添付一覧
○指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について
(平成15年12月9日)
(雇児発第1209001号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)
保育士養成については、かねてより御配慮をいただいているところであるが、今般、児童福祉法の一部を改正する法律(平成13年法律第135号)等によって整備された保育士関係規定が施行されたことに伴い、別紙1から3のとおり保育士養成施設の指定及び運営の基準を定めているところ。今般、平成25年8月8日の一部改正により、指定保育士養成施設において幼稚園教諭免許状を有する者の保育士資格特例を実施するため別紙4を定めたため、その適正な実施に特段の御配慮をお願いするとともに、管内の指定保育士養成施設の所長宛に通知されたい。
また、「指定保育士養成施設の指定基準について」(平成13年6月29日雇児発第438号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)及び「指定保育士養成施設における保育実習の実施基準について」(平成13年6月29日雇児発第439号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)は、廃止する。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的助言として発出するものであることを申し添える。
(別紙1)
指定保育士養成施設指定基準
第1 性格
指定保育士養成施設は、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行う専門的職業としての保育士を養成することを目的とする。
指定保育士養成施設は、保育に関する専門的知識及び技術を習得させるとともに、専門的知識及び技術を支える豊かな人格識見を養うために必要な幅広く深い教養を授ける高等専門職業教育機関としての性格を有する。
以上の目的及び性格に鑑み、その組織及び施設については、特にその機能が十分発揮できるように充実されなければならない。
第2 指定基準
1 共通事項
指定保育士養成施設の指定は、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号。以下「規則」という。)第6条の2の規定に定める他、下記2から7に適合した場合に行うものであること。
授業等の開設方法は、昼間、昼夜開講制(短期大学設置基準(昭和50年文部省令第21号)第12条に規定する昼夜開講制をいう。以下同じ。)、夜間、昼間定時制又は通信制により実施するものであること。
なお、通信制による指定保育士養成施設(以下「通信教育部」とする)は、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学、短期大学又は専修学校の専門課程であって、既に指定保育士養成施設として指定されていることを条件として指定する。
おって、昼間、昼夜開講制、夜間、昼間定時制を総称する場合には昼間部等とする。
2 修業年限
修業年限は、昼間部又は昼夜開講制をとる場合については2年以上とし、夜間部、昼間定時制部又は通信教育部については3年以上とすること。
3 学生定員
学生定員は、原則として100人以上とすること。
ただし、次のいずれにも該当する場合であって、当該指定保育士養成施設及び地域における保育士の養成に支障を生じさせるおそれがない場合については、学生定員を100人未満とすることができること。
(1) 当該指定保育士養成施設を含めた学校又は施設全体の経営が不安定なものでないこと。
(2) 当該指定保育士養成施設への入所希望者数に対して定員数が過度に少数でないこと。
(3) 地域における保育所等児童福祉施設の保育士の確保が困難とならないこと。
4 教職員組織及び教員の資格等
指定保育士養成施設は、所長、教科担当教員及び事務執行に必要な職員をもって組織すること。
(1) 所長
所長は、教育職又は社会福祉関係の職に従事した経験があり、所長としてふさわしい人格識見を有する者であること。
なお、所長が当該指定保育士養成施設の教科担当教員を兼ねることは差し支えないこと。
(2) 教科担当教員
ア 組織
(ア) 昼間部等
教科担当教員については、専任の教科担当教員(以下「教科担当専任教員」という。)を入学定員50人につき6人以上置き、その担当は、「児童福祉法施行規則第6条の2第1項第3号の指定保育士養成施設の修業教科目及び単位数並びに履修方法」(平成13年厚生労働省告示第198号。以下「告示」という。)別表第1の系列欄に掲げる6系列のうち「総合演習」を除く5系列については、それぞれ最低1人とすることが望ましいこと。
