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○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律等の施行について

(昭和五六年五月一八日)

(援発第三七五号)

(各都道府県知事あて厚生省援護局長通達)

戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和五六年法律第二六号)が本年四月二五日別添一のとおり公布され、これに伴う戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則の一部を改正する省令(昭和五六年厚生省令第三三号)が本年五月一八日別添二のとおり公布されたが、その内容及び運用にあたつての留意事項は左記のとおりであるから、管下一般に周知徹底を図り、その施行に遺憾のないようにされたく、通達する。

なお、この通達において次の表の左欄に掲げる法令はそれぞれ右欄のとおり略称する。

戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和五六年法律第二六号)

改正法

恩給法等の一部を改正する法律(昭和五六年法律第三六号)

恩給法等改正法

戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二七年法律第一二七号)

遺族援護法

戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律(昭和二八年法律第一八一号)

昭和二八年法律第一八一号

戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和四六年法律第五一号)

昭和四六年法律第五一号

戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和五五年法律第一七号)

昭和五五年法律第一七号

戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和四一年法律第一○九号)

戦傷妻特給法

戦傷病者特別援護法(昭和三八年法律第一六八号)

特別援護法

未帰還者留守家族等援護法(昭和二八年法律第一六一号)

留守家族等援護法

恩給法(大正一二年法律第四八号)

恩給法

戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則(昭和二七年厚生省令第一六号)

規則

第一 改正の内容

一 遺族援護法関係

(一) 障害年金及び障害一時金の増額

(改正後の遺族援護法第八条第一項、第二項、第三項、第六項及び第七項並びに第八条の二参照)

ア 障害年金の額を、恩給法等改正法による傷病恩給の増額に準じ、昭和五六年四月からは四・八パーセント、同年八月からは、更に、不具廃疾の程度に応じて、三万円(第五款症)から八万円(第一項症)(勤務関連傷病に係る場合にあつては、二万四、○○○円から六万四、○○○円)増額したこと。

また、障害一時金の額についても、障害年金の増額に準じ、増額したこと。

イ 扶養親族加給の額を、恩給法等改正法による傷病恩給の扶養加給の増額に準じ、昭和五六年四月から増額し、配偶者(第二款症以下の場合は、妻に限る。)に係る加給の額については、従前一二万円であつたものを一三万二、○○○円に、配偶者以外の扶養親族に係る加給の額については、その扶養親族二人について一人につき従前三万六、○○○円(その障害年金を受ける者に配偶者がないときは、そのうちの一人については七万八、○○○円)であつたものを四万二、○○○円(配偶者がないときは、そのうちの一人については九万円」にしたこと。

ウ 第二項症以上の障害年金に加給される特別加給の額を、恩給法等改正法による傷病恩給の特別加給の増額に準じ、昭和五六年六月から増額し、特別項症に係る加給の額については、従前一八万円であつたものを二七万円に、第一項症及び第二項症に係る加給の額については、従前一八万円であつたものを二一万円にしたこと。

(二) 遺族年金及び遺族給与金の増額

(改正後の遺族援護法第二六条第一項、第二七条第一項及び第三項並びに第三二条第三項、改正後の昭和二八年法律第一八一号附則第一八項並びに改正後の昭和四六年法律第五一号附則第八条第四項参照)

ア 公務死亡者の遺族(先順位者)に係る遺族年金及び遺族給与金(以下「遺族年金等」という。)の額を、恩給法等改正法による兵に係る公務扶助料の増額に準じ、昭和五六年四月から四・八パーセント増額し、従前一一三万四、○○○円であつたものを一一八万四、○○○円とし、更に同年八月から再度増額して一二三万六、○○○円としたこと。

また、公務死亡者の遺族(後順位者)に係る遺族年金等の額を、恩給法等改正法による公務扶助料の扶養遺族加給の増額に準じ、同年四月から増額し、従前三万六、○○○円であつたものを四万二、○○○円としたこと。

イ 勤務関連死亡者又は公務傷病による第一款症以上の障害者(以下「重度障害者」という。)で平病死したものの遺族(先順位者)に係る遺族年金等の額を、恩給法等改正法による特例扶助料又は増加非公死扶助料の増額に準じ、昭和五六年四月から四・八パーセント増額し、従前九○万円であつたものを九三万九、○○○円とし、更に同年八月から再度増額して九八万一、○○○円としたこと。

