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○児童福祉法の一部を改正する法律の施行に伴う児童福祉法施行令の一部を改正する政令等の施行について

(平成14年7月12日)

(雇児発第0712004号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

児童福祉法の一部を改正する法律(平成13年法律第135号。以下「改正法」という。)が平成13年11月30日に公布され、これに伴い、平成14年7月12日に、児童福祉法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成14年政令第255号。別添1)、児童福祉法施行令の一部を改正する政令(平成14年政令第256号。以下「改正政令」という。別添2)、児童福祉法施行規則及び児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令(平成14年厚生労働省令第96号。別添3。以下「改正省令」という。)、児童福祉法施行規則第49条の2第1号ハの厚生労働大臣が定める組合等(平成14年厚生労働省告示第248号。別添4)が公布され、認可外保育施設関連部分については平成14年10月1日より、保育士関連部分については平成15年11月29日より施行されることとなったところであるので、下記事項に留意の上、その施行に遺憾のないようにされたい。

なお、改正法の趣旨及び内容等については、改正法の公布に際し、「児童福祉法の一部を改正する法律等の公布について」(平成13年11月30日雇児発第761号本職通知)において既に通知しているところであることを申し添える。

また、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

Ⅰ 認可外保育施設に対する届出制の導入について

改正法により、認可外保育施設(保育所と同様の業務を目的とする施設であって都道府県知事(指定都市及び中核市の市長を含む。以下Ⅰにおいて同じ。)から認可を受けていないものをいう。以下同じ。)について、新たに、都道府県知事への設置届出、変更届出、毎年の定期報告、利用者への説明、保育内容等の掲示、書面交付、都道府県知事による情報提供が規定されたところである(以下、これらの新しく追加された義務等を総称して「届出制」という。)が、その内容等については、次のとおりである。

1 届出制の対象施設の範囲(児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号。以下「規則」という。)第49条の2)

すべての認可外児童福祉施設が都道府県知事の指導監督の対象とされている一方で、届出制は、私人が設置している認可外保育施設であって「少数の乳児又は幼児を対象とするものその他の厚生労働省令で定めるもの」に該当しない施設が対象である。

これは、届出制の趣旨が認可外保育施設の効率的な把握の他、施設の情報を利用者に適正に伝え、利用者の適切な施設選択を担保することで、利用者の施設選択を通じた悪質な施設の排除を図る点にあることから、利用児童の募集を一般的には行わず、利用者による選択の対象とならない施設等を対象外としているものである。

届出制の対象外施設は次のとおりである。

(1) 小規模施設(規則第49条の2第1号)

地域での預かり合いとの区別や、事業者側の負担等を勘案し、1日に保育する乳幼児数が5人以下の小規模施設については届出制の対象外とした。

なお、保育する乳幼児数について、5人以下であることが約款その他の書類で明らかになっていない施設は、届出制の対象となる。

(2) 事業所内保育施設(規則第49条の2第1号イからハまで)

一般的に利用者を当該事業所の労働者に限定し広く利用者の募集を行わないことや、設置者である事業者側と利用者である労働者側との間に安定的な関係が想定されることから、届出制の対象外とした。ただし、労働者の乳幼児以外の乳幼児を5人を超えて預かる施設は、届出制の対象である。

(3) 事業者が顧客のために設置する施設(規則第49条の2第1号ニ)

一般に利用者を顧客に限定し広く利用者の募集を行わないことや、保護者が近くにいることが想定されることから、届出制の対象外とした。ただし、顧客の乳幼児以外の乳幼児を5人を超えて預かる施設は、届出制の対象である。

(4) 親族間の預かり合い(規則第49条の2第1号ホ)

一般に利用者の募集を行わないことや、保育する側と保育される側との間に安定的な関係が想定されることから、届出制の対象外とした。ただし、親族の乳幼児以外の乳幼児を5人を超えて預かる施設は、届出制の対象である。

(5) 臨時に設置される施設(規則第49条の2第2号)

半年を限度に臨時に設置される施設については、届出制に基づく地域住民に対する情報提供を行った時には既に施設自体が存在しないことが想定されることから、届出制の対象外とした。

(6) 幼稚園併設施設(規則第49条の2第3号)

幼稚園を設置する者が当該幼稚園と併せて設置する施設における活動については、幼稚園における子育て支援活動等と区別がつかないことや、幼稚園所管部局による当該幼稚園を設置する者に対しての指導が行われることから、届出制の対象外とした。

なお、幼稚園が、幼稚園教育要領に基づき実施する活動は、預かり保育(教育時間の前後に希望する者を対象に行う教育活動)も含め、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)の対象外である。

本取扱いについては、文部科学省と協議済みであり、文部科学省から別途通知が行われることとされている。

(7) 公立施設

届出制は「法第39条第1項に規定する業務を目的とする施設であって法第35条第4項の認可を受けていないもの」、即ち、法第35条第4項が対象にしている「国、都道府県及び市町村以外の者」の設置する施設を対象としており(法第59条の2)、国、都道府県及び市町村が設置する施設については法律上届出制の対象外である。

公立施設については、設置主体としての責任を持ってその管理運営に当たられたい。

2 届出制対象外施設への対応

届出制の対象外とされた施設も、従来どおり法第59条の指導監督の対象であることは変わりはなく、引き続き適切な指導監督を行われたい。なお、法改正を受けて、「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(平成13年3月29日雇児発第177号本職通知)を改正したので留意されたい。

なお、届出制の対象外施設について、都道府県(指定都市及び中核市を含む。以下Ⅰにおいて同じ。)の判断により、地方自治法に基づき、条例によって、届出制を導入することを妨げるものではない。