また、入学定員が50人増すごとに、教科担当専任教員を2人以上加えることが望ましいこと。
なお、併せて夜間部を置く指定保育士養成施設にあっては、教育に支障がない限度において、これらの数を減じることができること。
(イ) 通信教育部
通信教育部を置く場合は、昼間部等の教科担当専任教員の数に通信教育部に係る入学定員1,000人につき2人の教科担当専任教員を加えるものとする。
ただし、当該加える教科担当専任教員の数が上記(ア)の規程による昼間部等の教科担当専任教員の数の2割に満たない場合には、昼間部等の教科担当専任教員の数の2割の数を加えたものとする。
イ 資格
教科担当専任教員は、次のいずれかに該当する者であって、教育の能力があると認められた者であること。
(ア) 博士又は修士の学位を有し、研究上の業績のある者
(イ) 研究上の業績が(ア)に掲げる者に準ずると認められる者
(ウ) 教育上、学問上の業績ある教育経験者
(エ) 学術技能に秀でた者
(オ) 児童福祉事業に関し特に業績のある者
ウ 非常勤教員を置く場合には、教科担当専任教員に準ずる者又は専門科目に関する実務に深い経験を有する者であること。
5 教育課程
(1) 基本的事項
① 指定保育士養成施設は、教育課程の編成に当たっては、保育に関する専門的知識及び技術を習得させるとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮すること。
② 告示別表第1の教科目の欄に掲げる教科目(以下「必修科目」という。)は、必ず履修させなければならないこと。
また、「保育内容総論」及び「保育内容演習」については、保育所保育指針(平成20年3月28日厚生労働省告示第141号)における保育の内容を考慮して、保育所保育の特性である養護と教育が一体となった保育の内容が習得できるよう、科目の開設に配慮すること。
「保育の表現技術」については、身体表現、音楽表現、造形表現、言語表現等保育を行う上で必要な技術が総合的に習得できるよう、科目の開設に配慮すること。
なお、「保育内容演習」及び「保育の表現技術」については、設置すべき単位をまとめて1科目として開設する必要はなく、必要な単位数に分割して科目を開設しても差し支えないこと。
③ 告示別表第2の選択必修科目(以下「選択必修科目」という。)については、別表①に掲げる系列及び教科目の中から18単位以上を設け、9単位以上を必ず履修させなければならないこと。ただし、設置及び履修ともに、「保育実習Ⅱ」と「保育実習指導Ⅱ」又は「保育実習Ⅲ」と「保育実習指導Ⅲ」の3単位以上を含むこと。
なお、選択必修科目について、保育実習以外の系列の教科目及び単位数を各指定保育士養成施設で自主的に設定できるようにしたことの趣旨に鑑み、指定保育士養成施設毎に特色ある教科目及び単位数の編成を行うよう努めること。
④ 教養科目については、必修科目との関連に留意して科目を設定する等学生の学習意欲を高めるための創意、工夫に努めること。
⑤ 必修科目又は選択必修科目以外の科目を各指定保育士養成施設で設け、入所者に選択させて差し支えないこと。
⑥ 告示第1条各号及び第4条各号に定める教科目の名称については、各指定保育士養成施設において変更することもやむを得ないが、児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号。以下「令」という。)第5条第2項に規定する指定に関する申請書の提出に当たっては、当該科目の相当科目及びその教授内容の概要を添付させること。なお、令第5条第3項及び規則に規定する学則変更の承認に当たっても同様とする。
⑦ 告示に定める教科目のうち、2科目以上を合わせて1科目とすることは、併合された科目の関連性が深いと考えられる場合は差し支えないが、教養科目と、必修科目又は選択必修科目とを併合することは不適当であること。
⑧ 指定保育士養成施設は、教育上有益と認めるときは、学生が入所中に他の指定保育士養成施設において履修した教科目又は入所前に指定保育士養成施設で履修した教科目について修得した単位を、30単位を超えない範囲で当該教科目に相当する教科目の履修により修得したものとみなすことができること。
また、指定保育士養成施設以外の学校等(学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校の専攻科若しくは盲学校、聾学校若しくは養護学校の専攻科、専修学校の専門課程又は同法第56条第1項に規定する者を入学資格とする各種学校)で履修した教科目について修得した単位については、指定保育士養成施設で設定する教養科目に相当する教科目について、30単位を超えない範囲で修得したものとみなす。
