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○待機児童ゼロ作戦の推進について

(平成13年9月6日)

(雇児保第35号)

(各都道府県民生主管部(局)長・各指定都市民生主管部(局)長・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長 通知)

保育行政に関しては、都市部を中心に待機児童解消や多様な保育需要への対応など、地域の実情に応じて日頃より種々ご尽力いただいているところであるが、国においては「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革の基本方針(平成13年6月26日閣議決定)」、「仕事と子育ての両立支援策の方針について(平成13年7月6日閣議決定)」等に基づき、待機児童ゼロ作戦を進めることとしているところである。

このため、厚生労働省においては、平成14年度概算要求で、待機児童ゼロ作戦を推進するための新規施策等を盛り込んだ要求を行ったところであるが、都道府県及び市町村においても、厚生労働省がこれまで実施してきた各般の規制緩和措置、予算措置及び来年度概算要求等を踏まえて、地域の保育需要に的確に応えた保育サービスの提供が行われるよう計画的かつ積極的に取り組まれたい。

また、待機児童ゼロ作戦に関連して、関係各省庁においても各種の施策が講じられ、また検討されており、これらについても今後順次お知らせすることとしている。都道府県、市町村の民生主管部局においても、教育委員会等関係部局との連携を密にして対処されたい。

なお、待機児童ゼロ作戦に関連する主な規制緩和措置、予算措置及び留意事項を下記のとおり取りまとめ、併せて来年度概算要求等について参考資料として添付したので、保育サービス提供の拡大のための検討に際して参考にされるとともに、管下市町村、保育関係者等に周知されたい。

この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

1 設置主体制限の撤廃等について

平成12年3月より、保育所設置主体制限の撤廃、保育所設置に係る資産要件の緩和、最低定員の引下げを行ったが、平成12年度中のこれらの効果について取りまとめ、本年5月21日、「保育所設置に係る多様な主体の認可状況等について」によりお知らせしたところである。

各都道府県等においては、保育サービスに対する需要を踏まえ、認可基準その他関係法令に適合した保育所について迅速かつ的確な認可事務がなされるよう努められたい。

[関係通知]

・保育所の設置認可等について(平成12年3月30日児発第295号)

・小規模保育所の設置認可等について(平成12年3月30日児発第296号)

・不動産の貸与を受けて設置する保育所の認可について(平成12年3月30日児発第297号)

・夜間保育所の設置認可等について(平成12年3月30日児発第298号)

2 保育所分園について

平成10年度に保育所分園制度が創設され、地方公共団体において取組が進んできた結果、平成13年8月までに94カ所設置されたところである。平成12年度に分園設置特例保育単価が設定され、更に平成13年度に「保育所分園推進事業」が創設され、開設時の初度設備費、各種運営経費について、助成されることとなっているので、これらを活用した分園の設置促進に努められたい。

なお、分園を設置できる主体としては、社会福祉法人のみならず保育所を設置経営する全ての主体が含まれるものであることを、念のため申し添える。

[関係通知]

・保育所分園の設置運営について(平成10年4月9日児発第302号)

・特別保育事業の実施について(平成12年3月29日児発第247号)別添5等

・分園を設置した保育所に係る保育単価について(平成12年6月8日児発第582号の5)

3 入所の円滑化及び各種特別保育事業の実施について

乳児の待機が多い地域においては、乳児室及びほふく室の面積要件についてかつての乳児保育指定保育所に係る面積基準(5m2)を緩和しているところである。保育所内の余裕室や子育て支援相談室における余裕スペース等がないか点検の上、これらの活用により、待機児童の解消を図られたい。

「仕事と子育ての両立支援策の方針について」(平成13年7月6日閣議決定)にも触れられているように、特に公立保育所において、延長保育、一時保育、休日保育等の実施を進める他、待機の状況等がある場合に定員を超えた児童の入所受入れを進める必要がある。年度途中の定員を超えた入所については、これを進めるため、本年3月に短時間勤務の保育士の導入に係る規制緩和を行ったところでもある。

なお、特別保育事業の実施については、保育所の設置主体が責任をもって行えるよう施設の職員によることが原則であるが、児童の処遇や保護者との連絡体制の確保などに設置者である地方公共団体が責任をもって適正に実施できる場合には、公立保育所における特別保育事業を民間に委託することも可能である。

[関係通知]

・保育所への入所の円滑化について(平成10年2月13日児保第3号)

・保育所における短時間勤務の保育士の導入について(平成10年2月18日児発第85号)

・待機児童解消に向けた児童福祉施設最低基準に係る留意事項等について(平成13年3月30日雇児保第11号)」

4 余裕教室の活用について

平成12年度までに公立学校の余裕教室を活用した保育所分園が6カ所(i―子育てネットhttp://www.i-kosodate.net/special/index.html参照)となっており、既存の社会資源の有効活用が重要な課題となっているところである。社会福祉施設等施設・設備整備費における「余裕教室活用促進事業」により、施設整備費(3000万円を上限とする定額補助)、設備整備費(650万円を上限とする定額補助)が国から定額補助されることから、市町村においては、市町村教育委員会と連携を図った上、余裕教室を活用した保育所設置に積極的に取り組まれたい。

[関係通知]

・社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費の国庫負担(補助)について(平成3年11月25日社第409号)別表10

・余裕教室を活用した社会福祉施設への改善整備の促進について(平成11年3月23日社援第709号)

