添付一覧
○認可外保育施設に対する指導監督の実施について
(平成13年3月29日)
(雇児発第177号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)
(改正後全文)
保育需要の増加や多様化等への対応については、新エンゼルプラン(平成11年12月19日大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治6大臣合意)等に基づき、保育施策の拡充に御尽力いただいているところである。
ベビーホテル等の認可外保育施設については、昭和56年の児童福祉法の改正により、行政庁の報告徴収及び立入調査の権限が規定され、これらに基づき、指導監督に配意願ってきたところであるが、今般、より効果的な指導監督を図る観点等から、別紙のとおり「認可外保育施設指導監督の指針」及び「指導監督基準」を策定したので、より適切な指導監督が図られるようお願いする。
なお、認可外保育施設、特にベビーホテルの問題は指導監督の問題だけではなく、認可保育所の整備状況や延長保育、夜間保育等の多様な保育サービスの提供と大きくかかわるものであり、特にベビーホテルの多い地域におかれては、地域の保育需要について適切な把握に努めるとともに、その需要に応じた保育施策の推進に御尽力いただきたい。
この通知は、平成13年4月1日から施行し、これに伴い、「無認可保育施設に対する指導監督の実施について(昭和56年7月2日児発第566号厚生省児童家庭局長通知)」及びこれに基づく通知(「認可外保育施設に対する指導監督の強化について(平成12年4月14日児保第18号厚生省児童家庭局保育課長通知)」は、廃止する。
おって、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言に当たるものである。
(別紙) 認可外保育施設指導監督の指針
第1 総則
1 この指針の目的及び趣旨
この指針は、児童福祉法(以下「法」という。)等に基づき、認可外保育施設について、適正な保育内容及び保育環境が確保されているか否かを確認し、改善指導、改善勧告、公表、事業停止命令、施設閉鎖命令等を行う際の手順、留意点等を定めるものであること。
なお、本指針は、児童の安全確保等の観点から、劣悪な施設を排除するためのものであり、別添の認可外保育施設指導監督基準(以下「指導監督基準」という。)を満たす認可外保育施設についても児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号。以下「児童福祉施設設備運営基準」という。)及び家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号。以下「家庭的保育事業等設備運営基準」という。)を満たすことが望ましいものであること。
2 この指針の対象となる施設
この指針の対象となる施設は、法第6条の3第9項から第12項までに規定する業務又は第39条第1項に規定する業務を目的とする施設であって法第34条の15第2項若しくは第35条第4項の認可又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)第17条第1項の認可を受けていないものをいい、法第58条の規定により児童福祉施設若しくは家庭的保育事業等の認可を取り消された施設又は認定こども園法第22条第1項の規定により幼保連携型認定こども園の認可を取り消された施設を含むものであり、法第59条の2により届出が義務づけられている施設に限られるものでないこと。(法第59条第1項参照)
(留意事項1)幼稚園が行う預かり保育の取扱い
幼稚園が、在園児に対し、教育課程に係る教育時間の終了後に幼稚園教育要領に基づき教育活動を行う活動について、法第6条の3第7項に基づく一時預かり事業を実施している場合については、法等に則り適正に実施されることが求められる。
また、認可外保育施設の届出の対象となる幼稚園併設施設に対する指導監督については、法等に則り適正に実施されることが求められるが、従来、幼稚園所管部局が当該幼稚園に対する指導の一環として行っていたという実態及び経緯に鑑み、幼稚園所管部局と情報交換を行う等の連携を図ること。
(留意事項2)教育を目的とする施設の取扱い
学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する幼稚園、特別支援学校の幼稚部及び各種学校以外の幼児教育を目的とする施設(法第6条の3第11項の業務を目的とする施設を除く。)については、乳幼児が保育されている実態がある場合は、法の対象となる。なお、乳幼児が保育されている実態があるか否かについては、当該施設のプログラムの内容、活動の頻度、サービス提供時間の長さ、対象となる乳幼児の年齢等その運営状況に応じ、判断すべきであるが、少なくとも1日4時間以上、週5日、年間39週以上施設で親と離れることを常態としている場合は保育されているものと考えられる。
(留意事項3)法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の取扱い
法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の取扱いについては、保育を必要とする乳幼児の居宅で保育を行う事業形態の特殊性にかんがみ、他の事業類型と比較して、より短時間の預かりサービスも含め、本指針の対象となる。
3 指導監督の事項及び方法
(1) 指導監督の事項
指導監督は、指導監督基準に基づき、児童の処遇等の保育内容、保育従事者数、施設設備等について、行うものであること。ただし、法第6条の3第9項に規定する業務を目的とする施設、同条第12項に規定する業務を目的とする施設(1日に保育する乳幼児の数が5人以下のものに限る。)及び法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設であって、都道府県知事、指定都市市長、中核市市長又は児童相談所設置市市長(以下「都道府県知事等」という。)が別に基準を定めている場合は、指導監督基準の一部を適用しないことができること。
また、指導監督は、「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付について」(平成17年1月21日付け雇児発第0121002号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)に基づき効果的・効率的に行うこと。
(留意事項4)認可外保育施設については、法の他、消防法、食品衛生法、労働基準法等関係法令に基づく指導監督が行われており、これらの法令の遵守も別途、求められていることにも留意すること。
(2) 指導監督の方法
指導監督は、第2から第6までに定めるところに従って、行うものであること。