⑨ 指定保育士養成施設は、その定めるところにより、当該指定保育士養成施設の学生以外の者に1又は複数の教科目を履修させ、単位を授与することができること。
(2) 通信教育部の教育課程
① 通信教育部における授業は、教材を送付又は指定し、主としてこれにより学習させる授業(以下「通信授業」という。)及び指定保育士養成施設の校舎等における講義・演習・実験・実習又は実技による授業(以下「面接授業」という。)並びに保育実習により行う。
② 指定保育士養成施設においては、通信授業、添削指導及び面接授業について全体として調和がとれ、発展的、系統的に指導できるよう、通信課程に係る具体的な教育計画を策定し、これに基づき、定期試験等を含め、年間を通じて適切に授業を行う。
③ 通信授業
ア 通信授業の実施に当たっては、添削指導を併せ行う。
イ 通信授業における印刷教材は、次によるものであること。
(ア) 正確、公正であって、かつ、配列、分量、区分及び図表が適切であること。
(イ) 統計その他の資料が、新しく、かつ、信頼性のある適切なものであること。
(ウ) 自学自習についての便宜が適切に与えられていること。
ウ 生徒からの質問は随時適切な方法で受け付け、十分に指導を行うこと。
④ 面接授業
面接授業の内容は、別表②の科目について行うものであること。
また、面接授業は、指定保育士養成施設の施設及び設備を使用することを原則とする。これ以外の場合には、地方厚生局長に対して、他の施設等で実施する理由、実施場所、担当教官数、その他必要と考えられる事項を届け出ること。
6 施設設備
(1) 校地は、教育環境として適切な場所に所在し、校舎、敷地のほかに学生が休息、運動等に利用するための適当な空地を有すること。
(2) 校舎、諸施設について
ア 校舎には少なくとも次に掲げる各室を設けること。
(ア) 教室(講義室、演習室、実験室、実習室等とする。)
(イ) 所長室、会議室、事務室、研究室
(ウ) 図書室、保健室
イ 教室は科目の種類及び学生数に応じ、必要な種類と数を備えること。
ウ 研究室は、専任教員に対しては、必ず備えること。
エ 図書室には、学生が図書を閲覧するために必要な閲覧席及び図書を格納するために必要な設備を設けること。
オ 保健室には、医務及び静養に必要な設備を設けること。
カ 指定保育士養成施設はアに掲げる施設のほか、学生自習室、クラブ室、更衣室を設けることが望ましいこと。
(3) 指定保育士養成施設には、教員数及び学生数に応じて、教育上、研究上必要な種類及び数の機械、器具及び標本その他の設備並びに図書及び学術雑誌を備えること。
(4) その他通信教育に係る校地の面積、諸設備等については、通信教育に支障のないものとする。
7 その他
(1) 昼夜開講制について
ア 指定保育士養成施設は、保育士の養成上必要と認められる場合には、昼夜開講制により授業を行うことができること。
イ 昼夜開講制を設ける場合には、昼間部の中に募集定員を別にする「夜間主コース」を設けること。この場合においては、学則で昼間コースと夜間主コースごとに学生定員を定めること。
ウ 昼夜開講制を実施する場合には、これに係る学生定員、履修方法、授業の開設状況等を考慮して、教育に支障がない限度において4―(2)―ア―(ア)に定める教員数を減ずることができるものとすること。
(2) 通信教育部に係る規定については、施行日以前に指定を受けている指定保育士養成施設にあっては平成19年4月1日から適用する。
(別表①)
系列 |
教科目 |
授業形態 |
単位数 |
保育の本質・目的に関する科目 |
指定保育士養成施設において設定。 |
||
保育の対象の理解に関する科目 |
|||
保育の内容・方法に関する科目 |
|||
保育の表現技術 |
|||
保育実習 |
保育実習Ⅱ又は保育実習Ⅲ |
実習 |
2 |
保育実習指導Ⅱ又は保育実習指導Ⅲ |
演習 |
1 |
(別表②)
指定保育士養成施設通信教育部における面接授業等実施基準
|
系列 |
教科目(授業形態) |
告示による単位数 |
うち面接授業の単位数 |
うち実習の単位数 |
教養科目 |
|
体育(実技) |
1単位 |
1単位 |
― |
必修科目 |
保育の本質・目的に関する科目 |
相談援助(演習) |
1単位 |
1単位 |
― |
保育の対象の理解に関する科目 |
保育の心理学Ⅱ(演習) |
1単位 |
1単位 |
― |
|
子どもの保健Ⅱ(演習) |
1単位 |
1単位 |
― |
||
子どもの食と栄養(演習) |
2単位 |
1単位以上 |
― |
||
保育の内容・方法に関する科目 |
保育内容総論(演習) |
1単位 |
3単位以上 |
― |
|