また、勤務関連死亡者又は公務傷病による重度障害者で平病死した者の遺族(後順位者)に係る遺族年金等の額を増額し、同年四月から、従前二万七、九○○円であつたものを、三万二、六○○円としたこと。

ウ 障害年金等受給者で平病死したものに係る遺族年金等(前記イの遺族年金等を除く。)の額を、恩給法等改正法による傷病者遺族特別年金の増額に準じ増額し、昭和五六年四月からは、従前一八万二、九○○円(第二款症から第五款症までの勤務関連障害年金等受給者(以下「軽度者」という。)で平病死したものに係る遺族年金等にあつては、一三万七、二○○円)であつたものを一九万一、七○○円(軽度者に係るものにあつては、一四万三、八○○円)に、同年八月からは二○万一、三○○円(軽度者に係るものにあつては、一五万一、○○○円)に、更に同年一二月からは二四万円(軽度者に係るものにあつては、一八万円)にしたこと。

エ 公務傷病に併発する傷病により死亡した者に係る遺族年金等の額を増額し、昭和五六年四月からは、従前一三万七、二○○円(勤務関連傷病に併発する傷病により死亡した者に係る遺族年金等の額(以下「勤務関連併発死亡に係る額」という。)にあつては、八万二、三○○円)であつたものを一四万三、八○○円(勤務関連併発死亡に係る額にあつては、八万六、三○○円)に、同年八月からは一五万一、○○○円(勤務関連併発死亡に係る額にあつては、九万六○○円)に、更に同年一二月からは一八万円(勤務関連併発死亡に係る額にあつては一○万八、○○○円)にしたこと。

オ 他に恩給法による公務扶助料の受給者がある場合であつて、同法に規定する要件に該当しないため、同法の対象となることができなかつた軍人の遺族に係る遺族年金の額(昭和二八年法律第一八一号附則第一八項に規定する額)を増額し、昭和五六年四月から、配偶者にあつては、従前一二万円であつたものを一三万二、○○○円に、配偶者以外の遺族にあつては、従前三万六、○○○円であつたものを四万二、○○○円にしたこと。

カ 昭和二八年法律第一八一号施行(いわゆる軍人恩給復活)の際に六○歳未満であつた軍人の父母等であつて、その後恩給法による公務扶助料の扶養加給の対象となつたことのない者に係る遺族年金の額(昭和四六年法律第五一号附則第八条第四項に規定する額)を、後順位者に係る遺族年金等の額に準じ、昭和五六年四月から増額し、他に同一の事由による公務扶助料受給者がいる場合にあつては、従前三万六、○○○円であつたものを四万二、○○○円に、他に同一の事由による増加非公死扶助料受給者がいる場合にあつては、従前二万七、九○○円であつたものを三万二、六○○円にしたこと。

(三) 準軍属の範囲の拡大

(改正後の遺族援護法第二条第三項第四号及び改正法附則第三項参照)

満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して集団開拓農民となつた者により構成された義勇隊開拓団の団員を準軍属として処遇したこと。

これは、義勇隊開拓団が昭和一四年一二月二二日の閣議決定「満洲開拓民に関する根本方策に関する件」に基づく満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了した者により構成されたものであり、その団員の業務と満洲開拓青年義勇隊の隊員の業務に共通性が認められることから、今回処遇の対象としたものであること。

また、この準軍属の範囲の拡大に伴い必要な規則の改正を行い、障害年金及び障害一時金の請求書の添付書類に関する規定を整備したこと。

二 留守家族等援護法関係

(改正後の留守家族等援護法第八条参照)

未帰還者の留守家族に支給する留守家族手当の月額を、遺族援護法による遺族年金等の増額に準じて増額し、昭和五六年四月からは、従前八万六、五○○円であつたものを九万六六○円に、同年八月からは九万五、○○○円にしたこと。

三 特別援護法関係

(改正後の特別援護法第二条第二項第九号参照)

満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して集団開拓農民となつた者により構成された義勇隊開拓団の団員のうち、軍事に関する業務等により傷病にかかり、当該傷病により現に第五款症以上の障害を有するもの及び療養を必要とするものを新たに戦傷病者の範囲に加えたこと。

