○育児支援家庭訪問事業の実施について
(平成16年3月31日)
(雇児発第0331032号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)
児童福祉の向上については、かねてからの特段の配慮を煩わしているところであるが、養育家庭に過重な負担がかかる前の段階において、訪問による支援を実施することで当該家庭において安定した養育を可能とすること等を目的として、今般、別紙のとおり「育児支援家庭訪問事業実施要綱」を定め、平成16年4月1日から実施することとしたので、その円滑かつ適正な実施が行われるよう、貴管区内市区町村に対し、周知徹底を図るとともに、その実施にあたり遺漏のないよう指導されたい。
おって、本事業の実施に伴い、平成14年4月30日雇児発0430004号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「家庭訪問支援事業の実施について」、平成8年5月10日児発第490号厚生省児童家庭局長通知「乳幼児発達相談指導事業の実施について」は廃止する。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言である。
育児支援家庭訪問事業実施要綱
1.目的
近年、核家族化、都市化の進展等、乳幼児等を取り巻く環境は大きく変化する中で、家庭や地域における養育機能が低下してきている。
本事業は、本来児童の養育について支援が必要でありながら、積極的に自ら支援を求めていくことが困難な状況にある家庭に過重な負担がかかる前の段階において、訪問による支援を実施することにより、当該家庭において安定した児童の養育が可能となること等を目的とする。
2.実施主体
本事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。ただし、市町村が、事業の運営の全部又は一部を適切な事業運営が確保できると認められる社会福祉法人、特定非営利活動法人又は民間事業者等に委託することができるものとする。
3.支援の対象
本事業の支援対象は、市町村が別添「養育支援が必要となりやすい要素」を参考に、本事業の支援の効果が期待できると市町村長が判断した次に掲げるような、一般の子育サービスを利用することが難しい家庭を対象とする。
(1) 出産後間もない時期(概ね1年程度)の養育者が、育児ストレス、産後うつ病、育児ノイローゼ等の問題によって、子育てに対して不安や孤立感等を抱える家庭、又は虐待のおそれや、そのリスクを抱える家庭
(2) ひきこもり等家庭養育上の問題を抱える家庭や、児童が児童養護施設等を退所又は里親委託終了後の家庭復帰等のため、自立に向けたアフターケアが必要な家庭
(3) 児童の心身の発達が正常範囲にはなく、又は出生の状況等から心身の正常な発達に関して諸問題を有しており、将来、精神・運動・発達面等において障害を招来するおそれのある児童のいる家庭
4.事業の内容
(1) 家庭内での育児に関する具体的な援助
ア.産褥期の母子に対する育児指導や簡単な家事等の援助
イ.未熟児や多胎児等に対する育児指導・栄養指導
ウ.養育者に対する身体的・精神的不調状態に対する相談・指導
エ.若年の養育者に対する育児相談・指導
オ.児童が児童養護施設等を退所後にアフターケアを必要とする家庭等に対する養育相談・支援
(2) 発達(相談・訓練)指導
家庭における指導が必要な場合には、理学療法士等を派遣して、家庭の状況等に即した発達指導を行う。
5.養育支援を行う者
(1) 養育支援の必要の可能性があると思われる家庭に対する育児、家事の援助については、子育てOB(経験者)、ヘルパー等が実施する。
(2) 産後うつ病、育てにくい子ども等複雑な問題を背景に抱えている家庭に対する具体的な育児支援に関する技術指導については、保健師、助産師、保育士、児童指導員等が実施する。
6.支援の方法
養育支援が必要な家庭に対し、市町村長の判断に基づき訪問支援を行う。
(1) 別添「養育支援が必要となりやすい要素(例示)」に該当する家庭等について、必要に応じて関係機関からの情報収集等を行い、家庭の養育状況を把握する。
(2) (1)の結果、支援の必要性があると思われる家庭に対し、その支援内容を明確にした上で、養育支援を行う。
7.事業実施上の留意事項
当事業の実施に伴って廃止となる実施要綱の事業については、当事業への円滑な移行を期するため、平成15年度までにそれぞれの実施要綱に基づく補助実績がある市町村に限り、従前の実施要綱と同様の方法により2か年に限り事業の実施を認めることとする。
8.費用
国は予算の範囲内において、市町村が実施する事業(委託して実施する場合を含む。)に対して都道府県が補助する事業並びに政令指定都市及び中核市が実施する事業(委託して実施する場合を含む。)について、別に定めるところにより補助するものとする。
別添