保育内容演習(演習) |
5単位 |
― |
|||
乳児保育(演習) |
2単位 |
1単位以上 |
― |
||
障害児保育(演習) |
2単位 |
1単位以上 |
― |
||
社会的養護内容(演習) |
1単位 |
1単位 |
― |
||
保育相談支援(演習) |
1単位 |
1単位 |
― |
||
保育の表現技術 |
保育の表現技術(演習) |
4単位 |
2単位以上 |
― |
|
保育実習Ⅰ |
保育実習Ⅰ(実習) |
4単位 |
― |
4単位 |
|
総合演習 |
保育実践演習(演習) |
2単位 |
1単位以上 |
― |
|
選択必修科目 |
保育実習 |
保育実習Ⅱ又はⅢ(実習) |
2単位以上 |
― |
2単位以上 |
単位数計 |
30単位以上 |
15単位以上 |
6単位以上 |
備考
1 通信教育部における面接授業の教科目及び単位数は、上記のとおりであること。
2 指定保育士養成施設は、上記に掲げる教科目以外の科目についても面接授業を行うことができる。
(別紙2)
保育実習実施基準
第1 保育実習の目的
保育実習は、その習得した教科全体の知識、技能を基礎とし、これらを総合的に実践する応用能力を養うため、児童に対する理解を通じて保育の理論と実践の関係について習熟させることを目的とする。
第2 履修の方法
1 保育実習は、次表の第3欄に掲げる施設につき、同表第2欄に掲げる履修方法により行うものとする。
実習種別 (第1欄) |
履修方法(第2欄) |
実習施設(第3欄) |
|
単位数 |
施設におけるおおむねの実習日数 |
||
保育実習Ⅰ (必修科目) |
4単位 |
20日 |
(A) |
保育実習Ⅱ (選択必修科目) |
2 |
10日 |
(B) |
保育実習Ⅲ (選択必修科目) |
2 |
10日 |
(C) |
備考1 第3欄に掲げる実習施設の種別は、次によるものであること。
(A)…保育所、幼保連携型認定こども園又は児童福祉法第6条の3第10項の小規模保育事業(ただし、「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第61号)第3章第2節に規定する小規模保育事業A型及び同基準同章第3節に規定する小規模保育B型に限る)若しくは同条第12項の事業所内保育事業であって同法第34条の15第1項の事業及び同法同条第2項の認可を受けたもの(以下「小規模保育A・B型及び事業所内保育事業」という。)及び乳児院、母子生活支援施設、障害児入所施設、児童発達支援センター(児童発達支援及び医療型児童発達支援を行うものに限る)、障害者支援施設、指定障害福祉サービス事業所(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行うものに限る)、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童相談所一時保護施設又は独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
(B)…保育所又は幼保連携型認定こども園或いは小規模保育A・B型及び事業所内保育事業
(C)…児童厚生施設又は児童発達支援センターその他社会福祉関係諸法令の規定に基づき設置されている施設であって保育実習を行う施設として適当と認められるもの(保育所及び幼保連携型認定こども園並びに小規模保育A・B型及び事業所内保育事業は除く。)
備考2 保育実習(必修科目)4単位の履修方法は、保育所又は幼保連携型認定こども園或いは小規模保育A・B型及び事業所内保育事業における実習2単位及び(A)に掲げる保育所又は幼保連携型認定こども園或いは小規模保育A・B型及び事業所内保育事業以外の施設における実習2単位とする。
備考3 児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の3第9項に規定する家庭的保育事業又は、「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第61号)第3章第4節に規定する小規模保育事業C型において、家庭的保育者又は補助者として、20日以上従事している又は過去に従事していたことのある場合にあっては、当該事業に従事している又は過去に従事していたことをもって、保育実習Ⅰ(必修科目)のうち保育所又は幼保連携型認定こども園或いは小規模保育A・B型及び事業所内保育事業における実習2単位、保育実習Ⅱ(選択必修科目)及び保育実習指導Ⅱ(選択必修科目)を履修したものとすることができる。
2 保育実習を行う児童福祉施設等及びその配当単位数は、指定保育士養成施設の所長が定めるものとする。