4 認可外保育施設の把握
(1) 認可外保育施設の把握
認可外保育施設については、届出の提出を待つだけでなく、管内市区町村の協力を得て、その速やかな把握に努めること。また、消防部局、衛生部局等の認可外保育施設を職務上把握し得る部局との連携や地域の児童委員を活用することも、その把握のために有効であること。
(留意事項5)市区町村との協力の例
・届出、定期報告の受付、内容確認の依頼
・市区町村が助成している認可外保育施設の指導監督の状況についての都道府県への情報提供
・市区町村に認可外保育施設から、子ども・子育て支援法第30条の11第1項に基づく確認の相談等があった場合の必要に応じた都道府県への情報提供
(参照条文)
・都道府県知事は、第59条、第59条の2及び前条に規定する事務の執行及び権限の行使に関し、市町村長に対し、必要な協力を求めることができる。(法第59条の2の6)
・市町村長は、第30条の11第1項及び第58条の8から第58条の10までに規定する事務の執行及び権限の行使に関し、都道府県知事に対し、必要な協力を求めることができる。(子ども・子育て支援法第58条の12)
(留意事項6)消防部局、衛生部局等の認可外保育施設を把握し得る部局等との連携の趣旨
都道府県、保健所を設置する市及び特別区においては、食品衛生法第30条第1項に規定する食品衛生監視員が置かれており、同監視員は、同法第28条第1項に基づき、不特定又は多数の者に食品を供与する施設(認可外保育施設を含む。)の関係者からの必要な報告の徴収及び施設への立入検査の権限が与えられており、また、消防機関も、消防法第4条に基づき、関係者(認可外保育施設の関係者を含む。)に対する資料の提出命令、報告の徴収、施設への立入検査及び関係者への質問の権限が与えられている。
これらの機関との連携を図ることは、効果的な指導監督の実施の観点から有効であること。
(2) 認可外保育施設の設置予定者等に対する事前指導
認可外保育施設の開設について、設置予定者等から相談があった場合や、設置について情報を得た場合には、法に基づく指導監督の趣旨及び内容等を説明するとともに、法等関係法令及び指導監督基準の遵守を求めること。また、当該認可外保育施設が届出対象施設に該当する場合は、法令に定める届出を行うよう指導すること。
様式1、様式1―2及び様式2参照
(留意事項7)届出制の意義
行政が認可外保育施設の把握を効率的に行い、指導監督の徹底を図るとともに、利用者に施設の情報を適正に伝え、利用者の適切な施設選択を担保することで、利用者の施設選択を通じた悪質な認可外保育施設の排除を図る。
(留意事項8)届出対象施設
届出の対象となる認可外保育施設は、法第6条の3第9項から第12項までに規定する業務又は第39条第1項に規定する業務を目的とする施設(少数の乳児又は幼児を対象とする施設その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)であって法第34条の15第2項若しくは第35条第4項の認可又は認定こども園法第17条第1項の認可を受けていないもの(法第58条の規定により児童福祉施設若しくは家庭的保育事業等の認可を取り消されたもの又は認定こども園法第22条第1項の規定により幼保連携型認定こども園の認可を取り消されたものを含む。)とする。(法第59条の2第1項参照)
届出対象施設は法第59条の都道府県知事等による指導監督の対象であることに加え、法第59条の2から第59条の2の5により都道府県知事等への設置届出、変更届出、毎年の定期報告、利用者への説明、保育内容等の掲示及び利用者への書面等(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)の交付が義務づけられている。
なお、公立の認可外保育施設も届出対象であり、都道府県知事等に対して届出を行うものとする。この場合、当該施設に対する指導監督は都道府県と市区町村が協議の上、効果的・効率的な方法で実施すること。
また、以下の施設(ただし、子ども・子育て支援法第59条の2に規定する仕事・子育て両立支援事業に係るものを除く。)は届出の対象外とされているが、これらの施設についても法第59条の指導監督の対象であることは言うまでもない(児童福祉法施行規則(以下「施行規則」という。)第49条の2)。
① 次に掲げる乳幼児のみの保育を行う施設であって、その旨が約款その他の書類により明らかであるもの。
(乳幼児の数については、一時預かり児童を含める。)
(その旨が約款やパンフレット等の書面等により確認できない場合には届出が必要であり、また約款等により記載されているが、実態として次に掲げる乳幼児以外の乳幼児が保育されている場合は言うまでもなく届出対象となる。)
ア 店舗その他の事業所において商品の販売又は役務の提供を行う事業者が商品の販売又は役務の提供を行う間に限り、その顧客の監護する乳幼児を保育するために自ら設置する施設又は当該事業者からの委託を受けて当該顧客の監護する乳幼児を保育する施設にあっては、当該顧客の監護する乳幼児。
(例:デパート、自動車教習所や歯科診療所等に付置された施設。これらの施設であっても、利用者が顧客であるか、また当該施設の利用が役務の提供を受ける間の利用であるかが明らかでない場合は、届出対象となる。)
イ 親族間の預かり合い(設置者の四親等内の親族を対象)
ウ 設置者の親族又はこれに準ずる密接な人的関係を有する者の監護する乳幼児
(例:利用乳幼児の保護者と親しい友人や隣人等。この場合であっても、広く一般に利用者の募集を行うなど、不特定多数を対象に業として保育を行っている者が、たまたま親しい知人や隣人の子どもを預かる場合は届出の対象となる。)
エ 一時預かり事業の対象となる乳幼児
法第6条の3第7項に規定する一時預かり事業として乳幼児の預かりを行っている施設については、当該事業に係る届出を行っているなど、他の制度により指導監督が行われることから、届出の対象外としている。
オ 病児保育事業の対象となる乳幼児
法第6条の3第13項に規定する病児保育事業として乳幼児の預かりを行っている施設については、当該事業に係る届出を行っているなど、他の制度により指導監督が行われることから、届出の対象外としている。
カ 子育て援助活動支援事業の対象となる乳幼児
法第6条の3第14項に規定する子育て援助活動支援事業として乳幼児の預かりを行っている施設については、当該事業に係る届出を行っているなど、他の制度により指導監督が行われることから、届出の対象外としている。
② 半年を限度として臨時に設置される施設(例:イベント付置施設等)
③ 認定こども園法第3条第3項に規定する連携施設(幼稚園型認定こども園)を構成する保育機能施設(注:幼稚園を設置する者が当該幼稚園と併せて設置している施設(上記施設を除く。)において、幼稚園における子育て支援活動等と独立して実施されており、余裕教室や敷地内の別の建物など在園児と区分された専用のスペースで専従の職員による保育が実施されているものは届出の対象となる。)