四 戦傷妻特給法関係

(改正後の戦傷妻特給法附則第三項から第五項まで参照)

昭和五五年法律第一七号による遺族援護法の改正により障害年金等を受けるに至つた者のうち、昭和五四年四月一日において障害の程度が恩給法別表第一号表一二及び第一号表一三に該当したものを戦傷妻特給法第二条第一項に規定する「戦傷病者等」とみなし、その妻(既に特別給付金を受ける権利を取得した者を除く。)に特別給付金(障害の程度が特別項症から第一款症までの戦傷病者等の妻にあつては、額面五万円の無利子の国債、第二款症から第五款症までの戦傷病者等の妻にあつては、額面二万五、○○○円の無利子の国債)を支給することとしたこと。

第二 施行期日等

今回の改正は次のとおり施行又は適用されること。

第一の一の(一)及び(二)  昭和五六年四月一日、六月一日、八月一日及び一二月一日

第一の一の(三)、第一   昭和五六年一○月一日

の三及び第一の四

第一の二         昭和五六年四月一日及び八月一日

第三 留意事項

一 遺族援護法の一部改正に関する事項

(一) 障害年金等の増額に関する事項

ア 増額される障害年金等の額

改正法により増額される障害年金及び障害一時金の額又は特別項症、第一項症又は第二項症に係る障害年金の特別加給の額は別表第一のとおりであり、同じく増額される遺族年金等の額は別表第二のとおりであること。

イ 併給調整の控除額

遺族援護法第三二条の規定の改正により控除額が増額され改正後の後順位者に係る遺族年金等の額に相当する額が控除されること。

ウ 他に特例扶助料等の受給者がある場合の恩給法非適用の配偶者に係る遺族年金の額

死亡者の遺族が恩給法により特例扶助料又は増加非公死扶助料を受給している場合、恩給法の適用を受けることができない当該死亡者の内縁の配偶者には昭和二八年法律第一八一号附則第一八項の規定を適用し、特例遺族年金又は平病死遺族年金を支給しているが、その額を昭和五六年四月から一○二、三○○円に増額し、更に同年八月から一○二、四○○円に増額することとしたこと。

エ 職権改定

前記第三の一の(一)のアからウまでの額の改定は受給者の請求を待たず裁定庁が行うものであるが、改定された遺族年金証書等の交付事務等については別途通知するものであること。

(二) 準軍属の範囲拡大に関する事項

ア 遺族援護法第二条第三項第四号の改正により新たに準軍属として処遇されることとなる「義勇隊開拓団員」については、次の点に留意すること。

(ア) 義勇隊開拓団員として処遇される者は、満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して義勇隊開拓団の団員となつた者に限られること。

したがつて、満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了せず、直接義勇隊開拓団員となつた者は、処遇の対象から除かれること。

(イ) 義勇隊開拓団員に係る傷病又は死亡の公務性等の判断は、満洲開拓青年義勇隊員の場合と同様であること。すなわち、昭和一六年一○月以後満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了し義勇隊開拓団に移行した後の義勇隊開拓団員であつた間の傷病又は死亡であつて、次に掲げるものであること。

a 昭和二○年八月九日(日ソ開戦の日)前に発した傷病にあつては、同日前における軍事に関する業務上の傷病又は軍事に関する業務に関連する傷病に限られること。

なお、軍事に関する業務とは、旧満洲において軍の指示等により義勇隊開拓団員が行つた重要工場の警備、軍事輸送の援助、陣地構築、軍用道路の建設の協力等の業務であること。

b 昭和二○年八月九日以後同年九月二日前に発した傷病にあつては、業務上の傷病であること。

c 昭和二○年九月二日以後に発した傷病にあつては、自己の責に帰することができない事由により発した傷病のうち、厚生大臣が業務上の傷病と同視することを相当と認める傷病であること。

(ウ) 今回処遇の対象となる義勇隊開拓団員が、既に軍人軍属又は準軍属の身分を有している場合は、それぞれ、それらの身分に従つて処遇されるものであり、改正法による処遇の対象からは除かれること。