3 保育実習を行う時期は、原則として、修業年限が2年の指定保育士養成施設については第2学年の期間内とし、修業年限が3年以上の指定保育士養成施設については第3学年以降の期間内とする。
4 実習施設に1回に派遣する実習生の数は、その実習施設の規模、人的組織等の指導能力を考慮して定めるものとし、多人数にわたらないように特に留意するものとする。
5 指定保育士養成施設の所長は、毎学年度の始めに実習施設その他の関係者と協議を行い、その学年度の保育実習計画を策定するものとし、この計画には、全体の方針、実習の段階、内容、施設別の期間、時間数、学生の数、実習前後の学習に対する指導方法、実習の記録、評価の方法等が明らかにされなければならないものとする。
6 実習において知り得た個人の秘密の保持について、実習生が十分配慮するよう指導すること。
第3 実習施設の選定等
1 指定保育士養成施設の所長は、実習施設の選定に当たっては、実習の効果が指導者の能力に負うところが大きいことから、特に施設長、保育士、その他の職員の人的組織を通じて保育についての指導能力が充実している施設のうちから選定するように努めるものとする。
特に、保育所の選定に当たっては、乳児保育、障害児保育及び一時保育等の多様な保育サービスを実施しているところで総合的な実習を行うことが望ましいことから、この点に留意すること。
また、居住型の実習施設を希望する実習生に対しては、実習施設の選定に際して、配慮を行うこと。
2 指定保育士養成施設の所長は、児童福祉施設以外の施設を実習施設として選定する場合に当たっては、保育士が実習生の指導を行う施設を選定するものとする。なお、その施設の設備に比較的余裕があること、実習生の交通条件等についても配慮するものとする。
3 指定保育士養成施設の所長は、教員のうちから実習指導者を定め、実習に関する全般的な事項を担当させることとし、また、実習施設においては、その長及び保育士のうちから実習指導者を定めるものとする。これらの実習指導者は、保育実習の目的を達成するため、指定保育士養成施設の実習指導者が中心となって相互に緊密な連絡をとるように努めるものとする。
4 指定保育士養成施設の実習指導者は、実習期間中に少なくとも1回以上実習施設を訪問して学生を指導すること。なお、これにより難い場合は、それと同等の体制を確保すること。
5 指定保育士養成施設の実習指導者は、実習期間中に、学生に指導した内容をその都度、記録すること。また、実習施設の実習指導者に対しては、毎日、実習の記録の確認及び指導内容を記述するよう依頼する等、実習を効果的に進められるよう配慮すること。
(別紙3)
教科目の教授内容
1 目的
各教科目の教授内容の標準的事項を示した「教科目の教授内容」を別添1のとおり定めたので、指定保育士養成施設の教授担当者が教授に当たる際の参考とすること。
2 教科目
<必修科目>
【保育の本質・目的に関する科目】
○保育原理(講義2単位)
○教育原理(講義2単位)
○児童家庭福祉(講義2単位)
○社会福祉(講義2単位)
○相談援助(演習1単位)
○社会的養護(講義2単位)
○保育者論(講義2単位)
【保育の対象の理解に関する科目】
○保育の心理学Ⅰ(講義2単位)
○保育の心理学Ⅱ(演習1単位)
○子どもの保健Ⅰ(講義4単位)
○子どもの保健Ⅱ(演習1単位)
○子どもの食と栄養(演習2単位)
○家庭支援論(講義2単位)
【保育の内容・方法に関する科目】
○保育課程論(講義2単位)
○保育内容総論(演習1単位)
○保育内容演習(演習5単位)
○乳児保育(演習2単位)
○障害児保育(演習2単位)
○社会的養護内容(演習1単位)
○保育相談支援(演習1単位)
【保育の表現技術】
○保育の表現技術(演習4単位)
【保育実習】
○保育実習Ⅰ(実習4単位)
○保育実習指導Ⅰ(演習2単位)
【総合演習】
○保育実践演習(演習2単位)
<選択必修科目>
○保育の本質・目的に関する科目
○保育の対象の理解に関する科目
○保育の内容・方法に関する科目
○保育の表現技術
○保育実習Ⅱ(実習2単位)
○保育実習指導Ⅱ(演習1単位)
○保育実習Ⅲ(実習2単位)
○保育実習指導Ⅲ(演習1単位)
別添1
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 保育原理(講義・2単位) |
<目標> 1.保育の意義について理解する。 2.保育所保育指針における保育の基本について理解する。 3.保育の内容と方法の基本について理解する。 4.保育の思想と歴史的変遷について理解する。 5.保育の現状と課題について考察する。 |