(留意事項9)届出事項(施行規則第49条の3)
① 法第59条の2第1項に規定する全ての施設の設置者において届出が必要な事項
・施設の名称及び所在地(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、主たる事業所の名称及び所在地)
・設置者の氏名及び住所又は名称及び所在地
・建物その他の設備の規模及び構造
・事業を開始した年月日
・施設の管理者の氏名及び住所
・開所している時間
・提供するサービスの内容(サービスの内容の例:月極保育、一時保育、24時間保育等)
・当該サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項(利用料のほか食事代、入会金、キャンセル料等を別途加算する場合にはその料金についても届出が必要。)
・届出年月日の前日において保育している乳幼児の人数(一時預かりの乳幼児も含む。)
・利用定員
・届出年月日の前日において保育に従事している保育士(国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)第12条の5第5項に規定する事業実施区域内にある施設にあっては、保育士又は当該事業実施区域に係る国家戦略特別区域限定保育士。以下同じ。)その他の職員の配置数(当該施設の保育士その他の職員のそれぞれの1日の勤務延べ時間数を8で除して得た数をいう。以下同じ。)及び勤務の体制
・保育士その他の職員の配置数及び勤務の体制の予定
・保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故及び保険金額(加入の有無、加入している保険の種類(損害賠償保険・傷害保険・その他)、契約期間、給付対象、補償上限額)
・提携する医療機関の名称、所在地、提携内容
・施設の設置者について、過去に事業停止命令又は施設閉鎖命令を受けたか否かの別(受けたことがある場合には、その命令の内容を含む。)
② 法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の設置者、1日に保育する乳幼児の数が5人以下である施設(上記留意事項8の各項目に掲げるものを除く。)の設置者において届出が必要な事項
・設置者及び職員に対する研修の受講状況
③ 子どもの預かりサービスのマッチングサイトを利用する設置者において届出が必要な事項
・子どもの預かりサービスのマッチングサイトのURL
(施行規則第49条の3第10号参照)
(3) 届出懈怠施設及び虚偽の届出をした認可外保育施設への措置
届出対象施設であるが、開設後1か月を経過しても届出を行っていない施設を把握した場合には、文書(電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)により期限を付して届出を行うよう求めること。期限が過ぎても届出がない場合には、非訟事件手続法に基づき、過料事件の手続きを行うこと。
また、届け出た事項が指導監督により虚偽の届出であることが判明した場合についても同様であること。
様式3及び様式4参照
(参照条文)法第62条の4
第59条の2第1項又は第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、50万円以下の過料に処する。
(留意事項10)過料事件の手続
過料事件の手続きについては、非訟事件手続法第119条~第122条による。
管轄となる、過料に処せられる者の住所地の地方裁判所に過料の対象となることを都道府県、指定都市、中核市又は児童相談所設置市(以下「都道府県等」という。)が通知することとなる。
(4) 市区町村に対する届出事項の通知
認可外保育施設から届出があったとき又は届出事項に変更があったとき又は当該施設が休廃止した場合は、当該届出に係る事項を、当該施設の所在地の市区町村長に速やかに通知すること。(法第59条の2第3項参照)
第2 通常の指導監督
1 通則
通常の指導監督は、報告徴収及び立入調査により行うこと。
指導監督に当たっては、法に基づく指導監督の趣旨及び内容等を明らかにし、関係者の理解及び協力が得られるよう努めることを旨とするが、保育内容、保育環境等に問題があると認められる又は推定されるにもかかわらず、関係者の理解、協力等が得られない場合には、法に基づき厳正に対処すること。
2 報告徴収
(1) 運営状況報告の対象
全ての認可外保育施設の設置者又は管理者に対して、運営状況の報告を、年1回以上、文書により、回答期限を付して求めること。その際、次のような場合にも報告するよう併せて指示すること。
様式5、様式5―2参照
① 事故等が生じた場合の報告(臨時の報告)
当該施設の管理下において、重大な事故が生じた場合は、「特定教育・保育施設等における事故の報告等について」(平成29年11月10日付け府子本第912号、29初幼教第11号、子保発1110第1号、子子発1110第1号、子家発1110第1号通知)に基づき、速やかに報告させること。
様式6参照
また、食中毒事案等が生じた場合は、「社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について」(平成17年2月22日付け健発0222002号・薬食発第0222001号・雇児発0222001号・社援発第0222002号・老発0222001号通知)に準じて、都道府県等に報告させること。併せて保健所に報告し、指示を求めるなどの措置を講じさせること。
② 長期滞在児がいる場合の報告(長期滞在児の報告)
当該施設に、24時間かつ週のうちおおむね5日程度以上入所している児童がいる場合は、当該児童の氏名、住所及び家庭の状況等を速やかに報告させること。
様式7参照
③ 届出事項に変更が生じた場合の報告
届出対象施設については、設置後届け出た事項のうち、省令で定める事項に変更を生じた場合は、変更後1か月以内に報告させること。(法第59条の2第2項参照)
様式8参照
④ 事業を廃止し、又は休止した場合の報告
届出対象施設については、当該施設を廃止し、又は、休止した場合は、廃止又は休止の日から1か月以内に報告させること。(法第59条の2第2項参照)
様式9参照
(留意事項11)運営状況報告を徴収することの意義
届出対象施設については、法第59条の2の5第1項において、都道府県に対し定期報告を行うことを義務づけられているが、届出対象施設以外の施設についても法第59条により、必要と認める事項の報告を求めることができるものであり、認可外保育施設の指導監督を行うにあたって、施設の状況を把握しておくことが必要であることから運営状況報告を徴収するものである。
(留意事項12)長期滞在児がいるとの報告を受けた場合等の取扱い