5 公設民営について

民間活力を活用した各種サービス提供が課題となっており、本年3月より、規制改革推進3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)に基づき公立保育所の運営業務の委託先に係る制限が撤廃されたところである。また、公立保育所の運営業務を民間へ委託する方式以外に、地方公共団体の所有する建物を民間へ貸与又は譲渡する方式を採用する地方公共団体もある。これに関し、国庫補助により整備された建物を普通財産に転換して貸与しようとする場合には財産処分手続が必要であるが、社会福祉施設の転用等について、平成11年度よりその事務手続は簡素化されているところであり、念のため申し添える。

また、地方公共団体の所有する建物を民間へ貸与する方式に対応して、保育所施設整備の補助方式を拡大するよう概算要求しているところである。

なお、平成12年度中に公立保育所の運営業務を民間へ委託した事例は8件、国庫補助により設置された公立保育所に係る建物を普通財産に転換して民間へ貸与した事例が13件、譲渡した事例が9件あったところである。

[関係通知]

・地方公共団体が設置する保育所に係る委託について(平成13年3月30日雇児保第10号)

・社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費国庫負担(補助)金に係る財産処分承認手続の簡素化について(平成12年3月13日社援第530号)

参考資料1 今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針

平成13年6月26日 閣議決定

参考資料2 産業構造改革・雇用対策本部 中間とりまとめ

平成13年6月26日 産業構造改革・雇用対策本部決定

参考資料3 仕事と子育ての両立支援策の方針について

平成13年7月6日 閣議決定

参考資料4 都市再生プロジェクト(第二次決定)

平成13年8月28日 都市再生本部

参考資料5 平成14年度保育対策関係予算概算要求の概要

参考資料6 ベビーホテル等の問題に関係する14年度概算要求の概要

都市再生プロジェクトに関する基本的考え方(抄)

平成13年6月14日

都市再生本部決定

1 「都市再生」の意義

90年代以降の低迷している我が国経済を再生するためには、太宗の経済活動が行われ、我が国の活力の源泉でもある「都市」について、その魅力と国際競争力を高め、その再生を実現することが必要である。

このためには、民間による都市への投資など民間の力を都市に振り向けることが決め手になる。この観点から、経済構造改革のための重点課題の一つとして「都市再生」に取り組む。

2 重点的な都市再生の取り組み

第一に、我が国の経済の牽引役となる東京圏、大阪圏など大都市圏が国際的にみて地盤沈下していることから、この大都市圏を、豊かで快適な、かつ、経済活力に満ちあふれた都市に再生することに取り組む。

第二に、地方都市については、人と自然との共生、豊かで快適な生活を実現するためのまちづくり、市街地の中心部の再生、鉄道による市街地分断の緩和・解消など、各都市に共通する横断的な、かつ、構造的な課題を抱えており、これらの課題に的を絞って都市の再生に取り組む。

3 都市再生プロジェクト選定の考え方

(1) 都市再生プロジェクトの意義

都市再生プロジェクトは、内閣が定める都市再生のための統一した方針の下に様々な主体が協力して具体的な行動をとる行動計画として位置づける。

この行動計画には、プロジェクトを推進する上で必要な規制のあり方の点検、さらに制度の強化、充実などの制度改革、運用改善も含まれる。

(2) 都市再生プロジェクトの選定の視点

次に掲げる二つの視点を踏まえ、都市再生プロジェクトの選定を進める。

第一に、国際競争力のある世界都市の形成、安心して暮らせる美しい都市の形成、持続発展可能な社会の実現、自然と共生した社会の形成といった「21世紀の新しい都市創造」に向け、リーディングプロジェクトとしての選定を進める。

第二に、我が国の都市が現在直面している、地震に危険な市街地の存在、慢性的な交通渋滞、交通事故など都市生活に過重な負担を強いている、「20世紀の負の遺産の解消」については、緊急課題対応プロジェクトとしての選定を進める。

(3) 都市再生プロジェクト選定方針

都市再生プロジェクトは、経済構造改革の一環として政府をあげて取り組む観点から、以下の項目に該当するものとする。

第一に、プロジェクトの内容が次に掲げるいずれかの性格を有することから、内閣が定める統一的な方針に基づいて、関係省庁が総力をあげて取り組む必要があるものであること。

ア 都市構造に係る基本的課題に取り組むもの

イ 従来とは異なる新しい手法により取り組むもの

第二に、経済構造改革につなげるという観点から、次に掲げるいずれかの性格を有するものであること。

ア 民間投資への大きな誘発効果を持つもの、民間ノウハウを活用するものなど、民間の力を引き出すものであること。

イ 虫喰い土地の整形化による有効利用など、土地の流動化に資するものであること。

4 地方都市に共通する課題への取り組み 略

都市再生プロジェクト(第二次決定)(抄)

平成13年8月28日

都市再生本部決定

Ⅳ 都市部における保育所待機児童の解消

少子高齢社会に対応した都市再生を実現するため、都市部において数多く存在している保育所への待機児童の抜本的な解消を図る。

1 利用しやすい場所における保育所等の設置の推進

(1) 駅や駅前のビル内において保育所等の設置を支援する。

①保育所等生活支援施設を併設する建築物について、容積率緩和の特例措置を講ずる。

②駅や駅前のビルを有効活用することにより保育所等の設置促進を図る。

(2) 商店街の空き店舗や小中学校等の余裕教室において保育所等の設置を支援する。

(3) 公営住宅、公団賃貸住宅団地の建て替えにあたって保育所等生活支援施設の設置を基本とする。

2 既存の保育所ストックの有効利用

(1) 保育サービスの需給の地域的なミスマッチを解消するため、駅から郊外の保育所への送迎サービスを支援する。

(2) 待機児童の多い自治体において、公営保育所の延長保育や一時保育等について私営保育所並の実施をめざし2倍増以上を目途に拡充するほか、供給増の制約となる措置等を行わないことにより入所児童数の受け入れを拡大する。