<内容> 1.保育の意義 (1) 保育の理念と概念 (2) 児童の最善の利益を考慮した保育 (3) 保護者との協働 (4) 保育の社会的意義 (5) 保育所保育と家庭的保育 (6) 保育所保育指針の制度的位置づけ 2.保育所保育指針における保育の基本 (1) 養護と教育の一体性 (2) 環境を通して行う保育 (3) 発達過程に応じた保育 (4) 保護者との緊密な連携 (5) 倫理観に裏付けられた保育士の専門性 3.保育の目標と方法 (1) 現在を最もよく生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う (2) 生活と遊びを通して総合的に行う保育 (3) 保育における個と集団への配慮 (4) 計画・実践・記録・評価・改善の過程の循環 4.保育の思想と歴史的変遷 (1) 諸外国の保育の思想と歴史 (2) 日本の保育の思想と歴史 5.保育の現状と課題 (1) 諸外国の保育の現状と課題 (2) 日本の保育の現状と課題 |
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 教育原理(講義・2単位) |
<目標> 1.教育の意義、目的及び児童福祉等とのかかわりについて理解する。 2.教育の思想と歴史的変遷について学び、教育に関する基礎的な理論について理解する。 3.教育の制度について理解する。 4.教育実践のさまざまな取り組みについて理解する 5.生涯学習社会における教育の現状と課題について理解する。 |
<内容> 1.教育の意義、目的及び児童福祉等との関連性 (1) 教育の意義 (2) 教育の目的 (3) 教育と児童福祉の関連性 (4) 人間形成と家庭・地域・社会等との関連性 2.教育の思想と歴史的変遷 (1) 諸外国の教育思想と歴史 (2) 日本の教育思想と歴史 (3) 児童観と教育観の変遷 3.教育の制度 (1) 教育制度の基礎 (2) 教育法規・教育行政の基礎 (3) 諸外国の教育制度 4.教育の実践 (1) 教育実践の基礎理論―内容、方法、計画と評価― (2) 教育実践の多様な取り組み 5.生涯学習社会における教育の現状と課題 (1) 生涯学習社会と教育 (2) 現代の教育課題 |
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 児童家庭福祉(講義・2単位) |
<目標> 1.現代社会における児童家庭福祉の意義と歴史的変遷について理解する。 2.児童家庭福祉と保育との関連性及び児童の人権について理解する。 3.児童家庭福祉の制度や実施体系等について理解する。 4.児童家庭福祉の現状と課題について理解する。 5.児童家庭福祉の動向と展望について理解する。 |
<内容> 1.現代社会における児童家庭福祉の意義と歴史的変遷 (1) 児童家庭福祉の理念と概念 (2) 児童家庭福祉の歴史的変遷 (3) 現代社会と児童家庭福祉 2.児童家庭福祉と保育 (1) 児童家庭福祉の一分野としての保育 (2) 児童の人権擁護と児童家庭福祉 3.児童家庭福祉の制度と実施体系 (1) 児童家庭福祉の制度と法体系 (2) 児童家庭福祉行財政と実施機関 (3) 児童福祉施設等 (4) 児童家庭福祉の専門職・実施者 4.児童家庭福祉の現状と課題 (1) 少子化と子育て支援サービス (2) 母子保健と児童の健全育成 (3) 多様な保育ニーズへの対応 (4) 児童虐待防止・ドメスティックバイオレンス (5) 社会的養護 (6) 障害のある児童への対応 (7) 少年非行等への対応 5.児童家庭福祉の動向と展望 (1) 次世代育成支援と児童家庭福祉の推進 (2) 保育・教育・療育・保健・医療等との連携とネットワーク (3) 諸外国の動向 |
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 社会福祉(講義・2単位) |
<目標> 1.現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷について理解する。 2.社会福祉と児童福祉及び児童の人権や家庭支援との関連性について理解する。 3.社会福祉の制度や実施体系等について理解する。 4.社会福祉における相談援助や利用者の保護にかかわる仕組みについて理解する。 5.社会福祉の動向と課題について理解する。 |
<内容> 1.現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷 (1) 社会福祉の理念と概念 (2) 社会福祉の歴史的変遷 2.社会福祉と児童家庭福祉 (1) 社会福祉の一分野としての児童家庭福祉 (2) 児童の人権擁護と社会福祉 (3) 家庭支援と社会福祉 3.社会福祉の制度と実施体系 (1) 社会福祉の制度と法体系 (2) 社会福祉行財政と実施機関 (3) 社会福祉施設等 (4) 社会福祉の専門職・実施者 (5) 社会保障及び関連制度の概要 4.社会福祉における相談援助 (1) 相談援助の意義と原則 (2) 相談援助の方法と技術 5.社会福祉における利用者の保護にかかわる仕組み (1) 情報提供と第三者評価 (2) 利用者の権利擁護と苦情解決 6.社会福祉の動向と課題 (1) 少子高齢化社会への対応 (2) 在宅福祉・地域福祉の推進 (3) 保育・教育・療育・保健・医療等との連携とネットワーク (4) 諸外国の動向 |