認可外保育施設に24時間かつ週のうちおおむね5日程度以上入所している児童がいるとの報告を受けた場合、報告がなくともその事実が判明した場合若しくはその疑いが強い場合又は当該認可外保育施設に対して事業停止命令若しくは施設閉鎖命令を行う場合等においては、必要に応じて、児童相談所、福祉事務所、児童家庭支援センター、児童委員等の協力を求め、児童及びその家庭の状況等について必要な調査を行い、必要な福祉の措置を講ずること。この場合、他施設への入所措置等について保護者の理解が得られない場合等であっても、継続的に必要な助言又は指導を行っていくこと。
なお、関連施策は、以下のとおりであること。
・里親委託、乳児院、児童養護施設等への入所措置(法第27条)
・母子生活支援施設等での母子保護の実施(法第23条)
・保育所(夜間保育所、長時間延長保育実施保育所等)での保育の実施(法第24条)又は認定こども園における教育・保育の提供
・ベビーホテル問題に対応するための乳児院の活用(平成13年3月29日雇児発第178号雇用均等・児童家庭局長通知)
・子育て短期支援事業の活用(法第6条の3第3項)
(留意事項13)届出事項のうち、変更が生じた場合に報告をしなければならない事項(施行規則第49条の4)
・施設の名称及び所在地(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、主たる事業所の名称及び所在地)
・設置者の氏名及び住所又は名称及び所在地
・建物その他の設備の規模及び構造
・施設の管理者の氏名及び住所
・施設の設置者について、過去に事業停止命令又は施設閉鎖命令を受けたか否かの別(受けたことがある場合には、その命令の内容を含む。)
(留意事項14)定期報告事項(施行規則第49条の7)
① 報告が必要な事項
ア 法第59条の2第1項に規定する全ての施設の設置者において報告が必要な事項
・施設の名称及び所在地(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の設置者については、主たる事業所の名称及び所在地)
・設置者の氏名及び住所又は名称及び所在地
・建物その他の設備の規模及び構造
・施設の管理者の氏名及び住所
・開所している時間
・提供するサービスの内容及び当該サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
・報告年月日の前日において保育している乳幼児の人数
・利用定員
・報告年月日の前日において保育に従事している保育士その他の職員の配置数及び勤務の体制
・保育士その他の職員の配置数及び勤務の体制の予定
・保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故及び保険金額
・提携している医療機関の名称、所在地及び提携内容
・その他施設の管理及び運営に関する事項
・施設の設置者について、過去に事業停止命令又は施設閉鎖命令を受けたか否かの別(受けたことがある場合には、その命令の内容を含む。)
イ 法第6条の3第9項に規定する業務を目的とする施設、同条第12項に規定する業務を目的とする施設(1日に保育する乳幼児の数が5人以下のものに限る。)及び法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の設置者において報告が必要な事項
・設置者及び職員に対する研修の受講状況
ウ 子どもの預かりサービスのマッチングサイトを利用する設置者において届出が必要な事項
・子どもの預かりサービスのマッチングサイトのURL
(施行規則第49条の7第14号参照)
② 研修の受講
法第6条の3第9項に規定する業務を目的とする施設、同条第12項に規定する業務を目的とする施設(1日に保育する乳幼児の数が5人以下のものに限る。)及び法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の保育に従事する者(保育士又は看護師(准看護師を含む。以下同じ。)を除く。)については、研修受講が義務となっている。当該研修の内容等については、「「認可外保育施設指導監督基準」に定める認可外の居宅訪問型保育事業等における保育に従事する者に関する研修について」(令和3年3月31日付け子発0331第5号厚生労働省子ども家庭局長通知)を参照すること。
(2) 運営状況報告がない場合の取扱い
(1)による報告がない場合については、文書により期限を付して求めること。
(3) 特別の報告徴収の対象
当初の届出事項からの変更が認められる場合、運営状況報告の内容に疑義がある場合、臨時の報告又は長期滞在児の報告はないがその事実が判明又は強く疑われる場合、利用者から苦情や相談又は事故に関する情報等が行政庁に寄せられている場合等で、児童の処遇上の観点から施設に問題があると考えられる場合には、随時、特別に報告を求めること。
なお、この際には、必要に応じて3(1)②の特別立入調査の実施を考慮すること。
3 立入調査
(1) 立入調査の対象
① 通常の立入調査の対象
届出対象施設については、年1回以上行うことを原則とすること。
また、法第6条の3第9項に規定する業務を目的とする施設又は同条第12項に規定する業務を目的とする施設(1日に保育する乳幼児の数が5人以下のものに限る。)に対する立入調査についても、年1回以上行うことを原則とする。これが困難である都道府県等においては、立入調査に代えて、当該施設の長又は保育従事者を一定の場所に集めて講習等の方法により集団指導を年1回以上行うこともやむを得ないこと。ただし、苦情等の内容が深刻であるとき若しくはその件数が多いとき又は研修を長期間受講していない保育従事者が多いときなど、都道府県等が必要と判断する場合には、当該施設に立入調査を行うこと。
法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、立入調査に代えて、施設の設置者若しくは管理者(以下「事業所長」という。)又は保育従事者を一定の場所に集めて講習等の方法により集団指導を年1回以上行うこと。ただし、苦情等の内容が深刻であるとき若しくはその件数が多いとき又は研修を長期間受講していない保育従事者が多いときなど、都道府県等が必要と判断する場合には、立入調査を行うこと。
これらの施設について、定期的な立入調査の実施が難しい場合は、巡回支援指導員等が訪問する、又は市区町村の協力を得て当該施設に訪問するなどして状況を確認すること。
また、届出対象外施設についても、できる限り立入調査を行うよう努力すること。
(留意事項15)認可外保育施設が多数設置されている地域等における取扱い
認可外保育施設が多数存在し、届出対象施設に対して年1回以上の立入調査を当面行うことができない都道府県等にあっては、例えば、前回の立入調査の結果や、立入調査の際必要な項目についてあらかじめ自主点検表を提出させその内容等を考慮するなどして、対象施設を絞って重点的に指導監督を行うこともやむを得ないこと。