3 届出事項等

設置届出事項、変更届出事項、定期報告事項、掲示事項及び書面交付事項の内容は以下のとおりである。

(1) 設置届出事項(法第59条の2第1項各号及び規則第49条の3)

施設把握の端緒となるものであるため、施設把握のための基本的な事項となっている。

(2) 変更届出事項(規則第49条の4)

定期報告により施設の状況が年に1度は確認できることから、施設の名称や所在地など常時把握しておくべき事項に限っている。

(3) 掲示事項(法第59条の2の2及び規則第49条の5)

サービス提供に係る責任体制を明らかにするとともに、利用者の適切な施設選択を助ける事項となっている。

(4) 書面交付事項(法第59条の2の4及び規則第49条の6)

利用者との契約内容を示すものであるとともに、交付された書面が利用者の手元に残るものであることから、サービス提供に係る責任体制等利用者が把握しておく必要がある事項となっている。

(5) 定期報告事項(規則第49条の7)

施設の状況把握に必要な事項となっている。

4 都道府県知事による情報提供

届出制は、利用者による施設選択を通じて、悪質な施設の排除を図るものであるため、情報提供によって、利用者に適切な情報が正確に伝わることが、制度の運用上必要不可欠である。次の点に留意の上、適切かつ積極的に情報提供されたい。

(1) 項目等

施設名称・所在地、設置者・管理者の氏名・住所、設備の規模・構造、事業開始年月日、開所時間、サービス内容、入所定員、保育従事者数(うち保育士数)、指導監督における指摘事項等利用者の施設選択に資する項目について、各施設につき同一の項目で同一の形態により提供すること。また、これらの項目の評価方法等を併せて情報提供するよう努められたい。

(2) 事実確認等

情報提供する事項については事前に事実確認を行うことを原則とすること。やむを得ず未確認の情報を提供する場合には、未確認である旨が明らかにされた形で行われたい。

(3) 手段

インターネットへの掲載や窓口での閲覧等、認可外保育施設の利用を考えている者や現に利用している者の目に触れる形で行うこと。また、保育の実施が市町村の事務であること、市町村との連携が規定されたこと(法第59条の2の6)に鑑み、市町村における情報提供を要請する等、市町村に対し必要な協力を求めることも検討されたい。

5 認可保育所との関係

届出制は、認可外保育施設の指導監督の一環として創設されたものであり、認可外保育施設は届出によって行政による認可等を得るものではない。

情報提供は、認可保育所と認可外保育施設の区別ができる形で行い、情報提供が悪質な施設の宣伝活動の場として不適切に利用されることがないよう留意されたい。

なお、掲示に当たっては、認可保育所と誤認されるような掲示を行うことは、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第135号)に抵触するおそれがあるところである。

6 経過措置(改正政令附則第4条)

改正法施行前に、届出事項すべてについて都道府県に届け出ている施設については、設置届出を行ったものとみなされることとした。都道府県におかれては、事務の負担等を考慮して、改正法施行前に、届出を受け付ることも可能である。

Ⅱ 保育士について

保育士関連部分については平成15年11月29日から施行されることとなったところであるが、経過措置により登録を受けることで保育士となることのできる者の数が相当数になることから、登録事務体制の早期確立、登録申請の事前受付、改正法の趣旨や登録方法等の周知が必要であり、これらについては、別途、国として順次情報提供することとしている。

今回の政省令改正は、従来からの保育士関連の条文の整理の他、登録事項や登録手続、指定試験機関の指定要件やその手続について規定を設けたものであり、その主な内容は以下のとおりである。

1 保育士試験

(1) 筆記試験と実技試験(規則第6条の10)

都道府県における試験事務の実態等を踏まえ、試験事務の効率化の観点から、保育実習の筆記試験部分を保育実習理論とし、実技試験部分を保育実習実技とし、すべての筆記試験に合格した者に限り、保育実習実技を受験できるものとした。

(2) 添付書類(規則第6条の12)

従来、受験申請の際には、住民票の写しの添付が必要とされていたところであるが、申請者の負担を考慮し、添付を不要とした。

2 登録

(1) 登録事項(規則第6条の30)

法に規定されている氏名、生年月日に加え、本籍地都道府県名、指定保育士養成施設卒業・保育士試験合格の別、卒業若しくは試験合格の年月等を登録事項とした。

(2) 登録の申請先(児童福祉法施行令第16条)

指定保育士養成施設卒業者は申請時の住所地の都道府県知事へ、保育士試験合格者は試験を行った都道府県知事へ申請することとした。

3 経過措置

(1) 「保育士となる資格を有する者」とみなされる者は、改正法施行の際に以下に該当する者とした(改正法附則第4条、改正政令附則第3条、改正省令附則第4条)。これらの者は、改正法施行後に登録を受けることによって、保育士となることができる。

(ア) 指定保育士養成施設を卒業している者

(イ) 保育士試験に合格している者

(ウ) 昭和24年6月15日から昭和25年12月31日までの間において当時の児童福祉法施行令に基づき厚生大臣が認定した者(いわゆる認定保母)

(2) (1)により「保育士となる資格を有する者」とみなされる者については、改正法施行後3年間に限り、保育士として登録を受けずとも、名称独占違反の罰則が適用されず(改正法附則第5条)、また、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号。以下「最低基準」という。)の適用上は保育士とみなすこととした(最低基準第93条)。ただし、これらの措置はあくまでも経過的なものであり、改正法施行後の保育士となるには、登録を受ける必要がある。

なお、登録申請には期限がなく、改正法施行後3年を経過した後であっても、これらの者は、登録を受け、保育士となることができる。