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 相談援助(演習・1単位) |
<目標> 1.相談援助の概要について理解する。 2.相談援助の方法と技術について理解する。 3.相談援助の具体的展開について理解する。 4.保育におけるソーシャルワークの応用と事例分析を通して対象への理解を深める。 |
<内容> 1.相談援助の概要 (1) 相談援助の理論 (2) 相談援助の意義 (3) 相談援助の機能 (4) 相談援助とソーシャルワーク (5) 保育とソーシャルワーク 2.相談援助の方法と技術 (1) 相談援助の対象 (2) 相談援助の過程 (3) 相談援助の技術・アプローチ 3.相談援助の具体的展開 (1) 計画・記録・評価 (2) 関係機関との協働 (3) 多様な専門職との連携 (4) 社会資源の活用、調整、開発 4.事例分析 (1) 虐待の予防と対応等の事例分析 (2) 障害のある子どもとその保護者への支援等の事例分析 (3) ロールプレイ、フィールドワーク等による事例分析 |
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 社会的養護(講義・2単位) |
<目標> 1.現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷について理解する。 2.社会的養護と児童福祉の関連性及び児童の権利擁護について理解する。 3.社会的養護の制度や実施体系等について理解する。 4.社会的養護における児童の人権擁護及び自立支援等について理解する。 5.社会的養護の現状と課題について理解する。 |
<内容> 1.現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷 (1) 社会的養護の理念と概念 (2) 社会的養護の歴史的変遷 2.社会的養護と児童家庭福祉 (1) 児童家庭福祉の一分野としての社会的養護 (2) 児童の権利擁護と社会的養護 3.社会的養護の制度と実施体系 (1) 社会的養護の制度と法体系 (2) 社会的養護の仕組みと実施体系 (3) 家庭的養護と施設養護 (4) 社会的養護の専門職・実施者 4.施設養護の実際 (1) 施設養護の基本原理 (2) 施設養護の実際―日常生活支援、治療的支援、自己実現・自立支援等― (3) 施設養護とソーシャルワーク 5.社会的養護の現状と課題 (1) 施設等の運営管理 (2) 倫理の確立 (3) 被措置児童等の虐待防止 (4) 社会的養護と地域福祉 |
【保育の本質・目的に関する科目】
<科目名> 保育者論(講義・2単位) |
<目標> 1.保育者の役割と倫理について理解する。 2.保育士の制度的な位置づけを理解する。 3.保育士の専門性について考察し、理解する。 4.保育者の協働について理解する。 5.保育者の専門職的成長について理解する。 |
<内容> 1.保育者の役割と倫理 (1) 役割 (2) 倫理 2.保育士の制度的位置づけ (1) 資格 (2) 要件 (3) 責務 3.保育士の専門性 (1) 養護と教育 (2) 保育士の資質・能力 (3) 知識・技術及び判断 (4) 保育の省察 (5) 保育課程による保育の展開と自己評価 4.保育者の協働 (1) 保育と保護者支援にかかわる協働 (2) 専門職間及び専門機関との連携 (3) 保護者及び地域社会との協働 (4) 家庭的保育者等との連携 5.保育者の専門職的成長 (1) 専門性の発達 (2) 生涯発達とキャリア形成 |
【保育の対象の理解に関する科目】
<科目名> 保育の心理学Ⅰ(講義・2単位) |
<目標> 1.保育実践にかかわる心理学の知識を習得する。 2.子どもの発達にかかわる心理学の基礎を習得し、子どもへの理解を深める。 3.子どもが人との相互的かかわりを通して発達していくことを具体的に理解する。 4.生涯発達の観点から発達のプロセスや初期経験の重要性について理解し、保育との関連を考察する。 |
