添付一覧
○児童福祉施設等における児童の安全の確保について〔知的障害者福祉法〕
(平成一三年六月一五日)
(雇児総発第四〇二号)
(各都道府県民生主管部(局)長・各指定都市民生主管部(局)長・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長・厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)
保育所、児童養護施設等の児童福祉施設等の入所児童や放課後児童健全育成事業等の児童福祉事業の利用児童の安全の確保については、従来から種々ご尽力いただいているところであります。
今般、大阪府内の小学校において児童が殺傷される痛ましい事件が発生し、本年6月8日付け雇用均等・児童家庭局総務課長通知であらためて児童の安全の確保に努めるよう注意喚起をお願いしたところでありますが、児童福祉施設等におけるこのような事件の発生予防は言うに及ばず、万一発生した場合には迅速かつ的確な対応が重要であり、施設等においては、日頃から職員の協力体制は勿論のこと、保護者との緊密な連絡体制や警察等地域関係機関との連携体制等を確保することが重要です。
また、児童が安全な環境の中で安心して育っていくことができるよう、施設も参加した地域のコミュニティーづくりを推進し、このような事件の発生予防につなげていく必要があります。
ついては、危機管理の観点から現状を点検し、問題点を把握することにより児童の安全の確保を一層充実するため、とり急ぎ別添の点検項目を策定したので、下記の事項にも留意の上、管内市町村及び児童福祉施設等に対する指導をお願いします。
なお、別添の点検項目については、今後、関係者からの意見等を踏まえ、追加・修正等を行う場合があることを申し添えます。
おって、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であります。
記
1 児童福祉施設等については、従来から、地域に開かれた施設づくりを推進してきており、地域のボランティア、保護者、関係団体等の協力も得つつ、地域と一体となって児童の安全確保に努めること。地域に開かれた施設づくりは、危険に関する情報の収集や緊急時の支援にもつながることから、徒らに施設開放に消極的にならないよう留意すること。
2 児童福祉施設等の児童の安全の確保については、都道府県、市町村と各施設等が一体となって対策を検討すること。
3 点検項目については、標準的なガイドラインとして策定したものであり、実施に当たっては、地域や施設の実情に応じて適宜追加・修正して差し支えないこと。
(別添―1)
都道府県・市町村の施設・事業の所管課における点検項目
1 日常の安全管理
(方針の明示と施設等間の情報交換)
○児童の安全確保についての都道府県・市町村の方針等を明らかにしているか。
○管内の施設等の間での情報の迅速な交換ができる体制をつくっているか。
(関係機関・団体との連携)
○児童の安全確保のため、次のような措置を講じ、関係機関・団体との連携を図っているか。
・警察、児童相談所、福祉事務所、保健所等の関係機関や関係団体、民生・児童委員等への協力要請や情報交換を行っている。
・近接する都道府県・市町村間等で不審者等に関する情報を提供しあう体制をとっている。
2 緊急時の安全確保
(不審者情報がある場合の体制)
○管内の施設等の周辺における不審者等の情報が入った場合には、次のような措置をとる体制を整備しているか。
・速やかに関係する地域の施設等に情報を提供し、注意喚起すること。
・警察に対し、当該施設等の周辺におけるパトロール等の実施を要請するなど、関係機関との連携を図る。
・地域の関係団体に注意喚起し、児童の安全確保のための協力を求める。
(不審者の立入りなど緊急時の体制)
○管内の施設等において、不審者が立ち入った場合などの緊急時に備え、次のような体制を整備しているか。
・施設等からの緊急時の連絡に対応する体制をとっている。
・緊急時に、関係部局等とも連携し、直ちに職員を派遣するなど、施設等における危機管理を支援する体制をとっている。
(別添―2)
児童福祉施設・事業(通所型)における点検項目
1 日常の安全管理
(職員の共通理解と所内体制)
○安全管理に関し、職員会議等で取り上げるなど、職員の共通理解を図っているか。
○児童の安全管理に関して、職員の役割を明確にし、協力体制のもと事故防止にあたっているか。
○職員体制が手薄の時は、特に安全に対し注意しているか。
○万一の場合の避難場所や保護者・関係機関等への連絡方法を職員に周知しているか。
○来訪者用の入口・受付を明示し、外部からの人の出入りを確認しているか。
○防災・防犯のための避難訓練等を実施しているか。
(関係機関等との連携)
○市町村の施設・事業所管課、警察署、児童相談所、保健所等関係機関や民生・児童委員、地域団体と連絡を取り、連携して情報を共有できる体制となっているか。
○関係機関からの注意依頼文書を配布・掲示するなど周知徹底しているか。
○近隣の個人、保育所、幼稚園、学校等と相互に情報交換する関係になっているか。
(施設・事業者と保護者の取り組み)
○児童に対し、犯罪や事故から身を守るため、屋外活動に当たっての注意事項を職員が指導しているか。また、家庭でも話し合われるよう働きかけているか。
(施設設備面における安全確保)
○門、囲障、外灯、窓、出入口、避難口、鍵等の状況を点検しているか。
○危険な設備、場所等への囲障の設置、施錠等の状況を点検しているか。
○自動警報装置、防犯監視システム等を設置している場合は、作動状況の点検、警備会社等との連携体制を確認しているか。
