別給付金の額は、障害の程度が恩給法別表に定める特別項症から第一款症までの戦傷病者等の妻の場合三○万円、障害の程度が恩給法別表に定める第二款症から第五款症までの戦傷病者等の妻(以下「軽症者の妻」という。)の場合一五万円とし、いずれも一○年償還の国債で交付されるものであること。なお、当該国債の発行日は、昭和六一年一○月一日であること。
(二) 特別給付金の継続(改正法附則第三条関係)
ア 戦傷病者等の妻のおかれた特別の事情を勘案して、戦傷病者等の妻に対する特別給付金制度を継続するとともに、一○年間の国債償還額を六○万円と三○万円(軽症者の妻は半額)の二段階に統一することとしたこと。
イ 今回の改正により継続して特別給付金の支給対象となる者は次に掲げる者で、昭和六一年一○月一日において、その者の夫たる戦傷病者等が恩給法による傷病恩給、遺族援護法による障害年金等を受給しているものであること。
(1) 昭和五一年法律第二二号による改正前の戦傷妻特給法による特別給付金を受ける権利を取得した戦傷病者等の妻で、昭和五一年法律第二二号附則第五条第三項により継続して特別給付金を受ける権利を取得したもの(第六回特別給付金国債い号~り号受給者)
(2) 昭和六年九月一八日以降昭和一二年七月七日前(満州事変間)に公務上の傷病にかかつた軍人であつて、これにより昭和四八年四月一日において、傷病恩給、障害年金等を受けていたものの妻であつたことにより特別給付金を受ける権利を取得した者(第六回特別給付金国債い号受給者)
(3) 昭和五九年法律第七三号による改正前の戦傷妻特給法による特別給付金を受ける権利を取得した者(第八回特別給付金国債い号~は号受給者)ただし、い号受給者については、第一一回特別給付金国債い号を受給した者に限るものであること。
ウ 今回の特別給付金の額は、次のとおり(軽症者の妻の場合は半額)であり、一○年償還の国債で交付されるものであること。
交付済み国債 |
残償還額 |
今回(61.10.1)発行国債の額面 |
10年間合計償還額 |
第六回特別給付金国債 (51.10.1発行い号) |
0 |
60万円 |
60万円 |
〃 (52.7.14発行ろ号) |
3万円 |
57万円 |
|
〃 (54.10.1発行は号) |
9万円 |
51万円 |
|
〃 (55.10.1発行に号) |
12万円 |
48万円 |
|
〃 (56.10.1発行ほ号) |
15万円 |
45万円 |
|
〃 (57.10.1発行へ号) |
18万円 |
42万円 |
|
〃 (58.10.1発行と号) |
21万円 |
39万円 |
|
〃 (59.10.1発行ち号) |
24万円 |
36万円 |
|
〃 (60.8.1発行り号) |
27万円 |
33万円 |
|
第八回特別給付金国債(54.10.1発行い号) 〃 (56.10.1発行ろ号) 〃 (57.10.1発行は号) |
|
30万円 |
30万円 |
また当該国債の発行日は、昭和六一年一○月一日であること。
(三) 満州事変間の戦傷病者等の妻に係る基準日の変更による支給対象者の拡大(改正法附則第四条関係)
ア 昭和六年九月一八日以後昭和一二年七月七日前(満州事変間)に公務上の傷病にかかつた軍人であつて、これにより昭和五八年四月一日において傷病恩給、障害年金等を受けていたものの妻で、昭和四八年四月二日以後昭和五八年四月一日までの間に新たに戦傷病者等の妻となつた者に特別給付金を支給することとしたこと。
イ 特別給付金の額及び当該国債の発行日は(一)のウと同様であること。
(四) 平病死した戦傷病者の妻に対する特別給付金の支給(改正法附則第五条関係)
ア 次の(1)又は(2)に掲げる特別給付金を受ける権利を取得した戦傷病者等の妻であつて、当該権利を取得した日から(1)については一○年、(2)については七年を経過した日が、昭和六一年一○月一日以後に到来し、当該戦傷病者等が昭和五八年三月三一日以前に平病死したものに、特別給付金を支給することとしたこと。
(1) 額面三○万円若しくは一五万円、一○年償還の国債(第六回特別給付金国債い号~へ号)又は額面一○万円若しくは五万円、一○年償還の国債(第二回特別給付金国債ぬ号)による特別給付金
(2) 額面五万円又は二万五、○○○円、五年償還の国債(第八回特別給付金国債い号~は号)による特別給付金
イ 特別給付金の額は五万円とし、五年償還の国債で交付されるものであること。
ウ 国債の発行日は、現在償還中の国債の償還が終了した年の一○月一日であること。
第二 施行期日等(改正法附則第一条及び第二条関係)
一 今回の改正は、昭和六一年七月一日から施行されること。ただし、第一の三(戦没妻特給法関係)及び四(戦傷妻特給法関係)については、昭和六一年一○月一日から施行されること。
二 昭和六○年七月分の障害者遺族特例年金等の額について、所要の経過規定を置いたこと。
第三 留意事項
一 改正法による遺族援護法の年金等の額の改定は、受給者の請求を待たず裁定庁が行うものであること。
なお、改定された年金証書の交付事務等については別途通知するものであること。
二 戦傷妻特給法及び戦没妻特給法の一部改正の詳細等については、別途通知するものであること。
別表1
1 障害年金の額
(1) 基本年額