<内容> 1.保育と心理学 (1) 子どもの発達を理解することの意義 (2) 保育実践の評価と心理学 (3) 発達観、子ども観と保育観 2.子どもの発達理解 (1) 子どもの発達と環境 (2) 感情の発達と自我 (3) 身体的機能と運動機能の発達 (4) 知覚と認知の発達 (5) 言葉の発達と社会性 3.人との相互的かかわりと子どもの発達 (1) 基本的信頼感の獲得 (2) 他者とのかかわり (3) 社会的相互作用 4.生涯発達と初期経験の重要性 (1) 生涯発達と発達援助 (2) 胎児期及び新生児期の発達 (3) 乳幼児期の発達 (4) 学童期から青年期の発達 (5) 成人期、老年期の発達 |
【保育の対象の理解に関する科目】
<科目名> 保育の心理学Ⅱ(演習・1単位) |
<目標> 1.子どもの心身の発達と保育実践について理解を深める。 2.生活と遊びを通して学ぶ子どもの経験や学習の過程を理解する。 3.保育における発達援助について学ぶ。 |
<内容> 1.子どもの発達と保育実践 (1) 子ども理解における発達の把握 (2) 個人差や発達過程に応じた保育 (3) 身体感覚を伴う多様な経験と環境との相互作用 (4) 環境としての保育者と子どもの発達 (5) 子ども相互のかかわりと関係作り (6) 自己主張と自己統制 (7) 子ども集団と保育の環境 2.生活や遊びを通した学びの過程 (1) 子どもの生活と学び (2) 子どもの遊びと学び (3) 生涯にわたる生きる力の基礎を培う 3.保育における発達援助 (1) 基本的生活習慣の獲得と発達援助 (2) 自己の主体性の形成と発達援助 (3) 発達の課題に応じた援助やかかわり (4) 発達の連続性と就学への支援 (5) 発達援助における協働 (6) 現代社会における子どもの発達と保育の課題 |
【保育の対象の理解に関する科目】
<科目名> 子どもの保健Ⅰ(講義・4単位) |
<目標> 1.子どもの心身の健康増進を図る保健活動の意義を理解する。 2.子どもの身体発育や生理機能及び運動機能並びに精神機能の発達と保健について理解する。 3.子どもの疾病とその予防法及び適切な対応について理解する。 4.子どもの精神保健とその課題等について理解する。 5.保育における環境及び衛生管理並びに安全管理について理解する。 6.施設等における子どもの心身の健康及び安全の実施体制について理解する。 |
<内容> 1.子どもの健康と保健の意義 (1) 生命の保持と情緒の安定に係る保健活動の意義と目的 (2) 健康の概念と健康指標 (3) 地域における保健活動と児童虐待防止 2.子どもの発育・発達と保健 (1) 生物としてのヒトの成り立ち (2) 身体発育と保健 (3) 生理機能の発達と保健 (4) 運動機能の発達と保健 (5) 精神機能の発達と保健 3.子どもの疾病と保育 (1) 子どもの健康状態の把握と主な疾病の特徴 (2) 子どもの疾病の予防と適切な対応 4.子どもの精神保健 (1) 子どもの生活環境と精神保健 (2) 子どもの心の健康とその課題 5.環境及び衛生管理並びに安全管理 (1) 保育環境整備と保健 (2) 保育現場における衛生管理 (3) 保育現場における事故防止及び安全対策並びに危機管理 6.健康及び安全の実施体制 (1) 職員間の連携と組織的取組 (2) 母子保健対策と保育 (3) 家庭・専門機関・地域との連携 |
【保育の対象の理解に関する科目】
<科目名> 子どもの保健Ⅱ(演習・1単位) |
<目標> 1.子どもの健康及び安全に係る保健活動の計画及び評価について学ぶ。 2.子どもの健康増進及び心身の発育・発達を促す保健活動や環境を考える。 3.子どもの疾病とその予防及び適切な対応について具体的に学ぶ。 4.救急時の対応や事故防止、安全管理について具体的に学ぶ。 5.現代社会における心の健康問題や地域保健活動等について理解する。 |
<内容> 1.保健活動の計画及び評価 (1) 保健計画の作成と活用 (2) 保健活動の記録と自己評価 (3) 子どもの保健に係る個別対応と子ども集団全体の健康と安全・衛生管理 2.子どもの保健と環境 (1) 保健における養護と教育の一体性 (2) 子どもの健康増進と保育の環境 (3) 子どもの生活習慣と心身の健康 (4) 子どもの発達援助と保健活動 3.子どもの疾病と適切な対応 (1) 体調不良や傷害が発生した場合の対応 (2) 感染症の予防と対策 (3) 個別的な配慮を必要とする子どもへの対応(慢性疾患、アレルギー性疾患等) (4) 乳児への適切な対応 (5) 障害のある子どもへの適切な対応 4.事故防止及び健康安全管理 (1) 事故防止及び健康安全管理に関する組織的取組 (2) 救急処置及び救急蘇生法の習得 (3) 保育における看護と応急処置 (4) 災害への備えと危機管理 5.心とからだの健康問題と地域保健活動 (1) 子どもの養育環境と心の健康問題 (2) 心とからだの健康づくりと地域保健活動 |