また、立入調査を行う場合であっても、前年の立入調査において、適正な運営がされており指導監督基準を満たしていた施設については、次年度において、一部の項目は書面等による確認のみ行うなど、項目を絞って実施することもやむを得ないこと。さらに、相当の長期間経営されている認可外保育施設であって児童の処遇をはじめその運営が優良であるものについては、運営状況報告の徴収は毎年度としつつ立入調査は隔年とする等の取扱いも不適当ではないこと。しかしながら、これらの場合にあっても、ベビーホテルについては、必ず、年1回以上の立入調査を行うこと。
(留意事項16)ベビーホテルとは、認可外保育施設のうち、次のいずれかを常時運営しているものをいうものであること(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設を除く。)。ただし、ウの「一時預かり」については、都道府県等が確認できた日における利用児童のうち一時預かりの児童が半数以上を占めている場合をいうものであること。
ア 夜8時以降の保育
イ 宿泊を伴う保育
ウ 一時預かり
② 特別立入調査の対象
死亡事故等の重大な事故が発生した場合、児童の生命・心身・財産に重大な被害が生じるおそれが認められる場合(こうしたおそれにつき通報・苦情・相談等により把握した場合や重大事故が発生する可能性が高いと判断した場合等も含む。以下同じ。)又は利用者から苦情や相談が寄せられている場合等であって、児童の処遇上の観点から施設に問題があると認められるときには、届出対象施設であるか否かにかかわらず、随時、特別に立入調査を実施すること。
③ 事務所への立入調査
認可外保育施設への立入調査だけでは、運営状況等が十分に把握できない場合は、当該施設の設置者等の事務所に対して立入調査を実施し、必要な報告徴収をすること。(法第59条第1項参照)
(留意事項17)事務所に対する立入調査の意義
立入調査については、認可外保育施設への立ち入り及び設置者、施設長(法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設については、事業所長とする。以下同じ。)や保育従事者への聴取を基本とするが、施設側に施設の運営状況等を把握するうえで必要な報告や書類の提出を求めてもこれらがなされない場合や設置者等が質問に対して明確な応答ができない場合においては事務所への立入調査や報告徴収を検討すること。
また、立入調査については、施設の運営状況等を把握する他、死亡事故等の重大事故を防止するためにも重要であるという視点から実施すること。
(参照条文)法第61条の5及び第62条
第61条の5 正当の理由がないのに、第29条の規定による児童委員若しくは児童の福祉に関する事務に従事する職員の職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは児童に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者は、50万円以下の罰金に処する。
第62条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一~六 (略)
七 正当の理由がないのに、第59条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
(2) 立入調査の手順
① 実施計画の策定
立入調査の実施計画は、届出対象施設であるか否かにかかわらず、問題を有すると考えられる施設について重点的に指導ができるように配慮して策定すること。また、策定に当たっては、必要に応じて、消防部局、衛生部局等と施設リストや既実施の立入調査結果の情報交換を行う等の連携を図ることが望ましいこと。
(留意事項18)行政情報の提供について
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」第8条第2項においては、他の部局や他の行政機関に対し、業務の遂行に必要な限度において、保有個人情報を利用目的以外の目的のために利用し又は提供することが認められており、この趣旨を踏まえれば、法人情報についても所掌事務の遂行に必要な限度で、他の部局や他の行政機関との間で、認可外保育施設に関する行政情報を交換することは差し支えないと考えられること。
(留意事項19)以下のいずれかに該当する施設は、「問題を有すると考えられる施設」に該当すると考えられること。
・著しく保育従事者数が少ないもの、又は著しく有資格者数が少ないもの
・著しく施設が狭隘なもの
・連続して改善指導を行っているにもかかわらず改善されないもの
・著しく低料金又は利用者から苦情や相談が寄せられており不適切な処遇が窺われるもの
・管理者や保育従事者が都道府県等が開催する研修会等へ参加していないもの
・通常の報告の徴収の指示に対して回答がないもの又は報告内容が空疎なもの
・事実発生に関わらず、臨時の報告又は長期滞在児の報告を怠っているもの
・設置後の届出義務、設置者の氏名等の掲示義務、利用者に対する書面等交付義務等法令に定める義務の履行を怠っているもの
② 立入調査の指導監督班の編成等
立入調査の指導監督班は、関係法令等に係る十分な知識と経験を有する者2名以上で編成すること。ただし、やむを得ない場合は、知識と経験を有する者を含む2名以上で編成すること。
また、児童の処遇面で問題を有すると考えられる場合は、保育士、児童福祉司、心理判定員、児童指導員、保健師、看護師、医師等の専門的知識を有する者を加えること。
立入調査により指導監督を行う職員は、身分を証明する証票を携帯すること。また、この証票は、緊急の立入調査等に備え、あらかじめ交付しておくこと。(法第59条第1項参照)
③ 市区町村との連携
立入調査に当たっては、保育の実施主体である市区町村に対し立会いを求める等必要な連携を図ること。(法第59条の2の6参照)
なお、市区町村は、幼児教育・保育の無償化の対象施設・事業である特定子ども・子育て支援施設等(子ども・子育て支援法第30条の11第1項)に対して、「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準(平成26年内閣府令第39号)」の第53条から第61条の規定を遵守させるため、「特定子ども・子育て支援施設等指導指針」及び「特定子ども・子育て支援施設等監査指針」(令和元年11月27日付け府子本第689号、元文科初第1118号、子発1126第2号「特定子ども・子育て支援施設等の指導監査について」別添1及び2)に基づき、子ども・子育て支援法第30条の3において準用する第14条第1項に定める指導と、子ども・子育て支援法第58条の8第1項に定める監査を行うことが求められている。