区分 |
現行額 (年額) |
改正額(年額) 昭和61年7月分から |
区分 |
現行額 (年額) |
改正額(年額) 昭和61年7月分から |
||
公務傷病 |
特別項症 |
第1項症の年金額に2,968,000円以内の額を加えた額 |
第1項症の年金額に3,125,500円以内の額を加えた額 |
勤務関連傷病 |
特別項症 |
第1項症の年金額に2,262,500円以内の額を加えた額 |
第1項症の年金額に2,382,400円以内の額を加えた額 |
|
円 |
円 |
|
円 |
円 |
||
第1項症 |
4,240,000 |
4,465,000 |
第1項症 |
3,232,100 |
3,403,400 |
||
第2〃 |
3,533,000 |
3,720,000 |
第2〃 |
2,695,900 |
2,838,800 |
||
第3〃 |
2,911,000 |
3,065,000 |
第3〃 |
2,228,100 |
2,346,200 |
||
第4〃 |
2,302,000 |
2,424,000 |
第4〃 |
1,766,000 |
1,859,600 |
||
第5〃 |
1,863,000 |
1,962,000 |
第5〃 |
1,436,300 |
1,512,400 |
||
第6〃 |
1,505,000 |
1,585,000 |
第6〃 |
1,163,700 |
1,225,400 |
||
第1款症 |
1,374,000 |
1,447,000 |
第1款症 |
1,058,000 |
1,114,100 |
||
第2〃 |
1,249,000 |
1,315,000 |
第2〃 |
963,100 |
1,014,100 |
||
第3〃 |
1,002,000 |
1,055,000 |
第3〃 |
774,300 |
815,300 |
||
第4〃 |
805,000 |
848,000 |
第4〃 |
625,500 |
658,700 |
||
第5〃 |
712,000 |
750,000 |
第5〃 |
550,300 |
579,500 |
(2) 扶養加給
区分 |
現行額 (年額) |
改正額 (年額) (昭和61年7月分から) |
|
特別項症~第1款症 |
配偶者 |
円 158,400 |
円 168,000 |
その他2人まで(1人につき) |
50,400 |
54,000 |
|
(ただし、配偶者がない場合1人に限り) |
106,800 |
114,000 |
|
3人目以上(1人につき) |
12,000 |
現行どおり |
|
第2款症~第5款症 |
妻 |
158,400 |
168,000 |
(3) 特別加給
区分 |
現行額 (年額) |
改正額 (年額) |
特別項症 |
円 270,000 |
現行どおり |
第1・2項症 |
210,000 |
〃 |
2 障害一時金の額
区分 |
現行額 |
改正額 |
|
昭和61年7月から |
|||
公務傷病 |
|
円 |
円 |
第1款症 |
4,510,000 |
4,749,000 |
|
第2〃 |
3,742,000 |
3,940,000 |
|
第3〃 |
3,210,000 |
3,380,000 |
|
第4〃 |
2,637,000 |
2,777,000 |
|
第5〃 |
2,115,000 |
2,227,000 |
|
勤務関連傷病 |
第1款症 |
3,438,100 |
3,620,300 |
第2〃 |
2,852,700 |
3,003,900 |
|
第3〃 |
2,446,600 |
2,576,300 |
|
第4〃 |
2,010,100 |
2,116,600 |
|
第5〃 |
1,612,800 |
1,698,300 |
別表2 遺族年金及び遺族給与金の額
1 先順位者に係る額
区分 |
現行額 (年額) |
改正額(年額) |
|
昭和61年7月分から |
昭和61年8月分から |
||
公務死亡 |
円 1,440,000 |
円 1,511,000 |
|
勤務関連死亡 |
1,141,000 |
1,196,000 |
|
平病死亡 (公務第1款症以上) |
1,141,000 |
1,196,000 |
|
平病死亡 (/公務第2款症~第5款症/勤務関連第1款症以上/) |
334,000 |
349,000 |
円 358,800 |
平病死亡(勤務関連第2款症~第5款症) |
263,300 |
274,500 |
282,600 |
公務併発死亡 |
263,300 |
274,500 |
282,600 |
勤務関連併発死亡 |
178,400 |
185,100 |
191,200 |
2 後順位者に係る額
区分 |
現行額 (年額) |
改正額(年額) |
昭和61年7月分から |
||
公務死亡 |
円 50,400 |
円 54,000 |
勤務関連死亡 |
39,200 |
42,000 |
平病死亡(公務第1款症以上) |
39,200 |
42,000 |
3 他に公務扶助料受給者がある場合の遺族年金額
(昭和28年法律第181号附則第18項の規定による遺族年金額………軍人の遺族)