(エ) 義勇隊開拓団員に係る障害年金、障害一時金、遺族給与金及び弔慰金(以下「障害年金等」という。)の受給権が発生する日は、昭和五六年一○月一日(同日後遺族援護法第七条第一項に規定する程度の不具廃疾となつた者にあつては、当該不具廃疾となつた日。また、死亡した者の死亡の日が同日後であるときは、その死亡の日)であること。

なお、弔慰金は、五万円の記名国債を交付するものであり、交付される国債の発行日は、昭和五六年一○月一日(死亡した者の死亡の日が同日後であるときは、当該死亡の日)であること。

イ 義勇隊開拓団員に係る請求手続き等については、次の点に留意すること。

(ア) 請求書に添付すべき書類のうち、義勇隊開拓団員の身分、傷病又は死亡の公務性等に関する書類として、次に掲げる書類を添付するよう請求者を指導すること。

a 別紙様式第一による「義勇隊開拓団員についての申立書」

b 前記申立書に記載した事実を認めることができる書類であつて、障害者又は死亡した者が受傷り病又は死亡した当時に作成されたもの。この書類を例示すると、関係機関の証明書類(満洲開拓青年義勇隊訓練所を修了したときの修了証書、受傷り病又は死亡したときの義勇隊開拓団の証明書等)、受傷り病又は死亡の当時に作成、発行された関係記録(通信文、日誌、弔辞等)等であること。

なお、これらの書類が得られないときは、これに代えて現認者等により作成された当該事実に関する証明書(様式適宜)を添付させること。

(イ) 前記(ア)のaにより「義勇隊開拓団員についての申立書」の提出を受けた都道府県知事は、保有する関係資料により判明する限りで当該障害者又は死亡者につき、渡満年度、所属していた訓練所名、義勇隊中隊名及び義勇隊開拓団名等を点検し、当該申立書の「都道府県記載欄」等に所要の事項を記載したうえ進達すること。

(ウ) 前記(ア)のa及びbに掲げる書類のほか、次に掲げる申立書を請求書に添付させること。

a 障害年金又は障害一時金を請求する場合には、昭和四五年六月一九日援発第六八一号当職通達に定める「障害年金、傷病恩給等に関する申立書」(別紙様式第二)

b 遺族給与金又は弔慰金を請求する場合には、昭和五二年六月二四日援発第六一一号当職通達に定める「遺族年金、扶助料等に関する申立書」(別紙様式第三)

(エ) 前記(ウ)のa及びbによる「障害年金、傷病恩給等に関する申立書」又は「遺族年金、扶助料等に関する申立書」の提出を受けた都道府県知事は、保有する関係台帳等により、当該申立書の記載事項につき点検し、当該申立書に所要事項を記載したうえ進達すること。

この場合、当該義勇隊開拓団員が既に軍人軍属又は準軍属としての身分を有することにより、遺族援護法又は恩給法による給付を受けていないか、又は受けたことがないかどうかを慎重に点検されたいこと。

また、当該申立書の記載事項を補正する必要があるときは、請求者を指導して補正させること。さらに、「都道府県記載欄」には「記載事項に相違ない」旨を記入し、事務担当者の印を押印すること。

(オ) 改正法による遺族給与金の請求者が、すでに他の死亡者について遺族年金又は遺族給与金を受けているときは、遺族援護法第三二条の規定により支給額の調整を行う必要があるので、遺族給与金請求書の「死亡した者の遺族のうちに他の死亡した者についての遺族年金又は遺族給与金を受けている者がある場合」の欄に必ず所要の事項を記載させること。さらに都道府県知事は、保有する関係台帳等及び請求書に添付された戸籍書類等により他に遺族年金又は遺族給与金の支給の対象となる死亡者があるかどうかにつき点検し、所要の措置を要するものと認めたときは、その措置を講じたうえ進達すること。

(カ) 都道府県知事は、障害年金等の請求書を進達する場合において、義勇隊開拓団員に係るものにあつては、当該請求書の左上部欄外並びに障害年金(障害一時金)請求書受付簿の備考欄又は遺族給与金及び弔慰金請求書受付簿の/「(適用    )/(区分    )」の欄に「義勇隊開拓団員」と朱書すること。

(キ) 以上の他、義勇隊開拓団員に係る請求書に添付すべき書類及び請求手続きは、従前の障害年金等に係る例によるものであること。

二 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正に関する留意事項については、別途通達するものであること。

別表及び別紙〔略〕