そのため、立入調査に当たっては、事前に市区町村の指導内容を把握するとともに、監査が実施された場合には、指摘事項や改善状況を確認し、効果的・効率的な調査を実施するよう努められたい。
(留意事項20)市区町村との連携の例
・市区町村の調査等と連携し、一体的に調査を実施すること。
・立入調査時に必要に応じ、市区町村の保育士、保健師等の同行を求めること。
・問題のある施設の継続的な状況の把握及びその指導への協力を求めること。
④ 関係部局との連携
防災上、衛生上の問題等があると考えられる施設については、消防部局、衛生部局等と連携して指導を行うこと。
⑤ 新規把握施設への対応
年度途中に新規に把握された施設については、実施計画に基づく調査とは別に、速やかに立入調査を行うよう努めること。
(留意事項21)速やかな立入調査ができない場合の処理
新規に把握された施設に優先して立入調査を行うべき施設が多数存在している場合など、速やかな立入調査を行うことができない場合であっても、立入調査に先立つ施設の訪問等を通じて、設置者又は管理者に対して、関係法令等の理解を促す等の措置を速やかに執ること。
⑥ 事前通告
立入調査に当たっては、当該施設における帳票等の準備のために、設置者又は管理者に対し、期日を事前通告することを通例とする。ただし、当該施設において死亡事故等の重大事故が発生した場合又は児童の生命・心身・財産に重大な被害が生じるおそれが認められる場合等は、実施する特別立入調査の目的に照らして、必要に応じて、事前通告せずに特別立入調査を実施することが適切であることに留意すること。
(留意事項22)問題を有すると考えられる施設に対する取扱い
留意事項19に掲げる「問題を有すると考えられる施設」については、通常の立入調査を実施する場合であっても、事前通告せずに実施することや、事前通告期間を短くするなどの工夫が必要であること。
⑦ 保育従事者及び保護者からの聴取等
立入調査における調査、質問等は、設置者又は管理者に対して行うことを通例とするが、必要に応じて、保育従事者からも事情を聴取すること。施設内での虐待や虚偽報告が疑われる場合等は、利用児童の保護者等から事情を聴取すること。また、施設内での虐待が疑われる場合は、利用児童の様子を確認すること。
⑧ 口頭の助言、指導等
改善指導は文書で行うことを原則としているが、これに先立ち立入調査の際においても、必要と認められる助言、指導等を口頭により行うこと。
⑨ 指導監督結果の検討
立入調査により行った指導監督の結果については、指導監督担当職員の所見や現地における状況等に基づき、施設の問題点を明らかにした上で、これに対する措置を具体的に決定し、速やかに問題点の解消に努めるよう必要な措置を講じること。具体的には、第3から第5までに規定するところによること。
また、死亡事故等の重大事故が発生した場合に行う検証において、事故の発生前までに実施した指導監督及び事故に関連して行った指導監督の結果並びに措置状況等について、事故後に行う検証において活用すること。検証が行われた場合、今後の管内の施設に対する指導監督については、検証結果を反映して実施すること。
第3 問題を有すると認められる場合の指導監督
1 通則
立入調査の結果、指導監督基準等に照らして改善を求める必要があると認められる場合は、改善指導、改善勧告、公表、事業停止命令又は施設閉鎖命令の措置を通じて改善を図ること。
(留意事項23)指導監督にあたっては、市区町村や消防部局、衛生部局等の関係部局との連携を図ること。特に、改善指導等の措置に当たっては、子ども・子育て支援法第30条の3において準用する同法第14条第1項及び同法第58条の8第1項に基づき、市区町村が実施した特定子ども・子育て支援施設等への指導及び監査における指導内容若しくは指摘事項又は改善状況等を情報共有した上で、効果的に実施すること。また、施設内で犯罪があると思料する場合は、警察と連携を図ること。
(留意事項24)立入調査の際には、以下の重点調査事項の例を参考に、改善指導、改善勧告等の実施について検討し、必要な措置を講じること。特に、緊急時の対応については、留意事項29についても留意すること。
【重点調査事項の例】
・保育士等の職員配置の状況(夜間の複数配置等)
・事故防止の取組(乳幼児突然死症候群に対する注意(乳児の仰向け寝等)等)
・適切な食事、衛生管理の徹底
・人権配慮、虐待防止
・その他、各都道府県等が定める重点調査事項
2 改善指導
(1) 改善指導の対象
立入調査の結果、指導監督基準に照らして、改善を求める必要があると認められる認可外保育施設については、文書により改善指導を行うこと。
(2) 改善指導の手順
① 改善指導の内容
立入調査実施後おおむね1か月以内に、改善されなければ法第59条第3項に基づく改善勧告及び同法第59条第4項に基づく公表等の対象となり得ることを示した上で、改善すべき事項を文書により通知すること。
この場合、おおむね1か月以内の回答期限を付して、文書により報告を求めること。また、改善に時間を要する事項については、おおむね1か月以内に改善計画の提出を求めること。
様式10参照
② 改善指導結果の確認
改善指導に係る回答又は提出があった場合は、その改善状況を確認するため、必要に応じ、設置者又は管理者に対する出頭要請や施設又は事務所に対する特別立入調査を行うこと。回答期限又は提出期限が経過しても報告又は提出がない場合についても、同様であること。
3 改善勧告
(1) 改善勧告の対象
改善指導を繰り返し行っているにもかかわらず改善されず、改善の見通しがない場合には、留意事項24の重点調査事項の例を踏まえつつ、改善指導に止めずに、法第59条第3項に基づく改善勧告を行うこと。
(2) 改善勧告の手順
① 改善勧告の内容
文書による改善指導における報告期限後(改善指導を経ずに改善勧告を行う場合にあっては立入調査実施後)おおむね1か月以内に、改善されなければ、公表、事業停止命令又は施設閉鎖命令の対象となり得ることを明示した上、改善勧告を文書により通知すること。
この場合、おおむね1か月以内の回答期限を付して文書で報告を求めること。なお、建物の構造等から速やかな改善が不可能と認められる場合は、移転に要する期間を考慮して適切な期限(この期限は、3年以内とすること)を付して移転を勧告すること。
様式11参照
② 関係機関との調整
改善勧告を行う場合は、必要に応じて、事前に又は事後速やかに、児童相談所、近隣市区町村、近隣児童福祉施設等の関係機関との間で、当該施設が運営を停止した場合に備えた利用児童の受入れ先の確保等について調整を図ること。
③ 確認
改善勧告を受けた設置者又は管理者から、当該改善勧告に対する報告があった場合は、その改善状況等を確認するため、速やかに特別立入調査を行うこと。回答期限が経過しても報告がない場合についても、同様であること。
また、必要に応じて改善勧告に対する回答の期限内においても、当該施設の状況の確認に努めること。