(近隣地域の危険箇所の把握と対応)
○日頃から地域の安全に目を配り、危険箇所の把握に努めているか。
(保育所の通所時における安全確保)
○児童の送迎は原則として保護者が行うべきことを保護者に徹底しているか。
○ファミリー・サポート・センターやベビーシッターを利用する場合等保護者以外の者が迎えに来る場合、原則としてその都度職員が保護者に確認しているか。
(保育所・障害児通園施設の所外活動における安全確認)
○危険な場所、設備等を把握しているか。
○携帯電話等による連絡体制を確保しているか。
(保育所・障害児通園施設の安全に配慮した施設開放)
○施設開放時は、保護者に対して児童から目を離さないよう注意を喚起しているか。
(児童館・放課後児童クラブ児童の来所及び帰宅時における安全の確保)
○来所の利用児童について、保護者等への連絡先が把握されているか。
○児童の来所及び帰宅に関しては、地域の危険箇所を把握し、児童・保護者に注意を喚起しているか。
○児童が来所及び帰宅途上で犯罪、事故に遭遇した時、交番や「こども110番の家」等に緊急避難できるようあらかじめ児童・保護者に場所を周知しているか。
○放課後児童クラブの児童に関しては、安全な経路を通るよう指導しているか。
2 緊急時の安全確保
(不審者情報がある場合の連絡等の体制)
○施設周辺における不審者等の情報が入った場合に、次のような措置をとる体制を整備しているか。
・職員間による状況認識の一致を図り、職員体制を確立する。
・児童・保護者等の利用者に対して、情報を提供し、必要な場合には職員の指示に従うよう注意を喚起する。
・警察に対しパトロールを要請する等警察と連携を図る。
・児童の安全確保のため、保護者や民生・児童委員、地域活動団体等の協力を得ている。
(不審者の立入りなど緊急時の体制)
○施設内に不審者が立ち入った場合など緊急時に備え、次のような体制を整備しているか。
・直ちに職員が協力体制を取り、人身事故が起きないよう事態に対応する。
・不審者に対し、施設外への立ち退きを要求する。
・直ちに施設長を始め、職員に情報を伝達し、児童への注意喚起、児童の安全を確保し、避難誘導等を行う。
・警察や施設・事業所管課、保護者等に対し、直ちに通報する。
(別添―3)
児童福祉施設(入所型)における点検項目
1 日常の安全管理
(職員の共通理解と施設内体制)
○安全確保に関し、職員会議等で取り上げるなど、職員の共通理解を図っているか。
○来訪者用の入口・受付を明示し、外部からの人の出入りを確認しているか。
○来訪者の予定について、朝会などで職員間に情報提供し、対応する職員に確認をしているか。
○万一の場合の避難場所や保護者・関係機関等への連絡方法を職員に周知しているか。
○防災・防犯のための避難訓練等を実施しているか。
(不審者情報に係る地域や関係機関等との連携)
○施設周辺等における不審者等の情報について、次のような方法により把握できる体制をとっているか。
・日頃から警察などの関係機関と連携して、情報を速やかに把握できる体制をとっている。
・地域の自治会、民生・児童委員や通学する学校等との間で情報を提供しあう体制をとっている。
(施設生活や外出中における安全確保の体制)
○施設生活(交流行事など)や外出中における安全確保のための職員の役割分担を定め、入所児童の状況を把握しているか。
(登下校時における安全管理の体制)
○登下校時において、入所児童の安全が確保されるよう、次のような措置を講じているか。
・入所児童に対し定められた通学路を通って登下校するように指導している。
・通学路において人通りが少ないなど、入所児童が登下校の際により注意を払うべき箇所をあらかじめ把握し、注意喚起している。
・登下校時等の万一の場合、交番や児童委員の家等の入所児童が避難できる場所を入所児童一人一人に周知している。
(安全に配慮した施設開放)
○施設開放に当たって、次のような措置を講じ、安全への配慮を行っているか。
・施設開放時における開放部分と非開放部分との区別を明確に示し、非開放部分への不審者の侵入防止のための方策を講じている。
・来訪者に対して、施設開放時の安全確保等について記載したパンフレットなどを配布し、注意喚起している。
(施設設備面における安全確保)
○門、囲障、外灯、窓、出入口、避難口、鍵等の状況を点検しているか。
○危険な設備、場所等への囲障の設置、施錠等の状況を点検しているか。
○自動警報装置、防犯監視システム等を設置している場合は、作動状況の点検、警備会社等との連絡体制を確認しているか。
(入所児童に対する安全管理についての指導)
○入所児童が犯罪や事故の被害から自分を守るため、戸外での行動に当たって遵守すべき事項について、施設は入所児童に指導しているか。
2 緊急時の安全確保
(不審者情報がある場合の連絡等の体制)
○施設周辺における不審者の情報が入った場合に、次のような措置をとる体制を整備しているか。
・職員間による状況認識の一致を図り、職員体制を確立する。
・警察に対しパトロールを要請する等警察と連携を図る。
・緊急時の入所児童の避難方法や登下校の方法などについて、あらかじめ対応方針を定めている。
・児童の安全確保のため、民生・児童委員や地域活動団体等の協力を得ている。
(不審者の立入りなど緊急時の体制)
○施設内に不審者が立ち入っているなど緊急時に備え、次のような体制を整備しているか。
・直ちに職員が協力体制を取り、人身事故が起きないよう事態に対応する。
・不審者に対し、施設外への立ち退きを要求する。
・直ちに施設長を始め、職員に情報を伝達し、児童への注意喚起、児童の安全を確保し、避難誘導等を行う。
・警察や施設・事業所管課等に対し、直ちに通報する。