(3) 利用者に対する周知及び公表
① 利用者に対する周知
改善勧告にもかかわらず改善が行われていない場合には、当該施設の利用者に対し、改善勧告の内容及び改善が行われていない状況について個別通知等により周知し、当該施設の利用を控える等の勧奨を行うとともに、利用児童に対する福祉の措置等を講ずる必要があること。
② 公表
改善勧告にもかかわらず改善が行われていない場合には、改善勧告の内容及び改善が行われていない状況について報道機関等を通じて公表すること。また、地元市区町村に対し、その内容を通知するとともに、公表するよう要請すること。(法第59条第4項及び第8項参照)
第4 事業停止命令又は施設閉鎖命令
(1) 事業停止命令又は施設閉鎖命令の対象
以下のいずれかに該当する場合は、弁明の機会を付与し、児童福祉審議会の意見を聴き、事業停止又は施設閉鎖を命ずること。(法第59条第5項参照)
① 改善勧告にもかかわらず改善が行われていない場合であって、かつ、改善の見通しがなく児童福祉に著しく有害であると認められるとき
② 改善指導、改善勧告を行う時間的余裕がなく、かつ、これを放置することが児童福祉に著しく有害であると認められるとき
③ 乳幼児の生命身体に著しい影響を与えるなど、社会通念上著しく悪質であるとき
(留意事項25)「事業停止命令」及び「施設閉鎖命令」の意義
・「事業停止命令」は、期限を付して又は条件を付して当該認可外保育施設を運営する事業の停止を命ずる行政処分をいうこと。
・「施設閉鎖命令」は、施設の閉鎖を命じることにより、将来にわたり当該認可外保育施設を運営する事業を禁止する行政処分をいうこと。
(留意事項26)施設内(保育を必要とする者の居宅で保育を行う場合を含む。)で犯罪があると思料する場合は、警察と連携を図ること。この場合にあっても、利用者や地域住民を保護するための周知及び公表等は、引き続き行うこと。
(留意事項27)特に、法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設(複数の保育に従事する者を雇用していないものに限る。)が、わいせつ行為や暴行等の乳幼児の生命身体に著しい影響を与える行為等を犯し、当該事実が裁判等によって確定した場合は、「乳幼児の生命身体に著しい影響を与えるなど、社会通念上著しく悪質であるとき」に該当するものとして、原則として当該施設に対し事業停止命令を行うこと。
この場合の事業停止命令の期間については、保育士の欠格事由に関する規定を踏まえ、「刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年までの期間」と設定することが合理的であること。
(2) 事業停止命令又は施設閉鎖命令の手順
① 関係機関との調整
事業停止命令又は施設閉鎖命令を行おうとする場合は、必要に応じて、事前に又は事後速やかに、児童相談所、近隣市区町村、近隣児童福祉施設等の関係機関との間で、当該施設が運営を停止した場合に備えた利用児童の受入れ先の確保等について調整を図ること。
② 弁明の機会の付与
事業停止命令又は施設閉鎖命令を行おうとする場合は、事前に弁明の機会を付与すること。
様式12参照
(留意事項28)弁明の機会の付与は、行政手続法第29条から第31条までに定めるところにより、当該施設の設置者又は管理者に対し、次の事項を書面によって通知して行うこと。
・予定される命令の内容
・命令の原因となる事実
・弁明書の提出先及び提出期限
③ 児童福祉審議会からの意見聴取
弁明書の提出を受けた後又は提出期限を経過した後、速やかに、児童福祉審議会の意見を聴くこと。
④ 事業停止命令又は施設閉鎖命令の発令
児童福祉審議会の意見を聴き速やかに判断した上で、文書により事業停止又は施設閉鎖を命ずること。通常は事業停止命令を先ず検討すべきであるが、改善が期待されずに当該施設の運営の継続が児童の福祉を著しく害する蓋然性がある場合は、施設閉鎖命令を発することとすること。
様式13参照
(参照条文)法第61条の4
第46条第4項又は第59条第5項の規定による事業の停止又は施設の閉鎖の命令に違反した者は、6月以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
(3) 自治体間の情報提供及び公表
都道府県知事は、事業停止命令又は施設閉鎖命令をするために必要があると認めるときは、他の都道府県知事に対し、施設の設置者に関する情報その他の参考となるべき情報の提供を求めることができること。この場合、提供を求めることができる情報の範囲は、名称、所在地、設置者及び管理者名、処分の内容等(処分を行った自治体、処分の種類、処分年月日をいう。以下同じ。)の基本的な情報に加え、処分の要件に該当すると判断するに至った事実に係る情報とすること。
この場合、処分の要件に該当すると判断するに至った事実に係る情報とは次のとおりとすること。ただし、次に掲げる情報に当たる場合であっても、被害児童の氏名・住所などの被害児童を本人とする個人情報その他の提供することにより被害児童の権利利益を不当に侵害するおそれのある個人情報は、被害児童のプライバシー保護の観点から提供してはならないものとすること。
・指導監督基準の該当箇所、当該基準に対する違反の内容、その事実認定のために必要最小限な証拠書類に係る情報
・わいせつ行為や暴行等の「乳幼児の生命身体に著しい影響を与えるなど、社会通念上著しく悪質であるとき」に該当するものについては、その行為の内容(例:利用児童に対するわいせつ行為があった)に係る情報のうち、児童の生命及び心身の安全確保の目的に照らして必要最小限度の情報
この情報提供の求めを効率的に行うことができるよう、第7の2の厚生労働省への報告については遺漏なく行うこと。なお、当該報告を受けて、厚生労働省が情報(名称、所在地、設置者及び管理者名、処分の内容等に限る。)を集約し、各都道府県が閲覧できることとするので活用されたいこと。(法第59条第7項参照)
事業停止命令又は施設閉鎖命令を行った場合は、その名称、所在地、設置者及び管理者名、処分の内容等について報道機関等を通じて公表すること。また、都道府県が公表する情報は、利用者の施設選択に当たっても重要な情報であることから、地元市区町村に対し通知するとともに、可能な限りその内容を公表するよう要請すること。(法第59条第8項及び第9項参照)
(留意事項29)上記のとおり事業停止命令又は施設閉鎖命令に係る情報は厚生労働省において集約し各都道府県が閲覧できることとしているが、当該情報は各都道府県において公表済みの情報である一方で、事業者の個人情報を含むものであることから、業務上の必要がある者が業務上必要な場合に限り閲覧すること。業務上必要な場合とは、例えば、具体的に事業停止命令や施設閉鎖命令の発出を検討しており、法第59条第7項の規定に基づき他の都道府県に情報の提供を求めるために必要な場合や、新たに届出を受けた事業者について適切な指導監督を行うために必要な場合等が考えられるが、これらに該当する場合であっても、これらの業務に必要な範囲でのみ閲覧すること。
第5 緊急時の対応
(1) 緊急時の手順
児童の福祉を確保すべき緊急の必要があるときは、第3及び第4までの手順によらず、文書による改善指導を経ずに改善勧告を行う、改善指導・改善勧告を経ずに事業停止命令若しくは施設閉鎖命令の措置を行うなど、児童の安全の確保を第一に考え、迅速な対応を行うこと。
(2) 緊急時の改善勧告
児童の福祉を確保するため、次の場合は、改善指導を経ることなく、改善勧告を行うこと。
① 著しく不適正な保育内容や保育環境である場合
② 著しく利用児童の安全性に問題がある場合
③ その他児童の福祉のため特に必要があると認められる場合
(留意事項30)上記の①から③までの具体的事例については、以下のとおり指導監督基準に定める事項に関する実施状況等を想定しているが、これらはあらかじめ児童福祉審議会の意見を聴いて設定し、公表しておくことが望ましい。
・「第1 保育に従事する者の数及び資格」及び「第2 保育室等の構造、設備及び面積」に関して、いずれも著しく下回るもの
・「第1 保育に従事する者の数及び資格」の「1 1日に保育する乳幼児の数が6人以上の施設」の「(2)保育に従事する者のおおむね三分の一(保育に従事する者が2人の施設及び(1)における1人が配置されている時間帯にあっては、1人)以上は、保育士又は看護師の資格を有する者であること。」に関して、有資格者が1人もいないもの
・「第4 保育室を2階以上に設ける場合の条件」中「(2)保育室を3階に設ける建物は、以下のアからキまでのいずれも満たすこと」又は「(3)保育室を4階以上に設ける建物は、以下のアからキまでのいずれも満たすこと。」に関して、イに規定する施設又は設備を有しておらず、かつ、消防法施行令第7条に規定する滑り台、救助袋、緩降機又は避難橋が設置されていないもの
・認可外保育施設の管理責任が明確に否定し得ない重大な事故等が発生しており、かつ、当該事故等に対応した適切な改善策が講じられていないもの
(3) 緊急時の事業停止命令又は施設閉鎖命令
児童の生命又は身体の安全を確保するために緊急を要する場合で、あらかじめ都道府県児童福祉審議会の意見を聴くいとまがないときは、当該手続きを経ないで、事業停止又は施設閉鎖を命じることができるものであること。
この場合、弁明の機会の付与は事後的に行う必要はなく、また、児童福祉審議会に対しては事後速やかに報告すれば足りること。(法第59条第6項参照)
(留意事項31)行政手続法第13条において、公益上、緊急に不利益処分をする必要があるときは、弁明の機会の付与を行うことなく不利益処分をすることが可能とされており、また、事後に弁明の機会の付与を行うことは必要とされていないこと。
(留意事項32)施設の施設長や設置者が利用児童に暴行やわいせつな行為等の虐待を加え、危害を及ぼしていることが明白である場合などは、児童の生命又は安全を確保するために緊急を要する場合に該当すると想定されること。
第6 情報提供
1 市区町村等に対する情報提供
市区町村及び消防部局や衛生部局等との連携により指導監督に当たる必要があるため、法令に定める市区町村への通知事項以外にも、報告徴収及び立入調査等の状況や改善指導を行った後の当該施設の状況等については、適宜、市区町村等に情報の提供を行うこと。
あわせて、利用者からの相談を受けた市区町村、消費生活センター等と都道府県等との間で情報共有を図ること。
(留意事項33)法令に定める市区町村への通知事項
・改善勧告又は事業停止命令若しくは施設閉鎖命令をした場合、その旨の通知(法第59条第8項)
・届出があった場合、当該届出に係る事項の通知(法第59条の2第3項)
・認可外保育施設からの運営状況の報告事項のうち、児童の福祉のため必要と認められる事項の通知(法第59条の2の5第2項)
2 一般への情報提供
地域住民に対して、認可外保育施設を担当する窓口や利用者が相談できる窓口(市町村の利用者支援事業の担当窓口、消費生活センター等)について周知するとともに、認可外保育施設の状況についての情報を提供すること。管内市区町村に対しても、同様に地域住民への情報提供を求めること。
(留意事項34)情報提供に当たっては、以下のことに注意すること。
① 情報提供の対象施設
情報提供の対象となる施設は、原則、届出対象施設とするが、立入調査等による状況把握ができている場合など届出対象外の施設についても情報提供に努めること。
なお、法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の情報提供を行うに当たっては、個人情報に配慮するとともに、届出の際に公表する旨や公表項目等について、当該施設に対して事前に伝えておくことが望ましい。
② 情報提供の項目及び方法
インターネットへの掲載や認可外保育施設を担当する窓口での閲覧等により公表事項(施設の名称、所在地、設置者名及び住所、管理者名及び住所、設備の規模・構造、事業開始年月日、開所時間、サービス内容、入所定員、保育従事者数(うち保育士数)、指導監督における指摘事項等)を、同一の項目で同一の形態により提供すること。また、これらの項目の評価方法等を併せて情報提供するよう努めること。なお、施設からの報告をそのまま情報提供するのではなく、立入調査等による事実確認を行った上での情報提供を原則とすること。やむを得ず報告徴収又は立入調査時に無回答又は把握できなかった事項を情報提供する場合は、その旨を記載すること。
また、認可外保育施設が所在する市区町村に対して、地域住民に窓口等で当該認可外保育施設に係る情報提供についての協力を求めることも有効である。
③ 情報の更新
随時に情報を更新する又は立入調査終了時に情報を更新する等、情報の更新方法をあらかじめ明らかにした上で、これを更新すること。
④ 参考情報
指導監督基準、児童福祉施設設備運営基準、家庭的保育事業等設備運営基準等、認可外保育施設に係る情報の提供を行うに当たって参考となる関連情報を併せて提供するとともに、認可外保育施設を選ぶ際の視点などを示すことが望ましいこと。
(参照条文)法第59条の2の5第2項
都道府県知事は、毎年、前項の報告に係る施設の運営の状況その他第59条の2第1項に規定する施設に関し児童の福祉のため必要と認める事項を取りまとめ、これを各施設の所在地の市町村長に通知するとともに、公表するものとする。
第7 雑則
1 記録の整備
都道府県等は、認可外保育施設ごとに、届け出された事項、運営状況、指導監督の内容等の必要な記録を整備すること。
2 厚生労働省への報告
第3の3、第4、第5の(2)又は第5の(3)の措置を講じた場合は、厚生労働省に報告されたいこと。
(別添)認可外保育施設指導監督基準
様式 略